夜神月(LIAR GAME……か)(107)

 今更LIAR GAMEにハマり、「夜神月のLIAR GAME見たいな」とかいう安直かつ二番煎じな考えの下、このSSを書くことにしました。

 あまり前置きを長くすると、痛いSS作者だと思われそうで嫌なのですが、少しだけこのSSについて説明させて頂きます。面倒な方は >>2 からお読み下さい。

●原作漫画のゲームとルールを使用させて頂きますが、ルールを把握している既読者向けで、全く新しいゲームも使います。ですが、序盤のゲームは原作準拠ですし、ほとんどゲームを変更するつもりはありません。

●デスノート側の時間軸は、海砂に出会う前で、大学に入学しLとテニスをした後という設定です。LIAR GAMEを行いつつ、デスノートとしての話も展開します。

●秋山と直も登場します。大人数のゲームでは、LIAR GAMEのモブキャラも登場しますが、ドラマ版ではなく、原作準拠です(フクナガだけはドラマ版準拠でも良いかななんて思ってますが)。


 現時点での補足は以上です。>>2 より本編ですので、是非お付き合いください。

月「LGT事務局、ねぇ……」

リューク「何だそのでっけぇ箱は」

月「さあね。僕宛の荷物みたいだ。正直悪戯だと良いんだけど」

リューク「開けないのか?」

月「ここに小さく書いてあるんだよ。LIAR GAMEに参加される場合のみこの箱をお開けください……だってさ。面倒事には巻き込まれたくない。Lの事だって解決してないんだ」

リューク「面白くねぇなあ。何が入ってるか気になんないのか」

月「見たければ見ろよ。リュークなら箱に顔突っ込んで見れるだろ」

リューク「中が暗くて見えないかもしんねーけど……」スウッ

月「……」

リューク「駄目だ見えねぇ」

月(Lの罠か……? LIAR GAME……嘘つきのゲーム。僕が嘘つきだと暗示している……? いや、考えすぎか。しかし、仮にこれがLの罠だったとして、何が目的だ……?)

月(もしLの罠で、僕がこの箱を開けなかったらどうなる。キラだから面倒事を避けるために箱を開けなかったとなるか? ……いや、流石にそれは稚拙すぎる。Lがそんな手に出るはずがない……)

リューク「どうした、月」

月(……まさか、盗聴器か? そんな頭の悪い手を使って来るとは到底思えないが、僕はリュークとも話したし、Lについても言及した。リュークについては最悪友人だと誤魔化せるか……? くそっ。こんな箱程度に惑わされるなんて……)

リューク「おい月、どうしたんだよ。まさかまたカメラが付けられてたりすんのか?」

月「……やっぱり開けようか」ガサガサ

リューク「お、何だ開けんのか」

月「……!?」

リューク「……ククク! 凄いじゃないか月。一瞬で大金持ちだ」

月「……何だこれは……」

――――――――――

LIAR GAME 参加 ありがとうございました
この箱を開封したことであなたは正式に
LIAR GAME 参加の意思を表明したことになります
ENTRY取り消しはもうできません
同封の一億円は LIAR GAME一回戦での
あなたの持ち金(マネー)となります
大切に保管くださいませ

――――――――――

月(盗聴器の気配はない……。いや、それどころじゃないなこれは……。まさかこんな物が入っているだなんて……)

リューク「どうすんだ月。エントリーは取り消せないってよ。クックック」

月「リューク、監視している人間とか、カメラとか盗聴器。この周辺をくまなく調べろ」ボソッ

リューク「何だ、これはLの仕業なのか?」

月「……」ギロッ

リューク「はいはい分かったよ。ったく良いように使いやがって」バサッ

月(LIAR GAME……か)

――――――――――

ここでライアーゲーム一回戦のルールについて簡単に説明します
――といっても難しいルールは一切ありません
ただ対戦相手から「マネー」を取り合うだけのゲームです
いかなる手段を使っても構いません
対戦相手からマネーを奪ってください
これは双方同意のゲームですからマネーを奪う行為事態に何ら犯罪性は問われません ご安心を
対戦は一対一
あなたの対戦相手は追ってこちらからご連絡します
対戦相手が決まったら30日間がゲーム期間です
30日後のゲーム終了時点で所有するマネーの多い方が勝者です
ゲーム終了後 事務局がマネーを回収に参ります
そのときに回収するのは――
ゲーム開始時に二人に渡されたマネー
BGL00585KKからBGL10584KKの番号のついた一億円
回収に参った当局局員にその場でプレイヤーが速やかにマネーを返却してください
もしあなたが相手のマネーを奪う事に成功していれば 当然 余剰金がはっせいしますが
それはそのままあなたの賞金となります
つまり今回の対戦であなたは――
最高で一億の賞金を手にする事ができるのです
しかし逆にマネーを減らした場合
借金をしてでも不足分のマネーを弁償していただきます

――――――――――

リューク「監視カメラも、盗聴器もナシだ」

月「……人は?」

リューク「おいおい、俺が何でも教えると思うなよ。前のFBIの時は俺が気分悪かっただけだ。俺はお前の見方でもなんでもない」

月(……まあ良い。わざわざ隠して公正を装うって事は、居た可能性が高いと見て良いだろう。カメラや盗聴器が無かっただけマシだ。どうにせよ、気を配っておかないと)

リューク「それで、何なんだその大金は」

月「……一億円を奪い合って、勝ったら賞金、負けたら借金って所かな。つまり、詐欺の真似事をしろって事だろう」

リューク「参加しちまったんだろ? どうすんだ」

月「どうもしないよ」

リューク「どうもしない?」

月「何もせずに、ゲーム終了を待つんだ」

リューク「そんなんで良いのか?」

月「良いんだよ。僕の場合は、お金なんて要らないからね」

リューク「ほう」

月「このゲーム、最後に回収されるのは一億円だ。対戦相手に接触せず、一億円を守り抜けば良い。そうすれば、何事もなくゲーム終了だ」

リューク「勝ちもしないし、負けもしないと」

月「そう。変に動いて、Lの罠だったら困るからね」

リューク「……ま、面白くは無いが、仕方ねぇか」

月(……問題なのは対戦相手だな。僕の名前は検索すれば出てくる……。好戦的な相手だったらどうするか……)

リューク「なあ月。ゲームしようぜ」

月「いや待てよ、このゲーム……」

リューク「あん?」

月「硬直状態になるより、少しだけ動いてみようか」

リューク「何をするんだ?」

月「普通の人間がこの状況になったらどうすると思う?」

リューク「……まあ、落ち着いてはいられないんじゃないか?」

月「そう。だから僕が落ち着いているのはかえって怪しい。まあ、僕の場合は恐らくどんな状況でも平静を装えるとはおもうけどね」

リューク(……どんだけ自分に自信があるんだ)

月「でも、父さんに相談するくらいが、普通の学生なんじゃないか。運良く、父さんは警察だ」

リューク「警察に持っていくって事か?」

月「……確かにそうだけど、父さんに直接持っていかなきゃ駄目だろう。普通の警察はまずこのお金を預かるだろうからね」

リューク「……なるほどな。手元に無いと困るって事か」

月「そう。でも父さんなら話が通じる。もしかしたらLの所にも伝えられるかもしれない」

リューク「Lがこの状況を知るのは、月にとって得なのか?」

月「いいや、得でも損でもない。だが、もしかしたらLがこのゲームに対して動いてくれるかもしれないだろう? 一億円を平気でバラ撒く組織だ。Lだって放ってはおけないだろう」

リューク「……」

月「問題はタイミングだな……。焦ったように今すぐ行くべきか、しばらくしてから困り顔で行くか。まあ、それはどちらでも良い」

リューク「……ライアーゲームは、嘘つきの遊びって事だろ?」

月「そうだよ。それがどうかした?」

リューク「……お前、向いてるだろ」

月「まさか。僕は人を傷付ける嘘をつかない、善良な一般市民だよ」

リューク(……クックック。名探偵と壮大な騙し合いをしておいて、よく言うぜ)

――――――――――

??「どうしよう……レム」

レム「何もしない方が良いんじゃないか? 海砂はキラとか言う奴に迷惑をかけたくないんだろう? だったら下手に動いて借金でも背負って、デスノートの存在がバレたら大変じゃないか」

海砂「そうよね……。はぁー……迂闊に開けるんじゃ無かったなぁ……」

レム「……あんまり油断してると、命取りになるぞ」

海砂「そうだよね……」

 カタンッ

海砂「あれ、何か届け物かな……」スッ

 ガサガサ

海砂「事務局から……! 対戦相手……」ガサッ

レム「……夜神、何だ。ツキか?」

海砂「……!」

レム「……海砂?」

海砂「……ねぇレム、凄いよ。もう最高。……この人…………キラだ」

とりあえずここまでで。
参加するだけでこんなに気を詰めてたら、後半辛い気がしてきた……。

期待

>>12
ありがとうございます。

――――――――――

月「何だ、有名人なのか」

リューク「どうした」

月「弥海砂。検索するだけ無駄かなとも思ったけど、最近人気が出始めたアイドルらしい」

リューク「ほう」

月「ただ、これは好都合だ。向こうもあまり悪目立ちはしたくないだろうからね。運が良ければ、あっちから接触してくることもないかもしれない」

リューク「なーんだ、つまんねぇの」

月「とりあえず、心配はいらなそうだ。さて、学校に行かなきゃ」

リューク「……ま、あのLとか名乗った奴の方も面白いから良いか」

月「……」

――――――――――

L「……さすが夜神くん、負けました」

月「僕も久しぶりに本気を出したよ、流河。喉も渇いたし、流河に頼みたい事もあるから、この後お茶しないか?」

L「ゲームに負けた事ですし、聞けることなら聞きましょう。しかし、その話を聞く前に、私もひとつ言っておくべき事があります」

月「何?」

L「……私は本当は夜神くんを、キラじゃないかと疑っているんです。それでも聞ける事なら何でもお聞きします」

月「……ははっ、僕がキラ?」

L「いえ、疑っていると言っても1%くらいです」

月(1%くらい、か。0%ではないのだから、僕が捜査本部の者に会わせろと言っても駄目だと言う。釘を先に刺されたって事だ。……やられた)

L「とにかく、キラ事件の事を話すには人が多すぎます。二人になれる場所に移動しましょう」

月「ああ。こんなテニスまでしてより目立ってしまったみたいだしね」

――――――――――

海砂「月って書いてライトって読むのかー。なんか素敵。それにしてもすごいな、夜神月」

レム「……」

海砂「中学2年・3年とテニスの全国大会で優勝。今年は東応大学の入学式で新入生代表の挨拶」

レム「頭が良いって事か。それで、どうするんだ。金を奪いに行くのか?」

海砂「ううん。そんな事したら困っちゃうでしょ」

レム「まさか明け渡すつもりか?」

海砂「借金は流石に……。でも、対戦相手が同じノートの所有者って分かれば、月さんも安心できるんじゃないかな」

レム「……」

海砂「明日、会いに行ってみるよ」

――――――――――

L「捜査本部の者に会わせないなんて、そんな事一度も言ってませんよ? 今、私は捜査本部で夜神くんのお父さん達と共に捜査をしています。その捜査本部に夜神くんを連れていけば捜査に協力して頂ける。そう解釈していいんですね?」

月(……! 何考えてるんだこいつ……)

 ピピピ

L「失礼します。……どうした?」

 ♪♪♪

月「あ、僕も……」

L「……!」

月「……!」

L「夜神くんお父さんが……」

月「父が心臓発作……」

L・月「まさかキラに!」

――――――――――

月「……父さんがああ言うんだ。多分、あいつはLで間違いない」

リューク「なら、もう殺すのか?」

月「いや、すぐには動かない方が良いだろう。一応、倒れた父さんを心配し、キラに対するプロファイリングも、あえてLが考えたであろうものに近付けた。それだけで今は十分だ。余計なことはする必要はない……」

リューク「……そんな事してたのか」

月「しかし、父さんが倒れたのは少し面倒だな」

リューク「何がだ?」

月「ライアーゲームだよ。一億円。今この状況で父さんに相談できる訳がない」

リューク「……ああ、なるほどな。じゃあどうすんだ。普通に警察へ行くのか?」

月「いいや、もう誰にも言わずに黙っておこう。仮にこれがLの罠だとして、父さんが倒れるなんてイレギュラーのせいで崩れたと思ってもおかしくはない」

リューク「……じゃあ、完全に動かなくなるってか」

月「……そういう事になるな」

月「ゲーム開始が、対戦相手の決まった今日からだから、ゲーム終了は5月の6日。ゴールデンウィークが終わってすぐの平日だ。そこまで奪われないようにしなきゃ。僕は学校で家に居ない事がほとんどだから」

リューク「デスノートと同じ隠し方をすれば良いんじゃないか?」

月「……大きさを考えろ。一億円なんてどこに隠せる。しかも、この一億は返済しなきゃいけない。燃やしちゃ駄目なんだよ」

リューク「ああ、そうか」

月「やはり一番安全なのは貸金庫か……。しかし、銀行も安心出来ない。Lなら銀行くらい開けてしまいそうだ」

リューク「なんだ、やっぱりこれはLの仕業なのか」

月「もしもの話だよ。多分これはLとは関係ないだろうが、僕はボロを出すわけにはいかないんだ」

リューク「面倒事が増えた、って感じだな」

月「全くだ」

月「仮に僕が銀行に預けたらどうなる。たとえLが金を出さずとも、一億を預けたことが知れたら……」

リューク「急に一億円なんて、普通は手にしないだろうな」

月「……待てよ、だったらLに頼めば良いんじゃないか?」

リューク「……おいおい、良いのかよ。殺す相手を頼るなんて」

月「必要以上にLに気を配るより、Lにこの状況を伝えてしまった方がてっとり早いかもしれない。Lにバレる前に、バラしてしまおう」

リューク「大丈夫なのか?」

月「もしLが仕掛けた罠なら、自分の事を頼るなんて、もしかしたら夜神月はキラでは無いのかと考える。考えなくとも、父さんと謎のゲームで心が痛んでる印象を植え付けられればそれで良い。Lの罠でなくても、それならそれで、協力を仰げるだろう?」

リューク「……一応、損は無いってか」

月「ああ。むしろ得の方が多い」

――――――――――

月(二日目も終わる……。弥海砂の動きはナシか。学校に来られると困るが、あっちは芸能人だ。流石にそこまではしないだろう……)

リューク「なあ月。結局いつLに一億円の事を言うんだよ」

月「焦る必要はないよ、リューク。今はまだ父さんの心配をしている素振りを見せておかなきゃ。それに、わざわざこちらから会いに行って相談するのも急に距離を詰める感じで怪しくなる。今日は学校で会う事もなかったし、Lにたまたま会った時にするよ」

リューク「……気長に待てってか」

月「そういう事だ」

 ピーンポーン

月「……珍しいなこんな時間に。宅配か?」

粧裕「お兄ちゃーん。お友達が忘れたノート持ってきてくれたよーっ」

月(ノート……?)

 ガチャッ

月(……っ! 弥海砂!)

海砂「は……初めまして。弥海砂です」

月「えっと……確か対戦相手の……」

海砂「はい。ライアーゲームで……」

月(……家には母さんと粧裕がいるし、結構華奢な子だ。今日強奪されることはない……か)

海砂「あの……」

月「……あがっていけよ」

海砂「えっ、部屋に入れてくれるの?」

月「……母さん。わざわざ届けてくれたんだ。お茶か何か」

幸子「えっ、あっ。そうね。いらっしゃい……」

粧裕「あ……あの人が例のお兄ちゃんの彼女?」

幸子「ま、まさか……。冗談やめてよ粧裕」

――――――――――

月「座って」

海砂「あ、ありがとう」

月「……君は、どうしたい。一億円を僕から奪うのか、何事もなくゲーム終了まで持ちこたえたいのか」

リューク「ククク……」

月(……?)

海砂「えっと、出来れば借金を抱えずに、終わりたいです……」

月(……まあ、普通の考えだ。奪おうという意思も感じられないし、この子だったら何事もなく終われるかもな……)

海砂「……あの、ゲームの話と、あともうひとつ伝えたい事があって来たんです……」

月「ん? 伝えたい事?」

海砂「……あなたが、キラですよね?」

月「……っ!?」

リューク「クックック……」

月(まさか……これも含めてLの罠か? だとしたら相当キラを馬鹿にしている……)

リューク「どうするよ月。当てられちまったな」

月「……っと、どういう事かな? キラって、あの殺人犯を裁いてる?」

海砂「あ、目の取引はしてないんですね」

月(目……!? こいつまさか……)

海砂「死神の目を持つと、人間の寿命と名前が見ることができる。でも、ノートを持っている人間だけは寿命の方が見えないんです」

月「……何の、話かな?」

海砂「……信じて、貰えないですかね。えっと、じゃあ証拠を……」スッ

月(……ノート!)

海砂「触ってください。死神を見れば、私が所有者だって信用しますよね?」

月「……」サワッ

レム「……」

月(……死神!)

月「……死神の目にはそんな使い方もあったのか」ジトッ

リューク「いや……そこまで詳しく知らなかったし。俺……」

月「君はキラの味方か? それとも敵か……?」

海砂「味方です……。私はあなたの目になる。……だから」

月「……だから?」

海砂「……彼女にしてください」

月(何を言い出すかと思えば……。しかし幸運だったのは、こいつがキラらしい動きを一切する前に接触でき、味方に取り込めた……。本当にこいつが僕の味方なら、相当運が良い)

海砂「……」

月「駄目だ。僕はLにマークされている。妙なゲームで知り合った女性と突然付き合い始めたと知られたら、深く調べられて、君の方からキラとしての情報がバレるかもしれない」

海砂「マーク……すごい。Lってもうそんなに分かってるのね」

海砂「……でも、これからはあなたの言う通りに動けば捕まらない。そうでしょう?」

月(……本当に運が良い。恐らく、まだLはこの顔だけで殺せる二人目のキラの存在に気が付いて居ない……。これは使える。だが、一応念を入れておこう……)

海砂「……」

月「何故僕に協力する? 危険なだけだ。キラに協力する理由もだが、恋人になりたいだなんて」

海砂「……私の両親は、強盗に殺されました。犯人は捕まったけど、裁判は長引いて……冤罪の見方まで……。そんな時、その犯人を裁いてくれたのはキラ。私にとってキラは、絶対的な存在……。あなたに利用されるだけでもいいの。信じて……」

月「……」

海砂「……」

月「わかった。彼氏にはなれないが、振りはしてあげられる。残りの寿命を半分にした、君の目は武器になる」

海砂「……ありがとう。好きになってもらえる様、がんばる」

――――――――――

月「便利な駒が出来た。ライアーゲームは無傷で終えられ、Lも殺せる。僕はどうやら、とても運が良いらしい」

リューク「Lを殺したらどうするんだ」

月「そうだな……。今回は一回戦らしいし、Lを二回戦までに殺せたら、参加を続行してみようか」

リューク「本気か?」

月「……冗談だ。僕には新世界の神になるという役目がある。ライアーゲームだって、言わば犯罪の助長。新世界には不要な存在だ」

リューク「……だが、参加しなきゃ正体は掴めないんじゃないか?」

月「そうだ。だから僕はライアーゲームについては一旦諦める。本当に僕が神になったときに、世に晒してやるさ」

リューク「ククク……楽しみにしてるぜ」

――――――――

ワタリ「夜神邸に動きがありました」

L「動き?」

ワタリ「夜神月の恋人でしょうか。女性が夜神邸入って行くのを、模木さんが確認したそうです」

L(恋人……。父が大変な時にか? いや、夜神月の意思に反して、勝手に会いに来ただけかもしれない。それに、心の拠り所として恋人に頼るということもありえる……)

ワタリ「それで、もうひとつ。少し面白い事が分かりました」

L「面白い事?」

ワタリ「竜崎が過去に拠点を暴いたものの、その事実を揉み消されたあの組織が、また動いています」

L「……まさか」

ワタリ「ライアーゲーム。夜神月もエントリーされたようです」

まだ現段階だとデスノートの世界観が強いですね……。頑張って削りながら書いてます。
海砂とレムが月の名前を読めてませんでしたが、ライアーゲームの対戦相手通知には振り仮名がついてるので、ちょっとミスです。
早く少数決いきたい……。

面白そうだけど途中でぐだぐだになってエタりそう

――4月22日――

L「ご退院おめでとうございます、夜神さん」

松田「本当驚きましたよ局長。心配させないで欲しいです」

相沢「お前はもっと労え松田」

総一郎「いや、すまない。どうにも根を詰めすぎてしまったらしい」

L「もうしばらくご自宅で休まれても構いませんよ? いえむしろ、休んで下さい」

総一郎「……どういう事だ?」

L「いえ、少し息子さんとお話しして欲しいんです。入院中にも話されたかとは思いますが、少し近況報告でも聞いてみて下さい」

総一郎「……それは、キラかどうかを見定めろという事か?」

L「今回はそうじゃないです。むしろキラの話にこちらから触れるような事は避けて下さい。狙いは後日にお伝えしますが、くれぐれも息子さんに怪しまれないように……」

総一郎「……」

L(……夜神月にはライアーゲーム参加者であることを自白させたい……。だが、こちらからライアーゲームについて聞くのは良くないだろう。尾行や、情報網の広さを露呈する事になる。夜神月がキラであろうとなかろうと、面倒事は避けたいはず。ならば警察に相談するのが最も普通の選択だ。しかし夜神月の父親は警察官局長……。下手に警察に行くより、父親に相談したいと考えたのか、これまで全くライアーゲーム関連の動きを見せない。女性が家に上がった日から、全く変化のない日常。その家に入った女性は弥海砂というアイドル……。対戦相手だったそうだが、ライアーゲームで双方で戦意が無いということを確認し合ったのか……? だから警察にも届け出ず、父の退院を待った……。辻褄は合う。ここからキラに繋げるのは難しい……か)

総一郎「私は何を聞き出せば良い」

L「適当に話して頂ければそれで構いません。変わった出来事が無かったか聞いてみて下さい」

総一郎「……」

L「……余程の事でなければキラかどうかの判断には繋がりませんよ。退院したばかりの方に、そんな荷を負わせるような真似は、流石の私でもしません」

――――――――――

月「お帰り。父さん」

総一郎「ああ、ただいま。幸子と粧裕はどうした? 居ないみたいだが」

月「夕飯の買い物に出てるよ。母さん、父さんが帰ってくるからって、張り切ってた」

総一郎「そうか……。それは嬉しいな」

月「……」

総一郎「……なあ、月」

月「ん、何?」

総一郎「最近変わった事とか、無かったか?」

月「変わった事……? 別に無いよ。父さん」

総一郎「……」

月「……ああ、でも。ちょっと相談したい事があるんだ。入院中であんまりそういう話が出来る雰囲気じゃ無かったから……」

総一郎「相談?」

月(ライアーゲームについて言っておくか……。別にこれを話した所で、僕がキラだという事にはならないだろうし、むしろこの面倒なゲームから抜けられる筋を期待できる)

総一郎「……何かあったのか?」

月「ちょっと、部屋に来て見てほしいんだけど」

リューク「良いのか? お前、部屋に人が入ったのを確認するために色々やってるじゃないか。自分から人を入れちまうなんてよ。まあデスノートが見つかる事は無いだろうが……」

月(良いんだよ。余計な事を言うなリューク。部屋に入れれば、何も部屋に隠していないという印象が生まれる。その小さな印象の積み重ねが大切なんだ)

総一郎「……部屋? 何か壊れたのか?」

月「いや、壊れたら自分で直せるよ。そうじゃなくて……」

 ガチャッ

月「……一億円が届いたんだ」

総一郎「……一億円っ!?」

平日はあんまり書く時間ないし、土日に書き溜めて小分けで出そうかな……。
LIAR GAME の作者もデスノの作者も頭良すぎないっすか……。

>>29
ならないよう頑張ります(^_^;)

おつ

ライアーゲーム知らないけど面白そう
期待乙

――――――――――

L「初日から聞けましたか……。良かったです」

総一郎「……知っていたのか?」

L「息子さんがあのゲームに参加している事は知っていました。夜神さんには息子さんの口から直接それを聞き出して頂きたかったんです」

総一郎「……何故だ」

L「ライアーゲームを潰したい。そして、キラも潰したい。息子さんがキラであれば、こちらが尾行や監視をバラすのが命取りになります」

相沢「まだ疑ってたのか竜崎!」

L「疑ってますよ。模木さんに尾行を頼みました」

模木「……」

相沢「……何で引き受けたんだ」

総一郎「良いんだ、相沢。疑わしい者は調べるべきだろう。たとえそれが私の息子であってもだ」

相沢「局長……」

L「一回戦が始まった日から考えて、ゲーム最終日は5月の6日。月くんにはライアーゲーム二回戦にも参加して貰うよう私から説得します」

相沢「ゲームを続けさせるのか!?」

L「ええ。決勝戦まで行って貰います。私が月くんの代理で参加しても構わないのですが、生憎今はキラ事件でそれどころじゃありません。それにこれは、月くんがキラかどうかの判断材料にできます」

松田「どういう事ですか?」

L「ライアーゲームでは、プレイヤーが事務局に数日間拘束される事があります。この間月くんは、あまり自由には動けないでしょうから、キラの殺しが減ってしまえば、月くんはキラである可能性が非常に高くなるのです」

松田「なるほど! カメラを仕掛けた時と同じ方法ですね」

L(……この程度じゃ夜神月がボロを出すことは無いだろう。だが、ライアーゲームを潰す人材としては使える。まずは一回戦を勝って貰う必要性があるが、あの夜神月の事だ。流石に一回戦で負けるようなヘマはしない……。恐らく引き分け……)

――――――――――

月「断るよ。僕には荷が重い。一億円を平気で人に渡す組織の内部を探るためにゲームに参加するなんて」

L「月くんの頭脳を信頼して頼んでいるんです。ただ、勝ち残ってくれればそれで構いません」

月「……弥さんとは、もう互いに奪い合わないという事で決着がついた。一億円を返済して終了だ。大体、流河が自分で行けば良いじゃないか。組織を探りたいなら僕に頼むより、そっちの方が」

L「今はキラの方が重要ですから。月くんがライアーゲームで負けた場合、その借金は全て私が肩代わりします。どうでしょう」

月「……流河がそこまで人に頼むのは、珍しいのかもしれないな。それは嬉しいんだけど、でもやっぱり、参加するのは嫌だ。僕が勝ち続ければ、負けて借金をする人が多く出る」

L「お気になさらず、その方達の借金も負担しますから」

月「……!」

月(こいつ……僕がキラだと疑った上で条件を出している。組織を潰したいのはどうやら本当の様な感じはするが、それと同時に、どうしても僕に参加させて、ボロを出させたいらしい。……僕がライアーゲームに参加した途端、キラの殺しが偏るとでも思ったのか……? お前は気付いていない。今の殺人の半分を海砂がしているという事にな……)

L「借金がなく、敗者も負担がない。……勿論、月くんが参加してくれたらの話ですが」

月(……目立ったり、疑われるような危険な行動をしたくない限り、勝てば大金が確実に手に入り、負けても何もないなんてそんな良い条件を呑まないはずがない。……余計な事はしたくなかった前の僕なら、どうにでも理由をつけて断っていただろう。だが、今なら、キラの裁きを僕が行わずにいられる。勿論、海砂にやらせ続けるのは不安だ。しかし、L。お前が二人目のキラの存在に気付かない限り、キラが顔と名前がなければ殺せないと思っている限り、僕がキラだと証明することはできない! ……それだったら、あまり固執して断るより、少し柔軟に動いた方が疑いが減るだろう)

L「……まあ、二回戦に進めたらの話です。弥海砂が裏切らなければ進めるでしょうが……。一回戦はまだ残り一週間程あります。ゴールデンウィークも挟みますし、ゆっくり考えてみてください」

月「……分かった、考えておくよ」

一億円の奪い合いとは関係無い所でこの密度(´・ω・)
一回戦はそろそろ終わると思います。
原作二回戦を読み返し中……。

>>35 >>36 >>37
 ありがとうございます!m(_ _)m

おつ

――――――――――

L「夜神さん。奥さんや娘さんは一億円の事をご存じないんですか?」

総一郎「……? 多分、知らないんじゃないか」

L(ライアーゲームの参加者は、独身かつ一人暮らしが多い。夜神月は独身だが、家族がいる。家族が一億円を開けてしまう可能性を事務局は考えなかったのか? ……いや、もし考えてたとしたら、夜神月をわざわざゲームに入れるため、危険を犯してまで警察の息子である者でもエントリーした……?)

相沢「確かに、月くんだけをエントリーするにしても、あんな怪しい小包、家族が見てしまう可能性もあった……」

松田「あっ、言われてみれば」

L「……もしかしたら、ライアーゲーム事務局には、どうしても夜神月を参加させたい理由があったのかもしれません」

総一郎「参加させたい理由?」

L「……私が月くん個人を、キラとして疑っていることが、事務局にはバレてる可能性があります」

相沢「……! どういう事だ竜崎!」

L「あくまで仮説です。事務局が私を引きずり出すために月くんを使っていたのだとしたら、事務局は、私の所在も行動も思考も把握している可能性が高いと思います。……もしかしたら、私が事務局を潰そうと動いた事なんて、忘れられてるかもしれませんが。そうだとしたら、私の考えすぎということになります」

松田「だったら月くんを送り込まない方がいいんじゃないんですか? 竜崎、それだとピンチじゃないですか」

L「……いや、月くんにはライアーゲームを探ってもらいましょう。私は今、キラと戦っているべきなんです。もっとも良い策は、やはりキラの可能性がある月くんをライアーゲームに参加させ、月くんがキラか否かをはっきりさせた上でライアーゲーム事務局を潰す……」

総一郎「そう上手くいくのか?」

L「……それは、息子さんがキラであると証明できるか、という事ですか?」

総一郎「……っ」

L「……冗談ですよ。私も月くんはキラでないと信じたいですし、少しそんな気がしてきました。月くんを送り込むのは、事務局を潰すのが大きな目標です」

――――――――――

 コンコン

藤沢「……! 神崎! お前今さら何の用だ……」

直「……」ズッ

藤沢「……っ!?」

直「五千万あります。このゲームでのあたしの取り分全額です」

藤沢「……お前」

直「剃れ全部使って下さい。先生の負債の半分しか埋められないけど、だから……ひとつ約束して下さい」

藤沢「……」

直「人間なんて信用できない……なんて。そんな悲しい事、二度と言わないで下さい」

藤沢「……っ! ……ああ、約束するよ……」

これにて一回戦は終了です。
二回戦から、ゲームとしての騙し合い……。
矛盾とか出ないようにしないと……。

>>43
 ありがとうございます!

追い付いた
期待

直ちゃんとミサミサが同一人物な件

戸田恵梨香無双なんだよなぁ

――――――――――

月(一回戦は予定通り引き分けで終わった。僕は結局二回戦に参加することとなったが、海砂にはリアルタイムで名前と顔が放送された犯罪者の裁きをやってもらっている……。ほとんどの殺しは僕のストック分……キラが変わった事なんて気付くはずがない……。前の監視と合わせて、僕の無罪が完全に証明される……)

レロニラ『皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。私がこのゲームのディーラーです。“レロニラ”と呼んでください』

月(勝ち上がって事務局の内部を探れ……。勝ち上がったところで事務局の正体なんて掴めるのか定かじゃないが、やってやるよ。僕の疑いは晴れ、Lからの信頼も得られる……。そのために本気で望んでやろう……。まずは事務局、そしてその次はL……)

レロニラ『ではこれより、ライアーゲーム二回戦を始めさせて……』

???「待ってくれ! 俺も参加する!」

直「……! 秋山さん! どうしてここに!?」

月(……秋山?)

秋山「しっ、説明は後だ」

リューク「おっ、あいつって確か、この前お前が殺すのを止めた奴じゃないか」

月(覚えてたのか……リューク)

――――――――――

月《マルチ組織を壊滅させた詐欺師……》

リューク《殺さないのか? そいつも犯罪者なんだろ》

月《……いや、いいよ。この秋山とかいう男、詐欺師は詐欺師で確かに犯罪者だが、行った詐欺はこの組織潰しだけ。むしろ善行じゃないか。今は殺す必要はないな》

リューク《ほう、お前でも殺さない犯罪者がいるのか》

月《まだ殺さないってだけだ。いずれ世界が僕の思う方向に完全に傾いたら、この男だって殺すよ》

――――――――――

リューク「天才詐欺師が嘘つきゲームに参戦か……。ククク、殺しとけば良かったなぁ、月。相当な強敵になるんじゃないか?」

月「……」

二回戦始まりました。フクナガどうしよ。

>>46 「剃れ」になっとる……

>>48 ありがとうございます。

>>49 い、今なら佐野ひなこさんで役者が被らないじゃないですか……(小声)

レロニラ『では、まず簡単に二回戦のルールを説明します。前回同様、皆様の手元には既に一億円が配られております』

月(……配られている、となるとこのネームプレートか?)

レロニラ『ネームプレートをご覧下さい。そこに埋め込まれているピンクダイヤモンド三カラット。その一粒で一億円相当になります』

リューク「こんな小せぇ物が一億もすんのか。人間の価値観ってのはよくわかんねぇな」

レロニラ『二回戦では、そのネームプレートをマネーとして使用します。つまり現在、この会場には二十二億円がある状態です。この二十二億を、二十二人のプレイヤーで取り合って貰います』

月(……また取り合いか)

レロニラ『と言っても、力ずくで奪い合いをやれというのでは御座いません。あるゲームをやっていただきます。負けた者は順次退場、所謂負け抜けゲームですね』

月(負け抜け……)

レロニラ『負けたら一億円のロスト。負けたプレイヤーは退場の際場に一億円を置いて帰ってもらいます。……ふふふ、おわかりですね』

レロニラ『ゲームが進むにつれ、敗者が抜け、人数は減っていく。しかし、場の二十二億は変わらない。そして、最後に残った者は場の二十二億を総取り出来るのです!』

月(……二十一人が敗者って訳か。厳しいゲームだな)

レロニラ『まあ、最初に貸し付けた一億は返してもらうので、実際に手に出来る賞金は二十一億ですが……。ふふふ。二十一億円ですよ』

直「あの、敗者はどうなるんですか……?」

レロニラ『……特には何もございません。ただ、最初にお渡しした一億円をお返しいただくだけです。我々は必ず回収します。いかなる手段を使ってでも……。それがライアーゲームのルールなのです』

秋山「考えてる事はみんな同じだ。勝ったときの事を想像してる奴なんか、誰もいない。感じてるのは負けて一億の借金を背負う恐怖だけだ」

レロニラ『それでは、ゲームの内容について説明いたします。これから貴方がたにやって頂くゲーム、それは……』

レロニラ『少数決です!』

月(……?)

レロニラ『皆様、多数決はご存知でしょう? 会議や選挙の時に決を採る為に行うものです。民主主義が跋扈する現代は、まさに多数決の時代。常に多数派が主導権を取り、少数派は不利な立場に追いやられる。しかし今から貴方がたの行うゲームは、全くの逆。多数派が死に、少数派が生き残る少数決ゲーム!』

月(……流石に普通のゲームではない、か。嘘つきゲームだなんて言うくらいだ。平凡なゲームじゃ拍子抜けだろう)

レロニラ『では、少数決のやり方を簡単に説明しましょう。まず、二者択一の問題が出題されます。それに対し、貴方がたプレイヤーはイエスかノーかの答えを投票します。全員が投票し終わったら開票。その結果、少数派になる回答をした方が勝者です。勝者はそのまま勝ち残り、次の投票に進めますが、敗者はそこでゲームセット。ネームプレート、つまり、一億円を場に置いて退場してもらいます。当然同数というケースも生じるでしょう。十一対十一とかです。その場合その投票はノーカウント。もう一度投票はやり直しとなります。この要領で投票は繰り返され、勝ち残りが一人か二人になるまでゲームは続きます。二人以下では少数決は出来ませんからね。賞金は一人残りの場合二十一億、二人残りの場合十億が賞金として渡されます。……大まかな流れは、お分かりになったでしょうか』

――――――――――

月(……要注意なのはやはり秋山だけなのか? それとあの十五番も気になる。運ばれてきた食事を平気な顔して食べているのは、秋山と十五番だけだ。……僕も正直食べたいが、ここで余裕を見せて敵対心を煽るのも良くないな……)

リューク「……あー、美味そうだなぁ。なぁ、月は食わねぇのか? ……って返事できねぇか」

月(少数決だと、グループを作って片寄った投票をするという作戦は無理だ。多数決ならその方法で何の問題も無かった。……待て、僕は勝ち残らなければならないから、そもそもグループが勝てば良いという考えは間違っているんじゃないか……? じゃあ僕が最後まで勝ち残る方法は何だ……?)

リューク「あっ! リンゴ発見! 食いてぇーっ!」

月(……黙ってろリューク。少数派になるには、全員の票を知る必要がある。効率的なのは、全員と手を組むということ。だが、それが出来たら何も苦労しない……)

事務局員「ではみなさん、これよりゲームの予行を行います」

月(……予行ゲームか。ここで何かを掴めれば良いが……)

レロニラ『では、もう一度ゲームのルールを説明しましょう。まず、抽選で出題者を決めます。抽選はディーラーである私が行います。皆さんが胸につけているバッジには、それぞれ番号がついていると思います。……17番、カヤマ様』

カヤマ「は、はい」

レロニラ『こちらへどうぞ。出題者はこの壇上で出題をします。何でも構いません。例えば、自衛隊は合憲か違憲かとかね。ただし、ひとつだけ条件があります。出題の内容は、必ず答えがYESかNOの二者択一となるものでなくてはなりません。……では、何かどうぞ。予行ですから気楽に』

カヤマ「……はぁ。……あなたは、女ですか?」

レロニラ『出題者からの質問です。あなたは女ですか? ……出題と同時に二枚の投票用紙が渡されます。一方にはプレイヤー番号とYESの文字。一方にはプレイヤー番号とNOの文字。YESの人は、YESの投票用紙をこのVOTEの箱に投票します。この時、二枚とも投票したりすると即失格となりますのでご注意ください。その後、考える時間を六時間与えます。つまり、六時間以内に投票してもらうという事です。すぐに投票したい人はしても構いませんし、六時間フルに使いたい人はリミット間際に投票するのも良いでしょう。ただし、六時間を越えた場合、その人は無条件に敗者となります。まあ今回は予行ですから、特別に制限時間は十分としましょう。では、スタート』

月(本番は六時間……。その間にどう動いて、自分を少数派にするか。全員の投票用紙を集めて、僕が勝つように仕組む? 馬鹿馬鹿しい。そんなの不可能だ。……この場には女の方が少ない。普通に考えて予行では、女性が少数派だ。しかし、票数はこの人数通りにはいかないはず……。質問に意味なんていらない! どうすれば僕は少数派になれる?)

リューク「こんなの運みたいなモノじゃないのか?」

月(……いいや、運じゃない。先に動いた人間の勝ちだ。六時間も使って運を競い合うだなんて、そんな訳がない)

――――――――――

レロニラ『投票の結果、十五対七で、NO、つまり私は男性であるとした方が少数派となりました』

直「……なんで。女の人の方が少ないはず……」

秋山「正直に票が入るわけないだろ。男の方が多いんだ。君だって女が多数派だったら、男に投票したくなるだろう?」

直「……あ、そっか……」

レロニラ『くっくっく、そういうゲームなんです。問われているのは、少数派となりそうな意見を投票する事。正しいか正しくないかなんて全く関係ない。これぞライアーゲーム! 言ってみれば出題者の問題などただのお飾り。大事な事はただひとつ。いかにして自分が少数派に入るか……。言い換えれば、いかに他人を欺いて、多数派にしてしまうか。少数決とは駆け引きです。互いのハラの探り合いです。そして、そのために出題から投票までに六時間もの時間が用意されているのです。少数決というゲームは深いですよ。完璧に読みきれば、完璧に駆け引きに勝てば、二十一対一。たった一回の投票で勝者となる事だってあるのです。私からひとつ、アドバイスをしましょう。このゲームを制するに重要なものは、運などではない』

月(……重要なもの、か)

レロニラ『それは、時間です。無駄とも思えるほどたっぷり取られた時間……。それをどう使うか。それが少数決の全てです。断言してもいい。時間を制する者こそが、このゲームの勝者となる! ……では、リハーサルを終わります。ゲーム本番は明日からです。皆様にはゲストルームをご用意致しました。本日、皆様にはここにお泊まりいただきます』

直「もしかして、帰れないんですか?」

レロニラ『帰っていただいても構いませんが、その場合は棄権とみなし、一億の負債を抱えていただきます。どうしてもお帰りになりたいとおっしゃる方は、我々はお止めしません。どうぞお帰りになってください』

長い間を空けてしまいました。申し訳ありません。
二回戦からは、原作を尊重した上で、ドラマ版も少し含ませたいと思っています。フクナガの使い方は悩みどころですが、月をフクナガポジションにするというのは非常に良い考えだなと。その方向で考えておきます。

一回戦を書き終えた段階で、密度の濃さに嘆いて休んだところ、しばらくやる気が起きませんでした……。失礼致しました。
二回戦、そしてそれ以降も宜しくお願い致します。

――――――――――

リューク「結構立派な部屋じゃないか」

月(Lは全ての敗者の借金を負担すると言った……。それをプレイヤー達に言えば、協力してくれるんじゃないか? いや、誰かしらが必ず裏切る! 勝てば二十一億だ。最初からそれを狙っている奴だっているだろう……)

リューク「ああ……。カメラ付いてんのか。誰とも話せないのは退屈だなあ……」

月(……リュークを使えないか? リュークなら誰にも見えない……。上手く使えば……)スッ

リューク「お、携帯。ゲームやってくれよ。俺は見てるだけで良いからさ」

月(監視カメラの解像度が分からない……。それに、個数もだ。まずはリュークにカメラを探してもらおう。なるべく周りから見えないように、一瞬だけ指示を打ち込んで……)カチカチ

リューク「カメラ探せ……? 俺に言ってんのか」

月(……よし。すぐに消して、と。仮に今の打ち込みがカメラに映ってても、事務局は気にも留めないだろうし、文章はまず映らない……)

リューク「まあ、どうせ俺に言ってるんだろうな。全く、当然のようにこき使いやがって。帰ったらリンゴ頼むぜ」

月(とりあえず、カメラはリュークが探してくれる……。見つけられた分の倍はあると考えた方が良い……。恐らく、事務局の監視からは逃げられないだろう。携帯を活用できないか……? しかし、リュークに携帯で何回も指示するとなると、少し怪しいのではないか?)

リューク「結構カメラは少ないぞ。今むき出しになってるのがほとんだ。あとは鏡の裏と、そこの絵の裏。多分そのくらいだ」

月(……考えすぎか? リュークが見落とした可能性もある。僕がキラだから、Lと戦ってきたから、神経質になりすぎているのか……?)

リューク「リンゴは……流石に食えないか」

月(考えてみれば、僕はキラだからリュークが使えるんだ。事務局だってそんなの想定していないだろう。Lとの仲も険悪だと聞いた……。ここから僕がキラだと断定される可能性は少ない……? いや、駄目だ。そんな希望論で物事を考えていたら、必ず失敗する! 今はゲームに勝つことだけを考えるんだ!)

――――――――――

直「14番の人が居ないです」

秋山「ああ……夜神月か……」

直「お知り合いですか?」

秋山「いいや、違うが。妙に落ち着いていたから、印象に残ったんだ。それに、参加者は最初に全員覚えた」

直「凄い……。14番さんにもお話を聞いてきた方が良いでしょうか」

秋山「いや、その必要は無い。もしかしたら夜神月にも協力して貰うことになるかもしれないが……」

直「……?」

秋山「……このゲームには必勝法がある」

直「……えっ!」

秋山「ここで話すのはまずい。俺の部屋に行こう」

直「……」

――――――――――

月「すいません。ちょっと良いですか」

エトウ「ん、何だよ」

月「顔写真を撮らせて頂きたいのですが」

エトウ「はあ? 変な奴だな」

月「行った先々で、写真を撮るのが趣味なんです。いつもはカメラを持ち歩いているのですが、今日は携帯で……」

エトウ「別に構わねえけどよ……」

月(やはり嫌がるか……。全員の写真を撮るのは厳しいかもしれないな)

リューク「何やってんだ月……」

 カシャッ

月「ありがとうございました!」

エトウ「……ああ、おう」

――――――――――

ウエディ『無理無理。あんなところ忍び込めやしないわ。人間の監視が多すぎる。カメラなら簡単だけど、あれは入れない』

L「会場が予め分かってれば、入れそうですか」

ウエディ『そうね……。あと、広くて死角の多い会場とか』

L(しかし……事務局の使う会場の特定は難しい……)

ウエディ『もう少し粘ってみるけど、期待しないでね』

L「すいません。宜しくお願いします」

 カチッ

L(……ライアーゲームで、夜神月が何かボロを出さないか見たいが、二回戦は無理か……。いや、夜神月も私に見られるのを恐れてキラとしての手掛かりを残さないはず……。もしかしたら、会場への忍び込みはアイバーを使う方が良いのか……?)

原作(又はドラマ)のゲーム展開をそのままなぞるのではなく、少し捻りたいと思ってます。
ですが、これは難しい。原作の完成度の高さがうかがえますね。

棄権の際、ネームプレートを置いて帰ると、その場で一億円の負債となります。負けたり棄権したりしたら、ネームプレート分の一億は払いなさいという事になるんだと思います。
反して勝者は、ネームプレートひとつ分を賞金から引きますよ、とうい形で、一億が引かれます。
まあ、単純に言えば、勝っても負けても一億払えという感じです。

――――――――――

カワムラ「夜神? ……ああ、写真撮って回ってるわよ」

直「……写真?」

カワムラ「よく分かんないけど、何か記念に顔写真撮ってるんだって」

直「……ありがとうございました!」

――――――――――

月「……必勝法?」

直「はい。……男の人を集めてるんです。ご内密に……」

月(男の人ね……。男にしかできない必勝法? それともこの女がそういういかがわしい人間で、自分を勝たせろとか求めてくるんじゃないんだろうな)

直「お願いします!」

月「まあ、分かりました。その前に、写真一枚、撮らせて頂いても良いですか?」

――――――――――

秋山「よく集めたな……」

直「だって、なりふり構っていられませんから」

ツカハラ「……で、必勝法って何だよ」

秋山「まあ落ち着け、順を追って説明する。まず、このゲームでの勝利ってなんだと思う」

マキタ「賞金を手に入れる……」

秋山「そうだ。賞金の額は?」

ハナヤマ「二十一億?」

秋山「二人の時なら、十億。これは負けか?」

ツカハラ「まさか! 十億手に入れば大大大勝利だ!」

秋山「じゃあ、数千万しか貰えなかったら?」

キノシタ「……は?」

秋山「俺の必勝法は、十億さえ手に入らない。だが、四千万なら獲得でき、このライアーゲームから確実に抜けられる」

サジマ「どうやって……」

秋山「まずこの作戦では、八人のチームを作る必要がある。今ここにいる、ツカハラ、ハナヤマ、キノシタ、夜神、サジマ、神崎直、俺の八人のだ」

月(僕が考えていたモノと同じみたいだな……。しかし、男だけというのが気になる)

秋山「……八人揃えば後は簡単だ。NOとYESで半々に別れ続ける。そうすれば、最後には同じチームのやつが残るだろう?」

ツカハラ「……あ、ホントだ。最初四人と四人で別れて、次に二人と二人……。必ず同じチームの奴が残る!」

キノシタ「いや、作戦は分かったけど、このメンバーが裏切らないって保証ある?」

秋山「それは大丈夫だ。この作戦に参加してもらう以上、きっちり誓約書を書いてもらう」

――――――――――

海砂「……あ、月から」

レム「確か、ライアーゲームの最中だろう?」

海砂「……画像? 何だろ」

 カチッ

月:よろしく。見るだけ。

海砂「……顔写真だ」

レム「随分と素っ気ないメールだな。何の為に送って来たんだ?」

海砂「……月の事だから、多分何か考えはあると思うんだけど……。って、あれ。……この人……」

レム「……どうした?」

海砂「これ、流石に殺せってことじゃないよね? 見るだけって書いてあるし……」

レム「……」

海砂「この、プレートの名前と本名が違う人を教えれば良いのかな?」

お久し振りです。
コメントありがたいです。
ゲームを動かす時に一気に書き込みますので、どうぞ宜しくお願い致します。

――――――――――

ツカハラ「ところでさ、何でこのメンバーでチームを作ることにしたの?」

直「実は……二十二人の中に一人、危険人物が居て……」

秋山「そいつはタカダミチコって女から一億奪ってる。俺はその女の代理参加だ」

月(代理参加……。やはり可能なのか……。ネームプレートにタカダミチコと記されていたから、もしや秋山の本名がタカダミチコなのかとも疑ったが、そういう訳ではないらしいな……。)

秋山「タカダミチコはこの会場のすぐ前で一億を騙し盗られた。たまたま俺がそこに来て、代理参加を申し出た訳だが……。まあ、この会場の前で盗られたのなら、この会場内にその危険人物が居てもおかしくはない」

月「その危険人物が、誰かというのは分かっているんですか?」

直「いえ……女性だということしか。だから、私と秋山さんはXって呼んでて……。あと、15番の人が怪しいんじゃないかって」

ツカハラ「15番!」

ツカハラ「あのサングラスの女か。いや僕もなんかあの人怪しいなって。女の人なのに一人だけ妙に落ち着いちゃってるしさ」

直「ですよね」

ツカハラ「余裕の筈だよ。一億え……」

 プルルルルル プルルルルル

ツカハラ「ん?」

月「すいません、僕です。ちょっと失礼しますね」

秋山「ああ」

直「……ここって、携帯使っても良いんですね」

秋山「まあ、制限はされてなかったからな。電波も繋がるようだし、その辺は甘いんだろう……」

直「はあ……」

秋山(……しかし、言われてみれば確かに妙だな。携帯を取り上げるくらいしても良さそうなものだが……)

リューク「クックック」

月(ふっ……。よくやった海砂……。思ったよりお前の頭が回るようで助かった。お陰でこのゲーム、有利に進められそうだ……)

ツカハラ「……まあ、仮にXが15番だとしたら、あの余裕ぶりにも説明がつく」

月(……海砂に送った総勢二十二人の写真データ。いや……秋山を除いて二十一人か。しかし秋山は自分がタカダミチコでないと明言している)

秋山「……仮にそうだとしても、もう心配ない」

月(海砂が送ってきたメールには、僕が送った内の一人の写真が添付されている……。そして本文には、その人物の本名……)

秋山「チームを組んだ時点で、俺達の勝ちは決まっている」

月(“俺達の”じゃない……“僕の”勝ちだ。どうしても15番を犯人に仕立て上げたかったようだが、残念だったな。ツカハラユウ……。いや……フクナガユウジ……)

ツカハラ「時間は有効に使おう。チームの人間だけで固まっていたら怪しまれる。このメンバー以外の人に積極的に話し掛けよう」

月「……ああ、僕も賛成です。そうしましょう」

ツカハラ「おっ、話が早いね夜神くん。じゃあ早速……」

月「あっ、待ってください。完全にバラバラになるんじゃなくて、折角八人居ますから、二人ずつで分かれましょう。ポロッと作戦を溢しちゃう心配もありますし、フォロー役が居た方が得策です」

秋山「……そうだな。俺も夜神の案に賛成だ。しかし、どう分ける?」

月「秋山さんが決めて構いませんよ。僕は誰とでも良いので」

直「私も……。その方が安心できます……」

ハナヤマ「自分達も、それに賛成です」

秋山「そうだな……」

――――――――――

ツカハラ「宜しく夜神くん」

月「ええ、宜しくお願いします」

ツカハラ「……さてと、じゃあ動こう。15番を監視しながら、色んな人に話を持ち掛けよう」

月(……ここまでは予定通りだ。僕がツカハラとのペアを申し出れば、秋山に否定する理由はない。……後はツカハラをどう使うか……)

ツカハラ「夜神くんは、大学生だっけ。大変だねこんなゲームに巻き込まれて」

月「いえ……。あの、ツカハラさん」

ツカハラ「……なんだい」

月「ツカハラさん、何か企んでますね?」

ツカハラ「……ははっ、まさか」

月「誰にも言いませんから。むしろ、一枚噛ませてもらいたいと思ってます」

ツカハラ「……」

月「教えてくれませんか。何をしようとしてたのか」

ツカハラ「……あのな、僕は別に」

月「良いんですか。あなたがXだとバレても」

ツカハラ「なっ……待て待て! Xは女だ。僕は紛れもない男だろう!」

月(……そう。そこだけが引っ掛かっている。タカダミチコの証言では、Xは女。しかし、ツカハラは男だ。偽名を使っていても、これではツカハラがXだという証明にはならない。ここに確証を得たい……)

ツカハラ「僕がXなわけない! 何を言ってるんだ!」

月「……声を荒げないでください。……僕は、あなたがXだという証拠を持っています」

ツカハラ「……っ!?」

月「あなたの作戦を教えてくれたら、バラさないでおきますよ」

ツカハラ「……出任せだ!」

月(……ご名答)

月「……良いんですか? 僕は協力したいと言っているんです」

ツカハラ「馬鹿言え誰かと協力なんてできるか!」

月(……きた!)

ツカハラ「……」

月「協力、出来ない? 八人で協力しているのに? ……つまり、一人勝ちする作戦はあるんですか?」

ツカハラ「……ちがっ」

月「お聞かせください。その作戦を」

ツカハラ「…………」

月「……では、場所を移しましょうか」

ツカハラ「……なんて奴だ君は」

月(少し強引だったな……。しかし、なんとしてでも協力者が欲しかった。このフクナガユウジという男、少しは頭が切れるかと思ったが、このゲーム以降に手駒として使えるかと言ったら微妙だな。……まあ、こいつの考えた作戦によるだろう……)

超お久し振りです。
長い間お待たせして申し訳ありませんでした。支援ありがとうございます。
前回何を書いたかなんて忘れてましたよ完全に。
現在公開されている新作のデスノート、来週に見に行く予定なのですが、「登場人物が皆アホ」という前評判が怖いです。
まあでも、このSSよりはちゃんと頭脳戦してくれるでしょう。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年07月31日 (月) 14:54:27   ID: _tRWH8Dc

続きが早く読みたいのですが、、、。

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