野原しんのすけ(15)「歯を食いしばれサイジャク、オラのサイキョウはちょっと響くゾ」 (434)

三(四)スレ目です
前スレ
1スレ目
野原しんのすけ(15)「ベランダに女の子が引っかかってたゾ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1378302253
2スレ目
野原しんのすけ(15)「ねえヘタレのオジさん、言葉のままに歪めてみれば~?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1384085516
2.5スレ目 外伝集
酢乙女あい(15)「『乱雑解放』【ポルターガイスト】を調査しますわ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1409836335

・クレしん未来パロ×とあるです
・原作再構成と言う名の原作ブレイク
・カプはしんあいと上インの予定
・パロネタ多数

以上がよろしければお付き合いください

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1462982618

前スレまでのおさらい

野原しんのすけ
今年の春から学園都市にやって来た『原石』で長点上機学園の1年生。
学園都市第8位の超能力者でありながら
第七学区の武装集団のリーダーである駒場利徳に出会い『本物のスキルアウト』を目指すようになる。

超能力『法則無視』【トルネードコール】
物理法則に全く従わない謎のエネルギーを生産する能力
このエネルギーの影響下にある物質、現象も物理法則に従わなくなる為
実質的には『あらゆる物理法則を無視する能力』であり
将来的には『あらゆる法則を無視する能力』になりうるが
しんのすけが使いこなせていない事と多くの研究者が彼の能力を理解出来ない為に第8位という序列である ※元ネタは劇場版 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁

スゲーナスゴイデスのトランプ・レプリカ
使用者の正義の心に応じてあらゆる願いを叶えるトランプ。
使うたびに減っていく。残り42枚+JOKER
※元ネタは劇場版 ヘンダ―ランドの大冒険

タイムパトロールユニフォームジャージSP
キーワードに反応して3回だけ変身する朱色のジャージ
また、襟を立てる事でその場に最適の服装に変わる機能を持つ
残り変身回数 2回   ※元ネタは劇場版 雲黒斎の野望

護り刀・第七沈々丸
斬るべき敵に対して抜き放つと3メートルを超す戦太刀になる懐剣
※元ネタは同上

スパイツール・アクションヨーヨー
自動で回転しリールを巻き取る鉤付ヨーヨー
リールは大人二人分の重さにも耐える ※元ネタは劇場版 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦

ゆるゆるの賢者の腕輪
この腕輪をつけた手で扉や戸を開けると任意の扉や戸に空間を繋げられる
学園都市で一人暮らしを始めた時に惑星ヒマワリのサンデー・ゴロネスキー大王から送られてきた。
※オリジナルただし元ネタは劇場版 嵐を呼ぶオラと宇宙のプリンセス

魔法軍手【アスクレピオス】
昔妖精から貰った軍手のレプリカ
触れた物をナオス(直す・治す)効果がある
とあるヘタレの錬金術師の手で魔改造され
回数制限も時間制限も無くなった
 ※元ネタは原作34巻登場『ひとりでなおっ太くん』

酢乙女あい
長点上機学園1年生。しんのすけの幼馴染の少女
世界一大きな財閥グループの令嬢であり、幼い頃から英才教育を受けた
そのためあらゆる学問、武道を一通り身につけている
しんのすけの事を十年間想い続け、最近はしんのすけも気を許してきた

強能力『女帝君臨』【エンプレス】
周囲の人間が酢乙女あいに対して若干好意的になるという精神感応系の能力
本人いわく『かろうじて異能力では無い程度』の『荒事には向かない』能力

ボー
長点上機学園1年生。しんのすけの幼馴染の少年
かつて別の時間軸での未来の自分が造ったロボを再現するため
駆動鎧の技術を学びに学園都市に来た

低能力『自在化鞭』【パンゴリンズタン】
水塊を『一つだけ』『触れ続けている間』『ある程度塩分を含んだ液体に限り』思いのままに操る水流操作系の能力
それ以外の能力制限がほぼ無いため本来は大能力級のはずだが低能力とされているのは
本人は自分を『能力者』では無く『開発者』だと考え
能力判定時は早く終わらせる事を前提に受けているため

野筆ヨハネ(自動書記)
しんのすけが『ダイアナお銀』と『トッペマ・マペット』の記憶をヒントに
魔法で構築召喚した機械人形に
インデックスから分離した『自動書記』を再封印した事で生まれたアンドロイド
外見は15歳くらいの和服美人
通称ペンデックス。自称『禁書目録』の『管理者』

投下まで少しお待ちください

学園都市第七学区のとある河川敷、そこでは今『内蔵潰し』と呼ばれるスキルアウトと
全チーム中、最大勢力を誇るチームのリーダー駒場利徳との決闘が行われようとしていた。

「横須賀……覚悟は……良いな?」

「ふっ……駒場よ、貴様はこの期に及んで未だ語る口を持っているのか?生憎だがこの『内蔵潰し』の横須賀、語る物は拳のみ!!」

語るは拳のみと言いつつ、駒場の数倍の台詞量である。

「ふっ……そうだな……では行くぞ!!」
           ツッコム
駒場は特にそのことに触れることもなく拳を握りしめ一息に距離をつめた。

一方、その場からそう遠くない、同じく河川敷にて、こちらでは二人の超能力者
第七位と第八位が雌雄を決しようとしていた。

「お、どうやらホルモンと駒場さんも始めたみたいだね」

しんのすけの言葉を受けて、その一部を学園都市第七位の超能力者『削板軍覇』は否定する。

「野原、ホルモンじゃないぞ。アイツの名前は『モツ鍋』だ」

それもまた間違っているのだが、削板の中では彼は完全にモツ鍋で定着しているようだ。

「ところで……意外ですな、こうしてソギーとオラが戦うことになるなんてね」

削板軍覇の人柄、普段の言動はある程度有名であり、馬鹿正直で人助けに励む彼をしんのすけは好ましく思っていた。
そんな二人が戦わんとしているのには勿論理由が在る。

そもそものきっかけは、敵対スキルアウトチーム『大蜘蛛』が警備員によって大量に逮捕、壊滅したことによって
彼等がねぐらとしていた第十学区『ストレンジ』が駒場利徳の縄張りに加わったことだ。
元々しんのすけがチームに居た事で統括理事会からも数人ほど資金面では援助をしていた所に、
廃墟ではあるが一応まだ居住可能な多数の家屋を含めたそれなりに広い土地、それらが手に入ったことで、自警団員の大幅増加につながったのだ。
これにより駒場利徳のチームの勢力は拡大、今や第七学区内において集団での活動的なスキルアウトは存在せず、
むしろ一部では『武装集団』【スキルアウト】と言えば自警団をさす言葉として使われ始めていた。
しかしこれに待ったをかけたのが『内蔵潰し』であった。      サシ
スキルアウト達の間ではそれなりに名の知れた存在である彼が駒場に一対一での勝負を申し込んだのだ。

自分が駒場に勝てば、これ以上の人員増加や活動範囲の拡大やめろ。その代わり自分が負けたらおとなしく傘下に入る。という条件で。
本来受ける必要の無い話。
勝って手に入るものと、負けて失うものがつり合って無い勝負。
しかし駒場は横須賀の挑戦を受けた。
一人の漢が、不退転の覚悟で挑むのならば、それには応えるべきだと。
応えるに値する漢だと、駒場利徳は横須賀に対しそう思ったのだ。
しかししんのすけがこれに異を唱えた。
         でば         ケンカ
「駒場の親分さんが出番るまでも無ぇ、この拳華ぁ……アッシに任せてくだせぇや」

映画好きで任侠物もよく見るしんのすけは、駒場をはじめ浜面などスキルアウト仲間達が相手だと時々このような芝居がかった話し方をする。

横須賀の相手は、駒場では無く自分がするとしんのすけは言ったのだが、そこに更に削板がしんのすけの相手は自分がすると言い出した。
こうして、今夜の決闘が二組行われることになった。

「モツ鍋は根性のある奴だ。あの駒場って奴もな、ならそんな根性ある二人の決闘、俺は根性ある男として、誰にも邪魔はさせねえ」

横須賀は過去30回以上も削板に挑み、返り討ちにあっている。
そしてそれでもなお諦めない横須賀を、削板は気に入っていた。

「どうしてもと言うんなら俺を倒すことだな野原、お前の根性を俺に見せてみろ!!」

ドンッと、削板の台詞と共に彼の背後の地面が七色の煙を上げ爆ぜる。

「はあ、やれやれだゾ。相変わらず話してると『根性』ってワードがゲシュタルト崩壊だし」

腕輪をした右手を改造制服の懐に入れ、しんのすけは言った。

「でも、『正義』『勇気』『努力』『ド根性』は……オラも大好きな言葉だ、ゾッ」

片手を服に隠したまま、しんのすけが削板に向け走る。

「来い!!野原ぁぁぁぁぁ!!」

学園都市第七位の超能力者が拳を握り吼える。
本来そちらがメインイベントであるはずの駒場対横須賀戦を横目に、超能力者同士の対決がはじまった。
                   カネ な
そしてソレは、一部の者達にとっては正に銭の実る大樹であった。

「みんな元気かー?今夜は映像付きで生放送、リアルタイム配信。海賊ラジオDJだ」

今夜はここまでです
続きは多分土曜日の夜九時の予定です。
GW中にとりためしてた日朝一気視してから海賊ラジオDJがCVぐっさんで脳内再生される…

乙です!やっぱり次スレ突入すると気分が滾るな!

復活した救いのヒーロー
腐女子に媚びてるだのなんだの言われるけどあの容姿で萌えられたらそれは腐女子ではなく801の奥様方なのではないのだろうか

しんのすけとひまわりの能力名の元ネタは映画のタイトルだし、サキちゃんが能力者になったら能力名はやっぱり夢幻世界(ユメミーワールド)とかになるんだろうか

お久しぶりです1です。これから投下します。

>>10
新スレ早々に間をあけてしまいごめんなさい
>>14-15
意外と言えば意外、納得と言えば納得のキャスティングでしたね
>>19
そのパターン(1のセンス)だと『夢見世界』【ナイトメア】って感じですね
でも彼女は父親が過保護気味なので学園都市の超能力開発は受けないんじゃないですかね

どこかの部屋で、誰かのパソコンのスピーカーから、ノイズ混じりの軽快な口調が流れた。

「今日お送りするのは、そう!!一部界隈では噂になってたから知ってる奴も居るだろうが……なんと超能力者同士の決闘だ!!」

真っ暗だったパソコンの画面が第七学区の河川敷を映したものに変わる。
右にしんのすけが、左に削板が、そしてその周りにはまばらだが少なくない数のギャラリー達が映っていた。
       白ラン       ブレザー
「観えてるか?学生服の方が第七位、改造制服の方が第八位だ。そんなワケで、今夜はこの2人の対決の様子を解説付きでおとどけするぜ!!」

海賊ラジオDJは、一拍置いて言葉を続ける。

「……とは言ってもだ、俺も能力開発の専門家ってワケじゃあない。なに、心配するな、だからゲストを呼んでるのさ……この人だ!!」

「私も別に専門家ってわけではないのだけど、よばれた以上仕事はするわね」

スピーカーからの声に若い女性のものが加わった。

「私の事は……そうね、『ヘソ出しカチュ-シャ』と名乗っておくわ」

「今夜は俺達2人でお送りする海賊ラジ―って早速決闘が始まったみたいだな」

しんのすけは今日、削板と戦うにあたり、様々な準備をしてきた。
幼馴染の発明家や、昔からの知り合いである博士の元を訪ね、便利な道具を手に入れたり、
スゲーナスゴイデスのトランプを使い、強力な武器を前もって用意しておくなどだ。
そのため現在、『ユルユルの賢者の腕輪』によって改造制服の内ポケットとつなげられた空間には、幾つもの武器や道具、秘密兵器が並んでいた。

「先ずは小手調べ、喰らえ『千人殺し』!!」

内ポケットから引き抜かれた右手には、束ねられた40を超す銃口を持った、巨大かつ奇抜な銃がにぎられていた。


ドガガン!!

引き金がひかれ、全ての銃口から一斉に弾丸が放たれ、独特の銃声が鳴る。

「はっ、初手から銃だよりか!?どうした!?お前はそんな根性なしじゃねえだろう野原!!」

真正面至近距離から撃たれた散弾を、全弾跳ね返して削板はしんのすけに語りかける。

「ぬお!?跳弾かすった……勿論だゾ、言ったでしょ?今のは小手調べだって」

懐に多連式火縄銃『千人殺し』をしまい、続いて携帯式非殺傷性ロケットランチャー『しんちゃんボンバー』を取り出す。
この間合い
「至近距離でそんなデカ物は悪手だぜ?もっと根性だせよ!!」

削板は左手でロケットランチャーを横から殴り照準を外させ、がら空きとなったしんのすけの胸に右拳を叩きこんだ。

「げほぉ!?」

その場にランチャーを残して、しんのすけの身体は後方に飛ばされる。

「流石超能力者!!初っ端からすげえな!?じゃあ解説たのむぜ『ヘソ出しカチュ-シャ』、まずあの銃はなんなんだ!?」

しんのすけと削板に距離ができたところで、海賊ラジオDJが質問を入れる。

「デザインはリボルバーが主流になる以前の銃で、ペッパーボックスピストルとか、その形状から蓮根銃とか呼ばれている物に似ているけど」

質問を受け、女性の声は解説する。

「ソレらはあくまで連射性を求めたもので、あんな風に散弾銃としては使わないものなのだけど」

「ほう、オリジナルカスタムの銃か。ところで第八位の懐からやたらデカいのがホイホイ出てくるのは?」

「彼の能力には謎が多くてね……テレポ-ターだと言う説もあるわ。私は支持してない説だけど」

「おっと、第七位が何かするようだぞ」

削板が右腕を振りかぶる。

「すごいパーンチ!!」

技名と共に拳が突き出され、『その延長線上にある空間』が爆ぜた。

「ぬおうっ!?」

しんのすけは爆風にあおられ、更に両者の距離が空く。
              根性
「どうした!?距離があれば俺の能力が届かないとでも思ったか!?」

「ソギーったらテンション高いなあ、これで弦ちゃんやしいぞう先生、修造さんに会ったらどうなっちゃうんだろ?」

むしろそこまで暑苦しいと、逆に見てみたい気もするけど。
などと言いながらしんのすけが次に取り出した物は、オモチャの光線銃のような外見をしていた。
今夜の対決に備え、北与野博士に新しく作り直してもらったそれの名は、
『平面画像実物立体変換機・改』通称『飛び出しライトガンNEO』と言った。
その名の通り、平面画像を読み取り一分間だけ『実体の在る立体映像』に変換する機械だ。

「ほいっと」

しんのすけがライトガンの前にスマホをかざす。
するとアンチスキルでも正式採用されている盾が現れ、しんのすけはその陰に身を隠した。

「時間稼ぎのつもりか!?だとしたら、ガッカリだぜ!!」

盾もろとも吹き飛ばそうと、削板が再び腕を引き絞る。

「すごい―」

「隙あり!!」

先程の攻撃が放たれる前に、しんのすけが削板の背後から襲いかかった。

「なに!?」

削板はすぐに反応し、振り返ってしんのすけを視界に捉えた。
しんのすけの右手は既に懐に入れられている。

「次は何を―ガッ!?」

しかしその右手は抜かれず、削板にくわえられた攻撃は左手によるものであった。
しんのすけのその手には、バチバチと放電する竹刀の様な武器がにぎられていた。

「『鋼鉄親父の電磁竹刀』……すごいな、ボーちゃんってば完全に再現してる」

幼馴染から渡されたソレは、かつてしんのすけの『もう一人の父親』が手にしていた物だ。
その性能は一言で言えば、不使用時にはボールペンサイズにまで縮小する機能を備えたスタンロッド。

「もいっちょー!!」

電流により筋肉が硬直する一瞬を狙い、しんのすけが削板に追撃をしかけるが、
削板はそれを躱してしんのすけの足元を爆発させる。

「おお!?」

再び、両社の間には十メートル弱の距離ができる。
       根性
「へっ、すげえ能力だな。まさか瞬間移動で俺の背後をとるとは」

「持ってる道具の性能だけどね、ほとんどは」

電磁竹刀の一撃を受けてなお、削板にはダメージ等無い様子であった。

「やっぱり、普通に勝つのは無理っぽいかな~?」

そんな削板を前に、しんのすけも台詞とは裏腹に表情は余裕を崩さない。
            カクウエ
「ならどうする?相手が第七位だからって諦めるのか?」

しんのすけの出方を見つつ、削板がジョークとして訊く。
そして予想通りの返事と、予想以上の解答が、しんのすけの口から放たれる。

「まっさか~、ちょっと普通じゃない勝ち方をすれば良いだけだしね」

しんのすけは新たな武器を両手に、勝利を宣言する。           カタパルト
先程のライトガンにも増してオモチャらしい外見をした二丁の銃は、二門の射出機構を有し、
その上には光沢のある球体が1つずつ乗っていた。

「ほい!!」

しんのすけが引き金をひく。

「効くかそんなもん!!」

撃ち出された四つのタマは削板の腕の一振りに防がれる。

「なに!?」

しかしタマはそこで割れた水風船の中身の様に変形、さらには体積を増して削板の全身を包み込んだ。

「『アクショントリモチガン・ウィズ・ヒママタージェルバレット』これでゲーム・セットだゾ。ソギー」

しんのすけの言うように、削板は自身を包む球体の中でもがき暴れるが、
そのジェルの様な液体の様な、それでいて内部で呼吸はできる、不思議な空間からの脱出は出来ずにいた。

「おおう、コイツは番狂わせ勝負事は下馬評通りとはいかないな」

第八位が第七位を下すという結果に、海賊ラジオDJが本音をこぼす。

「もっとも、超能力者の序列と言うのはその能力を研究したことによってもたらされるであろう利益の順、つまり戦闘力とは関係ないのだけど」

「まあそれこそ俺たちには『関係ない』話さ」

「そうね自分の仕事をするだけだわ」

「じゃあ解説たのむぜ。まず盾を出したと思ったら背後からの強襲だ」

「上手いてね、ただ背後に移動するだけじゃなくてその直前に盾に隠れるから、相手はそこに居ると思うもの」

「そしてスタンロッドの一撃だ」

「今まで右手でばかり攻撃していたから、左手での暗器攻撃がはまった形ね。追撃には失敗したけど」

「そしてこの『決まり手』だぁ!」

「ホロゥポイント弾の様に着弾時に変形するよう造られてる弾丸はあるし、ネットを撃ち出す捕縛用の銃器もあるけど、あんなのは初めて観るわ」

「じゃあ最後に全体を通して、ズバリ第七位の敗因は?」

「あら、それにはまだ早いと思うけど」

「おや、それまたどうして?」

「削板軍覇には、こんな終わり方はありえない」

ギャラリーの一人がしんのすけに声をかけた。
                   アッチ側   ケリ
「野原さん、今浜面さんから連絡あって、駒場さんの方も決着がついたそうッス」

その男は、スキルアウトの下っ端新人のものであった。

「で、結果は?」
 モチ
「勿論、ウチらの大将の勝ちッス!!」

駒場と横須賀の勝負が終われば、しんのすけと削板が闘う理由もなくなった。
そう考えてしんのすけが武器を懐にしまいこんだ、その時。

「未だだ!!未だ俺とお前の勝負は!!俺の根性は未だ終わって……無えぇぇぇ!!!!」

叫びの食後に爆発音。
そしてそれと共に削板を包んでいた球体が四散する。
      なか
「おわ、あの内部って『概念レベルで『力づく』の否定』がされるのに……」

かつて自分の両親には解く事が出来なかった拘束を打ち破ってみせた削板に、しんのすけは驚きと敬意をいだく。

「モツ鍋が負けちまったなら、俺と野原が戦り合う意味なんてもう無えのかもしれねえ……けどな!!」

一息置き、ジッとしんのすけと眼光をぶつけ合わせる。

「こんな終わり方、俺の根性が認めねえんだ……お前だってそうだろう!?野原!!」

「うん、そうだね」

しんのすけは上着を脱ぎ捨て、先程の戦闘により解けかかっていたネクタイを締め直すと、
その場に一度しゃがみこんでから大きく背のびする様に両手を左右斜め上に突き出しながら立ち上がった。

「宇宙キターーー!!」

ぶおん、と。しんのすけを中心に風が吹いたように周囲の者達には感じられた。

「すげえな、それがお前の本気か?」

気配の変わったしんのすけに、削板が訊く。

「このネクタイはコズミックエナジーの力で装着者が持つ全ての身体能力を63倍に上げるんだゾ」

「勝負するってことで良いんだな」

「おう、タイマンはらせてもらうゾ!!」

右拳を、胸を軽く二回叩いて前に突き出す。

「いくぜぇぇ!!超……すごい……」

固く握りしめた右拳を、削板はゆっくりと力を貯めるように大きく引きしぼる。

「ぬおおおおおおぉぉぉ!!」

対するしんのすけはその場に両手をつき、胸を中心に脚を大きく振り回す。
いわゆるブレイクダンスの様な動きをしていた。

「パンチ!!」
ローリングケツダケアタック
「回転式唯尻撃!!」

両者の攻撃はほぼ同時に放たれた。
削板の突き出した拳がその先にある空間を爆砕し、それによって生じた爆風を切り裂きながら、しんのすけの全身が砲弾のように削板に迫る。
そして……


ドバァン!!!

豪腕メジャーリーガーの投じた100マイルボールがキャッチャーミットにおさまった時の音を、
数十倍にしたかのような轟音をあげて、削板の拳と、しんのすけの臀部中央がぶち当たった。

「うわ、あんなのバラエティー番組のケツバットやタイキックの比じゃないだろ。こりゃあ第七位の逆転勝ちか?」

海賊ラジオDJの言葉を、しかしヘソ出しカチュ-シャは否定する。

「いや、アレをよく見ろ!!」

「なっ!?嘘だろオイ!?」

しんのすけと削板の両者は、互いの最高の技をぶつけ合ったままの姿勢で動かずにいた。
削板は拳を前にし、しんのすけはその拳の先で空中に浮いているかのように。

「あれも第八位の能力か!?」

「そうだ、ただし超能力なんかじゃなく、純粋な身体能力だけど」

「なに?どういうことだヘソ出しカチュ-シャ!?」

「解説しよう、先程一見ぶつかり合った様に見えた互いの一撃だが、野原しんのすけは削板軍覇の拳をくらってはいない」

「あん?ならどうなったんだ?」

「受け止めたのよ、まるで真剣白刃取りの様にね」

「は!?じゃあ今第八位は拳を挟んだ尻で全体重を支えているってことかよ!?」

「その通り、削板軍覇の右手は今、常人ならば拳が砕けるほどの力で締め上げられているはずよ」

「マジかよ……」

「そしてこうなった以上、勝負はもうプライド……意地の問題ね」

しんのすけは腰を少しでもひねれば削板の手首をへし折れるだろう。しかしそれは自身の大臀筋が、削板の拳を砕けないと認めるに等しい。
削板は腕を振りしんのすけを地に叩きつける等の追撃も可能だろう。しかしそれは己の拳の、相手の大臀筋に対する敗北を認めるに等しい。
故に、両者は動かない。いや、動けない。

「……ぐっ」

そして……遂に決着の時が訪れた。
 ・
「俺の負けだ……お前の勝ちだ、野原!!」

右手を下げ、削板は自身の敗北を宣言する。
わっと、周囲から歓声と悔し気な声が上がる。
前者が駒場の、後者が横須賀の傘下の者達だろう。

臀部から拳を解放し、しんのすけは削板と向き合い握手する。

「良い……勝負だった!!」

「おう、またいつか……リベンジするぜ!!」

超能力者2人の決着がつき、その様子を映すパソコンのスピーカーから流れる海賊ラジオも、締めに入る。

「今度こそ終わったな、じゃあ改めて第七位の敗因は?」

「削板軍覇はあのジェルによる拘束を弾き飛ばすのに、だいぶ体力を使ってしまっていたのかもしれないけど」

「はうほう、やっぱりアレが決め手になったんだな」

「とは言え、ここは素直に野原しんのすけに賞賛をおくるべきかしら」

「と、今夜はそろそろお別れだ。お相手は海賊ラジオDJと」

「ヘソ出しカチュ-シャでした」

マイクのスイッチが切られ、DJが退室し、ヘソ出しカチュ-シャこと『雲川芹亜』は思案する。
彼女は表向きはただの一学生の身分だが、その実態は統括理事会の一人『貝積継敏』から相談役【ブレイン】として雇われている程の才女だ。

(今回、内蔵潰しは自分が負ければおとなしく傘下に入ることを条件にしていた……)

ならば、それに助っ人として参加した削板軍覇はどうなのだろう?
もし、彼も駒場利徳の傘下に加わることになれば最下位とその一つ上とは言え、超能力者二名を擁する組織の出来上がりだ。
いくら『野原』のネームバリューに守られていようとも、いよいよ手を出す者が出てくるかもしれない。
そもそも『野原一家』【アンタッチャブルファミリー】の情報は、それを知る者達の間でも不確かで信憑性は高くないと思われている。
それどころか統括理事会メンバーでも全員がその存在を知っているわけでもない。
抑止力としては頼りないものだ。

(せめて第五位と第三位の二人も自警団の活動に巻き込んでレベル5が四人在籍する組織にられば……)

あるいは統括理事会の三分の一、四人以上がバックに付けば、少なくとも他の統括理事はは手を出さないだろう。

(貝積に自警団を支援するよう言っておくか)

不確かな情報だが、亡本裏蔵と誰かもう一人、既に二名の統括理事を味方に付けているらしい。
ならばあと一人くらい―――

(ダメだな、抑止力になりうるのは先の案を両方とも実現した場合だ)

圧倒的な武力等、よほど理解しやすいものでなければ抑止力たりえない。
何故なら駒場利徳率いる自警団は、本当なら既に充分『手を出すべきでは無い』組織だ。
背後には統括理事があり、超能力を有する武装集団。
これを相手に事をかまえようとするのは余程のバカだけだろう。
つまり「所詮レベル5の中では最下位だ」と侮るような連中だ。
逆にそういう輩にとっては、今までは『手を出す価値も無い組織』だったわけだが……
それも今夜の決闘で状況が変わった。

(はぁ、そんな馬鹿達のせいで学園都市そのものが滅びかねないんだから、勘弁してほしいのだけど)

兎に角、自分がすべき事は貝積を動かして可能な限り自警団の味方になっておくことだ。
雲川芹亜は連絡用の携帯端末を取り出した。

「この……新装備が無ければ……あるいは……負けていたのは俺の方だったかもな」

コピー機が用紙を吐き出すような単調なしゃべりかたで、駒場利徳は自身の足元に仰向けに倒れている横須賀に話しかけた。
   ハードテーピング
「ぐっ『発条包帯』ではないな、なんなんだそれは?」

『発条包帯』とは警備員の駆動鎧等に使用されている人工筋肉で、装備者の身体能力を大きく強化してくれる。
しかし駆動鎧には付いているリミッターが無いため、装備者の身体にかかる負担は駆動鎧の比では無い。
いわゆる『ジャンク品』の域を出ないものだ。

「しんのすけの……幼馴染の作品だそうだ……もっとも……オリジナルでは無いそうだが」

『発条包帯』はその名が示すように帯状で、服の下で体に張るようにして装備する物なのだが、
今の駒場は服の上から橙色のチューブ状の人工筋肉に包まれていた。

「親分さん、大事無ぇようで」

しんのすけがやってきて、駒場に話しかけた。

「お前もな……しんのすけ」

「このネクタイがなきゃ危なかったゾ」

正直、このネクタイには良い思い出は無い。
初めてこのネクタイの影響を受けた日は、病気になったと思い込み寝込んだほどだ。
後日父親から話を聞き安堵したが、当のネクタイはいつの間にかなくなっており、今身に着けているのはスゲーナスゴイデスのトランプで用意した物だ。

「でも思ったより早く終わったから、この後時間空いちゃったゾ」

「あ、じゃあ手伝ってくれないか」

駒場と横須賀の対決を観ていたため近くにいた浜面が、しんのすけに言った。

「手伝うって何を?」

「最近、路地裏にマネーカードがよく落ちてるんだとよ。」

「探して拾い集めるってこと?」

「そうそう、デート資金貯めたくてさ」

今夜はここまで、次回は木曜の夜の予定です
リア充爆ぜろ
しんのすけって如月弦太朗(仮面ライダーフォーゼ)、熱繰椎造(幼稚園の先生)、松岡修造(何故かテニスではなく水泳コーチ)と知り合いなんですよね……

↓今回出てきた装備・技の(元ネタの)原作登場回
多連結式火縄銃『千人殺し』・映画雲黒斎の野望
非殺傷性ロケットランチャー『しんちゃんボンバー』・アニメSPクレヨン大忠臣蔵
平面画像実物立体変換機『飛び出しライトガン』・原作22巻
鋼鉄親父の電磁竹刀・映画ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん
アクショントリモチガン・映画アクション仮面VSハイグレ魔王(桜リリ子が使用)
ヒママタージェル・映画嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス(おつまみ大臣マーキュンが使用)
スーパーネクタイ・原作40巻
ブレイクダンスからのヒップアタック・映画嵐を呼ぶジャングル

橙色のチューブ状の人工筋肉・映画ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

乙です
ネクタイを締め直したあたりは、しんのすけつながりで仮面ライダードライブの泊進ノ介のオマージュかと思った

乙です
おお、ロボとーちゃん縁の品が二つも
超電磁砲のロボ繰歯が学園都市版ロボとーちゃんって感じだったしタイムリーな
しかしこれはしんのすけ絶対首つっこむな…

1です。これから投下します。
>>34
「ひとっ走りつきあえよ」もいつかやります
>>35
コピーが、自分がコピーと気づいてしまった時の絶望。アイデンティティの崩壊……
メカ繰歯ちゃんは今後どうなるんでしょうね

浜面に連れられてやってきた路地裏では、噂の通り探せば早々にマネーカードが見つかった。
「もう三枚目だゾ、結構簡単に見つかるもんだね」

「室外機の影とかが狙い目みたいだな。金額にバラツキがあるから幾ら儲かるかは運次第だけどよ」

「お、コレ五万円のやつだゾ」

浜面としんのすけが話しながら、カードを次々に見つけていく。

「しかし、なんだってマネーカードが見つかるようになったんだろな?」

ふと、浜面が疑問を口にする。

「そりゃ誰かがばらまいてるってことでしょ。確かお金を捨てるのは犯罪だけどカードは違うとかって法律も在ったような気がするし」
         くに       このまち
この街の中での事は日本の法律では無く学園都市の条例が優先されるが、カードをあちこちに隠してまわっている何者かが
ソコを気にして現金では無くマネーカードにしたのであれば、おそらく条例でもそうなのだろう。

「何が目的なんだろうな?まあ俺としちゃ儲かるから良いんだけどさ」

「シークレット・サンタ的なアレ?とかじゃ無いなら……」

「とかじゃ無いなら?」

善意の寄付でないのなら、理由は何なのだろう。
浜面はしんのすけの予想を聞くべく、その先をうながした。
            コト
「第七学区で、何か大きな事件を起こす気か、あるいはこれから起きるから阻止したいのか」

「真逆の二択かよ。なんでそう思った?」

「さっきから何人かと狭い中をすれちがってるけど、普通は路地裏ってそんな人多くないでしょ」

「えと、だから?」

その説明では理解できず、浜面がさらなる補足を求めた。

「普段人の目が向かない所に、不特定多数の人が出入りすることで後ろ暗い事をできなくする……ってことだゾ」

「ああ成程。じゃ、その逆に事件を起こす気ってのは?」
 スキルアウト  ストレンジ
「自警団の仲間達で第七学区外に引っ越して行ってる人達も多いんじゃないかな」

「まあそりゃガチの路地裏生活の連中にとっては暮らしにくくなっただろうな。噂の出る前と後じゃ」

「そしてそれは、第七学区で活動する自警団員の人数が減っているってことだゾ」
シマ
縄張りが増えたのと同程度、自警団員の数も増えたが第七学区と第十学区では、元の治安を考えれば
第十学区により多人数を置くべきなのだろう。
しかしそれで、第七学区での活動がおろそかになってはたまらない。
      ジャッジメント アンチスキル
「まあ正規の風紀委員や警備員がいるから、それだけじゃ前準備としてはオソマツだけどさ」

そこまで言われれば、浜面も納得する。

「逆に言えば同様に何かしらの手を、風紀委員や警備員にもしているなら……ってことか」

「そう言うこと。じゃ、集めたカード渡しとくゾ」

しんのすけが重なったカード数枚を浜面に手渡した。
             の
「オイオイ今夜お前が拾った奴全部じゃねえかよ、良いのか?」

「うん、オラもう帰って寝る。そんで明日は昼間からカード探すゾ」

浜面に別れを告げ、しんのすけは帰宅した。

そして、その翌日。

「涙子ちゃん、なにやってるの」

しんのすけは昼間から四つん這いになり地面の匂いを嗅いでいる友人を見かけ、
数秒悩んだ後に声をかけることにした。

「あ、野原さん」

「こんにちは、涙子ちゃん」

「野原さんもマネーカード探しですか?」

「うん、涙子ちゃんも?」

「はい、だからこうして匂いをたどって……」

「日中の街中で女子中学生がしちゃダメなポーズだと思うゾ!?」

夜間人気の無い場所でしていてもそれはそれで危険だが。

「けど『匂い』か……その手が在りましたな」

しんのすけが懐に手を入れ、自宅の犬小屋で寝ていた愛犬をその場に取り寄せた。

「ワウン!?(何するのしんちゃん、ワープホール越しに連れて来られるのってすっごく怖いんだよ!?)」

「い、犬がしゃべった!?」

正確には首輪から声が出ているのだが、初めて出会う光景に佐天が驚く。

「シロっていうんだゾ。シロ、この子は佐天涙子ちゃんだゾ」

「よろしくねー。シロちゃん」

「(よろしくお願いします)」

初対面の一人と一匹が挨拶を交わす。

「涙子ちゃん、例のカード……できれば封筒も持ってる?」

マネーカードは口の開いた封筒に一枚ずつ入れられた状態で隠されていた。

「あ、はい。両方持ってます」

佐天が四枚の封筒を取り出す。おそらく中にはマネーカードが入っているのだろう。

「よしシロ、この匂いを覚えるんだ」

「シロちゃんってそんな事が出来るんですか?」

「雨とか降らないかぎり大丈夫だゾ」

「(別に、本職の警察犬のようには行かないけどね……ん!?)」

しんのすけの腕の中で、シロが毛を逆立てた。

「どうしたシロ!?」

「(何か嫌な感じがする人が近づいてきてる!!)」

「あら佐天さんと野原」

「御坂さん」

シロの言う『嫌な感じがする人』とは第三位の超能力者、『超電磁砲』【レールガン】の御坂美琴であった。
    エレクトロマスター
「ああ、発電能力者のAIMか」

「え、何が?」

「シロちゃんが急におびえちゃって」

御坂の疑問に佐天が答えた。

「シロちゃん?」

「こいつだゾ」

しんのすけが御坂にシロを見せる。

「あー、昔から動物には嫌われちゃうのよねー」

「まあAIMなら仕方ないよ」

しんのすけがシロを懐に戻す。

「そんなワケで、呼んで早々にゴメンねシロ」

「御坂さんもカード探しですか?」

「うん、手伝ってもらおうと思って」

佐天の問いに、本人では無くしんのすけが決定事項であるかのように答えた。

「え?」

「美琴ちゃん、前に大怪獣倒した時に言ってたでしょ?形状や大きさが判っているならソナーセンサーみたいなことも出来るって」

「わあ、沢山見つかりそうですね!!」

御坂はまだ了承していなかったのだが、佐天の喜びように、既に断れる空気ではなくなっていた。

「今度は初春達も交えてやりましょーねー。んじゃ、ウチこっちなんで」

陽もすっかりくれた頃、佐天は二人と別れ帰っていった。

「ぐ、結局一日潰してしまった」

「何か予定でもあったの?ゴメンね」

「まあ買い物とか、別に今日じゃ無きゃできないってことじゃないけど」

手にしたカードを数えるしんのすけと、金銭には困ってないしどうしたものかとカードを持て余す御坂。
そんな対照的な二人もそれぞれの自宅と学生寮に帰ろうかという時、ガラの悪そうな男達がしんのすけに声をかけてきた。

「ああ、野原さん!!」

男達は自警団のメンバーであった。

「ん?何」

「見つけたんすよ。マネーカードを隠してる白衣の女をヒコイチが見たって」

「白衣の?はぁ、木原一族じゃ無きゃいいけど……」

「雑居ビルみてーなのに入っていきました、この近くっす」

「だってさ、美琴ちゃんも来る?」

マネーカードが原因で、まだ大きな事件は起こってないが、件の人物が怪しい事この上ないのは事実だろう。
故に、正義感の人一倍強い友人にも同行するかとしんのすけは問う。

「ええそうね、なんでこんな事してるのか、私も気になるもの」

男達の言うとおり、雑居ビルはほど近くにあった。

「テツたちは外で待ってて」

相手が『木原』である可能性を考え、男達に待機するよう伝える。

「ウス、ならその女いや女生徒さんは……」
       レベル5
「美琴ちゃんは超能力者だゾ」

「なぁ!?」

驚く男達を尻目に、二人はビルの中に入って行く。

「で、最上階。この部屋にいるみたいだね」

「行くわよ野原」

二人が踏み込むと、中にいた白衣の女が振り返った。
    つけ
「Oh 尾行られてたのかしら」

今夜はここまでです。続きは日曜の夜を予定しています。
Qジト束さんではないのですか?
Aギョロ束さんです。1はギョロ束さん派です

乙です
ところでムスメカの装備って出す予定ありますか?
あの「本気のおふざけ」感はこの作品の雰囲気に合ってる気がするので

>>45
こんなマクロスのクランが巨大化状態でぶっぱなすマシンガンレベルの速度でレールガンぶっぱなしそうな美琴じゃ強すぎてストーリーにからめられんわ

そういえば、まだ先になると思いますが、
"とある科学の一方通行"での話は
この物語に組み込むのでしょうか?

おそらく原作とは異なるのでしょうけど、
亡本が登場しているので
この物語では亡本がDAに関わっているのか気になります。

1です。これから投下します。
>>45
妹達の方は出てくると思いますが美琴の方は多分出てこないです
というのもあの装備はどう見ても重力下での持久戦には適しているとは思えないので
>>46
それでも、一通さんにはかなわない。
雑魚には過剰でもボス級には役立たずのガラクタになる装備や能力って『とある』には多い気がします
>>47
屍食舞台は原作と変わらず配下で、さらにこのSSの亡本は原作と違って駒場利徳の自警団もある程度は動かせる立場なので
DAの支援者になる理由が無く、DAは別の理事(後に舌ピアスさんにアレされる人達の内の誰か)に拾われています
ただヒルミの研究をDA以外の組織でもやっていればこのSSでも本編に絡ませられる……のかな?
恐らくこのSSが追いつくその頃には一方通行のスピンオフは完結ないしエステルのエピソードは終えているでしょうから
その終わり方次第です

おそらく高校生位と思われるが、独特な目つきをした女がそこに立っていた。

「アンタがマネーカードを隠してまわってるの?何が目的」

御坂が白衣の女に話しかけた。

「……」

「な、何よ?」

女は御坂をしばらくじーっと見た後に口を開いた。

「あなたオリジナルね」

「へ?オリジナル?」

御坂にはなぜ女が自分をそう呼ぶのかわからなかったが、しんのすけにはその呼び方に心当たりがあった。

「つまりお姉さんは、『量産計画』の関係者ってこと?」

「『量産計画』?」

聞きなれぬ単語に御坂が聞き返す。
すると逆に、白衣の女が御坂に訊いた。

「あなたも噂くらいは聞いた事があるでしょう?」
    レールガン
曰く、『超電磁砲』のDNAを使ったクローンが製造されている。
曰く、軍用兵器として開発されていて近い内に実用化予定。
曰く、同時に複数個所で、御坂美琴が目撃された。

「アンタも野原も、アノ噂についてなにか知ってるの!?」

その噂については御坂も耳にした事があった。
実際に御坂を見たと言う人から話を聞いたりもした。

「出所って言うか、元ネタについてはね。そっちのお姉さんは、その関係者っぽいけど」

「exactlyそう言うあなたは何者なのかしら」

「オラ、野原しんのすけ15歳。ところでお姉さんって『長点』でしょう?」

白衣の女がわずかに驚いたようなそぶりを見せる。

「どうしてそう思ったの」

しんのすけは自身の改造制服のエリについた校章を人差し指でトントンと叩きながら言った。

「オラも長点上機なんだゾ。そしてお姉さんの胸元のリボンはウチの女子制服だ、白衣の下はブレザーだったりするんじゃない?」

「ええ、その通りよ。よくわかったわね」

制服を見せる為か、女は白衣を脱ぎ、それを鞄の乗った机の上、鞄の横にたたんで置いた。

「まだ名乗ってなかったわね、布束砥信よ」

「オーケー、布束先輩だね」

「それにしても……」

「何?」

しんのすけが着ている服を見て、布束には思うところがあるようだ。

「unbelievableよくそこまで改造したわね。言われなければ長点上機の制服だとわからないわ」

今まで黙っていた御坂が、ついに耐えきれなくなり叫んだ。

「だあぁぁぁーーーもうっ!!アンタらが同じ高校だとかどうでもいいわよ!!」

「と、ゴメンね。噂の元ネタだっけ。でもオラから聞くより、関係者だけあって布束先輩からの方が詳しく聞けるんじゃない?」

キッと御坂が布束をにらむが……

「but私には全てを話す気は無いわよ?」

彼女には効果が無かった。

「ハア!?あの噂は私にとっては他人事じゃ済まないのよ!?知る権利くらい有るでしょうが!?」

「確かにあなたは深く関わってる……」

布束はそこで一度言葉を切り、目を閉じて首を横に振った。

「howeverだからこそ知るべきでない事も在ると言う事よ」


二人がにらみ合いになり、しんのすけが沈黙を破った。

「まあ布束先輩に話す気が無くても、ここに全部書いてあるんだけどね」

今夜はここまでです。続きは明日を予定しています

乙です
ルー布束先輩可愛い

1です。これから投下します。
皆大好き、あのキャラが最後に登場
>>59-60
ギョロ束さん原作で再登場して欲しいけど、絶望的なんですよね
木山先生も布束さんも、アニメではフォロー入ったけど原作だとフェードアウト組ですし

「え?」

「っ!?」

しんのすけが、手にした紙束をトントンと叩きながら言った言葉に、二人がそれぞれの反応を見せる。
          こ
「goddamn私がこの娘に注意を向けている隙に……!!」

「ザッツラーイ、でもガッデムよりシット程度にしときなよ……ファッキンじゃないだけましか」

「野原?その紙は?」

御坂が紙束に目を向ける。
しんのすけの手が邪魔で全ては読めないが、一番上の紙には『量産型~』と書かれているようだ。

「その鞄と白衣の置かれてる机の中にあったんだゾ」

しんのすけの指さす机を見れば、引き出しが開けられており、おそらくその紙はそこにあったのだろう。

「何故―」

「なんでわかったかって?」

何故その紙の隠し場所が判ったのかと問う布束の言葉をさえぎって、しんのすけが説明する。

「最初オラ達がこの部屋に入ってきた時に後をつけられてた事に布束先輩は気づいて無かったからね」

つまり机の上にあった場違いに小綺麗な鞄は布束の持ち物であり、それは白衣を鞄と並べていることからも確実だろう。

「で、無警戒な時に鞄を置いた机なら……怪しいと思うよね?」

「でかしたわ野原、さあ、それをコッチへ渡して」

御坂がしんのすけに手を伸ばす。

「ま~ま~、布束先輩の言い分も気になるし、先ずはオラが読んでからね」

数秒後、しんのすけは紙束を懐にしまい、言った。

「あ~、これは美琴ちゃんは知らない方が良いんじゃないかな?」

「なっ!?アンタまでそういうこと言う!?」

怒りと驚きを見せる御坂に、しんのすけがなだめるように話す。

「ここで知らせて、美琴ちゃんが怒って暴れたら大変だからね」

「つまり、私が知ったら怒って暴れそうな事が書いてあったのね」
   プロジェクト ・・・
「こんな計画が昔あったってだけで、本人にはキツイだろうね。色々」

「その『色々』を、アンタには教える気が……無いのよね?」

流石に一応は友人を相手に、拷問などしたくはない。
それに自分と同じく超能力者であるしんのすけを相手にすれば戦闘は避けられないだろう。

「ま、オラは美琴ちゃんが自分で調べて真相にたどり着く分には邪魔しないゾ」

「調べる?」

「じゃあヒントだけね。クローンを作るには『遺伝子情報』が必要だ。美琴ちゃんは過去何処かでそれを誰かに渡している筈だゾ?」

製薬会社とか怪しいんじゃない?と、しんのすけは続けた。

「あっ!?」

どうやら御坂にも思い当たる事があったようだ。

「心当たりがあるなら、直ぐに行った方が良いよ?」

と、しんのすけが言い、

「そうね、彼等もいつまでも『計画』の証拠を残してはおかないでしょうし」

と布束が続けた。

「あーもー!!解ったわよ。野原、あとで覚えときなさいよ」

御坂は捨て台詞を残して部屋から走り去っていった。

「……役者ね」

「それほどでも」

御坂のいなくなった部屋で、二人の会話はなおも続く……。

学園都市某所、樋口製薬・第七薬学研究センター。
その中の電子的に隔離された一室にて、機械を操作する人影が在った。

「幾つか消されちゃってるけど、これくらいなら復元可能ね」
エレクトロマスター
電気使い系最高位、御坂美琴である。
あの後、布束の顔と名前から長点上機学園のデータにアクセスし、彼女がこの研究施設に所属していた事を突き止めたのだ。
そして身元を隠すために着替えてから忍び込み、まさに今知りたかった情報を手にしようとしていた。

「あ!」
       レールガン     シスターズ
御坂の目に、「超電磁砲量産計画『妹達』最終報告」の文字が写る。

(本当にあった、私の……クローン計画)

振るえと、冷や汗が止まらない。
しかし、自分は確かめなければならない。
あの噂の出所、その全容を。
彼女はモニターに書かれている内容を読み進めていく。
超電磁砲量産計画のおおよその流れはこうだ。

超能力者を量産するためにその遺伝子を解析、クローンを造る。
この目的は偶発的にしか生まれない超能力者を確実に生み出す為である。
本計画の素体は『超電磁砲』御坂美琴とする。
複数種類の薬品によりクローンは十四日でオリジナルと同等の肉体を得られる。
布束砥信監修の学習装置を用いて、精神面及び脳内情報等の強制入力を行う。
成果を確認の後、量産体制を構築する予定。

おぞましい文書が続いていく、しかし―――
ツリーダイアグラム
『樹形図の設計者』の予測演算の結果、クローンは素体の1%未満の出力しか持たない事が判明。
損害を最小とする為、研究の即時停止。
当計画は永久凍結するものとする。

と締めくくられており、その後は事後処理についての指示や命令文であった。

「はっ……ははは…何よ、やっぱ私のクローンなんていないんじゃない」

最後まで読み、彼女は安堵した。
その場に膝をつき、息を一つ大きく吐きだす。

「きっとこの計画が中途半端に漏れて、噂の元になったのね」

今思えば、先程のしんのすけも『こんな計画が昔あったってだけ』と言っていた。

「さて、帰るか」

自分がハッキングした痕跡を消して、上機嫌で御坂はその部屋から出ていった。
故に、気が付かなかった。

『昔あった』だけの計画ならば、何故布束は今になってマネーカードをばらまきはじめたのかという疑問にも。
そして、自分が退室し、程無くしてその部屋に入ってきた、自身そっくりの少女の存在にも……

時間は戻り雑居ビルの一室、布束砥信と野原しんのすけの会話が続く。

「樋口製薬には、結局計画は実行されなかったという情報しかないわ」

「それで美琴ちゃんが納得してくれれば良いけど……」
                 クローン
テスト用の数体のみとはいえど自分の兄弟が生まれ、そして既に死んでいるなんて情報は、知らないほうがマシだと
しんのすけは経験者としてそう思う。

「questionそれで、あなたは何者なのかしら?名前と年齢だけ答えても、私の質問の答えにはならないわ」

『量産計画』の存在を知るお前は何者なのか、と言う問いは、何故『量産計画』を知っているのか、と言う意味だ。

「友達に『暗闇』の生き残りがいてね、隣のクラスには元『白鰐』もいるし」

「『暗闇の五月』や『白鰐部隊』の被験者と交友関係が?」

「案外、『日常』と『非日常』の境目は薄くて脆いよ」

そう語る後輩の眼に、布束は底知れぬ『闇』を見た気がした。

「まあ、何が言いたいのかって言うと……オラの知識だと、さっき布束先輩も言った通り『量産計画は実行されなかった』筈なんだよね」

でも布束先輩はこうして何かをしている、と。
ソレは何故なのかと問いかける。

「……because計画が流用されたのよ」

「ああ、クローン人間がもう産み出されてて?彼女たちは路地裏で何かをしてて?それを布束先輩は止めたいと」

どうやら御坂美琴のクローンは、数体どころではすまないようだ。

「何故……いえ、噂と今までの情報から、あなたなら解るわね」

「……今回はドッチかな?」

小声で呟いたしんのすけの言葉は、布束の耳には入らなかった。

「それで、私の目的を知ってあなたはどうするのかしら?」

自分と共に彼が、『妹達』が行っている実験を止めようと申し出たとしたら、布束はそれを拒否するだろう。
もしそうなった場合、あまりにも危険すぎる。
布束は、しんのすけが第八位の超能力者だとは知らない。
しかし知っていたとしても彼の協力を拒む事は変わらない。
敵は、学園都市そのものなのだから。

「べつにどうも?」

しかしそんな心配をよそに、しんのすけは布束に、協力しようとも邪魔しようとも言わなかった。

「あ、でも……街で偶然会ったら話を聞いてみたいかな。コレ返すね」

布束の手に懐から取り出した紙を渡し、そう言ってしんのすけも部屋から出て行った。

「テツ、サトシ、ヒコイチもよく聞いて。これからは通信用端末の携帯を特に意識して」

しんのすけが、雑居ビルの近くで待っていた自警団員たちに指示を出す。

「ウス、けどなんでですか?」

「どっかのヤバい奴が路地裏でなんかするらしいゾ、見た奴は確実に『口封じ』される様な、ね」

「ひっ!?」

体格のわりに怖がりな性格をしているサトシがビビる。

「例のマネーカードは、ソイツ等も人目は避けるだろうって考えでまかれた物らしいよ」

「それって、下手したら逆に、口封じに殺される奴が続出するんじゃ……」

「だから端末を持っとけってこと。駒場さんにもオラから話して自警団全員に徹底させとくから」

それだけ言って、しんのすけは自警団員達と別れ帰っていった。

「……布束先輩は『流用された』って言ってたな」

一人になり、呟く。
        プロジェクト
「流用先はどんな『計画』なんだろ?まあろくなもんじゃないんだろうけど……」

そこらへんから洗ってみるかと、布束にはああ言ったがその実、首を突っ込む気満々のしんのすけであった。

「う~ん、北与野博士のとこにも情報無しか」

そして、その四日後の夜、あれから四日経った今でもしんのすけは『流用先』の情報を得られずにいた。
と言うのも『しんのすけが調べていた』という事が、御坂の耳に入りそうな調べ方は出来ない以上
初春飾利を筆頭に、情報収集能力の高い何人かには頼れないのだ。

「十四日どころか三分でオリジナルと同等の能力をもったクローンを作れる博士なら『この計画に協力しろ』って話が来てると思ったんだけどな~」

本日も収穫無し、寂しく歩くしんのすけのズボンのポケットから、正確にはポケットの中のスマホから着信を知らせる音が鳴った。

「誰か遂に美琴ちゃんのクローンたちが何かしてる現場を見ちゃったか!?」

しんのすけがスマホに手を伸ばす、しかし何故かそれよりも前にスマホはひとりでに通話がオンになった。
彼に連絡を入れて来た者の声が、スマホから聞こえる。

「しんのすけ、気を付けろ。その先には指向性対人地雷がうまっているぞ!!」

「その声でその台詞はアウトじゃない!?」

今夜はここまでです。
続きは一週間程お待ち下さい

ぶりぶりざえもんか

「ス↓ネ↑ーク↓気を付けろそこにはク↓ルェイモア地↓雷↑がセッットされている…」の色っぽさは以上

北与野博士のチートっぷりがよくわかる話。
そしてとうとう接触したかぶりぶりざえもん

乙です
しんのすけはどのくらい制服を改造してるんだろうか

クレヨンしんちゃん対シン・ゴジラってなんやそれ…
しんのすけの経歴がさらにとんでもないことに

昨日まとめサイトで1スレ目を読んで、今追いついた
なんというか、凄いな。クレしんに対する愛情がひしひし伝わるわ

シンゴジラマジかよw 見てきたけどヤバイだろコレ。
スパロボにも出たし最近凄まじいなクレしん。

世界の国の学習まんがで登場した酢乙女愛号は出ないかな
数人は乗れて世界中のあらゆるところに1時間以内に行ける凄い超小型飛行機

丁度アマゾンプライムで劇場版が見れるから作業用BGM代わりに見直してるけど、意外と忘れてること多いな。
オトナ帝国と戦国、ロボとーちゃんあたりは見たら確実に泣くだろうから見れないんだが

お久しぶりです、1です。これから投下します。
>>74
皆大好きなあのヒーローですね
パロディの元ネタがちゃんと通じて良かったです
>>76
学園都市製のクローンが十四日かけてオリジナルの百分の一以下の性能なのにたいして
北与野博士のインスタントクローンは三分でオリジナルと同等の性能ですからね……
ただし83分後には水と麺状の蛋白質に分解されてしまいますが
>>77
それがブレザーであることはわかる、というくらいには原型をとどめていません
袖口など各所に暗器を隠せるように、更にはいつでも取り出せるように改造されています
しんのすけの原作での妙な衣装はほとんど自作(たしか原作公式設定)なので、彼の裁縫技術はチート級の設定です
>>78>>80
流石にパラレルみたいですけどね。
正史だったら、トール「アレとヤッたことあるとか羨ましすぎんだろ!?」とかネタにできたんですけど
>>79
おお、新しい読者様ですか。今後もよろしくお願いします
>>82
似たようなのは、とあるサイドにもあるので……
>>83
今年の映画も涙腺崩壊ものでしたよ……みさえサンマジ聖母

しんのすけはその『声』に聞き覚えがあった。
しかし記憶の中の、その声の持ち主は確かにあの日、死んだ筈だ。

「あんた誰?名前は」

「ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ……貴様のファンさ」

そこで通話はブツリと切れた。

「今の声……本当にアイツが?」

あの世から帰ってきたとでもいうのだろうか。

「そう言えば、飾利ちゃんが言ってたっけ」

データとして、一度存在したものは完全に消去することはほぼ不可能らしい……
つまり大抵の場合、復元可能なのだそうだ。
 このまち
「学園都市の技術なら電子生命体の蘇生くらい簡単なのかな」

だが、だとしたら何故こんなコンタクトのしかたをするのだろう。
堂々と正面から、会いに来てくれれば良いものを何故、偽名を名乗り謎の人物を演じるのか。

「……まあ大方アレのパロディなんだろうけどさ」

彼と声が似ている人物が登場する某作品の、その登場シーンを模したのだろう。
そしてしんのすけの知る彼ならば、その再会をより劇的に演出したいと考えていたとしても納得できた。
だとしたら再会は近い。
その作品ではその人物も、主人公からは死んだと思われており、まず謎の通信、次にフルフェイスマスク姿で登場し
終盤になってようやく仮面が外されて正体が明かされるというストーリーだった。

「ウォーターゲートの密告者の名前じゃ別の方向にアウトだから、あんな変な偽名使ったのかな?」

彼がどこまでこのパロネタを続ける気なのかは解らないが、もしガチならこの後しんのすけは、戦車に襲われることになるだろう。

「いやいや、流石にまさかね」

街中で戦車はないだろうと思った矢先、ドーンという爆発音が聞こえてきた。

「本当に対人地雷が埋まってたのか!?そして誰かが踏んじゃったのか!?」

急ぎ、音のした方へ走るしんのすけが、現場に着き目にした光景は、
御坂美琴によく似た、片足の無い少女が、空から降ってきたコンテナに圧し潰される。
と言うものだった。

(今のが布束先輩が言ってたクローンか!?)

なんでコンテナが降ってきたんだ!?
そもそもあのクローンの少女はここで何をしていた!?
驚きながらも、考えねばならない、確かめなければいけない事へと頭を働かす。
しかし、それは結果としてみれば悪手であった。


「なっ……美琴ちゃん!?」

直後、しんのすけのすぐ横を御坂美琴が走り抜けていった。
その向かう先には、白髪で細身の少年が立っている。

ガガガガガガガガッ!!!!

御坂から放たれた雷撃が少年の周囲を暴れ回る。
しかしその攻撃は白髪の少年には一発も当たっていないように、しんのすけには見えた。
いや正確に言えば『当たっているのに届いていない』と言ったところか。
おそらくは少年の能力に因るものなのであろうが、しかし今はあの白髪の少年の能力についてよりも
何故、御坂美琴がここに居て、あの少年に攻撃したのかだ。
布束砥信は『樋口製薬に在るのは結局計画は実行されなかったという情報のみだ』と言っていたが、
御坂はその後どうしてか計画の流用とクローン達の存在をしったのだろう。
それでこの場に来た、ここまではいい。
では何故あの少年に攻撃している?そもそもあの少年は何者だ?何故ここに居る?
情報があまりにも不足している。


(戦闘を止めさせて二人から話を訊くべきかな)

簡単に話してくれれば良いが……

「おおっ、スゲェスゲェ、何だ新ワザかァ?」

白髪の少年が、独り言のように訊く。
御坂は単純な電撃による攻撃をやめ、磁力を操り、砂鉄でできた砂嵐いや鉄製の竜巻を創り少年へとぶつけた。

「ふーン磁力で砂鉄を操ってンのか。おもしれー使い方だ」

荒れ狂う黒い竜巻の中、少年は先程雷撃に囲まれた時と変わらず、一切のダメージなど無い様子でワラっていた。
いや事実ダメージなど無いのだろう。

「タネが割れたらどーってことねェがな」

少年のその言葉と共に、砂嵐はかき消された。


(今のって……上条君と同じ!?)

それを見てしんのすけは、驚きながらも考察を続けようとした。
しかし御坂が奇声を上げたためにそれは中断される。

(美琴ちゃんに何が……アレは!?)

どうしたのかと彼女の視線を追えば、そこには一本の人の足があった。
靴と靴下から、先程コンテナの下敷きになったクローンのものだと思われる。

(あの片足は地雷で吹き飛んだんじゃなかったのか?)

地雷を踏んだのはクローンでは無く少年の方だったのだろう。
彼の能力であれば、地雷の爆発も平気なのかもしれない。
ということは、彼の能力は上条当麻のそれとは違い、純然たる物理現象すら無効化しているということ。
そして地雷を埋めたのがあのクローンなのだろう。
まず、しんのすけに地雷の存在を教えたアイツが犯人だということは在り得ない。
少年が自分で埋めた地雷を踏むとは考えられず、そもそも御坂美琴と比較すれば1%以下の性能だと言っても
それでも約一千万Vもの電圧を扱える異能力者の電撃使いだ。
つまり自身の近くに地雷が埋まっていればそれに気付くし、踏もうとしている者が居れば止める筈だ。
にもかかわらず、地雷は爆発した。
つまり、クローンが少年に地雷を踏ませたのだ。

(ああいう『無敵バリア』系の相手にはバリアの張って無い所を探すのが定石だしね)

おそらく白髪の少年と御坂のクローンの二人は、ここで戦闘していたのだろう。
コンテナを空から落としたのもクローンの片足を斬りおとしたのも、少年の能力を使ってのことであれば納得できる。
勿論、地雷の爆発は少年が踏んだからでは無く、クローンが能力を使って遠距離からの爆発物処理に失敗した可能性もあるが、
それではクローンの怪我や、降ってきたコンテナの説明ができない。

「とりあえず、一旦二人を止めるとしますか」

少年と御坂の戦闘、と言っても現状は御坂が攻撃しているだけだが、それは激しさを増していた。
近くにあった幾本もの鉄道レールが、磁力によって絡み合いながら浮かび上がり、さながら一本の巨腕の様であった。
それが、いやそれらが、白髪の少年に襲い掛かった。

ガアアン

少年に直撃したかに思えた数本のレールは、しかし弾かれたかのように動きを変え、御坂に向かう。

「まずいゾ」

しんのすけは急ぎ、御坂と飛んでくるレールの間に入る。
ネクタイをしていなければ間に合わなかったかも知れない、しかし幸いにも今のしんのすけは
全ての身体能力が63倍になるネクタイをしていた。

「護れ、『第七沈々丸』!!」

御坂の前に立ち、懐剣を抜き放つ。
現れた三メートルを超す戦太刀が飛来する鉄塊を断ち切った。

「何だァ?オマエ」

突如、眼前にあらわれた存在に、白髪の少年が尋ねる。

「オラ、野原しんのすけ15歳。アンタは?」

白髪の少年が答える。
  アクセラレータ
「『一方通行』だ、ヨロシク」

今夜はここまでです。
明日のアニメ楽しみですね

シン・ゴジラはともかくオヤジシェンデストロイヤーやオヤジジェンデストロイヤーはネタとして使えそうね

乙です。流石にベクトル変換相手に基本物理のしんのすけが……と思うけど、しんのすけだからなぁ

>>100
法則無視だからそんな法則に囚われるわけない

お待たせしてすみません。
お久しぶりです。1です。
これから投下します。
>>98-99
作る理由がなさそうですし既に原作に北与野博士のデカウォーターがあるので
ただデカウォーターだと10数メートルなのに対してシンゴジラは100をこすそうですが
>>100-101>>103
しんのすけじゃなきゃ不可能な方法ですが、一応は『理屈在り』の方法を考えています

『一方通行』と名乗った少年に、しんのすけが戦いを止めるよう提案する。
 アクセラ
「一通さんね、とりあえず今夜はこれでオヒラキにしない?」

「あァン?」

一方通行にとって、しんのすけは突如現れた怪しげな乱入者だ。
御坂を守った事から、次はコイツが自分の相手をするのかと思っていた。
しかし実際に出てきた言葉は余りに予想外のものであった。
虚を突かれた一方通行に、しんのすけが続けた。

「ここでクローンと戦ってたみたいだけど、この娘はちょっと違くてさ……ならなんで襲ったのって言われたら、オラにはわかんないけど……まあとにかく、見逃してくれない?」

『ちょっと違う』と言うしんのすけの台詞に、一方通行が応える。

「あァ、やっぱりなァ。途中で気付いたぜ……ソイツ、オリジナルだろ?」

「そうそう、だから……」
                オリジナル
「けどなァ、アイツらとの戦闘は超電磁砲との戦闘の代用だ……」

しんのすけの言葉を遮り、一方通行は言葉を続けた。
        ソイツ  や
「ってェことは御坂美琴と戦ればこのダリィ作業もグッと短縮できるンじゃねぇか?」

「わーお、まさかのやる気満々?」

一方通行が足を一歩前に踏み出し、しんのすけが御坂をかばうように彼女の前に立ち、戦太刀を構える。

「お待ち下さい」

一触即発の空気の中、待ったをかけたのは一方通行でもしんのすけでも、御坂のものでもない、複数の声であった。

「計画外の戦闘は予測演算に誤差を生じるおそれがあります。とミサカは警告します」

御坂としんのすけが後ろを振り向き、声の主を確認する。

「……こんなにたくさん?」

しんのすけの呆れとも驚きともつかないこえが漏れる。
そこには三十は居ようかというほどの第人数のクローン達が並んでいた。
                レべル5
「特にお姉さまとそちらの男性は、超能力者ですので」
「戦闘により生じる歪みは」
「非常に大きく」
「期間の短縮はおろか」
「計画が破綻するおそれがあります」
「またミサカには今後予定されている実験に合わせた」
「チューニングが」
「施されており」
「計画を途中で変更する事は極めて困難であるとミサカは説得します」

彼女達がリレーして話すその様子に一方通行が舌打ち一つした後に了解の返事をする。

「分かった分かった、分かりましたよ。ちょっとからかっただけだっての」

それだけ言うと、つまらなそうに立去っていった。

「九九九五号から一○○○七号まではレールの撤去を」

「一○○○八号以降は……」

「何で!?」

二人のクローンが台詞を分割し他のクローン達へ指示をだす途中で、御坂の血を吐くような声が響いた。

「アンタ達は何なの?おかしいわよ!!何でこんな計画につきあってるの!?生きてるんでしょ!?命があるんでしょ!?アンタ達も!!あのこも!!」

しかしそんな御坂の問いかけに返されたのは、実に淡々としたものであった。

「ミサカは計画のために造られた模造品です」
「作り物の体に作り物の心」
「単価にして十八万円の」
「実験動物ですから」

その声が、複数人によるものなのか、一人が区切って言ったものなのか、御坂としんのすけの耳には、分からなかった。

短いですが、今夜はここまで
その場にしんのすけが居合わせただけで、原作とほとんど変わりませんが
そのわずかな違いがバタフライエフェクトおこしたりするのがこのSSです
次回投下は一週間後です。

話は変わりますが、アニメのひろしの声の違和感がすごいですね

なるべくしんのすけの映画キャラと絶対にオリキャラは出すな


実験に対する反応がしんのすけらしくて良いなあ

1です、これから投下します。
>>120
オリキャラは出す予定はありませんが、未来パロという性質上クレしんサイドのキャラクターは半オリキャラといえるかもしれません。
映画キャラはこれからも多々出てくると思います。
>>126
そう言ってもらえてうれしいです
色んな事件を経験したしんのすけはこんな状況でも妙に冷静だと思います。

「もう行こうよ、見てて気分の良いものじゃないでしょう」

しんのすけが御坂に声をかける。   シスターズ
二人のまわりでは御坂美琴のクローン『妹達』がつい先程まで行われていた一方通行との戦闘の形跡を消す作業をしていた。

「美琴ちゃん……話せる?」

御坂は答えない、心此処に在らずといった様子で、濁った眼で妹達を見ているだけだ。

「……ハア、やれやれだゾ」

しんのすけは御坂のそばから離れ、作業中の妹達に近寄る。
彼女達は複数人がかりで磁力を操りコンテナを浮かしていた。

「さて、どうなるかな?」
しんのすけがポケットから一対の手袋を取り出し、手に着せながらつぶやく。
浮いたコンテナの下には、片足を失い、変わり果てた姿となった妹達の一人がいた。
血だまりに靴が汚れるのも気にせず、しんのすけは彼女の横に立つ。
そんな彼に、妹達の一人が言った。

「貴方にそこに立たれると、作業の妨げになります。とミサカは注意します」

「ごめんね、でも数秒だけだから」

そう言うとしんのすけはその場に屈み、赤黒く染まった常盤台中学の制服に手を伸ばした。
一瞬の光の後、彼の掌の先には少女が生前と変わらぬ姿で横たわっていた。
血に染まっていた制服は洗濯し干したてであるかのように、汚れの一つもなく綺麗で……
失った左足も生えその体にはわずかな傷すら無く、まして腐敗や欠損等在る筈も無い……
だが、それでも……彼女の死はくつがえらない。

「……やっぱダメか」

ポツリと言葉をこぼし、しんのすけは仰向けに眠る少女の手を胸の上に組み、まぶたを閉じる。

「理解できません、その個体は既に死んでおりそのような行為は無意味です。とミサカは疑問をていします」

周囲に居た妹達の内の一人がしんのすけの行動の意味を問う。
そのような行為、とは肉体を治したことだろうか、それとも手やまぶたのことだろうか。
しかし、しんのすけは彼女の疑問には答えず、独り言のようにつぶやいた。

「へえ、『死』んでいる……ね、クローンの嬢ちゃんは今のあの子をそう表現するんだ……」

「なにか?」

「『機能停止』でも『行動不能』でも無く、お嬢ちゃん達は『死ぬ』んだね」

それだけ言うと、しんのすけは御坂を無理矢理引っ張るようにして彼女を連れ、その場を後にした。

「あ、気が付いた?美琴ちゃん。というか正気に戻った?」

「……う」

翌朝、御坂が気付いた時、彼女はどこかのベンチの上に体育座りしていた。

「アンタ、ずっとそこに居たの?」

御坂は傍に立つしんのすけに尋ねた。

「あの状態の美琴ちゃんを置いてけないよ」

街中で眠っている女子中学生を放置してその場からいなくなれるほど、しんのすけは図太くない。
ましてや、相手が友人であればなおのことだ。

「で、昨日のこと覚えてる?」

しんのすけが御坂に訊く。
夢であって欲しかったとでも言うような、一瞬のためらいの後に御坂はうなずいた。

「じゃあ聞きたいんだけど、美琴ちゃんのクローン達はなんでアノ『一方通行』だっけ?と戦ってたの?」

「アンタは知ってるんじゃないの?」

「オラが知っているのは、量産計画が別のプロジェクトに流用されたって所まで」

「……『絶対能力者』を生み出そうとしているそうよ」

口にするのも忌々しいといった様子で、御坂が話し出した。
  わたし
「『超電磁砲』を百二十八回殺せば『一方通行』はレべル6に進化するらしいわ」

「ああ、『クローン達との戦闘はオリジナルとの戦闘の代用』ってそういう意味か」

昨夜、一方通行が言っていた言葉を、しんのすけは思い出し納得する。

「で、美琴ちゃんはこれからどうするの?」

「そうね、それは私も知りたいわね」

御坂としんのすけの会話に、三人目の声が加わる。

「布束先輩!?」

「久しぶりね。で、どうするつもり?」

「その前に、一つ訊かせて」

現れた布束砥信に、御坂がマネーカードの真意を問いかけた。

「アンタがマネーカードをバラ撒いてたのは実験を妨害する為だったんでしょう?」

「そうね」

「アンタは……なんであの子達を助けようと思ったの?」

「世界をね……まぶしいと言ったのよ」

その時を思い出しているのだろう、布束は視線をやや上に向け話す。

「外部研修に連れて行ったこがね、そう言ったの。我ながら単純だと思うけど、それからあの子達を作り物だと思えなくなったわ」

布束は視線をしんのすけ達に戻し、言った。

「私より彼女の方がずっと人間らしいと思ったから」

「私は……」

布束が話し終わり、御坂が先程の二人からの問いに答える。

「クローンを人間としてなんて見れないし、殺される事を受け入れている連中を助けようなんて思えない。でも……」

彼女は立ち上がり、宣言する。

「ひとのDNAマップをくだらない実験に使う奴らを、私は絶対に許さない」

御坂は何処かへと向け、歩き出す。

「自分で撒いた種だもの、自分の手で片を付けるわ」

「じゃ、オラはオラで勝手にするから、美琴ちゃんも頑張ってね」

去りゆく御坂の背中に、しんのすけが言う。

「あなたはどうするの?」

その場に二人が残され、布束はしんのすけに訊く。

「とりあえずは、『絶対能力進化』計画について調べてみるゾ、色々とおかしな所があるしね……あ、でも」

「でも?」

「まずはウチ帰って寝る、昨日は徹夜だったからね」

そう言ってしんのすけも自宅に帰るべくあるきだした。

(そういえば……アイツはどこまで知っているんだ?)

帰路の途中、しんのすけは思う。
自分に地雷の存在を警告したアイツは、この件に関わっているのだろうかと。

「あ、美琴ちゃんが無茶しないよう操祈ちゃんに連絡しとこっと」

スマホを取り出すと、新着メールがあったのでそちらを先に確認する。
差出人の名は『アレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラ』といった。

「名前変わってるゾ!?」

おそらくそれは、昨日は『ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ』と名乗った人物からのメールだった。

おお!来てたか
そういえばしんちゃんが未来にいく映画の話のヒロインのたみこさんはくぎゅうだったな
もしアニェーゼと出会うことになったら彼女のことを思いだしてほしいな(声優的に)

場面は変わり、『窓の無いビル』の一室、そこには帽子を目深に被りトレンチコートの襟で顔を隠した小柄な男と、2メートル程の身長を持つ少女の二人が居た。

「ほら、土産だ。食べていいぞ」

男は何かを少女に渡す。

「ありがとう、しんせつなぶたさん」

少女は男に礼を言い、手にしたソレを大きく開いた口に持っていく。

「ヤメロ・ワタシハスベテノニンゲンヲミチビキカンペキナセkA……AAAAA」

ソレが悲鳴を上げるのも気にとめず、少女は食事を進める。
その光景を見て、男は言った。

「情報を捕食する存在か、私のような『電子生命体』にとっては天敵だな……」

かつて秘書アプリと呼ばれていた者の末路を尻目に、男は葉巻の様に千歳飴を味わっていた。

今夜はここまでです。
続きはまた一週間期に。

だよなぁ

何故かミサカ達は道具、乱造品と自称、他称されつつ誰一人壊すと表現したことがない、みんなして[ピーーー]って表現するんだよなぁ

このしんちゃんの声優は誰が合うと思う?
矢島晶子さんと神奈延年(ランサー兄貴)はなんか違う気がするから緒方さんのイメージ
球磨川と狛枝みたいなのと同タイプだと思う(よくわからない恐ろしさ的に)

秘書アプリってホラー系の話に出てたやつか
こりゃ殴られウサギも出るか?
上条さんの右手で消してもすぐ復活しそうだけど

遅れてすみません。1です、これから投下します。
>>133
そういう描写は入れるつもりです。ちなみに大原ななこと神裂火織、酢乙女あいとローラ・スチュアートは中の人が同じです
>>136
彼ら(妹達自身も含め)も内心彼女達を『人間』だと思っているのかもしれません
『とある』の世界は
「なんで大多数の人間がそんなおかしな認識を(矛盾にも気付かず)しているんだ?」って謎は全部
「『アーキタイプコントローラー』です」って答えで説明がつくんですよね
>>139-143
矢島さんもトリコの二代目メルクとか(中性的な)成人男性の声もできるわけですし
映画『ホーム・アローン』の吹き替え和訳のショタボイスや、しんのすけもアニメ初期では今とはちょっと違う声だったりと、声色に幅のある人ですね
1的にはこのSSのしんのすけは変声期途中の逆に高くなる時期で、ふだんは『悪魔が憑りついていそうなショタボイス』で、時々原作アニメのしんのすけと同じ声や神奈ボイスになる
というどうでもいい裏設定がありますが
読者の皆様それぞれが思う声を脳内であてていただき、その全てが正解だと思っています
>>146
はい、その秘書アプリです。そしてこのSSでは原作19巻のターミネーターパロでの未来で世界を支配したコンピューターはコイツが進化した存在という設定です。

アレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラと称する人物からのメールは、以下のものだった。

『会いに行きたいが今は忙しい。とりかかっている事が終えたら直ぐに会いに行く』

「……ふ~ん。まあ、アイツにとっては十年ぶりのって言うか、初めてのシャバだからな」

やりたいことも色々あるだろう。それに会いに来る気が有るのなら、そうそう後ろめたいこともしないだろう。
そう思いしんのすけはスマホを仕舞おうとし、その途中でそもそも何のためにスマホを取り出したのか思い出した。

「あ、もしもし操祈ちゃん?」

とある研究所、そこに警備分野でのアドバイザーとして雇われている男『カイツ・ノックレーベン』はその日起こった事件の報告を受けていた。
学園都市内で幾つもの研究施設がたった一晩で破壊されたのだ。
まず品雨大学付属DNAマップ解析ラボ第Ⅰ棟から第Ⅳ棟は全焼並びに第Ⅴ棟からも火の手が上がった。
その他にも磁気異常研ラボ、蘭学医療研究所、バイオ医研細胞研究所、動研思考能力研究所……計十六ヶ所もの施設が再起不能となった。

「あとは消化試合だけだというのニ……同じ『絶対能力進化』開発の対立グループか、あるいハ……」

犯人は何処の誰か、翌日には確定した。
新たに三ヶ所の施設が破壊されたのだが、その際に監視カメラも隔壁も襲撃者に対し意味をなさなかった。
そのことから、また前日のハッキングによる機材の爆破と合わせて、これらが個人で可能な能力者はただ一人のみであった。
勿論現時点ではそれをしめす物的証拠も無く、そうと思わせる為の対立グループの工作という可能性もありえる。
何より問題なのはカイツ達には、本当にその人物が犯人であった場合に対応できる戦力が無いことであった。
その後も謎の襲撃者による破壊活動は続き、残る研究施設がわずか二ヶ所となった頃、カイツは上層部に二つの意見を申請した。
一つは学園都市外部の施設への研究の引き継ぎ、もう一つは……

「製薬会社からの依頼~?」

学園都市第四位の超能力者『原子崩し』【メルトダウナー】にして、暗部組織『アイテム』のリーダー『麦野沈理』は、仲介人からのいつもと少し違った話に疑問を持つ。
今までのアイテムの主な仕事は不穏分子の粛清や要人暗殺だ。
しかし今日、仲介人でありある意味直属の上司とも言える相手『電話の女』が持ってきた依頼は『謎の侵略者からの施設防衛戦』という、どこかのFPSシューティングゲームか何かのステージにでもありそうなものだった。
詳しい話を聞く前に、自分の他三名のアイテム構成員達に集まるよう声をかける。
その構成員達はと言えば『今の仕事』をこなしながら、海だのプールだの水着だのと女子トークをしている。

「はーい、お仕事中にだべらない。新しい依頼が来たわよ」

「それがさー、聞いてよ麦野。滝壺に彼氏ができたんだって」

お調子者のフレンダが麦野に話しかけてきた。
それを受けて、麦野も件の少女滝壷理后に確認する。

「彼氏?滝壺、わかっているとは思うけど……」

「うん、はまづらは暗部の人間じゃ無いし、巻き込むつもりも知らせるつもりも無いよ」

「良し、そこをわきまえているんなら、私から言うことは特にないわね」

「それで麦野、新しい依頼って?」

滝壺に彼氏ができたのは自分がセッティングした合コンがきっかけだと麦野に知られたく無い少女、絹旗最愛が話を戻す。
   インベーダー
「謎の侵略者からの施設防衛戦……らしいわよ?詳しいことは今から皆で聞くから、ホラ全員車に乗った乗った」

仲介人から語られた内容は、以下のようなものだった。
三日前から学園都市内部の研究施設が幾つも破壊されている。
その手口から襲撃者は発電能力者と思われる。
依頼者は既に犯人を特定しているようだが、こちら(アイテム)はターゲットの身元の詮索をしてはならない。
他にもターゲットへの手出しはターゲットが施設内に侵入してからに限定するなど、理解しかねることも多く、フレンダが文句を言ったら仲介人から怒られてしまった。

「はあ、来るかわからない相手を待つだけってのも、結局退屈って訳よ」

今夜は襲撃を受けると予想される施設の片方、病理解析研究所。
フレンダはその床に寝そべり、多様な爆弾を仕込んだ特製ぬいぐるみ数十体に囲まれて愚痴をこぼしていた。

「施設はここを含めた二基、結局ギャラは侵入者をツブしたメンバーが半分持ってくんだから何とかこっちに……」

その時、コツコツと人の足音がフレンダの耳に聞こえてきた。

(キタキタキタぁ~~結局日頃の行いな訳よ!!)

彼女は喜々として侵入者の迎撃に向かった……その数十分後、襲撃者である御坂美琴の前に全身を痺れさせて倒れていた。
前もってはってあった罠は次々に突破された。
陶器爆弾の破片は標的に届く前に彼女の放った電撃に粉砕された。
スタングレネードで目と耳を一時的に麻痺させ、その隙に仕留めようとすれば電磁波で周囲を把握された。
気体爆薬『イグニス』で部屋を満たした、電撃を使うと誘爆するぞ。と言うハッタリも自身のウッカリから見抜かれた。
もはやフレンダは絶対絶滅のピンチであった。

(舌が痺れて!?)

御坂からの尋問に、素直に答えることで延命をはかったフレンダだったが、運悪くそれすら叶わなかった。

「そう、仲間は売れないって訳ね。そういうの嫌いじゃないけどね」

そんなフレンダの様子を勘違いした御坂が、言葉の途中で異変を察知し飛び退く。
その直後、フレンダと御坂の間を光線が通過していった。
壁を破ってなお全く衰えなかったソレは、部屋の反対側にも大穴を開けた。

「静かだからもう殺されちゃったかと思ったけど、危機一髪だったみたいねフレンダ」

破られた壁の向こうから、麦野沈理と滝壺理后が姿をあらわす。

(麦野ぉ~!!)

フレンダは助かった事に安堵するが、続く麦野からの説教に身を小さくする。

「まったく、私らが合流するまでは足止めに徹しろって言っておいたのに、深追いした挙句返り討ちにあって捕まっちゃうなんて……」

ハア、と麦野はため息を一つつく。

「ギャラの配分、考え直さなきゃねー」

とどめの一言にうなだれるフレンダを滝壺が慰める。

「大丈夫だよフレンダ、私はそんなフレンダを応援してる」

「滝壺も甘やかさない、さっきの仕事中のおしゃべりもそうだけど、最近皆たるんできてるわよ。特にフレンダ」

彼氏ができたという滝壺に対しては特に言うことは無いと言っていた麦野だったが、他二名もそれを祝福している様子など『仕事中の暗部に似合わない温い雰囲気』には思うところがあるようだ。

「わかっているでしょうけど、この仕事が終わって帰る時にはちゃんと仕事道具の回収とか忘れずにね」

コクコクと、未だ痺れのとれていないフレンダがうなずいた。

「それで、アイツがインベーダーってことで良いのよね?」

麦野が御坂に顔を向けて言い、フレンダがまたうなずく。
今、二人の超能力者が、互いをそうとは知らずにぶつかり合おうとしていた。

今回はここまで。
もうじき映画のDVD・BDが発売されますね

原作では無かったぬいぐるみやテープの回収を麦野がフレンダに呼びかけたのは
滝壺に彼氏ができたことによるバタフライエフェクトってやつです。

二代目メルクは女性やで……(乙です)

そういや漫画レールガン見る限りムサシノ牛乳じゃない真の巨乳御手は存在する感じです?それも一般JCJKが再現できる程度のお手軽制作で

ところでこぶしウェーブって今のしんのすけにも効くんだろうか
こぶしと同様の技法は世界中にあるそうだからステイルとかにも普通に効きそうだけど

あけましておめでとうございます、1です。これから投下します。
>>162
まあそうなんですけど、コマツは全く疑っていなかったので
>>169
或いは本当にムサシノ牛乳こそが巨乳御手で、あのオーバーオールの娘さんは常飲するようになって結果が表れたということなのかもしれません。
これなら普通の学生にも巨乳御手の恩恵があることの説明にもなりますし
>>170
ロボとーちゃんのですか?しんのすけは勿論アレイスターにも効くと思います

麦野沈理と滝壺理后、敵に二人の加勢が来て以降、御坂は苦戦をしいられていた。
相手がフレンダ・セイヴェルン一人であった時から一転してのピンチであった。

「くそっ……やっぱりコッチの位置がばれてる」

御坂は今、戦闘よりも本来の目的である施設破壊を優先するべく、敵に背を向け走っていた。

「読心能力か透視能力か知らないけど……あの時感じたヤバさはこれか」

麦野が何かを滝壺に渡し、滝壺が自身の手の甲に落とした粉末状のソレを舐めとってから、彼女の雰囲気が変わった。
その様子に何か危険なものを感じ取った御坂は、三対一は分が悪いと判断して走り出した。
しかし御坂は連中が追って来ても各個撃破できるように、あるいはルートを読まれて先回りされないようにとランダムで迂回して移動していたというのにもかかわらず、ソレは真っすぐに御坂めがけて飛んできた。


「ひゃ~相変わらずスッゴイわ、壁も天井も関係なし!!」

フレンダは麦野の能力によって破壊された痕を見ながら感想を述べる。
未だ痺れがとれないために口の中でつぶやくだけだったが、そんな素直な感想は十分に麦野沈理の持つ能力の凶悪さを物語っていた。
学園都市超能力者第四位『原子崩し』【メルトダウナー】それは電子を粒子でも波形でも無い『曖昧な状態』に固定するというものだ。
簡単に言えば麦野沈理は、あらゆる物を粉砕する砲弾を放つ事も、あらゆる物を遮断する壁を創り出す事も可能だ。

「かわされた、対象の信号は消えてない」

加えて、滝壺理后の持つ『能力追跡』【AIMストーカー】は、一度対象者のAIMを記憶すれば例え地球の裏側まで距離が離れてもその位置を把握できる。
今はまだ意図的に能力を暴走させた状態でしか、そこまで高い性能は発揮できないがそれは『アイテム』での活動においては問題にはならない。

「チッ、立体的に動き回る相手は面倒ね。ま、逃がさないように追い込んでいきましょ」

「滝壺が標的の居る場所を麦野に知らせて、麦野が『原子崩し』で間にある遮蔽物ごと粉砕するこの連携は無敵って訳よ」

フレンダは勝利を確信しながら、御坂の後を追う二人に続く。

「しまっ……避けられない!?」

御坂がフレンダの仕掛けた爆弾から回避するために空中に飛んでいる隙をついた原子崩しの砲撃に対し、とっさに腕をのばし能力を使用する。

「やっぱり……」

そのビーム状の砲弾は御坂の腕の前で急に軌道を変え、彼女の背後の壁に当たった。

「自分から試す気にはなれなかったけど、アイツの能力は根っこの所では私と同種のもの」

『曖昧な状態』だろうとも電子は電子なのだから電撃使いはそれに干渉出来るということなのだろうか。
詳しいことまでは判らないが、確かなことはこれで砲撃は気をつけていれば直撃しないということだ。

「私の『原子崩しを曲げた』……!?」

一方の麦野は数秒の間、たった今しがた自分の目の前で起こった事が信じられなかった。
だが、彼女疑問は直ぐに確信と納得へと変わる。

「プッ、フフ……なるほどね」

薄く笑みを浮かべた麦野は、表情を引き締めるとフレンダと滝壺に自分一人を置いて撤収するように指示を出した。
能力を暴走させての長時間行使は滝壺の身体に負担を強いる、今既に膝をついている彼女は限界に近いと見ていいだろう。
更にフレンダも先の戦闘でのダメージが抜けておらず、標的が攻勢に転じた場合に麦野一人で他二人を守り切るのは難しい。
個人的に別の理由もあったが、そう判断してのことだった。

「ごめんね、足引っぱって……」

謝るフレンダに、麦野はしかし礼を言う。

「別に責めてやしないわよ。むしろよくやってくれたわ、二人のお陰で相手は虫の息だしね」

その場に二人を残し、一人麦野は御坂を追い奥の部屋へと進む。

(アイツがここまで逃げ回っているってのに撤退しないのは、無理してでもここを破壊したい理由があるからだ。なら、目的地で待ち構えていれば奴は必ず現れるはず……)

獰猛な笑みを麦野は浮かべる。

「なあそうだろ?学園都市第三位……『超電磁砲』!!」

二人を先に帰らせた『個人的なもう一つの理由』それは自身より格上とされる超能力者を一対一で破ることで『順位の否定』を、そして本人は認めないだろうが『劣等感の克服』であった。

「あれから追撃がなくなって気になってたけど、待ち伏せされたか」

御坂が目的地とする部屋の前で、麦野は腕を組み背を柱に預けて堂々と立っていた。

「こっちに策は無いし、あの二人が見えないのも気になるけど……ここを避けてもあの部屋には行けない」

御坂が麦野の前に姿を現す。

「やーっと来たか」

「他の二人は?」

「帰したわ、アンタとはサシで勝負したいしね『超電磁砲』」

(バレてたか……)

正体が、つまり能力が相手に知られているということは能力者同士の戦闘において大きな不利となる。
しかし御坂も、先程までの逃走劇の中で相手の能力はある程度は把握出来ていた。

(コイツの能力は弾幕を張るタイプじゃない、なら……)

誘いの一手として、御坂は麦野に向け電撃を放つ。
それは御坂の予想通りに難なくそらされる。

「わっかんねえかな!?コッチもお前の能力に干渉できんだよ!!」

お返しとばかりに、今度は麦野が御坂に向け『原子崩し』による砲撃を放つ。

(ここだっ!!)

今までの麦野からの攻撃に連射はせいぜい最大5連発、それも数が増えればその分正確さが失われていた。
故に御坂が取った行動は、『一発デカいのを撃たせてその隙に近付きしとめる』である。
施設破壊の為に温存する分を考えれば、そう何度も相手のビームを曲げてもいられない。更に空中放電である『電撃の槍』より直接相手に触れて電気を流す方が体力を消費せずにすむ。
そう考え走り出した御坂の選択は、概ね正しかった。


「あがッ、ぐッ……うぇッ」

腹を蹴り飛ばされ、御坂は床に転がる。
彼女の選択に誤りがあったとしたら、それは相手を麦野沈理と知らなかったこと。
そして麦野は超能力者達の中で、能力による強化無しでのフィジカル面において一位二位を取るであろう肉体性能を持つ人物だったことだ。

「ほら立てよ、もうおねんねか?」

えづき、咳き込む御坂を麦野は挑発する。

「くっ……今度こそ」

「それと、私の能力が弾幕を張れねぇって思ってるなら大間違いだ」

麦野が、服のポケットから数枚のカードを取り出す。
そしてその内の一枚を放り投げるとソレを撃ち抜くようにビームを放った。

「な!?」

カードを通り抜けた一本のビームは拡散して十数本のビームとなった。
御坂は慌てて自分に向かう数本のビームをそらす。
  シリコンバーン
「『拡散支援半導体』ってんだ。弱点を補うのは当然だ……『アイテム』を舐めるなよクソガキ」

カードを手にした手を、銃口のように御坂に突き付けて麦野は言う。

「悪いがゲームセットだ」

その時、御坂には聞きなれた二人の声が、その場に響いた。

「あらぁ、助っ人の登場シーンでイイ感じにピンチなんて、御坂さんもなかなかヒロイン力が高いわねぇ」

「あら、それを言うならこの場合はむしろ、私達の主人公力が高いと考えるべきですわ」

今回はここまでです。短くてすみません
続きはできるだけ早く投下します。


×沈理 ○沈利

お久しぶりです、1です。これから投下します
>>182
やってしまった……滝壺さんが滝壷さんにならないようには気をつけてたのに
しかも結構前から間違えてるみたいですorz

ご心配おかけしました
ノロっぽい下痢、腹痛、嘔吐と戦っていました。いまだに腹部に違和感が残ってます

声質も口調も異なるその声は二人分……しかし頭上から降り立ち、御坂と麦野の間に新たに現れた人物は一人であった。
ライダースーツの様な服にバイザー付きのヘルメットで顔を隠したその姿は、さながら日曜朝の集団戦を得意とするヒーロ-の一人の様にも見える。

「食蜂?……酢乙女先輩?」

聞き覚えのある口調に、先程の声の主はどちらだろうかと、御坂がいぶかしげに問う。
するとその人物は、人差し指を己の口元に運び『静かに』というジェスチャーで答えた。


「なんだぁ?てめえ……」

麦野が乱入者をにらむ。
実質、既に勝負はついていたというのに、それに水をさされたのだから内心穏やかでは無い。

「先に私から自己紹介させてもらうわぁ……」

件の人物が首からさげた板状の端末を麦野に向ける。
どうやらその声はそこから出ているようだ。
                        メンタルアウト
「私は超能力者序列第五位にして精神感応系最高位『心理掌握』。そしてそこに立っているのは第六位の『藍花悦』……っていうことになっているわぁ」

学園都市超能力者第六位は性別年齢、能力の詳細等多くの情報がつかめない存在だ。
これは彼あるいは彼女が行っている他人に『名前を貸す』事業が関係する。
名前の貸与、つまり特定の状況下でその名を名乗ることを許可をだすことで顧客に「自分は超能力者である」と言うブラフ、ハッタリを与えている。
そしてブラフという商品の価値が下がらないように、徹底して自身の正体を隠しているという訳だ。

「はん、それで五位六位が揃ってここに何のようだ?」

そのことを知っていたのかまでは判らないが、麦野は挑発するように訊ねる。
延長戦ならそれでも構わないと言った様子だ。
そんな彼女に呆れたように端末から音声が返ってくる。

「私は『ある人』から御坂さんが無茶な行動力を発揮して妙な事にならないように頼まれててねぇ」

しかし御坂をサポートしようにも、幾つも在る襲撃予定施設をピンポイントで予測はできず、合流に今日までかかってしまった。

「実は今夜も当初はもう一方の施設に張っていましたわ」

バイザーの、体格から女……と言うより確実に御坂が良く知る先輩OGと思われる人物が口を開く。
先程とは違い、機械で合成したような声色だ。

「状況を整理すると、御坂さんはこの施設を破壊したい。そちらの方はそれを阻止したい、と……御坂さんの捕獲や殺害は依頼内容に含まれていますか?」

今度はバイザーの女が麦野に訊ねる。

「なめてんのか?暗部の人間が依頼内容を話すわけ無いだろ」

「そこら辺から落としどころを探れるかと思いましたのに、残念ですわ」

バイザーの女は端末を首から外して御坂に投げてよこした。

「五分も休めば御坂さんも充分動けるようになるでしょうし、つまりその間私が貴女の足止めをすれば良いわけですわね」

麦野に向け、ファイティングポーズをとる。


「先輩気をつけて!!そいつかなり強い!!」

自分を護る様にして立つ彼女に御坂が心配して声をかける。
しかし、つい先程わたされた板状の端末から出る食蜂の声が御坂の心配を杞憂と一蹴する。

「大丈夫よぉ。何のために私が先輩と組んだと思ってるの?」

今、御坂の目には瞬く間に麦野との距離を詰め、その膝頭を相手の鳩尾にめり込ませるバイザーの女が写っていた。

「今の先輩は、私の能力でドーピングましましなんだから」

久しぶりなのに短いですが、今夜はここまで。
続きは約二十二時間後を予定しています。

1です。重ね重ね遅れてすみません。
あたたかい言葉の数々ありがとうございます。
これから投下します。

端末から聞こえてくる、おそらく食蜂操祈の声が続ける。

「火事場の馬鹿力って言葉は、御坂さんも聞いたことがあるでしょう?」

問われ、御坂も理解する。
人間は普段自身の脳や筋力ですら完全には扱えていない。
そもそもその『使われていない脳機能』を使えるようにすることが、学園都市における能力開発の基礎理論の一つだ。
マユツバ物の情報ではあるが、学園都市の外部でさえも催眠術や暗示といった手段によってごく普通の成人女性が硬貨を握り潰すことに成功した例もあるらしい。
精神感応系最高位である食蜂の『心理掌握』ならば、それと似たようなこともできるのだろう。

「まあ元の身体能力が高くないとやったところで効果は低いけど、その点先輩は言うこと無しよね」

食蜂の言う通り、今も御坂の目の前ではバイザーの女、恐らく酢乙女あいが麦野沈利を翻弄していた。
常に麦野の背後や側面につけるように彼女の周囲を移動しながらの攻防、ほぼゼロ距離での殴り合いに蹴り合い。
いや正確には麦野の攻撃は全て紙一重で避けられ、逆にあいのそれは的確に急所に入っている。
ワンサイドゲーム
一方的な蹂躙だ。

ここのしんちゃんは劇場版の経験は全てしている設定なんだよね?
戦国時代の話とか熱海サイコの話も出たりするのかなはてな

「『万物を粉砕する』という性質上、この間合いでは貴女の能力は使えないようですね」

「ちくしょうがっ、てめえ私の能力を知ってやがったな!?」

あいが麦野に言い、麦野は悪態をつく。
正確には『原子崩し』を使うことはできるだろう。
しかしその射線上に自分を置かないようにすることが難しいのだ。

「このっ……チョコマカしやがって」

「それはごめんあそばせ、その丸太のような脚で蹴られたら一発で意識を失いかねませんもの」

相手のコンプレックスを刺激するように挑発をしながら、あいは考える。
 ・・・
(やはりこのままでは私が先に倒れますわね……では、そろそろ……)

一見あいが有利に思える両者の攻防だが、その実勝率は互角といえた。
まず両者には体力の差がある。
あいは同世代のアスリートに並ぶ程の体力があるが、麦野のそれは彼女を大きく上回っている。
次に攻撃力の差だ。
あいはたった一度でも攻撃を受けてしまえばそれで勝敗が決してしまいかねない。
一方あいは麦野からのカウンターを警戒して、最初の一発以外は掌底による軽い攻撃しか打てていない上に、常に移動しているので自分も疲れる。
勿論食蜂の能力により、さながらランナーズハイのように彼女が疲れを感じることは無いが、その身体には確実に疲労が蓄積されていく。
このまま続けていけば、先に限界が来るのはあるいはあいの方ということも充分にありえた。

「……先程、私は『貴女の足止めをすれば良い』と言いましたが……」

故に、彼女は仕掛ける。

「別に、倒してしまっても構わないのでしたわね」

ひときわ強く踏み込み、麦野の左鎖骨の僅かに下、乳房の上の比較的肉が薄い箇所に掌打を叩き込む。

「ぐっ!?」

先程までのそれとは違う、『重い』一撃に虚を突かれた麦野は身体を一瞬こわばらせる。
そしてその一瞬の隙こそが酢乙女あいの狙いだった。
相手の胸元に伸ばした手はそのまま襟を掴み、もう一方の手で相手の手首を掴むと、くるりと自分の身体を反転させ、相手に背中を向けた状態で腰を少し屈める。

「がっ!?」

直後、麦野の腹部に更に重い衝撃が走る。
あいが腕を引きながら屈めた腰を戻すことで、麦野の腹を打ったのだ。

「覇ぁっ!!」

あいはそのまま腕を引き、麦野を投げる。

「すご……」

あいの一連の動きを見ていた御坂の口から感嘆が漏れる。
御坂の目には、あいがきれいに背負い投げを決めた様に見えた。
しかし麦野の背が床に叩きつけられることはなかった、あいが途中で手を放した為だ。
あいは手を放すと直ぐにその場から飛び退き距離を取った。
その直後に、今まで彼女が立って居た位置に突風が吹きつけた。
直撃でこそなかったものの麦野の髪が後ろに大きくたなびき、離れた場所に居る御坂もその髪が揺れる。

「風?室内なのに……?」

新手でも現れたのかと疑問に思い風上を見れば、背中から白い翼を生やした男が立っていた。

今夜はここまでです。
続きもできるだけ早く投下します。
いつも遅くなってごめんなさい。

>>206
劇場版のネタは基本的に全部どこかしらで使います

1です、お久しぶりです
遅くなってすみません。これから投下します

「コレは一体どう言う事かにゃーん?」

麦野が苦々しく、しかしそれを誤魔化すかのようにおちゃらけた口調で翼の男に訊ねる。

「おいおい、それがたった今助けられた奴の態度かよ?可愛気の無え女だな」

「チッ、さっさと答えろ」

ホストのような風貌通りの態度で麦野をからかう翼の男に、今度は苛立ちを隠す事無く彼女は言った。

「聞いて無いのか?今回の仕事はオレら『スクール』とお前ら『アイテム』で協力して当たれだとよ」

「聞いてねえよ……あの仲介人、いい加減な仕事しやがって……」

忌々しそうにつぶやく麦野を横目に、御坂は二人のやりとりから得られた情報を頭の中で整理する。
どうやら麦野と翼の男は顔見知りらしく、さらに言えば男も『スクール』という名の暗部組織に属する人間らしい。

「……まずいわねぇ」

御坂の手の中の端末から、食蜂の声が漏れる。

「あの男の人、御坂さんより上位の超能力者よ……確か能力名は『未元物質』」
 ダークマター
『未元物質』と食蜂が呼んだ男は、麦野との会話を切り上げると翼を消し、御坂とあいの立つ方に体を向ける。

「そちらの御嬢さんがたには自己紹介が必要かな?俺は『垣根帝督』……知っている奴も居るみたいだが、第二位の超能力者だ」

垣根と名乗った男、いやよく見れば彼もまだ少年なのだろう。
御坂よりは年上だろうが、成人はしていないように見えた。

「提案なんだが……」

垣根はあいを半ば無視するかの様に、御坂を真っ直ぐに視て言った。

「抵抗せずにおとなしく捕まってくれないか?襲撃犯を依頼人へ引き渡しさえできれば、俺としてはなんの問題も無いんだ」

傲慢な提案、いや提案という名の降伏勧告。
しかしこの状況では、それも的を得たものなのかもしれない。
なにせ向こうには非常に攻撃力に優れた能力を持つ第四位と、能力こそ詳細不明だがこの場に居る誰よりも高位である第二位がいるのだから。

「そんな提案、こちらが受けるとお思いですか?」

あいが垣根に返す。
元々彼女の目的は御坂の回復の為の時間稼ぎなのだから、勝てずとも良い。
それ故彼女は絶望的な戦力の逆転を経てなお、思考を回転させることができていた。

「このまま争っても、そっちの勝機は第六位が本物かつその能力が俺と第四位を完封しうるものだった場合だけだが、それはどちらも在り得ない。違うか?」

「聞かせてもらいましょう」

戦っても御坂達に勝利は無いと言う垣根に、あいはその詳細を問う事で時間稼ぎに徹する。

「まずそもそも、お前は第六位じゃない。第六位は自分の個人情報を徹底して隠しているからな、ハッタリとして使うならおまえみたいに顔隠して声変えてやるのが、まあ正解だ」

垣根が続ける。
                 藍花悦
「変装もしてない、顔丸出しの奴が『第六位』を名乗っても説得力が無いからな。その点お前はよく考えた方だろ。だがなあ……性別も隠さねえと意味無えぜ?」

あいの今着ている服は、デザインこそ男女どちらが着ていてもおかしくはないものだが、ボディラインがでて一目で性別が判るものだった。

「性別だって重要な個人情報だからな。加えて言えば、第六位の能力がいくら詳細不明と言っても、それが戦闘向きじゃ無いことくらいはこちらも掴んでる」

「なるほど、それで『どちらも在り得ない』と……」

あいが降参した様に両手を上げ言った。

「先程の提案ですが……そちらの、麦野さんとおっしゃいましたかしら?」

「あ?私がどうした」

話を向けられ、麦野が不機嫌な様子でかえす。

「仮に御坂さんが、垣根さんとおっしゃったかしら?そちらの男性の提案を受けた場合、麦野さんの立場からすれば、手柄を横取りされたようなものですわ……」

貴女はそれでもよろしいのですか?とあいは続けた。
それに対し、麦野は舌を打ち答えた。

「良いもクソもテメエらを仕留め損ねた時点で、こっちは贅沢が言える立場じゃ無えんだよ」

「そうですか、そちらがもめないのであれば、私からも言うことはありません。提案を受け入れるか否かは御坂さんの判断に任せることにいたしますわ」

それだけ言うと、あいは手を下して御坂の方に顔を向ける。

「決まりだな」

すると未だ御坂が何も言っていないにも関わらず、垣根が御坂に近づいてきた。
     コレ
「悪いな、捕縛も仕事なんだ。思えばお前も哀れだな、クローンなんざ何人死のうがほうっておけば良かったのによ」

ザワリと、その言葉に己の内から怒りが湧いてくるのが御坂にはわかった。

「クローン?」

「ああ、『アイテム』はそっちの情報も知らされていないのか」

麦野と会話する垣根に、御坂は決意する。

(かなわないとしても、せめて一矢……)

御坂が抵抗を示そうと垣根に対して身構えたその時、手にした端末から食蜂の声が聞こえた。

「……待ちなさい」

その声からは、御坂に匹敵或いは上回る程の怒気が感じられた。

今夜はここまでです。
次こそそう間を空けずに投稿したいです

「なんだ?この場に居てすらいない第五位風情が、何か言いたいことでもあるのか?」

面倒臭そうに返す垣根に答える事も無く、端末からはブツブツ呟くと食蜂の独り言が途切れ途切れに聞こえてくる。
  エクステリア
「『外装代脳』に接続……任意逆流開始……㎞範囲に……を送信……」

食蜂に答える気がないと判断した垣根が告げる。

「まあお前に文句があろうと、俺がする事は変わらないけどな」

御坂をつかまえようと伸ばされた垣根の手を、彼女は振り払った。
眉をひそめ垣根が言う。

「ちっ、めんどくえから抵抗するなよ。それとも格下が、まさか勝てると思ってるのか?」

「勝てないまでも、一矢報いるくらいはやってやるわよ!!それに食蜂、アンタも何か考えがあるんでしょ!?」

垣根に対して身構えた御坂が、啖呵を切り端末に向かって問いかける。

「ええ!!御坂さん、一分……いえ数十秒で良いわぁ。抵抗力を見せて時間を稼っ!?」

食蜂の声をさえぎる様に、鈍い爆発音と共に部屋全体いや建物全体が激しく揺れた。

            ヤツ
「フレンダが回収し忘れた爆弾が誤爆したか?いやここまで揺れるってことはあの子のじゃないわね」

「……ってことは、だ」

垣根は、御坂が手にした通信端末を忌々しそうににらむ。

「第五位……テメェ、何をした?」

得意げな声で食蜂は答えた。

「私の能力が及ぶ範囲を甘くみたわねぇ。その中に、ここから逆転できる人が居たから助人力を求めただけよ」
        オレ 麦野
「ここから逆転?二位と四位を相手にか?」

そんな人物がいる訳がない言外に言う。
           一人だけ
「ええ、私も心当たりは野原さんだったのだけど……」

「その一人が、運良く範囲内に居たってか」

「いいえ、そういう意味ではこの賭けは私の負けかしらねぇ。でも……十分な戦闘力は引き当てられたと思うわぁ。予想よりも速く到着してくれたみたいだしね」

食蜂と垣根の会話の最中にも、爆発音と振動の間隔は短くなりその発生元が近づいてきていることが判った。



「よし!!ここが最後の壁だな!?いくぞおおおお!!『すごいパーンチ』!!」

砕かれ勢いよく飛んだ壁の破片が、反対側の壁をも砕き突き破っていくほどの爆発の中から、彼は姿を表した。

「俺を呼んだのはお前かヘルメット!?お、お前は以前公園であった電撃使いの娘じゃねえか!?」

ハイテンションで一気にまくしたてるその男に、垣根が訊ねた。
彼も麦野も、とっさに能力で防御したのか先の爆発によるダメージは見られなかった。

「テメエ、何者だ?」

「俺か!?俺は根性の自警団員!!学園都市第七位の超能力者!!『削板軍覇』だ!!」

短くてすみませんが、今夜はここまでです。
毎度エタルエタル詐欺の執筆速度でごめんなさい

今全部読んだ
インとペンが何かに似てるなーと思ったらミサカと打ち止めだ

保守。
今思うと、この作品のしんちゃん、ぼーちゃん、あいちゃんって
学園都市の登場人物のでもトップクラスの実力を持っているなと思いました。

1です。これから投下します
>>242
とある原作でも初期の打ち止めってインデックスと似ているというか、彷彿させる描写がありますよね
>>243
あいちゃんは能力だけみれば(現時点では)それほどでもないんですが
大財閥の御令嬢という立場から幼少期から様々な習い事を受けた結果の級インテリジェンスと
『英雄の隣に立つ女』にふさわしい自分になろうと努力しつづけたチート級メンタルの二つで
そこそこ優秀なフィジカルを十全以上に活かしているという、ある意味原作とあるの浜面仕上のスタイルです。
ちなみにボーちゃんが『学園都市の基準では低評価を受けるが実はチート能力』の上条当麻の、しんのすけが『単純に強くて厄介な能力』で一方通行のスタイルですね。偶然ですが

その背に七色の爆煙を上げながら削板が名乗る。
それを受け垣根が舌をうった。
          ブービー
「チッ……で、その『第七位』が俺達二位と四位になんの用だってんだ?」

「おう、頭の中に声がとどいてな。助けにきたんだ……で、ヘルメット。俺は翼の生えた男を殴って倒せば良いのか?」

削ぎ板に訊かれ、端末から食蜂の声が答える。

「脚の太いオバサンもセットでお願い!!」

「髪の長い女とか他に言い方あんだろ!?」

自身のコンプレックスである脚について言われた麦野が反射的に吠えた。

「なるほど……そっちの二人を倒せば良いんだな」

一瞬いきなり叫んだ麦野に目を丸くしながらも、何事もなかったようにそれをスルーして削板は二人に向き直る。
そんな彼の態度に、呆れたようにも忌々しそうにも見える様子で垣根は言った。

「おいおい、今の話聞いてたか?もう一度言うが俺達は第二位と第四位、第七位であるお前より格上の超能力者だ。それに――」

「みなまで言うな」

垣根の言葉を遮り、削板が言う。

「もしかしたらそっちの電撃使い嬢ちゃん達の方が悪いのかもしれない、何も事情を知らない俺が、助けを求められたからって嬢ちゃん達に肩入れすんのは間違っていることかもしれない。それでもだ……『助けて』と言われて助けねえ根性無しにはなりたくねえんだよ、俺は」

削板の言葉はまだ続く。

「それにな……」

息を大きく吸い込み、ひときわ強く彼は言った。

「相手が各上だからって理由で退くほど、俺の根性はヤワじゃねえんだよ!!」

削板の真っ直ぐに垣根をとらえる眼差しに、垣根も先程までの呆れた様子は消え、彼も正面から削板を見据える。

「……チッ」

しばし無言で睨みあった両者の、沈黙を破ったのは垣根であった。

「俺は降りだ、後はお前の好きにしろ」

そう言われた麦野は驚いて彼を見る。

「何を……!?」

垣根は削板がでてきたのとは反対側、御坂達の更に後方を指差して言った。

「俺達が……『スクール』と『アイテム』が受けた依頼は既に失敗してんだよ。」

そこには、先程削板が殴り飛ばした壁の一部によって大穴の空いた壁があり、その穴からは隣の部屋の様子が見えた。

「あっ!?」

隣の部屋には重要と思われる機器があり、それらは元は部屋の壁であったのだろう瓦礫によって破壊されていた。

「今さらコイツ等を捕まえて依頼人に引き渡してもマイナス評価がプラマイゼロになるわけじゃねえ、良くてマイナス10がマイナス5になる程度だろう」
レベル5
超能力者を擁する暗部組織を二チームも使って拠点防衛に失敗した以上、垣根の予想は概ね正しいと言えるだろう。
                                 コイツ や
「で、たかがその程度の成果の為に第六位と違ってバリバリに戦闘向きな第七位と戦り合えば、幾らか手札を晒さないといけないだろうな」

垣根が独り言のように麦野に説明する。

「そしてその様子は第五位に見られている訳だ、明日には暗部の人間全員に俺達の能力がおおまかには知られているかもしれないな……」

麦野が悔しそうに顔をゆがめ、奥歯を噛み締めた。

「つーわけでリスクとリターンがつり合ってねえ……俺は降りるが、お前はどうする?」

「……」

麦野は無言で原子崩しを撃ち、御坂の足元に落ちていた端末を破壊した。

今夜はここまでです。
原作クレしん41巻のフィギュアウォーズが長編OVAになりましたね

1です。明けましておめでとうございます。
これから投下します。

「……一応言っておくが、ソレを壊しても第五位には情報が伝わると思うぜ?」

呆れたように言う垣根に、麦野が不機嫌に返す。

「わかってるよ、私も降りるさ。けどお前、第七位が乱入してきて直ぐにアレに気づいていたな?」

麦野は瓦礫に壊された機械類を指差し言った。

「まあな、後のアレコレは全部ハッタリってわけだ。それで第七位が引いてくれるなら儲けモノだったからな」

そう言うと、垣根は背中から翼を生やしてソレを一回大きくはばたかせる。
何かしたのかと御坂達一同が警戒するなか、いち早くその変化にあいが気づいた。
 テンジョウ
「天井が……」

彼女のつぶやく様な声を聞いた他の者も、視線を上に移す。
すると垣根の後方の、壁の上部と天井の一部が無くなっていた。
先程の削板に因るもののように瓦礫や破片になったのではなく、その部分のみが最初から存在し無かったかのように消失していたのだ。

「つーわけで、俺は帰るぜ。仕事じゃあもう遭わねぇことを祈るよ」

そう言い残して、垣根はその空いた穴から飛び去って行った。

「チッ気障なマネしやがる……」

そう忌々し気に吐き捨てた麦野も、削板が穴を開けた壁とはまた別の壁に、『原子崩し』で大穴を空けるとそこから部屋を出ていった。

「……」

御坂、あい、そして削板。
部屋に残された三人を暫し静寂が包み、やがてペタリとあいが床に腰を下す音で沈黙は破られた。
         エージェント
「ふう、せっかく第六位の代理人から名前の使用権を買ってきましたのに……同じく超能力者が相手ではあまり意味がありませんでしたわ」

あいが独り言のように愚痴をこぼす。
御坂は緊張の糸が切れたのか何も返せなかったが、食蜂が彼女と精神感応で会話しているらしく、あいの独り言のようなささやきは続いた。

「ええ、そうですね。では明日も……もう一方の施設は……」

そんな床に座り込んだまま途切れ途切れに何かを言い続ける彼女の様子不気味であったが、そんなあいに削板が手を差し出しながら声をかけた。

「おい、根性ありそうな黒服の嬢ちゃん、大丈夫か、立てるか?」

「あら、御親切にありがとうございます。ですが心配無く、自分でたてますので」

そう言って立ち上がったあいは服に付いた汚れを軽く払うと、削板に改めて向き合う。

「今夜は助かりましたわ。ですが、貴方の助けを待つ方は此処以外にもいるはずです」

「おうそうだな、俺はこれで巡回にもどるぜ。じゃあな嬢ちゃん達、なにがあったか知らないが根性入れてがんばれよ!!」

瞬く間に走り去って行った削板の方を見ながら、あいが言う。

「あの方、先程『自警団員』と名乗っていましたけれど……しん様と同じチームに所属したのかしら?」

そしてあいは御坂に、先程食蜂と話していた明日の予定を告げる。

「では御坂さん、残る一ヶ所Sプロセッサ社脳神経応用分析所ですが、その裏手にあるビルの屋上に……」

翌日の午後6時頃、あいの指定したビル屋上に御坂あい食蜂の三人が集まっていた。

「人の出入りがまるでありませんわ、既に撤退した後と見るべきでしょうか」

双眼鏡を御坂に手渡しながら、あいが言った。

「一応、中に入って確認してみるべきじゃないかしらぁ。じゃあ御坂さん、私達はここで待っているからおねがいね」

御坂の肩に手を置きながら食蜂が言い、御坂は呆れ気味に返す。

「アンタ……昨日助けてもらった身で言うのもなんだけど、なんで居るの?」

それは、この場に居ても特に役に立たないのにと言う意味にも、自分を嫌っている筈の彼女が何故と言う意味にもとれる問いかけだった。

「何よ悪い?まあ私にも色々あるのよぅ、御坂さんからすれば正直私は信用力が低いでしょうけど、『野原さんから頼まれた』って言えば信じてくれるかしらぁ?」

「野原から?」

「そうよぉ、御坂さんが無茶しないように救援力を発揮してほしいってね」

食蜂が自分を助けた理由、それは御坂からすれば意外なものであった。

「いくら相手が酢乙女先輩の恋人でも、アンタが理由もなく他人の頼みを……ってそうか、確かアンタ、野原に恋人の記憶障害を治してもらったんだっけ」

「だから恋人じゃなくて、片想いの相手だってば。ああ言っておくけど、このことは帆風達には秘密よ?」

食蜂が惚れた男がいるなど、彼女の派閥メンバーが知ればめんどくさい騒動が置きそうだと、御坂も同意する。

「で、酢乙女先輩は……」

「私は特にしん様から何か頼まれたわけではありませんが、食蜂さんがしん様と連絡を密にしているのを不審に思いまして……」

「私が先輩の尋問力に屈しちゃったてわけぇ」

あいの言葉を食蜂が繋いだ。

「あの時はてっきり、食蜂さんが私の恋敵になるつもりなのかと思いましたわ」

その時のことを思い出したのだろう、食蜂は体を抱きブルリと震わせた。

「それで、御坂さんの事情を知ったのですが、食蜂さん一人では御坂さんのフォローにも限界がありますし、『妹』さん達を保護するにも私の力……正確には実家の力ですが、必要になると思いまして」

あいの台詞の一部に、御坂が反応する。

「保護……できるの?」

自信をもって、あいは答えた。

「可能です、当家の仕事は幅広く支社も世界各地にありますわ。一ヶ所に数人づつ、一卵性の姉妹だとしても不自然でない人数になるはずですし、いくら顔立ちが同じだとしても化粧や髪型で女性の外見なんて千変万化ですわ」

あいの話す今後の展望を食蜂が補足する。
     シスターズ                      このわたし
「問題は『妹達』自身がこれを受け入れるかだけど、それは最悪『心理掌握』が力技で説得するのも一つの手ねぇ。まあそのためにも、兎に角実験を一時的にでも中断させる必要があるのよねぇ」

というわけで頑張るんだゾ。と食蜂は御坂を送り出した。

「もしもし酢乙女先輩、食蜂?やっぱり中には誰も居ないわ。電気機器が一つも動いていないし、データも全て削除されてるみたい」

御坂は施設内の一室から小型の端末を顔の横に持って話す。
先程食蜂から渡された物で、昨夜麦野に壊されたのと同型だ。
彼女いわく、盗聴対策万全の通信機らしい。

「じゃあ、今日はこれで解散でいいかしら。他施設へデータが移送されて実験も引き継がれている可能性もあるけれど、どちらにしろ一回調べてみないといけないわぁ」

「しん様はしん様で動いているみたいですし、布束先輩でしたかしら……彼女も独自に行動しているようですから、私達も含めて三チームが互いの足を引っ張り合うのを避けるため連絡も必要ですね」

通信機からは食蜂とあいの声が聞こえてくる。

「では御坂さんも今日はしっかり休んでくださいませ、まだまだやることは多く在るのですから、途中で倒れてはいられませんわよ?」

二人からの通信が切れ、御坂も無人の施設を後にする。
先のあいの言葉通り、まだまだやるべきことは多い……しかし一段落がついたのだと晴れやかな気持ちで御坂は足を進めた。
喉を潤そうと馴染みの自販機が置いてある公園を訪れると、聞きなれたしかし久しく聞いていない男の声が御坂の耳に入った。

「あっれー?おかしいなあ、故障か?」

今夜はここまでです。
今年こそ更新速度を上げたい。

支援絵とかあったら励みになるだろうか?

布束さんについて思ったこと
ギョロ目:威圧感↑、見やすさ↓
ジト目:かわいさ↑、見やすさ↑
個人的解釈です。

お久しぶりです、1です。これから投下します。
>>268
凄い励みになりますね
>>269
1はギョロ束派です。

「おかしいなあって、上条君ここの自販機が壊れてるのは君も知って……ごめん」

「いや、単なるドワスレだよ。『ソレ』とは関係ない、あやまらないでくれ」

御坂がそちらを見れば、やはりそこには聞きなれた声の主である上条当麻がいた。
そして自販機の前でうなだれる彼と話しているもう一人の声はしんのすけのものだ。

「なあしんのすけ、今朝からお前何か変だぞ、どうかしたのか?」

おつり返却バーをガチャガチャと何度も下げながら、上条はしんのすけに訊ねる。

「俺を公園に連れ出したってことは、インデックス達には聞かせられない話なのか知らないけどさ、ずっと何かを言い出そうとしてできずにいるって感じだ」

「……まあこの前のカジノの時みたいに上条君に頼めば、オラが自分でやるより簡単に片付く問題なのかもしれないんだけどさ」

要点を得ないしんのすけの返答に、上条は自販機をドンドンと叩きながらその先を促す。

「それで?」

「この問題の中心はオラじゃ無い、オラはいつものように自分から飛び込んでいくつもりだけど……」

自販機を殴る上条の手を止めて、しんのすけは軍手をはめた手で自販機に触れた。
一瞬の光の後に、自販機が二千円札を吐き出すとそれをしんのすけが上条に渡す。

「オラよりもだいぶ中心近くにいるあの子は、上条君には特に問題の存在を知られたくないだろうし、かと言って全部終わった後になってから知ったら、今度は上条君が納得出来ないだろうしね」

その言葉の途中、自身の方へと一瞬だけ視線を向けた様に御坂には感じられた。
しんのすけは自販機に硬貨を投入し『きな粉練乳』と言う名の商品を購入して自販機が完全に直ったことを確認すると、手にした飲料缶を上条に押しつけながら言った。

「だからオラなりの妥協点、上条君は近い内に何か厄介事を頼まれるかも知れないってことだけ今は覚えておいて」

そう言うと、しんのすけはその場を後にした。


「厄介事、か……」

上条はしんのすけが近い内にするかもしれないと言う『頼みごと』に空を仰ぎため息をつく。
一方の御坂も、しんのすけが向けた視線の意味を計りかねていた。

(私に気づいてアイツとの会話を打ち切った?)

不自然なしんのすけの態度に違和感を覚えながらも、御坂は上条に声をかける。

「ねえ、ジュース買わないんならどいてくれない?」

「と、悪いな御坂」

上条が数歩横にずれると、御坂はいつものように掛け声と共に自販機に回し蹴りを叩き込む。

「ちぇいさーっ!!」

しかしいつもと違い、自販機がジュースを吐き出すことは無かった。

「……ついさっきしんのすけが直してたからなあ。普通に買うぶんには問題ない思うぞ」

「こいつには去年万札呑まれてるのよ。いいわ、それならこうするだけよ」

御坂が自販機に触れながら放電する。
すると確かに自販機は様々な飲料缶を吐き出したが、同時にけたたましい警報音も鳴らしだした。
            アンチスキル ジャッジメント    スキルアウト
「おおい!?どうすんだよ!?警備員や風紀委員、最近じゃ自警団まででてくるんだぞ!?」

「言いながら逃げないでよ、あとジュースの缶運ぶの手伝いなさいよ」


「酷い職権乱用を見た」

ひとしきり逃げた先にあったベンチに腰を下し、上条はつぶやく。

「なによ、私が逮捕された方が良かったっていうの?」
その場                   テレポーター
犯行現場から逃げた二人を追いかけて現れた空間移動能力者の風紀委員は、御坂の常盤台での後輩だったらしく、自販機云々の話は無かった。
その代わりにただただ「敬愛する『御坂美琴』【お姉さま】の近くにいる男」である上条への牽制ばかりして彼女は去っていった。
もっとも上条からは「慇懃無礼な変な娘」と言う印象を与えただけだったが。

「にしても『お姉さま』ねえ、やっぱ女子校だとそう言うのがあるんだね」

「黒子はそのなかでも特殊な方だと思うけど……他にも居ないってわけじゃないのがね……」

大量に持ち去ったジュース缶の内の一つで喉をうるおしながらの二人の会話に、ふいに三人めの声が混じる。

「お姉さま」

上条が又かと思いながらそちらを見れば、そこには御坂と瓜二つの少女が立っていた。

今夜はここまでです。
今度の劇しんではしんのすけが(カスカベ防衛隊が)拳法を習得するみたいですね。

カスカベボーイズ見返しててふと思ったんだけど、あの作中の映画って実写ぽかったから役者とか居ると思うんだけど、ツバキちゃん役の人って現実世界に居ないのかな?

>>283
そうだったっけ?久々に来たから忘れてたわ……サンクス

それはそうと、このssにもぷにぷに拳出るかな?
とりあえず待機支援

1です。これから投下します。
>>279-280
このSSでは『登場人物』【キャラクター】の役者は全員死んでいるくらい古いお蔵入り映画と言う設定です
>>285
割と直ぐに出す予定です

「同じ顔!?熱狂的な御坂のファンが特殊メイクで変装でもしてるのか?」

驚く上条に、その少女は直ぐに返した。

「ファンでは無く妹です。と、ミサカは間髪入れずに答えました」

「妹?ああ妹なら似てるのも……あれ?御坂に妹っていたっけか?」

先程のツインテールの様に、御坂美琴を『お姉様』と慕う『妹分』なら何人も居そうだが、実妹となると上条が彼女からそういった話を聞いたことは無かった。

(俺が忘れているだけかな?)

今から約一月前、上条当麻は一度それまでの記憶のほぼ全てを失っている。
幸いにもしんのすけが持っていた『原典級霊装』のおかげでその大半を取り戻せはしたが、今の彼は「自分が何を忘れているか忘れている」状態だ。

(御坂の『妹』に対する態度を見て判断するか)

上条がそう思い、御坂に意識を向ける。すると……

「アンタ!!一体どうしてこんな所でブラブラしてんのよ!!!」

御坂が大きな声を上げ、上条は驚きとっさに耳をふさぐ。
一瞬の間の後、少女は姉に答えた。

「研修中です」

「……っ」

御坂は苛立った様子で少女の手を取り引っ張る。

「おい妹、ちょろっとコッチに来てみよーかー?」

「いえ、ミサカにもスケジュールはありますと……」

「いいから、きなさい」

拒否する少女の言葉にかぶせる様に命令すると、御坂は一度上条の方を向く。

「んじゃ、私達こっちの道だから。アンタも寮の門限とか気にしなさいよ」

そう言うと、御坂は妹だと言う少女の手を引きその場から離れていった。

(複雑なご家庭なのかなぁ?)

上条が視た限りでは、御坂と少女は知らぬ仲というわけではなさそうだが彼女に妹が居たのなら、何故自分はソレを知らなかったのだろうかと上条は考える。

(妹も常盤台の制服を着ていたから年子か双子だろ?)
レベル5    レールガン
超能力者である『超電磁砲』こと御坂美琴にそんな存在がいるのなら噂の一つも流れてくるはずだが……?

「ダメだ、考えても判らん。俺ももう帰るか」

足元を見る。

「この大量のジュースを抱えてな、ハア不幸だ……」

短いですが今夜はここまでです。
続きはある程度はできてるので多分明日の月曜には投下します



トリつけ忘れてたorz

1です、これから投下します。

上条は大量の缶ジュースを抱えながら帰宅する途中、先程御坂に連れられて行ったはずの少女に出会った。
彼女がジュース缶を半分持ってくれると言うので、家までついてきてもらった。
上条が暮らしている学生寮の部屋の前までくると、そこでは同居人の双子が何やらせっせと作業していた。

「あ、とうまだ。とうまおかえり―――!?とうまが知らない女の人連れてる!!誰!?」

「お帰りなさい上条当麻、それと落ち着きなさい禁書目録。なお、彼女はその服装から食蜂操祈の関係者だと推測されます」

インデックスとヨハネの二人が上条に気付き駆け寄る。

「ただいまツインデックス、これお土産な。で、お前ら廊下でなにやってんだ?」

インデックスにジュースを手渡しながら訊く上条に、ヨハネが答えた。

「除虫効果のある薬用植物を置いていました」

丸い葉の草を手に、それをこちらに見せてくるヨハネに上条は重ねて問う。

「除虫?」

台所にGでも出たのだろうか。
しかしなら何故二人は通路で作業をしていたのか。

「スフィンクスにノミがいるみたいなんだよ。とうまのベッドも大変な事になっているかも」

「うわ、なんか体中がかゆくなってきた。それで、ソノ葉をスフィンクスに食べさせれば良いのか?」

抱えた三毛の子猫をこちらに見せながら答えたインデックスの言葉に、背中を掻きながら上条は訊く。

「いえ、これはセージの葉ですから。火をつけて煙を……」

そう言いながらチャッカマンを取り出したヨハネを止める。

「あー、止めとけ。警報がなっちゃうから」

「警報?」

上条が何を言ったのか解らないという様子のインデックスに、ヨハネが説明する。
       アガシオン
「つまり、例の使い魔に襲われる事になるということですよ、禁書目録」

「え!?ソレは嫌かも。でもじゃあどうしたらいいかな?」

と、ここで今まで会話に参加していなかった少女が口を挟んだ。

「ようは、猫に危害を加えず体の表面からノミを落とせば良いのですか。と、ミサカは確認します」

そう言った少女が片手を子猫に向けると、パラパラとノミがその体から落ちていった。

「特定周波数の電磁波です。このタイプの虫除け機械は学園都市で市販されているので安全面も支障ないでしょう」

そう言いながら少女は屈みこみ足元に缶を置いていく。
やがて自身が抱えていた缶が全て無くなると、立ち上がった。

「それでは、用が済みましたら。と、ミサカは別れの言葉をいいます」

立ち去っていく彼女の後姿を見つめながら双子は言った。

「とうまとうまっ、あれこそパーフェクトクールビューティなんだと思う。ね?ヨハネ」

「はい禁書目録、私とキャラが丸被りですね。なお、若干姫神秋沙にも同じことが言えると思われます」

翌日、御坂は一人バスに乗って学園都市の内部にあるとある施設へと向かっていた。

(アレさえ、壊せば……)

御坂が妹を名乗る少女の手を引き、上条当麻に声が聞かれない位には距離を取った先での少女との会話で彼女が知ったのは、実験はいまだに予定通り進行中という事だった。

(なんで!?どうして!?)

いや、そういえば食蜂も言っていた「他施設へデータが移送されて実験も引き継がれている可能性もある」と。
もしそれが複数に増やされていたら?自分が一つの施設を破壊する間に協力する研究施設が二ヶ所以上増えていたとしたら……
先日自分の眼の前であの子がコンテナに潰されて死んだのは第九九八二次実験、少女が語った先程終わったというのが第一○○二○次実験。
あの日からすでに38人の妹達が死んだのだ。

「いや……違う……私が、殺したんだ……」

様々な感情が溢れ、混乱した頭で彼女が最後にたどりついた答えは、『この実験をもっと根本から破壊する』ことであった。
そしてその為に選んだ手段は……
  ツリーダイアグラム   ハッキング
「『樹形図の設計者』に侵入する!!」


「もぬけのから……罠?」

第二十三学区宇宙開発エリア・樹形図の設計者送受信センター。
ここは世界最高のスーパーコンピューターである『樹形図の設計者』との唯一の窓口である最重要機密施設だ。
にもかかわらず何故かその内部には誰もおらず、その心臓部である交信室まで御坂は直ぐに入ることが出来た。

「例え罠でも、やるしかないのよ」

御坂が機械に手を当てハッキングを試みたその時、部屋のモニター画面に文字が浮かび、スピーカーからは何者かの声が聞こえてきた。
                   ゴールキーパー
『やめておけ、貴様はおろか噂に名高き『守護神』でさえも、この『私』という間違いなく世界最高のセキュリティを破るのは不可能だ』

御坂はその声を無視して再度ハッキングを試みた、しかしその結果は声の主が言うように失敗であった。

「アンタ、何者なの?」

忌々し気に訊ねる御坂に、声の主は答えた。

『世界最強のハッカーだ。そしてそれは『私』が世界最高のセキュリティであることを意味する』

今夜はここまでです。
次回も一週間いないに投下したい。

遅れてすみません1です。これから投下します
しんのすけの中の人が変わりましたね。殴られ兎もかわるのかな?

『最強のハッカー』そう名乗った存在は、レンズ越しに見る御坂美琴に先日出逢った同じ顔を持つ少女たちを思い出していた。

(ふむ、この娘がオリジナルか)

御坂が麦野や垣根達と対決したあの日、残るもう一方の施設でも『妹達』を救おうと行動を起こした者が居た。
 テスタメント
『学習装置』の開発者布束砥信、彼女はクローンの少女達に『感情』のデータを入れる事で少女達が実験を拒絶してくれる可能性に賭けた。
しかしその試みも失敗に終わる。
布束も知らなかったセキュリティを『妹達』は持っていたのだ。

(もっとも、あらゆるセキュリティなど、私にとっては全てすり抜けられる単なる壁に等しいが)

布束が手にしていたメモリの中には、彼の分身が入り込んでいた。
彼は最終的には学園都市内のほぼ全ての電子機器に己の端末を『感染』させるつもりだが、残念ながら現状は理想には程遠い。
ワクチンソフト等も含めた各種セキュリティも外部と比べて20~30年は先んじているこの都市で増殖するためには、分身の一体々々が簡単には「消去」【ころ】されない強度を持つ事が必要だからだ。
徒【いたずら】に増えてもその殆どがデリートされるだろう、故に彼は『潜伏』先を慎重に選択していた。
そして幸か不幸か、感情のデータが入った彼女のメモリはそんな潜伏先の一つだった。


(感情を入力された個体は19090号だったか?)

あの個体は多少恥ずかしがり屋というか、自己主張の弱い性格になるという結果だったが、他の個体が『感情のデータ』を入れられた場合も同様なのだろうか。
だとしたら布束の思惑通りに実験を拒否する個体が現れる可能性は極めて低いだろうと、彼は考える。

(まあ酢乙女財閥の受け入れ準備も整っていない現時点で『欠陥電気』達が反旗を翻したところで……)

「最強のハッカー……なるほどね、ここに他の人員が居ないのはアンタ一人で事足りるからか」

『妹達』について考えていた彼は、その声に再び意識を御坂美琴にもどす。

『そうにらむな、私は貴様の敵というわけでは無い。むしろこの件に関しては味方と言える』

「味方?なら……」
         ツリーダイアグラム
『言っておくが、『樹形図の設計者』から偽の命令や演算結果を出させるのは無意味だ。一度出した結果と違う結果が出れば、再度演算要請が来るだけだ』

何せこの都市の研究者達には『樹形図の設計者』の解答を絶対視している者も多い。

『加えて言えば上層部は例え途中で『樹形図の設計者』が破壊されたとしても実験を続行するつもりだぞ。他ならぬこのスパコンが出した答えだ、間違いない』
 レベル6
『絶対能力者』にはそれだけの価値があるということなのだろう。
                 このまち
(それが科学者連中にとってなのか、学園都市にとってなのかは知らないが……あるいはあの『人間』にとっては、か?)


「そんなの・・・・!!それじゃあどうやって実験を止めたらいいのよ!?」

御坂が叫ぶ、それは返答を求めたものではなかったのかもしれないが、それでも彼は返した。

『他者を頼れ、貴様にも既に協力者はいるだろう。食蜂操祈、酢乙女あい……』

布束砥信は暗部に捕まりリタイアになってしまったが。

『他にも頼れる者がいる筈だ。学園都市の闇に触れるのだから人選は重要だがな……』

彼がそう言い終えると部屋中のモニターが暗転し、御坂の眼前にある幾つかの画面だけが残った。
それらにはそれぞれ派閥メンバーが持って来た資料に目を通している食蜂操祈や、どこかに連絡している酢乙女あい、そして路地裏を走り回るしんのすけが映っている。

「こやつらは皆、自分の友人の妹達を助けるため自分達が出来ることを考え、行動している」

どのモニター画面にも文字は出なくなったが、そのハッカーの声は続いた。

「御坂美琴、貴様はどうする?少なくとも貴様のすべきことは、この部屋のは無い筈だ」

御坂は悔しそうに唇噛みながらスピーカーを一睨みすると、無言で部屋を出ていった。

再び一人となったハッカーは、思案する。

「御坂美琴が、この映像を見ずに済んだのは、これでよかったのか?」

元々はその部屋のモニターがうつしていた映像データ。
リアルタイムの、学園都市中の路地裏まで網羅した防犯カメラが伝えるそれは、また一人クローンの少女が死んだのだと彼に伝えていた。

「急がねばならないな……幸い私の端末は既にMNWに侵入済みだ。一人ずつ説得していくとしよう」

『増殖』して行えば一人ずつとは言っても実際には一対一で全員同時に説得出来る。
しかし反抗的なクローンなど、さっさと殺処分して新しく作り直せばすむ話だ。
実験の協力者を心変わりさせて実験を中止に追い込む、この方法ならば真っ先に説得しなければならないのはむしろ……。

「……それこそ机上の空論か」

部屋のモニターが元にもどる。
その中央部の特に大きな画面には、白髪紅眼の少年が映っていた。

今夜はここまでです。
新しいしんちゃんの声最初は違和感があってもじきに慣れそうですね


   ̄ヽ、   _ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     `'ー '´
      ○

       O


                                /⌒ヽ⌒ヽ
                                       Y
                                    八  ヽ
                             (   __//. ヽ,, ,)  と思うチンチンオバケだった
                              丶1    八.  !/
                               ζ,    八.  j
                                i    丿 、 j
                          ,. -‐=≦=|     八   |=≧=‐- 、
                        /´      !    i 、       `ヽ
  .,v─ーv_                 .{:::.:  ,:.    i し " i   '    .:、  :.:::}
..,i(厂  _,,,从vy               |::.:.: l::.   ノ (   i    i    .::l . :.:.::|
..l  ,zll^゙″  ゙ミ             ∧:.:... i::,    '~ヽ   !       .::i ...:.:∧
..《 il|′     フーv,_          !: :ヽ:. ::. . ..:. ,. |     i   .l .、.:.. . .:: .:ノ: :!              _( "''''''::::.
 \《 ヽ     .゙li ._¨''ーv,,_      {       ノ|      !   || ヽ      } __ ____,,,... --‐'''^~   ヽ   ゛゛:ヽ
   \ ,゙r_    lア'    .゙⌒>-vzトヽ     / }.|    │    | { \    ノ⌒:::....:""""  ・    ・  . \::.   丿
     ゙'=ミ:┐  .「      ./ .^〃         ,i|       |    | |  i、     :::::::::::::::::::       ・  ....:::::::彡''ヘ::::/
      ゙\ア'   .--  ,,ノ|           ノ|       |   | |  ヽ    :::::::::::::::::::::::::::::;;;;;,, ---‐'' "^~
        ゙^ー、,,,¨ -   ''¨.─        / |        !    | |    ̄ ―-‐‐ ''^~
            ^ー-v、,,,_,:_____/ ,;-‐'′            `'‐-;,
                          /                \
                            /       ノ;; ,.‐ ;;-.;i       \
                       ,/       ,;-/;;; /' ''   ;;;X;,      ヽ
                           i'  /_,,;-‐''  |;;  ;i;;.. ~  ;;| ''‐-;,,_\_  'i
                           i   `i     X~ ;i;;; ;;,. ;;;/      i'     i
                         |    |     ヽ;;__\_;;/      |   |
                        |   ,!                  .l、  |
                       |   {                  }   .|
                       ノ   i                   i   {
                    c_'____)                  (___'_っ

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(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527896333/)
柚「狩らせてもらうよ。キサマのぴにゃンバーズ!」
柚「狩らせてもらうよ。キサマのぴにゃンバーズ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528498815/)
加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」
加奈「ダストンの掃除法をメモしておきますね!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529105813/)

面白くて一気に読んじゃいました!続き期待しています。

seizonnhoukoku
良かった、復活してた。
>>335
年末年始は忙しくて、続きは1月四日の予定です。

遅れてすみません。
1です。これから投下します。

上条当麻は学校帰りに、再び御坂美琴の妹だと言う少女を見かけた。
彼女はまだ小さな黒猫の入った段ボール箱の前に座り、その口元へ菓子パンを持っていくのだが、仔猫は怯えた様子でそのパンを食べずにいた。

(アレって……まえにしんのすけが言っていたヤツだよな)

以前、上条は野原しんのすけと二人である統括理事会メンバーの資金源になっているという違法賭博場に潜入したことがあった。
そこで自身の不幸体質を利用し、しんのすけが逆張りすることで大勝したのだが、結局は警備員の突入により彼が大金を手にすることは無かった。
後日そのことで上条が愚痴をこぼしたさい、しんのすけはこんな金策を提案していた。
     イマジンブレイカー
「上条君の『幻想殺し』を利用してさ、日ごろから実は動物と触れ合いたいと思っている『電撃使い』からお金をとるってのはどう?」

発電能力者のAIMは動物からは嫌われる性質を持っている。
しかし当の能力者本人が動物嫌いとは限らない、むしろ中には動物好きの者も居るのではないだろうか。
そして上条が右手で能力者の頭部に触れている間、AIMは消える。
有料の動物園や動物喫茶が普通に在る以上、お金を払ってでも動物と触れ合いたいと願っている者は多い筈という案だった。

(御坂なら大金払ってでもやりそうだけど、友達から金もらうっていうのもアレだし……それにスフィンクス一匹だけじゃな)

触れ合う動物を上条では仔猫一匹しか用意できないだとか、レベル0とはいえ能力を利用した非正規の金儲けは警備員や風紀委員からにらまれやすい等の理由で実行されなかった金策だが、今重要なのは『電撃使い』は動物に嫌われるということだ。

「よう、御坂妹」

「あなたは昨日の……とミサカは確認します」

上条が声をかけ、ゴーグルをした少女が振り向く。

「昨日はさんきゅーな、その礼代わりだ。ちょっとジットしててくれ」

上条の右手が彼女の頭に触れるとパキンと何かが割れた様な音がした。

「よし、その菓子パン、もう一度ネコにやってみてくれ」

「ミサカには致命的な欠陥があり動物からは避けられるのでエサを与えるのは不可能。と、ミサカは予想し……?」

言われた通りパンを持った手を再び仔猫の口元に差し出しながらも、否定的な考えを述べる少女の言葉は途中で消えた。

「あなたが何かしたのですか?と、ミサカは質問します」

パンにかじりつく仔猫から視線を外さず、少女は上条に問いかける。

「俺の右手には『幻想殺し』ってチカラが宿っていてな、触れている間は他人の能力を無効化できるんだ」
    チカラ
「そんな能力が……」

少女は上条の『幻想殺し』に驚きを見せた後、空いているもう一方の手で仔猫の体優しく撫で始めた。

「あの……」

「なんだ?」

いつしか眠り始めた仔猫を抱き、少女は上条に向かい言った。

「もう少しだけこのまま、このミサカの頭を触っていてもらえませんか?と、ミサカはお願いします」


「ありがとうございました。と、ミサカは感謝を表します」

「気にすんな、最初に言った通りノミ取りの礼だよ」

しばし仔猫と戯れた後、上条と少女は別れる。
今日の上条は本屋に用事があるのだ。
自宅で飼っているスフィンクスの為に正しい知識を仕入れツインデックスに与えなければならない。

「そのネコ、どうするんだ?お前が飼うか?」

ふと気になり問いかける。
少女の体質的には難しいが決して不可能というほどではないだろう。

「いえ、ミサカに飼育は難しいので、せめてこの段ボールを人通りが多い所に移そうかと。と、ミサカは行動します」

そう言って眠る仔猫の入った箱を抱えて、少女はどこかへ去っていった。

猫の飼い方に関する本を立ち読みし終え本屋からでた上条は、つい先程見た仔猫が道で鳴いているのを見つけた。

「お前ひとりか?御坂妹はどう……っ!?」

その仔猫の近く、路地裏へと続く入り口に、靴が片方落ちているのが眼に入る。
それが御坂妹がはいていた靴と同じ物に思え、上条は恐る恐る路地を覗きこむと、そこには……

「ミ……サカ?」

血塗れで横たわる少女がいた。



今回はここまでです。
一月も遅れてすみません。
風邪ひいて寝込んでました。
次回投下はバレンタインごろの予定です。

おつですぞーー!!おまちしておりました

1です、これから投下します。
今回は最新映画のキャラがちょっとだけ出てきます

>>345-348
コメントありがとうございます

一方その頃、しんのすけは第七学区の路地裏や裏道を走り回っていた。

「やっぱりダメか……適当に探してもクローンのお嬢ちゃん達にも一方通行って人にも会わないゾ」

しんのすけのファンを自称する、ジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌと名乗る人物からも、その後連絡は無い。

「お嬢ちゃんが埋めた地雷のことを知ってたアイツなら、次の実験場所とかも知ってそうなんだけどな……」

汗を拭きながら、彼は空を見上げる。

「あ、もう約束の時間か……」

頭上に浮かぶ飛行船につけられたディスプレイには、明日の天気予報といった簡単なニュースと共に、現在時刻が表示されていた。

「このドアでいいか」

しんのすけは自身の右手首につけた『ゆるゆるの賢者の腕輪』を起動させながら、近くにあった戸のドアノブに手を掛ける。
      ・・
「今日こそ、アレを完成させてやるゾ」

そうつぶやくと、彼は第十学区に在るとある飲食店にとんだ。

 セイギパオズ
『正義包子』2号店(学園都市支店)、ここの店主は喫茶店『男たちの挽歌』のマスター玄武岩男や『やきとり デスペラード』の主と同じく、しんのすけとは昔からの知り合いだ。
元はしんのすけの故郷である双葉町の隣町、大陸系移民が多く住むアイヤータウンに小さな店を持っていたのだが、世界をまわる武者修行の旅から帰ってきた孫娘に本店を任せ学園都市に越してきた。
提供する料理の質は、高級店が並ぶ第四学区にも店を出せるレベルだろう。
しかし店主に商売っ気が薄いことと、自分一人ではあまり大勢の客が来ても捌ききれ無いと言う理由でこの店は第十学区にひっそりとたたずんでいる。

「やあ、しんちゃん。よく来たね」

店先に顔を出した、腰の曲がった白鬚の老人に、しんのすけは掌と拳を合わせて礼を見せる。

「師匠!!今日もよろしくお願いします」
       一方通行
ここ数日、あの白い少年と遭遇した夜の翌日からしんのすけはこの店に毎日決まった時間に通っていた。
自分の店の経営を所詮年寄りの道楽と割り切っている店主により、この店の営業時間は短く自由が利く。

「じゃあ、早速始めようか」

そうして作った空いた時間に、老人はしんのすけの修行に付き合ってくれていた。

「ほい、師匠!!」

しんのすけは竹刀を八相にかまえ師と向き合う。
新たな力を、技を手にする為に……
第七位の超能力者、削板軍覇との戦いは勝ちこそすれど僅かな差だった。
第一位の超能力者、一方通行は第三位である御坂美琴の多様な攻撃を悉く無効化してみせた。
しんのすけは自覚する、まだまだ自分は弱いと……故に彼は努力を怠らない。
いつの日か必ず出会うことになるのだろう『助けられ無い誰か』……そんな存在すら救う『理不尽なまでの奇跡』と成る為に。

日課となりつつある『正義包子』での修行を終え、第七学区へと戻って来たしんのすけは警備員が集まり路地裏への入り口を封鎖している現場に出くわした。
クローンの少女の遺体か戦闘の痕跡等がついに警備員に発見されたのかと思ったがどうやら違うらしい。

「何かあったんですか?」

警備員に近づき声をかけながら見れば、規制線の内側に見知った顔があった。

「上条君?」

今夜はここまでです。
次回投下は25日もしくは雛祭り頃を予定しています。

1です。
これから投下します。


警備員が少年に呼びかける。

「君が通報者だね」

青い顔をしたその少年、上条当麻がうなずく。

「中の様子を、少しでもいいから聞きたいのだが」

「女の子が……血だらけで倒れてました……」

警備員にうながされポツリポツリと上条が話す。

「凶器とかは、わからないです……もしかしたら、何かの『力』なのかも」

一通り上条からは話を聞き、数名の警備員はいよいよ路地裏、現場への調査に向かう。

「本来なら発見者にも同行してもらいたいところだが、どうする?」

訊かれ、上条は答える。

「行きます」


路地裏を進む中、上条は違和感を覚えた。
大きな血だまりの中央に倒れていた彼女の、その周辺には薬莢のようなものが散らばっていた筈だった。
広く、血だまりの外側にまで落ちていた筈のソレらを、未だ一つも見ていない。
加えて言えば、あの時は吐きそうなほどだった血の臭いも、一切してこない。

「本当にここだったのかね」

そして上条の記憶通りならば、現場である筈の位置まで来ても、それは変わらなかった。
遺体、血痕、薬莢……此処に在った筈のモノが、なにもない。

「た、確かにここの筈です。そこに倒れていたんですよ!?」

自分はイタズラで通報した訳じゃない。
そう主張する上条を落ち着かせるよう、優しい声で警備員が訊ねる。

「わかった。君が見たモノが本物だとして、記憶が混乱している可能性はないか?別の場所と勘違いしているとか」

しかしその声色からは、先程まであった緊張が失われていると上条は感じた。
自分のイタズラではないにしても、ソッチ系の能力者に幻覚でも見せられたのだとでも思われているのだろう。
何か警備員を納得させる証拠が残っていないかと周囲を探っていると、警備員の後ろから聞きなれた声がした。

「現場はココで間違いないと思うゾ」

背後を取られた警備員は振り返りつつ退がり、対象との距離をとる。

「誰だ!?」

薄暗い路地裏で警備員が手にしたライトに当てられ、眩しそうに目を細める少年は、上条の友人だった。

「しんのすけ!!」

「ヤッホー、上条君」

しんのすけは手にした小型の電気ストーブの様な物を足元に置くと、もう一方の手にした霧吹きを、シュッシュと周囲の壁や地面に吹きかけていく。

「……何をしているんだ?」

上条が問いかける、その横では警備員達もいぶかし気にしんのすけを見ている。

「サスペンスドラマやミステリーで見たことない?ルミノール液だよ」

一通り吹きつけ終えたのか、しんのすけは霧吹きを地に置き、それと交換するように先程置いた小型の電気ストーブの様な機械を持ち上げた。

「でコッチはキャンプ用品店なんかで売ってる誘蛾灯、ブラックライトってヤツだね。あ、警備員さん懐中電灯のスイッチを切ってください」

そう言ってしんのすけが手にした機械の電源を入れると周囲一面から青白い光が浮かび上がった。

「おい、本部……『上』に連絡だ」

警備員が顔色を変え仲間に指示を出す。
直ぐに返ってきた上からの命令はその警備員が納得できるものではなかったらしく、通信機越しに何やらもめている。

「警備員の装備はすごいな」

この路地裏では自分の携帯電話は圏外だったのに。と、上条が妙な所に感心していると、服の袖をちょいちょいと引っ張られた。

「上条君、ちょっと」

しんのすけに手を引かれ、上条も路地裏をより奥へと進む。
それに気づいた一人の警備員が二人を呼び止めたが、他の同僚達を置いて行くわけにもいかないのだろう、彼が二人の後をついてくることは無かった。

「どこまで行くんだ?それとブラックライトとルミノール液だったか?置いてきちまったけど……」

「ああ、大丈夫。アレ一分で消えるから。それとゴメンね、ルミノールっていうのは嘘。アレ本当はビタミンCなんだゾ」

「はあ!?どういうことだ?」

「死体をお掃除した人達は手慣れてるからね、どうせ漂白剤かなんかでキレイにしてあるよ」

「やっぱしんのすけは何か知っているんだな!?教えてくれ、御坂妹を殺したのは……死体を隠したのはどこのどいつなんだ!?」

しんのすけの両肩を掴み上条は訊く。
しんのすけは上条の後を指差し言った。

「上条君が御坂妹って呼ぶ、……お嬢ちゃん自身。本人だよ」

上条君が振り返る。
するとそこには、ファスナーの隙間から見覚えのある茶髪がはみ出した寝袋を肩に担いだ、御坂妹が立って居た。

「おい、本部……『上』に連絡だ」

警備員が顔色を変え仲間に指示を出す。
直ぐに返ってきた上からの命令はその警備員が納得できるものではなかったらしく、通信機越しに何やらもめている。

「警備員の装備はすごいな」

この路地裏では自分の携帯電話は圏外だったのに。と、上条が妙な所に感心していると、服の袖をちょいちょいと引っ張られた。

「上条君、ちょっと」

しんのすけに手を引かれ、上条も路地裏をより奥へと進む。
それに気づいた一人の警備員が二人を呼び止めたが、他の同僚達を置いて行くわけにもいかないのだろう、彼が二人の後をついてくることは無かった。

「どこまで行くんだ?それとブラックライトとルミノール液だったか?置いてきちまったけど……」

「ああ、大丈夫。アレ一分で消えるから。それとゴメンね、ルミノールっていうのは嘘。アレ本当はビタミンCなんだゾ」

「はあ!?どういうことだ?」

「死体をお掃除した人達は手慣れてるからね、どうせ漂白剤かなんかでキレイにしてあるよ」

「やっぱしんのすけは何か知っているんだな!?教えてくれ、御坂妹を殺したのは……死体を隠したのはどこのどいつなんだ!?」

しんのすけの両肩を掴み上条は訊く。
しんのすけは上条の後を指差し言った。

「上条君が御坂妹って呼ぶ、……お嬢ちゃん自身。本人だよ」

上条君が振り返る。
するとそこには、ファスナーの隙間から見覚えのある茶髪がはみ出した寝袋を肩に担いだ、御坂妹が立って居た。

sousamatigaeterenntousityatta
今夜はここまでです。
次回投下ホワイトデー頃を予定しています。

1です。これから投下します。

「御坂、妹……」

上条は困惑する。
しんのすけの言う御坂妹自身が彼女を殺した、あるいは死体を隠したとはどういう意味なのか。
前者ならば自殺だろうが、今目の前に御坂妹は立っている。
後者ならば実は生きていた彼女がその後血痕を片付け移動したということなのだろう。
だが先程の光景、血だまりに横たわるピクリともしない少女の記憶が、上条にその仮説を否定させる。

「無事だったのか!?」

疑問と喜びがごちゃ混ぜになった声で、上条は彼女に訊ねた。

「無事の定義にもよりますが……ミサカはちゃんと死亡しましたよ。と、ミサカは報告します」

少女から自分はちゃんと死亡したと言われても、上条には意味がわからない。
ひとまず落ち着いて、もう少し情報を得ようと、何か別の話題をふろうと口を開く。

「ち、ちょっと待ってくれ。その寝袋、何が入ってんだよ」

彼女が肩に担いだ寝袋、その僅かに開いたファスナーの隙間、そこから見える茶髪。
先程の彼女の言葉と合わせて上条にまさかという嫌な想像をさせる。

「その寝袋に入っているのは『妹達』ですよ。と、ミサカは答えます」

その声は、目の前に立つ少女の口から出たものでは無かった。
上条が声の主を探してそちらを見れば、御坂妹が増えていた。
いや、そう思う程に『そっくりな少女』がいたのだ。
そしてそれは一人だけではない、上条としんのすけを取り囲むように、何人もの『そっくりな少女』が何時の間にかそこにいた。




その後、少女達は断片的な説明をして、その場から去って行った。
正直、何を言われていたのかはあまり覚えていない。
ただ最後に実験に巻き込んだと謝罪されたこと、全員がぞろぞろとどこかへ去っていく際に、一人だけこちらを名残惜しそうに見ていた少女がいたことは覚えている。

「しんのすけ……お前は知ってたのか?お前がこのあいだ言っていた『厄介事』ってこのことなのか?」

数秒、困った様な表情をした後にしんのすけは話しだした。

「まあね、ついでに言うと、もうわかっているとは思うけど……」

「『問題の中心近くにいる』ってのが御坂なのか」

「そういうこと、まあ美琴ちゃんもクローンのお嬢ちゃん達の存在は最近知ったみたいだけどね」

「御坂は……いや、しんのすけは何を、どこまで知っているんだ?教えてくれ」

しんのすけが上条に語る。
マネーカード探しに始まり、同じ高校の先輩である布束砥信との出会い。
超能力者第一位『一方通行』と御坂美琴との戦闘。
その後、御坂から聞いた『絶対能力者進化計画』の全容。

「ふざけんなっ!!」

上条が壁に拳を叩きつけ叫ぶ。

「一人のエリート育てる為、に二万人の人間に犠牲になれってのかよ!?」

「それが気に入らないから、オラや美琴ちゃんは実験を止めようとしてる」

その時、しんのすけの改造制服のポケットの中にあるスマホが着信を持ち主に知らせるべく振動する。
しかしそれに構わず、しんのすけは上条に真っ直ぐ向き合い訊ねる。

「上条君、『厄介事』だけど頼まれくれる?」

短くて申し訳ありませんが、今夜はここまでです。
次回投下は21日の予定です。

1です。これから投下します。

しんのすけからの問い、その答えはあの時既に決めていた。
そしてソレは、今でも変わらない。

「ああ、勿論だ。俺は何をすればいい?」

上条の返事に、しんのすけが礼を言う。

「ありがとう……ちょっと待ってね」

上条にことわりを入れ、しんのすけは先程何かを受信した自身のスマホを確認する。

「……文章と画像データ?」

しばし画面を操作した後、彼はアハァ~と独特の笑顔を浮かべた。

「良い知らせだったのか?」

その笑顔にやや引きながらも上条が訊く。

「うん、次の実験の場所が判った。それで上条君にしてもらいたいことなんだけど」

「おう」

「美琴ちゃんと合流して、その後に実験場来て欲しいんだゾ」

「わかった、その場所は?」

「美琴ちゃんと合流したら、上条君の携帯にメールが送られてくるはずだゾ。そういうことで良いんだよね?」

しんのすけが誰かに確認する様にそう言うと、二人の近くにあった室外機が了解を示す様に音を立てた。

「誰かに見られてる、のか?」

「最強のハッカーからね……今はジャン・ピエール・アンドレイ・ジョセフド・シャトーぶりアンヌ、もしくはアレッサンドロ・フランチェスカ・デ・ニコラって名乗ってるけど、どちらも本名じゃ無い」

「最強のハッカーね……俺に送られてくるってメールも、ソイツから?」

「そ、ニコラかシャトーぶりアンヌ。忘れないでよ」

「それで俺と御坂は現場についたら何をすれば良い?それにしんのすけ、お前はこれからどうするんだ?」
       アクセラ
「……オラは、一通さんを説得する。ダメなら闘う」

しんのすけは言う、勝算はあるが勝てるかは判らない相手、しかしやすやすと負けるつもりもない。
負けるにしてもその場合は相手の辛勝になるはずだ。

「上条君と美琴ちゃんには一通さんがオラに勝ったと思った時、一番油断するその隙に不意打ちして欲しい」

上条が一方通行の頭を右手で掴んでしまえば、それでゲームセットだ。
多分最初から三対一で闘うよりも、こっち方が勝率が高いと思う。そう言ってしんのすけは笑う。
             レベル5
「任せて大丈夫なのか?同じ超能力者の御坂が手も足も出なかった相手なんだろ、お前だって……」

「まあ楽な仕事とは言わないよ、これが終わったら夏休みの残りは自警団の皆とリゾート地でのんびりするといたしますか」

心配する上条に、しんのすけは冗談交じりに返す。

「……わかった、一番きつい所任せちまうが」

その時、上条の携帯が鳴る。
送られてきた情報は、御坂美琴の現在位置と、忠告だった。

「早速そのニコラって奴からだ」

「アイツは上条君になんだって?」

「御坂の居場所だ、こんな時間だけど常盤台の寮に居ないらしい。自分が見失う前に早く行けってさ」

「うん、じゃあまたあとでね上条君」

「ああ、行ってくる」

走り出した、遠く小さくなる上条の背中に、しんのすけはつぶやく様に話しかけた。

「『一番きつい所』ね……上条君はわかっているのかな……」

おそらく今の御坂美琴の精神はかなり追いつめられているはずだ。
それに上条が接触すれば、どうなるか……。

「ま、オラはオラのやる事をしなきゃだからね」

しんのすけはそう言うと、懐から取り出した短刀で空を裂く様に振り抜く。
すると現れた黒い霧の中にしんのすけは消えていった。

上条が御坂を見つけ声をかける。
彼女の、そして妹達の事情を知った、これから実験を止めに行くから一緒に来てくれと。
しかし彼女はそれを良しとしない。
自分の罪にこれ以上他者を巻き込めない、自分一人で終わらせる案が有ると。
しかしそれは自殺にも等しい方法のうえに確実性に乏しいものだった。
当然、上条は反対する。

「邪魔よ、どきなさい」

御坂が苛立ちをぶつけるように放つ電撃を、上条はその右手では無く体で受ける。

「お前もわかってるんだろ!?そんな方法じゃ誰も救われない!!」

何度も電撃をうたれ、それでもなおも立ち上がる上条に、ついに御坂が折れる。
そうして、やっと第10032次実験が行われるであろう現場についた時、上条達二人の眼にうつったのは……

「技之八、柔軟弾丸」

丸い何かがぶつかりはじき飛ばされる学園都市最強の姿だった。

「凄い……あの一方通行が……」

驚く二人のもとに、タブレットを持ったドローンがどこかからあらわれる。
上条に手渡されたその画面にはこう表示されていた。

「疲弊させたうえで勝たせ、油断した隙をつくという話だったが……別に倒してしまっても構わんのだろう?」

今夜はここまでです。
続きは26日の予定です。

一方通行戦は劇しんカンフーボーイズからのネタが多目になります。

遅れてすみません。
1です。これから投下します。

上条を見送った後、しんのすけは幼馴染でもある科学者のもとへと飛んだ。

「ボーちゃん、これが第一位の超能力者『一方通行』の能力らしいんだけど……」

しんのすけがボーにスマホを手渡す。
そこには詳細とまでは言わないものの、おおまかなあの白い少年についての情報が記されていた。
先程次の『妹達』を使った実験予定地と共に送られてきたものだ。

「なるほど、デフォルトでは『反射』に設定されている『ベクトル変換』……いや『操作』かな?」

手にしたスマホの画面に指を動かし、必要な情報を読み終えたボーが、そのスマホをしんのすけに返しながら言った。

「それで、しんちゃんは今日、どうして僕に?」

「ボーちゃんなら、一通さんにどうやって勝つ?あとその為の機械ってもう有る?もしくは三十分以内に造れる?」

しんのすけの問いに、『木原以上』の異名を持つ優秀な科学者はすらすらと答える。

「『反射』される、その瞬間にこっちの攻撃を『引け』ば、『内側に反射』させられるから、一撃は入れられるね」

要はその最初の一撃で勝てば良いのだ。と彼は続けた。

「で、その為に必要なのは、センサー付きのガントレットかロボットアームだけど……」

自身の研究室の中を、何かを探してうろつきながらボーは言葉を続ける。

「どちらも無いし、三十分で造れるものでもないよ。ただ……」

目当ての物を見つけたらしくソレを白衣のポケットにしまうと、彼はしんのすけの前まで戻って来た。

「『反射』を破る、もう一つの方法がある」

ボーはポケットから先程入れた物を取り出す。

「スーパーボール?」

ソレは縁日等で目にするゴム製のオモチャだった。
彼ははしんのすけの目の前にある机の上にボールを落とし、跳ね返ってきたソレを掴む。

「良い?しんちゃん。机が一方通行、ボールがこっちの攻撃」

「うん、普通に攻めたんじゃ全部返ってきちゃうんだね」

「そう、だからコウすれば……」

ボーはうなずくと彼の言う、『反射を破るもう一つの方法』をしんのすけの前で実証してみせる。


「おおっ!?」

元々柔らかい天板だったのだろう、机にはボールのぶつかった跡がくっきりと凹みとして残っていた。
一方スーパーボールの方はと言えば、ひび割れ潰れてしまっている。

「この方法なら、『反射』は破れるけど、こんな風に拳なんかを使えば壊れちゃうから、もっと柔らかい武器か、逆にすごく堅い武器が必要になる」

でも、と彼は更に続ける。

「この方法を使った、ガジェットなら、一時間位で造れるけど、どうする?」

しんのすけは首を横に振る。

「いや、ありがとうボーちゃん。もうヒントは十分もらえたからいいや」

それに一時間後では実験には間に合わない。

「そう、じゃあ最後におさらい」

ボーいわく、必要な物は三つ。
まず『反射』される瞬間を感知できる高性能なセンサー。
次に柔らかく、ある程度変形してもいい二段重ねの物。
最後にソレらを一方通行に向けて発射する物。

「良かった、全部揃ってるゾ」

「そう、なら心配いらないね。あとは多分『反射』は体の表面に、膜のように領域を設定して、演算してると思うから、それが無い所をねらうとか」

他には非現実的だが、一方通行の反射膜(仮称)の外側では空気等の無害な物質に擬態し、体内に侵入してから毒性に変化する物質を創る等、ボーは様々な案を出す。

「これは、『反射』を破るって言うよりも、すり抜けるっていったほうが良いかもね」

「オラにその方法は無理かな……じゃあまたねボーちゃん」

「うん、またね、しんちゃん」


しんのすけはボーの研究室を出る。
先程無理と言った方法だが、スゲーナスゴイデスのトランプを使えば勿論可能だ。
しかし原典級霊装で超能力者を倒してしまうのは、後々大きな問題となるだろう。

「科学側の武器だけで戦わないと……お?」

スマホが又、アイツからの着信を知らせる。
送られてきたのは写真つきのメール、タイトルは「コイツラの足止めは私に任せろ」。
写真には目隠しにさるぐつわ、更に手錠をはめられた常盤台中学の制服姿の茶髪の女の子、ミサカ10032号が写っていた。

「絵面が犯罪的すぎるゾ」

苦笑しつつ、自分と一方通行の戦闘に巻き込む心配も『妹達』に邪魔される心配もしなくていいのは大部助かる。

「さて、そろそろ現場に向かうとしますか」


「クローンのお嬢ちゃん達なら今日は来ないゾ?」

その場所に先に来ていた、白い少年に話しかける。

「あン?オマエは……」

「よ、久しぶり。一週間くらい?」

「オリジナルと一緒にいた奴か、確か人形どもがオマエも超能力者だって言ってたなァ」
     トルネードコール
「第八位『法則無視』だゾ」

「ハン、それで?人形どもが来ねェってのはどォ言うこった」

しんのすけは先程送られてきた写真を一方通行に見せる。

「ハッ、随分とまァ愉快な事になってンじゃねェかよ」

「この実験を止めたい人達は結構多く居てね、そのうちの一人がお嬢ちゃんをさらったみたいだゾ?」

「ふーん?」

しんのすけの言葉に引っかかるモノが在ったのか、一方通行の雰囲気が剣呑なものに変わる。

「それでお兄さん今夜お暇でしょ?ちょっとオラと遊ばない?」

しんのすけとしては説得の為に先ずはコミュニケーションをと思ってのことだったが、一方通行はそうは受け取らなかった。

「ハン、いいぜ遊んでやるよ。ドイツもコイツも人形ごときを助けるためにご苦労様なこった」

「お嬢ちゃん達?」

「オマエも、『この実験を止めたい奴ら』の一人なんだろォが」

「まあ、そうなんだけどさ」

「こンなまどろっこしィ事しなくても遊んでやるよ。第八位が第一位に下克上なンざありえねェって教えてやるよォ」

ここにきて、しんのすけは両者の間にある『遊び』に対する認識の乖離に気がついた。
ある意味では予定通りだが、こうなってしまっては説得は不可能だろう。

「じゃ、先手はもらうゾ」

しんのすけが駆け出し、跳ぶ。

「技之八、柔軟弾丸」

極限まで真球状に丸められたしんのすけの身体という、特異な砲弾が回転しながら一方通行へと迫る。
そして両者がぶつかるか否か、その刹那。
真っ先に反射膜に触れたしんのすけの左臀部が一方通行の能力により反射された瞬間、彼は更に腰をひねる。
それにより左臀部が返ってくる以上の力で、右臀部が左臀部を押し返す。
右臀部に押された左臀部は一方通行の身体にぶつかり、彼を弾き飛ばす。

「ガッ!?」

ボーが実演してみせた方法。
なんてことはない、スーパーボールが机の上に落ちる瞬間、上から金槌で叩き潰したのだ。
一方通行の『反射』の能力である以上、演算が必要になる。
つまり僅かなタイムラグは常に存在し、『反射したものがさらに跳ね返ってきた』場合はソレをさらに反射は出来ないのだ。

「先に一つだけ言っておくよ、一方通行」

いまだ何が起きたかわからずに目を白黒させ地面に倒れている白い少年に、しんのすけは言う。

「オラはお前を倒しに来たんじゃない、助けに来たんだ」

ささやくようなその言葉が、少年に届くことは無かった。

今夜はここまでです。
次回投下は4月4日の予定です

1です。これから投下します。

上条の持つ、ドローンから手渡されたタブレットの画面が切り替わる。
何処かの映像や音声の配信サイトへとつながったソレからは、御坂にも聞き覚えのある声が流れてきた。

「さあ、今夜も始まったぜ~、皆元気か?海賊ラジオDJだ」

始まった番組に、上条が困惑しながらタブレットを見る。

「海賊ラジオ?この端末はニコラって奴との連絡用じゃないのか!?」

そんな上条をよそに、そのラジオ番組は進行する。

「まだまだ記憶に新しい第八位野原しんのすけと第七位削板軍覇の決闘だが……なんと今夜はその第八位が、驚いた事に第一位と戦うそうだ」

「そんな理由で、また私がよばれたのだけど。ゲストのヘソ出しカチューシャよ」

タブレットの画面には、しんのすけと、立ち上がって彼をにらみながら自身の服を軽く払っている一方通行が映っている。
反射によって埃などつかないであろう彼がそんなしぐさをするのは一種のルーティンの様なモノか。

「面白ェ、最っ高に面白ェぞ。オマエ!!」

笑顔と言うには余りにも凶悪に歪ませた顔をしんのすけに向け、一方通行が吼える。
その声はその場所近くに居る、上条と御坂には聞こえていた。
しかし同じ声がタブレットから聞こえては来なかった。

「一方通行が野原しんのすけに何か言っているようだけど」

「おっとゴメンよ、今夜は第七位対第八位の時と違って音声は付かないんだ。編集じゃないぜ?なんせ生放送だからな」

「ふむ、この映像をライブで送っている『撮影者』の都合って訳かしら?」

『撮影者』、そう言われ上条と御坂は周囲を見回す。
自分達四人以外に人影は無い、しかし先程のドローンと、ソレと同型の機体数台が一方通行としんのすけを囲むように上空を飛んでいた。

「……アレを操作してるのもニコラって奴なのか?」

画面に目をやれば、リスナーがコメントを投稿できる仕様らしく、音声が無い事を残念がるモノや一方通行としんのすけに早く戦えとせかすコメントが右から左へと流れていく。
そんなリスナー達をDJがなだめる。

「まあまあ、生の音が無いのは俺も残念だけど、その分しっかりお仕事するから今夜もお付き合いよろしくな。海賊ラジオDJと」

「ヘソ出しカチューシャがお送りするわ」

「おっと、早速始まったみたいだぜ!?」

先ずは開始の合図とばかりに、一方通行が自身の足元の砂利をしんのすけに向かって蹴り飛ばした。

短いですが今夜はここまでです。
次回投下は4月11日の予定です。

1です。これから投下します

「技之一、和毛和布」

風に吹かれる柳のように、波に揺れる海藻類のように、しんのすけは飛んできた石を避ける。

「チッ、妙な動きしやがって……」

舌打ちする一方通行に、しんのすけは懐から取り出した銃を向ける。
以前の削板軍覇との決闘でも使った玩具のような外見を持った、『アクショントリモチガン』だ。

「ほい」
            カタパルト   ヒママタージェル
引き金がひかれ、二門の射出機構から半透明の球が撃ち出され一方通行に直撃する。
しかし削板の時とは違い、潰れ広がり対象を包み込んで無力化する筈の弾丸は、ソウなること無く真っ直ぐ撥ね返って来た。

「おわっと!?」

銃の先に当たり、弾けたソレに腕が絡め取られる前に、しんのすけは銃から手を離し身を引くことで回避する。
ヒママターでできたジェルの弾丸はアクショントリモチガンを飲み込みながらそのまま進み、しんのすけの後方にあったコンテナの壁に張り付き止まった。


「ふう、遠距離戦じゃお互い決め手に欠けますなぁ」

肩をすくめ、通販番組に出演する外国人タレントのように大げさなジェスチャーをしながら言ったしんのすけに、一方通行が獰猛な笑みを浮かべ返す。

「ハッ、『お互い』だァ?」

白い少年は再び、そして今度は二度三度と続けて足元の砂利をしんのすけに向け蹴り飛ばす。
 おれ オマエ
「一位と八位を一緒にすンじゃねェよ」

彼の能力により、その砂利一粒々々が拳銃の弾丸に匹敵する速度を持ってしんのすけを襲う。

「おお!?ほい、よっと」

波状攻撃を避け続けるしんのすけに、一方通行は更に追撃を加える。

「避けるってことは、俺と違って当たったらヤベェってことだろォが。そらオカワリだ残さず食えよォ」

更に数回、今までよりも強く、今までよりも早い間隔で、一方通行が地面を蹴った。
先程までの攻撃を拳銃の乱射と例えるならば、コレはさしずめ散弾銃の連射だろう。

「ちょっ!?」

流石に避けきれないと判断したしんのすけは、急いで懐から黄色いボールペンのような物を取り出す。
するとソレは瞬く間に大きくなり、バチバチと帯電している竹刀へと姿を変えた。
それの名は『鋼鉄親父の電磁竹刀』……この武器も又、削板との戦いで使用した物だ。

「ムン!!」

多量の砂利が迫る中、しんのすけは大上段に構えた竹刀を、縦一文字に一気に振り下した。

短いですが、今夜はここまでです。
次回投下は4月24日の予定です。

すみません、何故かパソコンがネットに繋がりません
今日の夜また試してみます

繋がりました、1です。これから投下します。

「あれは……」

しんのすけの生み出した『ソレ』に、その場で唯一心当たりが有った上条が呟く。
しんのすけと上条を除けば、一方通行も御坂も、そして画面越しにこの場を視ているであろう海賊ラジオのパーソナリティー二人も、『ソレ』を目にするのは初めての事だった。

「何なの、アレ」

御坂の問いに、上条が答える。

「しんのすけが言うには、『ワープホール』……だそうだ」

振り下ろされた竹刀の後を追い、まるでジッパーが開く様に、そこには黒く大きな穴が空いていた。
一方通行としんのすけの間、しんのすけを隠すように、あるいは護るように現れたその穴へ、一方通行の放った砂利は全て吸い込まれ消えていく。

「第八位が消えた!?」

そして役目を果たしたその穴が閉じ消えた時、海賊ラジオDJが上げた声と一方通行の心中は等しかった。
先程までそこに在ったしんのすけの姿が無かったのだ。

「技之五、芋虫行脚」

背後、それも足元から聞こえてきた声に、一方通行は振り返る。
するとそこには、地面にうつ伏せに寝るしんのすけがいた。

「からの技之四、糞転下肢」

しんのすけが地に両手をつけ、勢いよく逆立ちの体勢になる。
そしてその勢いを殺すこと無く、己の腰から手までを柄に、臀部を槌頭とした一撃が一方通行に叩き込まれた。

「グッ」

しんのすけの尻に弾き飛ばされた一方通行は、再び砂利の上に倒れる。


「姿を隠した後に転位して背後から強襲、第七位削板軍覇との戦いでも使った手だけど」

「あの時と違って盾は使わなかったな」

海賊ラジオDJと、ヘソ出しカチューシャが一連の流れを解説する。

「あの円形の黒い霧のような物が盾の役割をはたしていたし、一方通行相手に大きな得物を使うのは悪手ね。防御は無意味で回避できなければ一発でアウトだもの」

「初動の鈍いデカブツはNGってわけだな。なら身体一つでぶつかった第八位の選択は正解か?今のところ八位の方が優勢みたいだが」

「いえ、そうとはかぎらないわ。一見野原しんのすけが攻めているように思えるけど」

「違うのか?」

「そうね、彼の攻撃は、一方通行に殆どダメージを与えられていないはずよ」

ヘソ出しカチューシャの言葉通り、一方通行は直ぐに立ち上がりしんのすけに襲いかかった。

今夜はここまでです。
次回は5月4日の予定です。

今年もクレしん映画見てきました。
今年も大変良い映画でした。(ここ数年で一番泣けた映画かもしれません)
ひろしがヒロインしてて、かつかっこよくて、でもだからこそ欲を言えば藤原ひろしで見たかった。べつに森川ひろしもソレはソレで好きなんですが……

1です。これから投下します。


「ダメージが無い?どういうことだ、ヘソ出しカチューシャ」

「一方通行の能力の詳細は省くけど、彼に攻撃が効かないのは『反射』しているからだ」

「けど、第八位は何かしらの方法でその反射を破ったんだろ?」

「私の推測でしかないけど、おそらくその『何かしらの方法』というのが、『二連撃』なのよ」

「連撃?」

「つまり返って来た一撃目に、それ以上の二撃目をぶつけているわけだけど、これでは例えば一撃目に込められた力が5なら、二撃目に10つまり倍の力を込めてやっとまともな攻撃力ね」

「なるほどな、第八位は自分が放った『一撃目』の攻撃力がそのまま第一位の防御力upに繋がるわけか」

「更に『二撃目』を加えるのは一撃目が反射される瞬間、正に刹那の一瞬と言えるその隙間に撃てなければ、二発共自身に跳ね返ってくるだけだ」

ヘソ出しカチューシャの解説に、なるほどな~、神業かよ、等のコメントが流れる。

「その為に野原しんのすけの攻撃は、ワンインチパンチならぬゼロインチヒップアタックに限定されてしまっているのだけど、おそらく一撃目と二撃目の力の差はそれほど大きくは無い筈よ」

「それが第八位の攻撃をモロにくらったはずの第一位に、殆どダメージが無い理由か」

「まあ、一方通行は一方通行で野原しんのすけに攻めあぐねているようだけど」


数多の石礫を無力化したしんのすけに、遠距離戦は無意味と判断した一方通行は接近戦を仕掛けていた。
白い少年の持つ凶悪な能力ならば、唯の一度でもその手で相手をつかまえれば全身の神経を通る電気や血管の中の血液といった物を逆流させ殺すことが可能だ。

しかし……

「くそがァっ、何で当たらねェ!?ウナギみてェにウネウネウネウネしてンじゃねェ!!」
       ワカメ
「鰻じゃなくて和布だゾ」

「ドッチでもいいンだよ、ンなこったァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

しんのすけは先程礫を避ける際にも使った奇妙な動きで、白い少年の伸ばした手を全て回避していた。
そのくせしんのすけは一方通行から遠ざかるわけでも無く、彼の目の前を反復横跳びの様に左右に移動したり、彼を中心にグルグルとその周囲を回ったりしていた。
見る者が見れば、その動きはまるで「ねえどんな気持ち?ねえねえ今どんな気持ち?必殺の攻撃が全然当たらなくてどんな気持ち?」と一方通行を挑発しているようだった。


「第八位、第一位の攻撃を悉く躱す。ヘソ出しカチューシャ、あの動きは何かの能力なのか?」

「私も知らない動きだけど、おっと丁度コメントが来たようだ」

しんのすけと一方通行の戦闘を映す画面に、ソレを知っているらしい誰かからのコメント流れる。

「あれはワケワカメ」「古流中国拳法の一つ、ぷにぷに拳の技かも」「全身を柔らかくゆらして相手の攻撃をかわす技なんだよ」

「ふむ、とのことだ。嘘か真かは知らないけど」

「この口調……ひょっとしてラジオネーム『絶対記憶能力者(姉)』さんか?いつもお便りとコメント感謝だぜ」


「畜生がァァァァァァァァッ!!」

延々と攻撃を躱され続けた一方通行は、その苛立ちと疲れから更にどんどんと攻撃が大振りのものへと変わっていく。
そしてそれこそがしんのすけの狙い、待ち望んでいた好機だった。

「ほいっと」

彼が再び手にするのは、竹刀型のスタンロッド『鋼鉄親父の電磁竹刀』、左掌を柄頭に当てながら五本の指は折り、刺突の構えをとり、深く息を吸い、一気に放つ。

「チェストー!!」

竹刀の切先が一方通行の肩を突く、いやその僅か前に衝撃が刀身を介して切先から鍔元、そして柄頭へと跳ね返る。
しかしその衝撃がしんのすけを襲うことは無かった。

「技之三、猫手反発」

しんのすけへと返って来た衝撃は、更に一方通行へと跳ね返された。
白い少年は最初に弾き飛ばされた時の、その数倍の距離を飛ばされる。
地面に数回バウンドして転がり、ようやく止まった彼は突かれた方の肩から腕をダランとぶらさげながらもフラフラと立ち上がる。

「三下がァ……何をしやがったァ?」
    アクセラ
「いつも一通さんがしている事だゾ?猫手反発は相手の攻撃を弾き返す技だからね」

呼吸が荒くなり、片腕が使えなくなった一方通行と、ひょうひょうとした態度を崩さないしんのすけ。
これだけならば、どちらが優勢かは火を見るよりも明らかだった。
しかし……

「お?」

スタンロッドだった事が災いし、衝撃は返せても電流はしっかりと逆流していた竹刀は、その刀身の半ばからポッキリと折れてしまっていた。

今夜はここまでです。
次回投下は5月15日を予定しています。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月17日 (火) 22:52:48   ID: 6VnypFGc

おお!?ついに続き始めたか!

2 :  SS好きの774さん   2016年06月01日 (水) 20:54:58   ID: H4Zpin3y

この作品大好きです
頑張って下さい

3 :  SS好きの774さん   2016年06月07日 (火) 23:20:46   ID: iae9P6QE

見れば見るほどハマる自分がいるww

4 :  SS好きの774さん   2016年06月26日 (日) 18:24:26   ID: Yrz0bo0J

しん×あいをもっと頼む!

5 :  SS好きの774さん   2017年04月28日 (金) 07:41:08   ID: CZnsEy6v

22時間って長いんだな

6 :  SS好きの774さん   2017年07月06日 (木) 02:46:49   ID: I0Dkw3na

遅筆で、嘘つきだから、早く投稿来るのは諦めた。

7 :  SS好きの774さん   2017年09月12日 (火) 15:07:25   ID: zFaWlyf3

ソギーきたぁぁぁぁ

8 :  SS好きの774さん   2017年10月20日 (金) 08:51:02   ID: 3j6kTRsy

いつも楽しみにしてます!

9 :  SS好きの774さん   2018年06月24日 (日) 15:28:09   ID: IXAGF2PU

のんびり投稿で構わない、まってる。

10 :  SS好きの774さん   2018年08月25日 (土) 01:41:06   ID: de7V2sef

まだかな

11 :  SS好きの774さん   2018年10月12日 (金) 08:55:57   ID: s2L-uCKq

本スレが消えた?

12 :  SS好きの774さん   2018年12月23日 (日) 23:53:07   ID: kFfpikYR

更新期待しています。

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