二宮飛鳥「エイプリルフール、か」 (12)
注意
※作者はSS初挑戦
※短い
※デレステから参入勢
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エイプリルフール。
年度の終わりの半日だけ、人々が競うように空言を論(あげつら)う日…。
キミも滑稽だとは思わないかい?
吐くまでもなく、探すまでもなく、このセカイは初めから嘘に塗れているというのに…ってね。
例を挙げるとするなら…そうだね、菜々さんの年れ…うん、やめておこう。
触らぬ神になんとやら、だ。
いや、そもそもボク達の存在自体が嘘のようなものだったね。
光輝く仮面(ペルソナ)を纏い、ファン達にユメとキボウを振りまく虚構の偶像。
それが、ボク達アイドルなのだから。
ステージの上では徹底的に隠されたか弱いニンゲンとしてのボク。その素顔を見ることができるのは、魔法使いたるキミだけという訳だ、ふふっ。
まあ、ボクの場合は然程変わらないのかもしれないけど。
……これでも感謝しているのさ、君にはね。
仮面の下に更に仮面を重ねようとする愚か者(フール)にさえ、君は手を差し伸べてくれるのだから。
…なんだい、その顔は。
「今日はやけに素直じゃないか」だって?
非道いな、ボクだってそんな時くらいあるさ。うん、そうだな…
これもエイプリルフールのツマラナイ嘘の一つ、ということにしておくとしようか。
「下らない事を言ってないで早く帰れ」?…へぇ。
キミは何故ボクが唐突にこんな話をし始めたのだと思っているのかい?
ヒントは、そこに掛けられている時計で十分だろう。
そう、疾うに日付は変わってしまっているよ。キミがそのPCと睨めっこをしているうちにね。
そしてキミの担当アイドルはずっとここで一段落つくのを待っていた、という話さ。
健気だね、涙が出そうだ。
さて、冗談は程々にしておこうか。
ボクはキミが「もう遅いから寮まで送る」と言ったからこうして待っていたんだけど、まさか忘れていたなんて言わないよね?
…うん、ボクも11時前くらいまでは仕方ないだろうと思っていたさ。でも今の時刻はどうだい。
まさかの0時半過ぎだよ。
これは、何かしらボクを待たせた対価を要求してもいいんじゃないかな、と思うんだ。
…ふふ、コーヒーか。随分と安上がりな対価だね。
いや、構わないよ。戴こう。
エスプレッソか…なら、ミルクと砂糖ももらえるかな。
ブラックじゃないのかって?
残念、ボクだって学習するのさ。
それに、無理に背伸びをするよりも自然体でいたほうが格好良いだろう?
ん、ありがとう。
…温かい。
もう春とはいえ、こうも夜更けとなるとまだまだ寒いな。助かるよ。
…………………ふぅ。
御馳走様。さて、そろそろ帰るとしようか。
門限はとっくに過ぎているけど、キミが何とか釈明してくれるんだろう?
お疲れ。まあこんなことはよくあるだろうし、寮長もそこまで口煩くはなかった筈だよ。
さぁ、着いたよ。何もボクの部屋の前まで来ることは無いだろうに…まあいいか。
そうだ、ついでに。ええと、確かここに…ああ、あった。
ほら、これ。あげるよ。僕からの感謝の気持ち、細やかなプレゼントさ。
どうせキミは戻って仕事の続きをするつもりなのだろう?
見事な献身だとは思うけど、あまり無理をして倒れられても困る。
言わずとも理解ってはいるだろうけどね。
「らしくない」?まあ、ボクもそう思うよ。
けど、言っただろう?偶にはそんな時もあるのさ。
…そういえば、まだきちんとエイプリルフールの嘘を言っていなかったな。
ふふ、確かに滑稽だとは言ったけど、参加した方が面白いだろう?
そういうものだよ。
エイプリルフールに言った嘘は決して真実にならないらしい。なら、ボクは…
アイドルを辞めて、ありふれた日常に戻らせてもらうとするかな…なんてね。
それじゃあおやすみ、プロデューサー。また数時間後に会おう。
以上です。
飛鳥が何を渡したのかはご想像にお任せします。
という名目の丸投げ。
アニメで興味を持ってデレステからドハマりしましたが、飛鳥が可愛い。
SSR待ってます。
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