クリリン「絶望への反抗」(31)

エイジ764


悟空は心臓病でこの世を去った…


地球を救い、宇宙の帝王を倒した英雄の最期はとてもあっけないものだった……




エイジ766



人造人間が目覚める


ドクターゲロが殺された事により、人造人間が野放しになってしまう


戦士達は先立って逝った悟空に代わり、地球を守るべく人造人間に戦いを挑んだ…



だが……


ヤムチャ「…」

餃子「…」

天津飯「…」



クリリン「… …う、うぅ……」ピクッ


目を覚ましたクリリンの前には、ヤムチャ、餃子、天津飯の亡骸が転がっていた…


クリリン「そ…そんな… みんな…」

クリリン「お、俺…俺だけが生き残っちまったのか……?」



チュドオオオオオオオォォォッッッン!!!!!!

クリリン「!」

離れた所で激しい爆音と土煙が舞う


クリリン「こ、この気は…」

ベジータ「はあっ…はぁっ……」

悟飯「あ…あぁ…」

ピッコロ「く…!」



「やれやれ、サイヤ人ってのはこの程度なのか?」


「つまらない奴らだね…」


土煙から人造人間17号、18号が姿を現す


ベジータ(バ、バケモノめ…!こいつらはフリーザ…いや、超サイヤ人と化したカカロットよりも上だと言うのか…!!)

悟飯「そ、そんな…僕たちの全力の攻撃が…」

ピッコロ(まずいぞ…このままでは俺達は全滅してしまう…)

17号「お前たちは地球を救ったヒーローだと聞いていたんだけどな…」

18号「17号、これ以上ほこりだらけになるのはゴメンだよ。さっさとケリをつけちゃおうよ」

17号「…ふっ。そうだな」


ベジータ「!」

悟飯「うぅ…!」

ピッコロ(……もはや、これしか…)

ピッコロ「悟飯、ベジータ」

悟飯「…え?」

ベジータ「!?」

ピッコロ「逃げろ、俺が時間を稼ぐ」

ベジータ「な、なんだと!?」

悟飯「ピ、ピッコロさん…!?」

ピッコロ「奴らの力はとてつもない…ドラゴンボールですらどうにも出来ない正真正銘の化け物どもだ…」

ピッコロ「奴らを倒せる可能性が最も高いのは、お前たちサイヤ人だけだ」

ベジータ「! サイヤ人の王子である俺に尻尾を巻いて逃げろというのか!」

ピッコロ「この状況でそんなプライドなどなんの役にも立たん。お前たちは孫のように、超サイヤ人に目覚める可能性がある…!」

悟飯「ぼ、ぼくが…?」

ベジータ「…!」

ピッコロ「今よりも更に力をつけ、超サイヤ人へと覚醒さえすれば、奴らを必ず倒せるはずだ…!」



17号「ん?何をコソコソ喋っているんだ?」

18号「私たちにも聞かせておくれよ」


ピッコロ「! 来るぞ、早く行け!!!!」

悟飯「で、でも…!」

ベジータ「……ッ!クソッ!!!!」ドギャウッッ



悟飯「ベ、ベジータさん!?」


17号「逃げたか」

18号「追う?」

ピッコロ「悟飯!早く行け!!!貴様はここで死ぬことは許さん!!!!」

悟飯「…!!!」

ピッコロ「……頼むぞ、悟飯。孫のように強くなってくれ…」ボソッ

悟空「…ピッコロさん…    …!」ドギャウッッ


18号「また逃げたよ。どうすんの?」

17号「そうだな…」


ピッコロ「はああああああぁぁぁ……!!!!」


ゴゴゴゴゴゴゴ…

17号「なにっ…?」

18号「巨大化した…?」

ピッコロ「ここは通さんぞ、人造人間ども…!!」

17号「ははは、面白いな」

18号「ふふ、遊んであげるよ」

ゴゴゴゴゴ…


クリリン「あ…あのでかいのは……ピ、ピッコロか…!?」


ゴウッッッ

クリリンの上空をベジータが物凄い勢いで通って行く


クリリン「うわっ!…い、今のはベジータ…?」

悟飯「クリリンさーん!」

クリリン「! ご、悟飯…?」

悟飯「良かった、無事だったんですね!!」

クリリン「ど、どうなったんだ…?何を…」

悟飯「説明している時間はありません!早く逃げましょう!!」

クリリン「に、逃げるだって…?まだピッコロが…!」

悟飯「はやく!!」

クリリン「! 悟飯…?」

涙を浮かべながら叫ぶ悟飯を見て、クリリンはすぐに察した

二人はベジータの後を追い、この場から離れるのだった…





ピッコロの捨て身の行動により、ベジータ、悟飯、クリリンは生き延びる事が出来た…

しかし、ピッコロはその後人造人間に敗北し死亡

神様も同時に消滅してしまい、ドラゴンボールも消滅してしまう

もはや、誰も生き返る事が出来なくなってしまった…




ピッコロが死亡してから数年後…


ベジータが遂に超サイヤ人へと覚醒する

ラジオ『ガガ… ピー… 人造人間の目撃情報が入りました… 場所はパインシティ… 近くにお住みの方は…』


ベジータ「出やがったか、人造人間…!今度こそ粉々にしてやるぜ…!!」

ブルマ「ちょ、ちょっと!ベジータ!!」

悟飯「ベジータさん、待って下さい!一人じゃ無理です!!」

クリリン「そうだぜ!いくら超サイヤ人になったからって、確実に勝てるとは限らないんだ!」

ベジータ「…」

ブルマ「相手は二人がかりなのよ!悟飯君が超サイヤ人になるまで待とうって決めたじゃないの!」

ベジータ「そう決めてから何年経ったと思っている!これ以上、この甘ったれを待つ事も人造人間どもを野放しにしている事も出来ん!!」

ベジータ「今の俺はカカロットより数倍強くなった!奴らなどこの俺一人で十分だ!足手まといはいらん!!」

悟飯「…!」

ブルマ「ベジータ!なんてこと言うのよ!!悟飯君だって頑張ってるのに…!!」

ベジータ「悔しいか?悟飯、ならば怒って見せろ!!お前の全力で俺を止めて見せろ!!!」

悟飯「く……!」

ベジータ「…」

悟飯「…っ」

クリリン「ご、悟飯…」

ベジータ「フン、やはり貴様は甘ったれのクズだ。貴様たちなどと誰が組んで戦うものか」

ベジータ「俺は行く。邪魔をするのなら人造人間にやられる前に俺が殺してやる」

ザッ

ブルマ「ダメ!行かないで、ベジータ!」

トランクス「おぎゃあ、おぎゃあ」

ベジータ「…」

ベジータ「……心配はいらん」ボソッ

ブルマ「え…?」

ベジータ「はあっ!!」

ドギャウッッ

ゴォォォォ…


ブルマに一言呟くと、ベジータは走りだし、人造人間への元へと飛んで行った


ブルマ「ベジータ…」

悟飯「…く、…くそっ!僕は……!!」

クリリン「悟飯…」

……


人造人間の襲撃があった街は、ラジオが放送されてからわずか5分で廃墟と化していた


17号「ちぇっ、今日は人間が少なかったな」

18号「ラジオだよ。最近、私たちの動きを監視して流してるのさ」

17号「なるほどな。まぁ、じっくりと探してやるさ…大事なおもちゃ達だからな」


ゴオオオオオォォ…

17号「ん?」

18号「なにか、来るよ」

17号「あれは…」

シュタッ

ベジータ「会いたかったぜ、人形ども…」

18号「お前は…」

17号「ベジータか…懐かしいな」

ベジータ「悪いが、俺は懐かしい知り合いとお喋りをしに来たわけじゃない」

17号「へぇ…」

ベジータ「貴様らを粉々のスクラップにしに来てやったんだ!!はあああああぁぁっ!!!!」

ボウッ!!!

18号「!」



気を解放し、ベジータは超サイヤ人に変身する

シュイン… シュイン…


17号「これは…まさか、超サイヤ人って奴か?」

18号「ジジイが言ってた、あの…?」

ベジータ「覚悟はいいな…人形ども!!!」

17号「面白い。少しは本気でやれそうだ。18号、手は出すなよ」

18号「なんだよ、おいしい所は独り占め?」

17号「そう言うなよ、男の血が騒ぐって奴さ」

ベジータ「舐めやがって…たった一人でこのスーパーベジータに勝てると思うのか?」

ベジータ「後悔する間もなく、破壊してやるぜ!!!」

17号「そう怖い顔するなよ!楽しくいこうぜ!!」

ベジータ「はああああぁっ!!!!!」

超サイヤ人と化したベジータは、確実に悟空を超えた戦闘力を手にしていた…


数年前では全く歯が立たなかった人造人間と互角の戦いを繰り広げられているのだ


ガガッ  ビシッ  ドゴオォッ


18号「…」


18号「強いね…確かに……」

18号「…でも、それでも……」


バシッ  ドガッ

17号「がっ…!」

ベジータ(俺が押している…!勝てる…  この戦い勝てる…!!!)

17号が怯んだ隙をベジータは見逃さない


ベジータ「(ここだ!!)ギャリック…!!!!」


渾身のギャリック砲を17号に放とうとするベジータ


しかし…


18号「本気を出した17号には到底敵わないよ」



ベジータ「砲ーーーーーーーっ!!!!!!!」

17号「くっ!!」

ズドオオオオオオオオオウゥゥッ!!!!


0距離からのギャリック砲

いかに人造人間が強くとも、超サイヤ人となったベジータが放った渾身の一撃

無事で済む筈がない…


ベジータ「はぁ、はぁ…やったか…」


ベジータは既に大量の気を消費していた

元よりベジータは人造人間を二人同時に片付けようとは考えていなかった

人造人間が脅威なのは戦闘力もそうだが、最も厄介なのが17号、18号の連携攻撃である

歴戦の戦士のベジータから見れば二人の戦闘技術は素人そのもの

ベジータクラスの戦士なら付け入る隙は十分にあった

超サイヤ人にさえ覚醒してしまえば、1対1の状況に持ち込めば間違いなく勝てる

最悪、自分が死んでもどちらか片方さえ道連れに出来れば、人造人間の危険度は大きく下がる

後は残った者に任せようと考えていたのだった。

己が唯一認めた男の息子、その息子を鍛える師、そして必ず自分と同じ強い戦士に育ってくれると信じた息子に…



だが、そんな希望は脆くも崩れ去った


17号「やるじゃないか、ベジータ。相当鍛えたんだな」

ベジータ「な…なにっ!?」


爆煙の中からバリアーを張った17号が姿を現す


17号「こいつはとっておきの切り札でね…。まさかお前なんかに使うとは思わなかったよ」

ベジータ「…!」

17号「そらっ!18号!!」シャッ


バギッ!!

ベジータ「ぐあっ!?」

ドゴオォンッッ!!!


呆然とするベジータの背後に一瞬で回り、地面に叩き落とす

ベジータ「が…がはっ……」


18号「なんだよ、もう飽きたってのかい?」

17号「パスだよ、パス!サッカーだ!ガキの頃やっただろ?」

18号「…ふん、そんなの覚えてないよ!!!」


ドゴオッ!!

ベジータ「ぐふっ…!」


足元に落ちてきたベジータを再び17号の元へ蹴り飛ばす

ドガッ  ボグッ   ドゴオッ



気を殆ど使い果たしたベジータに反撃する力は残されていない


何度か17号と18号の間を往復し


17号「シュート!!!」


バギッ!!


ドガアアァンッッ!!!


ガラガラガラ…



廃墟の壁へと叩きつけられた

17号「へへ、どうだ。18号?」

18号「はいはい、ナイスシュート…」


ベジータ「……ぐ…」ピク…


18号「! へぇ、まだ生きてるよ…こいつ」

17号「タフな奴だ……さすがはサイヤ人だな」

18号「もう飽きたし、殺しちゃうよ?」

17号「いや、待て。生かした方が面白そうじゃないか?」

18号「はぁ?」

17号「こいつを遊び道具にしたらしばらく退屈せずに済みそうじゃないか」


ベジータ「…」


ベジータ「……俺…は…死なん…」ボソッ

ベジータ「この…肉体が滅びようとも……」ググッ…

ベジータ「俺の意思を継ぐ者が…!必ず立ち上がり… そして……!」


ベジータ「貴様達、人造人間をぶっ潰す!!!!!!」


17号・18号「!?」


ベジータ「かああぁっ!!!!!!」

ギャウッッッ

最後の一撃の為に残していた気を一気に解放したベジータ

超サイヤ人への変身、17号・18号への接近 そして……


ズバッッッッ!!!!!


18号「!?」

17号「ッ!!!ぐああああっ!!」


17号の片腕の切断を一瞬で行なった

18号「じゅ、17号!?」

17号「あああっ…う、腕が…!!!」

ベジータ「…くそったれ……首を………」


18号「うあああああーっ!!!」

ドウッ!!!

ズドオオオオォォンッッ!!!!!


パラパラ…

激昂した18号のエネルギー波により、ベジータは跡形もなく吹き飛ばされた…


18号「17号!17号!!!」

17号「ぐああ…!クソッ!クソッ!!!ベジータ…!!ベジータアァァァァァ!!!!!!」





クリリン「――!!」

悟飯「―――!」

クリリン「…あ……」

ブルマ「…え?ど、どうしたの…?」

悟飯「…ベ、ベジータさんの気が……」

ブルマ「え…?」

トランクス「…うぅぅ… うわあああああぁぁぁん!!!!」

ブルマ「…」

ブルマ「……ベジータ…」


ブルマは力なく、床にへたり込んだ

赤子のトランクスはブルマの悲しみを現したかのようにひたすら泣き続けた…

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