女騎士「囚人のジレンマ……?」(14)
女騎士「囚人のジレンマ……? なんだそれは」
取調官「これから私は君にある特殊な取引を持ちかける」
取調官「その取引について、せいぜい板挟み(ジレンマ)に悩まされてくれたまえ」
女騎士「くっ、悪趣味な真似を!」
取調官「まず、もし君がこのまま黙秘を続けて、君の親友である共犯者が自白をしたら」
取調官「君は10年間オークに犯されることになる」
女騎士「な、なんだと!? ふざけるな! そんな刑罰があってたまるものか!」
取調官「それだけ君たちの罪は重いということだよ」
取調官「なおこの場合、共犯者はすぐさま釈放されることになる」
取調官「逆に、もし君が自白をして、共犯者が黙秘を続けたら――」
取調官「君は今日にでも釈放され、共犯者が10年間オークに犯されることになる」
女騎士「うむむ……」
取調官「そして、もしどちらも自白をすれば、二人とも5年間オークの刑だ」
取調官「どちらも黙秘を貫けば、二人とも2年間のオークで済む」
取調官「これまでの話をまとめると、こうなる」
女騎士(自白) 共犯者(黙秘) → 女騎士(釈放) 共犯者(10年オーク)
女騎士(自白) 共犯者(自白) → 女騎士(5年オーク) 共犯者(5年オーク)
女騎士(黙秘) 共犯者(黙秘) → 女騎士(2年オーク) 共犯者(2年オーク)
女騎士(黙秘) 共犯者(自白) → 女騎士(10年オーク) 共犯者(釈放)
取調官「いうまでもないが、この取引は共犯者にも持ちかけられており」
取調官「共犯者がどういう選択をしたかという情報は一切与えない」
取調官「さて、どうするね?」
取調官「さあ、友を信じるべきか、裏切るべきか、大いに悩んでくれたまえ」
取調官「しかし、こうしてる間にも、共犯者は自白か黙秘かを選んでいるかもしれない」
女騎士「ふん、悩む必要などあるものか。私の心は決まっている」
取調官「ほう?」
女騎士(信じているぞ……相棒!)
……
……
……
女騎士「もう! なんで自白しなかったんだ、この愚か者!」
男騎士「そっちこそ! 信じてたのに……期待を裏切りやがって!」
オーク「まあまあお二人とも、今日から2年間たっぷりと楽しみましょう」
女騎士&男騎士「たったの2年かぁ……」ハァ…
おわり
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