【咲-Saki-】淡「…神は死んだ」 (44)

-白糸台高校麻雀部-

ガラガラ…

菫「遅くなってすまない、皆もう揃って…」

照「菫!助けて!!」ダキッ

菫「な、なんだ照///流石に皆の前では恥ずかしいぞ…///」テレテレ

照「淡が…淡が!」ウルウル

菫「淡がどうかしたのか…?」

尭深「淡ちゃん…なんだか様子が変なんです…」

菫「変?淡が変なのはいつもの事じゃないか…」

誠子「それが、変じゃなくて変なんですよ!!」

菫「訳が分からん…」ハァ…

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菫「それで?当人の淡はどこに居るんだ?」キョロキョロ

照「ほら…あそこ…」クイッ

淡「」カキカキ

菫「…何を言ってるんだ?あの人は今勉強してるだろ…淡じゃないのは一目瞭然じゃないか」ハァ…

誠子「先輩…現実から目を逸らさないで下さい…」

尭深「あれは紛れも無く淡ちゃんなんです…」

菫「おい淡ぃ!!どうしたんだ勉強なんかして!?お前らしくないじゃないか!!」ガタタッ!

淡「ハァ…弘世先輩」

菫「ひ、ひろ…!?」

淡「私は昨年、義務教育を終えました。もう高校生なんですから、義務だからでは無く私が自ら勉強するのは当然だと思うのですが?」クイッ

菫「な、何だその眼鏡は!?なんだその正論は!!」ビクッ!

照「怖いよぅ…怖いよぅ…」カタカタ…

菫「そ、そうか!今日はエイプリルフールだったな!淡は私達を驚かそうとして…」

淡「…弘世先輩」クイッ

菫「な、なんだよぅ…」ビクビク…

淡「エイプリルフールは本来、午前中に嘘を吐いて午後にネタバラシをするんです」

淡「今は何時ですか?もう午後4時になろうとしていますね?」

淡「日本人は近年よく海外の文化を取り入れていますが、正しい取り決めや意味等はよく知られていないんです」

淡「これは日本人が働きすぎてその閉塞感から開放される為に、無理矢理外国の文化を祭り事のように誇張しすぎた結果だと思うんです」

淡「そして海外から見た時に、同じ祝い事の名を冠して居ながら全く別の事で盛り上がってる…と奇異の目で見られるんですよ?」

淡「ただイベントを流入するだけではなく、何故祝われているのか?何を祝っているのか?を考える事が真のグローバル化の第一歩だと思うのですが?」クイッ

菫「はい…大星さんの仰る通りです…」シュン…

淡「では私は予習が有るので…」カキカキ

菫「うぅ…うっ…」グスグス…

照「大丈夫…皆通った道だから…」ナデナデ

菫「おかしいよぉ…なんであんな雑学まで備えてるんだ…うっ…うぅ…」グスグス…

照「菫はまだ良い方だよ…誠子なんか…」

誠子「もう…もう良いんです…ははっ…ははは…」

菫「何を言われたんだ…?」

淡『亦野先輩は、食べる訳でもないのに魚の口に傷を付けて海に帰す遊びが趣味なんですか?』クイッ

誠子「『魚への同情とかではなく、単に猟奇的だなと思っただけです。』とも…」グスグス…

菫「うわぁ…もういじめじゃないか…」ヒキッ…

尭深「私だって…淡ちゃんに…」グスグス…

淡『あ、お茶は結構です。経口摂取する物は出来るだけ自分で選びたいですから』クイッ

尭深「『サプリメントの何倍も栄養価の低い物で栄養素を補うのって効率悪くないですか…?』とも…」シクシク…

菫「なんなんだアイツは…良いものばかりではなく毒をも喰らえっ!て私の父は言っていたぞ…」

照「淡が変わってからの言動なんだけど…多分これに近い状態なんじゃないかな…」スッ…

菫「意識高い系…?」

照「うん…最近ネットとかで話題になってるんだけど…」

誠子「主に大学生のサークルとかに居るタイプって事らしいんですけど…」

菫「つまり…あれか?『あぁ~昨日二時間しか寝てないわぁ~マジ辛いわぁ~』の進化系ってことか…?」

尭深「もうまさにそれです…」

菫「でも淡もしっかり勉強しているようだし…もうこのままで良いのかも知れないな…」

誠子「それにしてもなんで意識高い系なんて呼び名で呼ばれてるんでしょうね…」

照「なんでも、努力してるアピールが過剰すぎるらしい」

菫「努力してるアピールって…淡はそんな事してないじゃないか?」

尭深「いえ…よく見てください…」

菫「ん?あ、あれは!?」

淡「ハァ~…」グリグリ

菫「眼鏡を外して眉間をグリグリしている…」

尭深「私は長い間眼鏡を掛けてますけど…どうなったらあんな状況に陥るのか理解できません…」

淡「これが終わったら次は…」ブツブツ…

誠子「あぁ!あたかも次の予定が詰まっているかのような独り言を!?」

菫「これは酷い…」

照「まぁ考えてみれば黙々と努力してる人って意識高い系とか言われないもんね…」

菫「あぁ…ただの努力家だもんな…」

尭深「それにしてもなんで淡ちゃんは急にこんな事を…」

菫「そうだな、それが一番の問題だ…」

照「淡があれを意図的にやっているのかどうかって事だよね?」

菫「少し様子を見てみるか…」

淡「」カキカキ

菫「よ~し、今日は部活が終わったら皆でスイーツを食べに行こうか!私が奢るぞ~!」ハハハ!

照「おぉ~!流石菫!行こう行こう!」ワイワイ

誠子「そうですねぇ~!行きましょう!」ワイワイ

尭深「あ、淡ちゃんも…行こう…?」

淡「いえ、私は過剰に糖分を摂取しない事にしてますんで。皆さんでどうぞ」カキカキ

菫「そ、そうか…」

照「お菓子で釣る作戦は失敗だね…」ヒソヒソ

誠子「もしかしたら頭を打って人格が変わってるんじゃ…」ヒソヒソ

菫「そんな漫画みたいなこと有る訳無いだろ…」ヒソヒソ


尭深「それじゃあもう少し様子を見て…あれ?」

照「どうしたの?尭深」

尭深「あの…淡ちゃんの頭が…」

菫「淡の頭…?」ジー…

淡「」プクー

誠子「たたた、たんこぶが出来てる!?」

照「じゃあやっぱり淡はどこかで頭を打って…?」

菫「そんな馬鹿な…」クラッ…

誠子「じゃあもう一度何かで頭を思いっきり殴って…」

菫「馬鹿!今の淡にそんな事してみろ!」

淡『いきなりなんて事するんですか…?これは立派な傷害罪ですね…次は法廷で会いましょう…』クイッ

菫「なんて事になりかねないだろ!」

照「じゃあどうすれば…」

菫「それを今から考えるんじゃないか…」

尭深「でも頭を打ってあんな事になったんだったら、もし元に戻っても後遺症とかが残るんじゃ…」

誠子「そんな…」

菫「とにかくこれは淡の今後の人生に大きく関わる事だ、皆で真剣に考えよう」グッ

照「という訳で…淡を元に戻すいい方法を思い付いた人から挙手で発言して下さい」

誠子「はい!」

照「はい亦野さん」

誠子「とりあえずいつも通り麻雀を打たせてみるのはどうでしょう?普段通りに生活していれば何か刺激になるかもですし…」

菫「よし!まずはそれで行ってみるか…」

菫「さぁ淡、部活を始めるぞ!」

淡「もうそんな時間ですか…これは帰ってからが大変そうだなぁ…」フゥ…

照「また忙しいアピールしてる…」コソコソ

尭深「そういうものですから…仕方ないですよ…」コソコソ

菫「それじゃあまずは亦野を抜いた四人で打ってみるか?」

淡「弘世先輩」クイッ

菫「むっ…どうした淡…」ビクビク…

淡「私達チーム虎姫が今最もやらなければならない事は亦野先輩の自力を引き上げることなんじゃないですか?」

誠子「えっ…?」

淡「私達はそれぞれ攻撃に特化したメンバーですから、もう少し亦野先輩の平均打点を上げるべきだと思うんです」

菫「う、うーん…」

淡「そもそも亦野先輩は普段から対子が集まることが多いわけですから、無理に鳴く事も無いと思うんです」

淡「対子が多ければ七対子の目も見えて来ますよね。亦野先輩は必ず鳴いてくると相手に思わせるのも戦略の一つになると思うんですが?」

菫「そ、そう言われればそうだが…」

淡「ですので、亦野先輩を入れた四人で卓を囲むのが今の私達にとっての最も効率の良い練習方法だと思うんですが如何でしょうか?」

菫「さ、採用します…」プルプル

照「す、菫頑張って!泣かないで!」アセアセ

淡「それでは私と亦野先輩、後は弘世先輩と渋谷先輩でやりましょう」

照「え?私は良いの?」

淡「宮永先輩はこれ以上練習してどうするつもりですか…?」

照「ど、どうするって…強くなって…」アセアセ

淡「もうこれ以上は私達でどうにか出来る領域では無いですから…ネット麻雀をやって、なるべく能力の及ばない状況で自力を高めた方が良いと思いますよ…?」

照「あ、はい…そうします…」

菫(ついに監督の様な事をし始めてしまった…私の立場が…)プルプル…

淡「私の親からですね…」トン

菫「あ、あれ?リーチかけないのか…?」

淡「はぁ…弘世先輩…」クイッ

菫「は、はい!」ビクッ

淡「今、私が必ずリーチ出来る状態に有ると皆さんは思っていましたよね?」

菫「ま、まぁいつもそうだったからな…」

淡「じゃあ今私の第一打でリーチを掛けなかった理由は何故だと思いますか?」

菫「まだ聴牌じゃ無いから…?」

淡「そこです。私はもちろん聴牌してますが、他家の人間はそれに気付けないんです。」

淡「ダブリーをしない事で打点は下がりますが、親の場合は連荘を伸ばす事が可能になるんです」

淡「それに今の私の手は待ちが思わしくないので、これから広く受ける為にもリーチをしないという選択が必要なんですよ」

淡「私はこういう柔軟な打ち方を亦野先輩にも覚えて欲しいんです。わかりますか?」クイッ

誠子・菫「は、はい…」

淡「弘世先輩、また右手の指が動いてますよ」

菫「指…?」

淡「なんですか、気付いてなかったんですか…?」

菫「ん…うん…」

淡「あのですね…弘世先輩が誰かを狙い撃ちする時に、右手の指が少し動くんですよ」

菫「な、そんな馬鹿な…」ワナワナ

淡「この癖、どこか他の高校で研究されていた場合非常に厄介になりますよ」

淡「同卓の人が必ずしも見破れる癖では無いので、気付いた人間にだけ通用しない」

淡「そのせいで避けた人は自分より力量が上なのかもしれないという錯覚に陥る」

淡「その動揺が尾を引き無駄な失点が増える可能性が有ります。今後は自分の打ち方にも気を配って下さい」クイッ

菫「はい…監督…」シュン…

尭深「先輩…監督では無いですよ…」

淡「そろそろですかね…リーチです」スチャッ

菫「む、5順目か…なかなか読み辛いが…」

淡「私の癖で読むのは止めた方が良いですよ弘世先輩」ウネウネ

誠子「あ、なんかいつもの髪のうねり方と違う!?」

淡「癖を消す事が今の私の課題ですからね。実験させて貰いますよ」ウネウネ

菫「麻雀に関しても意識高いなぁ…」

淡「さぁ、渋谷先輩の番ですよ」ムズムズ

尭深(すごい鼻に入りそう…気になるなぁ…)スッ

淡「ロンです」パラッ

菫「な、なんだその待ちは!渋谷を狙い撃ちする気満々じゃないか!?」

淡「ふふふ…平均打点ではアベレージを越えてますがオーラスまでの守備固めはまだまだですね」ムズムズ

尭深「はい…」ショボン…

淡「東場終了ですねそれじゃあサイコロを…サイコ…サイ…ふぇっくしゅーん!!」ガシャーン!

菫「あ、淡!?大丈夫かぁ!?」

尭深「凄い勢いで卓に…怪我は無い…?」

淡「う…うぅ…」ガタッ

誠子「大丈夫か?やっぱりどこか怪我を…」

淡「モーマンタイ…」

菫「え?」

淡「だいじょうぶ2008夏」ボケー

誠子「は、ははは…どうしたんだ急に…?」

淡「ポケット…モントリオール」パカッ

尭深「…まさか頭を」

菫「て、照ー!照はおらんかー!!」

照「ど、どうしたの菫!?」ダッ!

菫「どうもこうも無い!これを見てくれ!」

淡「ペプシNEXメンマ味」クルクル

照「え…なにこれ…新しい練習…?」

誠子「実はかくかくしかじかで…」

尭深「まるまるやまやまなんです…」

照「もう私は淡がわからないよ…」ガクッ…

菫「安心しろ、私達も内心プチパニックだよ…」

淡「先輩、来年の干支がゴリラ年になりました」ピョンピョン

照「なんだこれ…なんだこれは…」カタカタ…

菫「とにかく淡、軽く状況を整理しよう…お前何年何組だ?」

淡「サプライズコマンドー」ボケー

菫「お前は何部に所属している?」

淡「幹部」ボケー

菫「今日は何月何日何曜日だ?」

淡「100月100日ビックバン曜日」ワキワキ

菫「ガッデム…」プルプル

照「どうしよう菫ぇ…このまま淡はどこに行ってしまうの…?」カタカタ

菫「私に聞くな…そして淡にも聞くな…」

淡「マジカル寿司職人」コスコス

尭深「淡ちゃん…牌返してぇ…」フルフル…

菫「どうするんだ亦野!麻雀を打たせたらもっと訳が分からなくなったぞ!!」

誠子「私のせいですか!?」

尭深「でも頭を打ったら本当に性格が変わっちゃうみたいですね…」

照「それに、今なら頭を殴っても大丈夫そう…」

菫「う…淡とはいえ後輩の頭を殴るのは気が引けるな…」

淡「くるぶし高校のモノマネ」ヘコヘコ

尭深「弘世先輩…早くしないと淡ちゃんが…」

菫「えぇいままよ!淡ぃぃぃぃ!!」バチコーン!

淡「ベンジャミン」ヘコッ

照「ん…?」

淡「ベンジャミン・ベンジャミン」ヘコヘコ

照「菫、まだ足りないみたい!もっと強く!」

菫「くそぉ…淡!早く目を覚ませ!」パーン!パーン!

淡「江戸っ子マリー」コスコス

菫「何でなんともないんだ!!」

誠子「もしかして本当に一生このままなんじゃ…」

照「そんな…このままじゃ一生世間の笑いものに…」

尭深「淡ちゃん…」シクシク

菫「なにか…なにか打開策は無いのか…!?」

淡「テルテル鼻くそ食べる?食べる?」ホジホジ

照「ヒェッ!?」

淡「ぐへへ~鼻くそアターック」グイグイ

照「こなくそー!菫助けてー!!」グイグイ

菫「なんてことだ!?このままでは私の照が汚されてしまう!」

淡「目玉に塗りこむ、目玉に塗りこむ」グイグイ

照「やだこの子怖い事言ってるー!お助け!お助けー!!」ギリギリ

誠子「もうロープで縛っちゃいましょうよ!」

菫「仕方ない!取り押さえろ!」

尭深「淡ちゃん大人しくして…」ムギュ

淡「鼻くそ~」

照「ひゃ~!はやく~!」

菫「なんとか淡を拘束できた…が」

照「怖かった…怖かったよぉ…」

尭深「でも何も解決してませんよね…」

菫「あぁ…その通りだ…」

誠子「大星は一体どうなってしまうんでしょうか…?」

菫「私にも分からん…ただ一つ言えるのは…」

淡「一人コブラツイストぉ!」ギリギリ

菫「もし元に戻っても同じ様に接する事は出来ないかもしれない…ということだ」

照「これから鼻くそ攻撃に震えながら過ごすなんて…」

淡「ふぇっ…ふぇ~…」

照「今度は何か形容し難い鳴き声を…」

菫「今にも新しい何かになりそうだな…」

誠子「やめてくださいよ縁起でもない…」

淡「ふぇっ…くしゅん!!」

尭深「あ…くしゃみ?」

淡「ふぇ~……あれ?なんで私ぐるぐる巻きにされてるの?」

菫「!?」

照「あ、淡!?」

淡「あれぇ~?皆してなんで私の事囲んでるの?」

菫「元に…戻ったのか…?」

淡「よくわかんないけど、とにかくこれ解いて~!」ジタバタ!

照「も、もう少し様子を見てみよっか…」

菫「淡…今日は何月何日だ?」

淡「え~っと…昨日が12日だから…6月13日?」

誠子「大星淡は高校何年生だ…?」

淡「実力的には100年生!」

尭深「今日有った事…何か覚えてる?」

淡「う~ん…それがくしゃみが出そうで出なくって…ムズムズしてたのは覚えてるんだけど…」

菫「なるほど…くしゃみか…」

照「どういう事?」

菫「つまり淡はくしゃみが出そうで出ないまま日常を過ごしていた…」

菫「だがその気の緩みが仇となり、くしゃみを発射する予備動作で後頭部を強打」

菫「その時に人格が入れ替わってしまい、そのトリガーとして唯一記憶の片隅に有ったくしゃみが選ばれてしまったんだよ!!」

「「「な、なんだってぇー!?」」」

淡「う~ん…よくわかんないけど頭が痛いのは確かだよ…」

淡「まるで何回も叩かれたみたいにジンジンするもん…」サスサス

菫「そ、それは気の毒だな…ハハハ」

照「まぁ菫にあれだけ叩かれればそうなるよね…」

淡「えっ?」

菫「バッ…カな事言うなよ照~!!私がそんな事する訳無いだろう!?」

尭深「そ、そうですよ!弘世先輩に限ってそんな事…」

照「え?だってあんなに何回もポカポカ…」

誠子「わぁ~!わぁ~!」

淡「…ふ~ん。まぁ良いけど…」

淡「それにしてもくしゃみして性格が変わるなんて漫画みたいで面白そう!」

菫「おいおい…私達がどれだけ苦労して元に戻したと…」

誠子「まぁ実際は自然と元に戻った訳なんですけどね…」

淡「じゃあ私がくしゃみして性格が変わったらビデオとか撮っておいてよ!面白そう!」

照「でも元に戻ったんだし、また変わる事とか有るのかな?」

淡「じゃあ試してみようよー!こうやってこよりを鼻に…」コチョコチョ

誠子「お、おい!冗談でもやめろよ!」

淡「…っくしゅん!」

尭深「ヒッ…!」

菫「あ、淡…?」ビクビク…


淡「…何やってるんですか皆さん?練習はまだ済んでない筈なんですが?」

菫「オウン!?」

誠子「そんなビックリ人間みたいな事が…」

照「じゃ、じゃあもう一回くしゃみしたら…」カタカタ…

尭深「試して…みましょうか…?」

淡「なんですか?皆さんコソコソと…それより私の眼鏡知りませんか…?」

菫「よし!今だ照!」ガシッ!

淡「ちょっ…!何するんですか弘世先輩!こんな事してただで済むと思ってるんですか!?」ジタバタ!

照「大人しくして…大人しく…」コショコショ

淡「ふわっ…あなた達…法廷で…ほっ…ふぇっくしゅん!」

誠子「どうだ!?」

淡「あで?はだびずだ~」ビローン

照「ヒャア!?」

淡「テルテル~鼻水拭いて~髪で」デロデロ

照「うん…紙で…髪…?」

淡「テルテルの髪を鼻水で練って鳥の巣にする~」ゲヘヘヘ

照「なんでこの子は私の事を目の敵にするの!?怖いよ!!」ビクビク…

菫「なにか淡の真相心理に影響してるのかもしれんな…」

照「冷静に考察してないで早くくしゃみさせて!汚されるー!」グイグイ

淡「ぐへぇぐへぇー鼻水をテルテルの鼻に輸出してあげるー」デローン

照「ひゃー!鎖国する!テルテル国は鎖国してるから!!」

菫「むっ!閃いた!」

照「ダレカー!タスケテー!」ジタバタ

そして…


菫「来たな、決勝…」

照「うん…思えば長い道のりだった…」

誠子「でもよく考えましたね、淡ローテーション」

菫「あぁ、多少鬱陶しいが『淡さん』の戦略論は我々の力になるからな。その力を使わない手はないだろう」

尭深「でもその後に出てくる『アホ星アホい』ちゃんは大変でしたね…」

照「何度私の純潔が奪われそうになったか…」

誠子「変な言い方しないで下さいよ…ただの鼻くそ鼻水攻防戦じゃないですか…」

菫「まぁ淡さんのお陰で私達に隙は無くなり、決勝まで収支がマイナスの者は一人も居ないわけだからな。本当に感謝してるよ」

淡「いえ、私はただアドバイスをしたに過ぎません。皆さんの努力が今実っただけの事ですよ」クイッ

照「さぁ…昔話は優勝してからにしよう。行ってくる」

菫「あぁ…頑張ろう!」

恒子「さぁー!インターハイもついに最終日!ここまで圧倒的な得点力で勝ち進んでいます王者白糸台!」

恒子「そして逆のブロックでも引けを取らない大躍進!臨海高校!奇しくも決勝戦で同じ東京地区の高校が勝ち上がってきています!」

健夜「ですが、今大会初出場の清澄高校もギリギリの展開でしたが決勝まで勝ち上がってきた実力は確かだと思います」

恒子「ではもう一校の新道寺は如何でしょう?グランドマスターの小鍛冶プロ!」

健夜「何で今のタイミングで持ち上げたの!?…やはり新道寺の注目選手は副将の白水選手と大将の鶴田選手ですね…」

健夜「ここまでの和了点のほとんどをこの2人で稼いでいる事になっていますので、決勝でも期待したいですね」

恒子「さぁ!さぁ!さぁ!今日ここで!日本で1番麻雀の強い高校が決まるぅ!!」ダンッ!

恒子「既に卓には各高校が集まり!火花を散らしています!!」

恒子「全国が注目しているインターハイ決勝!まもなくスタートです!!」

先鋒から順調に点数を積み重ねた白糸台は清澄、臨海との僅差ではあるが首位で大将戦を迎える


菫「さぁ、後は頼んだぞ…淡」

淡「任せて~!しっかり突き放して帰ってくるから!」

照「淡…咲には注意して…」

淡「あぁ…確かテルーの…?」

照「…今日の咲は少し厄介かもしれないから」

淡「まぁ一応テルーがそこまで言うんだから警戒してあげるけど…」

淡「あんまりガッカリさせないでほしいな…」クスッ

淡「それじゃあ行って来るね~♪」

ガチャッ

恒子「泣いても笑っても残すところ二半荘!!これで最強の高校が決まってしまいます!」

恒子「まずは常勝王者!白糸台の超新星!大星淡!」

恒子「そして北部九州最強の高校で二年生ながら驚異的な得点力を持っています!新道寺女子、鶴田姫子!」

恒子「今年も様々な選手で固められながら、未だ実力の全てを見せていないのか!?臨海女子、ネリー・ヴィルサラーゼ!」

恒子「そしてそして!初出場ながらも圧倒的な存在感を放っております!清澄高校!宮永咲!」

恒子「なんと今回の大将戦に三年生は一人も居ません!」

健夜「そうですね…しかし大将を任されているという事はそれだけの実力が備わっているとも取れますので、各校の選手は安心して送り出してきたのではないでしょうか…」

恒子「さぁ全選手着席しました!インターハイ決勝大将戦!スタートです!!」

尭深「…大丈夫でしょうか?淡ちゃん」

菫「あぁ…万が一対局中にくしゃみをしても良い様にデフォルトの淡に調整したが…」

照「一回くしゃみしてもインターバルでもう1周させれば大丈夫な筈…」

誠子「でももし自力で淡が負けているとしたら…」

照「大丈夫…いくら咲でも淡とそこまで実力差が有るとは思えないから…」

菫「なんにせよ後は淡に任せるしかないんだ。私達も応援しよう…」

誠子「そう…ですね」

尭深「はい…」

照(咲…もしこの戦いで淡が負けるような事が有れば…その時は…)

淡「へぇ~…あんたがテルーの妹?」

咲「・・・・・」ゴッ

淡「ふ~ん…なんかやる気満々って感じじゃん?まぁ…どうせ私が勝っちゃうんだけどさ」ゴッ

ネリー「これで勝てばスポンサーからお金が沢山貰えるんだよ…だから黙ってやられてよ」ゴッ

姫子「ここで勝たんとぶちょーに次は無か…負ける訳にはいかんのよ…!!」ゴッ

咲(これが終わればお姉ちゃんと…だから…)

咲「全部…倒す…!」ゴゴッ!

菫「頑張れよ…淡…!」

誠子「いやぁ…流石に緊張しますね…」

尭深「」プルプル…

照「大丈夫…淡を信じて…」

淡「…っくしゅん!…へっくしゅん!!」

菫「……はぁ?」

淡「んあ?」ボケー

菫「おい、今2回くしゃみしたよな?」

照「うん…」

菫「ダメじゃないか。2回くしゃみしたら」

淡「キャラメルを食べる」パクッ

咲「!?」ビクッ

菫「牌を食べたらダメじゃないか!?ダメだよな!?」

誠子「う~ん…」バタッ

淡「新道寺のレズに牌をぶつける仕事に就職しました」ヒュン!ヒュン!

姫子「い、いたっ!いたたた!」ビシビシ!

菫「牌を投げたらダメだろうが!!私がおかしいのか!?なぁ照!?」

照「」ムシャムシャ

菫「おい!なにケーキ食ってんだ!現実逃避するな!」

淡「あっ、準決勝で勝った後あまりの喜びでオーガズムしてしまった臨海の大将」

ネリー「は、はぁ?///」

淡「絶好のイキ顔でしたね。どうですか?鼻くそ食べますか?」ホジホジ

ネリー「ヒィ!?」

咲「あ、あの!!」

淡「え?なに?」

咲「ふ、ふざけてるんですか!」

淡「はい、ふざけています」

咲「なっ…」

淡「ふざけているので宮永咲ちゃんのスカートもめくってしまいます」ピラッ

咲「き、きゃああああああああああ!!///」

菫「夏が…終わった…」

数時間後

淡「ふぇ~…私またくしゃみしちゃったんだ…」ジュルッ

菫「やぁ淡。お疲れ様」

淡「あれ?控え室って事は…試合終わっちゃったの!?」

照「うん…終わった…終わったよ」

淡「ど、どうだったの…?」ゴクリ…

菫「まぁそう焦るな。映像はしっかり撮ってあるから見てみるんだな」ピッ

淡「・・・・・」ドキドキ


アホ星『キャラメルを食べる』パクッ

淡「……はぁ?」


アホ星『新道寺のレズに牌をぶつける仕事に就職しました』ヒュン!ヒュン!

淡「何やってんのこれ…何やってんの!?」

アホ星『ふざけているので宮永咲ちゃんのスカートもめくってしまいます』ピラッ

淡「ねぇ、これどうなるの…?この後どうなるの…?」

恒子『えぇ…審判団からの説明が有りまして…白糸台高校の悪質な行動により決勝戦は棄権扱いとするとの事です!』

淡「……」(白目)

思えば私達の考えが甘かったのかもしれない…

淡の性格が変わった事で確かに私達の自力は上がった

あの後私達は、何故彼女を元に戻す努力をしなかったのか?

もし優勝できても、大星淡と一緒でなければ意味は無いというのに…

あの事件は、目の前の優勝に目が眩んだ私達への罰だったのかもしれない…

そして白糸台高校では代々語り継がれるであろう

インターハイに…魔物は居た…と


淡「もしかして皆…控え室で私の話とか…した?」

照「うん…」

淡「噂話したらくしゃみが二回出るって聞いた事有るでしょ!バカバカバカ!」

菫「この映像よりバカな事なんて世界中探しても有るもんか…」トオイメ

淡「…神は死んだ」トオイメ


カン!

リオ五輪の関係で放送時間がずれる可能性が有りますが熱闘甲子園は今日も放送予定です

お疲れ様でした

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