キヨシ「ここは僕に任せてください!」
万里「あら、助かるわ。じゃあこの荷物持って頂戴」
キヨシ「はい!お義姉さん」
万里「は?おねえ・・・?」
キヨシ「いやー、今日もいい天気ですね」
万里「そんなベタな話の切り出し言う人初めて見たわ。あなた私といるのがそんな気まずいのかしら?」
キヨシ「そんなわけないじゃないですか!ただいい天気だなって思いまして」
キヨシ(まさか千代ちゃんと仲良くなる為の外堀埋める作戦、略してCSO作戦がバレてしまったのか!?)
万里「ふふ、そうね。能天気なあなたはそんな事気にするような人間ではないね」
キヨシ「そ、そうですよー・・・ははは」
万里「にしてもいい天気ね。こうやって歩いているだけでも汗が滲むわね」
キヨシ「暑いですね」
万里「汗が目に入るわよ?ほら、こっち向きなさい」
キヨシ「え?あ、はい!」
万里「ちょっと目瞑ってくれるかしら?」
キヨシ「あ、どうも・・・」
万里「はい、これで良いわよ」
キヨシ「あ、ありがとうございます!そのハンカチ、後でクリーニング出しますので!」
万里「そんなことしなくて良いわよ。荷物持ってもらってのだから」ニコッ
ケイト「ふふふ・・・良いもの見ちゃったわぁ」
ケイト「万里は藤野君狙いだったのね・・・そうと決まれば・・・」
ケイト「あら、藤野君じゃない」
キヨシ「なっ!あなたは!?」
ケイト「警戒しないで良いわよ。何も取って食おうとかトラップを仕掛けてるとかじゃないんだから」
キヨシ「そう、ですか。どうも身構えてしまうので」
ケイト(嘘よ。本当は万里からあなたを奪う作戦なのよね。ふふ、お馬鹿さん・・・)
ケイト「気にしないでって言う方が無理なのかしらね。ごめんなさいね」シュン
キヨシ「えっ!?いや!そんな!頭を上げてください!僕はそんな事言わせる為に言ったわけじゃなくて!僕の方こそすみません!」
ケイト(ふぅん・・・なかなか言えるじゃない)
ケイト「そうかしら?ふふふ、藤野君は優しいのね」ニコッ
キヨシ「え?はぁ・・・どうも」
キヨシ(なんだこの人・・・急に落ち込んだり急に笑顔になったり・・・情緒不安定なのか?)
ケイト(んー?上手くいかなかった感じかしら?あのメガネとデブはちょっと媚びただけで、あんなにデレデレしてたのに)
キヨシ「これからガクト達と昼飯の約束してたんで、それじゃあ」
ケイト「あら、それは私も同席して宜しくて?」
キヨシ「え?」
キヨシ(いよいよこの人何を考えてるか分からなくなってきたぞ・・・)
ケイト「そんな鳩が豆鉄砲くらったかのような顔をしなでください。私でも女性なのよ?ね、察してください」ギュッ
キヨシ「うわっ!?え!?え!?」
ケイト(思春期真っ盛りの男子生徒なら腕に抱き付けば容易く落ちる・・・)
キヨシ(なんだなんだ!?もしかしてこの人、好きな人でもいるのか!?女性だって言ったのはそういう事だよな!?)
ケイト「筋肉凄いんですね、頼もしいですわ」
キヨシ(『察して』・・・つまり僕に仲を取り持つ事の要求。ガクト、ジョー、シンゴ、アンドレの中にリア充になってしまう奴がいるっていう事か!・・・くそっ!羨ましいぞ!恨ましい!)
キヨシ「・・・監獄生活長かったですからね」
ケイト「は?」
キヨシ「え?どうしたんですか?」
ケイト「い、いえ!なにも!」
ケイト(何よ、こいつ!私がここまでしているのになんでこんな無感心なのよ!?)
キヨシ「あのー・・・暑いんで離れてもらっても良いですか?」
ケイト(呆れたわ!この後に及んで更に離れろだなんて!?)
ケイト「申し訳ありませんでした・・・迷惑でしたよね」シュン
ケイト(どう!?この切り返しにはさすがに罪悪感を感じるでしょう!?か弱い女は男心をくすぐると本にも書いてありましたわ!)
キヨシ「あ!す、すみません!そんな迷惑だなんて・・・僕の方が迷惑をかけてて」
ケイト(そうよそうよ・・・責任感に負われなさい)
キヨシ「僕、汗かいているんで、あなたの良い匂いを汗臭さで覆ってしまっては迷惑かと思って」
ケイト「良い匂いっ!?え、あ・・・」
キヨシ「そうです!この夏の暑い空の下、汗を垂らさずにはいられない僕はあなたにとって天敵!汗の匂いとあなたの良い匂いで勝負したら明らかに僕の汗のが優勢!」
ケイト「は、はい!?あなた、何を言っているの!?」
キヨシ「あなたは男の汗臭さを舐めています!香水は消臭剤じゃない!なら勝負は明らかなんですよ!」ガシッ
ケイト(肩掴まれた・・・力強い・・・って、それより私香水なんかしてないわよ!?)
キヨシ「このままではあなたは汗臭い女の称号を今日手に入れてしまう事になります!僕はそれが許せれない!だから大人しく離れてください!」
ケイト「離れてって言われても・・・その、あなたが私の肩を・・・掴んで・・・いる・・・・・・じゃない」
キヨシ「え!?あ!す、すみません!僕とした事が!」パッ
ケイト「う、うふふ・・・なかなか気の使える紳士じゃない・・・」
キヨシ「いえ!そんなそんな!」
ケイト(なんなのよなんなのよなんなのよ!・・・・・・あれ・・・意外とかっこいい顔してるじゃない・・・)
ケイト「み、見直したわよ・・・」
キヨシ(何を見直されたんだ?僕、この人の事全然知らないんだけど・・・。そもそもこんな状態で千代ちゃんの前に行ったらどんな顔をされるか知らないし、シンゴ達からも殴られるのは免れないし。まぁ取り敢えず面倒事に巻き込まれる伏線は回避できたか)
キヨシ「ありがとうございます!僕なんかを。・・・それじゃ、行きましょうか」
ケイト「・・・・・・ま、待って?」
キヨシ「はい、なんですか?」
ケイト「い、いつ・・・私の匂いを・・・嗅いでいたの・・・です?」
キヨシ(当たり前。男なら感じ取って当然・・・だって!!そんなの・・・そんなの!!!)
キヨシ「可愛い女の子は皆良い匂いに決まってるじゃないですか!!!」
ケイト「!!??」ドキッ
キヨシ「さぁ行きますよ?」ニコッ
ケイト(な、なに!?胸がキュッと縮んだように苦しく・・・)
ケイト「え、えぇ・・・そ、そう、ね」
ケイト(な、なによ・・・可愛いって。もしかして藤野君は私の事好きなんじゃないの!?)スタスタ
キヨシ(やばい・・・ほとんど話したことない女の人に対して変態発言をしてしまった。今日の帰る頃には僕は変態野郎の名の元に入学した頃のような冷たい目線を受けて学園生活を送っていかなければならないんだ)スタスタ
ケイト(このスッキリ凛とした大きな面持ち、なんの迷いもない真っ直ぐな言葉・・・これは決まりだわ。少女漫画でも読んだことがある。・・・・・・藤野君は私が好き・・・!)スタスタ
キヨシ(これは上手く誤魔化して、さっきの言葉を無かったことにしよう。そうするしかない。これは僕の学園生活・・・いや、人生を賭けた博打!)スタスタ
ケイト(どうするの・・・麻里ならこういう時・・・って麻里は関係ないじゃない!)スタスタ
キヨシ(そういえばこの人、男子の中で好きな人がいるんだったっけ・・・そうなると僕は仲間内で対立する事になってしまうんだ。これはどうあっても回避しなければならないな)スタスタ
ケイト(あぁ・・・少女漫画では常に女の子が男の子に惚れるのが定番だわ。この状況は予想だに出来ない展開だわ・・・)スタスタ
キヨシ「あ、あのー・・・」
ケイト「はひっ!?なんです!?」
キヨシ「あなたは猫とかハムスターを見てなんて思いますか?」
ケイト「え?ね、猫?まぁ可愛いと思うわよ」
キヨシ「猫やハムスターは大小あるけど大体と言いますか九割九分の人は見たら愛らしいと感じるんですよ」
ケイト「そうね・・・」
キヨシ「あなたは猫に似てますね」
ケイト「へっえ?・・・・・・・・・・・・ッッッ!?」
ケイト(つ、つまり!私の事が可愛いらしく愛らしいと言いたいのよね!?ベタ惚れじゃないの!?)
キヨシ(どうだ・・・猫の可愛さは世界共通であり、女の人の可愛さもまた同様。女の人は皆可愛いというこの完璧な表現力。これでこの人に限らず皆同様に僕は女の人は良い匂いと伝えれれた!)
ケイト「は、初めて言われたわ・・・私、あんまり可愛いとか言われないというか、そんな馴れ馴れしく言ってくれる人いなかったもの」
キヨシ(やばい!地雷だ!女の人の中では可愛いと言われるのが嫌で、どっちかというと美人って言われる方が良いって人がいると聞いたことある!つまりこの人はそのタイプの人だ!!)
キヨシ「あ、あー・・・でもあなたはどっちかというと・・・美人ですね」
キヨシ(どうだ!?)
ケイト「えっ、ええっ何を言ってるのよ!?」
キヨシ(くっ、露骨過ぎたか・・・これじゃ僕はただの軽い男になっているっ!もしや僕が現状回避の為に媚びている事がバレているんじゃないか!?)
ケイト(顔が熱いわ・・・何これ、万里を見てるような・・・って、だから!なんで万里が出てくるのよ!関係ないじゃない!)フイッ
キヨシ(顔を背けられた!?これはいよいよやばいぞ!表生徒会長命令で名誉毀損及び侮辱の罪で再び独房に入れられてしまうんじゃないか!?そしたら千代ちゃんからの信頼もがたおちしてしまう!それだけは避けなくては!)グッ
キヨシ「あなたは知ってますか?」
ケイト「・・・何をかしら?」
キヨシ「あなたは人を魅了出来る人って事を」
ケイト「突然どうしたのよ!?」
キヨシ(本当に何を言ってるんだ、僕は!?これはあの理事長との対談の時に使った話術。話を合わせながら最終的に関係ない事で話を埋めていく作戦)
キヨシ「人は手が届きそうで手の届かないものを追い求めてしまう。だから憧れの職業に夢見るし、幽霊を一度でも見ようと懸命になる」
ケイト「それが、私とっ・・・な、なんの関係が」
キヨシ「まぁ聞いてください。でも将来も幽霊もあるかどうか分からない。ならなんで手が届きそうと感じてしまうのか」
ケイト(私が魅了!?なによ、なにが言いたいのよ!?)
キヨシ「もしかしたら手が届いてる人がいるかもしれないからです。テレビや雑誌で特集とかしてるじゃないですか」
ケイト「え、ええ・・・」
キヨシ「こんな平凡な僕でも傍にこんな美人を連れて歩いているってだけでも届きそうだと思っちゃうんですよ。だから・・・あなたはとても魅力的に見えてくるんです」
ケイト「ふ、藤野君・・・」キュンキュン
キヨシ(実際にこの人が好きな人が俺の仲間の中にいるんだ。僕にも千代ちゃんという希望がいるのと同様にこの人もそう)
ケイト(ダメだわ。負けた・・・私、この人に・・・)
キヨシ「僕でも思うくらいです!皆もきっとそう思うと思いますよ!!」
ケイト(本で見たわ・・・人から好かれたら・・・好かれた方も好いてくれてる人に惹かれていくって)
ケイト「まんまと術中に嵌ったというわけね・・・」
キヨシ「なっ!?」
キヨシ(この人気付いていたのか!?)
ケイト「乗ってあげるわ。その謙虚な強引さに・・・え、えと・・・清志君///」ギュッ
キヨシ(ダメだ!!完全にバレてる!!)
キヨシ「だ、ダメです!そんなの人前では!」
ケイト「い、いいじゃない!私は人前でも構わないわ!」
キヨシ「僕はそんな姿を周りに見せたくない!」
ケイト(万里に見せつけれる良い機会だわ)グイッ スタスタ
キヨシ「わわっ!?ちょっ待ってください!」ズリズリ
ケイト(勝った!万里に勝った!完全勝利だわ!)ニヨニヨ
キヨシ(やばいやばいやばいやばいやばい!!!)
ケイト「あ、そ、その前に!」
キヨシ「へ?」
ケイト「これは先ほどの契約の証ですわ」ニコッ
チュッ
キヨシ「んむっ!?」
ケイト「ぷぁ・・・・・・ふふ、ふふふふふ!!」
ケイト(・・・あなたは取り敢えず賭けには勝ちましたけど、ここからは私の勝負です)
キヨシ「え?え?え?」
キヨシ(何が何やら全く分かんないんだけど!?)
ケイト「覚悟してなさい!あははははっ!!」
キヨシ(なんだか分からないけど、取り敢えず合わせて笑っておこう)
キヨシ「あっはっははははは!!!」
ケイト「あははははっあははは!!!」
芽衣子「あの2人は何笑っているんでしょう?」
万里「頭がおかしいのよ、見ちゃダメ。ほら早く行くわよ」
芽衣子「わかりました」
お わ り
ちょうど20でキリが良いですね!
ありがとうございました
良いお年を!
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません