八幡「夜のコンビニ」 (45)

見切り発車 止まったらメンゴ



夜コンビニ入り口

雨「ざぁぁあああああああああ」

八幡「おい、嘘だろ。たった数十分前まであんなにも晴れていたじゃねーか。

俺がジャンプ読んでいる間になにが起きたんだ」

雨「ざぁ?」

八幡「おっ、やんできたな」

大気「のぉおおおおおお」

八幡「今度は風まで吹いてきやがった」チラ

八幡(おー皆走ってるな。頑張れ、俺はやむまで立ち読みを再開するとしよう)

八幡(しかしアレだな。一度でたばかりなのに、直ぐに入りなおすというのは難易度高いな。

しかも立ち読みしかしてねーし。)

八幡(こんなときに、誰かきてくんねーかな。できれば、戸塚とか戸塚とかそういう癒し系がイイ。

別に一緒にいつやむかなーって、きゃっきゃっうふふしたいわけじゃなくて、他の連中だと気まずくなるだけなんだからね!)

八幡(おっこっちに走って来るやつがいるな。俺と同じ高校の制服で女子だ。

鞄を雨避けにするとは八幡ポイント高い。つーか前見えてんのかあれで)

八幡(あっ目の前でこけた。見えない……ん?)

三浦「いった……」

八幡(戸塚プリーズ)



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八幡(冗談はさておいて、膝を擦りむいているようで、相当痛そうだ。

そういえばいつかの運動会以来持ち歩いているバンソーコーがあるんだよな。カンケーないけど)

三浦「……げっ、ヒキオ、マジ最悪」

八幡(そうだよ、泣きっ面に八幡だよ。ではさよなら)

八幡「その、バンソーコー、使うか」つ□

三浦「……」

八幡(ああああなにやってんんだ。もうやめて、そんな目で俺を見ないで。

頼むから口を開かないで。ガラスの心がはじけ飛ぶマジで5秒前!)

三浦「今はいらない」

八幡「あ、はい」

八幡(おろ、思ったより優しい)

三浦「傷口洗ってから貼らないと、だめだし」

八幡(流石のおかんでした)

三浦「あと、誰にでも親切にすんなし。うざい」

三浦は雨に濡れた瞳で俺を見た。その姿は獰猛で、理不尽で、ほんの少しだけ可愛らしいと思ってしまった。

八幡「……」

三浦「親切は誰でもしていいことじゃないし、誰に対してもしていいことじゃない。

特にヒキオはそれが分かっているでしょ」

八幡(容赦なく心を抉られているようで、気分が悪い。だが、反論はできなかった)


三浦「そんな親切、むだだし」

三浦「ま、ヒキオが傷つこうがあーしには関係ないけど」

八幡(それでも、俺に忠告したのは彼女なりの優しさなのだろうか。

それともただの気まぐれか。どちらにせよ、彼女は俺を完璧に拒否した)

八幡「……」

三浦「……」

八幡(気まずい)

八幡(三浦、頼むからこの土砂降りの中帰ってくれ。俺はチャリだから動けないんだよ)

八幡(というのも無理な話か。いくら猛獣だろうと、怪我しているのは事実だった)

八幡(とりあえず、コンビニの中に避難しよう)

三浦「あーし、入りたいんだけど、どいてくれる」

八幡「お、おう」

八幡(おかんは膝を庇うようにして、洗面所へ向かった。傷口を洗い流すのだろう)

八幡(俺は再び雑誌コーナーの前に立った)

八幡(数分後、三浦が出てきた。俺はできるだけ見ないようしたのだが同じ雑誌コーナーにいる分には意識せざるをおえない)

八幡(だから制服が透けていることにはすぐに気づいた。くそ、あのピンク色の下着に目が吸い寄せられていく)

八幡(もしこれを三浦に気づかれたら、俺は文字通り処刑されるだろう)

八幡(仕方ない、ここを明け渡して洗面所へ行くか)

八幡(と、雑誌を置いた直後、三浦が横目でこっちを見ていることに気づいた)

八幡(もし決心が遅れていたら、ばれていたかもしれない。危なかった)

三浦「帰る?」

八幡「いや、洗面所行こうかと」

三浦「ふぅん」

三浦「あーしさ、立ってると脚いたいんだ」

八幡「怪我してるしな」

三浦「だからさ」

八幡「?」

三浦「ヒキオの絆創膏を買わせて」

八幡(驚いた。だがこれが、彼女なりの譲歩なのだろう。

金で買えば、少なくとも親切ではなくなる)

八幡(なんつーか、素直じゃないな)

八幡「分かった。三浦の言い値でいい」

三浦「なら一円だし」

八幡(容赦ねえ。こんなのだったら貰わないほうが良い。

しかしこれこそが彼女の望んだやり方なのだ)

八幡(ぷりーず戸塚)

八幡(三浦は屈んで、そっと傷口に絆創膏を貼った。谷間が見えそうになったので慌てて目をそらした)

八幡(このときばかりは男という性を恨んだ)

八幡(ほんと、どうかしている)

八幡(自分を拒絶した人間に興奮するなんて)

八幡「じゃ、な」

八幡(返事を待たず、その場を立ち去った)

八幡(洗面所につくと同時に、鏡をのぞきこむ)

八幡(そこには普段と変わらない、死んだ目をした男がいた)

八幡「そうだクールになれ、あれは葉山のことが好きなんだ」

八幡(葉山のことが、いつもより憎くなっただけだった)

八幡「いや胸の大きさで言えば、由比ヶ浜が上だ」

八幡(ぼいんぼいんと弾む胸は無防備に曝け出されていて、奉仕部で一度問題になった)

八幡(主に、雪ノ下が、問題視した。俺みたいなけだものがいつ襲うか分からないから注意しろとのことだ)

八幡(以来、由比ヶ浜は俺の前で胸を隠すようになり、だが隠しきれないのでますます卑猥な感じになったのは言うまでもない)

八幡(そうだ、由比ヶ浜ならこの事態をなんとかしてくれるかもしれない)

八幡(俺はトイレに入り、数えるほどしか登録されていない電話帳からきらきらした絵文字のついた名前を見つけると)

八幡(藁にもすがる思いで、俺は電話を掛けた。数回のコールの後、由比ヶ浜の声が聞こえた)

由比ヶ浜「はひ」

八幡「由比ヶ浜か」

由比ヶ浜「だ、誰?」

八幡「俺だ、俺だよ。ほらお前と同じクラスの比企谷八幡だよ」

由比ヶ浜「うわーオレオレ詐欺だし。もし私の知ってるヒッキーなら、電話なんてしないよ」

八幡「なら切るな」

由比ヶ浜「ストップ!まだ逆探知は終わっていないし!」

八幡「犯人に言ってどうすんだ」

由比ヶ浜「その発想はなかったの」

八幡「どうしようもねえな」

由比ヶ浜「……むっ!ヒッキーは今コンビニにいる」

八幡「マジで逆探知していたのか。

それともあれか、前に入れさせられた彼氏追跡アプリとやらのせいか」

由比ヶ浜「え、なにそれ。彼氏ってどういう意味?」

八幡「いや、いれるように言われたんだ。すぐ見つけられるようにって」

由比ヶ浜「誰に」

八幡「平塚先生に」

由比ヶ浜「すぐに消したほうがいいし!絶対いつか悪用されるし!」

八幡「そういやこのところ塾の帰りに先生と出会うんだよな」

由比ヶ浜「もう活用されてた!?」

八幡「大丈夫だ。先生はラーメンをおごってくれる妖精みたいな生き物だから」

由比ヶ浜「それはそれでせつないよ」

おやすむ
暇になったら書く

由比ヶ浜「先生には優しくしてあげてね。あれでも顧問なんだよ」

八幡「任せろ。これからも先生の愚痴は聞いていくつもりだ」

由比ヶ浜「事態は悪化しそうだけど。まいっか」

八幡「それじゃあ、本題に入るぞ」

由比ヶ浜「なんだしなんだし」ワクワク

八幡「やったら三浦がキレそうな仕草や言葉遣いについて教えてくれ」

由比ヶ浜「優美子に何する気だし!」

八幡「しない為に聞いてるんだよ」

由比ヶ浜「あ、そうだよね。えーっと、取りあえずうじうじするのはだめでしょ」

由比ヶ浜「んーとそのくらい?」

八幡「一個だけかい」

由比ヶ浜「勘違いされやすいけど、優美子は不機嫌にはなりやすい代わりに怒らないよ。

あとは例外として、ゆきのんのものまね位かな」

八幡「……まさかとは思うが、そのものまねをしたのは由比ヶ浜じゃないよな」

由比ヶ浜「ううん私だよ。『三浦さん、頭から立派なたけのこが一本生えているのだけれど、何かあったの?』って言ったの」

八幡「……」(絶句)

由比ヶ浜「だって美容院でメガ盛りだよ!笑うのがまんするには仕方なかったし!」

八幡「がまんしてボケようとすんな!」

由比ヶ浜「あの時の優美子、怖かった。顔を近づけてきてね、『たけのこ食べてみなさいよ』って言ってきたの」

八幡「完全にやけくそじゃねーか」

由比ヶ浜「でも仲直りはちゃんとしたんだよ」

由比ヶ浜「それにねこのことを辞典で調べて、怒髪天を衝くって言葉も覚えたし!

どう、ヒッキー知ってた?」

八幡「まあな」

由比ヶ浜「むー!でも他の皆は知らないよね」

八幡「大半は知っているだろ。もう高校生だからな」

由比ヶ浜「えっ」

八幡「……えっ?」

八幡(それが一般常識だと教えると由比ヶ浜はすごく悲しそうな声で、私ってバカなんだと呟いた。

俺は自分をバカだと気づける奴はバカじゃないと言って慰めようとしたが、由比ヶ浜は何も答えなかった。つらい)

八幡「とにかく、三浦にはびしっと言ってやればいいんだな」

由比ヶ浜「うん。ところでどうしてそんなことを聞いたの?」

八幡「かくかくしかじかでな」

由比ヶ浜「夜の密室で二人きりなんだ……」

八幡「店員もいるけど」

由比ヶ浜「ふっヒッキーも隅におけないね」

八幡「隅っこのほうが好きなんだがな」

由比ヶ浜「ヘンなのっ。でもヒッキーらしいよ」

八幡「ははは」

由比ヶ浜「じゃあ、ちょっと急用ができたから切るね」

八幡「ああ、ありがとな。まちがっても外に出たりすんじゃねーぞ」

由比ヶ浜「心配しないで、平塚先生に言えばいいだけだし」

ぷつっ

八幡(俺はそのとき心に決めたのだ)

八幡(さっさとこのコンビニからおさらばしようと)

ネタ切れ
今度こそ止まる

八幡(俺はトイレを出て、出口の扉へと向かう)

八幡(途中でちらっと見ると三浦は相変わらず雑誌を読んでいるようだ。ちゃんと帰れるかすこし心配だが、俺の命には代えられん)

八幡(そして扉の取ってを掴んだ瞬間)

ゴォドドドドドーーーーン

金色の閃光が、視界いっぱいに広がった。

八幡「うおぁっ!」

三浦「いゃっ」

同時にぶつんという配線が切れる音がして、周りが真っ暗になった。

八幡(え、なにが起きたの)

三浦「どうなってんのこれ、ねぇ」

八幡(三浦の声が暗闇から聞こえる。しかし俺にも分からないし答えられない)

三浦「返事くらいしろし、ヒキオー」

八幡「……」

八幡(雷が落ちたのだろうか、それにしても近かったな。外に出ていたら死んでたかもしれん)

三浦「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」

八幡(今、真っ暗なのは恐らく停電したのだろう。よく見ると、周りの建物も灯りがついていない)

さわさわ。

八幡「きゃぁああああああ」

三浦「いやぁあああああああ」

突然、横腹を撫でられた俺は情けない悲鳴をあげた。

慌てて飛び退ると、そこには手をひっこめた三浦がいた。

八幡「」

三浦「妙な声出すなし!」

八幡(急に腹をさわられたらだれだって叫ぶだろ)

三浦「何か言った?」

八幡「言わない」

八幡(それから、三浦と情報の共有をした)

三浦「停電とかふざけんなし、雑誌読めないじゃん」

八幡「だよな。じゃあ俺はこれで」

八幡(扉の取っ手を掴もうとした手を、ぱしっとはたかれた)

三浦「女子を一人取り残してまで行く奴はサイテーだと思わない?」

八幡「ぃゃ」

三浦「……ヒキオ」

八幡(眉間に皺をよせながら、俺を睨み付けた。こわい、伝説の炎ポケモンよりもぼうぎょが下がるわ)

八幡「ちょっと待て、三浦だって俺と一緒はいやだろ、つまりこれでwin-winだ」

三浦「だれが嫌って言ったし」

八幡「……その言い方だと、まるで三浦が俺の事をす」

三浦「嫌いだし」

八幡(……俺だって嫌いだし。帰ったらぜったい許さないリストに載せるまであるし)

三浦「でも、それだけじゃないってこと。結衣見たら分かるでしょ」

八幡「分かるけどな、納得できない」

八幡(そんな強制された、同じクラスだからって仲良くしなければならない、反吐がでるような仲良しなんてな)

三浦は心底あきれたように俺を見ている。青白い月光に照らされた彼女は、彫刻のように美しかった。

三浦「嫌いだからって、話したらいけないわけじゃない。話して楽しいこともある。

そういうことを私は言いたいんだけど」

おやすむ
あーしさんは葉山を見ているから色々感じると思うんだ

八幡(そんなことあるのだろうか。少なくとも俺は違う)

八幡(俺は一度相手を嫌いになったら、話そうだなんて思えない。むしろ避けてしまう)

八幡(だいたい三浦だって、いつも同じグループの奴と話しているじゃないか)

八幡(だからこれは嘘なのだ。恐らく三浦はただ)

八幡「独りがいやなのか」

三浦「はぁ?」ビクッ

八幡「万が一そうなら、動く案山子と評された俺をこのコンビニに立てておくのは悪くない案だと思うぞ。

なにせカラスから由比ヶ浜までなら十分対応できるからな」

三浦「カラスから結衣までとか範囲が狭すぎだし、役立たず」

八幡「三浦、お前実は由比ヶ浜と仲悪くね?」

三浦「でも今はヒキオでもいいし。だってあの人、やばくない?」チラッ

八幡(なんのこったよ。店員以外、人なんていないはずじゃ)

八幡(と思ったら、長身の女性が背後の棚の奥で立っているのが見えた)

平塚「……」ズゥーン

八幡(ヒェッ…いつからいたんだよ)

三浦「つばの広い黒帽子に黒のサングラスをかけて、落花生をつまむ女とか怪しいでしょ」

平塚「むっ」ガサーッボリボリ

八幡(落花生を一気にほおばった彼女は、ハムスターのようだった。あ、一個落としましたよ)

三浦「しかも煙草臭いし」

平塚「ん」スンスン

三浦「ほらヒキオ見たっ!?あいつがあーしらの話を聞いてるの分かるっしょ!」

八幡「ただちに害がないならセーフ」

三浦「えぇ……。そ、それならあいつが帰るまで一緒にいてよ」

八幡(三浦は上目遣いで、声を震わせて言った)

八幡(しかし、俺が帰らないと先生はコンビニに延々と居座り続けるだろう)

八幡(どうすればいいんだよ)

おやすむ
コンビニと生物の中間になるエンドかも

そか。ならこっちは依頼だしたほうがいいっぽいな
自己満ですまんかった
気になった方は検索したらでるから適当に見つけて下さい

一応転載はご遠慮ください

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月14日 (土) 00:24:58   ID: -p0Het8b

あーしさんやっぱり最高やな。

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