男「SSを書いたから読んでくださいよ」 女「えすえす?」(71)

男「会話形式で進む活字のお話のことでございます」

女「小説とは違うの?」

男「地の文を抜いてるから読みやすさが桁違いでして」

女「小説と比べると、なんだか発泡スチロールみ」

男「SSを書いたから読んでくださいよ!」

女「仕方ないなあ……。ちなみにジャンルは?」

男「ジャンルはね、>>2だよ」

ギャグありお色気ありシリアスありの王道ラブコメ


男「ジャンルはね、『ギャグありお色気ありシリアスありの王道ラブコメ 』だよ」

女「ん?」

男「『ギャグありお色気ありシリアスありの王道ラブコメ 』」

女「え?」

男「だから、『ギャグありお色気ありシリアスありの王道ラブコメ 』」

女「あ……うん。」

男「え、何その反応。急に冷めた感じの相槌はやめましょうよ」

女「ラブコメでまとめればいいのに、なんか事細かな設定まで言い出したから……」

男「まるで僕がまだ書き終えた余韻で浮かれてるみたいな言い方はやめて」

女「『ギャグありお色気ありシリアスありの王道ラブコメ 』」

男「オウム返しでこんなに傷つくなんて初めて!」


女「しかもよく異性に向かって『お色気あり』と言えたよね」

男「……」

女「よね?」

男「正直書き終えた余韻で浮かれてましたごめんなさい」

女「それはさておき。創作趣味なんて持ってたんだね」

男「読んでるだけじゃ物足りなくなりまして」

女「この物語に読書の成果を集約したと」

男「それが無駄な時間ではなかったことを証明しますとも」


女「そこまで自信たっぷりなら読みましょうとも」

男「どうぞどうぞ」

女「……ほう。舞台は>>6でございますか」

男「王道ゆえに。王道ゆえに」

ミスん
>>8

ファンタジー


女「無難に学校で良かったのでは?」

男「ファンタジーに制限はないんですよ。想像の幅が無限大なんですよ」

女「つまり、攻めたんだ」

男「小馬鹿にするでない。まだ物語は動いてないんだ」

女「主人公の性別は>>10なんだね」

男「ちょっとだけ攻めてみました」

女「性別で攻めるとかちょっとよく分かんないです」

なんか女さんにディスられてる気がしてかなC

なきにしもあらず

再安価↓

>>12
ども


男「コンセプトが王道ラブコメですからね。主人公は男でなきゃ」

女「無難よね」

男「攻めたんです。王道だからこその男なんです」

女「書き上げた努力に免じて信じましょう」

男「あ、これ8割方興味ない人の返事だ」

女「……なんでこの主人公はずっと1人で喋ってるの?」

男「台本形式の弱点だよね。弱点というか日常風景。むしろ様式美」

女「様式美……。サイコなスプラッタ系に変わったりしない?」

男「主人公は病んでるわけじゃないよ。大丈夫だよ」


女「おや。主人公が家を出たね。ファンタジー」

男「そこは別にファンタジーでは」

女「ん?」

男「いえ。なんでもないです。ファンタジーだね」

女「ファンタジーだよね」

男「僕の想像力を下に見過ぎてやいないですかい?」

女「ファンタジーで王道ラブコメ。魔王とイチャラブして終わりそう」

男「……」

女「終わりそう」

男「エンディングの可能性を潰しにかかるのはよそうか」


女「ちなみにこれは学園もの? 冒険もの?」

男「焦らずとも続きを読めば自然と見えてきますよ」

女「私は、小説だと最初に50ページあたりを開いてから全体の感触を掴む派です」

男「味見と称してピザのサラミをつまむ派ですか」

女「近からず遠からず。だから先に教えて。じゃないと先にラストを開いちゃうよ」

男「なにその作者のプライドを傷つける脅し文句」

女「どっち?」

男「いいけどね。教えるけどね。>>19だけどね。>>19だどさ……ぐすん」

冒険


女「冒険モノ! 好きだよ! 私に読ませるというのにハードルを上げたね!」

男「やっぱり読んでもらう人の好きなジャンルを書くのが楽しいからね」

女「ちょっとだけ見直しました」

男「ありがとうございます」

女「言ったそばから主人公が魔王討伐と意気込んでる」

男「だから言うほどでもなかったんだけどね。いいですけどね」

女「オーソドックスに王様に会いに行くんだね」

男「攻めてるんだよ」

女「お城を?!」

男「違うよ?!」


女「ストーリー的に攻めてるって意味ね。ちょっとびっくりしちゃった」

男「そのわりにはなかなかの速度で僕を見ましたよね」

女「だってびっくりしたから」

男「ラブコメ以外にも王道やってるから安心して」

女「勇者が人間界征服エンドまで読んでたから、まさかと」

男「勇者がそんなまさかと」

女「装備が心許ないけど故郷を発ったね」

男「まだへんぴな村だもの」


女「城下町に着くまでは襲ってきたスライムをひねって絞ってこねるだけの道中でした」

男「読みごたえが出てくるには早いもの」

女「城下町の賑やかさに感動してる……さすがは田舎者」

男「田舎者だけど勇者だから気を遣ってあげて」

女「さすがはおのぼりさん」

男「もうひと揉みほしいやわっこさ」

女「勇者が苦渋の決断でなけなしの小銭をはたいてパンを買うの?」

男「田舎と都会の物価の差にカルチャーギャップだよね」

女「ここだけ妙なリアル感」

寝るわけじゃないよ
8時間だけ休憩をもらうだけだよ

>>25
最初の仲間の職業

>>26
最初の仲間の年齢

>>27
最初のダンジョン
森or洞窟or棟orその他(自由回答)

巫女

27歳

神社


男「共感を生むと主人公に感情移入しやすいと知っていたので」

女「まさか初手に財政面からのアプローチが来るとは思わず」

男「感情移入は?」

女「おのぼりさんに同情が少し。……おや?」

男「ふふん。嬉しい反応」

女「王様に会う前にイベントのかほり。物乞いさんと遭遇するんだ」

男「彼女もまたお腹を空かせていたのです」


女「『綺麗な人だ。まず目が奪われたのは、腰の高さまで伸ばされた艶のある黒髪だった』」

男「お?」

女「『日陰に立つ彼女の肌は白く、まるで太陽を避けて生きてきたように思える』」

男「うんうん」

女「『陽の光でさえも彼女にとっては毒であるとも思えてしまうほどのか弱さを感じさせた』」

男「見えた」

女「……すごい」

男「どうですかね。僕の表現力は」


女「これも全部ひとり言なんだ……すごい」

男「ひとり言……う、うん。そうだね」

女「すごいひどい。色々とひどい。残念」

男「酷評!」

女「ここは何を想像して書いたの?」

男「27歳の空腹巫女さんが街角に立ってたら可愛いかなと」

女「何をっていうのはそういうことじゃ27歳?!」

男「あ、その意表を突かれましたの反応大好き」


女「ファンタジーだよね?」

男「ファンタジーですよ」

女「なんでファンタジーに巫女が出てきたの」

男「書き手の想像力を出し惜しむことなく発揮できるファンタジーだからさ!」

女「ファンタジーって言ったら普通は剣と魔法の世界で」

男「攻めてみました」

女「ああ、はい。そうでしたね。私が忘れてました」


男「それに27歳にもきちんと理由があるんですよ。僕が好きなポイントね」

女「……年上が好きなの?」

男「好きの意味合いが違いまして。布石の置き方的な意味でね」

女「そっちだったか。驚かせて、ですが実は……みたいな」

男「そうそう。それそれ」

女「女の魔王を浄化するためにお神酒をかけたら酔っぱらちゃって……」

男「それはなに?」

女「あふんエンド」

男「潰しにかかるのはやめようか」


女「あらら。勇者が巫女にパンを奪われちゃったけど」

男「一瞬の隙も生命の危機に直結するのが都会の怖いところだよね」

女「陽の光にも負けそうな巫女にパンを奪われる勇者は何に勝てるの?」

男「スライムには勝ってたよ。ひねって絞ってこねて」

女「パンを奪った巫女を恨むでもなく困っていそうだから相談に乗るんだ」

男「勇者は器の大きい生き物だからね。世界の救世主たるゆえん」

女「『神社が魔物に乗っ取られて困ってるので助けてください。お礼は沢山します』」

男「巫女さんのここの台詞はね、涙目で勇者を見上げて言ってるんだ」


女「パンを奪っておきながら涙目で懇願するとか人間性を疑うレベルだけど」

男「可愛いから仕方ないよね。勇者も許すしかなくなっちゃう」

女「お礼は沢山しますと乞われて胸に目が行く勇者も同レベルにアレじゃない?」

男「お色気路線の軽い軽いジャブを使ってみました」

女「……あのさ」

男「なに?」

女「このお話を読み終わったらでいいんだけどね」

男「うん」


女「私もなにかお返しがしたいなって思ってるんだけど」

男「女らしからぬ殊勝なお言葉。嬉しいけど」

女「どんなことすればいいかな?」

男「それは……いや、特にはいいかなあ」

女「やっぱり私の胸にも目がいくんだ」

男「種の本能に従った条件反射だと思います。条件反射だから望みも求めもしません」

女「なんかイラッとしたから読み終わったらお仕置きね」

男「ちょっと理不尽」


女「相談に乗ったらそのまま城下町を出ちゃうんだ。王様は?」

男「謁見よりも人助け。ヒーローは利己主義よりも利他主義でないと」

女「……ん?」

男「どこか気になった部分あった?」

女「いや……うん。まあ……んん?」

男「誤字脱字くらいなら大目に見てもらえたら嬉しいです」

女「なんでファンタジーに神社があるの? しかもダンジョン扱いなの?」

男「そこを読み返してたのね」


女「ファンタジーの概念は海外産でしょ。おかしくない?」

男「巫女さんがいるのに神社がない方がおかしいと思わない?」

女「和洋折衷ってことで理解しました。もうすべてを受け入れて続きを読みます」

男「序盤も序盤からの寛大な心遣いに感謝いたします」

女「それにしてもあっけなく魔物の巣窟にされる神社って……」

男「巫女さんは職業なだけで中身は人間だもん。勝てない勝てない」

女「勇者は?」

男「勇者は……まだ人間」

女「まだ?」


男「早く続きを読んで、続きを」

女「読むけどさあ。……結界とかないの?」

男「結界なんて便利なものあるわけないじゃん。ファンタジーだよ?」

女「なんで鼻で笑ったの? 叩かれたいの? 叩かれたら痛いんだよ? えい」

男「痛い。痛いです。肩にグーパンチはやめて。可愛い掛け声にしては力こもってませんか?」

女「巫女を仲間にして勇者が城下町を出たね」

男「男女が二人っきりなんて、もうドキドキですよね」

女「……今は?」


男「今? 神社を目指して歩いてるって書いたはずだけど……抜けてた?」

女「え、いや……あったよ、うん。……うん」

男「あった? よかったよかった。なら次を読もうよ、次を」

女「……あい」

男「なんか不機嫌?」

女「ねえ、これ。城下町から出て神社に向かうのはいいけどさ」

男「うん」


女「なんで魔物が跋扈する平原を半日も歩かないといけない距離に建てたの?」

男「民家の隣に立派な神社がドンってあったら逆にドン引くでしょ」

女「百歩譲って半日かけての徒歩に目を瞑ってもよ。でも森の深くにあるってどうなの?」

男「穢れなき神聖な雰囲気が醸し出される最高の組み合わせだよ」

女「思いっきり魔物に土足に踏み込まれて何が穢れなきよ」

男「運が悪かったよね」


女「『この森には曾祖父の代から恐ろしい魔物が住み着いてしまったのです』」

男「特別に運が悪かったとしか言いようがないよね」

女「『ですが、曾祖父と祖父は諦めずにこの神社を建ててくださいました』」

男「何かをやり遂げようとする人間の情熱と努力に胸と目頭が熱くなるよね」

女「これ、人間側が魔物の住処を荒らしてない? 襲撃は因果応報じゃない?」

男「……コロンブスだって新大陸と同時に先住民族のインディアンを発見したんだよ?」

女「コロンブスはインディアンを虐殺したうえに奴隷にして持ち帰ってるわよ」

男「……魔物が住み着く前に神社建築の計画があったから、森は人間の領地でした」

女「最低すぎない?」


男「はいはい! 勇者と巫女のお姉さんが神社奪還に奮迅するよ!」

女「魔物同情ポイントに1ポイント加点ね」

男「そこ、あとで直すから。絶対に」

女「なんで巫女は神社の内装に驚いてるの? 住んでたんでしょ」

男「魔物の力によってダンジョンと化しているからです」

女「なるほどねー」

男「怖がった巫女さんが勇者に抱き着いたときに、顔に胸が当たったのはお色気です」

女「そうですね。そこの説明はいらなかったですありがとうございます」


男「今どこらへん読んでる?」

女「神社に入ってすぐ、ヘビみたいなにょろっとした黒い影が目の前を横切ったところ」

男「なんかね。読んでもらえるのは嬉しいですけどね、黙読されると追いかけづらいです」

女「べつに、書いた本人が改めて読み直す必要なんてないよね?」

男「そこはほら。一緒に読んで一喜一憂や感動や興奮を分かち合いたいじゃない」

女「そう」

男「特にここからが最初の山場だから」

女「魔物と出くわしてるからいかにもよね。森の中だから植物系ですか」


男「次のページからでいいから声に出してもらいたいなあ」

女「ふうん。べつにいいけど」

男「怯える巫女さんの手を握って先導する勇者ってかっこいいよね」

女「私はあまりタイプじゃないかなあ」

男「そうなの?」

女「自分よりしっかりした人だと、付き合い始めたら歩幅を強要されそうだし」


男「典型的な男性タイプは好きじゃないんだね。僕は憧れるけど」

女「男は憧れてもならないわよ。むしろ、なれない」

男「なにそれ傷つく」

女「無理」

男「何故に追撃をしましたか。ほら、次のページに行くよ。読んで」

女「ん。あーあー、こほん。えーっと?」


男「勇者と巫女さんが魔物と戦うシーンだから抑揚と感情を大切にね」

女「『きゃあああっ! 魔物のツルが胸元から服のな――」

男「痛い! 痛い! 肩にグーパンはダメですって!」

女「本当に……あんた本当にマジで……」

男「ごめんね。ちょっとした悪戯心でした。ごめんね」

女「知らない。絶対にだまって読む」

男「もう悪戯しませんので、変な台詞でなければ定期的に読み上げてください。お願いします」

女「……少しでも変だと思ったら読まないから」

男「ありがとうございます」

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