小町「覚えてるよお兄ちゃん」 (82)

俺ガイルSSです。
アニメしか見たこと無いので設定無視とかあるかも。
好きなように書きました。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461893143

八幡「ただいまー・・・」

小町「あ、おかえりー・・・って、どしたの?目がいつもより消費期限切れてない?」

八幡「お兄ちゃんの目を腐りもの扱いするのはやめようね?」

小町「腐った根性を正してから言おうね?それでどうしちゃったのさ?優しさと慈愛の精神に満ちた小町がここに居るんだからさ!なんでも聞いてあげるよ?」

八幡「おぉ・・・小町・・・お前ってばホントは女神か天使なんじゃないのか・・・?」

小町「お兄ちゃんの心の拠り所は小町しか務まらないもんねー。あっ、今の小町的にポイント高い!」

小町「・・・それで?どうしたのお兄ちゃん・・・?」

八幡「あぁ・・・、小町・・・あのな・・・」

小町「うん?」

八幡「明日な・・・」

小町「うん?」

八幡「・・・うちに雪ノ下と由比ヶ浜が来る」

小町「・・・」

小町「えっ!?お兄ちゃんが!?女の子を家に!?お兄ちゃんなのに!?」

八幡「あれ?小町の優しさと慈愛の精神どこにいっちゃったの・・・?」

小町「結衣さんと雪乃さん何時頃に来るの!」

八幡「あー、・・・たしか14時とか言ってたかなぁ・・・」

小町「何で我が家なんかに来てくれるの!」

八幡「あー、・・・みんな3年生になるからな・・・、今年度の奉仕部の決起集会をしようだとかで由比ヶ浜が急にな・・・」

小町「お兄ちゃん!せっかく2人が来てくれるのに何でそんなにヤル気が腐ってんの!」

八幡「あー、お兄ちゃんは家に小町以外の女の子がいるのが絶えられないからな・・・。お、今の八幡的にポイント高い」

小町「うわぁ、そのシスコンっぷりには小町もさすがに引くわ」

八幡「でも実際、誰かが家に遊びに来るなんて経験がなぁ・・・」

小町「あー、良く考えたらお兄ちゃん男友達も連れてきたことなかったよね」

八幡「それは違う。お兄ちゃんは友達を連れてこないんじゃない。連れてくる友達が居なかったんだ」

小町「悲しい事実確認だね」

八幡「それに『おもてなし』なんて疲れる仕事をするのは友達が居る奴と、滝川 ラルドゥ・クリステル雅美だけでいい」

小町「よくフルネーム知ってたね」

小町「でも、何がお兄ちゃんの目を腐敗させたのかは分かったよ。お兄ちゃんはしょうがないからね!ここは未来の奉仕部のエース小町がお兄ちゃんをサポートしてあげましょう!」

八幡「くぅ~・・・我ながら天使のような妹でお兄ちゃん泣いちゃいそう」

小町「くぅ~・・・こんな情けない頼みを妹にするお兄ちゃんに小町も泣いちゃいそう」

八幡「小町ちゃん?」

小町「アハハっ、先にご飯つくっちゃうから待っててね!食べ終わったら、まずは家の掃除からだよ!」

八幡「おう。・・・サンキューな」

小町「うん、お兄ちゃんのためだもん!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小町「ふぅ、これで大体の準備は終わったね」

八幡「お、おぉ・・・」

小町「疲れすぎでしょお兄ちゃん」

八幡「だって・・・小町けっこう厳しかったぜ・・・?」

小町「普段着で迎え入れようとしたり、飲み物にマッ缶だそうとするお兄ちゃんが悪いんだよ」

八幡「やはり慣れない事はするもんじゃないな・・・」

小町「でも、後は明日を待つだけだし、ちゃっちゃとお風呂はいって寝よっか」

八幡「だな」

小町(ふぅ、良いお湯だった)

小町(小町の部屋は元からキレイだし、掃除する必要もないよね)

小町(うん、今日はもうベッドに入ろう)

小町(お兄ちゃんと家でドタバタ)

小町(久しぶりだったな)

小町(なんか)

小町(昔みたい)


―――――――――――――――――――――――――――

おかあさん『小町、お母さん今日も仕事だから良い子でお留守番しててね?』

こまち『うん!』

おかあさん『ご飯はラップしてテーブルの上にあるから、お兄ちゃんが学校から帰ってきたら一緒に食べてね?』

こまち『うん!』

おかあさん『小町も八幡も良い子でお母さん助かるわ』

こまち『えへへっ』

おかあさん『それじゃあお母さん行ってくるね』

こまち『いってらっしゃい!』

こまち(こまちはいいこだからね)

こまち(おかあさんのかえりも、おとうさんのかえりもまてるよ)

こまち(いっつもおうちにひとりだけど)

こまち(でもだいじょうぶ)

こまち(・・・ひまだなぁ)

小町(ん・・・、朝・・・)

小町(夢・・・ちっちゃい頃の小町・・・)

小町(・・・懐かしい)

小町「・・・朝ごはん作っちゃお」

八幡「おはよう小町」

小町「おはようお兄ちゃん。良かったね、今日はずっと天気良いみたいだよ」

八幡「クッ、雨天中止という最後の望みも断たれたか」

小町「往生際わるいなーこの人。ご飯できたしテーブル座ってて」

八幡「ん」

小町「食べたら雪乃さんと結衣さん来る前に準備しちゃってね」

八幡「へいへい」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結衣(ここがヒッキーの家・・・)

結衣(インターホンは目の前!時間も14時ジャスト!あとは私の右人差し指がインターホンを押すだけ!)

結衣(・・・きっ、緊張なんてもんじゃない!)

結衣(ヒッキーの家でケッキシュウカイの約束を取り付けた私はエライ!)

結衣(素直じゃないゆきのんを乗り気にさせつつ、ヒッキーを丸め込んだ私はエライ!)

結衣(でもヒッキーの家のインターホンを押せない私はダサい!)

結衣(押せ!押すんだ私!)

結衣「このインターホンを押せばどうなるものか」

結衣「危ぶむなかれ危ぶめば道はなし」

結衣「踏み出せばその一押しが道となり」

結衣「その一押しが道となる」

結衣「迷わず押せよ! 押せばわかるさあああああぁぁぁ!!!」

雪乃「何をしているの由比ヶ浜さん?」

結衣「」

ピンポーン

ガチャ

八幡「おう、いらっしゃい」

小町「雪乃さん結衣さんいらっしゃい!」

結衣「おじゃましまーす!」

雪乃「お邪魔します」

小町「どうぞどうぞ何も無いとこですが上がってください!」

八幡「お前ら大丈夫だったか?」

結衣「へ?」

八幡「いや、なんか家の前でブツブツ何か言ってる声が聞こえた気がしてな。もし、それが小町の身を狙う危ない奴なら、俺は我が家を要塞にリフォームせにゃならん」

雪乃「それはもうリフォームの域を超えているわよ」

結衣「そ、そうだよヒッキー!私達そんな人みてないしき、気のせいじゃないかなっ!」

八幡「まぁ小町に害が無ければそれでいいんだが、・・・とりあえず上がってくれ」


結衣「きれいなリビングだね!」

八幡「その辺のソファーにテキトーに座ってくれ」

小町「くつろいでくださいね!飲み物もお持ちしたんで!」

雪乃「紅茶・・・アッサムね・・・落ち着く香りだわ・・・」

小町「そうでしょうそうでしょう!みなさんお好きかと思って!」

小町(奉仕部では紅茶を良く飲んでるってお兄ちゃんから聞いてたからね)

結衣「ありがとー小町ちゃん!実は私お菓子つくってきたんだー!これ紅茶と一緒に食べよ!」

八幡「ありがとう由比ヶ浜。これは大事に冷蔵庫にしまっておくよ」

雪乃「比企谷君にしては名案ね。冷凍庫の方が良いと思うわ」

結衣「露骨に遠ざけんなし!?今回のは大丈夫だって!?」

結衣「なんだか落ち着く家だね。ヒッキーと小町ちゃんはここで暮らしてるんだって感じがする・・・って、何か変なこと言っちゃてるね私・・・」

雪乃「いえ、由比ヶ浜さんが言いたいこと、分かる気がするわ。この家の雰囲気は心地良いもの。小町さんが優しく良い子に育つのも頷けるわ」

八幡「まぁな、ボッチにとっては世界で唯一の落ち着く場所だし、小町も優しく良い子に育ってる以上お前らの言うことは概ね正しいな」

結衣「優しく良い子に育った子にヒッキーは含まれてないんだね」

八幡・雪乃「もちろんだ(よ)」

雪乃「それにしても学術書や専門書が目立つ本棚ね」

結衣「あ、私もそれ思ってた。分厚い本とか大きい本とかいっぱいだね」

小町「両親の仕事柄、昔からこうなんですよー」

結衣「そういえばヒッキーのお母さんとお父さん今日は居ないの?」

八幡「うちは普段から共働きだからな」

雪乃「お会いできれば御挨拶したかったのだけれど、残念ね」

結衣「ほんとだよー。それすっごく緊張してインターホン押しづらかったのに」

八幡「そこまで緊張することか?」

結衣「えっ?あ、そ、そうだよね!た、ただ挨拶するだけだもんね!」

小町「でも、うちは昔から親が居ることの方が少ないですからねー」

結衣「じゃあヒッキーと小町ちゃんが助け合って生活してるのは昔からなんだね」

小町「えっ?」

結衣「へ?」

小町「・・・」

結衣「あ、あれ?私なんか変なこと言っちゃった?ご、ごめんね?」

小町「あ、い、いえいえ!違うんです!」

雪乃「小町さん、どうかしたの?」

小町「いえ・・・、そういえばこうやって兄と暮らしてるのって昔からなんだなーって・・・ふと思っちゃったというか、気付いちゃったというか」

雪乃「気持ちはわかるわ。そうよね、比企谷君と長年暮らしているなんて精神衛生上よくないものね。忘れたくもなるのは当然よ」

八幡「ちょっと?兄妹で過ごした日々にヒビをいれるのやめてくんない?」

結衣「うわっ、ヒッキーつまんなっ!」

雪乃「驚いたわ、ギャグセンスまで腐っているのね」

小町「ごみいちゃんですからね・・・」

八幡「空気を和ませるための八幡ジョークじゃないですか酷すぎますよ泣いちゃいますよ」


雪乃「ところで比企谷君」

八幡「ん」

雪乃「確かお宅にはネコが居たわよね」

八幡「あぁ、かまくらなら俺の部屋で寝てるな」

雪乃「少し話がしたいわ」

八幡「え」

雪乃「聞こえなかったのかしら?かまくら君とお話がしたいと言ったのだけれど」

八幡「猫の話だよね?」

雪乃「カーくんはネコなのだから当然でしょう」

八幡「ナチュラルにあだ名まで付けるかね。ってか話すの?」

雪乃「お邪魔している以上、在宅中のご家族に挨拶するのは人としての礼儀よ」

八幡「猫の話だよね?」

結衣「わ、私も!ご家族に挨拶したいなー!」

八幡「由比ヶ浜に至っては猫、苦手だったろ?」

結衣「いやいやいや!人としての礼儀だし!そ、それにヒッキーの部屋もちょっと見てみたい・・・し」

小町「さあさあ、兄の部屋はこちらですよー!2名様ご案内でーす!」

八幡「よろこんでー!ってなると思ってんの?ねえ?聞いてる?」

雪乃「お久しぶりねカーくん」

かまくら「・・・」

雪乃「にゃー」

かまくら「・・・」

雪乃「にゃー」

かまくら「にゃ」

雪乃「にゃ」

八幡「・・・」

結衣「ヒッキーの部屋も整理整頓されてるんだねー。なんか思ってたより普通かも」

八幡「雪ノ下にツッコミは無いの?ねえ?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

雪乃「気付けば18時を回りそうね」

結衣「あ、ほんとだ。そろそろ退散しようか」

小町「えぇーっ?うちのことなら全然気にしなくていいんですよ?」

雪乃「そんな、初めてお邪魔するのに長居しては悪いわ」

八幡「小町、あんまりお客様を困らせちゃダメだ。2人の家族も心配するからな」

結衣「ヒッキーが言うと早く帰れオーラがやばいね」

八幡「何で俺のオーラ見えてるの?神秘の泉なの?」

結衣「ほんとに早く帰れオーラ発してたんだ」

小町「雪乃さん結衣さん是非また来てくださいね!いつでも待ってますから!」

八幡「次の決起集会にまたどうぞ」

結衣「来年まで来させないつもりだ!?」

雪乃「来年じゃ奉仕部も引退してるわね」

小町「小町が奉仕部に入部すれば今年は決起集会から定例会議まで全部うちで開けますね!」

八幡「え、何その発想、小町・・・おそろしい子!」

結衣「それじゃあヒッキー、小町ちゃん、次は春休み開けにね!」

雪乃「部室で会えるのを楽しみにしているわ、小町さん」

八幡「ナチュラルに俺を疎外しないでね」

小町「はい!入部希望すぐに出しに行きますね!」

結衣「おじゃましましたー!」

雪乃「お邪魔しました」

小町「お気を付けてー!」

八幡「気を付けて帰れよ」

小町「さっきまで家の中にぎやかだったのに、何だか急に静かになっちゃったね」

八幡「うちは元から静かな家だからな」

小町「あんまりお母さんとお父さんのこと困らせたりしたことなかったもんね」

八幡「そうだな、小町の家出を除けば困らせたりは特になかったな」

小町「それは言わないでほしいですな~」

八幡「あぁ、悪かったよ。それより小町のうまい飯でも食って今日は早く寝ようぜ」

小町「そうだね。たくさんお喋りして疲れちゃったもんね」

八幡「だな」

小町「疲れちゃった可愛い妹のためにお兄ちゃんはお風呂いれてきてね!」

八幡「任せろ小町。最高のお湯加減を味あわせてやろう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小町(今日も良いお湯だったー)

小町(楽しい1日だったな)

小町(うだうだ言ってたけど、なんだかんだお兄ちゃんも楽しそうだったし)

小町(それと雪乃さんもお菓子つくってきてるなら言い出せばよかったのに)

小町(素直じゃないところはお兄ちゃんそっくりなんだな)

小町(次は小町がもっと上手くやらないとね)

小町(それに結衣さんには何だかハッと気づかされちゃったな)

小町(そうだよね、小町ずっとお兄ちゃんと一緒だったんだよね)

小町(小町がずっとちっちゃい時から)

小町(小町が家出したときもお兄ちゃんが・・・)

小町(・・・あれ、小町が家出した時、迎えに来てくれたのお兄ちゃんだったよね?)

小町(迎えに来てくれた時、お兄ちゃん・・・何か言ってた・・・?)

小町(・・・ま、いっか。今日はもう寝よう)

小町(うん、寝ちゃおう)


―――――――――――――――――――――――――――

おかあさん『今日もお仕事だから良い子でお留守番しててね』

こまち『えー』

おかあさん『どうしても外せないお仕事なのよ・・・』

こまち『うーん』

おかあさん『ごめんね小町、小町が良い子だから我慢させてしまってるわね。なるべく早く帰るからね』

こまち『うん・・・、わかった』

はちまん『・・・』

こまち(今日もおしごとかー)

こまち(大人はおしごと好きだなー)

こまち(・・・)

こまち(小町はおしごときらいだな)

こまち(かぞくをまってないとダメだもん)

こまち(小町はいい子だからだいじょうぶだけどね)

こまち(小町もそろそろ学校いかないと)

小町(・・・また昔の夢だ)

小町(懐かしいなぁ・・・ほんと)

小町「まだ6時か・・・いいや、ご飯つくろ」

小町「たまにはホットケーキとかでいいかな」

小町「ホットケーキは楽ですなー」

小町「お兄ちゃんの分のコーヒーも淹れて・・・」

小町「うん、完成!」

小町「冷める前に起こしにいきますか!」

コンコン

小町「お兄ちゃーん」

小町「入るよー」

ガチャ

小町「お兄ちゃんもう起きてよー。専業主夫志望でしょー?」

八幡「・・・ん」

小町「もー、早く起きないと世の中の数いる専業主夫達に差をつけられるよー?」

八幡「んー・・・」

小町「それとご飯さめちゃうんだけど」

八幡「んー・・・、小町のご飯を冷ますわけにはいかん・・・」

小町「まだ目があいてないよ?まぶた腐って癒着しちゃったの?」

八幡「小町が眩しすぎて目が開けられないんだよ」

小町「早く降りてきてねー」

八幡「あ、はい」

小町「最近ねー、懐かしい夢をみる」モグモグ

八幡「どんな?」モグモグ

小町「ちっちゃい頃の夢」モグモグ

八幡「ふーん」ズズズゥ



小町「最初に見た夢は小町がまだ小学校入る前だった」

八幡「母さんと父さんが共働き始めた頃か」

小町「そうそう。そんで今日みた夢は小町が小学2年生くらいの時」

八幡「俺が小学4年生か」

小町「その頃の小町ね、学校でお母さんとお父さんの話になって、初めて気づいたの」

八幡「何に?」

小町「うちって普通じゃないんだって」

八幡「あぁ・・・、基本的に家に親が居ないってのは少数派だろうな」

小町「そうなの、周りの友達は家に帰ればお母さんが居て、夜になればお父さんと皆でご飯食べるんだって。初めて知ったの」

八幡「何かそれについて嫌な事とか言われたのか?」

小町「んー、悪気は無かったんだろうけど、そんなの変だよーとかは言われちゃったかな」

八幡「そいつにはお兄ちゃんがキツく説教してやらないとな」

小町「ふふっ、時効扱いにしてあげてよ。」

八幡「小町がそう言うなら仕方ない」

小町「でも、やっぱり寂しく思うようになったキッカケはそれだったなー」

八幡「蒸し返すようで悪いが、昔、家出したのも寂しかったからか?」

小町「そういうこと」

八幡「なるほどな。小町は小さい頃から家族で過ごす時間が短かったもんな」

小町「でも家出して良かったとは思ってるよ?」

八幡「は?なんで?」

小町「お兄ちゃんのこと好きになれたから」

八幡「・・・」

小町「・・・」

八幡「・・・」

小町「・・・」

八幡「小町ちゃん?いつものポイント制は?」

小町「え・・・?あっ、い、今の小町的にポイント高いっ!」

八幡「素だったのね」

小町「あはははは、失礼しました・・・食器片付けちゃうね」

八幡「あぁ、手伝うよ」

小町「たまにはホットケーキも良いもんでしょ?」

八幡「そうだな。小町が作ったもんは何でも良いもんだけどな」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小町「ふぅ」

小町(天気も良いし、昼寝と洒落こもうかな)

小町(無駄に早起きしちゃったし、良い感じに眠気も・・・)

小町(続きが見れるなら・・・見たいな・・・)


―――――――――――――――――――――――――

こまち『ただいまー』

こまち(今日も、まだお母さんもお父さんも帰ってきてないね)

こまち(友達と遊んでる時は別に良いんだけどさ)

こまち(家に帰って来て誰も居ないってのはさみしいよね)

こまち(小町、良い子にしてるんだけどなぁ)

こまち(良い子にしてるのにさみしいなんてあんまりだよね)

こまち(・・・あんまりだよ)

こまち(家に居れば居るほどさみしくなるなんて・・・)

こまち(家に居場所ないのとおんなじじゃん・・・)

こまち(・・・)

こまち(ほんとは17時半過ぎたらダメだって言われてるけど)

こまち『どっか行っちゃおうかな』

八幡「ふぅ」

八幡(天気も良いことだし予定も無い)

八幡(腹もいっぱいなことだし)

八幡「昼寝でもするかな」

八幡(ボッチの春休みなんてゲームと昼寝と読書のローテーションで構成されてるようなもんだ)

八幡(昼寝のし過ぎで夜眠れなくなるなんてのはご愛嬌)

八幡(そして朝起きられなくなり小町が起こしにくるというこの戦略性・・・パーフェクト!)

八幡(完璧じゃないか我が春休みは!)

八幡(それにしても懐かしい夢ねぇ)

八幡(他人から見れば昔の俺も今の俺も大した差はない)

八幡(清々しいくらいにボッチなだけだ)

八幡(でも俺からすれば・・・)

八幡(小町の家出は・・・)

八幡(良いキッカケだったんだろうなぁ・・・)


―――――――――――――――――――――――――――

先生『比企谷くん、また授業中に居眠りしていたわね?』

はちまん『はあ』

先生『こんなことが続いていると、周りの友達に勉強おいていかれちゃうわ』

はちまん『いえ、大丈夫です。友達がいないので』

先生『・・・比企谷くん。学校・・・楽しい?』

はちまん『・・・』

先生『比企谷くんはね、もっと学校を楽しまなきゃいけないわ』

はちまん『はあ』

先生『もっと友達と会話したり、積極的に行事に参加したり、休み時間は色んな所で遊んだり』

先生『勉強や仕事は辛くて大変だったりするじゃない?だからこそ友達と遊んだりして元気を充電するのよ。それがあるから勉強や仕事が頑張れる』

先生『充電も無しに、ずっと何かを頑張り続けるなんてのは難しいの』

先生『だから比企谷くんも自分が充電できるような関係性を人と築き上げなくちゃ!』

はちまん『それって何だか傲慢じゃないですか先生?』

先生『え?』

はちまん『だってそうでしょう?俺が学校を楽しめないのは周りの奴らが勝手に俺から引いていくからですよ。むしろ俺を虐げることで奴らは楽しみを覚え、結束を高めてみんなで充電し合っていく。先生の言うことが本当なら、俺は奴らの充電素材として役には立ってはいるが俺の充電は満たされない。俺が充電しようと奴らに近づこうとするものなら、やれ比企谷菌だの、やれヒキガエルだの、酷い言葉を浴びせられ露骨に距離を取られる』

はちまん『勉強や仕事に充電が必要だと言うなら、充電が不可能な俺に将来は無いじゃ・・・』

はちまん『・・・いや、ひとつだけある』

先生『そ、そのひとつだけの将来っていうのは・・・?』

はちまん『専業主夫』

先生『』

はちまん『専業主夫なら勉強の必要は無いし仕事って程のもんじゃない』

先生『比企谷くん』

はちまん『なるほど、先生はこれが言いたかったんですね、これからの時代は専業主夫こそが賢い選択だと』

先生『比企谷くん』

八幡『女性の社会進出が叫ばれている今、専業主夫こそ時代のニーズに』

先生『比企谷くん居残りね』

はちまん『・・・はい』

はちまん(チッ、今日も居残りか)

はちまん(学校で楽しいことなんてほとんど無いのに勉強なんてヤル気起きるかよ)

ガラガラガラ

先生『勉強の方は捗ってるかしら?』

はちまん『ボチボチですね』

先生『やっぱりやれば出来るじゃないの』

はちまん『どうも』

先生『そうやって授業も真面目に受けていれば普段から居残りなんてしなくて済むのに』

はちまん『善処します』

先生『・・・比企谷くん、特に国語が苦手なのね』

はちまん『ええ、まぁ』

先生『どういうところが苦手なのかしら?』

はちまん『・・・作中の登場人物の心情はどんなものか』

先生『なるほどね』

はちまん『だって本人でもないのにそいつの気持ちなんて解るわけないじゃないですか?』

先生『あら、ちゃんと分かる方法があるのよ?』

はちまん『それは、どういう・・・?』

先生『人と関わるのよ』

はちまん『・・・?』

先生『例えば、プロの料理人っているじゃない?』

はちまん『はあ』

先生『プロの料理人になるには食材に囲まれて、自分より上手い料理人に囲まれて、お客さんに囲まれて、色んなモノに関わって学んでいくの』

先生『何かを学ぶには、何かを極めるには、何かを知るには、何かを身に付けるには、その何かと関わりが深いものとたくさん関わるのよ』

先生『だからね、人の気持ちを知りたいのなら、人と関わらなくちゃいけないの』

はちまん『・・・』

先生『今の比企谷くんには、それが難しいのよね?』

はちまん『まぁ・・・そうですね。』

先生『実は、先生が手を貸して比企谷くんがクラスに馴染めないか考えたりもしたの』

はちまん『それは』

先生『わかってるわ。それは比企谷くんが納得しないのよね?』

はちまん『そりゃそうです。先生に言われたから作る関係なんて、何だか違う・・・と思う』

先生『それに、手を貸さなかった理由はそれだけじゃないの』

はちまん『?』

先生『比企谷くんは良くも悪くも大人びているわ。でも、それは比企谷くんの個性なの。先生はね、比企谷くんのそういう個性を、他の子達に色眼鏡なしで認めてほしいの』

はちまん『・・・ひねくれてるだけだと思いますが』

先生『ふふっ、そういう自覚があるところも含めて比企谷くんの個性はおもしろいのよ』

はちまん『・・・どうも』

先生『・・・比企谷くん自らが関わっていくことが大事よ』

はちまん『現状だいぶ無理くさいですけどね』

先生『身近なところから始めてみなさい』

先生『何か一つ大切なものがあるだけで人間変わっちゃうんだから』

先生『何年かかってもいいの』

先生『今この時間が全てじゃないんだから・・・、ね?』

八幡「・・・ん・・・・・・」

八幡(今・・・何時だ・・・?)

八幡(うわっ、19時とっくに回ってやがる)

八幡(どおりで真っ暗なわけだ・・・)

八幡(・・・)

八幡(あんな昔の夢みるなんてな)

八幡(小町の話を聞いたからかね・・・)

八幡(小学校を卒業してから先生には会ってないな)

八幡(先生も確か結婚して違う学校に転属されたって小町が言ってたか)

八幡(そういやぁ小町も寝てんのか・・・?)

八幡「・・・とりあえず起きるか」

八幡「飯つくってくれてたのか」

小町「んー」

八幡「肉じゃがか」

小町「んー」

八幡「昼めし食い損ねたからご飯は大盛りで頼む」

小町「はーい」

八幡「食器だしとくぞ」

小町「ありがと」

八幡(・・・あれ?なんか素っ気なくない?なに?もしかしてあれ?あれなの?ついに来たの?反抗期きたの?おいおい、お呼びじゃねえんだよなぁ・・・)

小町「食器小脇に抱えてなに青ざめてんの?」

八幡「お、おう。悪い」

小町「モグモグ」

八幡「い、いやぁー、やっぱり小町の肉じゃがは絶品だよなぁ。」

小町「そう?ありがとう」ムグムグ

八幡「なんと言っても出汁の染み具合が良い塩梅だよなぁー。」

小町「味の素いれただけだけどね」パクパク

八幡「そ、それに、じゃがいもが煮崩れとかしてないしぃ?やっぱ小町の飯は食う度に感動を覚えるよなぁー」

小町「大袈裟じゃない?」

八幡「そうだよなぁーお兄ちゃん大袈裟だったかもなー?」

八幡(くっ、わからん・・・小町の纏っている妙な虚無感を吹き飛ばす言葉が俺には思いつかん・・・!)

八幡「あ、そ、そうだ小町!俺もな、さっき昔の夢を見たんだよ!」

小町「っ・・・!」

八幡「俺が小学5年生の時の夢でな、すっげー鮮明に再現されてる夢でさ、ほら、小町も知ってるだろ?俺の担任だった女の先生がな」

小町「お兄ちゃん」

八幡「え、おう?」

小町「夢を見てからさ、色々と思い出したりした?」

八幡「あ、あぁ、そうだな。当時に先生とした会話とか、あと学校での様子とか思い出したな」

八幡「なんか、人の気持ちが分かるようになるには人と関われだの何だの言われてな、でも人と関わるなんてそもそもが無理難題に近かったから、代わりに読書とかで補おうと思って本を読むようになったら、今じゃ文系が得意科目だったりで、今思えば良い先生だったな」

小町「・・・」

八幡「小町・・・?」

小町「そう。小町もね、さっきお昼寝してまた昔の夢をみたの。小町が小学3年生の時の夢だった」

八幡「小学3年生っていうと、・・・そうか」

小町「そうなの。ちょうど家出する直前の夢を見てたの。夢の中でね、小町さみしかった。孤独と居場所の無さを痛感してた」

八幡「・・・」

小町「当時の気持ちがそのまま蘇ってきて、起きてる今も何だか寂しさに襲われてる」

八幡「さっきから元気なさそうに見えたのはそれが原因か?」

小町「そう・・・、だと思う」

八幡(小学3年生、8歳の小町は家庭内の居場所への疑問と拒絶を繰り返し続けた結果、問題に対して家出という形で間合いを取ってしまった)

八幡(いや、俺を含め家族が取らせてしまった)

八幡(小町が小学生の時から暇を与え、一人の時間を創り、少しずつ小町に孤独を押し付けていた)

八幡(俺は基本的に学校に居残りさせられてばかりで、家に帰ると小町が一人でソファーに座っていた光景を良く覚えている)

八幡(家出した小町を俺が迎えに行った時も小町は公園のベンチに座って少し泣いていた)

八幡(今の小町は、家出したときの小町に似ている気がする)

八幡(寂しそうなあの時の小町に・・・)

八幡「小町」

小町「ん・・・?」

八幡「俺ちょっと昼寝し過ぎて眠くないんだけど」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小町「お兄ちゃんから外出に誘うなんて珍しいね」

八幡「どうせ小町も昼寝して眠れないだろ?軽く散歩でもして体に疲労感を与えとこうと思ってな」

小町「お兄ちゃんが自ら疲労感を被るとは、世の中かわっていくもんだねぇ。・・・春とはいえ夜はちょっと寒いね。どこまで行くつもりなの?」

八幡「このままテキトーに歩くだけだよ。まあ、誘った以上はエスコートくらいしてやるからお兄ちゃんに付いてこい」

小町「お兄ちゃんのエスコートねぇ・・・まあ、お兄ちゃんが言うなら小町は千葉の果てまで付いていくつもりだけどね。あ、今の小町的にポイント高い」

八幡「千葉は越えられないのかよ・・・」

小町「お兄ちゃん、・・・やっぱり寒いね」

八幡「ん・・・、腕組むのはちょっと恥ずかしいんだが」

小町「寒い・・・」

八幡「・・・着くまでだぞ」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小町「そういうことね」

八幡「着いたぞ」

小町「公園に向かってたんだね」

八幡「ああ」

小町「夜の公園なんて、お兄ちゃんにしてはセンス良いじゃん」

八幡「だろ?なんせ俺の妹も、夜に此処に一人で居たんだ」

小町「なんだ。妹の受け売りか」

八幡「可愛い妹だからな。真似しちゃうのも仕方ないな」

小町「その可愛い妹の体は少し冷えてきちゃったみたい」

八幡「はいはい。ちょっとベンチに座っててくれ」

八幡「ほれ、コーヒーで良かったか?」

小町「うん、ありがとう」

八幡「となり座るぞ」

小町「うん」カコッ

八幡「・・・」カコッ

小町「・・・」ゴク

八幡「・・・」ゴク

小町「・・・」

八幡「・・・温まったか?」

小町「体はちょっと温まってきたよ」

八幡(体は、ね)

小町「・・・で?何で、この公園なの?」

八幡「前は聞けなかったからな」

小町「?」

八幡「家出した時なんでこの公園に居たのか」

小町「あー・・・」

小町「小町ここしか知らなかったんだよ」

小町「だって小学3年生だよー?そんなに行動範囲も広くないしさ、この公園しか心当たり無かったの」

八幡「心当たりって、何の・・・?」

小町「公園に居ればさ、ちゃんと感じるんだよ」

小町「遊んでる子供を迎えに来るお母さんとか、近くの家からする夕ご飯の匂いとか、転んで泣いてる弟を面倒みるお姉ちゃんとか」

小町「本当はそんなもの無いんじゃないかって疑ってた家族って関係がちゃんと感じられるの」

小町「そういうのを感じて、世の中にはちゃんと小町が思い描いていた家族があるんだってホッとするの」

小町「だから、小町がこの公園に居たのは、家族を感じられる場所の心当たりがここしか無かったってこと」

八幡「・・・それを見てるのは、辛くなかったか?」

小町「ちょっと辛かったし、ちょっと泣いた」

八幡「なら、・・・何で・・・・・?」

小町「小町には無くても、他の場所にはちゃんとあるんだって理解したかったの」

小町「小町が1番欲してるものが、世の中の何処にも無いなんて救われないじゃん?」

八幡「・・・なるほどな・・・・・・・」

小町「お兄ちゃんまで暗くならないでよー。誰にも話したことなかったから、ちょっとスッキリしたし、小町なら大丈夫だからさ。たぶん、今この纏わりついてくる寂しさも時間が経てばまた忘れるんだよ」

小町「それに今は、お兄ちゃんとの時間が小町の幸せだしさ!うん!今の小町的にポイント高い!」

小町「だから・・・大丈夫だよ」

小町「・・・」

八幡「・・・寂しさを忘れても、また思い出すかもしれないし、もしかしたら忘れられずに一生付き合っていくかもしれないぞ」

小町「厳しいこと言うね」

八幡「現実は厳しいからな。こんなにも労働意欲の無い俺も、いつかは社会に出て働かなきゃいけないし、主夫になる夢もきっと叶わない」

八幡「だから・・・、もし寂しさが忘れられないんなら、お兄ちゃんが居るからな・・・」

小町(・・・あ)

小町「・・・思い出した」

八幡「ん、何をだ?」

小町「うん・・・、そろそろ帰ろっか!」

八幡「え?」

小町「えへへ!ほら!エスコートは帰るまでがエスコートだよ!」

八幡「お、おう」

小町「ほら!エスコートは帰ってお風呂にお湯を張るまでがエスコートだよ!」

八幡「さらっと雑用押し付けてない?」

小町「大丈夫!晩ごはん分の食器洗いも残ってるから!」

八幡「小町ちゃん?」

小町「小町は良い兄を持って幸せですねー」

八幡「まぁ別に良いんだけどな・・・」

八幡(急にいつもの小町に戻ったのか・・・)

小町「よし!帰るよお兄ちゃん!」

八幡「あぁ・・・。愛しの我が家に帰るとするか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小町(ふう・・・良いお湯だった・・・)

小町(お兄ちゃん、帰ってきてからもまだ心配してくれてたみたいだけど)

小町(もう平気だよ)

小町(さっき思い出したの)

小町(お兄ちゃんが公園に迎えに来てくれた時のこと・・・)


―――――――――――――――――――――――――――
こまち(いま何時だろう・・・)

こまち(こんな暗くなる時間まで外にいるの初めてだなぁ・・・)

こまち(帰ったらおこられるかなぁ)

こまち(でも家にいてもさみしいだけだし・・・)

こまち(このまま帰らなかったら、わすれられちゃうかなぁ)

こまち(こまち・・・もういらない子かなぁ)

こまち(・・・帰りたいなぁ)

こまち(帰りたい・・・)

こまち(帰りたいよ・・・)

こまち(・・・)

こまち(・・・?足音?)

『はぁ・・・・・はぁっ・・・』

こまち(だれか走ってる・・・?)

『はぁ・・はっ・・・・はぁ・・・』

こまち(・・・?こっちに来てる?)

はちまん『こまちいいいいいい!!』

こまち『っ!』

はちまん『こまちいいい!!っはぁ、はぁ、こまちいいいいいい!!!!!』

こまち『っ・・・ぅ・・・・』

はちまん『こまちいいいいいい!!!!いるかあああああああああああ!!!!』

こまち『ぅぅ・・・』

こまち『うわああああああああああん!おにいちゃああああああああんん!』

はちまん『っ!こまち!』

こまち『ごめんなざあい!おにいじゃあああああああんん!!』

はちまん『こまち!大丈夫か!?』

こまち『うんっ・・・だいじょうぶっ・・・ぅ・・・ひっぐ・・・』

はちまん『良かった・・・帰ろう、こまち・・・。お母さんとお父さんが心配してる・・・』

こまち『うんっ・・・ぅ・・・』

はちまん『一緒に帰ろう』

こまち『うん・・・ひぐっ・・・・』

はちまん『心配いらないぞ』

こまち 『・・ぅんっ・・・』

はちまん『お兄ちゃんが居るからな』

こまち『っ・・・うん!』

小町(・・・夢)

小町(家出した時の・・・お兄ちゃんが迎えに来てくれた時の・・・)

小町(懐かしい・・・)

小町(あの後、お兄ちゃんと一緒に家に帰ってからすっごく怒られた)

小町(お兄ちゃんは近所をずっと走り回って探してくれてヘトヘトになってたっけ)

小町(あれ以来かな、仲良し兄妹になったのは)

小町(たまにケンカもするけど、ずっと一緒に暮らしてる)

小町(・・・うん、もう寂しくないね)

小町「起きようかな」

八幡「おう、おはよう」

小町「あれ、お兄ちゃん今日は早いんだね?」

八幡「まあな、飯の準備ならもうすぐ終わるから先に座っててくれ」

小町「うん、ありがと!」

八幡「お兄ちゃん渾身の出来栄え、トーストと目玉焼きだ」

小町「大体の人が渾身の出来栄えで作れるものだね」

八幡「侮るなよ小町。俺の焼く目玉焼きは半熟を極めている」

小町「煮え切らないお兄ちゃんの頭みたいだね」

八幡「朝からキツめの罵声を挟むのやめようね?」

八幡(・・・いつもの小町っぽいな。もう大丈夫そうか)

小町(ほんと、素直じゃないというかキザというか)

八幡(あの時に言ったこと引っ張り出してきた甲斐があったってもんだな)

小町(お兄ちゃんが居るからな、なんて)

八幡(小町は覚えてねえだろうけど)

小町「覚えてるよお兄ちゃん」

八幡「え」

小町「んーん、何でもない。ほら、ご飯食べよ!渾身の出来栄えなんでしょ?」

八幡「あ、あぁ!そうだな。よし、手を合わせろ!」

小町・八幡「いただきます!」

コメントありがとうございます。
この話は以上になります。
こういった物を創作したのは初めてでしたのでコメントに感謝しています。

お読みくださりありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月03日 (火) 05:03:03   ID: GPpHx9e4

素晴らしかった。
ただ二つ難を挙げるなら、もう少し長めの後日談と八幡の先生との絡みの結論描写がないことくらい(読み落としてたらすまん)

2 :  SS好きの774さん   2016年05月04日 (水) 04:12:26   ID: 7DC85qNi

ほのぼの〜からのラストが微妙にホラーw

3 :  SS好きの774さん   2016年05月05日 (木) 00:23:37   ID: 7oILsmuj

↑どのへんが?
すごくいいラストだと思ったけど

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