P「アイドル達のキャラが暴走を始めた……!」 (79)

とある日、765プロ

P「おはようございまーす」

真「あ、プロデューサー! おはようございまーっす!」

P「おっ、今日はまだ真一人だけか?」

真「はい! みんなが来るまで
 しばらくプロデューサーを独り占めできちゃいますね! へへっ!」

P「あはは、そうだな。
 そんじゃ、せっかくだし今日のスケジュールでもゆっくり確認するか」

真「はーい!」

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P「――さてと、まぁこんなもんでいいかな。何か聞きたいこととかあるか?」

真「いえ、大丈夫です! 特に何も……」

 ピロリロリン

真「! すみません、プロデューサー。メールが来たみたいで……見てもいいですか?」

P「あぁ、もちろん」

真「ありがとうございます! えーっと、誰からかなー。……えっ?」

P「? どうした真。別に俺のことは気にしないで返信してくれていいぞ」

真「あ、えっと……じゃあすみません。ちょっと待っててください……」

数分後

真「……」

P(うーむ、真剣そうな表情……。何か大事な用事だったみたいだ。
 ご両親とかからの連絡かな? 少し気にはなるが、俺の方から首を突っ込むのは……)

真「……い、一体どうしちゃったんだ、雪歩」

P「え? 雪歩?」

真「プロデューサー、雪歩の様子が変です!
 こんなの雪歩じゃありません!」

P「お、おい落ち着け真。順を追って説明してくれ」

真「あっ、そ、そうですねごめんなさい。
 えっと、さっきのメールは雪歩からで……取り敢えず見てみてください!」

P「いいのか? えっと、どれどれ……」

 雪歩『はあ……私ってひんそーでちんちくりんで本当可愛くないよね。はあ……』

P「……これは……どうしたんだろう。
 何か落ち込むようなことがあったのかも知れないな。
 だが『こんなの雪歩じゃない』とまでは……」

真「違うんですよプロデューサー! もっとよく見てください!
 画像も一緒に送られてきてるでしょ?」

P「あ、本当だ。この画像は……んんっ!? こ、これは……!」

P「ば……ばっちりキメ顔の自撮り写メだと……!?」

真「お、おかしいですよね? なんであの文面からこの写メなんですか……?」

P「なんというか……文面とは裏腹に
 グラビア写真のごとく自信たっぷりな表情だな」

真「ですよね! ボク思わず確認しちゃいましたよ。
  『画像間違ってない?』って。でもその続きがこれです!」

 真『どうしたの? 何かあったんだったら相談に乗るよ!
  それと、雪歩の自撮り写真が送られてきたんだけどもしかして画像間違ってない?』

 雪歩『どうして私ってこんなに可愛くないのかな……はあ』

P「スルーされてる!!」

P「そ、その後のやり取りもおかしい。どう見ても『そんなことないよ可愛いよ』と
 言ってもらいたいがためにメールを送ってきたとしか……!
 自信なさげなのは雪歩の性格でもあるが、
 これじゃあまるでツイッターの自意識過剰自虐風自慢自己承認欲求ダダ漏れ構ってちゃん女じゃないか!!」

真「ちょ、ちょっとプロデューサー! 言葉に気を付けてください!
 アイドルの事務所で女の子を敵に回すような発言しないでくださいよ!」

P「はっ……! す、すまん、つい感情的になって……。
 ってちょっと待て。まさか本当にツイッターで
 そういう呟きをしてないだろうな!? 下手をすればファンが離れてしまうぞ!」

真「そ、そうですね! 確認しましょう!」

P「そうと決まればまずは検索を……ん?」

真「プ、プロデューサー? どうしたんですか?」

P「……いや、音無さんが……」

真「小鳥さん? 小鳥さんが何か……?」

P「こ、このツイートは、まさか……!
 み、見ろ真! 音無さんがこんなツイートをしている!」

真「っ! こ、これは……!」

 さっき駅前のマクドナルドで男子高校生二人が
 A「腐女子ってほんとうざいよなー」
 B「俺らが一緒にいるだけでキャーキャーうるせぇもんな」
 A「俺らがホモとか意味わかんねぇわ。あ、口ソース付いてる」←指で取って舐める
 B「サンキュ。なー、ほんと意味わかんねぇよな」
 とかやってて憤死。がんばれ若者。お姉さん応援してる。

真「うわー……なんかすごいですね。本当にこんなの居るんだ……」

P「騙されるな真! こんな男子高校生は居ない!!」

真「え!? ど、どういうことですか!?」

P「これは妄想をこじらせた腐女子の虚言ツイートだ……!
 くそっ、音無さんどうしちまったんだ! ここまで末期じゃなかったはずだろう!」

真「き、虚言ツイートって……。でもまだ決め付けるには早いんじゃ……」

小鳥「おはようございまーす」

P「ッ!! お、音無さん!」

小鳥「おはようございます、プロデューサーさん。真ちゃんもおはよう。
   二人とも今日は早いんですね」

真「えっ? えぇ、まぁ……あはは」

真「(ど、どうしましょうプロデューサー。真相を聞いてみますか?)」

P「(そんなことできるわけないだろ! 触らぬ神に祟りなし……ん?
 な、なんだ? 音無さん、来るやいなや携帯をいじりだして……)」

真「(! プロデューサー! また新しいツイートが!)」

P「(何ィ!?)」

 駅のホームに上がったらまたさっきの二人組発見。
 A「おいネクタイ曲がってるぞ。直してやるから屈め」
 B「ん、サンキュ」
 A「ったく、お前ほんと俺が居ないと駄目だなー。そんなんじゃ結婚もできねぇぞ」
 B「結婚とか別にいいわ。お前と一緒に居る方が楽しいし」
 そんで今後ろ見たら女子高生がその二人凝視して顔真っ赤にしてる。
 こちらの世界へようこそ、お嬢さん。

小鳥「うふふふ……」

P「いねぇよそんな奴ら!!」

小鳥「!?」ビクッ

真「プ、プロデューサー!」

P「ここ事務所ですよねぇ!? 俺たちしか居ませんよねぇ!?」

小鳥「ななななんですか!? いきなりなんですか!? なんなんですか!?」

P「RTか!? RTが欲しいのか!? えぇ!?」

真「プロデューサー落ち着いてください! プロデューサー!」

P「えぇい離せ真! これが落ち着いていられるか!」

小鳥「ヒエッ……! す、すみません私お手洗いに行って来ます!」

P「あっ、逃げやがった! 待ちくされ!!」

 ガチャッ

律子「おはようございまーす……って、うわっ!?」

小鳥「すみません律子さん! ちょっとお手洗いに!」

律子「えっ? は、はぁ、どうぞ……」

P「くっ、逃げられたか……!」

律子「あの、プロデューサー? 何かあったんですか?」

P「律子! そうだ、お前からも注意してやってくれ!」

律子「注意って何を……小鳥さんがまた何か?
   データでも飛ばしましたか?」

P「そうじゃないんだ! それならまだ可愛げがある!」

律子「ちょ、ちょっと落ち着いてくださいよプロデューサー。
   冷静に説明してください。一旦座って。
   ほら、眼鏡でもかけてリラックスしてください」スッ

P「あ、あぁすまん……。んん!?」

律子「おおっ、思ったとおり似合ってる!」

P「いや……え? 眼鏡? なんで……?」

真「り、律子? なんでいきなり眼鏡を……」

律子「あら、真。あなたも掛けてみる? きっと似合うわよ」

真「い、いや良いよ! それより、ま、まさか律子まで……!」

律子「まぁまぁ眼鏡どうぞ」

P「他事務所のパクリじゃねぇか!!」

P「おい律子しっかりしろ!
 同じ眼鏡キャラでもお前はまた違う感じだったろ!?」

律子「きゃっ!? ちょ、ちょっとプロデューサー! なんですか!
   眼鏡ですか? 眼鏡が足りないんですか? ならもう一つ掛けましょう!」スッ

P「目は四つもない!!」バシッ

律子「あぁっ!? 眼鏡に何するんですか! 早く修理に出さないと!
   というわけで私眼鏡屋さんに行って来ます! それじゃ!」

 ガチャッバタン

真「……な、なんだったんだろう……」

P「くそっ! まさか律子までおかしくなっていただなんて……!」

P「雪歩も音無さんも、律子も! 何かおかしい!
 なんというか、本来のキャラが暴走を始めている!」

真「い、一体765プロに何が起きているんでしょう……」

P「わからん! こんな時頼りになるのは律子だと思っていたが、
 その律子があのざま……! マトモな奴だけでなんとか……」

 <千早さん待ってくださいー!
 <た、高槻さん! ダメよ! 高槻さん!

P「……こ、この声はまさか……」

 ガチャッ!

やよい「うっうー! 千早さんパイターッチ! いえい!」

千早(105)「や、やめて高槻さん! やめて!」ドドタプーンッ!

P&真「!?」

やよい「えへへっ。千早さんのとびきりおっぱいパイタッチしちゃいましたー!」

千早(105)「ううっ、どうしてみんな私の胸ばかり……」

真「……や、やよい? それに……」

千早(105)「あ、プロデューサー、真。おはようございます……」

P「ち、千早、なのか……?」

P「お前、なんてことを……千早! なぜ詰め物なんかに手を出した!」

千早(105)「えっ?」

P「『えっ?』じゃねぇ! 何が(105)だ! その偽乳を今すぐ取れ!!」

やよい「はわっ!? プロデューサー酷いですー!
    千早さんのボインボインは偽物なんかじゃありません!」

千早(105)「プロデューサー、あんまりです……!
       私だってこんな胸、偽物だったらどれだけ良かったか……くっ!」

やよい「ああっ! 千早さん待ってくださいー!
    もう一回パイタッチさせてくださいー!」

 ガチャッバタン

P「ど、どういうことだ……。千早のアレは本当に本物だったのか!?」

真「それに千早にばかり気を取られていましたけどやよいも変でした!
 なんですかパイタッチいえいって!」

P「そ、そうだ。あのやよいの愛らしいハイタッチが……くそっ!
 一体何が起こっているんだ!? まともな奴は残っていないのか!?」

 ガチャッ

伊織「何よ騒がしいわね……。事務所の外まで聞こえてたわよ」

P「っ! い、伊織!」

P「……」

真「……」

伊織「な、何よ? 私の顔に何か付いてる?」

真「(プロデューサー、どう思います……?)」

P「(少なくともぱっと見はいつもの伊織に見えるが……)

伊織「ちょっと! 黙ってないでなんとか言いなさいよ!」

P「あ、あぁすまん! えっとだな……」

 ガチャッ

やよい「伊織ちゃーん! 居るー?」

P「ゲエッ! やよい!」

真「に、逃げて伊織! パイタッチされるよ!」

伊織「は? あんた何言って……」

やよい「あっ、伊織ちゃん!
    ねぇねぇ、これって伊織ちゃんのカバンだよね?」

真「えっ、カバン?」

伊織「ああそう言えば置きっぱなしだったわね。ありがとうやよい」

P「なんだ、伊織のカバンを持ってきただ、け……」

やよい「伊織ちゃんのカバン、分かりやすくて良いね!
    すっごくキラキラしてて、なくしてもすぐ見つかるかも!」

P(なんだこのカバン!? すっげぇデコられてる……あっ!?)

P「デコか!? デコだからデコってんのか!? そうなのか!?」

伊織「あら、私のデコバッグに気付いたかしら?
   どう? この伊織ちゃんに相応しいゴージャスでエクセレントなカバンは。
   やっぱりうさちゃんだけじゃなくて、
   私の持ち物はみんなキラキラしてないとね!」

P「な、何だって? うさちゃんだけじゃなくてとは……ああっ!?」

真「う、うさちゃんいつの間に……って滅茶苦茶デコられてる!!」

やよい「うわ~っ、すごいね伊織ちゃん! なんだかお姫様の宝物みたい!」

伊織「当然でしょ? 私がお姫様みたいなものだもの。にひひっ」

P「な、なんてことだ……。でこキャラの伊織が違う意味のデコキャラに……」

真「こ、これってやっぱり伊織もおかしくなってるってことですよね!?」

P「あ、あぁ、多分。伊織はこんな持ち物をデコるような奴じゃなかったはずだ。
 いやしかし、これまでに比べればまだマシな部類に見え……」

 <流石デコちゃんなのー

P「え? この声は……美希?」

 <でもいくらなんでもデコり過ぎだって思うな!

真「こ、声はするのに姿は見えない。一体どこに……!」

伊織「うるさいわね、何をどうデコろうが私の勝手でしょ!
   っていうかデコちゃん言うな!」

やよい「?? 美希さん、どこに居るんですかー?」

伊織「あ、そうだったわね。ほらやよい。プロデューサーと真も。これ貸してあげるわ」

真「え? なにこれ……」

P「む、虫眼鏡……?」

伊織「その虫眼鏡で私の手のひらを見てちょうだい」

 <ハニー早くー! 見て見てー!

P「なっ……何ィ!? これは……!」

P「ご、極小の美希が伊織の手のひらで手を振っている!」

真「ちっさ!! えぇ!? な、なんで!?」

やよい「うわ~っ! 美希さんなんだか可愛いかも!」

P「お、おい美希。お前もしかして……」

美希nano「ミキnanoなの!」

P「しょうもない!!」

美希nano「わっ! もう、ハニーってばあんまり大きな声出さないで欲しいの。
      ミキnano吹き飛んじゃうって思うな!」

P「えっ。あ、あぁすまん……っていやいやそれより!
 美希、どうしてそんなになってしまったんだ!」

美希nano「ミキじゃないよ。ミキnanoだよ」

P「やかましいわ!!」

美希nano「むー。なんだか今日のハニー口が悪いの。
      なんなのなの! ハニーはどうしてそうなっちゃったの!
      ハニーはそんな人じゃないの!」

P「こっちのセリフなんですけど!?」

美希nano「ふーんだ、もういいもん。
      ミキnano寝ちゃうから。おやすみなさいなのー」

やよい「はわっ! 美希nanoさん寝ちゃいましたー」

伊織「まったく、美希ったらほんと相変わらずなんだから」

P「相変わらず!? 変わりまくってんだろ!!」

真「っていうか伊織はなんとも思わないの?
 美希がこんなにちっちゃくなってるのに!」

伊織「小さかろうが大きかろうが美希は美希よ。
   見た目が変わったからって付き合いまで変えるわけないでしょ?
   ……友達なんだから」

やよい「伊織ちゃん……。えへへっ、伊織ちゃんやっぱり優しいね!」

伊織「み、美希には言っちゃダメよ!
   もし言ったらいくらやよいでも怒るんだから!」

やよい「うん! ナイショにするね!
    それじゃあ約束のー、パイ、ターッチ! いえい!」フニッ

伊織「ひゃんっ」

P「なんだこれ!!!!」

P「伊織はまだマシだと思ってたが気のせいだったわ! ちくしょう!!」

伊織「何よさっきからうるさいわね……まぁいいわ。
   やよい、行きましょう。もうすぐレッスンの時間でしょ?」

やよい「あっ、ほんとだ! じゃあプロデューサー、真さん、行って来まーす!」

 ガチャッバタン

真「……な、何がどうなって……。
 美希nanoなんて、あんなのあり得るんですか!?」

P「あり得てるんだから仕方ないだろ!
 しかもあいつらまるで当然のように……!」

 ガチャッ

??「おっはろーん!」

??「今日もよろよろー!」

P「! その声は亜美と真美……んんっ?」

真(か、髪型が違う! どっちが亜美でどっちが真美かは分からないけど、
 一人は髪を下ろしてて……)

P(もう一人は左右で長さが違うツインテールのようになっている!
 まるで右側が亜美、左側が真美のように! こ、これは一体……)

??「うん? どしたの兄ちゃん、まこちん」

??「亜美真達の顔に何か付いてる?」

P「い、いやなんでもな……えっ? 今なんて言ったお前? 『亜美真』って言ったか?」

亜美真「あっ、そっか! 兄ちゃん達は知らないんだよ、真美亜!」

真美亜「ありっ? 言ってなかったっけ?」

真「ちょっ、ちょっと待って! え、何? あみま? まみあ? 何それ!」

亜美真「んっふっふ~。気になるかね? ならば教えてしんぜよう!」

真美亜「双海亜美と双海真美はもう居ない!
    体を半分にして合体し、生まれ変わったのだ!」

P&真「は……?」

亜美真「亜美真の体は右半分が亜美! 左半分が真美!」

真美亜「真美亜の体は右半分が真美! 左半分が亜美!」

亜美真美亜「これぞまさしく一心同体! 双子の完成形である!」

P&真「……えぇ……」

亜美真「……あれっ? なんか反応薄いっぽいよ、真美亜」

真美亜「びっくりしすぎて声が出ないのかな?」

P「いや、だって……」

真「髪型以外は見た目も性格も変わってないし……」

亜美真「うあうあー! 二人とも信じてないっぽいよー!」

真「いや、美希nanoの件もあるし信じてないことはないんだけど」

P「しかしなんというか、これまでに比べてインパクトが……」

真美亜「うあうあー! なんか分かんないけどダメ出しされちゃったよー!」

亜美真「し、仕方ない! もうこうなったらアレを見せるしかないよ真美亜!」

真美亜「そ、そうだね亜美真!」

P「な、何だ? アレとは一体……」

真美亜「兄ちゃん、まこちん! 真美亜達の顔の中心をよく見たまえ!」

真「顔の中心って、何が……ん?」

P「……? よく見るとうっすらと線のようなものが……。
 はっ! ま、まさかこれは……!」

亜美真美亜「継ぎ目だよ!」

P「普通にきもいわ!!」

P「ってかよく考えたらインパクトって何だよ!?
 感覚麻痺してきてるぞ俺! なんてこった!!」

真「そ、そう言えばそうですよね!
 ボクもなんですんなり信じてるんだ!!」

亜美真「ようやく良いリアクションゲットだぜ! んっふっふ~!」

真美亜「そんじゃ兄ちゃん、まこちん!
    真美亜達そろそろ行くね! バイバーイ!」

 ガチャッバタン

真「……ほ、本当だったんでしょうか? 亜美真と真美亜って……」

P「分からん……普段なら冗談で済ませるところだが……。
 くそっ! 頭がどうにかなりそうだ!」

P「入れ替わり立ち替わりやって来やがってあいつら……!
 これまさか全員おかしくなってるんじゃないだろうな!?」

真「い、今までのパターンなら、そろそろ次の誰かが……」

 ガチャッ

春香「おはようございまーす!」

P「こ、今度は春香か!! お前は大丈夫なんだろう、な……」

男「おはようございます」

P&真(誰この人!?)

春香「あ、真、プロデューサーさん! おはようございます!」

真「う、うん、おはよう。えっと、それはいいんだけど……」

P「あの、すみません。ど、どちら様でしょうか……?」

春香「あぁ、いいんですこの人は! 気にしないでください!」

P「いや、気にするなと言われても……」

真「(プ、プロデューサー、これってやっぱり春香まで……)」

P「(そ、そうなのか!? やはりそうなのか!?
 春香自身はまだいつもの春香に見えるが……!)」

春香「? 二人ともさっきから何ヒソヒソ話してるんですか?」

P「え! あ、あぁ、いやそれがだな……」

 プルルルルル プルルルルル

P「! な、なんだ? 誰かの携帯が鳴って」

 プルルルル…ポチッ

男「もしもし、私だ」

P「お前かよ!」

男「うむ、うむ……何!? 本当か!?」

春香「……」

P(な、何を話しているんだ一体……!)

真(そしてなんで春香は平然としているんだ!)

男「……わかった、お伝えしておこう」

春香「連絡は終わったの?」

男「はい、総帥」

P&真「総帥!?」

春香「それで? 誰からだったの?」

男「ホワイト将軍からです」

P&真「ホワイト将軍!?」

春香「そう。それで、なんて?」

男「はい、遂に七つ目を見付けたと」

春香「! ……ふふふ。これで私もトップアイドルですよ、トップアイドル!
   そう、七つ集めれば願いが叶うというあのドラゴンボ」

P「レッドリボン軍じゃねぇか!!」

P「なんでレッドリボン軍!? どうなってんだクソッタレ!」

真「まさか春香がレッドリボン軍だったなんて……一体いつから……!」

P「いや驚くとこそこじゃねぇよ!」

真「あっ、そ、そうですねすみません、気が動転して……」

P「くそっ、リボンが個性だからか!?
 トレードマークが赤いリボンだからレッドリボン軍なのか!?」

男「あぁ、それともう一つ報告したいことが」

春香「何? 言いなさい」

P「そんで冷静だなお前らは!」

男「実はホワイト将軍が、暴れる子供を一人捕まえたと……。
 部下にここまで連れてこさせるそうです」

春香「ふーん。どんな子か知らないけれど、愚かな子供ね。
   私のレッドリボン軍に逆らおうだなんて」

男「全くです」

P「……もうツッコむ気力もねぇよ……」

 ガチャッ

部下「お待たせしました、総帥。こいつが例の子供です」

響「ガルルルルルルッ……!」

P「なんでやねん!!!!!!!!!」

春香「ひ、響ちゃん!?」

真「あ、これは春香もびっくりするんだ……。
 ってそれどころじゃなくて! どうしたの響!?」

響「グルルル……! ジブンニンゲンマルカジリ……!」

P「野性化しとる!! なんで!?」

春香「あ、あなた達は下がりなさい! この子は私がなんとかするから!」

男&部下「はっ」

春香「響ちゃん、しっかりして! 私だよ! 春香だよ!」

響「ガウガウ! ガウウウウ!!」

P(なんだこの展開……)

春香「怯えてるのね、可哀想……。大丈夫だよ。何もしないから……」

響「ッ……ガウウウ!!」ガブッ

春香「っ痛……!」

真「春香!」

春香「大丈夫、真! 私は平気!
   ……ほら、響ちゃん。怖くない、怖くない……」ナデナデ

響「ガ、ウ、ウォウ……」

春香「思い出して、響ちゃん。あなたは人間。人間なんだよ……」

響「ウ、ウォ、ウォォ……」

春香「そう、頑張って……! 思い出すの……!」

響「ウォォ、ァァ……」

春香「もう一息だよ! 頑張って響ちゃん!」

響「ウォォ、タァ。ウォー、ター……ウォーター……!」

春香「響ちゃんっ……!」

P「ヘレンケラーじゃねぇか!!」

P「ウォーター今関係ねぇだろ!
 っていうかニンゲンマルカジリの方が寧ろ普通に喋れてたよな!?」

響「ガ、ウゥ、ジブン、ジブン、ウォーター……」

春香「……プロデューサーさん。私、決めました」

P「はっ? え、な、何を?」

春香「私……ドラゴンボールで響ちゃんを元に戻してもらいます!」

P「あ、あぁそう……」

春香「もしかしたらもっといい方法があるのかもだけど……。
   でも私は、天海春香だから!」

P「……あっはい。頑張って……」

春香「さ、行こう響ちゃん。大丈夫、絶対に戻れるから!」

響「ウォーター……」

 ガチャッバタン

真「……プ、プロデューサー、大丈夫ですか……?」

P「もう、いい……もう、疲れた……。
 このまま静かに眠らせてくれ……」

真「そ、そんな! 諦めないでくださいよ! ボクを一人にしないでください!」

P「だってこれもう絶対アレじゃん!
 全員おかしくなってるパターンじゃん!」

P「次また来るんだろ!? あと誰だ!?
 貴音とあずささんか!? キャラが暴走した二人のどっちかが来るんだろう!?」

真「お、落ち着いてくださいプロデューサー!
 まだ分かりません! その二人はマトモかも知れないじゃないですか!」

P「いいや絶対ダメだ! 全員おかしくなってるに決まっ」

 ガチャッ

貴音「今日もいみじう晴れ晴れしき日和にこそ候へ」

P「ほら見たことか!!!!!」

真「た、貴音!? 今なんて……?」

貴音「? いみじう晴れ晴れしき日和と申し侍りしかど……」

P「いい天気ってか!? わかんねぇよクソっ!
 真、古文の辞書持って来い辞書!」

真「む、無理です! 家にあります!」

貴音「……? 如何し給ひき……?」

P「何困ったような顔してんだオラァ!
 こっちの方がウン百倍困っとるわ!」

貴音「あなやっ……!」

真「お、落ち着いてくださいプロデューサー!
 貴音に八つ当たりしても仕方ありません!」

真「と、取り敢えず椅子に座って落ち着きましょう! ほらこっちです!」

P「はぁ、はぁ……す、すまん……」

真「というわけで貴音! 悪いけどちょっと事務所の外で待ってて欲しいんだ!
 早めにレッスン場に行くとかさ! どっちにしろ少ししたらレッスンだよね!」

貴音「承り侍り……」

 ガチャッバタン

真「よ、よし、これでなんとか冷静になれますよね!」

P「た、助かったぞ真。危うく貴音に掴みかかるところ……」

あずさ「アラー」

P&真「!?」ビクッ

真(あ、あずささんいつの間に!?)

P(事務所に入ってきた気配は一切なかったぞ!
 もしかして初めからずっと居たのか!?
 いや、それより……この人は一体何をしているんだ!?)

あずさ「……」

真(土下座……いや、お祈り? 何かにお祈りをしてる……?)

P(しかし、一体何に……はっ!
 こ、この光景、何かで見たことある! ま、まさか!)

真(プ、プロデューサー? 何を調べて……)

P(っ……やはりそうだ! これは……!)

P「(わ、分かったぞ真! メッカだ!
 あずささんはメッカに向かって礼拝している!)」

真「(メ、メッカってあの!? イスラム教の!?)」

P「(あぁ! 今調べたが、方向的にも時間的にも多分間違いない!)」

あずさ「アラー……」

真「(い、いやでも、それはちょっと考えすぎじゃ……。偶然かも知れな)」

あずさ「アラーアクバル(神は偉大なり)」

真「本当だ!!!!」

あずさ「あら? プロデューサーさん、真ちゃん。いつの間に?」

P「いや、いつの間にはあずささんの方……。
 ってそれよりあずささん! いつの間に敬虔なイスラム教信者に?」

あずさ「まあ! どうして私がイスラム教を信仰してるって分かったんですか?」

P「いや、知ってる人が見れば大体分かりますよ……。
 さっきのはメッカへの礼拝ですよね?」

あずさ「あらあら~。流石、プロデューサーさんは物知りですね。
    そうですね、信仰するようになったのは少し前からです。
    それまでは特定の宗教を信仰するっていうことはなかったんですけど……」

P「はぁ、少し前から。なるほど……」

あずさ「それじゃあ、私はそろそろレッスンに行きますね。
    失礼します、プロデューサーさん。それから真ちゃんも」

P「あ、はい。頑張ってください」

 ガチャッバタン

真「……プロデューサー、今のあずささんは……」

P「うーむ、これは判断しかねるな。
 イスラム教を信仰してるからおかしいなんて言えるわけはないし……」

P「あの人は元々ちょっと変わったところがあるから、
 それを踏まえるとあずささんはマトモなままなのかも……」

真「い、いえ、プロデューサー! よく考えてください……!
 やっぱり変ですよ! あずささんもおかしくなってます!」

P「な、何? どういうことだ真!」

真「確かにプロデューサーの言う通り、
 イスラム教を信仰し始めただけではおかしいとまでは言えません。
 でも、思い出してください!
 あずささんは……メッカに向かってお祈りをしていたんです!
 メッカのある、『正しい方向』に向かって!!」

P「……あッ!?」

真「気付きましたか……! 本来ならあり得ないんです!!
 あのあずささんが、地図も何も無しに正しい方角を向くことができるなんて!!」

P「あ、あぁ、あ……!」

真「やっぱりあずささんもおかしくなってるんです!
 つまりもう、ボク達を除いてみんな……!」

P「そんな……あずささんは大丈夫かも知れないと思ったのに……。
 希望を持てたのに、こんな……くそぉ! くそおおおおおおお!!」

真「あっ!? ちょ、ちょっとプロデューサー!?」

 ガチャッバタン!

男子トイレ

P「はあ、はあ、はあ……!」

P(だ、駄目だ、あの空間に居たら頭がおかしくなる……。
 だがここならアイドルは来ない。
 深呼吸するにはアレな場所だが、しばらくここで一人で落ち着かねば……)

P「……ついでに用も足しとこう」

真「あ、プロデューサー! こんなところに!」

P「ッ!? 真!?」

P「ちょっ、ちょっ、お前! なんでここに居るんだよ!」

真「なんでって、プロデューサーを追いかけて来たに決まってるじゃないですか」

P「それは分かるけど……お、おい!
 こっち来るな! 今しまうから! ちょっと外で待っ」

真「? 何を言って……。そうだ、ついでにボクも用足しちゃいますね。よっ、と」

P「は……?」

真「ふー……。それにしても、どうしましょうプロデューサー。
 まさかマトモなのがボク達男二人だけだったなんて……」

P「……は……?」

真「あ、社長はどうなのかな? 社長が出勤してきたら話してみましょう!
 もしかしたら女性だけがおかしくなるような何かが……プロデューサー?」

P「おっ、おお、おっ……」

真「……? あの、プロデューサー? どうかし……」

P「お前もかよおおおおおおおおおおお!!!!!!」

真「うわあっ!? ちょ、ちょっと! 手にかかったじゃないですか!
 びっくりさせないでくださいよ!」

P「全滅じゃねぇか!! 正真正銘全滅じゃねぇかチクショオオオオオオ!!!」

真「お、落ち着いてくださいプロデューサー! どうしたんですかぁ!」

P(このままじゃ765プロは終わりだ!
 比較的マシなのも居るっちゃ居るが無理だ! 駄目だ!
 いつか絶対にボロが出る! まともにアイドル活動を続けていられるはずがない!
 くそっ、どうする、どうすればいい!? こうなったら……!)

○ 新しいアイドルを育てよう
△ 事務所を移ろう
□ 元に戻す方法を考えよう
× 俺がアイドルになろう
← このまま売り出そう
↑ 別の事務所からアイドルを引き抜こう
→ 諦めよう
↓ 病院に連れて行こう
L1 死のう
L2 社長を殴ろう
R1 事務所を爆破しよう
R2 たるき亭を爆破しよう

P「ってなんじゃこりゃあ!?」

P「な、なんか選択肢めっちゃ出てきた! なんだこれ!?」

真「ちょ、ちょっとプロデューサー? 何を言ってるんですか!」

A 歌おう
B 踊ろう

P「まだ増えんのか!? ねぇよ! AボタンもBボタンもねぇよ!」

↑↓AAB→ 政界に進出しよう

P「格ゲーみたいになってんじゃねぇか!」

ABBAAB→→← アクションビーム

P「うるせぇわ!!!!!!」

真「た、大変だ! プロデューサーまで……
 プロデューサーまでおかしくなっちゃった!」

P「えぇいクソッ! 分かったよ選択すりゃいいんだろ!
 こうなりゃヤケじゃ! アクションビームだアクションビーム!」

 『ABBABA→→←』

P「あっ、やべミスった!
 こ、このコマンドは一体何が起こ……うっ! うぐぐぐ……」

真「プ、プロデューサー!? 大丈夫ですか!?」

P「……」

真「な、何があったんですか? 急に苦しみだして、一体……」

P「まーこちん! セックスしよっ!」

真「はい!?」

ABBABA→→← 真を掘る

真「ちょ、ちょっと待ってください!
 何言って……ボク男ですよ!? 変ですよこんなの!
 男の子同士でこんなの、ちょっプロデューサー、待って、待っ……アッーーーー!!」




  HAPPY END!

なにこれ

付き合ってくれた人ありがとう、お疲れ様でした

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月05日 (木) 23:30:10   ID: uP1gNCKa

ウォーターのくだりクソワロタ

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