ちいさなあんずとてんのほし (20)

みじかーいおはなし
多分モバマスだとおもって書きました

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460810227




枝から落ちた青い杏と、空に輝く星の話。





風に吹かれて枝から落ちた、固くて青い杏の木の実。

地面に落ちてころころと、転がるうちに岩の陰。



「わたしはきっと、このままくさっていくんだろうな。」





そんな時、空から誰か声をかけます。



「ねえあなた、あなたはなあに。」

「わたしはあんず。まだ、あおいけれど。」





続けて杏も問いかけます。



「そういうあなたはいったいなあに。」

「わたしはほし。いきなりはなしかけてごめんなさい、さみしかったからつい。」

「いいよ、わたしもさみしかったから。」





星は一際輝いてこう言います。



「ねえねえ、わたしたち、ともだちになりましょう?」

「それはいい、たいくつしなくてすみそうだ。」

「あなたとあえるのは、おひさまがみていないあいだだけだけど。」

「それでもいい、まっているじかんもきっとたのしいものだとおもうから。」






それからと言うもの、初めてできた友達どうし一夜一夜話をします。



「あなたはどこでうまれたの?」

「たかいきのうえ。あなたほどたかいところではないけれど。」


「あなたはどんなところにいる?」

「くらくてひろい、なにもないところ。」


「あなたはちいさくてかわいらしいわ。」

「そんなことはじめていわれたよ。」


「あなたはきらきらしていてきれいだね。」

「そんなことはじめていわれたわ。」


「わたしたちって、けっこうにているのかもしれないわ」

「そうかな、そうだったらうれしいな」





そして最後にはいつも同じ一言を。



「またあした。おはなししましょう。」

「またあした。おはなししよう。」






だけれど、それもそう長くは続きません。

楽しい時間とは裏腹に少しずつ杏は腐っていきました。





ある日杏は星に言います。



「このままわたしはだめになっていくのかな。」



星は悲しげにちかちか瞬いて言います。



「もうすぐおわかれなのかしら。」

「それはいやだな、せっかくともだちになれたのに。」




今度は優しくぼうと光って言います。



「じゃあ、いつかとおいとおいひに、またともだちになりましょう。」

「それなら、こんどはもっとちがうわたしであいたいな。」

「こんどはふたりできらきらしましょう。」

「わたしににあうかな。」

「きっとにあうわ。まあるいかわいいあなたなら。」

「ありがとう。きらきらしかたは、まだわからないけれど。」

「それならわたしがじめんおりて、あなたのそばでおしえてあげるわ。」

「ありがとう。わたしはちいさいままだろうから、はぐれてしまうかもしれないけれど。」

「わたしがおおきいわたしになって、どこにいたってみつけてあげる。」

「ありがとう。うれしいな。うれしいな。」




また一夜話し続けた友達どうし。

いつも通りのお別れをします。



「またあした。おはなししましょう。」

「またあした。おはなししよう。」




――――――――――――――――――――――――..................


――――――――――――――――――............


――――――――――――......



そしていつかの遠い遠い明日の話。


「あんずちゃーん!起きてー!」

「んん……後5分……」

「んもー、もうすぐライブが始まっちゃうよぉ?」

「えー。今日はもうお休みでいいんじゃない?」

「お客さんたちも楽しみにしてくれてるんだからぁ……」

「キャンディあげゆから、一緒にはぴはぴしちゃお?」

「しょうがないなぁ……ちょっとだけだよ?」

「ありがとー!きらりんもいーっぱいはぴはぴしちゃうにぃ☆」

「じゃ、いこっか」




サイリウムの星空に、隣り合わせできらきら光る、ずっと昔から友達の二人。

ここにいるよと芽吹いた杏ときらりと光る星の話。


おしまい

モバマスだと思って書いてたんです。
読んでくれた人がいたらありがとう。また次もよろしくお願いします。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom