多田李衣菜(17)
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私は音楽が好きだ。
ポップもジャズもEDMもケルトもゲーソンやアニソンだって。
とりわけロックが好きだ。
どこまでも真っすぐ貪欲に思うがままに自分を表現するその音楽に私は惹かれた。
そうなりたいと希った。
だからアイドルをやっている。
私はカッコいいとかイケてるとか思った時や褒め言葉として「ロック」と言うことがある。
智絵里ちゃんには便利な言葉だねと言われた。
否定はしなかった。
実際にそうだし使いやすい言葉だと思う。
英語で言えばvery goodかな、きらりに言わせればマジヤバ~い☆。
みくには言い訳と言われた。
これも正解だ。
ロックを表現し切れない自分から逃げるためにロックと言ってしまう。
私にとってのロックは憧れ、とても高いところにあるものだ。
事務所でも家でもよく音楽を聴いている。
「そのヘッドフォンで何聴いてるの?」とよく言われる。
でもしどろもどろになってまともに答えたことはない。
だって…ほとんどロックは聴いてないのだから。
「憧れは理解から最も遠い感情」って何の漫画だっけ?
ロックを聴いてしまったらそれに憧れてしまう、それを目指してしまう。
他人の褌で私を語りたくない。
私自身を発露するために憧憬を抱きながら憧憬を払拭してる。
ロックとはその人の生き様なのだから。
なつきちにギターを教えてもらった。
みくと喧嘩をした。
凛ちゃんと買い物した
蘭子ちゃんとセッションした。
未央ちゃんとゲーセンで遊んだ。
加蓮ちゃんに弄られた
楓さんに絡み酒された。
拓海さんに睨まれた。
まゆちゃんに壁ドンした。
かな子ちゃん、莉嘉ちゃんとユニットを組んだ。
菜々ちゃんのメイド観に感動した。
美波さんと事務所の掃除をした。
レッスンをした。
宣材写真を撮った。
キャンペーンガールをやった。
レッスンをした。
自分の歌の歌詞を書いた。
グラビアの撮影をした。
サマフェスで*を初お披露目した。
レッスンをした。
――
―――
――――
アーティスト志望で飛び込んだ世界の入り口で適性がないとはっきり告げられた。
代わりにアイドルの道が拓いていた。
私をばっさり切り捨てた人は、私にアイドルの才能があると言った。
チャンスだと思った。
道が閉ざされていても遠回りすれば目的地に辿り着く。
そう信じて歩き始めた。
私の歩く前には常に人がいた。
海にスーツを着たまま入るその人は、道の先を照らしてくれた。
目指す道はまだ遠い。
そんな私の生き様。
ロックが何か体現できず、アイドルとしても中途半端。
それでも精一杯、真っすぐに。
これまでの選択が間違ってるかもしれない。
それでもいい。
本当の自分の気持ちを見逃さず出逢うために、駆け出していく。
そんな私の歌。
https://www.youtube.com/watch?v=J8ucwaObVFE
「Sparkling Girl」(歌:多田李衣菜)
終わり
以上です
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