◆Fate/Grand Order - 今は亡き家族へのセンコを求めて - ◆ (28)


ピポポポ・・・・ピボッ。

「これを、こうして・・・よし、来い!」

召喚サークルへと、煌びやかな虹色に光る石を三個投入する男が一人。

背後には眼鏡を掛け、前髪で片目を隠した女が彼を言葉掛けずして応援する様に見守る。

人理継続保障機関・カルデア・・・の一員にして、最後の希望。

彼らは俗に「サーヴァント」と呼ばれる存在を使役し、狂った人類史を正す為に戦う。

其の戦いも愈々大詰め・・・しかし、キャメロットの人理を正した彼らには暫しの休息と言う措置が取られている。

何をするでもなく、気紛れに召喚システム「フェイト」を使い新たなサーヴァントを呼び寄せようとしている所である。

召喚サークルは回り、光り、そして弾ける様に何者かを呼び寄せた。


__________________ それは、赤黒の装束に身を包んだ、悪鬼の如き鋭い眼光を放つ、ニンジャだった。




      「ドーモ、初めまして・・・ニンジャスレイヤーです。」



其のニンジャは眼前に尻餅をつき、驚愕の表情を浮かべる男へとアイサツをした。





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※はじめに

>>1はSS初心者。書き溜めなしの思いついたら書き込むと言うgdgd方式。

Fgoについてはネロ祭以前からキャメロット後迄。ニンジャスレイヤーはアニメのみの知識となります。

なお、Fateの知識はFgo以外皆無です。予め、上記を了承の後ゆっくりと御楽しみ下さい。

時間軸はキャメロットクリア後なのでネタバレありです。

「何故ニンジャスレイヤーが英霊として召喚されてんの?」と言った質問は御都合主義、と言う理由で納得して頂けると幸いです。

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「・・・所で、此処は何処だ。そして、オヌシは何者だ。インタビューさせて貰おうか」

不可思議なジツを使い、自らを呼び寄せたのではと考察したニンジャスレイヤーは眼前に居る男の襟首を持ち上げ、立たせる。

男はニンジャスレイヤーの目を見て震え、今にも失禁寸前!・・・その時である!

「はっ!」

何時の間にやら、大きな身の丈程もある盾で武装した女____先程、男の背後に居た彼女である。

姿も変わっており、掛けて居た眼鏡も無い。

彼女の名はマシュ・キリエライト。マスターである彼の後輩であり、サーヴァントでもある。

「イヤーッ!」

ニンジャスレイヤーは男を突き飛ばす様に離した後、後ろへとバック転をし回避!

「・・・此奴はオヌシの主か。其れでは先ずオヌシを惨たらしく殺し、其の後此奴にインタビューを再開しよう」

彼女らを敵だと思い込むニンジャスレイヤーはカラテを構え警戒する。

「ちょ、待った待った!俺は敵じゃ無くて___えっと、ニンジャスレイヤー?君はサーヴァント、何だよね?」

突き飛ばされ床に転がった彼は顔を上げ、赤黒のニンジャを見上げる。

「サーヴァント・・・?何を奇妙な事を」

訝し気に首を傾げるニンジャスレイヤーに倣い、男と其の後輩も首を傾げる。

「・・・取り敢えず、俺達は敵じゃあ無い。今から説明するから、ね・・・?」

男は懇願する様な思いで述べる。するとニンジャスレイヤーはカラテ警戒を解き、腕を組んだ。

「さぁ、話せ」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆

場所は変わり、レイシフトする際に集合する何時もの所。

ロマニ・アーキマン。通称「ロマン」と呼ばれる医師。

ダ・ヴィンチ。自らを「ちゃん」付けで呼称する麗姿の美女。

此の二人も交え、彼について・・・そして此処が如何なる機関であるかを説明する。

「いやぁ、しかし又凄い人を連れて来たね。ぐだ男くん。最初見た時は吃驚したよ・・・」

敵でないと知り、安堵の息を漏らすロマンを横目にダ・ヴィンチが尋ねる。

「そう言えば、君のクラスは何なんだい?」

其れは、全員が気になる所であった。

「知らん」

然し彼は首を横に振った。仕方無くマスターである、ロマンに「ぐだ男」と呼ばれた男がニンジャスレイヤーのマテリアルを確認した。

クラスはアヴェンジャー・・・復讐者の名を冠するものであった。


其れを赤黒のニンジャへと説明すると、彼はこう述べた。

「私は、全てのニンジャを殺すべく生まれた復讐者だ。故に、其のアヴェンジャーなる称号を得たのだろう」

成る程、と周りの四人も頷く。然し未だ、何故ニンジャを殺すのか。其の理由が知らされて居ない。

「じゃあ・・・何で、ニンジャを殺すんだい?」

マスターは尋ねた。

「・・・其れは、私がニンジャスレイヤーだからだ。忘れもしない、クリスマスの夜・・・マルノウチ・スゴイタカイビル・・・妻子を失ったあの夜、私はニンジャを殺すと」

ニンジャスレイヤーは其処で息を飲み、自らの拳を硬く握り締め憎悪を隠さず、告げた。

「全てのニンジャを、あらゆる不条理を殺すと誓った。ただの人間を虫けらの如く踏み躙る奴等を、私は絶対許さない」

メンポ(面頬、マスクの事)の中、彼はあの日の抗争を思い出し、歯噛みした。

「・・・取り敢えず、会ったばかりで何だけど、君の事を知る為に・・・一から話してくれないかな?」

暫しの沈黙を、ロマンの声が破った。

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自身の経歴、覚えて居る限りの事。ニンジャスレイヤーは全て余す事無く告げた。

其れに対し、マスター達も今、此の世界に置かれる状況等を一から説明した。

冬木での事から、時折カルデアを巻き込む騒動。キャメロットでの出来事・・・そして、魔術王なる者の存在を。

「・・・成程。では、私以外にもこうして呼ばれた者は居ると言うのだな」

其の問いかけに頷きで答えるマスター。

「何なら会う?沢山居るから紹介には時間が掛かるけども」

苦笑を浮かべ乍、彼は首を傾げた。

「いや、いい。此処に世話になる間、嫌でも会うだろう。ただ、新入りが入った事だけは伝えて置いてくれると助かるが」

ニンジャスレイヤーは目を伏せ、一々人を集める事では無いと提言した。


一方、ロマンとダ・ヴィンチの二人はひそひそと内緒話をするかの様に笑っている。

「マルノウチ・・・ふふっ」「スゴイタカイ・・・何てネーミングセンスだ。彼の時代も気になって来たよ」

怪訝な視線を送るニンジャスレイヤー、マスター、マシュの三人は彼らを放って置き、新入りを部屋へと案内すべく其処を後にした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「随分と広い施設なのだな」

真っ白な廊下には些かミスマッチな赤黒の装束。田舎から都会へやって来た者の様に視線を忙しなく動かすが、隙は一切無い。

「そりゃあ、数多のサーヴァントが居るからね。流石にまとめて詰め込む訳にも・・・ま、いなくなっちゃった俺以外の魔術師の部屋でもあったんだけどね」

彼を先導する様に、マスターとマシュが前を歩く。

「おや、此れは此れは。奇遇ですな、マスター・・・おや、其方の御人は?」

「イヤーッ!!」

擦れ違い様、髑髏のメンポを被った様な細身の人物へニンジャスレイヤーはトビゲリを見舞う!

「ヌゥッ!?何をするか!」

何とか腕をクロスし蹴りの威力を軽減しつつ、衝撃を逃がす様に後ろへと下がる髑髏の彼。

「ドーモ・・・ニンジャスレイヤーです・・・!」

赤黒のニンジャのメンポからは蒸気が噴出し、眼が獲物を狙う猛獣の如く光り、其の儘オジギをした。

「・・・私の名はハサン。突然襲い掛かるとは何たる無礼か!如何にマスターの顔見知りであろうと、瞬きの間に殺してみせよう!」

「黙れ、ニンジャめ!戯言を吐く暇があれば、オヌシの仲間の居場所を吐け!ニンジャ!殺すべし!」

一触即発の雰囲気の中、マスターが間に割って入る。

「ちょ、ちょーっと待ったーっ!いきなり何してんの!ねぇ!?吃驚して動けなかったよ!?」

「身を御引き下され。マスター!こやつは私に突然_____」

「それには理由があって!えぇと、取り敢えずニンジャスレイヤーさん!ハサン先生はニンジャじゃないよ!」

激昂するハサンを宥め乍、ニンジャスレイヤーへと説明をする。此の人はサーヴァントの一人であると。

ニンジャスレイヤーは理解した後、カラテを解きドゲザをした。

マスターの説明もあってか、ハサンは仕方なしと寛容な態度を見せる。

そしてその後、ハサンと別れた彼らは又 彼の部屋案内を再開した。

「全く、此のカルデア内にはニンジャなんて居ないから安心してよ」

「すまない。少し、未だ慣れて居ない様だ・・・」

実に申し訳無さげにしながら脚を進める。然し、ふとぴたりとマスターが止まった事により彼も止まった。

如何したのか、と尋ねようとする瞬間、マスターは「訂正するよ」と向き直り、告げた。

「ニンジャっぽい人なら・・・うん、居るけど・・・ていうかニンジャなんだけど・・・多分、ニンジャスレイヤーさんの言う悪いニンジャじゃないから、スレイしちゃ駄目だよ?」

知らせておいて損は無い。寧ろ知らないと先程の様にアンブッシュを仕掛けて仕舞うかもしれない・・・そう考えたマスターは、其れに該当する人物の風貌等を説明交え乍止めた脚を動かし始めた。


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◆続きは後日な◆


※書き込みはsageを入れて下さると有難く思います。

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自動扉が開き、真っ新で必要最低限の家具のみしか無いが過ごし難いとも思わない程度の広さである個室。

ニンジャスレイヤーを割り当てられた部屋へと案内したマスターとマシュは、一先ず彼を部屋に置いてドクターらの居る場所へと戻った。

「やぁ、ぐだ男くん。あれからちょっとシバで彼の居た時代を、彼の持つ魔力・・・とは言い難い【何か】を辿って調べてみたんだけど・・・」

悩まし気に首を捻るロマンとダ・ヴィンチ。マスターが如何したのかと問い掛ける。

「心して聞いてくれたまえ。彼の居た時代は、2016年以降・・・つまり、人理焼却後の世界だ。シバが観測出来る筈の無い、未来だ」

ロマンの言葉を引き継ぐ様に、其の隣に居る彼女が口を開く。あのニンジャは、自分らよりも後の時代から来たのだと。

「其れは_______」

マスターは目を見開き、言葉を失う。ソロモンと言う魔術王の手により、無くなった筈の未来が存在すると知らされたからだ。

「しかも、其の時代へのレイシフトも可能だ。多分、聖杯があるとも思えない・・・放っておいても害は無いだろう」

「でも!」

過去のみしか観測出来なかったシバが、未来を観測した。初めての”未来へのレイシフト”。

マスターは予感した。きっと、何か理由があるのだと。彼がカルデアに来た事も。

「・・・実はね、彼の居た以外の未来は、観測出来ないままなんだ。もしかしたら、魔術王の罠かもしれない。未来は何も無くて、其の儘戻れなくなるかもしれない」

ただの憶測だけれど。と付け足すロマンは、確りと決意をした表情を浮かべるマスターと其の後輩へと目を向ける。

次なる特異点も解明し、其れに備え休む今、無茶をする必要は無い・・・言葉にはしないが、ロマンはそう思考した。

だが、目の前に居る二人の決意は揺るがないだろう。そういう人だからだ。

「___________わかった」


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