幸子「もっと可愛がってもらえるようになる香水?」 (63)

志希「そうそうー。幸子ちゃんにモニターになってもらいたいなーって」

幸子「また怪しい物を……。けど、ボクには必要ありませんよ! ボクは十分可愛がられてますからね!」

志希「そうかにゃー? 皆の幸子ちゃんに対するリアクションって」


幸子『ボクはカワイイですからね!』

凛『そうだね』

紗枝『せやなー』

友紀『おっそうだな』


志希「って感じじゃん?」

幸子「そ、その人達が素っ気ないだけですし! ちゃんと答えてくれる人もいますから!」

志希「たとえば?」

幸子「え、ええと……卯月さん……とか」

志希「卯月ちゃんはいい子だからなー」

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志希「しかし、そんな悩みもこれまでよ。この香水をしゅっしゅっと吹きかけるだけで!」

志希「素っ気なかったあの娘もたちまち虜に! 今なら無料サンプルプレゼント!」

幸子「……ヤバイ成分とか含まれてません?」

志希「にゃはははー」

幸子「笑って答えるのやめて欲しいんですけど!?」

志希「まあ、虜になるっていうのはジョーダン。ちょっと素直になるくらいだよ」

幸子「素直になる、とは?」

志希「んー、幸子ちゃんの頭撫でたいなーって思ってる娘がいるとするでしょ?」

志希「その娘には、そんなことをするのは柄じゃないな、と普段は仕舞いこんでる気持ちがある」

志希「それをちょっと発露させるってわけ。だから、元から好意の無い人には効果がないの」

幸子「なるほど」

志希「で、事務所でも随一の愛されガールである幸子ちゃんが適任だと、志希ちゃんは思ったの」

幸子「フフーン! ボクの愛されっぷりは天下に響いてますからね!」

志希「うんうん、バラエティの神に愛されてるって評判だもんね」

幸子「なにか言いました?」

志希「幸子ちゃんはカワイイなーって言ったの」

幸子「当然ですね! ボクはカワイイですからね!」

志希「にゃはははーちょろいわー。じゃあ、よろしくねー」

幸子「任せて下さい! このカワイイボクに!」

~事務所前~

幸子「とりあえず、人が多そうな事務所に来てみました」

幸子「部屋に入る前に、香水を吹いて……」シュッ

幸子「んー、柔らかい匂いがするような、しないような……。本当に効くんですかねぇ」

幸子「まあ、こんなものが無くても皆さんボクの可愛さにメロメロですけどね!」

凛「……ドアの前で何してるの?」

幸子「あっ、凛さん。おはようございます! 今日もカワイイボクですよ!」

凛「うん、そうだね」ガチャ

幸子「あっ、ちょっと! もっとボクを褒め称えてから入室してくださいよ!」

凛「はいはい」

幸子(むーっ。志希さん、全然効いてないじゃないですか)

紗枝「なんや幸子はんは今日も騒がしいなぁ」ズズッ

凛「おはよう、紗枝」

紗枝「おはようさん。幸子はんも、むくれてないで座ったらどうどす?」

幸子「今そうしようと思ってたところですっ」ボスッ

凛「もう、隣に座るならもっと静かに座りなよ」

幸子「ふーんだ。ボクの可愛さに気がつかない凛さんのことなんて知りません」

凛「はいはい、幸子はカワイイカワイイ」ナデナデ

幸子「そんなんじゃ誤魔化され……あれ」

紗枝「凛はん?」

凛「……あれ」

幸子(凛さん、こういうスキンシップってあまりしない人ですよね?)

紗枝「なんや珍しいこともあるもんやなぁ」クスクス

凛「ええと、今のは……なんだろう、自分でもよくわからない……」

凛「無意識のうちに手が伸びたっていうか……えっと、ごめん幸子」

幸子(香水の効果が出るまで時間差があるんでしょうか)

幸子(じゃあ、凛さんはボクのことを撫でたいと思ってるんですかね……)

幸子(ということは……)

幸子「フフーン! ボクは心が広いですから気にしてませんよ! むしろ、もっと撫でててもいいですよ!」

凛「え、ええ……それはちょっと」

幸子「ほらほら、撫でたいんでしょう撫でたいんですよね? 素直になりましょう?」グイグイ

紗枝「据え膳食わぬはなんとやらやで~」

凛「さ、紗枝も適当に煽らないでよ」

幸子「いいんですよもっとボクを可愛がっても。義務みたいなものですからね!」

凛「わ、わかったから……もう……」ナデナデ

幸子「フフーン!」

凛「……あ」ナデナデ

幸子「撫でられるボクもカワイイですね!」

凛「……うん」ナデナデ

紗枝「まぁ。満面の笑顔の凛はんなんて珍しいなぁ」

幸子「可愛さは罪ですね! ボクはカワイイから許されますけど!」

凛「……」ギュ

幸子「ひゃっ!? り、凛さん?」

紗枝「いきなり抱きしめるなんて……大胆やなぁ」

幸子「ボ、ボクがカワイイから仕方ありませんけど、いきなりはびっくりしますね……」

凛「ねえ、幸子。お願いがあるんだけど」ナデナデ

幸子「な、なんでしょうか」

凛「『わん』って言ってみてよ」

幸子「……はい?」

凛「『わん』って。犬の真似」

幸子「……ええと」

凛「というか、幸子って犬だよね?」マガオ

幸子「……え、ええ?」

凛「だって、この髪の跳ねはどう見ても耳だし」ミョンミョン

幸子「この跳ねは、チャームポイントであって耳じゃありませんから!」

凛「褒められると尻尾振って喜ぶし、犬だよ」

幸子「い、いやあの……ボクは犬じゃありませんけど……」

凛「誤魔化さないでよ!」

幸子「誤魔化してませんよ!?」

凛「じゃあ、なんなの!?」

幸子「ボクはボクですよ!?」

紗枝「まあまあ、凛はん。幸子はんが困っとるやろ?」ストン

幸子「さ、紗枝さん? どうしてボクの腕に自分の腕を絡めてるんです?」

紗枝「ところでなぁ幸子はん。うち犬飼いたい思うてるの知っとる?」

幸子「そういえば言ってたような……でもそれがどうしたんですか?」

紗枝「いやなぁ? 犬飼いたい言うて反対される理由っちゅうんは、『しつけが大変』いうのが多いやろ?」

幸子「まあ、そうかもしれませんね」

紗枝「でなぁ、幸子はんって結構いいとこのお嬢さんやろ?」

幸子「フフーン! 自慢じゃないですけど、愛情はたっぷり注がれましたよ!」

紗枝「せやろ? だから、うちでも飼えるなぁっていう話や」

幸子「なるほど!」

紗枝「ふふっ……」

幸子「……そんなわけないじゃないですか! というか、ボクが犬っていう前提がおかしいですよ!」

凛「紗枝、それは出来ないよ。幸子は毎朝私とハナコと一緒に散歩するんだから」

紗枝「いやいや、幸子はんはうちと一緒に縁側で昼寝するんや」

幸子「ボクの意思がどこにもないんですけど!?」

凛「……私、止まる気はないよ」スッ

紗枝「まあ、すろう過ぎて止まってる思うてたわ」スッ

幸子「ボクの話聞いてますか!?」

凛「……はぁ!」ガシッ

紗枝「……ぬぅ!」ガシッ

凛「このロックアップで紗枝のアイドル強度を計らせてもらうよ……!」ググッ

紗枝「この肩にかかる重さ……! 流石は3代目いうところやな……!」ググッ

幸子「ひ、ひぇ……なんでこんなことに……と、とにかく逃げましょう!」ダダッ

続きは明日に

明日って今さ。再開します

~レッスンルーム前~

幸子「はぁ……幸い二人には気がつかれなかったみたいですね……」

幸子「なんであんなことに……と、志希さんから着信?」ピッ

志希『やっほー幸子ちゃん。香水は試してくれたかなー?』

幸子「試したら凛さんと紗枝さんがボクを犬扱いして飼おうとしてきたんですけど!」

志希『ほんと? おっかしいなー、そこまで強くは……あー、そういうことかな』

幸子「一人で納得してないで説明してくださいよ」

志希『いやねー? 前に凛ちゃんと紗枝ちゃんが、幸子ちゃんって犬っぽいって話してたんだよね』

志希『で、『本当に犬だったらどうする?』っていう冗談を言っててさ」

幸子「それがどうしてボクを飼うことに繋がるんですか……」

志希『まぁまぁ。それで、凛ちゃんは『一緒に散歩する』、紗枝ちゃんは『縁側で昼寝したい』って話してたのさ』

幸子「つまり?」

志希『ちょっーと香水が効きすぎて、その時の『幸子ちゃん→犬っぽい』からの連想が変な所に着地しちゃったんじゃないかなー』

志希『想定通りなら『犬みたいにカワイイ』のはずが、効きすぎて『犬みたいに可愛がりたい』にズレちゃったんだね」

幸子「……ちょっと素直になるだけって言ってましたよね?」

志希『本当に申し訳ない。けど、他人事に聞こえるかもしれないけど、この状況に早くなれた方が楽になるよ』

幸子「責任を置いてきた謝罪は要りませんから! この香水はいつまで効くんですか!」

志希『今が15時で……まあ、20時位には無くなると思うよ。たぶん』

幸子「たぶんって言いましたか!?」

志希『おっと! 話の続きはレッスンを終えてからだ!』ガチャ

幸子「あっちょっ! 雑な話の切り方はやめてください! もしもし!?」

幸子「……とにかく、20時には効き目が無くなることを信じましょう」

幸子「それまで、面倒くさそうな方に見つからないように……」

まゆ「面倒くさそうな方って、誰のことですかぁ?」

幸子「ひぃっ!? い、いきなり背中から現れるのやめてください!」

まゆ「びっくりさせてごめんなさい。けど、見つからないようにって何の話ですか?」

幸子「そ、それはですねえ……酔っ払った楓さんとか、そういう方のことです!」

まゆ「楓さんでも酔っ払ったまま事務所にはこないと思いますけど……」

幸子「で、ですよねぇ!」

まゆ「変な幸子ちゃん……うふふっ」

幸子「え、えっと、まゆさんはどちらへ?」

まゆ「事務所でプロデューサーさんを待っていようと思って……仕事の疲れを癒やしてあげたくて……」

幸子「へ、へえ……事務所で……」

幸子(……って今事務所では、ボクの所有権を巡って凛さんと紗枝さんが)

幸子(マズイですって! まゆさんにどんな誤解されるかわかったものじゃないです!)

幸子「ま、まゆさん! 今事務所に行くのはやめたほうが!」

まゆ「……? どうしてですか?」

幸子「あっ……その、ほ、ほら! プロデューサーさんがいつ帰ってくるかわかりませんし!」

まゆ「大丈夫ですよぉ? 遅くとも20時には帰ってきますからぁ」

幸子(うう……なんで正確にスケジュールを把握してるんですか)

まゆ「もしかして……幸子ちゃんは、まゆがプロデューサーさんと一緒にいるのが嫌なんですかぁ?」

幸子(ひぃっ!? どどどうしましょう!? 半端な物言いじゃ絶対に引き下がりませんよ!?)

まゆ「ねえ……答えてくださいよぉ……」

幸子「ボ、ボクは……」ガクブル

まゆ「幸子ちゃん……?」

幸子「ボクは!」ガバッ

まゆ「きゃっ! さ、幸子ちゃん……?」

幸子「ボ、ボクはまゆさんがプロデューサーさんと一緒なのが嫌とかじゃなくて……ボクがまゆさんと一緒に居たいんです!」

幸子「プロデューサーさんを待つことなら、事務所じゃなくても出来ますから、それまでは……一緒に……」ナミダメウワメヅカイ

幸子(ボクの本気と演技力が試される……! 頼みますから、通じてください……!)

まゆ「……! 幸子ちゃん……ごめんなさい、変なこと訊いて……」

まゆ「幸子ちゃんは、そんな意地悪なことしないですよね……」

幸子「じゃあ……!」

まゆ「ええ、まゆの部屋で待っていましょう」ニコッ

幸子(やった! やりました! カワイイボクに不可能はなかった!)

幸子「で、ではすぐにでもまゆさんの部屋に――」

友紀「おっ、幸子ちゃんとまゆちゃん。おっはよー」

まゆ「おはようございます友紀さん。……そのビール瓶は?」

友紀「んー? 事務所のテレビで野球観戦しながら一杯しようかなって」

まゆ「まだ日が高いですよ?」

友紀「だからいいんじゃーん。昼間のビールもまた旨いんだー」ケラケラ

幸子(なんでこんなに時にぃ!? ええい、ままよ!)

幸子「ゆゆ友紀さん! 野球観戦ならまゆさんの部屋でも出来ますよ! 出来ますよね!?」

まゆ「え、ええ……。テレビはありますけど」

幸子「せっかくですし3人で応援しましょう! その方がきっと楽しいですから! いいですよねまゆさん!?」

まゆ「い、いいですけど……幸子ちゃんって野球好きなんですか?」

幸子「今好きになりました! さあ、早く行きましょう! 可及的速やかに迅速に!」グイグイ

まゆ「ひ、ひっぱらないで……」

友紀「よくわからないけど、いいか!」ケラケラ

~まゆルーム~

友紀「おー打った打った。これは勝ったね!」

幸子「まだ4回表のヒット4本目なんですけど」

友紀「私くらいになるとわかるんだって。それに、今日は幸子ちゃんとまゆちゃんが応援してるからね!」

幸子「まあ、それは言えてますね! カワイイボクが応援すればどんな球団でも日本一ですよ!」ドヤァ

まゆ「うふふ……幸子ちゃんはカワイイですね。まゆ、幸子ちゃんみたいな妹が欲しかったです」

友紀「妹かー。幸子ちゃんもまゆちゃんも一人っ子だっけ?」

幸子「はい、一人っ子ですよ」

まゆ「ですねえ」

友紀「私はお兄ちゃんがいるから、妹なんだよねー」

幸子「なんか、意外ですね。たまにお姉さんっぽいところがあるので」

友紀「たまにとはなんだね。ほら、お姉さんの膝に座らせてあげよう」

幸子「わっ。お酒くさいですよ、もう」

友紀「まあ、事務所の子たちみたいに良い子ではなかったけどね」

友紀「みんな年齢の割にしっかりしてる子が多くて、すごいなーって思うわけよ」

友紀「ここに座っている幸子ちゃんとかね」グリグリ

幸子「ちょっ、友紀さん! ボクがカワイイからって、そんなにくっつかないでください。まったく……」

友紀「その割に嬉しそうじゃん。もっとお姉さんに甘えてもええんやで?」

幸子「なんですかその口調は……」

友紀「あっはっは。で、話戻すとね、皆しっかりしてて『ごめんなさい』が言える良い子っていう話」

友紀「私が千佳ちゃんくらいの年齢なんて、ちゃんと謝れなかったからね」

まゆ「どんな風だったんですか?」

友紀「何かにつけて『新井が悪い』って言ってたね」

幸子「酷すぎる」

友紀「まあ、それは冗談だけど。年下の子がしっかりしてるんだから、私はお姉さんとして頑張らないといけないな、と思うわけよ」

幸子「えっ」

まゆ「えっ」

友紀「……お姉さんなのー! 幸子ちゃんだって、さっきはお姉さんらしいところもあるって言ったじゃん!」

幸子「たまに、とは言いましたけど」

友紀「なんだとー! 姉特有のくすぐりをくらえっー!」

幸子「ひゃっ!? ゆ、友紀さん!ひゃ、ひゃめ! あっははは!」

まゆ「うふふ……仲の良い姉妹みたいですね」

友紀「それ言うなら、まゆちゃんも結構お姉さんじゃない?」

まゆ「そうですか?」

幸子「そ、そうですね……こ、小梅さんや輝子さんも……お姉さんっぽいと……」ゼイゼイ

幸子「ボクも……そう思いますし……」

まゆ「なんだか照れちゃいますね。まゆが幸子ちゃんのお姉さんだなんて」

友紀「お姉さんが二人いる幸子ちゃんは幸せだね!」

幸子「ま、まあそうかもしれないですね」

友紀「照れるな照れるなー。カワイイ奴めー」

まゆ「まゆと友紀さんが、幸子ちゃんのお姉さん……じゃあ、3姉妹ですね」

友紀「だねー。そうなると……」


まゆ「まゆが長女ですね」
友紀「私が長女だねっ」

まゆ「……あら?」

友紀「んっ?」

まゆ「まゆが、一番お姉さんですよね?」

友紀「いやいや、一番歳上なのは私でしょ」

まゆ「一番しっかりしてるのは、まゆですよ?」

友紀「まゆちゃんは、ポンコツ次女だって」

まゆ「友紀さんは、やきうのお姉ちゃんであって、長女っていう柄ではないですよぉ」

友紀「抜けてる次女に、なんだかんだしっかりしてる長女。これが勝利の方程式だって」

幸子「あ、あの……どっちでもいいと思いま」

まゆき「「は?」」

幸子「すいませんなんでもありません!」

幸子(なにもないから忘れかけたのに、ここで効き目が出るんですか!?)

幸子(ということは……)

友紀「私が一番お姉さん!」ググッ

まゆ「まゆです!」ググッ

幸子「またこれですかぁ!?」ダッ

続きは24時間後に

幸子「なんでこうなるんですか……うちの事務所、クセありすぎる人が多すぎます……」

幸子「もっとこう……正統派の……普通の……」

美穂「あ、幸子ちゃん。寮に来るのは珍しいね」バッタリ

幸子「美穂、さん……」

美穂「なんか疲れてるみたいだけど、お仕事大変だったの?」

幸子「美穂さぁん!」ダキッ

美穂「わっ、幸子ちゃん? だ、大丈夫? またスカイダイビングとかしたの?」

幸子「正統派キュートに定評のある小日向美穂さん! 匿ってください!」

美穂「え、ええっ? な、何がなんだか……。とりあえず、私の部屋に……」

~美穂ルーム~

美穂「大丈夫? 落ち着いた?」

幸子「はい、ありがとうございます……その」

幸子(思わず美穂さんに縋り付いてしまいましたが、どう説明したものか……)

幸子(家に帰ってしまうべきだったかもしれません。けど、途中で小梅さんに見つかったら……)

小梅『幸子ちゃん、ホラー映画……観よ? い、いや……?』コトワレナイメ

小梅『大丈夫……怖い……? 手、握る……? あっ、反対側は、あの子が……』

小梅『怖がってる幸子ちゃん……カワイイ……』キラキラ

幸子(みたいなことになりそうで……)

美穂「えっと、言いづらいことなら、言わなくても大丈夫だよ」

幸子「えっ?」

美穂「理由はわからないけど、何か大変なことがあったっていうのはわかるから」

美穂「それに、幸子ちゃんが私を頼ってくれたっていうのが嬉しいし……えへへ」

幸子「美穂さん……」

幸子(なんて暖かくて優しい笑顔……この瞬間だけは、一番カワイイの称号を美穂さんにあげてしまいたい……)

美穂「その代わり……私のお願いを聞いて欲しいな」

幸子「お願い……」

幸子「……」ソソッ

美穂「……どうして離れるの?」

幸子「えっとその……経験が危険を訴えていて……」

美穂「もう、変なことはカワイイ幸子ちゃんに頼まないよっ」

幸子「そ、そうですよね! 美穂さんがプロデューサーさんみたいなことさせるわけないですよね!」

美穂「えっとね、服を着て欲しいなって」

幸子「服……ですか?」

幸子「……前に『宇宙』とか『深海』とか付きませんよね?」

美穂「付かないよっ。そういうのじゃなくて、普通の服」

幸子「普通の服をどうしてボクに?」

美穂「その……私だと似合わなくても、幸子ちゃんだったら着こなせるかなって」

美穂「服が悪いわけじゃないと思うんだけど……私がいまいちだから」

幸子「そんなことないですよ。美穂さんの可愛さはボクも認めていますから!」

美穂「ほんと? 嬉しいなぁ……」

幸子「まあ、ボクならどんな服でも着こなせますからね! ギャルだってやりましたし!」

美穂「頼もしいなぁ……えっと、この服なんだけど」バッ

幸子「こ、この服は……!」

(この服)http://imgur.com/yszFAxH

幸子「クソダサクマT……! 殺されたんじゃ……!?」

美穂「……やっぱりダサいんだ」

幸子「あー! えーとですね! センスは人それぞれだと思いますけどね! ボクは好きじゃないですが嫌いじゃないですよ!」

幸子「……ひょっとして、ボクがそれ着るんですか?」

美穂「うん! 私だとダサいかもしれないけど、カワイイ幸子ちゃんならきっと似合うよ!」

幸子「すいませんやっぱりダサいです!」

美穂「そんなぁ! さっきどんな服でも着こなせるって言ったよ!」

幸子「物事には限度がありますよ!」

幸子「というか、美穂さんが着てるから『ダサカワ』に片足突っ込めますけど、これが凛さんとかだったら目も当てられないですからね!」

幸子「そもそも最近の美穂さん、その服着てないじゃないですか! もっと可愛い服だってもってるでしょ!」

美穂「だ、だって初めて宣材撮った時に着ていた服だから、思い出があるんだよ!」

美穂「けど、皆が『美穂ちゃんは可愛いけど、私服のセンスはうん……』って言うから、あんまり着れなくて……」

美穂「自分でも改めて見ると、結構アレかもって思ってるけど!」

幸子「なおさらボクに着せようとしないでくださいよ!」

美穂「幸子ちゃんが着てダサくなかったら、この服が悪いんじゃなくて私が悪いことになるんだもん!」

美穂「思い出を綺麗にしたいっていう気持ちはわかるでしょ!?」

幸子「ボクが着てダサかったら、その思い出は砕けますから! 無理に過去を美化しなくてもいいじゃないですか!」

美穂「お願い! Tシャツだけでもいいから!」

幸子「ダサさの半分はそのTシャツですからね!?」

美穂「……どうしても着てくれないですか?」

幸子「どうしてもです!」

美穂「なら……私にも考えがあります!」

幸子「な、何をする気ですか……」

美穂「幸子ちゃんがこれを着てくれないなら……私、次のデレステSSR衣装はこれにしてもらいます!」

幸子「はぁ!?」

美穂「幸子ちゃんがこれを着てくれなかったばっかりに……」

美穂「皆が可愛い衣装で踊る中、私は一人クソダサクマTでsay☆いっぱい輝く星になりますよ!」

幸子「もう自分でもクソダサなの認めてるじゃないですか!」

幸子(ボクにクソダサクマTを着せることだけが目的に……これも香水の影響ですか!?)

美穂「幸子ちゃんは、口では『ボクが一番カワイイ』なんて言っても優しい子なのは知ってますから!」

美穂「私がこんな服でステージに立つことを黙って見ていられませんよね?」

幸子「う、うう……」

美穂「さあ、どうしますか!」

幸子「ボ、ボクは……」

~次の日~

凛「……」シンダメ

紗枝「……なんでうちはあんなことを」シンダメ

友紀「昨日は酔ってたみたい……部屋で騒いでごめんね……」

まゆ「い、いいんですよ……まゆも、変でしたから……」

美穂「さ、幸子ちゃん……昨日はほんとうに……ツイッターに写真まであげちゃって……ごめんなさい……」

幸子「いいんです……美穂さんを救えたんですから……」

幸子(もう少しで20時になったんだから、それまで粘れば良かったことは忘れましょう……過ぎたことです……)

志希「そーそー。結果はいまいちだったけど、幸子ちゃんが愛されてるっていうのはわかったし、成果はあったよ」カタポン

志希「またモニターよろしくねー……ってプロデューサー? 今から仕事?」

志希「聞いてないんだけど? えっ、スカイダイビングしながら調剤するエクストリーム調剤の撮影?」

志希「そういうのは幸子ちゃんが向いてるんじゃないかなー……ってああ! 首根っこ掴まないでー! 志希にゃんはやさしくあつかってー!」

幸子「因果応報ですね……」


おわり

可愛がられる幸子を書きたかっただけなんです。信じてくださいなんでもしまむら

読んでくれた方々ありがとうございました。

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