杏「杏」
ゆかり「ゆかりの」
杏 ゆかり「キューティーラジオ」
「いえーい!」
ゆかり「いえーい」
杏「ちょっと、放送作家さん。前に出過ぎ」
「ああ、そっか。ごめんごなさーい」
ゆかり「法子ちゃん。めっ、ですよ」
杏「さっそく名前でちゃってるよ」
「私の事はともかく、台本だいほん」
杏「あ、そうだね。えっと……」
ゆかり「この番組は、348プロダクションの提供で、お送りします」
「いえーい~」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467648722
杏「はいっ、と言う訳で始まりました、キューティーラジオ!」
ゆかり「いえーい」
「いえーい!」
杏「だから放送作家さん、前に出過ぎ」
「いやー、盛り上げようと思って」
ゆかり「盛り上がってますよ。ほら、有香ちゃんも親指立てていますし」
杏「ディレクターの名前も出ちゃったね」
ゆかり「いけませんでした?」
杏「うーん、いけなくはないとおもうけど……ディレクターさん的には?
……あ、後でカットしてもらうって。カットされるかな?」
「それよりほら、台本の続き」
ゆかり「あ、そうですね。さすが法子ちゃん」
「えっへへー。任せてよ!」
杏「もうあたしは何もいわないよ……」
杏「で……このラジオは、346プロダクションが独自に提供する、インターネットラジオの試験放送番組です!」
ゆかり「です」
「です!」
杏「……えっと、試験放送と言う事で、今回はなんと! 346のアイドル達が、ディレクターや放送作家をつとめています! さあ、それは誰でしょうー! ……って、もうばれてるよね」
「大丈夫、誤魔化せばばれないって」
杏「誤魔化すとなるとオープニング取り直しかな……あ、とりなおさない。じゃあ、もう隠しようがないね」
「ごめんなさい。しゃべりすぎちゃった?」
杏「違うって、君のせいじゃないよ。どちらかと言えば……」
ゆかり「そうですよ。法子ちゃんのせいじゃないです」
杏「そうだねー。名前が出てなければねー」
ゆかり「名前……あっ」
「ゆかりちゃんー」
ゆかり「ごめんなさい。つい……あ、有香ちゃん。はい、ありがとうございます」
杏「えー『気にしないでください! ここまで来たなら押し通すべきです、押忍!』とのことです」
「ほらほら、次、次。フリートークだよ」
ゆかり「とのことですよ、杏さん」
杏「そうだねー、もはや放送作家役の人は裏方に徹する気ゼロだね」
杏「で、『番組がとうとう始まりましたねー』」
ゆかり「私が慣れてないばかりに、皆さまに手間を取らせて」
杏「ゆかりちゃん、台本台本」
ゆかり「まあ、失礼を。えっと……『そうですねー。HA.、ZI、MA、TTAze☆』」
杏「ちょっと待って」
ゆかり「はい?」
杏「有香……じゃなくてディレクターさんー? この台本って……。あ、やっぱり」
ゆかり「どうかしました?」
杏「えーっと……あ、最後のページ? ありがとう」パラパラ
「いえいえー」
杏「なんと! 今回は台本も、私たちアイドルの仲間が手掛けているのでーす!! わー」
ゆかり「あら、最後のページに書かれていることを、今明かしちゃっていいのですか?」
杏「明かしとかないと聞いてる人混乱すると思ってねー」
杏「で、改めてフリートークだけど……、杏、ぶっちゃけちゃっていい?」
ゆかり「はい?」
杏「なんで杏なの? どちらかと言えば杏、このメンツだったらディレクターとかがお勧めだと思うけど?」
杏「ほら、三人は仲がいいんだからさ。ここは三人に喋らせた方が自然じゃない?」
ゆかり「それは、プロデューサーさんが、試験放送だから喋る組み合わせも試験的な感じにして、リスナーさんにインパクトを与えよう、とのことで」
杏「組み合わせ以外でチャレンジしまくってるから、そこまでインパクトないと思うよ?」
杏「えーっと、時間もない事ですし、次のコーナーにまいりましょう」
ゆかり「ゆかり」
杏「杏の」
杏・ゆかり「普通のお便りコーナー!」
ゆかり「このコーナーは、私みたいに普通なお便りを送ってくるコーナーです」
杏「ここを書いたのは卯月ちゃんかな?」
ゆかり「さあ、どうでしょう。読む限りでは分かりませんが」
杏「でも個性ってにじみ出るもんだねー」
ゆかり「さて、第一通目は、ラジオネーム『脳に行く栄養が胸に行ってる奴らは死滅しろ』さんからです」
杏「一通目から飛ばしてるペンネームの人が来たね」
ゆかり「『特に無いわ』」
杏「飛ばすねー。最新鋭ジェット機でも追いつけない勢いだよ」
杏「というか、放送作家さん、なんでこれ選んだの?」
「だって、あたしが時子さんにメール送ってって言ったんだもーん! せっかく送ってくれたんだからさー」
杏「誰が送ったかばれちゃったねー。本人もまさか採用されるとは思ってなかっただろうね」
ゆかり「『脳に行く栄養が胸に行ってる奴らは死滅しろ』さん、ありがとうございます」
杏「綺麗に進めるねゆかりちゃん」
ゆかり「テンポが大事と、プロデューサーに言われましたので」
ゆかり「次の方は、ラジオネーム、『八つ橋をお一つどうぞ』さんからです」
ゆかり「『最近お茶の時のおやつを、今まで入った事のないお店で買うのにはまっています。マイブームは洋菓子などです。皆さんはどんなお菓子が好きですか?』」
杏「いいねえ。このままカオスなメールばかり来るとおもっちゃったからか、一安心だよ」
ゆかり「『私はゲッペイにはまってます』」
杏「好きなお菓子が西洋菓子じゃなくて東洋菓子だけど気にならないレベルだよ」
ゆかり「そうですね。私は最近、ドーナッツに凝っていますね」
「ドーナッツ! やっぱりおやつにはドーナッツだよ!!」
ゆかり「法子ちゃんの選ぶドーナッツが、いつも楽しみなんです」
杏「いいねードーナッツ。杏はねー、もちろん飴もいいけど……ポテチも外せないかなー。これとコーラがそろった上で、ゲームがあればもう無敵だよ!」
ゆかり「はい、『八つ橋をおーつどうぞ』さん、ありがとうございます」
杏「え、杏のトークガンスルー? 酷くない?」
ゆかり「テンポが大事と、プロデューサーに言われましたので」
杏「限度があるよね?」
ゆかり「このコーナーでは、皆さまのメール、どしどしお待ちしちておりまーす」
杏「えっと……普通のお便りコーナーでしたー……?」
ゆかり「続いてのコーナーは、こちら」
杏「導かれよ」
ゆかり「迷える子羊達よ」
杏・ゆかり「346懺悔室~」
杏「このコーナーは、日々の小さな後悔を告白し、私達が許しを与えるコーナーでーす」
「いえーい!」
ゆかり「いえーい」
杏「だいぶ真面目な感じだね。クラリスさんかな、ここは?」
ゆかり「もしかしたら、友紀さんかもしれませんよ」
杏「ええぇ? ありえないと思うけど……なんで友紀さん?」
ゆかり「この前、事務所でキャッチボールしてたら、ガラスを割ってしまったようで。ちひろさんに怒られていた時に懺悔や許してなど、言っていましたし」
杏「それは許す方じゃなくて許されたい願望だね」
杏「で、友紀さんは許されたの?」
ゆかり「プロデューサーさんと並んで、一時間ほど正座してましたよ」
杏「許されなかったねー。そしてキャッチボール相手も判明したね。駄目な大人達だ」
「ドーナツだったら割れなかったのに……」
杏「法子ちゃん的にそれはありなの? 投げていいの?」
ゆかり「では、さっそく、一通目のお便りを。ラジオネーム『唇に星を』さんからです」
ゆかり『私はここに懺悔します。私、近くの年上の人をからかいたくなってしまうのです。この前も、あるカラテが似合う素敵な女性が、あまりにも可愛かったのでキスをしそうになってしまいました。どうかこの罪を許して頂けないでしょうか』」
杏「あらー。大胆な子――っていうか。カラテが似合う素敵な女性って」
「あれ? なんで有香ちゃん顔赤いの?」
『―ッ! ―ッ!』
杏「ちょ……! 有香ちゃん声大きいから。動揺しないで イヤホンで耳に」
ゆかり「えっと。『されそうにはなったけど、されてませんから!?』?」
杏「分かった、分かったから。落ち着いて」
ゆかり「では、『唇に星を』さん。貴方の罪はここに、許されました」
アッハハハハ!
杏「ディレクターさん。動揺してSE間違えてるよ」
ゆかり「あっ! もしかしてカラテの似合う素敵な女性って有香ちゃんのなのではないでしょうか?」
杏「今気がついた?」
「ほらー。次のメールー、時間ないよー」
ゆかり「そうでしたね、法子ちゃん。では次のお便りです。ラジオネーム『キャッツナンバーワン!』さんです」
杏「ん?」
ゆかり「『先日、ある場所でキャッチボールをしていたら、ガラスを割って――』」
杏「あ、それ飛ばそっか」
ゆかり「どうしてですか?」
杏「ネタ丸分かりだから。まさかメールネタをラジオで先にやられるなんて思ってなかったろうね。今頃ラジオ聞きながら正座してるよ」
ゆかり「では、次のお便りを。法子ちゃん、あ、これですね」
ゆかり「ラジオネーム『無理』さんです」
杏「うわお。シンプルイズザベストだね。こっちが拒否してるようにも聞こえるよ」
ゆかり「『懺悔、というより心の重みから解放して欲しいです。実は先日、私が大事な思いなどを書いたポエム帳を、どこかに落としてしまったのです! もしあれが誰かに読まれ笑われていると思うと、夜も眠れません……どうか私に救いをお願いします……』」
杏「うわー、中々にキツイねそれは……」
ゆかり「そうですか?」
杏「いや、けっこう辛いよと思うけど」
ゆかり「私はそうは思いません。素敵なポエムというのは、音楽の詩のような美しさがありますから。笑うなんて事はしません。自信を持っていいと思います」
杏「結構いい事言うね。確かに、歌詞の練習だと思えばいい……のかな?」
ゆかり「私も先日、ポエム帳を拾ったのですが、そこに書かれてた詩にはとても感動しました」
杏「んっ?」
ゆかり「特に心に残っているのですね。『私の心は、春の木漏れ日の中を漂う。緑、花を、空を慈しみ。魂はこの体を抜け、羽ばたいていくようだ。あの蒼い鳥のように、どこまでも、どこまでも』」
杏「……えっと、それはどこで拾ったの?」
ゆかり「事務所の机の下ですけど?」
杏「あっ……」
ゆかり「他にも素敵な詩があってですね。たとえば――」
杏「ストップ、ストップ。お願い、もうやめてあげて。ライフゼロだと思うから」
ゆかり「はあ、そうですか?」
ゆかり「えっと……それでは、『無理』さん。貴方の魂は、ここに許されました」
チャラララーン
杏「そのまま昇天してないことを願うよ」
ゆかり「では、最後に、全ての罪深き子羊と共に、神へ祈りましょう」
杏「うん、やっぱりこの真面目な感じは、クラリスさんかな」
ゆかり「では、皆さまご一緒に、神への祈りを」
ゆかり「ラーメン」
杏「あ、これ違うな」
杏「誰かな? うん、志希ちゃんかな? 志希ちゃんっぽいなー」
ゆかり「皆さま。『キューティーラジオ』はいかかだったでしょうか?」
杏「あ、いかがだしたでしょうかー」
ゆかり「それで、ラジオも終わりですが、杏さんは何か感想はありますか」
杏「うん、そうだねー。プレ放送という名の元に好き放題やり過ぎな感が凄いねー」
杏「あと、『無理』さん……その、強く生きて?」
杏「ゆかりちゃんは?」
ゆかり「やはり、声だけで伝える、ラジオというのは少し不思議な感じがしますね」
ゆかり「でも、杏さんや、法子ちゃんや有香ちゃんが支えてくれたからちゃんと出来たと思います」
杏「も名前出まくりの件については何も言わないのよ」
ゆかり「今回のこれは、プレ放送と言うことで、次回があるかは分かりませんが。もし願うなら。再び皆さんと出会える日を、お待ちしております」
杏「うん、99・9パーセント再会はないと思うなー」
ゆかり「それでは、ここまでのお相手は、水本ゆかりと」
杏「双葉杏、でしたー」
「じゃあねー」
杏「だから放送作家。前に出過ぎだよ」
ゆかり「キューティーラジオ♡」杏「ラジ、オ?」《終》
終りです。
いやーラジオって良いですよね。
あと、法子メインのを書きたいと思ってたのでやっと……え、メインじゃない?
読んで頂いた人、本当にありがとうございました。
昔書いたのです。よろしければどうぞ。
莉嘉「美羽ちゃん、一緒に時子さんから大人を学ばない?」
【デレマス】姫川友紀「美羽ちゃん。あたし、プロデューサーのこと――」
本当にありがとうございました。
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