船を降りた後のミケちゃん(はいふり) (20)
ミケもかだよ
海洋高校
ミケ「もかちゃああん!」
ガバっ
ミケ「はっ、なんだ夢か」
ミケ「戻ってきたんだよね。武蔵も、もかちゃんも」
ミケ「一緒に沈んだ夢を見るなんて演技悪いなあ」
シロ「岬さん、前! 前!」
ミケ「え?」
教官「講義の最中に寝るなんていい度胸ね?」
ミケ「ふ、ふえええ」
シロ「……あー」
ココ「我々の艦長は、度胸と仁侠のお人じゃけえのぉ」
リン「岬さん、船降りてからずっとあんな調子だよね。大丈夫かな」
シロ「あの人、ホントに武蔵の艦長のことになるとポンコツになるな」
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休み時間
ミケ「……」
ガタっ
シロ「あの、岬さん、ここの」
クロ「あ、宗谷さ」
ミケ「ダメだっ……」
ガタンっ!
ココ「禁断症状か?!」
ミケ「無理、私、ちょっと行ってくるね!」
シロ「な、なんだ?」
リン「顔面蒼白だったよぉ……」
武蔵メンバーの教室
もか「さっきの、計算式に当てはめていくんだけどね、ここの」
ガラっ
バン!
ミケ「も……! もっ!」
もか「ミケちゃん? もっ?」
クラスメイト「あれって、晴風の」
ミケ「はっ……ご、ごめん、なんでもないの」
もか「う、うん」
ミケ「……ごめん!」
ダダダダっ
もか「ミケちゃん?」
晴風メンバーの教室
ミケ「……はあ」
ココ「……」チラ
シロ「……」チラ
リン「……」チラ
ココ(今度は溜息吐いてますよ)ヒソ
シロ(どうにかしてやって)ヒソ
リン(憂いてる岬さんも可愛い……)ヒソ
ココ・シロ「「……」」
リン「あ」
メイ「タマー、モナカアイス買ってきたけど食べるー?」
タマ「うい」
ミケ「もか……ちゃん?」ピクっ
ココ「いえ、モナカアイスですよ、艦長」
ミケ「……」シュン
シロ「……もなか」ボソっ
ミケ「……もかちゃん」ふにゃあ
ココ「面白い生き物になっちゃってますねえ」
リン「こ、こんな岬さん、見たくないですっ」ジワっ
シロ「……船では所々立派だったのに」
ココ「たぶん、ここずっと武蔵の艦長さんのことばかりだったので、緊張していた糸が緩んでしまったんじゃないですかね」
シロ「どうにかできないのか。このままはさすがに」
ココ「私は別にかまいませんけど」
リン「よくないよ!」
シロ「この燃え尽き症候群どうにかしないと」
ココ「あー、では、僭越ながら、提案があります」
シロ「なんだ?」
ココ「知名さんごっこで励ますのはどうでしょうか」
シロ「いや、知名さんのことあんまりよく知らないんだが」
リン「わ、私やってみます」
シロ「まじか」
リン「ミ、ミケちゃん? 海に生き、海を守り、海を往く、それが」
ミケ「ブルーマーメイド!」ガバっ
ガタンっ
シロ「また、椅子倒して……」
ミケ「もかちゃあああん!」
ココ「そろそろ黙らんかい!」
ドスっ!
ミケ「う……」グテ
シロ「ひいいい!」
ココ「安心せい。手加減はしとるけえの」
リン「み、岬さん!」
ミケ「……ご、ごめんねみんな」
シロ「いえ……」
放課後
ミケ「……五十六」
ナデナデ
五十六「なごおお」
ミケ「どうしたんだろ……私、モカちゃんのこと考えると体が勝手に反応しちゃう」
五十六「……」スンスン
ミケ「や、何、何か匂う?」クンクン
五十六「んなああ」
ミケ「んにゃああ…」
ポンっ
もか「ミケちゃん、こんな所にいたんだ」
ミケ「も、もかちゃん」
もか「宗谷さん達から、ミケちゃんが最近面白いから様子を見てあげてって。面白いって、なんのことか分からなかったけど」
ミケ「え、ええっと」
もか「今日も、この前も、教室に来てすぐに帰って行ったし、何か相談したいことがあるなら言って?」
ミケ「そ、それが私にもよく分からなくて」
もか「……うん。大丈夫だよ。今、ミケちゃんが気付いてることだけ教えてもらえたらいいよ」
植木の後ろ
シロ「……さて、解決の糸口は見つかるかな」
リン「私は、あまり見つかって欲しくないよぅ」
ココ「さーて、どうなることでしょうか」
コソコソ
メイ「あんたら、何隠れてんの」
シロ「しっ」
メイ「?」
タマ「……し」
メイ「ありゃ、艦長ズじゃん」チラ
中庭
もか「え、私のことを考えると暴走する?」
ミケ「う、うん。なんでか、もかちゃんに無性に会いたくなって、抱きしめたくなって、とにかく大変なの。自分でも必死で抑え込んでるんだけど」
もか「ミ、ミケちゃん……さすがに恥ずかしいから」
ミケ「え?」
ココ(艦長、落としにいってますね)
シロ(天然ジゴロって怖い)
リン(岬さんに抱きしめられたい……)
メイ(いけ、そこだ! 撃ち落とせ!)
タマ(……)
もか「嬉しいけど、大変だよね……それって」
ミケ「そうなんだよッ。たぶん、船に乗ってた時ずっともかちゃんのことばっかり考えてたせいだと思うんだけど」
もか「私も、ミケちゃんにもう一度会いたいって思いながら頑張ってたよ」
ミケ「うん、だからこうして会えたから、もう心配することなんて何もないはずなのに」
もか「そうだね。心配しないでいいんだよ。ミケちゃん」ニコ
ミケ「分かってるんだよ。それでも、こうやって」
スっ――ギュ
ミケ「もかちゃんの手を握ってるだけで、すごくほっとしちゃうんだ」
もか「……ミケちゃん」ドキ
ミケ「できれば、ずっと私のそばにいて欲しいけど……きっと、甘えてるだけだよね、ごめんねもかちゃん」
ココ(そこだ! 抱きしめるんです!)
シロ(自覚せずによくあそこまでできるな)
リン(…も、もう直視できないけど、甘えてる岬さんんかわいいっ)
※メイタマは飽きて帰りました
もか「ずっとって言うのは、難しいことだけど、でも、ミケちゃんが海にいる限り、私達は海で繋がっているから、ずっと隣にいるんだよね、きっと」
ミケ「も、もかちゃああんっ」ウルっ
もか「もお、どうして泣くの」クス
ミケ「だって、だって」
もか「ミケちゃん、家族たくさんできたでしょ? 泣いてたら、みんな心配するよ」
ミケ「うん……」ゴシ
もか「よろしい」ニコ
ミケ「泣くのは、もかちゃんと二人の時だけにする」
もか「……」
ナデナデ
ミケ「?」
もか「そういうこと、他の人の前であんまり言っちゃダメだよ?」
ミケ「? うん」
リン(可愛い…岬さん可愛いよおおお)
シロ(ちょ、落ち着けっ、バカっ)
ココ(タチでもネコでもいける。それが晴風の艦長です)
もか「ミケちゃん、小さい頃はよく私がミケちゃんを励ましてたね」
ミケ「……いつも、もかちゃんに頼ってた」
もか「思いついたらすぐに何でもして、後先考えないからよく怪我とかもしてたっけ」
ミケ「そうそう、それで周りの人に怒られてた」
もか「でも、これからミケちゃんはお父さんにならなくちゃいけない。みんなのことを励まして、周りの人を安心させてあげないと。ミケちゃんにね、本当は私の副長になって欲しかったけど、家族を捨てるなんてミケちゃんに選んで欲しくないもの」
ミケ「も、もかちゃん」
もか「それでね、いつか大人になってブルーマーメイドになった時、私達、その……あの、本当の意味での家族になろうね」
ミケ「うん!」
ココ(いや、あれ、艦長たぶん意味分かってないですねえ)
リン(そういう流れ……ですよね)
シロ(……なんか、羨ましいな)
おわり
お粗末様
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