女提督「甘すぎる…」 (581)
いつもの
女提督「甘えさせたり甘えたり」
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女提督「甘えてもいいんだよ?」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1429869385
女提督「甘い時間は溶けるように」
https://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1447160420
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1458901091
青葉「………よし、と…準備オッケーです」
提督「準備オッケーって言われても…」
加賀「何をするの?」
青葉「えー、お二人にはこれから質問をします」
提督「質問?」
青葉「はい、いわゆる100の質問ってやつですね」
加賀「私も答えなきゃいけないのかしら」
青葉「もちろん!」
提督「……ろくなことにならない気がするんだけど」
青葉「そ、そんなことないですよ!」
加賀「どうだか…」
提督「ねー…」
青葉(なんなのこの信頼の無さは…)
青葉「と、というわけで!一つめの質問です!」
提督「ええ…やるの?」
青葉「青葉広報には載せませんし撮影もしていませんから!ただの興味本位です!」
提督「…どう?」
加賀「私は構わないけれど…」
提督「じゃあいいよ」
青葉「は、はぁ…」
青葉「おほん…では改めまして、一つめです。あなたの名前を教えてください」
加賀「加賀よ」
提督「狭霧風花、です…」
青葉「さぎり………外のことはあまり知りませんけど、聞かない名字ですねえ」
提督「あー…そうだね、かなり珍しい名字らしいけど…」
青葉「ふんふん…なるほど」カキカキ
提督「…今さらこんなこと聞く必要あったのかな?」
加賀「さあ…」
青葉「では次、年齢を教えてください」
提督「…………」
加賀「年齢と言われても…よく分からないわ」
青葉「まあ加賀さんは仕方ないとして、司令官は?」
提督「…黙秘権を行使します」
青葉「言わなくてもすでに割れてるんですけどね。二十七でしょう?」カキカキ
提督「!??」
青葉「前にお酒の席で言ってましたよ、自分で」
提督「うそぉ!?」
加賀「そんなことを言ったの?」
青葉「加賀さんも居ましたよ。覚えてませんか?」
加賀「…記憶にないわ」
提督「私も全然覚えてないんだけど…」
青葉(この二人、案外お酒飲ませたらダメなタイプなんじゃ…)
青葉「ふむふむ…お二人の性別をどうぞ」
提督「女」
加賀「女」
青葉「今さらですが、女同士の恋愛に違和感は?」
加賀「普通ではないの?」
提督「そういうのはよくわかんないや」
青葉「そうですか…」
青葉「次、あなたの性格は?」
提督「性格……」
加賀「そうね……」
青葉「……………」
提督「……………」ウーン
加賀「……………」ムムム
青葉「……………」
提督「……………」ウーン
加賀「……………」ムムム
青葉(司令官:思慮深い、優柔不断…加賀さん:思慮深い、激情家…と)カキカキ
青葉「次行きましょう、相手の性格は?」
提督「相手の性格?って、加賀のこと?」
青葉「はい、カップル向けの質問ですから」
提督「ああ、なるほど」
青葉「ちなみに結構オトナの質問もありますよ」
提督「えっ」
加賀「……………」
青葉「興味本位で聞くだけですって!ほんとですから!」
加賀「……まあいいわ、この前の写真のお礼ということにしましょう」
青葉「やーりぃ♪」
提督(なんの写真だろう…)
青葉「では改めまして、回答をどうぞ」
提督「そうだなぁ…加賀は弱ツンデレって感じ」
青葉「と言いますと?」
提督「みんなの前じゃ名前で呼んでくれないんだけど、二人っきりになると風花って呼ぶようになるし、スキンシップも増えるんだよ」
青葉「ほー…具体的には?」
提督「んー…手を握ってきたり、頭を撫でてくれたり…他には髪を触ったり唇に触れてきたり…あとは首筋を甘噛みしてくるとか?ちょっとくすぐったいんだけどね」
加賀「…………」
青葉(司令官、気付いてあげてください……それはいわゆるセックスアピールです…気付いてあげてください…)カキカキ
青葉「今度は加賀さんに聞いてみましょうか。司令官はどんな性格ですか?」
加賀「浮気性」
青葉「あー……」カキカキ
提督「ちょっと!?納得するの早くない!?」
加賀「事実だから」
青葉「ですよねぇ…」
提督「そ、そんなことないよ!」
加賀「なら神に誓って言えるの?」
提督「え………」
加賀「……………」
提督「………私、無宗教だから」
青葉「加賀さんも苦労してますねえ…」
加賀「ええ…」
提督「えぇー!?」
青葉「次、お二人の出会いはどこですか?」
加賀「建造ドック」
提督「そう考えると夢もへったくれもないね」
青葉「言われてみればそうですね…じゃあ、もしもう一度出会いをやり直せるならどこがいいですか?」
提督「あー……そうだね、学校がいいなあ」
青葉「学校……その理由は?」
提督「やっぱり、学生の頃から知り合ってたらもっと早く仲良しになれたかもしれないなーって」
青葉「ほうほう、なるほど…加賀さんは?」カキカキ
加賀「建造ドック」
青葉「…理由は?」
加賀「あの場所以外にどう生まれてきてるか想像できないから」
青葉「そうですか…」
提督「夢もへったくれもないね…」
青葉「はい次、相手の第一印象はどうでしたか?」
提督「第一印象かぁ……」
加賀「頼りなさそうと思ったわね。今も変わらないけれど」
提督「え、ちょ、ひどくない?」
加賀「優しそう、とも思ったわ」
提督「あ、ど、どうも…」
青葉「なるほど…司令官は?」
提督「えっと………その、なんだかすごく懐かしい気持ちになったかなぁ」
青葉「懐かしい?」
提督「うん…加賀の仏頂面と髪の結い方、私のお母さんと似ててさ」
青葉「ふむふむ」
加賀(仏頂面…)
提督「それで、ずっとお母さんに憧れてたっていうか、大好きだったから…たぶんその頃から加賀のことは気になってたんだと思う」
青葉「ほぉ…なんだか、割と意外なきっかけですねえ」
提督「こんなこと言うとマザコンだと思われそうだけどね…」クス
青葉「いえいえ、家族想いでいい人だと思いますよ。加賀さんが司令官を好きになったきっかけは?」
加賀「…それは質問のひとつなのかしら」
青葉「え?いえ、違いますが…」
加賀「なら答えない」
青葉(わー、失敗したなぁ…)
提督(そういえば聞いたことなかったっけ…ちょっと残念)
青葉「えー、次で八つ目ですね。相手のどんなところが好きですか?」
提督「ん?うーん……」
加賀「…世話焼きで優しいところね」
青葉「ほう、たとえば?」
加賀「何か困ったことがあれば助けてくれたり、疲れている時は甘いものを出してくれたり…とにかく、気が利くところかしら」
青葉「あー、確かに」
加賀「誰にでもそうして、自覚なしに惹きつけるから欠点でもあるけど…そんなところが好きなの」
青葉「あはは…言えてます」
提督「う〜ん……」
青葉「さて、司令官は?」
提督「んーと……ちょっと待ってね…」
青葉「おや…好きなところ、見つからないんですか?」
加賀「…………」
提督「あ、いや、そうじゃなくて…」
青葉「はい」
提督「好きなところが多すぎて…どれにしようか迷っちゃって」
青葉「あーーー………」
加賀「」ブッ
青葉(砂糖吐きそう…)シラー
提督「…あ、あれ?変なこと言った?」
青葉「いえ、気にしなくていいですよ。次行きましょうか」
提督「え、う、うん…加賀?なんで顔覆ってるの?加賀?」ユサユサ
加賀「」プルプル
青葉「では逆に相手のどんなところが嫌いですか?」
加賀「寝起きの機嫌が最悪なところ」
提督「夏場一緒に寝ると暑いところ」
青葉「どうして二人とも嫌いなところはすぐに出てくるんですか」
提督「だってほんとに暑いんだもん、体温高いし抱き付いてくるし…」
加賀「いつも先に抱き付いてくるのはあなたでしょうに」
提督「違うよ!寝てる時は加賀が抱き付いてくるの!しかも寝相悪いからそのあと蹴ってくるし!」
加賀「そんなことを言ったらあなただってこの前寝ぼけて私の枕を投げ飛ばしていたでしょう」
提督「ね、寝てる時のことなんて覚えてないもん」
加賀「寝返りをうったら布団を持っていく上に、それを離そうとしないのはやめなさい」
提督「そ、そんなこと言ったら加賀だって!」
ギャーギャー
青葉(仲良しですねぇ…)カキカキ
青葉「まあまあお二人とも、落ち着いて…あなたと相手の相性はいいと思いますか?」
提督「思う」
加賀「思わなかったら指輪なんて受け取らないわ」
青葉「ですよねー…はい次、相手のことをなんて呼んでますか?」
提督「加賀」
加賀「提督」
青葉「まあ普通ですね。次、相手になんて呼ばれたいですか?」
提督「私のことならなんでもいいかな」
加賀「加賀以外にないわ」
青葉(ラブラブだなぁ…)カキカキ
青葉「えーでは、相手を動物に例えるとなんになりますか?」
提督「動物ねえ…」
加賀「猫ね」
青葉「ネコの間違いでは?」
加賀「そうでもあるわ」
青葉「あはは、やっぱり」
提督「うーん……」
青葉「まだ決まりませんか?」
提督「いや……加賀は犬じゃないかなあ…結構積極的だし」
青葉(やっぱりネコだなあこの人…)
青葉「相手にプレゼントをあげるとしたら、何を渡しますか?」
提督「プレゼント……かぁ…」
加賀「日頃の感謝を込めて花束を贈ってあげたいわね」
青葉「ふむふむ、花束…と」
加賀「言葉で意思を伝えるのが苦手だから…こうでもしないと伝わらないと思って」
青葉「まあ、加賀さんって口下手なところありますもんねえ」カキカキ
加賀「ええ…」
提督「プレゼントねー……やっぱり、温泉旅行とかに連れて行ってあげたいな」
青葉「温泉旅行かあ…いいですねえ」
提督「ほら、戦闘とかしてたら疲れも溜まるだろうし…それを癒してあげられたらなって」
青葉「なるほどぉ、戦闘の疲れを銭湯で癒すわけですね」
提督「つまんな」
青葉「…………」
加賀「ふっ…くくく…」
青葉「き、気をとり直して。プレゼントをもらうとしたらどんなものが欲しいですか?」
提督「今度はもらう側か…」
加賀「……多くを求めるつもりはないわ」
青葉「そ、そうですか。司令官は?」
提督「うーん……私も、かまってくれるだけでいいかなー」
青葉(無欲ッ!)
青葉「んー…じゃあ次の質問も聞く意味がなさそうですねー」
提督「どんなの?」
青葉「いえ、お互いに不満に思うことはあるのかと」
提督「ある?」
加賀「ないわ。あなたは?」
提督「私もない」
青葉「ですよねー」
青葉「そんなにないものですかねえ?」
提督「ないって言ったら嘘になるけど……自論なんだけどさ、恋人同士の間にあるものって友情の延長線だと思うんだ」
青葉「はいはい」
提督「恋人だからって変な考えを持ちすぎずに、友達と同じように接していれば不満なところなんてなくなるよ。そんなところも好きになっちゃうし、嫌いなところよりも好きなところの方が多く見えてくるようになるの」
青葉「あー、なるほど」
加賀「そうね、友情の延長線ならずっと仲良くいられるものね」
青葉「…二人ともその考えなら、どこを見ても仲良しなのも頷けますね」
提督「自論だけどね」
青葉(入る隙間もなさそうだなぁ…)
青葉「えーと…では、あなたの癖をお聞かせください」
提督「癖?癖……癖かぁ…」
加賀「そう言われてみると、自分ではなかなか分からないものね…」
青葉「思い当たるものでいいので、なにか」
提督「うーん……あー、暇になるとすぐ寝ようとしちゃうところかなあ…」
青葉「司令官、どこでも寝ますもんねえ。この前なんて堤防で寝てましたよ」
提督「あれは…海を眺めてたらなんだか眠くなっちゃって…」
青葉「それにしても普通外で寝ませんよ…」
提督「陽射しが気持ちよかったから…」
青葉「まあ確かにそんな時期ですけど…」
加賀「……そうね、考え事をする時は口元に手を当てる癖があるわ」
青葉「ふむふむ、やっぱり無意識的にやってることなんですかね?」
加賀「ええ、その方が落ち着くから」
青葉「確かにそうですね、青葉もよくペンを口に当てて考え事します」
提督「前に本で読んだんだけど、そういう人って甘えたがりらしいよ」
青葉「へー、じゃあ加賀さんも甘えたがりなんですねえ」カキカキ
提督「割とね。青葉もでしょ」
青葉「どうでしょうかねえ、えへへ」
青葉「では今度は相手の癖をお聞きしましょうか」
提督「加賀の癖……結構あるなー」
青葉「ほう、たとえば?」
提督「髪が気になるのか、サイドテールの先っぽをいじったりとか…」
青葉「はい」カキカキ
提督「あと、退屈な時に足をぱたぱたさせるとか」
青葉「意外と可愛らしいですね」カキカキ
提督「でしょ?普段メジェドみたいな顔してるから分からないけど、よく見てみると可愛いところもいっぱいあるんだよね」
加賀(メジェド…)
青葉「では加賀さん、司令官の癖はどうですか?」
加賀「………本を読んでいると、よく変なやり方で眼鏡をかけ直しているわ」
青葉「変な…とは?」
加賀「手の甲で…こんな風に、涙を拭うように眼鏡を押し上げるの」
青葉「へぇえー…珍しいですねえ」
提督「指紋が付くのが嫌だから…治そうとは思ってるんだけど、昔っからの癖でなかなか治らなくて…」
加賀「私は別にいいと思うけれど」
提督「…まあ加賀がそう言うなら…」
青葉「時にお二人、初めてのデートはどこでしたか?」
提督「デート…どこだっけ?」
加賀「覚えていないの?」
提督「うん」
加賀「確か……」
提督「うん」
加賀「…………」
青葉「……確か?」
加賀「………どこだったかしら」
青葉「」
提督「というか、私たちって二人で出かけたことあったっけ?」
加賀「……ないわね」
青葉「えぇー…そりゃ覚えてないわけですよ…」
提督「行こう行こうとは思ってたんだけど、なかなか暇がなくて…」
加賀「また今度改めて予定を組みましょう」
提督「そだね、どこに行きたいか決めておいてね」
加賀「ええ」
青葉(結果オーライ、かな…)
青葉「うーん、ならこの先の質問がいくつかつぶれちゃいましたね」
提督「どんな質問だったの?」
青葉「その時の雰囲気はどうだったーとか、そのデートでどこまで進んだのかーとか」
提督「あー、なるほど」
青葉「仕方ないですし、次の質問いきますね。告白はどちらからでした?」
提督「私」
加賀「私」
青葉「?」
提督「え?」
加賀「ん?」
提督「ちょっと待って」
加賀「なに?」
提督「告白したのって私だよね?」
加賀「いえ、私よ」
提督「……あれぇ?」
青葉「え?ど、どっちなんですか?」
提督「私のはずなんだけど…え?違うの?」
加賀「違うでしょう、私からしたのを覚えているわ」
提督「???」
青葉「???」
加賀「???」
提督「えーと……一応聞くけど、どこで告白した?」
加賀「堤防」
提督「中庭じゃなかったっけ」
加賀「堤防。昼に」
提督「私の記憶だと夜なんだけど…」
加賀「あなたが『私のことどう思ってる?』と聞いてきたから好きよと答えたのだけど」
提督「あの時の!?告白だったの!?」
加賀「そうよ」
提督「えっ…じゃあ加賀からしたらあの時からもう私たちはカップルになってたってこと?」
加賀「ええ」
提督「……私、全然自覚なかったんだけど……」
青葉(うわあ、天然ジゴロの本領発揮だ…)
提督「じゃ、じゃあ私が勘違いしてたあの夜までその関係についてはどう思ってたの?」
加賀「かなり初心な恋仲だと思ってたわ。性交渉どころか接吻もしないなんて」
提督「あの夜のことは?」
加賀「改めて何を言い出すのかしらこの子はと思ったわ」
提督「えっと……なんていうか、本当にすみませんでした…」
青葉「な、なんか…色々あったんですね…」
加賀「正直私もかなり驚いてる」
提督「私も、そんな齟齬があったなんて」
青葉(色々とズレたカップルだなぁ…)
青葉「えー…では、浮気を許せますか?」
加賀「それを私に聞くの?」
青葉「まあ、質問ですから…」
加賀「許せなかったら私たちはとっくに終わっているわ」
提督「そ、そうだね…」
青葉「ですよねー…」
加賀「けど、さすがに駆逐艦の子に手を出した話を聞いた時は頭を抱えたわ」
提督「うっ」
青葉「加賀さん、ほんとに苦労してますね…」
青葉「じゃあ、司令官はどうですか?」
提督「私も浮気してる身だから人のことは言えないけどさ……できればしてほしくはないかなあ」
青葉「それは傲慢すぎませんかねえ」
提督「わ、分かってるけど!でも、やっぱり浮気はダメっていうか…ほら、ケッコンもしてるんだし…」
青葉「どう思いますか加賀さん」
加賀「クズね」
提督「クズ!?」
提督「わ、私は他の子の愛に応えてるだけであって決して浮気してるとかそういうつもりは…」
青葉「夫や恋人のような人がいながらそういうことをするのを一般的に浮気って言うんですよ」
加賀「少しは自分の行動を悔い改めなさい」
提督「……はい…」
青葉「でもまあ、司令官の愛されぶりを見てると浮気するのも仕方ないとは思えますがねえ」
加賀「は?」
青葉「どうですか司令官、青葉に浮気してみませんか?」
提督「青葉かあ…青葉も可愛いね」
青葉「でへへ、照れますよぉ」
加賀「おい」
二人「「ひぃっ」」
青葉「じゃあ……もし死ぬなら先か後、どちらがいいですか?」
提督「えぇー…そんな難しい質問する…?」
青葉「お二人の愛を計りたくて」
加賀「悪趣味ね…」
青葉「う、すみません」
加賀「まあ、いいけど…そうね、先に逝ってこの子を悲しませるのも嫌だし、私一人で残されても苦しいだけよ」
提督「私もそうかなぁ、置いて行かれるのも嫌だし先に一人で逝くのもやだ」
青葉「はあ…でも、それだとどちらにしても悲しむことになるのでは?」
提督「心中すればいいでしょ」
加賀「心中すればいいんじゃないかしら」
青葉(真顔で何言ってんだこいつら)
提督「まあまあ、心中なんて絶対ないでしょ!あははは!」
加賀「そうね、ふふ」
青葉「ですよねー!あっはっはっは!」
提督「……………」
加賀「……………」
青葉「……………」
提督「………なんか頭痛くなってきた」
加賀「ええ…」
青葉「……もうやめましょうか、この話」
提督「だね…」
青葉「えーでは、初Hはどこでしたか?」
提督「」ブッ
加賀「いきなりね…」
提督「そ、そ、そんなの聞いてなんになるの?」
青葉「だから興味本位だって言ってるじゃないですか」
提督「で、でも…こういうのはプライベートに関することっていうか…」
青葉「加賀さん、どこでしましたか?」
加賀「……この子の部屋のベッドで」
青葉「ほぉー、なるほどぉー」
提督「ちょっと!?」
加賀「なに?」
提督「な、なんでそんなに素直に答えるの!?お金でももらったの!?」
加賀「別に聞かれて困るものでもないでしょう」
提督「困るよ!恥ずかしいでしょ!?」
加賀「私は別に…」
提督「えぇ!?なんで!?」
青葉「今さら聞くことでもないですが、どちらが攻めでしたか?」
加賀「私」
青葉「ですよね。司令官、どんな反応でしたか?」
加賀「何をしても可愛い声で啼いていたわ」
青葉「なるほどぉ…」カキカキ
提督(今すぐにこの場を去りたい……)/////
青葉「初夜の朝、目覚めた時の最初の一言はなんでしたか?」
提督「……なんて言ってたっけ」
加賀「眼鏡とって、と」
提督「そんなこと言ったっけ」
加賀「寝ぼけてたから」
青葉「司令官らしいですねえ」
加賀「その後自分が裸なのに気付いて慌てていたわ」
青葉「あー、それも司令官らしいですねえ…」
提督「あぁー!!思い出しちゃったぁー!!」
青葉「えー…では、普段どういう内容のプレイをしていますか?」
加賀「………言ってもいいの?」
提督「いいよもう…今さら何聞かれても恥ずかしくないし…」
加賀「そうね…いわゆるSMというやつかしら」
青葉「SMゥ!?」
加賀「ええ、軽めのものだけど」
青葉「え、じゃあやっぱりその…鞭?とか使うんですか?」
加賀「たまにね」
青葉「はええ…」
青葉「え、痛くないんですか?」
提督「そりゃ痛いよ…」
青葉「ならなんでするんですか?」
加賀「愉しいから」
提督「痛いのが気持ちいいんだもん…///」
青葉「…………」
提督「そ、そんな目で見ないでよ!変な趣味だってことは分かってるけどさ…」
青葉「はあ〜…つまり司令官はマゾなんですねえ」
提督「う…」
青葉「でも、やっぱりこういうのって痕とか残るんじゃないんですか?」
加賀「そうね、二日ほどは残るみたいね」
青葉「あっ、そんなもんなんですね。でも他の子に見られたりしないんでしょうか」
加賀「その見えるか見えないかのところに痕を付けるのが愉しいのよ」
青葉「あー、なるほど!楽しそうですねえ」
提督(この二人絶対ドSだ…)
青葉「えーと…では、割と大事な質問をしましょうか。もしも親友が『今夜だけ寂しいから』と求めてきたら受け入れますか?」
加賀「……難しい話ね」
提督「うーん…」
加賀「そうね…恋人がいなければ受け入れられるかもしれないけれど、今の私には無理ね」
青葉「おー、カッコいい答えですね。司令官はどうですか?」
提督「え……」
青葉「…………」
加賀「…………」
青葉「どうなんですか?」
提督「うっ…」
提督「そりゃあ、恋人がいる身でそういうことをするのはダメだって分かってるけどさ……でも、親友だって大切な人なのに変わりはないし…もし突き放して嫌われるようなことがあったら嫌だし…」
青葉「うわあ…」
加賀「チッ…」
提督「なんで!?真面目に答えたでしょ!?」
青葉「あーあー、これ以上ないメンヘラレズビッチ発言が飛び出しましたよ。どう思いますか加賀さん」
提督「メン……」
加賀「こんな考えをしているのなら浮気するのも頷けるわ」
青葉「ねー、とんだ尻軽ですねー」
提督(好き放題言われてる…)
提督「はぁ……なんでかな、すごい疲れてきた…」
青葉「まだ半分も終わってませんよ?」
提督「えぇ…お腹空いた…」
青葉「まあまあ、お昼には少し早い時間ですから最後まで頑張りましょう」
提督「はあ…」
〜〜〜
青葉「……はい、これで全部ですね」
提督「あぁーやっと終わった…加賀、ご飯食べに行こう」ガタ
加賀「ええ」
青葉「あ、ちょっと待ってください!」
提督「うぇ、なに?」
青葉「最後に一つだけ、相手に一言どうぞ」
提督「一言?えーと…」
加賀「…いつもありがとう、くらいでいいかしら」
青葉「照れてます?」
加賀「割とね」
提督「あ…そうだ、一言といえばさ」
加賀「?」
提督「加賀、洗濯する時洗濯機に水入れてるでしょ?あれはやらなくていいことだからね?」
加賀「え…そうなの?」
提督「今の洗濯機は自動で水も入れてくれるから、洗濯物放り込んで洗剤と柔軟剤入れたらスイッチ押すだけ、わかった?」
加賀「ええ…」
提督「あと私のパソコン使う時に許可なしに海外のサイトとか行かないこと、この前変なソフトとか勝手にインストールされてたの忘れたの?」
加賀「いや、それは…」
提督「それと、タオルは洗濯バサミでちゃんと止めて干すこと。風が強い日に何枚も飛んで行って大変だったんだからね」
加賀「ごめんなさい…」
提督「次から気をつけてくれればいいけど…あ、あと…」
加賀「え、ええ…」
青葉(どっちが尻に敷かれてるのか分からないな…)
100の質問(大嘘)おわり
ダークソウル3が楽しくてあんまり更新してませんが許してくださいなんでも許してください
乙
最初のスレから見てきて思ったんだが…
>>1、ちょっと耳を…
(この鎮守府に扶桑姉様達はいないんですか!?)ヒソヒソ
>>74
(出てないだけで)い、居ますよ…
話の構成的になかなか出す機会がなくて…
提督「……はっ、くしゅん!…うぅ」
バサ
グラーフ「大丈夫か?」
提督「あ、グラーフ…うん、ありがとう」
グラーフ「そろそろ冷えてくる時期だからな…風邪には気を付けてくれ」
提督「うん…グラーフは平気?」
グラーフ「私なら心配ない、母国の冬に比べたらここはまだ暖かいさ」
提督「へー…そうなんだ」
グラーフ「…上着だけでは足りないな。コーヒーを淹れてくる」
提督「あ、うん」
コト
グラーフ「ほら、Admiralの分だ」
提督「ああ、ありがとう」
ズズ…
提督「ふぅ……」
グラーフ「どうだ?」
提督「うん、美味しいよ」
グラーフ「フフ、ならよかった」
提督「私、実はコーヒーって苦手な方なんだけど…グラーフのは甘くて好きだなぁ」
グラーフ「そうなのか…なら、私はAdmiralの特別になれたということだな」クス
提督「ふふ、そうだね」
明石「ということがあったんですよ!!」ガァン
整備士「はあ」
明石「おかしくないですか!?」ガンガン
整備士「そうっすね、とりあえずあんまり艤装叩いちゃダメっすよ」
明石「はーい…」
整備士「まあおかしいってのは分かるっすけどねえ」
明石「ですよね、つい最近来た新入りなのに落ちるの早すぎじゃないですか」
整備士「んー…まああの人モテるみたいだしいいんじゃないっすか?」
明石「それにしたってモテすぎですよ」
整備士「そうっすかねえ、高校生の頃からあんな感じっすけど」
明石「え、そうなの?」
整備士「そうっすよ」
整備士「あたしは学年違ったんであんまり見てないんすけど、帰るときに教室行ったら割と色んな子に話しかけられたりしてたっす」
明石「へー、そうなんだ」
整備士「あと何回か女の子にも告白されたって聞きましたねえ。実際、あたしも先輩の下駄箱に恋文入ってるの見ましたし」
明石「同性からの?」
整備士「男の人からも何通か入ってたことがあるらしいっすよ」
明石「性別問わずモテるんだ…」
整備士「そりゃまああんだけ美人で人当たりも面倒見もよかったらモテるんじゃないっすかね、男の人からの恋文は全部雪さんが破いて捨ててたっすけど」
明石「雪さんって雪菜さん?」
整備士「そうっす」
明石「こわっ」
明石「はぁー、そんなにモテる人だったんですか」
整備士「そりゃまあ…特に男の人は、あの大きいものに釘付けっすから…」
明石「ああ…」
整備士「…ちなみにあたしは先輩がいたせいでまったくと言っていいほど注目されなかったっすけどね…」
明石「ああ……」
整備士「ないわけじゃないんすけどね…やっぱ近くに大きい人がいたら相対的に小さく見えるもんなんすね…」ズーン
明石(わ、話題変えなきゃ…)
明石「あー…えっと、提督って昔からそんなに大きかったんですか?」
整備士「あー、そっすねえ。知り合ったのが高校生の頃だったもんであんまり昔のことは知らないんすけど、雪さんに聞いてみたら中3の頃からはもう一目見て分かるくらいには成長し始めてたそうっすよ」
明石「へー…いいなー」
整備士「本人は重いし運動するときに邪魔だって言ってたっすけど、やっぱり女としては羨ましい限りっすよねえ」
明石「ねー…ああ、一度でいいから鷲掴みにしてみたい…」
整備士「あたしそれやったことあるんすよ」
明石「えっ、うそ!?どうだった!?」
整備士「すんげえ柔らかかったっす、女の子の重みを感じたっす」
明石「えぇーいいなぁー…私もやりたい…」
整備士「そのあと背負い投げされたんすけどね」
明石「……やっぱり遠慮しようかな…」
ガチャ
提督「明石ー、葵ちゃーん、ご飯だよー」
明石「あ、提督」
整備士「うぃーっす、これ終わらせたら行くっすー」
提督「温かいうちに食べてほしいから早めにねー」
整備士「あーい」
バタン
整備士「……やっぱナチュラルにああいうこと言えるのが天然たらしの所以じゃないっすかね」
明石「そうですね、無自覚に口説いてるみたいなものですしね」
整備士「あたしもそのクチっす」
明石「あ、私もです」
整備士「……お互い苦労してるっすね…」
明石「そうですね……」
どこから出てきた整備士と明石の愚痴おわり
一年くらい前に整備士の葵ちゃんは仕事やめてニートしてたのを整備士として雇われた後輩です
そういえば巷では死んだふりドッキリが流行っているそうで…(ゲス顔)
金剛「どうぞ、テイトクのcupネー!」カチャ
提督「ああ、ありがとう」
金剛「〜♪」
提督「楽しそうだね、金剛」
金剛「イエース、テイトクと二人っきりでTea timeなんて滅多にありませんからネー」
提督「…そうだね」
金剛「……?どうしマシタ?元気がないみたいデース」
提督「え…そ、そう?」
金剛「ハイ、少し暗い顔ネ」
金剛「もしかして悩みでもありマスカ?」
提督「あ……いや、えっと…」
金剛「テイトクがそう言う時はいつも何かある時ネー、話だけでも聞かせてクダサイ」
提督「…………」
金剛「…そんなにheavyな話デスカ?それとも、ワタシには言えない話?」
提督「……ううん。金剛にも、言っておかなきゃいけないね」
金剛「………?」
提督「落ち着いて聞いてね」
金剛「は、ハイ」
提督「私、あと3ヶ月しか生きられないの」
金剛「………はっ?」
提督「ガン…だって。もう手遅れ」
金剛「あ、え…なん、で…そんな…」
提督「前々から兆候はあったんだけどね……職業柄、検査に行く暇がなくてね、あはは」
金剛「……どうして…笑っていられるんデスカ…」
提督「…なんでだろうね。覚悟ができちゃってるのかも」
金剛「嘘だって…言ってクダサイ…」
提督「………ごめん」
金剛「っ……!!」
金剛「本当…なんですネー…」
提督「うん…だから、こうして金剛と一緒にお茶を楽しめるのもあと少しだけ」
金剛「……っ……」ウルッ
提督「…悲しいなら泣いてもいいんだよ」
金剛「No…」グスッ
提督「え?」
金剛「テイトクに涙を見せるなんてワタシらしくないデース!ほら、テイトクもsmile!」ニコ
提督「……うん」
金剛「っ、ふ……」ゴシゴシ
提督「…………」
金剛「…では改めて、紅茶を淹れマース!」
提督「うん……うっ!?」グラッ
金剛「ッ!?て、テイトク!?」
提督「ぐ、ぁ……金…剛……」バタン
金剛「テイトク!テイトク!!」ユサユサ
提督「……………」
金剛「テイトク…No……ワタシ、まだ…っ…!」
提督「……………」
金剛「うっ…うっ、うう……」ポロポロ
提督「……金剛」ポン
金剛「え……?」
提督「い、いぇーい…」つ【ドッキリ大成功!】
蒼龍「いぇーい!」
飛龍「ドッキリ大成功ー!」
金剛「………………」
提督「…………」ダラダラ
蒼龍(あっこれヤバイやつだ)
飛龍(やばっ)
金剛「……Joke?」
提督「い、いえす」
金剛「………………」
\バッチィイイイイイン/
金剛「ワタシ、本気でangryネ」
提督「はい」ヒリヒリ
飛龍(…す、すごかったね…)ヒソヒソ
蒼龍(ね…ビンタで身体吹っ飛ぶとは思わなかったよ…)ヒソヒソ
金剛「…でも、本気で安心してマース」
提督「はい…ん?」
金剛「テイトクがいなくならなくて…よかっ、だあああああん!!」ガバッ
提督「ふぎゃ!?」
金剛「テートクゥゥウウウウウウ!!!」ギュゥゥゥゥゥゥ
提督「ぐぎゃあああぁ!!?」メキメキ
蒼龍「うわぁ!?ほ、ほんとに死んじゃう!」
飛龍「ダメー!」
提督「というわけで、色んな子にこんな感じのドッキリを仕掛けたいと…こ、金剛…」
金剛「ン〜♪テートクゥ〜♪」ムギュー
提督「そろそろ離れてもらっても…」
金剛「No!」
提督「だよね…」
金剛「ところでテイトクー、このPlanを考えたのは誰デスカー?」
提督「え?そこの二人だけど…」
金剛「へえ……」チラッ
蒼飛龍「」ビクッ
金剛「あとで覚悟しておくネー」
蒼飛龍「」ガタガタ
提督「で……これ、まだ続けるの…?」
飛龍「もっちろん!!」
提督「なんていうか、すでに胸が痛いんだけど…」
蒼龍「大丈夫大丈夫、責任は取るから!」
提督「そういう問題じゃないんだけど…ほら、金剛からも何か言ってあげてよ」
金剛「ンー?ワタシはいいと思いマース」
提督「えっ」
金剛「自分で見る分には楽しそうネ」ニヤ
提督「……………」
飛龍「ほらほら、少数派は提督だよ?どーするの?」
提督「……ああもう!わかったよ、やればいいんでしょやれば!その代わりあとで罰は受けてもらうからね!」
飛龍「はーい!」
蒼龍「やったぁ!」
蒼龍「さっきはどちらかというと宣告ドッキリだったから、次は本格的に死んでみよっか!」
提督「本格的に死ぬってなに!?」
飛龍「まあまあ、ただ死んだふりするってだけだから安心して」
提督「えぇ…私、そんなのできないんだけど…」
蒼龍「一応血のりとかも準備してあるんだけどなー」スッ
飛龍「なんならほら、明石さんが配合した仮死薬もあるし」スッ
提督「なんでそんなに用意周到なの…いいよ、血のりだけでなんとかするから…」
蒼龍「おっ、じゃあ期待してるね!」
飛龍「それじゃ執務室で死んだふり、よろしく!」
提督「はーい…」
ガチャ
蒼龍「さてさて、私たちは別室のモニターで様子を見てようか」
金剛「Wow…Cameraが付いてるんデスカ?」
飛龍「そうそう、この日のために大淀ちゃんに執務室と提督の私室周りに小型の隠しカメラを付けておいてって言ったの」
蒼龍「目的を言ったらドン引きされたけどね」
金剛「そりゃそうデース」
蒼龍「それじゃ提督の様子を……」ポチッ
飛龍「うわあ…すごい、血の海が広がってる…」
蒼龍「ドッキリとは分かっててもリアルすぎてちょっと怖いね…」
蒼龍「えっと、確か回線は…これかな」
ポチッ
蒼龍「提督、聞こえる?」
『え?……ああ、このマイクね。うん、聞こえてるよ』
蒼龍「今モニターから見てるんだけど、ほんとに死んでるみたいだよ」
『そ、そうなんだ…なんか複雑な気分…』
蒼龍「これならさすがに入ってきた子も騙せるんじゃない?すごいリアルだし」
『うん…ところでさ』
蒼龍「なに?」
『軍服の替え…あるんだよね?』
蒼龍「あるある、心配しないで」
『そっか、よかった…』
飛龍「あ、誰か来た!」
蒼龍「…みたいだから、こっちの音声は切るね。あ、そっちは点けたままでよろしく!」
『う、うん』
カチ
蒼龍「これでよし、と…」
金剛「来たのは誰デスカー?」
飛龍「えーと…この赤髪に水着は……」
蒼龍「…あっ……」
168『…………』
三人(((ヤバイ)))
蒼龍「これ、下手したら大変なことになるんじゃ…」
飛龍「す、すぐに出られるように準備しておいた方がいいね…」
ーーーーー
提督(机の裏でもたれかかるようにして…近くにナイフを置いて…後は温めた血のりを…)
提督(…これでよし…さてと、誰が来るんだろう…)
コンコン
「司令官、いる?」
提督(この声はイムヤ…まあ、イムヤなら大丈夫なはず…)
「……入るわよー?」
ガチャ
168「司令官、いないの?」
提督(いますよー…)
シーン…
168「……むぅ…せっかくお昼に誘おうと思ったのに…」
提督(気持ちはありがたいけど、またカレーだろうなあ…美味しいけどさすがに飽きるというか…)
168「………?…なにかしら、この赤いの…」
提督(あ、気付いた…?)
スタスタ
168「…ひッ!?」
蒼龍『うわあ、いい反応…』
飛龍『一気に表情が変わったね…』
168「司令官!?どうしたの司令官、ねえ!」ヒシッ
提督「う……イム、ヤ…」ググ
168「司令官…!何があったの!?誰がこんなこと…」
提督「分から、ない…いきなり……ごほっ!」
ポタポタ
168「……!!喋らないで、すぐ人を呼んでくるから!」
提督「ううん…私、もう…ダメみたい、だから…」
168「っ…!そんなことない!司令官が死ぬなんて、そんなの…」
提督「最期の……お願いだか…ら…そばにいて…」スッ
168「司令…官…」グイ ギュ
金剛『ものすごい演技力ネー…』
蒼龍『ね、提督ってほんと変なところまでスペック高いよね…』
提督「ごめん……ね…私が、不甲斐ない…せいで…」フルフル
168「ううん…悪いのは司令官にこんなことをしたヤツなんだから…司令官は…」ギュウ…
提督「さい、ご…に、そばにいてくれるのが……イムヤで、よかっ…た…」
168「司令官……!」ブワッ
提督「あり……が、と………う……」
スル…
トサッ
168「司令……官…?」
提督「……………」
168「司令官……司令官…!いやあっ…!いやよ、司令官…!」ポロポロ
蒼龍『うわ…こっちまで泣きそう…』
飛龍『…そろそろ行く?』
蒼龍『だね…』
金剛『Wait!まだ何かしてるネ…』
蒼龍『え?』
168「……………」
168「………司令官………」
スッ
168「……そっか……このナイフか…」
168「これだけ血が出てたら……無理よね…」
168「司令官………一人で…痛かったんだよね…」
168「……………」スッ
グッ
スパッ
三人『『『!!??』』』
ポタ…ポタ…
168「……痛い…」
168「……………」
168「でも…司令官は、もっと痛かった……」
168「痛かったんだよね……司令官…」スッ
クチャ
168「ごめんね……私もすぐに追いつくから…」カチャ
蒼龍『うわぁ!?さ、さすがにこれはまずい!』
飛龍『と、止めに行かないと!』ガタッ
168「……………」プツッ ツー
バンッ
蒼龍「ま、待ったー!!」
168「え…?」
飛龍「ど、ドッキリ!ドッキリだから!ほら、提督も起きて!」
提督「う、うん…」ムク
168「…………??」
蒼龍「と、とりあえず止血が先!早く向こうの部屋に行こう!」
〜〜〜
168「…………」ムスッ
提督「い、イムヤ…そろそろ機嫌直して…」
168「イヤ」プイ
提督「あぅ…」
168「司令官なんて…大っ嫌いなんだから…」ツーン
飛龍「ま、まあまあ…イムヤちゃん、そろそろ許してあげても…」
168「企画した人が言うことじゃないわよね」
飛龍「うっ…」
蒼龍「て、提督…なんとかしてよ…」ヒソヒソ
提督「そう言われても…悪いのは私たちだし…」ヒソヒソ
蒼龍「そりゃそうだけどさぁ…」ヒソヒソ
提督「うー…い、イムヤ…」
168「…………」
提督「そのぉ…こんなドッキリ、悪いとは思ってるんだけど…あの、イムヤがあそこまでしてくれたのは正直…嬉しいかなって」
168「…………」ピクッ
提督「だからってわけじゃないけど…イムヤに嫌われるのも嫌だし、許して欲しいな…」
168「…………」
提督「なんなら、一つだけイムヤの言うことなんでも聞くから…」
168「………なんでも?」チラッ
提督「うん、なんでも」
168「なんでもするの?」
提督「イムヤが言うならなんでもするよ」
蒼龍(これ下手したらまずいやつじゃ…)
168「……じゃあ、これ」シュル
提督「え?ガーゼと包帯、外して大丈夫なの?」
168「ううん、まだ血も止まってない」
提督「……??なら、なんで…」
168「首…司令官のせいで切っちゃった」
提督「う、うん」
168「舐めて?」
提督「えっ」
168「なんでもするんでしょ?」
提督「え、そ、そうだけど」
168「じゃあほら、ここ」クイ
提督「う、うん…」
提督「じゃあ…いくよ…」スッ
168「うん」
提督「……………」
チロ…
168「っ……」
提督「……痛くない?」
168「ええ…続けて」
提督「ん…」
ペロ
168「あっ……はぁ……///」ゾクゾク
飛龍(……なにこれ)
蒼龍(なんだろうこれ…)
提督「…………」ペロ…
168「あぁ…はぁ…///」
提督(血の味…やっぱり、美味しいとは思えないけど…なんだか変な感じ…)レロ…
168「んっ、あ…噛んで…」グイ
提督「はむ…」カプ
168「んんっ…///」ゾクゾク
提督(すごい反応してる…気持ちいいのかな)チュ ペロッ
168「ぅあ…はぁ、はぁ…」ギュ
提督(いつまで続ければいいんだろう…)チュウ
蒼龍(いつまでやってるんだろう…)
飛龍(いつまで続くんだろう…)
金剛(絵面がヤバすぎるネー…)
提督「あむ……」アグ
168「んっ…ふぅ…もう大丈夫、満足したから」
提督「ん…わかった」スッ
蒼龍(うわ…糸引いてる…)
168「ふふふ…司令官の証、付けてもらっちゃった」サスサス
提督「えーっと…これで許してもらえたかな…」
168「うん、司令官を嫌いになんてならないわ」
提督「そっか…よかった」
168「ねえ、また今度もしてくれる?気持ちよかったから」
提督「え?うん、いいけど」
168「ふふ、約束ね…それじゃ」
提督「うん」
バタン
提督「やー、許してくれたみたいでよかったね」
蒼龍「そ、そうだね…」
飛龍(一歩間違えたら大変なことになってると思うんだけど…)
金剛(あれ絶対ヤバイタイプのメンヘラデース…)
提督「で…これ、まだ続けるの?もうそろそろ胃が痛いんだけど…」
飛龍「確かに、思ったより大変なことになりそうでリスクが…」
蒼龍「…次あたりで終わりにしようか」
飛龍「だね…」
提督「すぐ終わるんじゃないんだ…」
蒼龍「せっかくだし最後までやりたいでしょ!」
提督「いや、私は…」
蒼龍「ねっ!!」
提督「……そうだね……」
蒼龍「それじゃ、あらかじめ次のシチュエーションを考えておこうか」
飛龍「だね、どんなのがいい?」
金剛「他殺はやりましたからネー、自殺はどうデスカ?」
蒼龍「自殺ねえ…いいかもしれないけど、ちょっとインパクトが弱くない?すぐバレるかもしれないし」
金剛「むぅ…確かに」
提督(ドッキリとはいえ、目の前で自分が死ぬ時のシチュエーションを議論されるって複雑な気分…)
飛龍「……あ!いいのが思い浮かんだ!」
蒼龍「どんなの?」
飛龍「まずはね………」
〜〜〜
提督「……………」
加賀「……ねえ」
提督「……………」
加賀「…聞こえてる?」
提督「………え?あ、ああ…どうしたの?」
加賀「最近はいつもこうね」
提督「え…な、なにが?」
加賀「何をしていても上の空、といった調子だけど」
提督「そ、そうかな…」
加賀「悩み事でもあるの?」
提督「……いや…」
加賀「…………」
加賀「私に言えないようなこと?」
提督「……!」
加賀「言いたくなければ、言わなくてもいいけれど…できることなら力になりたいわ」
提督「…………」
加賀「駄目?」
提督「……加賀…」
加賀「ええ」
提督「私……私…」
加賀「…………」
提督「っ……ごめん…やっぱり、言えそうにない…」
加賀「…そう」
提督「………ちょっと、頭冷やしてくるね」ガタ
加賀「ええ」
バタン
加賀「……………」
加賀「はぁ……」
飛龍「? 加賀さん、どうしたんですか?」
加賀「……どうもしてないわ…」
飛龍「机に突っ伏しながら言われても説得力ないですよ」
加賀「…………」
飛龍「相談なら乗りますよ?」
加賀「………あの子がね…」
飛龍「提督ですか?」
加賀「ええ…」
飛龍「ふんふん。で、提督がどうしたんですか?」
加賀「最近、ぼーっとしていることが多くて…」
飛龍「いつも通りじゃないですか」
加賀「そう言えばそうなのだけれど…いつものとは様子が違うような気がして…」
飛龍「はあ」
飛龍「聞いてみたらいいじゃないですか」
加賀「それが、私にも話してくれなくて…」
飛龍「あら、珍しい」
加賀「私、嫌われたのかしら…」ズーン
飛龍「ど、どうですかね…それはないと思いますけど…」
加賀「死にたい…」
飛龍「提督が加賀さんを嫌うなんてありえないですよ…なんなら無理やりにでも聞き出せばいいじゃないですか」
加賀「……それもそうね。もし本気の浮気とかだったらきっちり分からせてやるわ」ガタ
飛龍「あはは、その意気ですよ」
加賀(まったく、あの子は…人に心配をかけさせて…)
パァン
加賀「………!?」
加賀「銃声…?執務室から…!?」
ダッ
バンッ
加賀「提督!」
赤城「あ………」
提督「」ドクドク
加賀「……え……?」
加賀「赤城……さん…」
赤城「ちが…ちがうん、です…これ、は…」
加賀「まさか………あなたがやったの…?」
赤城「……!!」
加賀「っ」ギリッ
赤城「ま…待ってください!」
加賀「何…?」ピクッ
赤城「提督が……殺してほしい、って…」
加賀「は……??」
赤城「私だって、なにがなんだか…提督が…私を殺してって、この銃を…私に…」
加賀「殺して、ほしい…?」フルフル
加賀「どうして、こんなこと……」
赤城「加賀さんが来たら…これを渡せと提督が…」スッ
加賀「…手紙…」
ピラッ
加賀へ
これを読んでいるということは、もう私は鎮守府の誰かに頼んで殺されてるんだろうね。けど、決して私を殺した子を恨まないでほしい。だってこれは、私が頼んだことだから。
短く書けば、私が死のうと思ったのは例の深海の子の存在が海軍部にバレてしまったから。 反逆を起こしかねない人間だと言われて、すぐに殺されることになる。誰かに相談すれば、その子だって巻き添えになるかもしれない。本当は加賀にだって言いたかったけど…ごめん。
だから、せめてみんなには迷惑をかけずに死にたかったんだ。けど、私には自分を殺す勇気がなかった。だから、決心がついたとき誰かに頼んで私を殺してもらおうと思ってる。
その子には罪悪感を背負わせちゃうけど…きっと加賀が上手くやってくれるって信じてる。最期まで迷惑をかけて、ごめん。いつも苦労させて、ごめん。責任を負わせて、ごめん。
最後になるけど…愛してる、加賀
加賀「ッ……!!」
加賀「どうして…言ってくれなかったの…」ストン
加賀「私……あなたを守って死ねるのなら、本望だったのに…こんなことなら…」
加賀「ずっと、あなたのそばにいるべきだった…」ポロポロ
赤城「……………」
加賀「うっ……うっ、う…っ……」
赤城「加賀さん……」ポン
加賀「…………?」クル
赤城・蒼龍・飛龍「いぇーい」つ【ドッキリ大成功】
加賀「……………」
提督「うぅ…ごめんね、加賀…」
加賀「……………」
ギュ
提督「ふぎゃ!?」
加賀「よかった……無事でよかった…」ギュウウウウ
提督「折れるぅううう!!??」メキメキ
蒼龍(あれ、なんか見たことあるこれ…)
加賀「……………」ギュウ モフモフ
提督「あのー、加賀…くすぐったいんだけど、そろそろ離してもらっても…」
加賀「嫌」ムギュ
提督「ですよねー…」
赤城「いやー、しかし泣いてる加賀さん可愛かったですねえ」
蒼龍「ですねー、滅多に泣かないからちょっと得した気分かも」
加賀「やめなさい」
飛龍「それにしても、赤城さんが提督を殺してる現場を見たときの加賀さん怖かったね」
赤城「はい、本気で殺されると思いました」
加賀「あのときは…自分でも何を考えていたのか…」
提督「ほんとごめんね…加賀を残して死んだりなんてしないからね…」スリ
加賀「ええ…」ポン
提督「……あ、そうだ。蒼龍、飛龍」
蒼飛龍「「?」」
提督「お仕置きの件、忘れてないよね?」
飛龍「あっ…」
蒼龍「やばっ…」
加賀「お仕置き?」
提督「このドッキリの発案者、この二人なんだよ」
加賀「……ほう」
蒼龍「えっ…あ、あの…か、加賀さんも…」
加賀「当然、やるわ」
飛龍「ひいっ!!」
蒼龍「お、お手柔らかにね!ね!?」
提督「できません」
蒼飛龍「「ひぃー!?」」
蒼龍「はーっ、はーっ」
飛龍「ひい…ひい…」
ドドドド
蒼龍「ぎゃーっ!?」
飛龍「ひいぃー!?」
提督「ほらほら、早く走らないと加賀に爆撃されるよー」ピッピッ
蒼龍「わーん!やだやだやだぁー!」
飛龍「お、お助けぇー!」
提督「あと10周!これが終わったら腕立て腹筋スクワット300回ずつだよ!」
蒼龍「し、死ぬ…」
飛龍「スパルタすぎる…」
加賀「……………」(ゲス顔)
ドッキリおわり
その後二度と二人はドッキリの悪だくみをしなくなったそうな
「うわぁー!?ちょ、ちょっとぉ!?」
飛龍「今の声って…」
木曾「提督のだな…外からか」
蒼龍「行ってみよう!」
タタタ…
ガチャ
ヲ級「…………」スタスタ
提督「ちょちょちょ、この体勢は頭に血が昇るって!せめて逆にして!」バタバタ
木曾「あ!お前、何をしているんだ!」
ヲ級「………?」クル
提督「あ、木曾!と飛龍に蒼龍!」
飛龍「まさか…提督を連れ去る気!?」
蒼龍「やっぱり敵だったの…!?」
提督「あ、違うよ!そうじゃなくて」
木曾「なんでお前がそれを言うんだ」
提督「ほら、これ!」サッ
木曾「…なんだその食材」
提督「あとフライパンとガスコンロもあるよ!」
木曾「…それで?」
提督「これでヲ級ちゃんの仲間たちがいる海底洞窟でご飯を作ってあげるの!」
ヲ級「ソウイウコトダ」
木曾「馬鹿じゃないのか」
蒼龍「そ、そうだよ!その子は友好的かもしれないけど、敵のいる場所に自分から入っていくなんて自殺行為だよ!?」
飛龍「そ、そうだよ!危険だって!」
ヲ級「……私モ同胞タチモ、ナニモシナイト約束シタ…」
提督「だってさ、信じてあげようよ」
飛龍「えぇ…」
ヲ級「……ナンナラ、護衛ヲツケテモイイ…」
飛龍「護衛か…まあ、それなら一応安心はできるけど…」
蒼龍「でも、海底洞窟って潜らなきゃ行けないんじゃないの?」
木曾「俺たちに潜水能力はないしな…」
提督「…じゃあ、潜水艦?」
飛龍「それだ!」
蒼龍「じゃあ、私あの子達呼んでくる!」パタパタ
木曾「…しかし、なんでずっとお米様抱っこなんだ?」
提督「さあ…」プラーン
168「…で、私たちが呼ばれたと」
蒼龍「そういうこと。提督の護衛、よろしくね」
19「この子は攻撃なんてしてこないのね」
飛龍「それでも一応、だから。魚雷は持ってきた?」
58「はっちゃんが持ってるでち」
8「この本に全員分」
飛龍「よし。それじゃ準備はできたかな」
提督「…あれ?ところで、私はどうやって海底洞窟に行くの?」
ヲ級「ソノコトナラ心配ハイラナイ…用意ハシテアルカラナ」
提督「あ、そうなんだ。で、それはどこにあるの?」
ヲ級「アレ…」サッ
提督「アレ?」チラッ
浮遊要塞「…………」プカプカ
提督「……………」
提督「一応聞くけどさ」
ヲ級「?」
提督「アレ?」
浮遊要塞「……………」
ヲ級「アレ」
提督「……他の手段は?」
ヲ級「ナイ…」
提督「………あっ、私ちょっと用事を思い出しちゃったから帰るね」
ヲ級「ダメ」ポイッ
提督「ぎゃー!??」
浮遊要塞「」バクン
168「司令官!」
ヲ級「大丈夫……水モ入ッテコナイカラ…」
「うわ、意外と居心地がいい…」
19「……大丈夫そうなのね」
ヲ級「ソロソロ行コウ…ツイテキテクレ」
168「それじゃ、行ってくるわね」
飛龍「一応気を付けてね?」
58「はーい」
木曾「何かあったらすぐ通信を寄越すんだぞ」
19「分かってるのね」
ヲ級「オ前モ…ツイテコイ」ピョンッ
ザブン
浮遊要塞「…………」ゴロン
ザブン
飛龍「……大丈夫かなあ」
蒼龍「さあ…」
ドボンッ
提督「!」
ゴポポ…
提督「……もう潜ってる、のかな…なんとなく水の中にいるみたいな感覚だし…」
提督「というか、さっきヲ級ちゃんがこの子に話しかけてたけど…この子にも意識はあるのかな…」
提督「口の中だし、叩いてみたら何か反応するかも…」
提督「…………」ワクワク
提督「……えいっ」コン
ベロン
提督「ひょわあっ!?」
「食ベチャダメダゾ…」
「その子も生きてるの?」
「一応ナ…」
提督「…食べるとか聞こえたけど…き、気のせいだよね…」
〜〜〜
提督「……………」
提督「…ふあぁ……」
提督「はぁ…」
提督(今どのあたりなんだろ…ゆらゆら揺れるし、いい感じにあったかいし…眠くなってきちゃった…)
提督「……………」ウトウト
「提督!生きてる?」ガンガン
提督「うわっ」ビク
「アマリ叩クト、コノ子ガ怒ル…」
「司令官、ついたわよ!今開けるから」
ギギギ
提督「う……」
8「眩しいですか?ゆっくり目を開けてください」
提督「…………」パチ
58「どお?慣れてきた?」
提督「……わぁ……綺麗…」
168「光が差してるということは、地上のどこかと繋がってるの?」
ヲ級「ン…多分、剥キ出シニナッタ岩場カラ光ガ届イテル…」
19「ところどころ水が出てるのはそういうことなのね」
ヲ級「コッチ…同胞タチガ待ッテル…」スタスタ
提督「あ、うん。この子はここに置いていっていいの?」
ヲ級「帰リモソレヲ使ウカラ、ソノママデイイ…」
提督「そっか、わかった」
提督「……………」キョロキョロ
ヲ級「…ドウシタ?」
提督「え?ああ…綺麗な場所だなって…」
ヲ級「ソウカ…?」
提督「うん、この鍾乳石だって…水が伝って、光ってるみたい…」
168「普段潜ってる私たちからしたら、そんなに珍しいものでもないのよね」
8「ええ、割とよく見る光景ですね」
提督「それでも、ただの人間の私には滅多に見られるものじゃないから…ふふふ、嬉しいかな」ニコ
168「あぁーー………」
19(ほんと無意識にこういうこと言うのくっそ可愛いのね)
8(ぶち犯したい…)
提督(色んなところに貯水されてる場所がある…あれは、駆逐イ級?普段見るのより小さい気がするけど…)
提督(幼体は水中でしか活動できなかったりするのかなあ…)
提督(だとしたら…深海棲艦って両生類?カエルと同じ…?ヲ級ちゃんが外は暑いって言ってたし、陸上生活が可能としても水辺での環境に依存してるってことはやっぱりその線が濃厚になる…)
提督「………ん?」
「……………」ヒョコ
提督(…あれって…駆逐棲姫?だっけ)
提督(こっちの様子を伺ってる…のかな)
提督「……………」
提督(…近付いてみようかな)スタスタ
駆逐棲姫「……!」
168「あれ?司令官、どこに行くの?」
提督「ん、ちょっとね」
駆逐棲姫「……………」アセアセ
ドサッ
提督「あ…」
駆逐棲姫「……………」キッ
提督「そっか…君、足がないんだっけ」スッ
駆逐棲姫「!」ビク
提督「大丈夫だよ、酷いことなんてしないから…」
駆逐棲姫「……………」
駆逐棲姫「……アナタハ…」
提督「!」
駆逐棲姫「アナタハ…敵ジャ、ナイ…ノ…?」
提督「うん、君たちからしたら憎い敵かもしれないけど…私は君たちと仲良くしたいと思ってここに来たの」
駆逐棲姫「……………」
ヲ級「テイトク、何ヲシテル?」
駆逐棲姫「ア…」
ヲ級「ム…」
駆逐棲姫「……コノ人ヲ連レテキタノハアナタ?」
ヲ級「アア…」
駆逐棲姫「ソウ……ナラ、信ジテミル…」
提督(よかった…)
提督「これから君の仲間と一緒にご飯を食べるんだけど…君も一緒にどう?」
駆逐棲姫「テイトク…ハッ」
提督「?」
駆逐棲姫「アナタガ、今度ゴ飯ヲ作リニキテクレルト話シテタ人…」
提督「あ、伝わってたんだ」
駆逐棲姫「……アナタノ料理、スゴク美味シイ…ソウ聞イテイル」
提督「えへへ、そうみたいだね」
駆逐棲姫「…私モ、イイ…?」
提督「もちろん!ほら、私が運んであげる」ギュ グイッ
駆逐棲姫「ワッ…ア、アノ…」
提督「どうしたの?」
駆逐棲姫「……イ、イエ…///」プイ
ヲ級「……………」
駆逐棲姫「……………」ジー
提督「……?私の顔に何かついてる?」
駆逐棲姫「イエ…」フッ
提督「??」
駆逐棲姫(ドウシテ…コノ人ニ抱カレテイルト、安心スル…)
提督「……………」
提督(それにしてもこの子…帽子といい髪型といい脚のバンドといい…春雨に似てるような…)ジー
提督(……気のせいかなあ……)
ヲ級「……………」ギュム
提督「いたた!?な、なんでつねるの!?」
ヲ級「…テイトクノ馬鹿…」
提督「え?え??」
58(クッソ無自覚でち)
168(そりゃあお姫様抱っこなんてしたら嫉妬されるでしょうに…)
ヲ級「コノ奥ニ、同胞タチガイル…」
提督「もうみんな集まってるの?」
ヲ級「一応言ッテキタカラ、多分…」
ザッ
港湾棲姫「! オ前…」
提督「あ…えっと、港湾棲姫?だっけ」
港湾棲姫「…港湾デイイ。来テクレタノカ」
提督「うん、ほぼ無理やりだけど…」
港湾棲姫「ソウカ…オ前、アマリ手荒ナコトハスルンジャナイゾ…」
ヲ級「アア…」
港湾棲姫「サテ……ソノ道具ガ、料理ニ必要ナモノカ?」
提督「え?ああ、うん」
港湾棲姫「重イダロウ、私ガ持ッテヤル」スッ
提督「あ…ありがとう、ふふ」
港湾棲姫「…ナゼ笑ウ?」
提督「優しいなーって思って」
港湾棲姫「……今ハオ前ガ必要ナダケダ」
提督「あはは、確かに」
ザワザワ…
提督「ん…騒がしくなってきた…」
港湾棲姫「…一応私ノ後ロニ居ロ、何カアッタラマズイカラナ」
提督「うん…」
19「じゃあイク達も提督の周りにいるのね」ギュー
提督「それ、ただ抱き着きたいだけじゃ…」
ザッ
港湾棲姫「戻ッタゾ」
ヲ級「タダイマ…」
港湾水鬼「ソノ挨拶ハヤメロト……ム」
提督(あ、気付かれた…)
港湾水鬼「…ソウカ。貴様ガアノ泊地ノ司令官カ」ギロ
提督「う…」
ヲ級「大丈夫…手ハ出サセナイカラ…」サッ
港湾水鬼「敵デアル私タチノ根城ニノコノコ来ルトハ…馬鹿ナヤツダ…」
提督「…………」
港湾棲姫「ソウ構エルナ…今ハ争イニ来タンジャナイ」
港湾水鬼「…オ前ガ呼ンダノカ」
ヲ級「アア…」
港湾水鬼「……行ケ」
提督「え…いいの?」
港湾水鬼「マダ貴様ヲ信用シタ訳デハナイ…シバラクハ付キ合ッテヤル」
提督「…う、うん」
ヲ級「行コウ…」ギュ
提督「あ、ちょっ」
168「攻撃してこないとは分かっていても、こうも周りに敵しかいないと緊張するわね…」
8「ここだと魚雷も撃てませんし、襲われたらひとたまりもないですね」
スタスタ…
港湾水鬼「……………」
港湾棲姫「……オ前、アノ提督ヲ撃トウトシタナ」
港湾水鬼「…敵ヲ殺ソウトシテ何ガ悪イ?」
港湾棲姫「違ウ…彼女ハ敵ジャナイ…」
港湾水鬼「……ハッ、ドウダカ…」
駆逐棲姫「……アノ…」
提督「ん…どうしたの?」
駆逐棲姫「水鬼サマハ…人間ヲ憎ンデイルカラアナタニハアンナコトヲ言ッタケド、本当ハ優シイ方ナノ…」
提督「……うん。またあとで、お話しないとね」
駆逐棲姫「ハイ…」
ヲ級「ゴ飯…ドコデ作ル?」
提督「あー…この広場でいいんじゃないかな?机になりそうな岩もあるし、砂場だから座りやすいでしょ」
ヲ級「ソウダナ…」
提督「ヲ級ちゃんも手伝ってね、いっぱい作るから」
ヲ級「オムライスモ作ル…?」
提督「うん、もちろん」
ヲ級「ヨシ…ナラ頑張ル…」
港湾棲姫「道具ハココニ置イテイイノカ?」
提督「あ、うん。お願い」
ガチャン
提督「よいしょっと……待っててね、美味しいご飯作ってあげるから」
駆逐棲姫「ハイ…」
168「こんな敵の拠点まで来て料理なんて、司令官も変なこと考えるのね」
提督「ヲ級ちゃんに誘われたんだから仕方ないでしょ…せっかくの機会なんだし。ほら、野菜切って」
19「イクも手伝うのね!」
8「はっちゃん、パンが食べたいんだけどなあ…」
58「そう言わずに、手伝うでち」
港湾棲姫「……コッチガ食材カ…」ゴソ
提督「あ、卵も入ってるから割らないように気を付けてね」
港湾棲姫「タマゴ…?」
提督「そうそう……この白いのが卵ね」
コンコン パキッ
港湾棲姫「ア…割レタ…」
提督「こんな風に割れやすいから、取り扱いには気を付けないといけないの。やってみる?」
港湾棲姫「ン……ヤッテミヨウ…」
バキッ
港湾棲姫「アッ…」
提督「あはは!やっぱり初めてだと上手くいかないね」
港湾棲姫「本当ニスグ割レルンダナ…」
提督「まあ、それだけ手が大きいと力加減も難しいよね…」
港湾棲姫「…コレハ邪魔ニナルナ」スポッ ガシャン
提督「それ外せたの!?」
ヲ級「テイトクノオムライスハナ、最高ニ美味シインダゾ…卵ガフックラシテテ、米ノ味モシッカリシテテ…」
駆逐棲姫「オムライス…ナ、ナルホド…」ゴクリ
戦艦棲姫「賑ヤカネ…何ヲシテイルノ?」
港湾棲姫「ン…料理ダ」
戦艦棲姫「アラ、アナタ…確カアノ泊地ノ司令官…」
提督「あ、覚えてくれてたんだ」
戦艦棲姫「モチロン。初メテ見タ時カラ可愛イ子ダッテ思ッテタンダカラ」
提督「へ?」
戦艦棲姫「フフフ…近クデ見テモヤッパリ可愛イワ…」ピト
提督「え、えーっと…」
スパァン
戦艦棲姫「痛ァイ!??」
ヲ級「暇ガアルナラ手伝エ…」ヒュンヒュン
戦艦棲姫「ショウガナイワネェ…」
スタスタ
提督「……し、深海にも変わった子はいるんだね…」
港湾棲姫「ソ、ソウダナ…」
提督「こう、一度ヒビを入れて…」パキッ
港湾棲姫「コウカ…?」パキッ
提督「そうそう、そのヒビから指を入れて両側に開くように…」
港湾棲姫「……………」パカッ
提督「おー、上手上手!」
港湾棲姫「ナルホド…フフ、コツヲ掴メバ簡単ナモノダナ…」
「てーとくー!これどうやるのー!?」
提督「あー…ちょっと行ってくるから、卵割っててくれるかな」
港湾棲姫「アア、任セロ…」
提督「それじゃ、よろしく」
パタパタ…
港湾棲姫「サテ……ン?」
北方棲姫「…………」ヒョコ ジー
港湾棲姫「……オ前モヤルカ?」
北方棲姫「!」パタパタ
提督「はいはい、呼んだ?」
戦艦棲姫「アラ、来テクレタノネ…」
19「呼んだのはイクなのね!」
提督「う、うん…で?」
19「これ、どうやって使うの?」
提督「あ、飯盒かぁ…ちょっと待って」
ゴソゴソ
提督「はいこれ、とりあえず火を点けられるように木を並べて」
19「はーい」ガラガラ
戦艦棲姫「……?コレハ何ヲスル道具ナノ?」
提督「この中にお米を入れて炊くんだよ」
戦艦棲姫「オコメ…?タク……??」
提督「あー……まあ、やってみた方が早いかな。イクたちみたいに木を並べておいて」
戦艦棲姫「エエ」
168「あー…だから、ニンジンとジャガイモはもっと細かく…」
ネ級「………??」
空母水鬼「コレデモ大キイ、ノカ…?」
提督「イムヤー、どうしたの?」
168「ん、司令官…大鍋があったからカレーを作ろうと思ってるんだけど、みんな思いの外料理の腕がね…」
提督「まあ、初めてだろうし仕方ないよ…で、何が困ってるの?」
空母水鬼「ニンジントジャガイモガ大キイッテ…」
提督「あぁ……これはちょっと大きすぎるね…たぶん切り方が悪いんだと思うよ」
空母水鬼「ドウスレバイイ…?」
提督「ちょっと後ろ失礼するね」スッ
ギュ
空母水鬼「ンッ」
提督「こう、切るものをしっかり押さえて…手首の先に力を入れて、ざくっと」クイ
ザク
空母水鬼「オオ…」
提督「ね、簡単でしょ?綺麗に切れるし」
空母水鬼「ナルホド…オ前、優シイ…」ポンポン
提督「あはは、くすぐったいよ」
168「…………」ムスッ
駆逐棲姫「ア、アノッ……ワ、私モ…」
提督「はいはい、教えてあげるね」
ギュ
駆逐棲姫「…………!!」
提督「指、切ったら危ないから丸めて…ほら、猫みたいに」クイ
駆逐棲姫「ハ、ハイ…」
提督「で、そのままざくっと…そうそう」
駆逐棲姫「ア……デキタ…」
提督「なかなか上手だよ、この調子でよろしくね」
駆逐棲姫「ハ、ハイ……アノ…」
提督「?」
駆逐棲姫「ア……アリガ、トウ…」
提督「……うん、どういたしまして」ナデナデ
駆逐棲姫「//////」ポッ
168「〜〜〜〜〜!!」ギリギリ
提督「ふぅ、野菜はこれで大丈夫そうかなー」
レ級「………??」ヒョイ パク
58「あー!?」
レ級「〜!」キラキラ ヒョイパク
提督「こ、こら!そのまま食べちゃダメ!」
レ級「〜〜〜♪」ピョンッ スタタ
168「あ、逃げた!」
提督「だ、誰か捕まえて!」
19「ふー、あとは火を点けてお米を入れるだけなのね」
ヲ級「火……ドウヤッテ点ケル…?」
8「ライターを持ってきているので、お米を出しておいてください」
戦艦棲姫「オ米ッテ、コレ?」
19「それなのね」
ヒョイッ
戦艦棲姫「?」
レ級「〜〜〜♪」パタパタ
19「あー!?お米取られたのー!!」
戦艦棲姫「マア…アノ子ッタラ元気ネ…」
19「のん気なこと言ってないで捕まえるのね!」
レ級「〜〜♪」ゴソゴソ ボリボリ
提督「こらー!」バッ
レ級「!?」
ドサッ
提督「捕まえた!ほら、野菜とお米返しなさい!」ガシッ
レ級「〜!?〜〜!!」バタバタ
提督「こら、暴れないの!ああっ、もう!」
レ級「ア……!」
提督「これは生で食べちゃダメなの!もう少し待てば美味しいご飯ができるから、それまでじっとしてなさい!」
レ級「ゴ……ハ、ン…?」
提督「そう、ご飯」
レ級「ゴハン…ゴハン!ゴハン!」ピョンピョン
提督「はいはい…向こうで座って待ってようね」
提督「はぁ……いやーごめんね、ちょっと手間取っちゃった」
港湾棲姫「ン…戻ッタカ」
北方棲姫「!?」ササッ
提督「ん?」
北方棲姫「…………」チラッ ジー
提督「その子…」
港湾棲姫「アア…北方、隠レナクテモイイゾ…彼女ハ怖イ人ジャナイ…」
北方棲姫「……ホント…?」
提督「怖くないよー、ふふ」
北方棲姫「…………」ソーッ
提督「………えーい!」ガバッ
ギュー
北方棲姫「ギャーッ!?」バタバタ
提督「あははは!あったかーい!」
バッ
北方棲姫「カッ、カエレ!カエレ!」
提督「ふふふふ、怖くないよー、おいでー」
港湾棲姫「オ前…」
アハハハ
キャッキャ
港湾水鬼「フン…人間ナドト仲良クシオッテ…」
駆逐棲姫「デモ…アノ人ハ、悪イ人デハナイト思イマス…」
港湾水鬼「ダカラト言ッテ心マデ売リ渡スノカ?」
駆逐棲姫「ソレハ……」
港湾水鬼「ヤツラハ敵…私タチノ敵ダ、ソレヲ忘レルナ」
駆逐棲姫「……ハイ…」
〜〜〜
提督「ほいっと……あとは大皿に盛って、あがり!」
レ級「ゴハン!ゴハン!」チンチン
提督「こら、食器をチンチン鳴らすのはお行儀が悪いからやめなさい」
8(チンチン……録音しておけばよかった…)
レ級「オギョーギ??」
提督「あー……まあ、それはまた今度でいいか…」
168「おかずも並べておくわよー?」
提督「うん、ありがと…はい、お箸」
戦艦棲姫「……??コレハ何ヲスル道具ナノ?」
提督「あ、それは…こうして持って…」ギュ
戦艦棲姫「コレデ食ベルノ?不便ネ…」
提督「手に持って食べると熱いから…まあ、慣れないとは思うけど頑張って」
ヲ級「……………」ジー
提督(そういえば、ヲ級ちゃんもお箸使うの初めてだっけ…教えてあげた方がいいかな)
ヲ級「……………」カチャ…
提督「……あれ?ヲ級ちゃん、お箸使えるの?」
ヲ級「ア…テイトク…」
提督「…うん、握り方もちゃんとしてる。もしかして、誰かに教えてもらったりした?」
ヲ級「誰カ、ニ…?誰……?アレハ…カガ…?」
提督「加賀?加賀に教えてもらったの?」
ヲ級「カガ…教エテモラッタ…?イヤ、違ウ……?私ハ…誰カニ、教エテイタ……」
提督「………??」
ヲ級「…………私、ハ……?」
「ギャーッ!??」
提督「!」
19「あー!だからちゃんと冷まさないとダメだって言ったのね!」
レ級「ハヘッ、ヒーッ」
提督「あ、レ級ちゃん!まだいただきますって言ってないでしょ!」
パタパタ…
ヲ級「………………」
提督「食べる前はちゃんと、いただきますって」
レ級「イタダキマス!!」
戦艦棲姫「イタダキマス?」
提督「はい、もう食べても…ってレ級ちゃん、それだとまた火傷するよ」
レ級「ゴハン!」
提督「……そ、そうだね。こう、ふーっ、ふーって」
レ級「フーッ、フーッ」
提督「そうそう、それくらいならいい感じじゃない?」
レ級「イタダキマス!」
パクッ
レ級「〜〜〜〜!!!!!」キラキラ ギュルル ボスボス
提督「う、うん…美味しいのは分かったけど、尻尾巻きつけて叩くのはちょっと痛いかな…」
戦艦棲姫「ソンナニ美味シイノネ…ジャア、私モ」
駆逐・港湾・北方「「「イタダキマス」」」
パク
港湾棲姫「……!コレハ……」スッ パクパク
駆逐棲姫「オムライス…美味シイ…」モグモグ
北方棲姫「……!カレーモ、美味シイッ…!」キラキラ
提督「ふふ、お口に合ったみたいでよかった。ほら、他の子たちの分もあるからみんなたくさん食べてね!」
ガヤガヤ…
港湾水鬼「………人間ノ食べ物ナドデ喜ビオッテ…」
ツンツン
港湾水鬼「…………?」
ヲ級「…………」スッ
港湾水鬼「………ナンダ、ソレハ…」
ヲ級「オムライス…」
港湾水鬼「イラン……」プイ
ヲ級「ドウシテ…?」
港湾水鬼「人間ノ食べ物ナド私ニハ不要ダ」
ヲ級「美味シイノニ…」
港湾水鬼「…………」
ヲ級「…………」
港湾水鬼「………不味カッタラスグニ捨テルカラナ」カチャ
ヲ級「……!」
港湾水鬼「全ク…揃イモ揃ッテコンナモノデ…」パク
ヲ級「…………」
港湾水鬼「…………」モグモグ
ヲ級「…………」
港湾水鬼「…………」モグ…
ヲ級「…………」
港湾水鬼「……マア、悪クハナイナ…悪クハ…」パク モグモグ
ヲ級「…………」フッ
〜〜〜
ヲ級「ゲフ……」
戦艦棲姫「フー…人間ノ食べ物ッテコンナニ美味シイノネ…」
提督「すごい…あんなにいっぱいあったのに全部食べちゃった…」
レ級「ゴハン〜」ユサユサ
提督「え、ま、まだ足りないの?えーと…あ、グミがあった…」
レ級「ゴハン!」パタパタ
港湾棲姫「美味シカッタカ?」
北方棲姫「美味シカッタ!」
港湾棲姫「…ソウイウコトダ。感謝スル」
提督「あ、ううん。こちらこそ、ありがとう」
港湾水鬼「……オイ」
提督「は、はい!」
港湾水鬼「…貴様ト話ガシタイ。他ノ者ハ下ガレ」
駆逐棲姫「ハイ…」
ゾロゾロ
提督「……………」
港湾水鬼「サテ……マズハ、同胞タチニ食事ヲ振ル舞ッテクレタコトニ感謝シヨウ」
提督「あ、うん…どうも」
港湾水鬼「ダガ、貴様ハ敵ダ。私タチガ殺ソウトシテイル、ナ」
提督「…それは、分かってる…」
港湾水鬼「分カッテイテココニ来ルトハ…気デモ狂ッテイルノカ?」
提督「…確かに、端から見たらそうかもしれない」
港湾水鬼「ホウ」
提督「けど、私は敵じゃない。あなたたちと話をしに来たの」
港湾水鬼「話…?」
提督「そう。人間と深海棲艦が、手を取り合える未来を作るために」
港湾水鬼「……和平交渉、トイウコトカ…」
提督「…………」コク
港湾水鬼「…………」
港湾水鬼「…フフフ……」
提督「…………?」
港湾水鬼「……ソンナモノハ、夢物語ダナ」
提督「!」
港湾水鬼「ツイ先日マデ戦ッテイタ敵ト仲良クシロ、ダト?貴様ガ私ノ立場ナラドウ考エル?」
提督「それは…」
港湾水鬼「貴様ラ人間ノ都合デ…沈ンデ行ッタ同胞タチノ憎シミヲ無クセルモノカ!」
ガッ
提督「うぐっ……!?」
港湾水鬼「フフ……カ弱イナ…」ギリギリ
提督「ぐ…あ、っ…」
168「司令官!」ダッ
戦艦棲姫「……………」ガシャン
駆逐棲姫「……………」ガシャン
8「なっ…!?ど、どうして…!」
港湾水鬼「動クナ。動ケバコイツノ首ヲ折ル」
19「くっ…」
港湾水鬼「今、ソイツラノ意識ハ私ノ支配下ダ…貴様ラノ言葉ナド届キモシナイ」
ヲ級「」
提督(ヲ級ちゃんも…)
港湾水鬼「コノ腕ノ艤装ダケデモ、貴様ヲ殺スコトナド造作モナイ…」ググ
提督「あ…がっ…」
港湾水鬼「和平ダト?笑ワセルナ…直接手ヲ下サマイトモ、貴様ノ指示デ多クノ同胞タチガ沈ンデ行ッタ!」ギリッ
提督「かはっ…」
港湾水鬼「ソノ憎シミガ貴様ニ分カルカ!コノ憎シミノ炎ガ消エヌ限リ、人間ハ永遠ニ私タチノ敵ダ!!」
提督「っ…か、らない…」
港湾水鬼「……?」
提督「分から、ないよ…そんな、こと…」
港湾水鬼「……!ダッタラ……」
提督「けど!!」
港湾水鬼「!」
提督「げほっ…憎しみなんて、分からないよ!けど、大切なものを失って、悲しむ気持ちなら私だって知ってる!」
港湾水鬼「悲シム…?ソンナ心、私ハ持チ合ワセテイナイ!」
提督「違う!仲間を沈められて憎いと思うのは、その子たちを愛していたからでしょう!?」
港湾水鬼「………!!」
提督「あなたの言いたいことだって分かる…けど、もうこの憎しみの連環を断ち切りたいの」
港湾水鬼「…………」
提督「だから、私はあなた達と戦いたくない……でも、もしそれも気に入らないなら…ここで私を殺してくれてもいい」
港湾水鬼「……………」
スッ
提督「!」ストン
港湾水鬼「……少シダケ、時間ヲヤル」
提督「それって…」
港湾水鬼「マダ、貴様ノ全テヲ信用シタ訳ジャナイガ……貴様ノ言葉ヲ、信ジテミタクナッタ…」
提督「……ありがとう」
港湾水鬼「……マタ、ココニ来イ。ソノ時ハ歓迎シテヤル」
提督「…うん」
パタパタ
168「司令官!大丈夫!?」
提督「あ、イムヤ…うん、心配ないよ」
シュル
ヲ級「…別状ハナイ、ミタイ…」
19「あーよかった、提督が殺されるかと思ったの」
提督「あはは…結構危なかったね…」
ーーーーー
ーーー
提督「それじゃ、片付けも済んだしそろそろ帰ろうかな」
戦艦棲姫「エェ、モウ帰ルノ?」
提督「うん、みんなが心配してるかもしれないから」
戦艦棲姫「残念ネ…マタ会イニ来テネ?ウフフ」ピト
提督「う、うん…ち、近いんだけど…」
168「はいはいはいはい!早く帰るんでしょ!ほら、乗って!」
ヲ級「ジャア…送ッテクル」
港湾棲姫「浸水サセナイヨウニナ」
駆逐棲姫「ア、アノ…」
提督「ん?」
駆逐棲姫「ソノ…今度ハ、私ガソッチニ行ッテモ…」
提督「うん、いいよ。美味しいご飯、作って待ってるから」
駆逐棲姫「……! ハ、ハイ…!」
ヲ級「テイトク、乗ッテ」
提督「あ、うん。それじゃ、またあとで」
ガコン
ヲ級「ヨシ…行コウ」
19「はーい!」
ドボン
港湾水鬼「……………」
駆逐棲姫「…ヨカッタノデスカ?」
港湾水鬼「…私ニモ、心ガアル…ソレヲ思イ出サセテクレタ…ダカラ、ソノ恩ヲ返スダケダ…」
駆逐棲姫「……ソウデスカ」クス
ブクブク…
提督「……………」
提督(暗くて、あったかい…)
提督(母さんのお腹にいた時も、こんな感じだったのかな…赤ちゃんの頃は、さすがに覚えてないや…)
提督(でも……なんだろう、この懐かしい感じ…)
提督(私、どこかでこの中に入ったことがある…)
提督(どこだろう……)
提督「……………」
和平交渉おわり
深海勢は駆逐棲姫ちゃんとヲ級ちゃんが好きです
そうですね、誰がトップとかそういうのは特に決めていないけどまとめられるような子がいないので水鬼さんが近海の指揮を執ってる、という感じですね
文月「きゃ〜!」パタパタ
卯月「逃げるっぴょ〜ん!」パタパタ
提督「うへへへ、早く逃げないと捕まえちゃうぞ〜!」
キャーキャー
蒼龍「……あれ、なにやってるの?」
飛龍「ん?あー、なんか提督が駆逐艦の子達の遊びに付き合ってあげてるんだって」
蒼龍「ふーん…提督が一番楽しそうに見えるんだけど…」
飛龍「…それは言わないでおいてあげて」
蒼龍「そ、そうだね…」
提督「そぉーれぇ!」ガバッ
皐月「ひゃあ!?」
ギュー
提督「ぐへへへ」ゴソゴソ
皐月「ふわっ!?ひゃっ、あははは!し、司令官!くすぐったいってばぁ!」バタバタ
提督「ふぅ………」
皐月「はー、はー…」
提督「……次は皐月が鬼ね!10秒数えてからスタート!はい!」
パタパタ
皐月「よーっし、負けないぞー!」
蒼龍「…今服の中に手入れてなかった?」
飛龍「き、気のせいでしょ…」
最上「へーい!パスパース!」
三隈「えいっ!」ポーン
鈴谷「あー!強く蹴りすぎぃ!」
三隈「はっ!や、やってしまいましたわ…」
最上「うわ!?すごい向こうまで飛んでる!」パタパタ
熊野「最上、大変そうですの…」
鈴谷「早めに戻ってきてよー!」
最上「くっそー!」パタパタ
ヒュー…
最上「もー!三隈ったら、どんな脚力してるのさ!」パタパタ
卯月「待てぇ〜い!ふーちゃん、逃がさないっぴょーん!」パタパタ
提督「あはは!ほらほら、こっちこっち!」パタパタ
最上「ぜぇ、ぜぇ…」パタパタ
提督「鬼さんこちらー!」パタパタ
卯月「あ!」
提督「え?」クル
ゴチンッ☆
最上「あいったぁ!?」
提督「〜〜〜!」クラッ
ドサッ
卯月「あー!?ふーちゃん!?」
最上「いたた…!あ、提督!?大丈夫!?」
提督「」キュウ
卯月「き、気絶してるぴょん!」
最上「あわわ、い、医務室に運ばないと…!」
蒼龍「どうしたの!?」
飛龍「提督、気絶してるの!?だ、誰か担架持ってきてー!」
〜〜〜
飛龍「……で、提督は無事なの?」
明石「はい、気を失っているだけです。すぐに目覚めますよ」
最上「よかったー…いやー、ほんと申し訳ないや…」
三隈「もう、もがみんったら焦りすぎでしてよ?」
最上「元はと言えば三隈が遠くにボールを蹴ったからじゃないか」
三隈「まあ…それもそうですわね…」
蒼龍「提督、早く起きないかなあ」ツンツン
提督「ん……う…」
飛龍「あ、起きそう」
提督「うぅ…」パチ
蒼龍「あー!よかった、起きた!」
提督「……ここは…」
飛龍「医務室だよ、わかる?」
最上「あ、提督!ごめんね、ボクがよそ見してたせいでこんなことになって…」
明石「提督、気分はどうですか?吐き気とかはありませんか?」
提督「え、ええ…」
明石「そうですか…なら、別状はないみたいですね」ホッ
提督「あ、あの……」
蒼龍「? どうかしたの?」
提督「……どちら様でしょうか…?」
一同「えっ?」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!???」
飛龍「ちょ、ちょちょちょちょっと!!」
提督「は、はい?」
飛龍「ほんとに覚えてないの!?私のことも分からない!?」
提督「えぇと…すみません…」
飛龍「嘘でしょお……」ガクッ
蒼龍「て、提督…私のことは分かるよね…?ね?」
提督「ごめんなさい、本当になにも…」
蒼龍「」ズシャアアア
最上「そ、蒼龍さんが!」
提督「あの…と、ところでその、ていとく?というのは私のことなのでしょうか…」
三隈「はい、提督は提督です」
提督「そうですか…私の名前は提督と言うんですか…」
明石「ちょ、ちょっと待った!まずは状況の整理をさせてください!」
〜〜〜
明石「えー…あなたの名前は、狭霧風花です」
提督「狭霧、風花…私の名前…」
明石「それ以外のことは何も思い出せませんか?」
提督「……はい、すみません…」
明石「いえ、提督が悪いわけではありません」
提督「ところであの…あなた方のお名前は何と言うのでしょうか…?」
最上「あ、ボクは最上だよ」
提督「最上さん、ですね。下の名前は?」
最上「ん?いや、最上だけだけど…」
提督「え?」
飛龍「私は飛龍ね!」
提督「ひ、飛龍さん…ですか」
蒼龍「私が蒼龍!」
提督「蒼龍……はい」
三隈「三隈と申します」
明石「あ、私は明石って言います」
提督「は、はあ…」
提督(変わった名前ばかり…もしかして、何かの団体だったりするのかな…?)
明石「……ということがあって、私たち艦娘をあなたが率いているわけです」
提督「はあ…」
明石「まだ状況が飲み込めませんか?」
提督「正直…」
提督(危ない宗教か何かじゃないよね…)
明石「まあ、仕方のないことですよね…」
提督「あの…前の私がどうだったかは覚えていませんが、私、相当あなた方に懐かれていたようで…心配をかけてすみません」
蒼龍「ま、まあまあ…そんなに気にしないで」
飛龍「そうそう…で、もう加賀さんには伝えたの?」
明石「これから伝える予定です。提督、経過を見守るためにも安静にしていてくださいね。何かあったら呼んでください」
提督「あ、はい」
〜〜〜
加賀「はぁ……」
加賀(記憶を失くしたって…どこまでのことなのかしら…)
加賀(いや…それより、どう説明すれば…)
加賀(困ったものね……)
加賀「……はぁ……」
提督(知らない部屋に、知らない人たち…何も思い出せない…)
提督(それにしても、この服…本当に軍の人が使ってそうな階級章があるし、嘘を吐かれてるわけじゃなさそう…)
提督(……これからどうするんだろう…)
コンコン
「失礼します」
提督「あ、はい!」
ガチャ
加賀「あ…その…」
加賀(なんと言えばいいのか…)
提督「あ、えっ!?ど、どうも!////」パアアッ
加賀(あ、この子私のこと好きね…)
提督「あ、と、とりあえずお掛けください」
加賀「え、ええ…」
提督「…………」ソワソワ
加賀「ああ…その、まず何から言えばいいのか…」
提督「……?その指輪は…」
加賀「え?あ、これは…」
提督「………ご結婚、なされてたんですね…」ズーン
加賀「い、いえ!そうではなくて…詳しい説明は省くけれど、これはあなたがくれたもので…」
提督「……え?」
提督「えーと…つまり、あなたは…」
加賀「そうね…恋人に当たる、ということね」
提督「あ、婚約者じゃないんですね…」
加賀「いえ、この指輪は…あなたがエンゲージリングの意味もあると言ってくれたのよ」
提督「はあ…じゃあ、私たちは将来を約束した仲だったと…」
加賀「そういうことになるわね」
提督「…あ、あの…不束者ですが、よろしくお願いします…」ペコリ
加賀「え、ええ…」
加賀「…なんとなく、わだかまりがなくなった気がするわ…ありがとう」
提督「い、いえ!そんな、めっそうもない…」
加賀「それじゃ、私はこれで…」
提督「あ…もう行かれるのですか…」
加賀「……また見舞いに来るわ」スッ
チュッ
提督「ひゃっ」
加賀「またね」
提督「は、はい…///」ポー
バタン
提督「……ふふ、えへへへ…」
提督「そっか…私、あの人とお付き合いしてたんだ…」
コンコン
提督(…?よく人が来るなぁ…)
提督「どうぞー」
ガチャ
武蔵「よう、安静にしていろと言われたのにすまないな」
提督「あ、いえ…お気になさらず…」
提督(な、なんだろうこの人…これ、服なの…?というか、肌も黒いし…日本人なの…?)
武蔵「さて…相棒、記憶喪失になったそうだな」
提督「あ、はい…そうみたいで…」
提督(相棒…?)
武蔵「私のことも思い出せないか?」
提督「……すみません、何も…」
武蔵「そうか…まあいい、私の名は武蔵だ。見知りおきをな」
提督「はい、武蔵さん」
武蔵「で、だ…相棒に言わなければならないことなあってな」
提督「……? は、はい」
武蔵「貴様はここに住む百人以上の人間に慕われていてな…好意を持たれていると言った方がいいか」
提督「はあ」
武蔵「私もその一人で、相棒のことを愛している」
提督「そ、それはどうも…//」
武蔵「ただ…その中から一人、相棒が恋人としての関係に選んだのがいるんだ…」
提督「はい…」
武蔵「それがこの武蔵だ」ドン
提督「!!?」
提督「そ、それは本当なのですか?」
武蔵「ああ…悪いな、覚えてもいないことを押し付けがましく言って」
提督「あ、い、いえ…大丈夫、です…」
提督(え…じゃ、じゃあ私って…加賀さんだけじゃなくて、武蔵さんとも恋人の関係を結んでいたということ…?)
提督(でも、指輪はしていないみたいだし……だとしたら、愛人…!?)
提督「……あ、あの…」
武蔵「どうした?」
提督「その…それは、本当に、本当なのでしょうか…」
武蔵「…信じられないか?」
提督「……はい」
武蔵「……そうか」
武蔵「……なら、こうするとどうだ?」
提督「え?……あ」
チュッ
提督「ん……!?」
武蔵「…………」スル ギュ
提督「んんっ……ん…」
武蔵「……ぷはっ」スッ
提督「あ…はぁ…」
武蔵「信じてもらえたか?」
提督「は、はい…///」
武蔵「そうか、ならよかった。…また、時間をおいてから私たちの思い出について話そう」
提督「はい…」
バタン
武蔵「やったぜ。」
提督「…………」
提督(加賀さんだけじゃなくて、武蔵さんとも…)
提督(以前の私は、そんなに浮気性な人間だったんだ…)
バンッ
金剛「テートクゥーー!!!」ドドド
提督「ひゃあっ!??」ビクゥ
ガバッ
金剛「テートクゥ、memoryが消えたってホントデスカー!?」ギュー
提督「え、あ、ええ、そうみたいですが…」
金剛「No!ワタシとの思い出も忘れるなんてイヤデース!」
提督「は、はあ…」
提督「…………」
金剛「ンー…でも、テイトクとの思い出はまた作ればいいデース」
提督「そう、ですね…」
金剛「テイトクぅ〜♪」スリスリ
提督「…あ、あの」
金剛「?」
提督「その…スキンシップが激しいというか…あの、近い…です」
金剛「No problem!ワタシとテイトクはcoupleデスからネー!」
提督「!??」
提督「……………」
金剛「テイトク?」
提督「いえ……なんだか、頭が痛くなってきて…」
金剛「Oh!?大丈夫デスカ?」
提督「一応…」
金剛「頭を打った痛みがまだ残ってるみたいネー、安静にしてるデース」
提督「はい…」
金剛「それじゃ、bye!」
チュッ
提督「!」
パタパタ バタン
提督(嘘じゃなさそう…)ズーン
提督「はぁ……」
提督(まさか…二人も浮気してたなんて…)
提督(私、最低の人間なんじゃ…)
提督(…まさか…)
提督(まさか、この場所にいる艦娘さんたち全員と関係を結んでいるんじゃ…!!)
提督(あり得る…あの様子を見ているとあり得る…!)
ガチャ
雷「司令官、入るわよ!」
電「お見舞いに来たのです」
暁「司令官、記憶が消えたってホント!?」
響「司令官、おっぱいは消えてないよね?」
提督「うわあああああああああああああああああああああああああああ!!!????」
四人「「「「!!??」」」」
雷「し、司令官、どうs」
提督「違うんです!違うんですうぅぅ!!私はこんな小さい子供に手を出すような大人じゃないんですうううう!!」バッ
暁「ちょっ!?司令官、どこに行くの!?」
バリーン!!
提督「あああああああああああ!!!」
電「飛び降りた!?」
雷「ちょっ、ここ2階よ!?」
「わあああああ!!浮気なんてしてないんですうううううう!!」
響「元気みたいだね」
暁「そういう問題じゃないでしょ!」
飛龍「……で、治せるの?」
明石「はい、すぐに手を打ちました。これです」
蒼龍「なにこれ?」
明石「記憶回復薬……その名もメモリンZです!!」
蒼龍「へぇー、すごーい!」
飛龍(絶対提督に借りたリンダキューブやってたでしょこの人…)
明石「まあ詳しい説明は省きますが、ショックによって一時的に眠ってしまった記憶を再構築する薬ですね。効果は保証しますよ」
バタバタ…
バンッ
最上「た、大変だよ!提督が病室から逃げたって!」
飛龍「えっ!?」
蒼龍「は、早く捕まえないと!」
提督「わああああん!!」バタバタ
雷「こらー!待ちなさい、司令官!」
電「ぜぇ…ぜぇ…」
暁「な、なんであんなに足速いの…」
提督「私は潔白なんですううう!!」ダダダ
ボインッ
提督「ふぎゃ!?」ドサ
雲龍「あら…」
提督「あ、あっ…」
雲龍「ごめんなさい、よそ見をしていたわ…大丈夫?」スッ
提督「ひえぇ!?ち、違うんです!浮気なんてしていません!私はあなたを愛していません!!」ブンブン
雲龍「!?」ガーン
雷「雲龍さーん!司令官捕まえてー!」パタパタ
雲龍「え?ええ…」
スッ
提督「とあぁー!!」グイ ポーン
雲龍「!?」
ドシャアア
暁「雲龍さーん!?」
響「見事な巴投げだ」
雷「冷静に観察してる場合じゃないでしょ!」
提督「この罪は!死を以って償いますからあああ!!」
明石「えーい」ドーン
バラッ
提督「いやーっ!?」
バサッ
提督「な、なんですかこれ!?網!?」
明石「ふー、捕獲完了っと」
提督「ち、ちぎれない…!」
明石「暴れちゃダメですよー、艦娘でも千切れないくらい強度があるんですから」
雷「あ!明石さん!」
明石「あらあなたたち、提督を追ってくれてたのね」
電「いきなり2階から飛び出して…大変だったのです」
明石「そ、そうなの…とりあえず、提督を運ぶの手伝ってくれない?」
電「あ、はい!」
提督「出してえぇー!!」
〜〜〜
提督「は、外してください!お願いです!」ガチャガチャ
明石「嫌ですよ。外したら逃げるじゃないですか」
提督「私は死ななければならないんです!」
明石「そんなヒイロみたいなこと言わなくても…」
提督「死ぬほど痛いもので罪を償いますからぁ!」
明石「あーはいはい、少し静かにしておいてくださいねー」シュル キュッ
提督「んー!?」モゴモゴ
明石「ふう、それでは説明をしましょうか」
飛龍(雑だなあ…)
明石「まあ説明とは言っても、簡単なものですけどね」
飛龍「えーっと…そのメモリンZ、だっけ?はどう使うの?」
明石「普通に水で飲ませるだけですよ」
三隈「座薬ではないんですの?」
明石「そっちでもいいと思ったんですけど、提督の尊厳を考えて普通に飲むタイプにしました」
三隈「カプセルだから期待してしまいましたわ…」
蒼龍(もしかしてこの子って変態なんじゃ…)
明石「さてと、それじゃ飲ませてあげましょうか。あまり騒ぎを大きくさせたくありませんし」スッ
提督「〜!?」ビク
ヒイロもどこかで言ってませんでしたかね…なんせ最後に見たのが3年ほど前だったのでかなりうろ覚えですね…
明石「はーい、お薬の時間ですよー」
提督「!? 〜っ!!」ガチャガチャ
明石「はいはい、怖くないですからね〜」
提督「………っ…」フルフル
明石「……………」
明石(あれ?もしかしなくてもこの絵面、犯罪なのでは?)
明石(怯えに潤んだ瞳…吊り上げられた細い腕…自分を守るために折り畳まれた白い足…)
明石(背景を車の中に補完してみよう…)
明石「……………」
提督「…………?」
明石(…あっ完全に犯罪だこれ、完全にハイエースだ)
明石(いやいや、さすがにこんなところでやるのはダメよ明石…やろうと思えばいつでもできるんだから、今は提督に薬を飲ませてあげないと)
明石「よいしょっと」シュル
提督「っは…な、なんですかそれ…まさか浮気薬!?」
明石「浮気薬ってなんですか…」
バタン
加賀「提督!」
武蔵「相棒、ここにいたか!」
金剛「テートクゥー!会いに来たデース!」
提督「ひいぃ!?」
加賀「……何をしているの?」
明石「ああ、今から提督に薬を飲ませようとしているんです」
加賀「この拘束は?」
明石「暴れられると困るので」
加賀「なるほど…無事だったみたいね」
提督「ひぃっ!」
加賀「どうしてそんなに怯えているの?」
提督「ち、違うんです加賀さん!私は浮気なんてしていないんです!」ブンブン
加賀「は?浮気?何のことを言っているの?」
提督「え?だ、だって、そこの二人が提督と私はお付き合いしていたって…」チラッ
武蔵「げっ」
金剛「Shit…」
加賀「…………ほう」
加賀「もう これで終わってもいい」ズズ
武蔵「ま、まずい」
加賀「だから」
金剛「に、逃げっ…」ダッ
加賀「ありったけを」グッ
ボ
武蔵「」
ドザッ
武蔵「げはっーー」
金剛「ヒィッ!!」
加賀「さい しょは グー」ギリギリギリ
金剛「へ、help
ズオッ
ゴッ
金剛「ーーーーー」
ゴシャアッッッ
ドンガラガッシャーン
金剛「」ピクピク
武蔵「」ピクピク
加賀「ふぅ」
提督(あ…サイドテールが元の長さに戻った…)
明石「提督、こっち向いてください」
提督「え?あ」
グイ
提督「むぐ!?」
ゴクッ
明石「これでよし、と」
提督「なに……を………」
コテン
提督「すー……すー……」
飛龍「……寝ちゃったけど、これでいいの?」
明石「はい、記憶の整理は眠っているうちにされますから。提督のお部屋に運びましょうか」
〜〜〜
提督「………ん…」パチ
明石「あ…」
提督「…あれ…私…」
明石「提督、私のこと分かりますか?」
提督「……明石…?なんで私の部屋に…」
明石「!」
加賀「よかった…!」ガバッ ギュウ
提督「うわっ!?か、加賀…!?いきなりなに?」
武蔵「相棒、元に戻ったか」ボッコボコ
金剛「テイトクー!元気そうで何よりデース!」
提督「う、うん…?」
提督(なんで二人とも顔が腫れてるんだろう…)
明石「………ということがあって、提督は記憶を失っていたんですよ」
提督「そ、そうだったんだ…」
明石「どうですか?その時のこと、思い出せそうですか?」
提督「えっと…確か……駆逐艦の子達と鬼ごっこしてたような…」
飛龍「合ってる合ってる」
最上「そこでボクとぶつかっちゃったんだよね…ホント、申し訳ないや」
提督「あ、ううん、大丈夫だよ。こうして元に戻ったんだし、気にしないで」
最上「うん…」
提督「いたたっ!?」
明石「あ。そういえば足の治療がまだでしたね」
提督「うう…な、なんでこんなに傷だらけなの…」
明石「裸足で走るからですよ、もう」
提督「ああ…そういえば、そんなこともしてたような…」
明石「まあ消毒はしましたし、とりあえず食堂でお昼をいただきながら詳しい話でもしましょうか」
提督「うん、そうだね」
加賀「立てる?」クイ
提督「ああ、ありが……とぉっ!?」ズルッ
加賀「っ…!?」グラッ
ゴチンッ☆
明石「うわっ!?」
提督「いたた……あ!ご、ごめん、加賀!大丈夫!?」
加賀「……………」
提督「………加賀?」
加賀「………どちら様ですか?」
提督「えっ」
一同「えっ」
「「「「ええええええええええええええええええええええええええええ!!!!????」」」」
記憶喪失おわり
すぐにメモリンZを飲んだので治りましたとさ
提督「……………」
カン カン カン
提督「…………?」クル
嵐「よっ」
提督「嵐…」
嵐「司令、こんなところで何してるんだ?」
提督「見張り」
嵐「夜間哨戒か?」
提督「うん」
嵐「へー…」
嵐「しかし、なんでまた司令が見張りなんてやってるんだ?」
提督「普段は大淀がレーダーを見てくれるんだけどね。大淀だってずっと起きてられるわけじゃないし、レーダーのメンテナンスも兼ねて時々こうして見張り台で見てるんだ」
嵐「なるほど、それで今日の当番は司令ってわけか」
提督「そういうこと。で、嵐こそどうしたの?」
嵐「ん?俺は昼寝しすぎたから眠れないだけ」
提督「そうなんだ…とりあえず、入る?」バサ
嵐「いいのか?」
提督「うん。眠れないんでしょ?」
嵐「…そうだな。お言葉に甘えるよ」ゴソゴソ
嵐「はーっ…司令、あったかいなあ」
提督「んー…眠いからね…」
嵐「大丈夫か?まだ丑満時だぞ?」
提督「大丈夫大丈夫…食べる?」スッ
嵐「何これ?」
提督「黄金糖」
嵐「ふーん…いただくよ」ヒョイ パク
提督「ふあぁ…」
嵐(あ、美味い…)
嵐「というか、まだ見張りって必要なんだな」
提督「まだ、って?」
嵐「いや、この前司令が深海棲艦の棲家に行ってなんか和解したとか言ってただろ?」
提督「ああ、うん」
嵐「なら深海棲艦は攻めて来ないんじゃないのか?」
提督「あー…そのことなんだけど…」
嵐「ああ」
提督「深海棲艦って、基本的に自我はあるんだけど…それだと的確な指示ができないから、ある程度の下っ端は姫か鬼クラスの深海棲艦が脳波みたいなもので統制してるんだって」
嵐「へー、そうだったのか」
提督「で、この前行った時に意識のリンクは切ったみたいなんだけど、一度出した命令は解除できないんだってさ。なんでも、出せる脳波にも限界はあるらしくて」
嵐「なるほどなぁ…じゃあ後は残党狩りってことか」
提督「そういうことだね」
嵐「なら、これからも気合い入れて行かないとな」
提督「……………」
嵐「…ん?どうした?」
提督「いや、嵐はかっこいいなって思って」
嵐「きゅ、急になんだよ?」
提督「かっこいいっていうか…美形、だね…整った顔立ちだから、真面目な表情だとすごく凛々しく見えるよ」
嵐「あ、ああ…へ、変な司令だな…」
提督「ふふふ」
嵐「…調子狂うなあ」
嵐「……あの、さ」
提督「うん?」
嵐「司令は俺のことかっこいいって言ったけどさ…かわいい、とは思ったりしない…のか?」
提督「…突然どうしたの」
嵐「い、いや、ほら…こんなんだけど、俺だって女の子だからさ…//」ポリポリ
提督「はあ、なるほど…」
嵐「で…ど、どう思う?」ソワソワ
提督「んー……確かに嵐はかっこいいし、女の子らしくないかもしれないけど…」
嵐「う、うん」
提督「そういう風に気にしたりするのは、すごく女の子らしくてかわいいと思うよ」
嵐「!! そ、そっか…そっか、へへへ…///」ドキドキ
提督(あ、黄金糖なくなった…)
嵐「じゃ、じゃあさ…」
提督「うん」
嵐「かっこいい俺と、かわいいっていうか…女の子らしい俺、どっちがいいと思う?」
提督「…難しいこと聞くね」
嵐「なんかわかんないけど司令には答えてもらいたいんだよぉ…なっ、頼むよ」
提督「そうだなぁ…」
嵐「……………」
提督「……………」
嵐「……………」
提督「……………」
嵐「………そ、そんなにどっちもダメか?」
提督「…あ、いや…そうじゃなくて…」
嵐「じゃなくて?」
提督「私はどっちの嵐も好きだし、ありのままの嵐が大好きだよ」
嵐「〜〜〜〜〜!!!///////」バタバタバタバタ
提督「照れてるのかどうかは知らないけど、あんまり毛布の中で暴れないでね」
嵐「……はぁ〜〜司令が司令でよかった……」
提督「…どうも」
嵐「陽炎姉がさ、司令は天然ジゴロだから気を付けろって言ってたんだよ」
提督「う、うん」
提督(天然ジゴロ…?)
嵐「その言葉の意味が今分かったよ!あっはっは!」
提督(……まあ嵐が楽しそうだしなんでもいいや…)
提督「というか、私に聞かなくても萩風や野分に聞けばいいのに」
嵐「やー…萩にものわっちにも聞いたんだけどさ、なんかイマイチピンと来なくて…やっぱり、司令は特別っていうか…他のやつらとは違うっていうか…」
提督「はあ」
嵐「まあ、司令はみんなに好かれてるみたいだし俺のことなんてどうでもいいかもしれないけど…」
提督「そんなことないよ、私だって誰にでもこういうことするわけじゃないんだから」
嵐「そうなのか?」
提督「うん、好きな人にしかしないよ」
嵐「…信頼してる人にしか、だろ?」
提督「ん?まあ、言い換えればそうなるけど…それがどうしたの?」
嵐(これで何人も勘違いさせてきたんだな…なるほど、天然ジゴロと評されるわけだ…)
提督「それにしても…あれだね」
嵐「?」
提督「こうして一つの毛布に包まってると……私たち、なんだか…」
嵐「え…」ドキッ
提督「見張り中のパズーとシータみたいだね」
嵐「……………」
提督「嵐?」
嵐「……司令のバーカ」
提督「えっ」
嵐「なあ、司令」
提督「ん?」
嵐「まだ会ってそんなに経ってないかもしれないけどさ…俺、司令のこと一番信じてるぜ」
提督「そっか。ありがとう」
嵐「司令はどうだ?」
提督「ん?うん、私も嵐のことは信じてるよ」
嵐「へへへ、そっかそっか」
提督「今日はよく喋るね」
嵐「そりゃな、せっかく司令と二人っきりだからな」
提督「そう…」
提督(眠いんだけどなあ…)
嵐「……………」
提督「……………」
嵐「………静かだな」
提督「そうだね…」
嵐「…そういやさ、司令」
提督「ん?」
嵐「今は何もないからいいけどさ、もし敵襲があったらどうするんだ?」
提督「内線電話で大淀に連絡すれば鎮守府から誰か出てきてくれるよ」
嵐「でも結構時間かかるだろ?それまではどうする?」
提督「一応護身用の拳銃はあるけど…」カチャ
嵐「…効くのか?」
提督「効かないと思う」
嵐「なら他に対抗手段なんてないんじゃ…」
提督「そうだね、下手したら死ぬかも」
嵐「だよな…」
提督「……そんな心配そうな顔しなくても」
嵐「だって…司令が死ぬなんて嫌だし…」
提督「大丈夫だよ、そう簡単に死にはしないって」
嵐「………だよな。俺も、司令を守らなきゃな」グッ
提督(ほんとカッコいいなぁ、嵐…)
提督「守ってくれるのはいいけど、夜は怖くないの?」
嵐「え?そりゃあ…まだ、怖いけどさ…」
提督「なら無理はしなくても…」
嵐「けど、それ以上に大切な人を失うのが怖いからさ。司令を助けるためなら何も怖くないぜ」
提督「……………///」ポッ
嵐「…ん?どうした?」
提督「あ…嵐って、結構そういうこと素で言えるタイプなんだね…」ソッ
嵐(……あれ?もしかして俺、相当恥ずかしいこと言ったんじゃ…)///
提督「でも…気持ちは嬉しいよ。ありがとう」ニコ
嵐「おっ、おう…///」
HP900ってなんだよ…(半ギレ)
嵐「なあ、もうちょっとそっち寄ってもいいか?」
提督「ん?うん、いいよ」
嵐「へへへ」ゴソゴソ
提督「どうしたの、変な笑い方して」
嵐「いや、こうしてると心の距離も縮まったみたいだなって思ってさ」
提督「…そうだね、ふふ」
嵐「もう冷えてきたからなー…風邪引くなよ?」
提督「うん、大丈夫だよ」
嵐「風邪引いたら萩が心配しすぎて死んじまうかもな、ははは」
提督「それはさすがにないでしょ…」
嵐「は〜…そろそろ俺も眠くなってきた…」コテン
提督「部屋で寝ないと風邪引くよ?」
嵐「司令がいるから平気だって…」ウトウト
提督「そういう問題なのかなあ…」
嵐「……zzz」
提督「あー…」
嵐「くー……」
提督(起こすのも悪いし…自分で目を覚ますまで待っておこうかな)
提督「…………」ジー
提督(しかし、こうして見ると…まだあどけなさが残る顔だなぁ…)
ツン
嵐「んぐ…んん〜…」
提督「ふふ…かわいい…」ナデナデ
嵐「ん…へへ…」
翌日
嵐「ぐうぅ…ふあ〜…」
萩風「嵐、眠そうだけど…大丈夫?」
嵐「ん?おう…ちょっと昼寝してくるよ」
萩風「そういえば、昨日の夜どこかに行ってたみたいだけどもしかしてそのせい?」
嵐「まあそんなところかなー…」
萩風「どこに行ってたの?」
嵐「ん?司令と寝てた」
萩風「……!!???」
嵐「んじゃ、またあとでなー」
スタスタ
萩風「あ…嵐が、司令と…!??」
萩風「た、大変…もし加賀さんに知られたら…」
ポン
加賀「萩風、どうかしたの?」
萩風「はあああぁぁ!!!???」
密会おわり
萩風の勘違いで大騒動になる5秒前でした
提督「ひゃっほーーーう!!」
五月雨「きゃー!」
涼風「わはは!捕まえてみやがれってんだい!」
時津風「ぎゃー!!しれぇに捕まったら蝋人形にされるぞー!!」
提督「ぐへへへ、お前も蝋人形にしてやろうかー!!」
パタパタ
飛龍「またやってるよ…」
蒼龍「ほんとあの人駆逐艦大好きだなぁ…」
提督「ぐへへ…駆逐艦の子達はかわいいなぁ…」
「相変わらずですねぇ、提督さん♪」
シュル
提督「え?ぐぇ!?」
グイ ガサガサ
時津風「……あれ?しれぇどこ行った?」
涼風「腰痛めて戻ったんじゃないかい?」
時津風「なら人集めてボールでも蹴りますかー!」
涼風「おー!」
ドサッ
提督「いたた…うー、誰がこんなこと…」ムク
「お久しぶりですね、狭霧中将?」
提督「え?あ、憲兵さん!」
憲兵「うふふ、覚えていてくれたんですね。光栄です」
提督「まあ…そりゃあ、憲兵さんのインパクトすごいし…」
憲兵「それはさておき、私がここに来た理由…お分かりですよね?」
提督「うーん……?何か事件でもあったの?」
憲兵「実はここ最近、駆逐艦の子達に手を出そうとする不貞な提督がいるそうなので注意喚起をと思いまして」
提督「えー!?何それ、そんなことする人絶対許せないよ!」
憲兵「……………」
憲兵「……何か、そういった方に心当たりはお有りですか?」
提督「ん?うーん、あいにくだけど何も知らないや」
憲兵「………はぁ……」
提督「どうしたの?」
憲兵「いえ…あなた様がここまで鈍い方とは思いませんでした」
提督「??」
憲兵「まあ、いいでしょう…」
提督「そ、そう…?」
提督「ところで憲兵さん」
憲兵「はい、どうしました?」
提督「なんで私は拘束されてるの?」ギチッ
憲兵「うふふ、小さい子に手を出そうとする悪いオオカミさんにはお仕置きをしてあげなければいけませんからね」
提督「へ?」
グイッ
提督「ふぎゃ!?」
憲兵「ふ、ふふふ…ここなら見つかる心配もない…」
提督「あ、あの〜…目が怖いですよ〜…」
スパァン!!
提督「ひぎゃあっ!?」
憲兵「うふふ……可愛い声で啼きますねぇ」サスサス
提督「い、痛ぁ…!ど、どうしたの、憲兵さん…」
憲兵「お仕置きです。反省しましたか?」
提督「は、反省って何を
ベチーン!!
提督「きゃあんっ!?」
憲兵「あぁ〜…ほんと、いい反応…///」ウットリ
提督「な、なんでこんな…
バチーン!!
提督「にゃあぁ!!」
憲兵「///」
憲兵「反省しましたか?」スパーン
提督「ひぐうっ!?は、反省ってなんの話なの!?」
憲兵「反省しましたかと聞いているんです!」スパーン
提督「うきゃあ!?し、してます!してます!」
憲兵「私のお嫁さんになりますかぁ!?」スパーン
提督「なりまっ……えぇ!?」
憲兵「反省しましたかぁ!?」スパーン
提督「ふぎゃあ!?してますってばぁ!」
憲兵「お嫁さんになりますかぁ!?」スパーン
提督「なり…ならない!それはならないから!」
憲兵「反省しなさーい!!」スパーン
提督「なんなのこれぇー!!?」
提督「うっ、うっ…叩かれた…恥ずかしいところいっぱい見られた…もうお嫁に行けない…」シクシク
憲兵「私がもらってあげますよ」
提督「お尻を叩きまくる人はいやです…」
ガコン ギギギ
憲兵「ん?」
加賀「久方ぶりね、憲兵さん?」
憲兵「げっ!!」
提督「あ、加賀…」
加賀「乱暴されたの?」
提督「あ、うん…お尻がヒリヒリする…」
加賀「そう…」
憲兵「…………」コソコソ
加賀「おい」
憲兵「ひっ!?」
加賀「人の女に手を出そうとする不貞な憲兵にはお仕置きが必要……よねえ?」ニヤァ メキキ…
憲兵「あ…ま、待ってください…て、提督さん、お助け…!」
提督「えっと…ご愁傷様」
加賀「覚悟を決めろ」
「アッーーーーーーー!!!!!」
憲兵さんおわり
憲兵さんが変態なら提督のロリコン趣味も中和されるということを世に示しました
「え……ほ、ほんとに……のまま…」
「ええ…今日一日……れたま…で」
コンコン
ガチャ
雷「司令官、入るわよ!」
提督「!」ビクッ
加賀「あら…」
雷「あれ?もしかしてお取り込み中?」
加賀「いえ、構わないわ。それじゃあね」スタスタ
提督「あ…ちょ、ま、待ってよ!」
バタン
提督「う…」
雷「?」
提督「あ…ご、ごめんね雷。どうかしたの?」
雷「はい、これ。頼まれてた書類よ」
提督「あっ、ありがとう…」
雷「ところで司令官、ベルトが緩んでるわよ?」
提督「えっ!?あ、ほ、ほんとだ!き、気付かなかったよ、あははは!」アセアセ
雷「………?」
提督「ふー……い、雷」
雷「なに?」
提督「執務室に入るときは私が許可するまで入らないこと、いい?」
雷「え?ええ」
提督「ん…なら、いいけど…」
雷「…司令官、どうしたの?」
提督「え?」
雷「普段の司令官ならわざわざそんなこと気にしないし、さっきから顔が赤いし…もしかして熱があるの?」
提督「へっ…い、いや、ちが…んんんっ!!?」ビクン
雷「!?」
提督「う……く…///」プルプル
雷「し、司令官!?どうしたの!?苦しいの!?」
提督「だ…大丈夫、だから…」
雷「でも、顔が赤いし…」
提督「ほ、ほんとに大丈夫だから!心配しないで!」
雷「……司令官がそこまで言うなら…でも何かあったら言ってね?絶対よ?」
提督「う、ん…わかった」
雷「それじゃ行くけど…無理しないでね?」
提督「うん…」
バタン
提督「……は、ぁ…」ガク
提督「はぁ…どうしよう…」
提督「今日一日このままなんて…」
提督「今はおさまってるけど…たぶん、どこかで…また…」
提督「…………/////」カァッ
提督「も…もし、みんなにバレたら…まずい…よね…」
提督「……極力外には出ないようにしよう…」
提督「……うー…」ソワソワ
提督「落ち着かない…すごい、異物感が…」
提督「これじゃ本も読めないし…」
提督「…どうしよう…」
コンコン
提督「……!」
「司令官!ボクだよ!皐月だよ!」
提督「あ…さ、皐月?どうしたの?」
「とりあえず入るよ!いいよね!?」
提督「えっ!?」
ガチャ
皐月「へへへ〜」
提督(ま、まずい…)
皐月「司令官、聞いて聞いて!あのね、ボクね!」
提督「う、うん…」
皐月「さっきの出撃でMVP取ったんだ!!軽巡にも負けないんだよ!!」
提督「そ、そっか…っ…!///」ビク
提督(ど、どう…しよう…また、きた…)
提督(うう…でも、振動は弱いし…皐月の自慢話を聞くだけなら、なんとか…)
皐月「すごかったんだよ!爆雷がさ!」ピョンピョン
提督「さ、皐月!」
皐月「?」
提督「た、立ったままじゃなんだし…ほら、座ってお話しよっか」ストン
皐月「あ、うん!」
皐月「んしょっと」チョコン
提督「え…ひ、膝の上に座るの?」
皐月「え?ダメなの?」キョトン
提督「い、いや…いいよ…」
皐月「そっか、ならよかった!」
提督(うう…だ、大丈夫かな…もしかして振動とか伝わるんじゃ…)
提督(脚のホルダーも…これだとすぐ気付かれるかも…)
提督「…………///」カァ
皐月「司令官?」
提督「え?あ、ご、ごめん。話を続けようか」
皐月「…でね、ボクがその砲弾を避けて…」
提督「…………///」ブルッ
皐月「…司令官?聞いてる?」
提督「え?あ、ああ、うん、聞いてるよ…あはは」
皐月「ほんと?さっきからぼーっとしてるけど」
提督「だ、大丈夫だよ。潜水艦を仕留めっんああぅ!!?/////」ビクッ
皐月「!?」ビク
提督「ぁ……は、あっ…」フルフル
皐月「し、司令官!?どうしたの!?」
提督「な…なんでも、ない…よ…///」
皐月「なんでもないわけないでしょ!?お腹!?お腹が痛いの!?」サスサス
提督「あっ…ま、待って…そこ、触っ……んうぅ…!」ビク
皐月「あれ…?なにこれ、お腹のあたりで何か震えてる…?」
提督「………!!」ギクッ
バッ
皐月「あっ」
提督「き、気のせいじゃないかな!?あは、あははは!」
皐月「そこまで慌ててると逆に怪しいんだけど…疲れてるの?」
提督「あ、あー……じ、実はちょっと体調が悪くて……っふ」ピク
皐月「あ、そうなんだ…ごめんね、変な時にきちゃって」
提督「ううん、いいよ…んっ」
皐月「ならまた今度にしようかな。安静にしてなきゃダメだよ?」
提督「うん…」
皐月「それじゃあね!」
バタン
提督「……………」ストン
提督「はぁ…う……」フルフル
提督「これ…思った以上に、刺激が強すぎ……ああっ!?」ビクン
提督「う、動っ…!やっ、止まっ…てぇ…///」ガクガク
ドサ
提督「はぁ、はぁ、はぁ…っ、う…」ビクッ…フル…
提督「よかった…お、おさまった…」
ゴソ
提督「ん……」ヌル…
提督「あぁ…もう、びしょびしょになってる…//」
提督「染みもできてるし…いったん着替えよう…」フラフラ
〜〜〜
提督「…………」
提督「……お腹空いたなぁ…朝も何も食べてなかったし…」
提督「でもみんなのいる前に行くわけにもいかないし…」
提督「どうしよう…」
提督「…………」
コンコン
提督「」ビクッ
「提督ぅー、いるかーい?」
提督「い、いるよー」
「あたし達今から間宮さんとこ行くんだけどさー、提督も一緒にどう?」
「奢るわよー」
提督「あ、あー…」
提督(隼鷹たちの好意を無下にするのも悪いし…うう…)
「…行かないのー?」
「体調でも悪いの?無理強いはしないけど…」
提督「あ…そ、そんなことないよ!すぐ行く!」
「ん、おお」
提督(ああ…断れなかった…)
提督(…が、我慢すれば…大丈夫、なはず…)
ガチャ
提督「お、お待たせ…」
飛鷹「あら、早いわね」
隼鷹「お?スカートなんて珍しいじゃん、どっか行くの?」
提督「え?あ、いや、た、たまにはいいかなーって」
隼鷹「ふーん」
ナニをどこにどうしてるか詳しく明言したわけでもないのになんだこの団結感は…たまげたなあ
隼鷹「かーっ!やっぱ発泡酒はいいねえ!」
飛鷹「また昼からビール飲んで…肝臓いわすわよ?」
提督(さすがにご飯の時は何もこないか…まあ、火傷したら危ないもんね…)モグモグ
隼鷹「提督ぅ、やけに静かだけどなんかあったの?」
提督「……へっ?な、なに?」
隼鷹「ありゃ、なんも聞いてないや」
飛鷹「ご飯は静かに食べるもんでしょ、あんたみたいに酒飲んでるわけじゃないんだから」
隼鷹「まーそれもそっか!あはははは!」
提督(ダメだ…何も集中できない…)
提督(はぁ…このまま何事もなく夜まで過ごせればいいんだけどなあ…異物感もすごいし…)
隼鷹「だかるぁー、あたしだって正規空母に負けないようにすぁー」
飛鷹「提督、ちょっと一味取ってくれない?」
提督「ん?うん」ヒョイ
飛鷹「ありがと」
隼鷹「んぉ?ぉー…無視ですかそうですか…」
飛鷹「酔っぱらいの相手なんて誰もしないわよ」
隼鷹「にゃんだとぉー!?」
飛鷹「はいはい」
提督「あはは…」
提督(とりあえず何事もなく終わった…)
提督(うん…慣れないけど、スカートなら染みにもならないから声は我慢すればバレないし、保険のハンカチも持ってる…)
提督(これなら乗り切れる…はず)
提督「…っ……!」ピクッ
提督「…だ、大丈夫大丈夫…この程度なら耐えられる…」
提督「あとは部屋でおとなしくしていれば…」
ガチャ
龍田「うふふ、お邪魔します〜」
提督「…………」
提督「……………」フイ
龍田「……………」ススス
提督「……………」スス
龍田「……………」ススス
提督「……………」ススス
龍田「どうして逃げるの?」
提督「き、気のせいじゃないかな」
龍田「そうかしらぁ」ススス
提督「そうだと思うよ」ススス
龍田「……………」ニコニコ
提督「……………」
提督「……………」
龍田「……………」
ダッ
提督「ぎゃー!?」
龍田「うふふ、捕まえた♪」ガッシリ
提督「な、なんで捕まえるのぉ!?」
龍田「だって、逃げられたら追いかけたくなっちゃうでしょ〜?」
提督「そんな肉食動物みたいな…ひうっ!?」ビク
龍田「あら?」
提督「ま、待っ……今は…だ、めぇ…!」ガクガク
龍田「あら〜」
提督「んあぁ…!」ブルッ
龍田「……うふふ」
ピト
提督「ひっ!?」
龍田「あら〜、どうしてお腹のあたりが震えているのかな〜?」
提督「さっ、さあ…!?な、なんでだろ…うひぃっ!?」
龍田「それに、顔が真っ赤なのはどうしてかしら〜?」ニコニコ
提督「ちょ、ちょっと暑いかなー…な、なんて…んぅっ!」ビク
龍田「うふふ」
提督「あ、あはは…」
ガバッ
提督「ふぎゃー!?」
提督「ふーっ……ふーっ…////」ガタガタ
龍田「うふふ、よく似合ってるわ」ニコニコ
提督「こ…こんなの、どこに隠し持って…」
グリッ
提督「やあぁっ!?」ビクビク
龍田「尻尾を掴んでも怒らないなんてお利口さんな犬ねえ〜」
提督「うぁ…あぅ…」クタ
龍田「ふふ、前も後ろも塞がっちゃったわね?」
提督「りょ、両方なんて無理…だよぉ…お、お願いだから……これ、抜い…てぇ…」フルフル
龍田「んー…」
龍田「別に抜いてあげてもいいけど、他の子にバラしちゃおうかしら」
提督「えっ」
龍田「うふふ、どうする?」
提督「……きょ、今日一日は…このままで…」
龍田「ん、了解♪」
提督「と、というかこれ…どういう原理でスカートの外から…」
龍田「一時的に服の繊維と結合部を同化させてるだけよ?私たちの艤装と同じ原理ね」
提督「だからその詳しい原理を…」
ギュ
提督「きゃん!?」ビクン
龍田「うふふふふ、早く行かないともっと揺らすわよ〜?」
提督「ひい!い、行きます行きます!」
ガチャ
バタン
提督「はあぁ…早く部屋に戻らないと…こ、こんなの見られたらどう言い訳……」
卯月「……………」キラキラ
時津風「……………」キラキラ
提督「……………」
ダッ
時津風「しれぇー!!しれぇー!!なんで逃げるのー!!??」ドドドド
卯月「なになになに!?その尻尾はなにっぴょーん!??」ドドドド
提督「いやあああああああ!!!」ドドドドド
提督(あ、あった!青葉の秘密通路、あれを使えば…)
提督「くひぃっ!?」ビクン
ドザアッ
提督「ぁ…!こ、こんなとき…にぃ…」ガクガク
卯月「ふっふっふ、ふーちゃん観念するっぴょん!」ニヤリ
時津風「うおー!!?なにこれ、すごー!!犬の尻尾が生えてる!!」ギュッ
提督「ひゃあ!?」
卯月「ふんふん、本物みたいっぴょん」ニギニギ
時津風「ん?これどうやってスカート貫通してんの?」グリグリ
グププ…
提督「んうぅ゛……!??/////」ピクピク
卯月「あれ?ふーちゃんどうしたぴょん?」
提督「そ…それ、動かすの……ダメ…」
時津風「これ?」グイ
提督「ふぅぅ…!そ、そう…」
時津風「なんでー?」
提督「ち、力…入らな…」
時津風「ならもっといたずらしちゃいますかー!」グイグイ
卯月「しちゃうぴょーん!」コチョコチョ
提督「ふあぁ!?はひゃっ、う、卯月!やめっあははは!はは、んぁあ!!動か、んんん!!?」ビクン ガタガタ
スタスタ
「うっ、うあ…ああ…」
加賀「…………?」スッ
提督「はーっ…はーっ…////」
時津風「うひひ。しれぇ、涎垂れてるよ?」
卯月「ふーちゃーん、聞こえてるー?」
加賀「あぁ…」
加賀「ちょっといいかしら」
時津風「ん?んお、加賀さん」
提督「あ…か、加賀…」
加賀「見ないうちに変なものがついたのね」
提督「ち、ちが…これは龍田に…」
加賀「可愛いわ」カチカチ
提督「んうううぅ!!?ひゃあああっ!!」ビクビク
卯月「!?」
加賀「ちゃんと入っているわね」カチ
提督「ひっ、あ、ああ…も、やだぁ…///」ピクッ…ピクン
時津風「???」
加賀「色々あったみたいね」
提督「ありました…もう、疲れました…」
加賀「そう…なら、少し早いけど休みましょうか」
提督「うん…」
加賀「立てる?」
提督「無理…」
ギュ ヒョイ
加賀「何回?」
提督「……三回、ぐらい…」
加賀「そう、刺激が強すぎたかしら」
提督「かなり…戻ったら抜いてね…」
加賀「ええ」
スタスタ
時津風「……なんだったんだろ?」
卯月「さあ…?」
提督の受難おわり
なにがどこに入ってたんですかねえ?(ゲス顔)
「司令官、司令官!」
提督「ん?ああはいはい暁、どうしたの?」
暁「んっ!」スッ
提督「? これは…」
暁「サンタさんにお手紙よ!届けておいてくれるんでしょ?」
提督「あー…うん、もらっておくね」ゴソ
暁「えへへ…楽しみね」
提督「そうだね、暁はいい子にしてたからきっとプレゼントもらえるよ」
暁「ふふん、当然よ!」フンス
提督「それじゃ、もう今日は遅いしそろそろ寝た方がいいよ」
暁「うん。おやすみ、司令官!」
提督「おやすみ」
パタパタ
バタン
提督「そうか、もうそんな時期か…」
提督「確か加賀が駆逐艦の子達にもらったリストをまとめてくれてたっけ…」ゴソゴソ
提督「……あ、あった。どれどれ…」
提督「……ふんふん……」
提督「…やっぱりゲーム機とかが多いなあ…姉妹でするのも楽しいだろうし、買ってあげなきゃ…」
提督「………んっ?」
サンタさんへ
わたしはプレゼントにあいぼうのくすりゆびがほしいです
むさし
提督「………………」
提督「…………」ゴシゴシ
提督「………………」ジッ
提督「………………」
提督「あっ見間違いじゃないや。シュレッダーさんお願いします」
ガガガガガガ
提督「さーて、私もそろそろ寝ようっと…」ググ
提督「はぁ…」
ボフッ
提督(また飾り付けとかしなきゃ…)
〜〜クリスマス当日〜〜
蒼龍「わぁお、クリスマスぅ♪」
飛龍「おー…ツリーも綺麗だし、キラキラしてるし、七面鳥もあるしケーキもある!やー、いい雰囲気だねえ!」
瑞鶴「……………」
翔鶴「瑞鶴?そんなに険しい顔をしてどうしたの?」
瑞鶴「その七面鳥って呼び方、いい気がしないわ」
飛龍「えー、でも間違ってないでしょ」
瑞鶴「他にも呼び方くらいあるでしょ!」
飛龍「例えば?」
瑞鶴「チキンなんて日本生まれの私たちには合わないわ、焼き鳥でいいのよ焼き鳥で!」
加賀「……………」
翔鶴「あっ…」
ガッ
瑞鶴「うわああああなになに加賀さんなに!!?痛い痛い割れる割れるぎゃああああ!!」
加賀「……………」メキメキ
飛龍「あー、楽しそうだねー」
翔鶴「そうですねえ」モグモグ
蒼龍「ねえねえ提督、提督はサンタ服着ないの?」
提督「着ないよ…そもそもそんなものないでしょ」
明石「ありますよ」
提督「えっ」
明石「提督用の」
提督「」
明石「着ます?」スッ
蒼龍「着る着る!」
提督「なんで蒼龍が答えるのさ!私は着ないからね!」
飛龍「えー、真っ赤でフリフリで可愛らしいのに」
提督「だってほら、スカートだってこんなに短いし。ちょっと動いただけで見えるよ」
蒼龍「そう?」
飛龍「そんなに短くないでしょ」
提督「短いよ!だいたいねえ、みんなのスカートの丈はおかしいの!」
飛龍「おかしくないって!提督が時代遅れなだけだよ!」
提督「違いますぅー!女の子がそんなに肌を見せるものじゃないんですぅー!!」
ギャーギャー
明石「あー…どうします?」
加賀「私に聞かれても」メキメキ
瑞鶴「あぎぎぎぎ」
提督「とにかく、私は着ないからね!」
飛龍「ふーん…じゃああれを見てもそんなこと言えるんだー?」
提督「あれ?」
鳳翔(サンタ服)「うう…み、短い…///」モジモジ
提督「!!???」
飛龍「あぁー、鳳翔さんが着てくれてるのになー」チラッ
蒼龍「一人だけ恥ずかしそうだなーかわいそうだなー」チラッ
提督「ひ、卑怯な…」
バサッ
提督「着替えました…///」
飛龍「おー!似合ってる似合ってるぅ♪」
翔鶴「わあ…提督、とても可愛らしいですよ」
提督「ど、どうも…」
加賀「あら、結局仮装はするのね」
提督「うっ…か、加賀…」ササッ
赤城「お?どうしました?」
加賀「? どうして隠れるの?」
瑞鶴「恥ずかしいんでしょ、ホント女のくせに女心が分かってないわねー」
加賀「また顔に手形を付けてあげましょうか?」
瑞鶴「ひい!」
加賀「可愛いと思うわ」
提督「っ……あ…ありが、とう…///」
蒼龍「あー、照れてる」
飛龍「帽子ない時はすーぐ髪で顔隠すもんねー」
提督「や、やめてよ…もう…」
雷「あー!司令官がサンタさんになってる!」
暁「プレゼントちょーだい!」パタパタ
提督「うわ!?こ、こら!私は持ってないから!寝てる時に本物のサンタさんが持ってきてくれるから待ちなさい!」
響「司令官!私には司令官のおっぱい枕をふべぇっ!?」
電「セクハラはよくないのです」ニッコリ
吹雪「あっ、司令官!こっち来てください、ケーキもありますよ!ほら!」
提督「あ、ああ…ありがとう」
深雪「うお!?司令官、またコスプレしてんの!?」
提督「あ、うん…なんだか私、行事ごとに毎回させられてる気がするんだけど…」
深雪「でもなんだかんだで楽しんでるじゃん」
提督「そりゃあ…まあ、みんな喜んでくれるし…」
叢雲「はー、クリスマスだからって浮かれすぎよ」
提督「…………」スッ
叢雲「…………」パク
提督「ケーキおいしい?」
叢雲「……おいしい」
提督「…………」
叢雲「…な、なによ」
提督「いや、なにも?」
叢雲「なんなのよ!?」
武蔵「おや?こんなところにサンタさんがいるじゃないか」
提督「げっ、武蔵…」
武蔵「なんだその反応は…それより、サンタさんなら渡すものがあるんじゃないか?ん?」フンス
提督「いや、今は何も…あ、シャンパンぐらいしかないや」スッ
武蔵「ん?そうか…まあ一応もらっておくとするかな」
提督「あんまり飲みすぎちゃダメだよ?」
武蔵「承知している。で、本物のサンタさんはいつくるんだ?」
提督「え?ね、寝てる時だけど」
武蔵「そうか、楽しみだな。私もいい子にしていたからプレゼントはもらえるはずだ…ふふふ」
提督(本気で言ってるのかなこれ…)
飛龍「シャンパン開けるよー!」
瑞鶴「おー!待ってましたー!」
飛龍「ふんぐぐぐ……ぬおおおお!!」グググ
蒼龍「っちょ、ちゃんと上に向けて開けてよね!」
飛龍「波紋ッ!!」キュポッ
バヒューン
翔鶴「えっ」
スコーン!!
瑞鶴「あぁー!?翔鶴姉ー!?」
翔鶴「あうう…」ピヨピヨ
飛龍「ありゃ…やっちゃった」
瑞鶴「だから上に向けてって言ったでしょーが!もう!」
飛龍「てへ☆」
金剛「ヘーイテイトクゥー!メッrrrrリィィーーークリスマーーーース!楽しんでマスカー!?」
提督「あ、金剛」
金剛「…What!?そ、そのcostumeは…ワタシにpresentをくれるということデスカー!?」
提督「え、いや、ちが
金剛「ありがたくテイトクをいただきマース!さあ、熱いhugを交わすネー!」バッ
提督「ひぃ!?ご、誤解ですうぅぅ!!」バタバタ
翔鶴「うーん、提督はいつも引っ張りだこねえ」
瑞鶴「あれは追いかけられてると思うんだけど…」
飛龍「まあまあ、みんな楽しんでるみたいだしいいんじゃない?ほら、加賀さんだってさ」
加賀「しゃんぱんおいしい///」ポー
瑞鶴「うわっ、もう出来上がってる…」
蒼龍「ぎぃ〜んんのりゅ〜うのぉ〜背にぃ〜のーってぇー!!」
瑞鶴「こっちも出来上がってる…」
飛龍「み、みんな楽しんでるみたいだね…」
隼鷹「ヒャッハー!!新鮮なシャンパンだァー!!」
提督「いやーっ!?なんで脱いでるのおお!??」
隼鷹「脱いでない脱いでない!あっはっはっは!!」ゲラゲラ
提督「いや脱いでるでしょ!完全に下着姿だから!」
隼鷹「ヒャハハ!蜂蜜だぁ!!」
提督「もう!ちゃんと服着なさいってば!」
隼鷹「いーじゃんいーじゃん、固いこと言うなよぉ!提督も脱ごうぜ!」
提督「脱がない!着なさい!」
隼鷹「衣笠!?」
提督「言ってない!なんでそうなったの!?」
隼鷹「浮気かぁ!?許さないぞぉ!」
提督「あぁーもぉー!!」
〜〜〜
ワハハハ
ギャーギャー
提督「はぁ…ちょっとはしゃぎすぎちゃった…」
提督「……ん…ベランダにいるのって…」
パタパタ
ガチャ
提督「ヲ級ちゃーん」
ヲ級「ン……テイトク」
提督「こんなところでどうしたの?」
ヲ級「アア…少シ、静カナトコロニ居タクテ…」
提督「ふーん…そっか」
提督「ヲ級ちゃん、もうケーキは食べた?」
ヲ級「アノ白イノカ?」
提督「そうそう」
ヲ級「アア、食ベタ。アイスミタイデ冷タクテ、フワフワシテテ、甘クテ美味シカッタ」
提督「そっか、ならよかった」
ヲ級「……デモ、多分…食ベルノハ初メテジャナイ」
提督「え?」
ヲ級「私モ、昔…コンナ騒ガシイ宴ヲ楽シンデイタ…ハッキリトハ思イ出セナイケド、記憶ガアル…」
提督「……はあ」
ヲ級「……………」
提督(…ヲ級ちゃんって、たまによく分からないことを言うなぁ…)
ヲ級「テイトク、寒クナイカ」
提督「え?あ、ヲ級ちゃんこそ。寒くないの?」
ヲ級「冷タイノニハ慣レテイル…ソレヨリ、テイトクガ心配…」
提督「ふふふ、私は大丈夫だよ。ちょっと寒いけど」
ヲ級「…ヤッパリ寒インジャナイカ」シュル グイ
提督「わっ!?」
ヲ級「コレデモ、マフラーノ代ワリニナルダロウ?」
提督「う、うん」
ヲ級「ソレニ、コウシテイレバ私モテイトクモ…暖カイカラナ…」ニコ
提督(ち、近い…)///
提督「……そうだ、ヲ級ちゃん」
ヲ級「?」
提督「クリスマスプレゼント、何が欲しい?」
ヲ級「クリスマス…プレゼント…?」
提督「そう、なんでもいいよ」
ヲ級「プレ……ゼント…」
提督「…って、いきなり聞かれても困るか。決められないようならすぐに言わなくても大丈夫だからね」
ヲ級「……………」
ヲ級「……………」
提督「なにがいいか、決まったら教えてね」
ヲ級「……妹タチ……」
提督「え?」
ヲ級「妹たちニ…会いたイ……」
提督「妹…?深海棲艦にも姉妹があるの?」
ヲ級「え?」
提督「ん??」
ヲ級「………?私、今ナニヲ言ッタ…?」
提督「へっ?い、妹たちに会いたいとかどうとか…」
ヲ級「…妹?ソンナモノ、私ニハイナイガ…」
提督「ええぇ???」
ヲ級「……………」
提督(うぅん…?よく分からないけど、混乱してる…のかな?)
提督(それに、なんだろ…ヲ級ちゃんといると、たまに妙な違和感があるというか…でも、変じゃなくて…むしろ安心するみたいな……)
提督(なんなんだろう…)
ヲ級「……ソロソロ寒クナッテキタダロウ。中ニ戻ロウ」
提督「あ…うん」
ヲ級「…プレゼント…テイトクガクレルノナラ、ナンデモ嬉シイカラ…」
提督「…そっか、わかった。また今度何か買ってくるね」
ヲ級「アア…」ニコ
提督(ヲ級ちゃん、よく笑うようになったなあ…)
提督(相変わらず読めないところはあるけど、かなり仲良くなれたかな…)
ヲ級「ソウイエバ…クリスマスハ、大切ナ人ト過ゴス行事ダト聞イタ」
提督「あー、確かにそうだね。家族とか恋人とか…みんなで聖なる夜を祝うの」
ヲ級「セイナルヨル…?」
提督「そう。キリストっていう人が生まれた日」
ヲ級「ソウカ…誕生日ヲ祝ウノダナ…」
提督「うん、そういう認識でいいよ」
ヲ級「シカシ…ソノ、キリストトイウ人間ハコンナニ多クノ人ニ祝福サレテ幸セ者ダナ…」
提督「あー…そ、そうだね…」
提督(キリストの誕生日を祝うって認識でクリスマスを迎えてる人なんていないと思うけどね…)
ヲ級「大切ナ人…カ…」
ヲ級「クリスマス…私モ、暖カイ気持チニナッタ気ガスル…」
提督「あはは、それはよかった」
ヲ級「大切ナ人ト、共ニコノ夜ヲ過ゴシテイルカラカモナ…フフ…」
提督「そ、そうかもね…///」ドキドキ
ヲ級「テイトクハ私ノコトヲ大切ダト思ッテクレテイルカ?」
提督「え?う、うん、もちろん」
ヲ級「ソウカ…ナラ、私モ幸セダ…」クス
提督(こ、この子、いつからこんなこと言うようになったの…)/////
飛龍「やー、しっかしみんな浮かれてるねえー」
蒼龍「ね、駆逐艦の子達は特にね」
赤城「サンタさんとやらがプレゼントを届けてくれるそうですからね」
瑞鶴「まあ、正体は提督さんなんだけど」
飛龍「子供は純粋だなあ…」
蒼龍「私たちは夢も希望もない大人に育ってしまった…」
瑞鶴「育つもなにも、生まれた時から大人でしょうが」
飛龍「提督もやっぱり子供の頃はサンタさん信じてた?」
提督「まあね」
蒼龍「いくつぐらいまで?」
提督「あー……ほら、私は8歳くらいですぐサンタさんがいなくなったから…」
蒼龍「え?…あっ。ご、ごめん」
提督「いいよ、気にしないで」
飛龍「そっか、提督にとってクリスマスは楽しめるものでもなかったんだ…」
提督「そんなに深く考えなくてもいいよ、今はみんながいるから楽しいし」
蒼龍「…うん、私も提督が一緒なら楽しいよ♪」ギュ
提督「ふふふ、急にどうしたの?」
飛龍「そんな提督に……」ゴソゴソ
提督「?」
飛龍「はいっ、これ!」スッ
提督「これは…?」
蒼龍「ふふ、いいから開けてみて」
提督「ん…」
パカ
提督「……!これ、ネックレス…」
飛龍「ふふっ、私たちから提督にクリスマスプレゼント!だよっ!」
提督「綺麗……いいの?こんな高そうなの…」
飛龍「いいよいいよ、普段私たちのために頑張ってくれてる提督に感謝の気持ちだよ」
提督「そっか…ありがとう、大切にするよ」
飛龍「お礼なら加賀さんに言ってあげて、贈り物をしようって言い出したのは加賀さんだから」
提督「加賀が…」
蒼龍「そうそう、一週間ぐらいずっと何を贈ろうか悩んでたんだよ」
提督「そう…そうなんだ。ふふっ」
瑞鶴「あら、ずいぶん嬉しそうね」
提督「うん、みんなもお金出してくれてありがとう。加賀には酔いが醒めてからまた改めてお礼をするよ」
蒼龍「だね、今日はパーティーを楽しもう!」
〜〜〜
提督「んん…うぁ…」ムク
提督「……1時半…そろそろみんな寝たかな…」ポリポリ
提督「ふあぁ…」ゴソ
グイ
提督「ん…?」
加賀「すぅ……」ギュウ
提督「……すぐ戻ってくるからね」パッ
スタスタ
ガチャ
バタン
提督「ふあぁ…」
飛龍「おっ、いい大あくびだねえ」
提督「ぁっ!?ひ、飛龍!?」
飛龍「そんなにおっきい声出したら加賀さんが起きるよ?」
提督「あ、そ、そっか…で、どうしてここにいるの?」
飛龍「子供たちに夢を届けるんでしょ?私も手伝ってあげようかなって」
提督「そうなんだ…蒼龍は?」
飛龍「酔い潰れて寝てる」
提督「そ、そう…」
提督「それじゃ、とりあえず倉庫にプレゼントを入れた袋があるからそれを取りに行こうか」
飛龍「はーい」
スタスタ
提督「しかしあれだね…これだけ静かってことは駆逐艦どころかもう戦艦や空母も寝てるのかなあ」
飛龍「ねー、なんだか私たち二人だけの世界みたいね♪」ギュ
提督「歩きづらいんだけど…」
飛龍「私だってたまにはいいでしょ、ねっ!」
提督「まあいいけどさ…」
飛龍「でも、こう静かだと何か出そうな雰囲気でもあるねえ…」
提督「何かって?」
飛龍「幽霊とか…わーって!!」ガオー
提督「静かにしなよ、寝てる子起こしちゃかわいそうでしょ」
飛龍「ちえっ、提督ったらちっとも驚かないもん。つまんないの」
提督「幽霊なんて非科学的だよ、だいたい存在するかも分からないものが怖いって意思が薄弱すぎると思うんだよね。未知の恐怖に打ち勝つくらいの気概がないと」
「そうですね〜」
飛龍「あー出た出た!眼鏡キャラにありがちなよく分からない理論振りかざすやつ!」
提督「ん?今そうですね〜って言ったの誰?」
飛龍「へ?何が?」
提督「……………」
飛龍「……………」
飛龍「きゅ、急に変なこと言わないでよ!?」
提督「いや、でもさっきそうですね〜って聞こえたような」
飛龍「聞こえてない聞こえてない!!私たちしかいないのに聞こえるわけないでしょ!?」
提督「えー、私は聞こえたんだけど」
飛龍「ないない絶対ない!おかしいって!!」
「あの〜」
飛龍「うわああああああああああああああ!!??」ダッ
提督「あっ、飛龍!?ちょっ、待ってってばー!」
パタパタ…
飛龍「ぜえ…ぜえ…悪霊退散…悪霊退散…」スリスリ
提督「そんなに逃げなくても…」
飛龍「いや逃げるでしょ!?なんなのあの声!?」
提督「やっぱり聞こえてたんじゃない」
飛龍「はー…もうやだぁ…」
提督「まあまあ、まだ何か悪さをしたわけじゃないんだし…」
飛龍「幽霊なんて絶対ろくなものじゃないもん…」
提督「あー…とりあえず倉庫からプレゼント取り出してこようか」
飛龍「ふぁい…」
ガチャ
提督「あったあった…よいしょっと」
飛龍「うわあ…すごいおっきいね」
提督「まあ駆逐艦の子達ほぼ全員分だからねー」
飛龍「なんか…その白い袋担いでるとほんとにサンタさんみたい」
提督「言われてみれば確かに…」
飛龍「パーティーの時のサンタ服のままだったら完璧だったんだけどな〜」
提督「う…あれはもう着ません」
飛龍「ちえっ、せっかく似合ってたのに」
提督「さてさて…プレゼント、配っていきますか」
飛龍「誰に何を配るか決まってるの?」
提督「うん、名札を付けてるから。それじゃまずは暁型の部屋から…」
飛龍「はーい」
カチャ…
提督「飛龍はここで待ってて、私はプレゼントだけ置いてくるから」
飛龍「うん」
提督「…………」コソッ
提督(……よし、みんな寝てる…)
提督(枕元に置いて…と…)ソッ
響「………ん……」パチッ
提督(あっ…)
響「……しれいかん…?」ボー
提督(ま、まずい…)
(考察してくれるのウレシイ…ウレシイ…)
提督「ひ…響…」
響「……ああ、そうか…サンタさんが…司令官を届けてくれたのか…」
提督「へっ?」
響「おっぱい……」ギュム
提督「!?」
響「………zzz」
提督「…………あ、あれ…?」
響「ぐぅ……」
提督「……寝た…」
パタン
提督「はぁ…」
飛龍「おっ、無事に届けられた?」
提督「危うく子供の夢を壊すところだったよ…」
飛龍「え?なにかあったの?」
提督「うん、まあ…」
飛龍「なに?」
提督「……………」
飛龍「……………」
提督「えーと、次は睦月型の部屋か」スタスタ
飛龍「ちょっと!?」
〜〜〜
提督「ふぅ…これで全部かな」
飛龍「私の分はないの?」
提督「いい大人がなに言ってるのさ…」
飛龍「えー、私だってプレゼントもらったら嬉しいもん」
提督「とは言っても何もないし…」
飛龍「じゃあちゅーでいいよ?……なんちゃっt
提督「いいの?」
飛龍「え?」
チュッ
提督「はい、これでいいんでしょ?」
飛龍「……………」
飛龍「……………」
飛龍「……………」
飛龍「//////」ボッ
飛龍「はあぁぁぁぁ〜〜〜〜………////」
提督「どうしたの、急にうずくまって」
飛龍「…最高のプレゼントでした…ありがとうございました…」
提督「う、うん…それはいいけど、もう遅いから寝なきゃダメだよ?」
飛龍「はい…」
提督「それじゃ、私は先に戻るからね」
飛龍「はい…」
スタスタ…
飛龍「……はぁ……」
飛龍(来年は口同士でお願いしよう……)サスサス
ダーク♂クリスマスおわり
そういえば変態やらドMやら眼鏡やらレズビッチやら、愛されてるのかそうでないのか…
いいぞもっとやれ(豹変)
「……………」
いつもとは違うベッドに寝転んでいるのに、安心感は変わらないものだった。小さい頃から見慣れた天井は昔と同じで、シミもついたままだ。
そう、私は今自分の部屋にいた。
毎年年末になると、休みを利用して実家に帰ってくるのが習慣になっていて、妹たちも同じ時期に帰ってくる。
自室にいたのはなんとなく…というか、無意識に安心を求めていたのかもしれない。子供の頃からこうして寝転びながらぼーっとするのが好きで、何もすることがなければ今でもこうしてぼーっとしている。
「お姉ちゃーん!ご飯できたよー!」
遠くから聞こえる私を呼ぶ声。あの甲高い声は…次女の風音だ。身体を起こしてる間にもう慌ただしく階段を駆け上る音が響く。
「お姉ちゃん寝てるのー!?ご飯ー!!」
「起きてるよ…」
寝てはいないからいいものの、寝てると思った人の部屋に勢いよく入るのはどうなんだろう。元気いっぱいで頭より先に身体が動くところは昔から変わらない。
「ご飯できてるよ!先に下行ってるね!!」
そう告げると首あたりまで伸ばした黒髪を翻し、また慌ただしく足を踏み鳴らして階段を駆け下りていった。ご飯ができたの、三回くらい聞かされたような…
まあそれはいいとして、お腹も空いてるし私も降りよう。部屋に持ち込んだカップを手に部屋を出ると、一番下の妹である風美と顔が合った。
「あ、姉さん…」
風美の部屋のドアノブを後ろ手に持っていたところを見ると、どうやら風美も居間に降りるらしい。
「風美、部屋の片付けした?」
「はい、と言っても風姉の私物ばかりでしたが…」
どうでもいいことだけど、風美は風音のことを『かざねえ』と呼ぶ。私の名前に入っている風の読みが『ふう』なのと風音の『かざ』を分けた呼び方なのだろう。一括りに姉さんと呼ばないあたり、育ちの良さが伺える。とは言っても、生まれは同じだけど…
「そっか…また風音に自分でやりなさいって言っておかないとね」
「はい…」
風美が家族に対してもどこかよそよそしい敬語なのは、父さんの教育らしい。目上の人には丁寧な言葉を使いなさい、というのを曲解した結果だそうだけど…まあ、私に対してはある感情の裏返しみたいだから特には気にならない。
風美を後ろに、居間へと向かう。
開け放しにされたドアを抜けると、机に並べられた五人分の料理と風音が待っていた。こっちこっちと言わんばかりに座布団を叩く風音に従って、隣に腰を下ろす。
「…風姉、どうして真ん中に座るんですか」
「えー、ここが一番落ち着くんだもん」
意見こそ食い違っているが、風美は私の隣に座りたいのだろう。テーブルを中心に端っこに私が座っていると、真ん中にいる風音が邪魔になる。
「邪魔です、退いてください」
相変わらず口調がキツい。言葉遣いこそ丁寧だが、風美は仲のいい人にはこうして遠慮なく毒を吐き出すことがある。風音はぷーっと頬を膨らませながらも右端の座布団に腰を落とした。
「結局こうなるんだ…」
私が真ん中で、その周りに妹二人が座る。小さい頃もそうだったし、離れ離れになった後も変わらない。普段無表情な風美も笑みをこぼしていた。
「揃ったみたいね」
母さんが座って、父さんも座る。誰が決めたわけでもないのに、いただきますをするのは家族全員が居間に集まってからだった。
我が家の食事は基本的に味が薄い。白米に豆腐や魚、野菜がほとんどで肉が出ることは珍しい。私も風美も出されたものに文句は言わないし、昔からそれが当たり前だったから苦ではないしむしろ好きな方だ。
「おかーさん、ふりかけあるー?」
「自分で取りなさい」
ただ、一番に家を出て自由な暮らしを始めた風音はそういった薄い味付けが苦手になったらしい。そのせいかいつも買い置きしたふりかけや明太子などを白飯と一緒につまんでいる。三姉妹の中でもかなり気ままな性格の方だ。
「……ところであなたたち」
箸を置き、母さんが口を開いた。父さんを除いた視線は母さんに集中する。
「男性とのお付き合いはないの?」
「ない」
「ないなー」
「必要ありません」
否定の三連星。風美に至っては拒否なんだけど、必要ありませんってなんだろう。我が親が頭を抱えています。
ため息をひとつ、母さんが口を開いた。
「…まあ、いいでしょう。どんな人生を歩もうともあなたたちの自由ね」
母さんにしては珍しく放任的だ。
うちの親は両方とも頭が固くて、一度喧嘩するとなかなか仲直りしない。あの時もそれが原因で離れ離れになったんだろうけど、それを教訓にして少し考えを改めたみたい。
「…姉さん以外に心を売り渡すなんて…考えられない…」
右隣から不穏な台詞が聞こえた気がするけど、まあ触れないでおこう。長い髪も相まってちょっとホラーじみてる。
それはそうと、私たち三姉妹は全員母さんと同じように髪が真っ黒だ。別に髪色を染めるのが禁止されているわけではないけど、私はそういったファッションの類には疎い節がある。それに、昔から母さんも雪菜も長い方が似合ってるって言ってくれたから。
あと、私と同じくらいの長さに切り揃えているのが風美。理由を聞けば私へのリスペクトらしく、姉さんと同じになって嬉しいとのこと。自由人の風音は邪魔にならない程度に切っているそうだ。
風美と私は基本的には似ているけど、少し違うところがあるとすれば目元と身長くらいかな。私は垂れ目気味だけど、風美は母さんに似て目つきがキリッとしてる。その鋭い目つきは初対面の人間にしばしば悪い印象を与えるらしく、友達の数も少ないみたい。
まあ、その友達とはどれも仲がいいらしいから大丈夫だとは思うけど…やっぱりお姉ちゃん的には少し心配かも。
「ふーっ、ごちそうさまー」
いつも風音は真っ先にご飯を食べ終える。何にでもせっかちで休む時間は寝てる時、と本人が豪語するぐらい。
少し遅れて風美と私が終わりの手を合わせて食器を洗う。私がやると言っても聞かないのもいつも通りだ。
「風音、お風呂が沸いているから先に入りなさい」
「はーい!」
ばたばたと忙しない足音が廊下の奥に消えて、またすぐに戻ってくる。
「おかーさん私のパジャマどこー!?」
「洗面所のカゴに入れているから」
「わーおさすがおかーさん!!」
……やかましい。足音もそうだし声も大きい。慣れたものだからいいけど、あれだと男の人が寄り付かないのも頷ける。代わりに友達は多いみたいだけど…
…足音が戻ってきた。
「お姉ちゃんも一緒に入ろー!」
「はぁ…」
22にもなって何を言っているんだか…
「まだお皿洗ってるから、一人で入ってきなさい」
うん、実にお姉ちゃんらしい。楽しい時間を共有したい欲求は分かるけど、私にはやることがあるのだ、ふはは。
「姉さん、お皿は私が洗っておきますから…風姉と入ってきてください」
わ、私にはやることが…
「おぉ!?さすが風美、話が分かるぅ!」
「叩かないでください」
あの…
「さっ、お姉ちゃん!入ろ入ろ!」
あぁ…
「楽しんできてください」
みたいな顔して手振ってるし…風美はどっちの味方なのさ…
「んふふ」
寝巻きを見繕っていると、後ろからクスクスと漏れる笑い声。パジャマを拾い上げて振り返ると、風音が上半身を楽しそうに揺らしている。
「おねーちゃんの部屋、いい匂いだねー」
そう言いながら鼻を鳴らす姿はまるで犬のよう。自分の匂いを嗅がれるのは少し恥ずかしいけど…
「準備できた?なら早く入ろ!」
「はいはい…」
我が家は、所謂富裕層というものに属しているらしい。詳しい年収を聞いたことはないけど、地元ではかなり立派な家を構えている。だから家族五人で暮らすには十分すぎるほどに広いし、これから入ろうとしているお風呂だって大きい。
とはいえ、大人二人が入るとなるとやっぱり狭いものは狭くなってしまう。
「えへへ〜」
……いくら狭いと言っても、身体が密着するほどではない。どうしてさっきから私たちは隣合っているのか。
「お姉ちゃん、相変わらずお風呂でも眼鏡かけてるの?」
「これは私の身体の一部だよ」
「あはは!まあお姉ちゃん眼鏡外したら誰か分からなくなるもんね!」
…無言でお湯をかけた。わぴゃっ、という可愛らしい悲鳴が挙がる。ははは、姉の実力を思い知ったか。
「……………」
しかし、こうしてみると風音もずいぶん大きく成長したみたい。背は私と同じくらいだし。精神と身体の一部分は……まあ、うん。牛乳を勧めておこう。
「ふー、そろそろ背中流してもらおっかな〜」
私がすることは確定しているのか…甘えたがりなのも相変わらずだ。ばしゃっと勢いよく湯船から上がる反動でお湯が跳ねる。が、眼鏡に阻まれたそれは私の目に入ることはなかった。…ふふ、ちょっと優越感。
「はい、これ」
手渡されたタオルにボディソープを付け、手で擦って泡を立てる。
「んふふ、変なところ触っちゃダメだからね?」
…そんなニヤついた顔で言われてもフリにしか聞こえないんだけど。試しにわき腹をくすぐってみよう。
「わひゃっ、あははははは!く、くすぐったいってば!お姉ちゃ、あははは!」
まんざらでもなさそう。うんうん、姉妹のスキンシップは大切大切。
「流すよー」
「はーい」
桶からお湯を流すと、あぁ〜という声が漏れた。…すごい年寄りくさい、私より若いのに。いや、まだ私も若いけど…若いよね?うん、若い若い。
「ふー…よーし、じゃあ次は私がお姉ちゃんの背中流してあげる!」
鼻息を吹かして張り切ってくれるのはいいけど、私は自分でやるので大丈夫です。まだ介護されるような歳ではないです。
「遠慮しなくていいから!ほらほら!」
大丈夫じゃなかった。言い終わる前に背後に回り込んでるってどういうすばしっこさなんだろう…
「痒いところありませんか〜?」
「…ないです」
まあ、断るのも悪いし…ここは可愛い妹のためにも身を任せておこう。うわ、今の私すごいお姉ちゃんっぽい。
二次創作に文句を言うとはたまげたなあ
「やー、しかしほんとお姉ちゃんっておっぱい大きいよねー。去年より育ってるんじゃない?」
それは事実だけど、胸を鷲掴みにして言うのはどうなのか。いくら女同士とはいえこれはセクハラですよセクハラ!胸なら自分のを揉めばいいのに…全くないわけじゃないんだから。
「うーん、私もこれぐらいあればなあ…羨ましい限りだよ!きーっ!」
そんな怒り方をする人間がどこにいるものか。というか、なんだか手つきが怪しくなってきた…
「んっ」
「お?お?なんだ今の反応は?ん?もしかして妹に揉まれてコーフンしちゃったのかなぁ?」
「してない!もう十分触ったでしょ、そろそろやめなさい!」
「いやだぁー!ナイチチガールの恨みを思い知れぇー!!」
「もー!!」
…とは言いつつもなんだかんだで楽しい。やっぱり姉妹でじゃれ合うって家族愛を感じられる。
「……風姉?」
「ひっ!?」
驚くほど冷たい声に風音の動きが止まった。ガラス戸の向こうには一人分の影がある。
…風美だ。いったいいつから聴いていたんだろう…事と次第によっては風音がただじゃ済まないかも。
「あまり姉さんに変なことをしていると…承知しませんからね…」
「は、はい…」
……風美は風音の何を握っているんだろう。秘密の弱点でも知っているのかな…?
「…タオル、カゴの中に入れておきますから。使ってください」
…足音が遠くなっていく。どうやら居間に戻ったみたいだ。あとで謝っとこ…という独り言は、聞かなかったことにしよう。
マヌケもなにも知っててやってるんですがそれは…
すみませんでした、少し暑さで気が立ってしまってたみたいです
今後軽率なことを言わないように反省します
お風呂を出た私は、部屋に戻る風音を見送って縁側に腰掛けていた。ここに来た理由は、なんとなくとしか言いようがない。少し寒いけど、火照った身体を冷やすのにはちょうどいい。
「風花……ここにいたのね」
「あ、母さん…」
隣に腰を下ろしたのは母さんだった。私に似た真っ黒な髪を横で結わえて、穂先のように垂らしている。
「どうしたの?湯冷めするわよ」
「うん…すぐ戻るよ」
「そう…」
「…………」
……会話が続かない。あの一件以来、母さんとの会話はほとんどなくなってしまった。もともと多くを話すタイプではなかったけど、日々のことを話し合う程度には会話はあったはずなのに。春先にある程度仲は戻ったのにこのぎこちない関係は今だ戻らない。
「……風花は」
「え?」
「風花は、人類の敵と戦っているのよね」
「あ、うん…私が直接戦場に出るわけじゃないけど…」
「それでも危ないことには変わりないんでしょう?」
「……うん、まあ…」
母さんが私の仕事について言及するなんて、初めてだ。…もしかしてそんな危ないこと、やめろって言われる?そうだとしたら私はどう言えばいいんだろう。
「…その…」
「……?」
「……あまり、無理はしないでね」
「………!」
「あなたが怪我なんてしたら、私…きっと、耐えられなくなるわ…」
「母さん…」
「でも、あなたはそこで大切なものを見つけたんでしょう?なら…それを誇りに、頑張りなさい」
……涙が出そう。いつも遠くから見守るだけだった母さんが、応援してくれるなんて。ほんとに不器用だ…不器用だけど、私、愛されてるんだなぁ。
「それと…何か辛いことがあったら、いつでも帰ってきていいから。あなたの家はここよ」
「……うん」
「…大人ならこんなことで泣かないの」
「今だけ子供がいい…」
「……困った子ね」
「母さん……」
「よしよし…」
ひとしきり母さんの温もりを味わったあと、居間の方に戻る廊下を歩いていると風美とすれ違った。寝巻きを持っているということはこれからお風呂のようだ。特に話すこともないしそのまま通り過ぎようとした瞬間
「姉さん!?」
「うわっ!?」
思いっきり掴みかかられた。鼻先が触れ合うくらい近いし私の反応が追いつかなかったせいで押し倒されそうになってる。つま先立ちになったままの踵を引いて、一歩後ずさり。
「ど、どうしたんですかそれは!?」
「それって…な、なにが?」
「涙痕が残っているじゃないですか!嫌なことでもありましたか?まさか、誰かになにかされたとか…!?」
「う、うん、とりあえず落ち着こうか」
鼻息を荒くしてまくし立てる風美を宥める。三姉妹の中でも一番冷静で落ち着いた性格の風美だけど、私のこととなると人が変わったように食らいついてくるのが玉に瑕。もし恋人がいるってバレたら……
……うん、やめておこう。
「ええと、これは…母さんと話してて…」
「母さんが……!?」
「う、うん」
「どんな嫌味を言われたんですか!?姉さんを泣かせるなんて…!」
「いや、そういうのじゃなくて」
「許せない…さあ、教えてください!私が母さんに問い詰めてきますから!」
…頭が痛くなってきた。状況はどんどん悪くなる一方だし、打開策が見当たらないし。どうにかしてこの誤解を解かないとさらに面倒なことになる。
……いっそのこと少女漫画みたいに唇を塞いでみようか?
いやいや、何を考えてるの私。いくらこの子が私に心酔してるとはいえ、さすがに妹にそんなことをするわけには…ねえ?とにかく何か考えないと…何か…
「二人とも、何をしているの?」
あ。母さん、ちょうどいいところに…この子の誤解を解いてくれると嬉しいんだけど…
「母さん……姉さんを泣かせたと聞きましたが、本当なのですか」
「え?ええ、そうなってしまったわね」
「そうですか……」
うわ、なんか、空気がざわざわしてきた。母さん、どうにか…いや、これはもう逃げた方がいいのでは…
「風花、涙の痕が残ってるわ。拭いてあげるから向こうに行きましょう」
「え?あ、うん」
「え…ね、姉さん…?」
まさかのスルー…!?
そ、そうだ、お爺ちゃんが言ってたっけ…母さんは昔から鈍感だって…ま、まあ風美は固まってるし、このまま離脱できるなら結果オーライ…かな?
「……………」
自室に戻ったのは10時ほど。
寝る支度をして、テーブルランプだけを点けて本を読んでいた。
下から持ちだした一杯の水を飲み干した時、扉の向こうから二回ノックが響く。返事をする間もなく風美が部屋に入ってきた。
「姉さん…」
「風美?どうしたの?」
「いえ…その、先ほどはすみませんでした…」
そう言いながら深々と頭を下げる。先ほどといえば…私が泣いてたことかな?
「母さんから事情は聞きました…私の早とちりで姉さんに迷惑をかけて、本当に…」
「いいよいいよ、ちゃんと説明しなかった私が悪いんだから」
「ですが…」
「そうやって謝られる方が困るんだけどね」
「……はい」
ふふ、やっぱり私の言うことには聞き分けがいい。今度恥ずかしい命令でもしてみようか…なんて。
「……で、姉さん…その…」
「なに?」
「………一緒に寝ても、いい…ですか…」
顔を真っ赤にして言うあたり、甘え下手なのは解消されたいないらしい。でも、胸の前で手を組んでしきりに身体を揺らしてるのは可愛らしい。
布団を退けてぽんぽんとベッドを叩くと、花が咲いたような笑顔で隣に潜り込んできた。
「……ふふ、えへへ…あったかい…」
「風美、くすぐったいよ」
「お姉ちゃん、いい匂い…」
首筋に鼻先を埋めて身体を密着させてくる。枕が一つしかないから必然的に頭の位置が近くなる。肩を抱くように腕を回し、脚も絡まされた。そう、風美は私と二人きりになると素を見せて甘えてくる。普段の敬語はその余りある感情の裏返し、らしい。
「お姉ちゃんの匂い、好き…」
「そう?」
「うん…すごく安心する…」
他の人がいるときの敬語も姉さん呼びも消え失せ、ありのままの姿で甘えられるのはたまらないほど庇護欲を刺激される。ああ、可愛い…愛おしい…そばにいることで妹が安心してくれるなんて、お姉ちゃんは幸せです…
提督は親が大喧嘩してるところ見たり大好きだった妹たちが父に連れられて家を出たり母が親戚にDVされてるの見てそれ刺したり子供の頃に色々あって百合に目覚めました…(小声)
一応提督がロリコンなのには、幼い頃に同じ時間を過ごせなかった妹たちの影を無意識に追っているからという裏設定がありますがまあどうでもいいことですね
メンヘラになったのは親、レズになったのは幼馴染、レズビッチになったのはんまあそう、よくわかんなかったです(適当)
「んう……」
手櫛で髪を梳いてあげると、気持ち良さそうに目を細める。胸に顔を埋めて、まるで子供みたい。小さい頃も一緒に寝た時はずっとこうして、離してくれなかったっけ。
「…………」
普段あんなにきりっとした目つきがもうぼーっとしてきてる。ギャップに思わず微笑をこぼしながらも、テーブルランプの紐を引いて睡眠の妨げをなくす。
…すぐそばで小さな寝息が聞こえた。もう寝ちゃったみたい。入ってくる時に捲れた布団を掛け直し、私も瞼を閉じる。
……ああ、温かい…。暖房がなくても、こうして人の温もりを感じられるとすごく安心する…
〜〜〜
「んん……」
目が覚めたのは、日付の変わる頃だった。暗闇に慣れた目で見た時計の短針は12と1の間を指している。いい入眠だったのにも関わらずこうして起きてしまったのは、その、なんというか…催した。
たぶん、寝る前のあの一杯が原因だろう。
「…………」
……風美に捕まって動けない。加賀みたいに腕に抱き付いてくるんじゃなくて、腋の下まで腕を回して全身を抱き締めてきてる。起こさないようにそーっと手を抜いて、続けて足を抜いて…知恵の輪か何か?無意識に手を握られたけど、お姉ちゃんはそれどころじゃない。許せ妹よ…
そんなこんなで布団を抜け出して、部屋を出る。…寒い、寒すぎる…冬の夜はさすがに冷える…廊下が暗いのもあって、幽霊でも出てきそうな雰囲気だ。まあ、そんなもの信じてないし仮に出てきても塩を握り締めて殴るけど。
……ふぅ、スッキリした。足が冷えると眠れなくなるし、すぐ部屋に戻……ん?
「…………?」
下に明かりが点いてる…?居間に誰かいるのか、それとも電気の消し忘れかな…?
その光に誘われるように一階に降り、廊下から居間を覗くと温かい空気が顔に触れる。視線の先には───父さんがいた。
「ん…?」
「あ」
父さんがこちらに気付いた。足音は立てないようにしたつもりだったけど、床の軋む音に反応して振り返ったみたい。
「風花…起きてたのか」
「起きてたっていうか…目が覚めただけなんだけどね」
「そうか…」
机に並べられたラジオとお酒と、狭霧晴矢と書かれた名刺。こんな時間まで仕事のことを考えていたのか、その隣には書類が散らばっている。
「……飲むか?」
そう言いながら琥珀色の液体が入ったビンに目を向ける。日本酒じゃないなら、今は飲むべきじゃない。
「ごめん、洋酒はダメなの」
「そうだったか…」
残念そうな表情。仕事人間の父さんは、お酒を一つの楽しみにしているらしい。一人にするのも気が悪いし、なんとなく隣に腰を下ろした。
クリスマスのあとの話なのでただの里帰りでござる
父親くらいなら男出しても許されるやろ…(慢心)
私が隣に座ると、父さんは書類と名刺を片し始める。仕事の話を娘に聞かせたくない、という心遣いからだろう。
しかし、もう50半ばだというのに父さんは本当に若々しい。最近白髪が増えたと愚痴をこぼしていたけど、端から見ても全く気にならない程度にしか生えていない。
…よく見ると頬が少しだけ赤みがかっている。すでに結構な量を飲んだのかな?いつもの無口に拍車がかかって、無言でラジオを聴いてる。
「…なあ、風花」
「なに?」
「父さんのこと、嫌いか?」
「え?」
音量のレバーをつまみながら口にした一言。視線は私の方を見ていなかった。
「父さん、全部聞いたんだ。父さんが風音達を連れて家を出た後、色々あったって」
「ああ…」
「あの時父さんが家に居てやれば…母さんも風花も、辛い思いをしなかっただろうに…許されることではないかもしれないが…本当に、すまなかった……」
「……………」
…無責任だ。意地を張って、大人の都合で勝手に家を出て、家族を捨てたのにこんなことが言えるなんて。
「……ううん。そんなことないよ」
けど、父さんの申し訳なさそうな表情を見ているとそれを責める気になんてとてもなれなかった。不器用なりに私を支えてくれていたのも知ってるし、高校生になって再会した時誰よりも私の成長を喜んでくれてたのも知っている。…それに、大好きな家族を嫌いになんてなるもんか。
「…そうか。優しいな、風花は」
急に小っ恥ずかしくなったのか、グラスに残った少量のお酒を飲み干した。心なしか憑き物が落ちたような、清々しい表情に見える。なんだろう、今日一日でずっと残ってた母さんと父さんとのわだかまりがなくなったような…そんな気がした。
「風花は…なんの仕事をしているんだ?」
「あ、えーと…軍事関係の…」
「軍…?深海棲艦、とやらのことか?」
「まあ、そんなところ」
「そうか…大変な仕事なんだな…」
「…うん。でも、なんとかして戦いを止められそうなの」
「そうなのか…思えば、風花とこうして話すなんて初めてかもしれないな」
「言われてみれば、そうかも…」
「よかったら聞かせてくれないか、仕事のことも、友達のことも」
「……うん!」
〜〜〜
「よいしょっと……ふぅ、これで準備万端かな…」
「えー、おねーちゃんもう帰るのー?」
「うん、色々やることがあるから」
「大変なのね…無理はしちゃダメよ」
「分かってる」
「もうちょっと一緒にいたかったんだけどなー」
「あまり姉さんを困らせるのは…」
「あはは…まあ、暇な時にでもきてくれたら歓迎するよ」
「ほんと!?やったー!」
「…私もいいですか」
「うん、もちろん」
「……よし…ふ、ふふ…」
「風花」
「ん?」
「敵と…深海棲艦と、和解したいんだな」
「…うん」
「簡単なことじゃないかもしれない…険しい道だろうが…父さん達は応援してるからな。諦めるんじゃないぞ」
「……! うん」
「風花、こっちに来なさい」
「……?」
「わぷっ!?」
「母さんもあなたを信じてるわ…もし助けが欲しくなったら、うちに帰って来なさい」
「母さん…苦しいよ…」
「わかった?」
「……うん、えへへ」
「それじゃ、行ってくるね」
「ええ」
「……………」
「……風花!」
「!」
「気を付けて…元気でね」
「………うん…!」
里帰りおわり
提督の決意が固まりました
そろそろこの話もおわりが見えてきましたね
ところで次はR-18を書こうと思ってたんですけど板変えられるとかなんとかで最後あたりにするか迷ってるんですけどどうですかね
まあどちらにしてもそれで迷ってたから書き溜めしてなくて最後に書くんですけども()
ほんとこういう変なことに力入れる割に荒らしスレ乱立させてる在日になんの対応もないのって運営何やってんですかね…
嵐「やっ…やあ、司令……き、奇遇だな…」
提督「う、うん。奇遇もなにも嵐から部屋に入ってきたんじゃ…」
嵐「こ、ここっ、これ、あ、あげるよ…た、大したもんじゃないからさ!ああ、あんまり気にするなよ!」カチコチ
提督「はあ…」
嵐「そっ、それじゃあな!」ピューッ
バタン!
提督「……今日はこんなのばかりだなぁ…」
ガサ…
提督「………やっぱりチョコか…」
提督「はぁ…」
青葉「どうしたんですか、ため息なんてついて」ヒョコ
提督「うわぁ!?あ、青葉!?どこから出てきたの!?」
青葉「まあまあそれはいいとして、青葉からも。はい、どうぞ」スッ
提督「ああ…ありがとう…」
青葉「…あんまり嬉しそうじゃないですね」
提督「いや…毎年こうなるたびに思うんだけどさ」
青葉「はい」
提督「甘すぎる…」
青葉「はい?」
提督「私、実はチョコってあんまり好きじゃなくて…」
青葉「へええ、珍しいですね。どうしてですか?」
提督「いや、さっきも言ったけど甘すぎるんだよ。ビターチョコとかなら普通に食べられるんだけど、ミルクチョコになると途端に食べられなくなって」
青葉「ホワイトチョコは?」
提督「以ての外だね」
青葉「へー、意外と甘いものは苦手なんですね」
提督「うん…」
提督「学生の頃もよく友達とかにもらってたんだけどさ」
青葉「女の子ですか?」
提督「え?うん、バレンタインは女の子がチョコを渡す日でしょ?」
青葉「愚問でしたね、あはははは」
提督「で…貰うのはいいけどほら、やっぱりチョコって言ったらミルクチョコが一般的だからさ…」
青葉「あー…食べられなかったと」
提督「そう、ある程度好みを把握してくれてる人なら苦めにしてくれるからよかったんだけど…ほとんど顔も知らない下級生とかはね…」
青葉「まあ、しょうがないことですよねえ…で、その食べられなかったチョコはどうしたんですか?」
提督「少しは食べてたけど、食べ切れない分はお母さんにあげてた」
青葉(ほとんど本命だったろうに…ご愁傷様ですねえ)
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