神崎蘭子「そ、其方は...?」ハンバーグ師匠「ハンバーグだよ!」(29)

女子寮 蘭子の部屋



神崎蘭子「......はぁ」


蘭子(明日からドラマの撮影が始まるけど、ちゃんと演技できるか不安だなぁ......)


蘭子(もう一回、台本見直しておこうかな......)


蘭子(......)ペラペラ


蘭子(......)ペラペラ


蘭子「......はぁ」


蘭子(だめだぁ......今からもう緊張してきた......)



コンコン


蘭子(ん?......誰だろう......)


ガチャ


ハンバーグ師匠「んー、この街も変わらねぇな」


蘭子「ひっ!!!?」ビクゥゥゥッッッ




蘭子「ふぇぇぇ......!?」ボ-


ハンバーグ師匠「......どうした?付け合わせのミックスベジタブルを見るような目で俺を見やがって」


蘭子「ひぃっ......!そ、其方は......!?」


ハンバーグ師匠「おいおいおい......」


ハンバーグ師匠「忘れちまったか?俺だよ俺......」




ハンバーグ師匠「ハンバーグだよ!!!」







蘭子(......だ、誰だろう......)



蘭子「......あ、あのぅ......」


蘭子「......こ、此処は我の城で......」



ハンバーグ師匠「腹ペコの君に100gの鉄板ジョーク!」


蘭子「!?」




ハンバーグ師匠「この間ハンバーグ芝居をやったよ」


蘭子「お芝居......」


ハンバーグ師匠「とんかつとメンチカツとハンバーグ3人で」


蘭子「......」


ハンバーグ師匠「とんかつとメンチカツは非常に緊張していた」



ハンバーグ師匠「でも、ハンバーグはいつも通りナチュラルな芝居ができた」


蘭子「......」


ハンバーグ師匠「何故かって?......そう!」


ハンバーグ師匠「ハンバーグだけ、あがってないからね...!」





\デェェェェェェン/


ハンバーグ師匠「ハンバァァーーーッグ!!!」






蘭子「......!」





蘭子(ハンバーグはパン粉を付けて揚げたりしないから余計なものがなくて、お肉本来の味が滲み出て美味しい......)


蘭子(...だからハンバーグはナチュラルな芝居ができるんだ......!)


蘭子「......ククク、禁断の果実の伝道師と言ったか......其方の言霊の真理、我が魂に響いたぞ......」


ハンバーグ師匠「......」ドヤ




女子寮 みくの部屋




前川みく「......」



みく(李衣菜チャン......今日のレッスン、調子が良くなさそうだったにゃ......)


みく(集中してなかったっていうか......)


みく(厳しく言うべきだったかにゃ......)


みく(......でもでも!傷つけちゃったら嫌だし......)


みく「......」ウ-ン ウ-ン




コンコン


みく「......はーい」


ガチャ


ハンバーグ師匠「この街も変わらねぇなー」


みく「!!!?」





ハンバーグ師匠「どうした、今日のマッシュポテトいつもより硬いな、みたいな顔しやがって」


みく「してないにゃ!」


みく「ていうか誰にゃ!」


ハンバーグ師匠「忘れちまったか?俺だよ俺......」







ハンバーグ師匠「ハンバーグだよ!!!」






みく「......」


みく「......」


みく「......いや、誰にゃ!!」



ハンバーグ師匠「そんな君にアツアツの鉄板ジョーク!200gだ!」


みく「は?」


ハンバーグ師匠「この間ハンバーグの友達が彼女に振られてね」


みく「ちょ...何...」




ハンバーグ師匠「目も当てられない位に落ち込んでた......」


みく「......」


ハンバーグ師匠「かける言葉が無かったよ」


ハンバーグ師匠「かけてあげなよ、デミグラス......!」





\デェェェェェェン/


ハンバーグ師匠「ハンバァァーーーッグ!!!」







みく「......!」




みく(そうにゃ......!李衣菜チャンとみくの仲なのに躊躇していること自体おかしいことなのにゃ......)


みく(いろんなことを二人で経験して築いた絆、ちょっとやそっとじゃ消えないのにゃ......)


みく(.......そう、二人の絆は長い時間をかけて煮込まれたデミグラスソースのように熟成されているのにゃ......!!)


みく「......みくは師匠のおかげで大事なことに気付けたのにゃ......!ありがとにゃ!」


ハンバーグ師匠「......」ドヤ



番外編



「......はぁ......」トボトボ


「また、オーディション落ちちゃいました......」


「私って、才能ないんでしょうか......」


ハンバーグ師匠「この街も変わらねぇな」スッ


「......え?」




ハンバーグ師匠「どうした、クレソンって本当に食べれるんですか?みたいな顔しやがって」


「えぇ!?私そんな顔してましたか?」


「......あれ?......というか私たち何処かでお会いしたことありましたっけ......」


ハンバーグ師匠「おいおい......」


ハンバーグ師匠「忘れちまったか?......俺だよ、俺......!」





ハンバーグ師匠「ハンバーグだよ!!!」








「......えっと...あ、そうなんですね!」





ハンバーグ師匠「アツアツの鉄板ジョーク!まずは100gから」


「え?」


ハンバーグ師匠「ハンバーグこの前ね、お笑い番組のオーディションから溢れちゃったんだ」


「......」


ハンバーグ師匠「君はハンバーグが落ち込んでいると思ってるんじゃないか?」


「はい......そういう時の気持ち、何となくわかるので......」





ハンバーグ師匠「でも心配ご無用!」


「え......?」


ハンバーグ師匠「オレはオーディションから溢れる前に」







「肉汁が溢れてるからね......!」






ハンバーグ師匠「......ハンバーグ......!」


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