留弥子「『ドイツ代表のあいさつ』」

志乃「やらないってのに」

留弥子「あっ、シノちゃん」

志乃「ルミ」

留弥子「グーテンモルテン♪」ﾀﾑﾀﾑ






志乃「んふっ」

留弥子「ﾄｪｪｪｪｲ」

留弥子「ルミの勝ち」

志乃「まって」

留弥子「楽勝って感じ？」

志乃「笑ってない」

留弥子「うん？」

志乃「笑ってないって言ってるのよ」






留弥子「笑ってたよ？」

志乃「見間違いね」

留弥子「そんなことないと思うけど」

志乃「笑うわけ無いじゃない」

留弥子「ふーん」

志乃「あんなくだらない」

留弥子「モルテン♪」






志乃「んふふ」

留弥子「ほら」

志乃「喉の調子が良くないの」

留弥子「えっ」

志乃「こほこほ」

留弥子「じゃあさっきのは」

志乃「咳ね」






留弥子「ホントに？」

志乃「えぇ」

留弥子「じゃあ笑ってないんだね」

志乃「笑ってもいないし負けてもいないわ」

留弥子「へぇ」

志乃「勘違いも甚だしいわね」






留弥子「ご、ごめんね」

志乃「ふん」

留弥子「ルミ、そういうところあるから」

志乃「勘弁して欲しいわね」

留弥子「うん」

志乃「分かったなら良いのよ」






留弥子「ごめんなさい」

志乃「えっ」

留弥子「そうだよね」

志乃「ル、ルミ？」

留弥子「ルミまたやっちゃった」

志乃「そんなつもりじゃ」

留弥子「モルちゃんを怒らせちゃって」






志乃「ふふふ」

留弥子「笑ったね」

志乃「まって」

留弥子「今度はちゃんと見たよ」

志乃「モルちゃん？」

留弥子「志乃ちゃんってモルテン感あるよね」






志乃「な、なによそれ」ﾌﾙﾌﾙ

留弥子「ずっと思ってた」

志乃「そんなものないわよ」

留弥子「髪型がモルテンなのかな」

志乃「やめて」

留弥子「伊丹モルテン」

志乃「モルテンはやめて」






留弥子「だからモルちゃん」

志乃「認めないわ」

留弥子「罰ゲームだもん」

志乃「はい？」

留弥子「敗者の罰ゲーム」

志乃「嫌よ」

留弥子「あだ名がモルテンになります」

志乃「そんなの聞いてないわよ!!」






留弥子「モルテンが罰ってコトじゃないよ？」

志乃「そういうことじゃない」

留弥子「モルちゃんは負けたんだから」

志乃「本当にやめて」

留弥子「ダメ」

志乃「なにがダメなのよ」

留弥子「受け入れて」

志乃「受け入れないわ」






留弥子「強情すぎると思うの」

志乃「そっちこそ」

留弥子「罰ゲームに拒否権はないもん」

志乃「罰があるなんて聞いていないわ」

留弥子「言い訳しちゃダメ」

志乃「第一なんでモルテンなのよ!!」






留弥子「分かんない」

志乃「はぁ!?」

留弥子「分かんないけどモルテンはモルテンなの!!」

志乃「そんな理由で呼ばれる身にもなりなさいよ」

留弥子「嬉しいに決まってるもん」

志乃「じゃあルミがモルテンになれば良いじゃない」

留弥子「それとこれとは別」

志乃「別じゃない」

留弥子「別だもん」






志乃「そもそもねぇ」

留弥子「なに？」

志乃「ミカサ派なのよ」

留弥子「えっ」

志乃「私はミカサ派なの」

留弥子「ウソ」

志乃「嘘じゃないわ」

留弥子「モ、モルちゃん」

志乃「ルミ」






志乃「私はミカサ派なの」

留弥子「違う!!」

志乃「違わない」

留弥子「モルちゃんがそんなワケ」

志乃「モルちゃんはもういないの」

留弥子「で、でもでも!!」

志乃「ミカちゃんが良いって訳でもないからね」

留弥子「ミカちゃんなんて有り得ない」

志乃「とにかく」






志乃「この話は終わりよ、ルミ」

留弥子「イヤ!!」

志乃「往生際が悪いわね」

留弥子「志乃ちゃんはモルテンなの!!」

志乃「いい加減にして」

留弥子「そんな」

志乃「諦めなさい」






留弥子「今、なんて言った？」ｷｯ

志乃「ふん」

留弥子「諦めろって言わなかった？」

志乃「えぇ」

留弥子「ルミの聞き間違いじゃないよね？」

志乃「何度でも言ってあげるわ」

留弥子「はぁ？」

志乃「諦めなさい」






留弥子「モルちゃんにこんな悪い口はいらない」ｷﾞｭﾑ

志乃「いひゃいいひゃい!!」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

厚子「やめろ長谷川!!」ｶﾞｼｯ

奈緒「そ、それ以上はちぎれるって!!」ｶﾞｼｯ

志乃「……ルミは？」

奈緒「向こうでコーチと監督に絞られてるよ」

厚子「なんか監督震えてねぇか？」

志乃「自業自得なのよ」

奈緒「なにがあったの？」

厚子「なんかモルモル言ってたけど長谷川」






志乃「し、知らないわよ」ｽﾀｽﾀ

奈緒「え～？」

厚子「教えろよ～」

留弥子「ごめんなさい」

政子「どんな理由だよ」

笛子「あ、頭を冷やしてこい」

留弥子「はい」






政子「なに震えてんの？」

笛子「い、いや別に」

留弥子「またやっちゃった」

留弥子「ルミ好き過ぎるといつもこうやって失敗しちゃう」

留弥子「志乃ちゃんもモルテンもどっちも好きなのに」

留弥子「ホントはミカサのコトだって」






志乃「こんなところに居たのね」

留弥子「あっ……」

志乃「ルミ」

留弥子「ルミさっきは酷いこと」

志乃「関係ないわ」

留弥子「えっ」






志乃「モルテンだろうとミカサだろうと」

留弥子「……うん」

志乃「私はどんな球でも拾うわ」

留弥子「モ、志乃ちゃん」

志乃「それがリベロの」

留弥子「うん」

志乃「伊丹志乃の」

留弥子「うん!!」

志乃「役目だからよ」

留弥子「モ乃ちゃん!!」






留弥子「なに言ってるの？」

志乃「まって」

留弥子「ちょっと意味分からないって感じ」

志乃「はぁ!?」

留弥子「リベロが球を拾うのは当たり前だと思うな」






志乃「なにがモ乃ちゃんよおおおお」ｷﾞｭﾑ

留弥子「いひゃああああ!!」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

厚子「やめろ伊丹!!」ｶﾞｼｯ

奈緒「ヤバイって、ちぎれちゃうから!!」ｶﾞｼｯ

政子「長谷川と伊丹は」

笛子「風呂掃除一週間の罰だ」

政子「そうかい」

笛子「監視役に大石を付ける」

政子「えっ」






政子「あ、甘過ぎる……!!」

笛子「うん？」

留弥子「モルテンだよね!?」ﾕｻﾕｻ

練「いやその」

志乃「ミカサに決まってるじゃない」ﾕｻﾕｻ

練「だからえっと」

留弥子「モルちゃんは黙ってて!!」

志乃「ルミこそやめなさいよその呼び方!!」

練「は、早く掃除を」






留弥子「あ゛ぁ゛!?」

志乃「外野は黙っとれや!!」

練「」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終

練「うわあん、あうあうあう!!」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

学「な、泣かないでください」

鏡子「えっ」

由佳「一体なにが」

学「それがですね」






学「モルテンとミカサの板挟みに」

鏡子「板？」

由佳「球だろ」

練「うわあん、あうあうあう!!」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

終

笛子「モルテン、か」

笛子「ふふっ」

笛子「ふふふふ」

ｺﾝｺﾝ

沙羅「監督、少しおはな」ｶﾞﾁｬ



笛子「ふふふふふふふふ」ﾌﾙﾌﾙ






沙羅「し、失礼しました」ﾀﾞｯ

笛子「ま、待て!!」

終

留弥子「豆知識をひとつ」

志乃「なによいきなり」

留弥子「静寂園ってね」

志乃「えぇ」

留弥子「静寂なのに豊島区じゃなくて練馬区なんだよね」

志乃「はい？」

留弥子「あれ？」






志乃「なに言ってるの？」

留弥子「ル、ルミもそう思う」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終

ﾌﾟﾙﾙﾙ

ﾋﾟｯ

繭「はい」

笛子『突然すまない』

繭「自覚はあるのね」

笛子『モルテン』

繭「……？」

笛子『モルテンと言われたことはないか？』






繭「ふ、笛子？」

笛子『ふふふふ』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今度こそ終