カツ丼屋「ふう…子供に出前頼ませるなよな…」

ｐｒｒｒｒ

カツ丼屋「毎度ありがとうございまｓ」

妹「ラーメンひとつ！！」

カツ丼屋「…」（ウワア…また掛かってきたよ…）

カツ丼屋「お客さん。電話番号掛け間違えてやいませんかね？」

妹「いや」

カツ丼屋「いやって…ここはカツ丼屋だし…」

妹「名前なんだっけ」

カツ丼屋「来々軒ですが…」

妹「ラーメン屋じゃないの！失礼な！」

カツ丼屋「違いますよ！カツ丼屋です！」

妹「……わたしはラーメンが食べたい」

カツ丼屋「ラーメン屋で頼んでください…お願いですから…昼は忙しいんですよ…」

姉「ちょっとラーメンマダー？」

妹「だってさ」

カツ丼屋「だから、うちはラーメン屋じゃないんですって！」

妹「む…」

妹「ちょっと腹たってきたんだけど」

カツ丼屋（それはこっちの台詞だよ…）

妹「あなた名前は？」

カツ丼屋「……イナガキと申します」

妹「覚えてろイナガキ！」

がちゃっ

カツ丼屋「……はあ…」

姉「ねえ妹ぉ…まだ？ラーメン」

妹「待ちなさいよばか姉」

姉「もうお腹すいてんのよ～は～や～く～」

妹「おとなしくしてなさいよ！！」

姉「…はい」

妹「あ、番号違った。これカツ丼屋じゃない」

兄「ただいま～」

妹「おかえりばか兄」

兄「お前はなぜいちいち馬鹿をつけるんだ」

姉「兄～お腹空いたよ～」

兄「は？食べてないのか？」

姉「妹が出前頼んでくれなかったのよ～」

妹「うるさい。じゃ自分でやりなさいよ」

兄「はあ……仕方ないな……うちの店のあまりだけど、カツ丼食うか？」

姉「やったー！大好き兄！」

妹「ふん…」

翌日　昼

姉「お腹空いた…」

妹「なに食べたいの？」

姉「らーめん」

妹「またラーメン？」

姉「またって、最近はずっと食べてませんケド！？」

妹「しょうがないなー。出前でも頼もうか」

ぴっぴっぴっ……

ｐｒｒｒｒｒｒ

カツ丼屋「はい来来軒です」

妹「らーめんひとつ」

カツ丼屋（またこいつか…）

妹「海苔大盛りで」

カツ丼屋「何度も申し上げますがこちらはラーメン屋ではありませんどうかお引取りを」

妹「あ、イナガキ？」

カツ丼屋「そ、そうですが…」（呼び捨てかよ…）

妹「らーめんひとつ」

カツ丼屋「大変失礼でございますが、お客様日本語は理解できますか？」

妹「はい」

カツ丼屋「だったらここじゃラーメン頼めないってわかってるでしょ！？意味がわからないよもう！」

がちゃ

妹「…」

姉「らーめんはよ」

兄「ったく…なんなんだこの客は…」

店長「イナガキなに怒ってんだ？」

兄「いえ、イタズラ電話がひどくて……」

店長「あーそういうのよくくるから相手しなくていいよ。マジになると相手が喜ぶから」

兄「は、はあ…そういうものですか…」

店長「それよりどうだ仕事のほうは？」

兄「いや、まだ電話受付だけなのでなんとも…」

店長「ふむ。いずれは厨房にもいってもらうからな。がんばってくれよ」

兄「は、はい！」

学校

妹友「おはよー」

妹「おはよ」

妹友「休日なにしてた？」

妹「カツ丼食べてた」

妹友「またなんともよくわからない返し方を」

妹「うるさいばか友」

妹友「なんで馬鹿ってつけるのよ！」

妹「ところでさ」

友「うん」

妹「来来軒って聞いてなに想像する？」

友「……らーめん屋？」

妹「でしょ？」

友「いやいやいや、でしょ？って言われても意味がわからないんだけど」

友「ところで」

妹「うん？」

友「おにーちゃんとはどうなの？」

妹「な、なにがよ…」

友「ぷっ。あせっちゃってかわいい」

妹「……」

友「おにーちゃん大好きだもんね～妹ちゃん」

妹「べべべ、別に好きじゃないし」

友「あ、そう。じゃわたしおにいさんにアタックしちゃおうかなー」

妹「なんでよ！！あんなやつ友達いないし馬鹿だし仕事できないし髪の毛2ヶ月ですぐ生えるし最悪だし」

友「冗談よー。ま、なにかあったら相談してよ」

妹「なんだ……冗談はやめなさいよ！！」

友「あんたが言うな」

妹「あ、そうだ。今日の晩御飯なににしよう。ちょっと電話を…」

ｐｒｒｒｒｒｒ

兄「はい来来軒でｒｙ　…あ、やべこれ携た」

妹「らーめんひとつ」

兄「またあんたか……ってなんで俺の携帯番号知ってんだよ！！」

妹「あ、やば」ぴっ

兄「あ、おい！」

つーつーつー

兄「ストーカー…？？」ぶるるっ

ゆーがっとめーる！

姉「…？」

ｆｒｏｍ：兄
件名：俺がストーカーに合ってる件
本文：助けて

姉「はあ？意味わかんないし…誰があんたをストーカーすんのよって」

兄「マジなんだって！！くそっ…！！カツ丼屋のバイトなんかするんじゃなかった……」

兄「はあ…ただいま」

姉「おかー…どうしたのあんた」

兄「…さっき言ったあれだよ…」

姉「兄あんたほんとにストーカーされてんの？」

兄「ああ…そうみたいだ」

妹「ただいま、ばか二人」

兄「ばか言うな。…おお！今日はキムチ鍋か！」

妹「買ってきた食材だけでわかるなんて流石ばか兄」

兄「キムチ鍋の素があればわかるだろｊｋ！テンションあがってきたー」

姉「ほんとに悩んでたのあんた？」

妹「二人とも暇ならテーブルくらい拭きなさいよ」

兄「俺お疲れなんだよ」

姉「わたしもお疲れなのよ？」

妹「わたしだってお疲れなの。食べたいなら早く用意して」

兄「へいへい」

姉「鍋は争奪戦よね～♪」

ｐｒｒｒｒｒ

兄「おっと、携帯が…はい」

店長「イナガキくん！悪いんだけどさ、今からこれないかな～」

兄「え、マジすか」

店長「ちょっと今混み合っててさ、人手足りないんだよ～」

兄「……今すぐ？」

店長「今すぐ」

兄「……はあ……」（キムチ鍋が……）

兄「あ～悪い！ちょっと仕事いってくるわ」

姉「あらそうなの？」

妹「…！」

姉「せっかくあんたの好きな鍋だったのに～全部たべちゃおーっと」

兄「てわけで悪い。二人で食べててくれ！」

妹「ばか！！せっかく作ったのに！」

兄「ほんと悪い！俺のぶんはちょっと残してくれりゃいいからさ！」

妹「断りなさいよ！たかがバイトくらい！」

兄「いや～俺頼まれると断れないんだよ、そんなわけで！！じゃっ！」

……ばたん

姉「あらあら」

妹「………むかつく」

店長「あー悪いねイネガキくん！」

兄「イナガキです。で、なにをすれば？」

店長「ん。電話受付」

兄「またっすか…」

店長「悪いね、電話セキタイしてるからすぐついてくれ」

兄「はいっす」

ぴーん

兄「大変お待たせしました、来来軒です！」

妹「………」

姉「い、妹…？」

妹「…今日はラーメンにする…」

姉「え？ラーメン？でもキムｒｙ」

妹「うるさい！ラーメンにするの！！！」

ｐｒｒｒｒｒｒｒｒｒｒ　ｐｒｒｒｒｒｒｒｒｒ

妹「あ～もう繋がんない！」

がちゃっ

カツ丼屋「大変お待たせしました！来来軒です！！」

妹「らーめんひとつ！！！！！海苔大盛り！！！」

カツ丼屋「　ま　た　あ　ん　た　か　！今忙しいの！！カップ麺でも食ってろ！」

がちゃ

妹「………」

姉「ね、妹」

妹「な、なによ…」

姉「前から思ってたんだけどさ」

妹「……」

姉「兄のこと好きでしょ」

妹「…！！そ、そんなわけ…」

姉「あるでしょ。妹の態度見てればわかるお姉ちゃんを舐めないでよ～？」

妹「うるさい！！ばか姉！！」

どたどたどた！！……バタン

姉「行っちゃった…」

姉「………」

姉「わたしの鍋…」

疲れた寝るわ、暇あったらまたきますあ

兄「ふう…疲れた～ただいま」

妹「じっ」

兄「うわなんだよ、なんで玄関にいるんだ」

妹「知らない」ぷい

たたたたた

兄「……？なんだ？」

姉「兄～おかえり　お腹すいた」

兄「えええっ食べてないのか！？」

姉「うん妹が作ってくれなかったのよ～」

兄「はあ…カツ丼食べる？」

姉「…正直カツ丼飽きたのよね…」

兄「贅沢言うな！」

翌朝

兄「おはよ」

姉「おはよー兄」

妹「……」じろっ

兄「な、なに？」

妹「ふん」たたたた

兄「な、なんなんだよ…」

姉「昨日のこと根にもってんのよ妹は」

兄「昨日？ああああキムチ鍋のことか」

姉「やっと気づいたの？馬鹿ねえ」

兄「仕方ないな…謝るしかないか」

姉「ねえ」

兄「なんだよ」

姉「……んーんなんでもない」

兄「…なんだよみんなして」

学校　通学途中

兄「おーい妹～」

妹「！」

兄「おーい」

だっ！

兄「あっおいなんで逃げるんだよ！」

妹「追ってこないでよ！ばか兄！」

兄「なんで逃げるんだよ意味わからねーよ！」

妹「変態！！こないで！！」

兄「変態！？変態じゃねえだろ！？」

周りの目「ざわざわ…」

兄「え！？いや、皆さん違いますよー！あれ妹ですから！！」

学校

兄「ふう…ひどい目にあった…」

兄友「よう兄」

兄「お、友　おはよう」

友「さっきお前の妹ちゃんが全力疾走して出前の蕎麦屋轢いてったぞ」

兄（どんなスピードだったんだ…）

友「相変わらず妹ちゃんとラブラブだな実に、実にうらやましい」

兄「いや普通なんだが…」

友「あんなかわいいのに…お前のせいで学校のやつが妹ちゃんに手をだしにくいんだ！俺も含めて！」

兄「それはまたなんでだ？」

友「だってお前学校中で噂だぞ？カツ丼屋に現れた熊をなぶり殺して締め上げた挙句カツ丼にして売ってるって」

兄「噂に尾ひれがついてるってレベルじゃないぞそれは…」

教室

友「というわけでだ」

兄「ん」

友「これを見てくれ」

兄「なになに…ラーメン湖　ついに実現！　ってなんだこれ」

友「馬鹿！お前これかなり話題のニュースだぞ　世界がこれに注目してる」

兄「…なんだって？」

友「伝説の料理人、ジロウイネガキが作ったラーメン祭りの中のメインイベントだよ
ラーメンファン必見、ラーメンの湖を作ることに成功したんだ」

兄（またこいつは変なものを…）

友「実はチケットを持っていてな」

兄「いかないぞ」

友「つれないこと言うなよ！絶対うまいって！！」

兄「俺はカツ丼の出前うけるのに精一杯だ」（食べる気なのかこいつ）

友「あっそ。じゃあ妹ちゃんでも誘うかな」

兄「勝手にしてくれ」

昼休み
友「おお！妹ちゃんどうしたのこんなとこに！」

妹「べ、別に…弁当渡すの忘れてたから…」

友「……」

兄「あ、悪いな妹」

妹「…じゃ、じゃあ」

………

友「いやー悪いね。俺の弁当だろそれ？」

兄「やらないぞ」
友「照れるなって」
兄「照れてないって　ああっ！俺の大好きな卵焼きが！」

友「もぐもぐ……うっ！」

兄「どうした？女子高生の作る弁当はうまいか？」

友「うんめええ！！俺の母ちゃんの茶色い弁当よりうめえええ！！」

兄「そ、そうか…」（なぜ茶色…）

友「いやさ、昨日食ったマーボナス？あれが弁当に入っててご飯にも侵食してるからもう抹茶っ茶なんだよ」

兄「お前心読むな」

妹友「渡せた？」

妹「ついてこなくていいっていったでしょ！？」

妹友「だって気になるし」

妹「…むうう」

妹友「喧嘩中だって言うから見にきてあげたのに～」

妹「その野次馬みたいのやめなさいよ！…別にわたしが一方的に怒ってるだけだし…」

妹友「そういえばおにーちゃんってかっこいいよね」

妹「な、なに突然？」

妹友「なんでもカツ丼屋に熊からラーメンの出前が入っても物怖じせずに
「ここはカツ丼屋です」って言ったみたいだし」

妹「いろんな情報が混ざりすぎでしょそれは！」

妹友「ま、それはそれとして優しいっていうのもひとつの魅力だよね～女子の中でも人気高いの知ってた？」

妹「……」

妹友「素直になるっていうのもいいと思うよ、妹」

学校　放課後

兄「あーバイト行くのだるい…」

友「わかるわ俺もあるもん」

兄「えっお前バイトしてるのか？」

友「ないよ」

兄「あ、そう…」

友「時間通りに仕事いったんだけどさ、行ったら突然「君もうこなくていいよ」だぞ！？ひどくね？」

兄「時間は？」

友「17時」

兄「家出たのは？」

友「17時」

兄「馬鹿だろお前」

友「社会の荒波に揉まれた感がすごかったわマジで」

カツ丼屋

兄「ちゃーっす」

店長「やあ早いねイナガキくん」

兄「いや、時間空いてたので」

店長「そんなに忙しくはないけど一応電話受付入ってくれるかい？」

兄「はい」

ｐｒｒｒｒｒｒ　ｐｒｒｒｒｒｒ

兄「おっといきなりかよ」

がちゃっ

兄「はい来来軒です！」

カツ丼屋「お電話ありがとうございます！来来軒です！」

「……」

カツ丼屋「……？」

「あ、あの…」

カツ丼屋「……はい？」

「……イナガキさん？」

カツ丼屋「…！は、はあ　さようでございますが」（あの人か……！）

「………ひとつ」

カツ丼屋「はい？」

「……カツ丼ひとつ……お願いします」

カツ丼屋「いやだから…！うちはラーメン屋じゃ……って　え？」

妹「カツ丼ひとつ…お願いします」

カツ丼屋「か、かしこまりました！カツ丼ひとつですね！ありがとうございます！」

兄「ただいまー」

姉「おかえり～待ちくたびれたよ～」

妹「お、おかえりばか兄」

兄「た、ただいま…」

姉「妹が兄が帰ってくるまでご飯待とうっていうからお腹空いちゃった～！早く食べよ！」

兄「え」

妹「ばか姉余計なこというな！」

兄「先に食べててよかったのに…」

妹「た、たまにはいいでしょ別に…」

姉「それに鍋物はアツアツじゃなきゃね～」

兄「なに！？キムチ鍋か！？」

姉「大当たり！」

兄「よっしゃあああああ！！」

姉「よっしゃあああああ！！」

妹「じゃ、お皿の用意任せたからね！」

姉「はふはふ」

兄「むぐむぐ」

妹「急いで食べなくてもちゃんとあるってば」

兄「むぐむぐ…ん？妹は食べないのか？」

妹「う、うん…ちょっとね…」まんぷく

姉「まさかなにか食べたんじゃないでしょうね！」

妹「ち、違うわよ！そんな意地汚くないもん！」

ぴら

姉「あーーっ！！カツ丼の入れ物！」

妹「うるさいわね！わたしじゃないわよ！」

ぴら

兄「……？」（夕刊？）

「天才料理人ジロウイネガキに黒い疑惑！！ラーメンに覚せい剤を入れていることが発覚！！……か？」

兄「なんだこれくだらん」（そういえば友もこんなの持ってたっけ…）

朝

兄「う…うーん」

妹「むにゃ…ばか兄…」

兄「…あ」ぱちっ

妹「むにゃむな」

兄（妹！？なんで俺のベッドで！？こんなとこ見つかったら碌なことにならん！）

兄「そうとわかれば！早く着替えて！！」がさがさ

兄「見よ！俺の速脱術！」

兄「新しいパンツどこだっけ…パンツ…」

妹「…ん」ぱち

兄「あっ、あった！では失礼して…」ふぁさっ

妹「な、なにやってんのばか兄！？」

兄「えっ！？おきちゃった！？」

妹「起きちゃったって…なにしようと…あ」

兄「おい待て違う。これはパンツをはこうとして…」

妹「……脱いでるようにしか見えないわよ！！！」

どんっ！！！

兄「おわっ！」

妹「人の寝込み襲うとか最低！！だいたいなんで人の部屋で寝てんのよ信じられない！！」

ばんっ！！

兄「………いや、違う。おい！ここ俺の部屋だぞー！！」どんどん！

姉「なにようっさいわねー朝から」

兄「ああ…いや、なんでもないんだ…」

姉「ふわあ…ってあら、ここ妹の部屋だわ」

兄「お前が事の発端か」

学校　通学中
兄「な、なあ俺悪くないよな？」
妹「知らない！」

兄「お、怒るなよ…大体部屋間違えたお前も悪いんだしさ…」

妹「だからって襲おうとする？最低」
兄「いや～だからさ～」

友「ようお二人さん仲いいな」

兄「あ、おはよう。ちょうどよかった友お前も一緒に誤解を解いてくれよ」
友「おう任せろ」
兄「じつは…」

妹「人の寝込みを襲うとか信じられない」

友「……」

兄「…いや、違う」

友「オラっ！！」ごすぅっ！！
兄「痛ェ！なにすんだ！」
友「お前がなにしてんだよ！！実の妹に手を出しやがって！！こんな……
こんなかわいい子俺だって犯したいわ！！！脇とか踵とかむしゃぶり」

ごっ！

妹「先行くから」
友「な、なんでおれまで…」

友「よしわかった！」

兄「なにがわかったんだよ…」

友「お前にこれをやろう！」

兄「…ラーメン湖のチケットじゃん…」

友「これで妹ちゃんとデートしてこい！確かラーメン大好きだったろ！？」

兄「…な、なるほど…それでご機嫌をとるってアレだな？」

友「そ。いい友人を持ったな兄」

兄「と、友…」

友「ん」

兄「は？なんだこの手は」

友「1万でいいぞ」

兄「チケット代とるのか？！」

友「当たり前だろ！高かったんだぞ！？」

友「いやー最近金欠だったんだよなー助かるわーマジで」

兄（ご機嫌とりのデートするにしてももっとマトモなチケットあっただろ……はあ……）