Fate/grandorderのイベント「鬼哭酔夢魔京 羅生門」を自分なりに書いてみようというものです
ただそれだけ
あと主人公はぐだ子(名前未設定)
リヨぐだ子ではない
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465745419
――そのきっかけは、甘い匂いだった
「……あれ?」
マシュと廊下を歩いている途中ふと気づいた
どこからか、鼻腔をくすぐる甘い匂いが漂っている
「先輩も気づきましたか。何でしょうか、これ……」
分からない
嗅いだことのない匂いだ
だが妙に人を惹きつけるような、不思議な匂いだ
私とマシュは花に誘われる蜜蜂のように、匂いのする方へと歩いて行った
「あれ?君達もかい?」
少し歩くと、先行していたダ・ヴィンチちゃんに追いついた
どうやら彼女もまた、この匂いに誘われてきた一人のようだった
「一体何なのでしょうか、この香りは……」
「うーん、たぶんだけどこれ、お酒だと思うよ」
お酒?
「まあ君達はまだ飲んだことが無いだろうから分からないと思うけど、アルコールが含まれた匂いだね~。ただ、どうにも違和感のある感じだけど……」
そんなことを話しながら歩いていくと、管制室――つまりカルデアスのある部屋の前へと着いた
「ふんふん、どうやら匂いの発生源はここからのようだね」
スンスンと鼻を鳴らし断言するダ・ヴィンチちゃん
万能人というのは、嗅覚もまた優れているようだ
そしてダ・ヴィンチちゃんを先頭に、私たちは管制室への扉を開けた
――瞬間、むせ返るような酒気が漂う
それは漏れ出たものとは桁違いの濃さでもって、私たちを出迎えた
「ああ、ちょうど良かった!今君たちを呼ぼうとしてたんだ!」
ついでにDr.ロマンも、私たちを出迎えた
「何をしたんですか、ドクター」
「何をやらかしたんだい、ロマン」
「何やってんですかドクター」
三者一様、開口一番
Dr.ロマンへの信用の表れだった
「いや違うよ!?今回僕は何もしてないよ!?」
慌てた様子がなお怪しい……
などとからかうのもほどほどにし、私たちはDr.ロマンの話を聞いた
Dr.ロマンが言うには、この匂いはカルデアスから発生しているらしい
発生の原因は不明だが、匂いの発生と同時に特異点に匹敵する異常な反応のある地点を観測
当該観測地点を目下匂いの原因と定め、レイシフトによりその地点の異常を解決してほしい、とのことだった
異常とあらば一も二もなく行くのみだ
そうして私とマシュは、酒気と異常を放つその観測地点へとレイシフトしたのだった
「――レイシフト、完了。日本に到着しましたマスター」
「無事に到着できたようだね。まずはお疲れさま」
柔らかなマシュの声と、ノイズ走ったDr.ロマンの声が聞こえる
今回も無事レイシフト出来たようだ
「うーん、モニター状態が良くないな。そっちの状況はどうだい?周囲に何か異常なものはあるかい?」
「異常は特になにも……。というか、かつてないほど牧歌的で……特に……」
マシュの眼は一つの地点に向いていた
そこにあるのは薄いピンクの花弁をはらはら散らす――桜の木があった
「桜の花が、とても綺麗です」
「桜の花か、それはいいね。僕も見たことがある。もっともお花見は出来なかったけど」
青い空、茂る緑、舞う薄紅
それは極めて日本的で、そしてそれが故に幻想的だった
「それと、カルデアスから発生していた甘い匂いが……」
そして大気に漂う酒気が、その幻想的な感覚を強めていた
「やっぱりそこが原因か……そこは平安時代のようだけど、まだ詳しい年や場所は分かっていない。正確な座標情報を測定するから、待っていてくれ」
「了解です。それにしても――やっぱり綺麗なものですね」
マシュは桜の花に見とれながらそう言う
「そう言うマシュも綺麗だよ」
「い、いえ。わたしはこの通り、紫色と黒色が基本なので、桜色には敵いませんが……」
そう言ったマシュの頬は、ほんのりと紅潮していた
――本当に、薄紅色とは綺麗なものだ
「ところでマスター……先程から気になっているのですが……」
言いたいことはわかる。私も気づいていた
マシュの視線の先には、桜の花の山があった
桜の山ではない
桜の花びらが全体を覆った物体Xがそこにはあった
「あれ、どう見ても人型です。何というか、花見をしていたら眠ってしまいそこに一晩放置されたような……」
訝しみながらその山を見ていると、その山が微かに震え出した
そして次の瞬間――山は噴火した
「はーーーっくしょいっ!かあー、もう朝じゃねえかコンチクショーーウ!」
「金時さん!?」
現れたのはゴールデンなサーヴァント、坂田金時だった
どうやら桜の山は、金山でもあったようだ
イベント終わってから書き始めたので今回はここまで
あんまり日数かけずに書ききりたい
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