これは、セルフプロデュース時代の前川みくが、様々なアイドルとバトルし、そして無残に散り

涙をまき散らしながら舞台裏に引っ込んだ時に放った捨て台詞の記録である


アイデンティティー溢れるそのセリフは

勝負に負けてもファンの皆を飽きさせてはならない

そんな私たちが忘れかけていた姿勢を思い出させてくれるものなのかもしれない

「覚えてろにゃ」

最初期　新人アイドル島村卯月に負けた時



「おまえん家の犬小屋にハチの巣できろにゃ」

渋谷凛に負けたとき



「おまえなんか偶然おっぱい当たっちゃっても全く気にしない素振り見せるプロデューサーに傷つけにゃ」

本田未央に負けたとき

「おまえなんか持ち歌のＢメロだけド忘れしろにゃ」

神谷奈緒に負けたとき



「おまえなんか残機いっこ減っちゃえにゃ」

北条加蓮に負けたとき

「おまえなんか駄洒落言う瞬間だけスッと言えなくなれにゃ」

高垣楓に負けたとき



「おまえなんかギリシャ神話のエッチさにたじろげにゃ」

神崎蘭子に負けたとき

「おまえなんかエレベーターの非常電話ボタンが押せなくなれにゃ」

脇山珠美に負けたとき



「おまえなんか高度に政治的な発言してしまえにゃ」

ヘレンに負けたとき

「おまえなんかシリーズの世代交代直前にハマれにゃ」

横山千佳に負けたとき



「おまえなんか狸に詰め寄られて失神しようかどうか一瞬だけ迷えにゃ」

萩原雪歩に負けたとき

「おまえの好きな映画のＤＶＤ版だけ吹き替え声優変われにゃ」

速水奏に負けたとき



「おまえなんかおっぱいのせいで通気ダクトに詰まれにゃ」

大和亜希に負けたとき

「おまえなんかゲーセンで首傾げる回数多くなれにゃ」

三好紗南に負けたとき



「おまえなんか気が付いたら祀られてろにゃ」

遊佐こずえに負けたとき

「おまえなんか上り坂の交差点に限って赤信号につかまれにゃ」

原田美世に負けたとき



「おまえなんかドラマヒロインと名前被ってドギマギしちゃえにゃ」

小松伊吹に負けたとき

「おまえなんか目撃者がいない時だけ全く転ばなくなれにゃ」

天海春香に負けたとき



「おまえなんか毎回オチ言う前にＡＤに呼ばれろにゃ」

難波笑美に負けたとき

「おまえのたまごっち二度死ねにゃ」

安部菜々に負けたとき



「おまえなんか毎回規則性のある失敗のしかたしろにゃ」

堀裕子に負けたとき

「おまえなんか房中術を辞書で引いてみて叫べにゃ」

浜口あやめに負けたとき



「おまえらなんかセーブデータ片方だけ消えろにゃ」

双海亜美・真美に負けたとき

「おまえなんか月始まって速攻通信速度制限かかれにゃ」

橘ありすに負けたとき



「おまえなんかクラスの男子の日々変わってく反応に戸惑えにゃ」

結城晴に負けたとき

「おまえなんかマッサージエステでいきすぎたサービスさせられそうになっちゃえにゃ」

新田美波に負けたとき



「おまえなんか大吉おみくじなのによくよく読んでみるとさほど良いことが書かれていないヤツ引けにゃ」

藤井朋に負けたとき

「おまえなんかバストサイズの小数点以下に注目し始めろにゃ」

如月千早に負けたとき



「おまえなんか遺書常備してるのバレろにゃ」

白菊ほたるに負けたとき

「おまえなんかギャル語がビジネス用語に変わっていく親友たちに寂しさを覚えろにゃ」

藤本里奈に負けたとき



「おまえなんかチョップの威力に0.7倍の補正かかれにゃ」

緒方智恵理に負けたとき

「おまえなんか自分の知名度とバックダンサーの服装が背広になってる率が比例しろにゃ」

村上巴に負けたとき



「おまえのおでこ暗所で光れにゃ」

水瀬伊織に負けたとき

「おまえなんか元同僚たちに幸せ見せびらかされろにゃ」

川島瑞樹に負けたとき



「おまえなんか自分が喋ってる時だけ強いエコーかかれにゃ」

望月聖に負けたとき

「おまえなんか生卵割った時毎回形成されかかってる肉片混じれにゃ」

三村かな子に負けたとき



「おまえの蔵書発芽しろにゃ」

鷺沢文香に負けたとき

奇妙なのは、前川みくに勝利し捨て台詞を言われたアイドル達が

その後捨て台詞とそっくりな状況に出くわした、と口々に話すことである


三好紗南はゲーセンでの凡ミスが多くなり、安部菜々のたまごっちは二度死に(まめっちが死んだ時、丁度基盤も寿命が来た)

藤本里奈の親友は「チョーコミットメント」と言い始め、如月千早のバストサイズだけ72.5センチと公式に改められ

川島瑞樹の同僚の年賀状には赤ちゃんの写真が貼られたという


前川みくは、それだけ他者のアイデンティティーを洞察することに長けていたと言えるだろう

このように様々な捨て台詞を発した彼女だったが、ある日を境に、前川みくは捨て台詞を言わなくなった

というのも、前川みくには専属プロデューサーがつくことになり、それによって目覚ましい快進撃が始まったからである

それまで積みあがっていた百をゆうに超える連敗記録はどこへやら　それを上回る連勝数をたたき出し

捨て台詞を聞ける機会は皆無になってしまった



しかし先日、かの専属プロデューサーだった彼から連絡があった

連敗最多、連勝最多という二つの記録を樹立し伝説となったシンデレラガール、前川みくが

ものすごく久しぶりに捨て台詞を放ったというので


その発言でもって、この「みくにゃん捨て台詞語録」を締めくくりたいと思う

「おまえなんか雨の散歩から帰ってきたワンちゃんの匂いでウェッてなれにゃ」

愛娘が犬好きになってしまったとき


おわり