荒木比奈とのデッドライン (68)

モバマス荒木比奈ちゃんと一線を越えたり越えなかったりする話
キャラ崩壊・捏造設定アリ
ちょっぴりセクシャルな話になる

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[4月9日、某マンション 403号室]

[08:02]

んあ……うるさいっスねぇ…電話?

…折角ヒトが気持ちよく寝てるトコロに…誰っスか…って、ああ。

そうでした、そうでした…もうこんな時間っスか。

ふぁぁ…ハイハイ、今出まスよ。少々お待ちくださいね。

もしもし…どもっス、プロデューサー。こんな早くに。

え?プロデューサー的には遅いんスか?毎朝5時出勤?そんなものでスかね。

アタシ的には10時でも早朝なんスけどね…っと。そうそう。

今ソッチのロック解除したんで…アタシの部屋は知ってまスよね。

エレベーター乗って…403まで来たら、一応呼び鈴鳴らして下さいね。

はい、はい、では…また後ほど。

[08:07]

改めておはようございまス、プロデューサー。

ようこそおいでくださいました。

汚いトコでスけど、まあくつろいでいって…え?

マジで汚い?人を呼ぶなら少しは片付けろ?失礼っスね。乙女に向かって。

自分で言う分には良いんでスけど、ヒトに言われると傷つくんでス。

おわかりになられまスか?わからないわ。そうっスか。

まあどうでもいいでス。ほら入って入って…

[08:09]

しかし…新鮮でスね。何がって、プロデューサーの私服でスよ。

海中でもスーツを脱がないと噂のプロデューサーが結構オシャレしてまス。

これ結構驚天動地でスよ?いえいえ、馬鹿にしてません。よくお似合いでス。

…むしろヒトを呼ぶのにジャージ姿の方がどうかしてる?

いやいや、今日はそういうコンセプトじゃないっスか。

プロデューサーももっと楽な恰好で良かったんスよ?

[08:11]

ふぅ……え?

なんで脱ぐのか?そんなの暑いからに決まってるじゃないっスか。

愛梨ちゃんじゃなくても、至極当然の事でスよね。

お陰様で暖房ガンガン焚けて、部屋は快適でス。一枚で十分。

それにジャージ姿はどうかしてるとの事なので。

…無防備過ぎる?この恰好で宅配便とかに出てないだろうなって?

ああ大丈夫でスよ、その心配はいりません。

ここはセキュリティしっかりしてまスし、管理人さんに一旦荷物預かって貰う事だって出来まス。

自分で応対しなくちゃいけない時だって、ちゃんと着込んで、すぐ帰ってもらってまス。

プロデューサーが口を酢蛸にしてアタシの耳にタコが出来るくらい、何度も言われたっスからね。

その辺はちゃんとするようにしました。安心してくれていいでスよ。

え?プロデューサーはいいに決まってるじゃないっスか。

プロデューサーは薄着のアタシに変な気持ち起こしたりしませんよね?

…ほら。だからこの恰好でも安心していいんでス。

…ちょっと屈辱でスがね。いえ、何も言ってないっスよ?

[08:20]

…ん?何スかコレ?誕生日プレゼント…ああこれはどうも、わざわざご丁寧に…

ふんふん…なかなか可愛い服じゃないっスか。プロデューサーはアタシにこういうの着せたいんスか?

コレ着て街中デートとかしちゃったりしたら、リア充っぽく見えまスかね。

結局オタク向けのトコ行きそうでスけど。趣味はやめられないっスね。

行きたいのかッ!?…って…そんな身を乗り出さないで。

残念でスけど、今日はどこにも行きませんし、なのでコレは後日着る事にしまス。

…ええ…そんな心底ガッカリした顔しないで欲しいっス…ああもう、わかりました。

ちょっと試着するだけでスからね。覗いちゃダメっスよ?

フリじゃないっスから。

[08:30]

可愛いって言い過ぎっス。プロデューサーはすぐそうやって褒め殺すんでスから。

ちょっとした放火殺人未遂っスよ。恥ずかしくて顔から焼死しそうなんでス。もう着替えまス。

…今からでもコレ着てどこか行こう?いやいや、だからダメでスって。

ショッピングにも遊園地にも動物園にも水族館にも行きません。

植物園はちょっと魅力的っスけど。人いなさそうでスし。

でもアタシは今日はいつも通り、部屋でだらだら過ごすんでス。

そしてプロデューサーはそれに一日付き合う。

プロデューサーの貴重なオフを、アタシと怠惰に消費してもらいまス。

それが本命の誕生日プレゼントでスよ。

そういう約束でしたよね…ええ、わかればよろしい。

勿論この服も、嬉しいんでスけどね。

聞き分けのいいプロデューサーが喜んでくれるみたいなので、やっぱりコレ着て過ごす事にしまス。

あんまり薄着だと、プロデューサーは真っ直ぐこっち見てくれないでスし。

[08:45]

ふぅ…お茶が美味しい。プロデューサーの淹れるお茶は格別っスね。

よきにはからえ、なんつって。…あたっ!?…スイマセン、調子に乗りました。

しかしプロデューサーは結構アクティブなんスね。私服もそうでスけど…

オフの日は毎回そんなにあっち行ったりこっち行ったりしてるんスか?

はぁ…アタシ達や同僚や学生の頃の友人と飲みに行ったり、スポーツしたり、レジャーしたり…

リア充じゃないっスか。そんな人がよくアタシみたいな日陰者に目を付けましたね。

[08:55]

しかし聞いた感じだと、プロデューサーは人の趣味に付き合うのが趣味って感じでスね。

プロデューサー自身の趣味とかないんスか?マジで一人の時とかどうするんでス?

友達とか周りから全然いなくなっちゃったら、その時プロデューサーはどうやって暇潰すんでス?

…すいません、変な事言っちゃいました。つい色んなシチュ考えちゃうのが悪い癖でスね…忘れて欲しいっス。

…でももし万が一、そんな事になったら…アタシの趣味に、ずっと付き合ってくれていいんスよ。

[09:10]

ムッ…ちょっと失礼しまスね、プロデューサー。そろそろスタミナ溢れそうなんで…

何の話って、アレでスよアレ。知らないとは言わせないっス。

スタミナは過不足なく消費したいんスよ。

一応毎回10万位以内狙ってまスから、こうやって習慣づけとかないと。

おっプロデューサーもやるんスか。2枚狙い?それはそれは…ご苦労様でス。

しかしこうやって集まったのに二人してスマホとにらめっこして…

今時の小学生って、こんな感じなんでスかね。

[09:23]

よし、このまま行けばフルコン…!

…!? あああー!誰でスかこんな時にメッセージ送ってくるのは!?麗奈ちゃんでスか!?

やっぱり麗奈ちゃんでした!あんにゃろう!…ん?

コレ、お祝いのメッセージ、でスね…でスよね?ツン:デレ=9:1くらいでスけど。

いやあ…ちょっと複雑な気分でスけど、嬉しいっスねぇ…

アタシもだいぶリア充に近づけてるんじゃないっスか。

麗奈ちゃんだけじゃなくて、みんな結構送ってくれるんスよ。見まスか?

[09:52]

やっぱり春菜ちゃんはスゴいっスね。

最初は普通のお祝いなのに、いつの間にかメガネの話にすり替わってまス。

あまりに自然過ぎて、気付いたら眼鏡屋のHP開いてました…新たな地平を開いてまスよ。

春菜ちゃんは明日誕生日なんで、気の利いたメッセージ考えておかないと。

それでその前がユリユリ…スゴいっスね。

最初っからBLの話でした。

あまりに不自然過ぎて、気付いたらBL系のサイトを…新たな地平を開くところでス。

それで、遡って…日付変わって最初に送ってきてくれたのが、プロデューサーでスね。

いい大人がガッツポーズ…そこまで喜ぶことでスか?

ちなみに奈緒ちゃんが、微妙にフライングしてまス。可愛いでスよね。

[09:59]

ん?テレビ?ああ点けていいっスよ。

というか自分の家だと思って自由に過ごして欲しいっス。

……ってぇ、この番組、アタシが出てるヤツっスね。

ちょっと恥ずかしいっスよ。やっぱ消してください。録画?ダメに決まってるっス。

うう…もう、そんなマジメな顔して褒めないで欲しいっス…

それに自分と同じ顔が勝手に動いてるのって、微妙に気持ち悪いっスよ…

[10:21]

あー…ダメ。居心地悪いっス。スイマセン、ちょっと原稿の続きやってくるんで…

デッドライン近いんスよ。寄稿するカタチで、遅れるわけにもいきませんし。

テレビ見るなりゲームするなりそこの棚のマンガ読むなり、ご自由にどうぞ。

…アタシが自由過ぎる?あっはっは。

あっソコのクローゼットとかタンスは漁っちゃダメっスよ。

見たら鶴とか八尋和邇とかハマグリみたいに実家に帰っちゃいまスからね。

あとマから始まるアレとかも出来れば遠慮して欲しいっス。

…うるせえ、さっさと行け?ここアタシん家っスよ…さっそく関白気取りでスか?

良い事でス。

[13:48]

この辺で、キリがいいっスね…って。

もうこんな時間っスか…番組が終わるまでのつもりだったのに…

流石にあの優しいプロデューサーも、放置されてプンスカでスかね。

なんでもするから!って言えば、許してくれまスかね…?

哀れな比奈ちゃん先生は、一体何をなんでもされてしまうんスかね…

アイドルとプロデューサーのデッドライン、越えちゃうかも。どきどき、むふふ。

なんつって。

…ん?何やらいい匂いが、する、よう、な…。

[14:01]

ほうほう。ほうほうほう。スゴいっスねコレ。

プロデューサーが作ってくれたんスか?ありがとうございまス。

美味しそうなイタリアンでスね。イチゴとかも使ってないでスし。

ウチにお嫁に来て、毎日作ってくれまス?

…それを言うなら婿だろ?お婿さんなら来てくれるんスね?

あははっ、わかってまスよ、言葉の綾ってヤツでスよね。桐野さんは関係ないっスよ。

ふむふむ…カプレーゼ、プッタネスカ、ラム肉のアップルソース、プリン…

狙いましたね?ソッチの荒木じゃないっスよ。

アニメ楽しみっスねぇ…。

今度こそ奈緒ちゃんも引き摺りこむっスよ!

[14:10]

ふむふむ…うん、美味しいっス…

……ん?

プロデューサー、なんで微妙に残念そうな顔を…ああ。

アレ、期待してるんスか?いやいやそんな…

アタシはグルメリポートとかできないし、全身から発光して大阪城になったりしないっス。

期待しても無駄無駄。やりませんって。フリとかでなく…


[14:11]

ゥンまああ~い!

[14:12]

…どうっスか。ご満足頂けたっスか?

その顔を見ると、サティスファクションしたみたいっスね…

劇画調にまでなった甲斐があったっス。

じゃあ食事の続きを…ん?

プロデューサー、そのスマホは…まさかその…今の、撮ってたり?

け、消してください、今すぐ…!

一発芸とかにもしません!プロデューサーだから見せたんスよ!?

[14:58]

まったく、プロデューサーは、まったく…。

…ご馳走様でした。

美味しかったっスよ。料理の味もそうでスけど。

スロウフードって言うんでしたかね。カタカナにするとぶん投げちゃうみたいでスけど。

普段はインスタントー、お弁当ー、アイスだけー、ゼリーだけー、って…

忙しくて面倒がって、パパッと済ましちゃってまスから…

こんなに食べ物について考えて味わうの、久しぶりでス。

それに何より、言うじゃないでスか、何を食べたかより誰と食べたかだって。

だから、一流の名店にも劣らぬご馳走でス。行ったことないっスけど。

プロデューサーはアタシを満足させる天才シェフっスよ。お抱えしたいっス。

[15:20]

手伝おうって意欲はあるんスよ。

ただ何から手をつけていいかわからないウチに、他の人はドンドン仕事見つけて…

結果自分の仕事がなくて、サボってるように見えるだけなんでス。

つまりプロデューサーが皿洗いの手際が良すぎるのが悪いんス。

わぷっ…急に頭撫でないで…ビックリするじゃないっスか。

…別にやめろとは、言ってないでスよ?

んっ…ふふっ…

[15:25]

食べてすぐ寝たら、牛になる…どうなんでスかね。

雫ちゃんみたいな都合良い体型には、ならなさそうでスけど。

まあいいっスよね。ちょっとくらいだらしないお肉ついてた方が、プロデューサー好みでしたよね?

お酒の席で言ってたそうでスよ…人の口に戸板は立てられませんし、酔っ払いなら尚更っス。

気を付けた方がいいでスよ?もう事務所全体に広がってるでしょうけど…。

…何故か疲れた顔してまスね。じゃあプロデューサーも横になっちゃいましょう。

午後の惰眠は最高でスよ。働き者のプロデューサーも杏ちゃんになること請け合いっス。

[15:28]

近い?そんな事ないっスよ?

だってアタシとプロデューサーは、線で引かれたみたいに、指一本触れあってないんでス。

この線は無限より遠いと言って、差し支えないでス…アイドル世界の悲惨の線でス。

…あ。いっけね。忘れてたっス。

すみません、ちょっとスタミナ消費するんで…ああ、溢れちゃってる…

え?何もおかしい事なんかないっス。

背中に目はついてないっスからね。

たまたま見えないまま無意識に背もたれにしたのがプロデューサーのお腹だっただけでス。

事故でスよ、事故。結構がっしりしてまスね。

[15:32]

イベントも終わっちゃって、再録までプレイできないでスけど…

アタシはあの曲、好きでスね…楽しいでスし、可愛いでスし…

…背もたれさん、もうちょっと、深くもたれまスね…ふふっ…

アーターシだけの、とっけん、とっけん…♪

こーえーたら駄目、いっせん、いっせん…♪

…なんちゃって。

デッドライン、越えちゃダメ、でスよねぇ…。

[16:45]

んあ…あ、プロデューサー、おはようございまス。

ふああ…結構寝てたっスね…でもコレは、夜寝れなくなるパターン…

あっそうだ!プロデューサー、あれ言ってくださいよ。アレ。

『今夜は寝かさないぜ!』。ハイ、復唱して、どうぞ…

…ダメっスか?お堅いっスねぇ…誰が聞いてるわけでも、ないでしょうに…

え?スマートフォン?録音?何の事か、わからないっスねぇ…

[16:47]

ん…寝癖?ああ…カーペットの上に、雑魚寝でしたからね…

じゃあいつもみたいに、プロデューサーが直してくれまス?

…ふふっ、そうそう、やっぱりアタシより、プロデューサーの方が上手いっスね…

…このくらい、自分で出来るようになれ…?

………………………。

…そんな無体な…こんなの、一人で再現できる気しないっス。

[16:58]

ああ…ところでプロデューサー。

ちょっと録画してて放置してたアニメがありまして…

一人だとなかなか、見る気力が湧かないんで。

一緒にみてくれまス?そう、ありがとうございまス。

じゃあ6本程…え?多い?

はっはっは。だから言ったじゃないでスか。

溜めすぎて一人だと見る気力湧かないんスよ。

なつやすみの宿題みたいなモンでス。

[18:22]

…ん?なんでス、背もたれさん。

退いてくれ?そんなの嫌に決まってるじゃないでスか。

折角座り心地が良いのに、わざわざ降りるわけないっス。

それよりいい場面っスよ、ちゃんと見てください。

禁じられた関係の男女が、いよいよ…え?

雉撃ち?

そ、そういう事は、早く言って欲しいっス…!

[20:17]

いやぁ…プロデューサーのお陰で録画放置してたアニメ、楽しく消化できたっス。

プロデューサーはなかなか、アニメを見る目があると思うっスよ?

こっちの沼に、一緒にハマっちゃいまス?

…ダメっスか。まあプロデューサー、忙しいでスもんね…。

アタシも、ドンドン忙しくしてくれるんでスよね。

そしたらアニメ見る時間も、どうしても減っちゃいまスねぇ…

…たまになら、一緒に見てくれるんスか?

…言質取ったっス。絶対でスからね。

[20:21]

…それじゃあ小腹がすいたんで、何か食べまスか。ありもの軽くでいいでスよね。

お昼はしっかり摂りましたし、時間も時間でスし…あっ、そうだ。

メロンあるんスよ、メロン。生ハムは無いっスけどね。

切り方わかんないんで放置してたんスけど。

そう言うわけでお願いするっス、プロデューサー。

あとビール飲みましょう、晩酌っスよ、晩酌。車じゃないんでスよね。

それに酔って帰れないなら泊まっていけばいいでスよ。

ダメ?ふぅん…じゃあイイっスよ。プロデューサーの分もアタシが飲んじゃいまス。

酔い潰れちゃったら、その時はお願いするっスよ。えへへ。

[21:06]

えっへっへー…いい感じに、ほろ酔いでスよー…っと。

はぁ…。

もう、残すところ3時間でスか…早いっスよ。まあ当たり前でスけど。

日がな一日ダラダラしてただけっスからね。

でもたまにはこういうのもいいんじゃないっスか?

何て言うか、空虚なのに、充実感があるっス。

自分でも良く分からない事言ってると、思うんでスけど。

…プロデューサー、アレ、ちゃんと持ってきましたよね。

それじゃあ、本日のメーンイベント、いっちゃいまスか。

[21:13]

プロデューサー、入りました?ええ、わかりました。

それじゃあ先に、シャワー出しといてくださいっス。

あったまるのに、ちょっと時間かかるんで。温度は安定するんスけどね。

…脱衣所開けないでくださいよ。今アタシすっぽんぽんでスからね。

フリじゃないっスよ。フリじゃないっスから。

[21:15]

カポーン…って、声に出して言うととマヌケっぽいっスね。

まぁ取り敢えずそれだけでお風呂に入ってるってわかる、秀逸な擬音でスよ。

よく使わせてもらってまス。

…しかし水着でお風呂に入るのって、なんか変な感じっスね。

プロデューサーの水着ってのも、レア過ぎまス。

やっぱり海でもスーツってのはデマだったんスか?川ではスーツでしたけど。

デマじゃない。そうスか。何やってんスかアンタ。

[21:19]

ふんふんふん、泡泡~♪いつぞやの仕事を思い出しまスねぇ。

泡まみれっスよ、プロデューサー。

いつもは頭撫でられてばっかりでスけど。

こうやってプロデューサーの頭わしゃわしゃーってするのも悪くない気分っス。

なんか征服感ありまスね。

プロデューサーも征服感、感じてるんスか?そんな事ない。そうっスか。

そしたら次は、背中流しまスね…ふんふん、結構たくましいっスね。大人の男って感じでス。

この背中に社運とか、ゆくゆくは家庭とか背負うんスねぇ…。

力も強そうでス。本気出したら、アタシなんて歯が立たなさそうっスね。

プロデューサーが乱心したら、勢いそのまま征服されちゃいまスよ。

[21:25]

セーフでス。セーフでスって。

酔ってまスし、メガネも掛けてないからよく見えないんス。

プロデューサーも頭泡だらけで目も開けられないんス。

つまりアタシ達は何が起きてるかわからないんス。わざとじゃない、事故っス。

仮に見えない手がアタシの身体中を這いまわっても、それは偶発的なもんでス。

それに水着着てまスしね。

アイドル的にセーフ。デッドライン、越えてません。

んっ…ふふ、おや、何事でしょう…何かがアタシの髪を洗ってくれてまスね…

親切さんでスね。小梅ちゃんのお友達でしょうかね?

…やっぱりアタシより、いい感じに撫でてくれまスね…征服、征服…

んン…、いたずらっ子でスね。ドコ触ってるんスか?

やめろとは言ってませんよ?

いえ、事故でした。事故ならやめようがないんス。

もっと続けろください。

[21:31]

もっと寄って下さい。狭いんスよ、この湯船…そうそう。そんな感じ。

いやぁ…いいお湯でスねえ…いい感じにぬるいっス。

んひゃっ…あっ…

…いえ、いいんスよ。謝らなくて大丈夫っス。

湯船が狭いせいでス。身じろぎした時に、たまたま手が当たっただけ。

プロデューサーがアタシにボディタッチしたかったわけじゃないんスよね?

でスよね。それはそれでムカつきまス。理不尽?そんな事ないっスよ。

罰として…こう。

両手をアタシのお腹の前で交差させて…これなら、変な所触れないっスよね。

でも悪い手でスから、アタシの手で包んで、抑え付けときまス。…ゴツゴツしてまスね。

アタシ貧弱でスから、プロデューサーならなんなく振り解いちゃうでしょうけど。

[21:33]

…いえ、違いまス。背もたれさんでしたね。なのでもっと寄り掛かりまスよ。ぐぐっと。

良い感じに硬くて暖かくて、背中にフィットする感じ。

いい椅子でス。ちょっと手放せないっスね。

それにマッサージ機能までついてるってんでスから。

…マッサージ機能までついてるんでスから。

…マッサージ機能!

…ふふっ、そう、そうでスよ…あー…気持ちいいっス…

太ももとかもっと、重点的にお願いしまス…

[21:40]

…ん?

おやおや、おかしいっスね。

マッサージアームは二本だけ。

右のは前から回って左肩を揉んで、左のは右の内腿の血行を促進してくれてまス。

じゃあどうやって腰あたりをマッサージ、してくれてるんでスかね?

謎でス。実は隠された3本目の腕があったり。これは調査が必要っスね。

すりすり。すりすり。っと。

ふんふん…お湯よりアツい気がしまスね。

ぐりぐり。ぐりぐり。っと。

なんでしょうね。ちょっと硬いような気もしまス。

おや、やめて欲しい?そうでスか。まああんまり探りまわるのも、無粋でスよね。

[21:43]

…交代っス。ちょっと向き変えますね。よいしょっと…

ん?ああ、されてばかりは良くないと思うんで。

アタシもマッサージチェアさんをマッサージするっスよ。

おや、この防水マッサージチェア、心なしかプロデューサーに似てる気がしまス。

眼鏡無いし、湯気で見えないんで、きっと気のせいなんでしょうけど。

あ、ソッチも手は休めちゃダメっスよ。ちゃんと責任果たして下さいっス。

[21:46]

まずは腰かける部分から。まるで人間の太腿みたいっスね。独特のデザインでス。

…ゴワゴワしてパンパンでス。日頃から歩き回ってるんでしょうね。お疲れ様でス。

自走式マッサージチェア。晶葉ちゃんあたりが作ってそうでスが。

ソッチは肩揉んでくれるんスか。

まあそうでスね、今日も原稿作業しましたし、ちょっと凝ってまス。

お互いたっぷり揉み解して、血行取り戻しましょう。

[21:55]

次は背中から腰にかけて。お互いデスクワークが多いでスからね。

…マッサージチェアでデスクワーク?いいじゃないっスか…

今度検討して見ましょうか。作業しづらいっスかね?

ほうほう、硬くて弾力があって…相当凝ってまスね…揉み応えがありそうっス。

コッチは優しくお願いしまスね。背中弱いんスよ、フリとかじゃないでスから。

ひゃんっ…って、だから言ったじゃないっスか。

言う事聞かないヒト…じゃない、椅子でス。こうしてやりまス。

ふふっ、変な椅子っスね。なんか鼓動が聞こえる気がしまス。モーターでスかね?

[22:08]

じゃ、今度は肩でス。やっぱりここが凝りまスよね。

疲れ目から、肩が凝る…人間の身体って不便でスよねぇ。

おっと…椅子の身体もでした。

そう言えばこの間…聞いたっスよ。

杏ちゃんにしこたまアイス食べさせた時みたいに、

幸子ちゃんにしこたまブルーベリー食べさせたそうでスけど。

誰かさんも食べたらよかったんじゃないでスか?多分疲れ目に効きまスよ。

…やめときまスか。この話。

あんまり疲れ目の話とかすると、あの子が窓から『にゅっ』ってしそうなんで。

『そんなアナタにブルーライトカットですよ!』とか言って。ココ4階でスけど。

科学的な根拠あるんスかねアレ。

[22:09]

ああそうそう。

太腿はさっきたっぷり揉んで貰ったんで、もうちょっと上の方お願いしていいっスか?

そう、もうちょっと上…もっと、もっと…そう、その辺り。付け根あたりお願いしまス。

ふふっ…けしからん手でスね。ちょっと行き過ぎ。

デッドラインぎりぎり、グレーゾーンでスよ。まぁいいでスけど。

…何故か視線を感じる気がしまスね。主に胸のあたりに。気のせいでしょうけど。

たまたま目のような模様の高さと一致しただけでしょう。自意識過剰でスね。

[22:16]

はい、お疲れさまでス。

じゃあ最後に、この顔みたいな部分をマッサージしちゃいまスよ。

うりうり。うりうり。

キツネー、タヌキー。

ネコみたいに、顎の下弄っちゃったり。

ああ、ちょっと怒ってまス?

眉間の皺、伸ばしちゃいまスね。…ん、ふふふっ…

[22:18]

しかし面倒な部分でスね。手が足りないっス。

両手が塞がってて、真ん中下あたりに全然マッサージできません。

…仕方ないから、コレも使っちゃいまス。

大丈夫っスよ?コレだってちゃんと、マッサージできるんでスから。

ほっぺたを両側からこう…、ははっ…変な顔でス。あっちょんぶりけ。

ちゅっちゅちゅっ、ちゅーちゅちゅちゅ、チューリップ♪

なんつって。

ほら、動かないでくださいね…

ンッ…

[22:20]

…なんで止めるんスか、プロデューサー。

は?マッサージチェア?何アホな事言ってるんスか。

酔ってる?酔ってまスよ。それがなんでス?

…もう誤魔化さなくたって、いいでしょう。うんざりしてきたっス。

ここまでさせといて、今更アイドルとプロデューサーも無いじゃないっスか。

一線引いて、ギリギリの関係を保ってるつもりでスけど。

アタシ達二人の勝手に決めたデッドラインなんて、傍から見たらガバガバのふしだらでスよ。

でも今日は、どうせ誰も見てないんでス。

越えちゃいましょうよ、一線、一線。

[22:21]

ねえ、プロデューサー。

プロデューサーに毎朝起こして欲しいっス。一人だといつまでも寝てたくなるんで。

プロデューサーに身だしなみ整えて欲しいっス。一人だとだらしなくていいやってなるんで。

プロデューサーとお話したいっス。液晶越しの会話は味気ないんで。

プロデューサーにご飯作って欲しいっス。一人だと適当に済ましちゃうんで。

プロデューサーとお酒飲みたいっス。一緒に酔っぱらって、本音で話したいんでス。

プロデューサーとゴロゴロしたいっス。隣で寝てくれると、安心するんでス。

プロデューサーに趣味に付き合って欲しいっス。一人上手な趣味なのに、最近一人じゃ寂しいんスよ。

プロデューサーが好きでス。キスしたり、触れ合ったりしたいっス。

[22:23]

日陰者のくせに、お高い女って思いまスか。

でもプロデューサーは、そんなアタシに目を付けて引っ張り出したんス。

ちゃんと責任取って欲しいんスよ。そうしたら…そうですね。まずは…

…あははっ、外しちゃいました…まぁ、そこまで大したもんでもないんでスけど。

プロデューサーがガン見してたコレ、好き放題していいっスよ。

そっちの手も、もっと上をマッサージしてもいいでス。

布の間から手を突っ込んでもいいでスし、邪魔なら取っ払ってくれてもいいんでス。

デッドライン、越えちゃいましょうよ。

正直ちょっと期待して、アタシん家まで来たんでスよね?そうじゃなきゃ困りまス。

プロデューサーのソレも、窮屈そうでスし。

しかし沙理奈さんからもらったアレ、サイズ合いますかね…?

まぁ合わなきゃ合わないで、構いませんけど。

[22:25]

ねえプロデューサー。

アタシ、プロデューサーが好きでス。どうしようもないんでス。

プロデューサーのモノにして欲しいっス。薄い本みたいな事しても、大丈夫っスよ。

新たな地平を開きましょう。最初は流石に、優しくして欲しいっスけど。

プロデューサーのお嫁さんにして欲しいっス。密かに憧れてるんでスよ、ウェディングドレス。

家事とか全然自信ないっスけど、プロデューサーと一緒に頑張りたいっス。

プロデューサーと同じお墓に入りたいっス。…ちょっと重いっスかね?

このままこの汚い部屋で一人で寂しく死ぬのかなって思うと、たまにゾッとするんでスよ。

[22:28]

ねえプロデューサー。

すみません。

これがアタシの、ギリギリの勇気でス。

プロデューサーの方からデッドライン踏み越えてくれないと、もう身動きできないっス。

アイドル楽しいでス。

アイドル仲間のみんなも、スタッフの皆さんも、ファンの皆さんも…それから家族も。

アタシを応援してくれて、凄く嬉しいんでス。

あんなに誰かに必要とされるのって、初めてだった気がしまス。

自分の努力があんなにキラキラ実るのも、初めてだった気がしまス。

アイドル、やめたくないでス。

でもプロデューサーに必要とされたら、自分の努力、投げうてまス。

プロデューサーに求められたいんでス。不実でスよね。

[22:30]

ねえ、プロデューサー。教えてください。

アタシどうすればいいっスか。

プロデューサーはアタシを、どうしたいっスか。

この線を、一緒に越えてくれまスか…

………………………………

……………………

…………

……

[23:50]

……

…………

……………………

………………………………

…んあっ…アレ?ここドコっスか…アタシのベッド?

おやおや、とうとう一線を…しかも寝てる間にとは早速アブノーマルな…

…って、そんな様子は無いっスね。

…そうでス確か、アタシのぼせて…うっっわぁ。

やっぱりアルコールでスかね…。

ぬるま湯とは言え、長く浸かり過ぎましたか…まったく。

プロデューサーが介抱してくれたんスね。ありがとうございまス。ちっ。

え?怒ってまスよ。そりゃ。あそこまで言って、なんでスこの有様は。

恥ずかしいにもほどがあるじゃないっスか。

プロデューサーもプロデューサーでス。

寝込みを襲うくらいの甲斐性は見せて欲しいっスね。

…冗談、冗談っス!そんな怒んないで欲しいっス!

[23:54]

ああー…もう日付、変わっちゃいまスね。誕生日終わっちゃいまス。

プロデューサー、これもデッドラインでスよ。

シンデレラの魔法じゃなくて、アタシが勝手に決めた奴っスけど。

この〆切を破ったら、もう暫くこういうチャンスは無いって思ってください。

どうっスか、ちょっと勿体ない気がしませんか。

湯上り比奈ちゃんに手ぇ出したく、なりまスよね?

…はぁ、ダメ。アイドルに手を出すプロデューサーはいない。

のぼせた酔っ払いに手は出さない。明日も仕事、朝早い。もう帰る、と。

言い訳っスー!それ言い訳っスよー!

料理はできませんけど!据え膳は用意したんスよ!?

食わず逃げは、よして欲しいっス!恥かかせないで欲しいっス!

[24:00]

あ、あ、あー…日付、変わっちゃいました…

…あなたならどうする?最低だった…。

このヘタレ。むっつり。逃げ腰。コスプレマニア。

フン、もういいっスよ。早く帰ればいいんじゃないっスか。

ここじゃない自宅に、帰るといいっス。

機会を逃しましたね。折角自宅が二つに増えるトコだったのに。

じゃあアタシは春菜ちゃんの誕生日メッセージ考えなくちゃいけないんで。

お疲れ様でした。お帰りはあちらでス。

…ん?

…頭撫でれば機嫌が直ると思ってるなら、大間違いっスよ…

…んふふ…でもお見送りくらいは、してあげるっス。

[24:05]

うひゃあ、流石に夜は冷えまスねぇ…ジャージだけじゃ心許ないっス。

プロデューサーも風邪ひかないようにしてくださいっス。

アタシ?勿論気をつけまスよ。もう耳タコ、ペンダコでス。

プロデューサーもそんな口酸っぱくして言ってたら、タコみたいでスよ。

スミ噴くトコでス。アレ口じゃないらしいっスね。ちゅーちゅータコかいな。

はい、はい、それじゃあ…明日もよろしくお願いしまスね。

ええ、ソレじゃアタシ部屋に戻りますね…寒いんで。それじゃ。


[24:07]

…あっそうだ、プロデューサー。ちょっと待って!

[24:08]

…へへっ。事故でスよ、事故。

呼び止められて振り返ったプロデューサーのすぐ後ろに、

背伸びした酔っ払いがタコみたいな口して立ってただけっス。

出会い頭の、不幸な事故なんスよ。だからセーフ。

これからもアタシたちは、アイドルとプロデューサーでス。

ね?ええ、わかればよろしい。

物わかりのいいプロデューサーは大好きでスよ。

[24:10]

ねえ、プロデューサー。

実はアタシ、結構〆切破るんスよ。自由なスケジュールで生きたい方でスからね。

マンガとかアイドルなんかの好きな事は、出来るだけ守るようにしてるんでスけど。

特になつやすみの宿題とかのやる気出ないのは、放置しちゃったりしまスね。

だから割とどうでもいいと思ったら、デッドライン軽視しちゃう傾向があるかも知れないっス。

…言いたい事、わかるっスか?

わからないっスか。フリっスよね。それも。

ずるいヒトでス。

[24:11]

ええ、なんかもう、どうでもよくなっちゃったんでス。

これからはもうガンガン、境界線踏み躙っていくんで。

…アイドル?もちろん続けたいっスよ。

なのでアタシにアイドル続けさせたかったら、プロデューサーはのらりくらり躱して欲しいっス。

曖昧な線引きの上で、二人で綱渡りダンスっスよ。

踏み外したらプロデューサーもアイドルも続けられなくて、真っ逆様。

ふふ、そんなメチャクチャなって顔しないでください。

導火線に火を点けたのは、プロデューサーなんスから。

…だからこの線が燃え落ちるまで、末永くよろしくお願いしまスね。



…お休みなさい、愛してまスよ、プロデューサー。

以上になります。

荒木先生とPのギリギリの関係を見たいって妄想をこのようなめでたい日に垂れ流すのはどうなんだって感はありますが、
何はともあれ誕生日おめでとうございます

HTML申請出して参ります。

あと別に『ずっと独り言言ってる』とか『クローゼットの中に何があるの』とか『吉良吉影』とかそういう事はありません
お読みくださった方、ありがとうございました

特訓前ホーム画面を眺めながら書いた癖に部屋番号を間違えるマヌケがいるらしいぞ。
正しくは403号室⇒302号室、4階⇒3階だ。

いやホントにすみませんゆるしてなんでもしまむら

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