穂乃果「アクマゲーム!?」 (73)
穂乃果「……ってなに?」
花陽「はい。最近スクールアイドルの間で流れている噂です。なんでもそのゲームを挑まれて負けた者は、相手のどんな要求にも逆らうことが出来ないらしいんです」
真姫「なによそれ……」
花陽「人気のあるスクールアイドルばかりが狙われているようなんです。ネットではスクールアイドル襲撃事件なんて呼ばれています。なんとあのA-RISEも被害に合ったとか」
ことり「要求をなんでもって……。それって、あの、えっちなこととか?」
花陽「いえ、そういうのではないらしいです。サインが欲しいとか、一緒に写真をとってとかで、被害はほとんどないそうです」
穂乃果「ほえー。でもそんなの、頼めば普通にしてくれそうな気がするけど」
花陽「スクールアイドルとして人気になればなるほど、ファンのそういう要求は増えますから。それ全部に対応できないと、最初から全て断るようにしているアイドルも少なくないんです」
凛「かよちんも前に断られたことあるもんね」
花陽「うん……。ああ、A-RISEのサイン!私も欲しいです!」
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海未「そもそもアクマゲームなんて、そんなものが実際にあるとは思えませんが」
穂乃果「もー、海未ちゃんすぐそういうこと言うんだから」
凛「でも、あったらすごく面白そうだよね!」
ことり「私は、ちょっと怖いかも」
花陽「はい。今回の件ではたいした被害はありませんが、もしも要求が別のものだったら……」
真姫「お金とか、最悪命って可能性もあるってことでしょ?」
凛「あ、そっか」
穂乃果「それは、確かに怖いね」
花陽「まあ、飽くまで噂、というより都市伝説みたいなものですから」
海未「そうですよ。それより、おしゃべりもいいですけど、そろそろ練習始めますよ」
5人「はーい」
穂乃果「アクマゲーム、かー」
穂乃果「アイドル研究部?」
絵里「そう。既にこの学校には、アイドル研究部というアイドルに関する部が存在します」
絵里「アイドル研究部がある以上、あなた達の申請を受けることは出来ません」
穂乃果「そんなあ」
絵里「これで話は終わり」
希「になりたくなければ、アイドル研究部とちゃんと話をつけてくることやな」
穂乃果「って言われてここまで来たけど……」
穂乃果「あなたがアイドル研究部の部長!?」
にこ「……」
凛「わあ、A-RISEのポスター」
真姫「あっちは福岡のスクールアイドルね」
海未「校内にこんなところがあったなんて」
にこ「勝手に見ないでくれる」
花陽「あああ!!もしかしてあれってA-RISEのサイン!?どうやって手に入れたんですか!?」
にこ「秘密よ」
花陽「こっちには伝説のアイドル伝説DVD全巻BOXまで!持ってる人に初めて会いました!すごいです!」
にこ「ま、まあね」
穂乃果「そんなにすごいんだ。じゃあみんなで見ようよ」
にこ「駄目よ、それは保存用」
花陽「ああ、伝伝伝……」
凛「かよちんがいつになく落ち込んでいる!」
ことり「……」
にこ「ああ、気づいた?それは秋葉のカリスマメイド、ミナリンスキーさんのサインよ」
海未「ことり、知っているのですか?」
ことり「あ、いやあ……」
にこ「ま、ネットで手に入れたものだから、本人の姿は見たことないけどね」
ことり「は、はぁ……」
にこ「それで、何しに来たの?」
穂乃果「あ、そうだった。アイドル研究部さん」
にこ「にこよ」
穂乃果「にこ先輩、実は私達スクールアイドルをやっておりまして」
にこ「知ってる。どうせ希に、部にしたいなら話しつけて来いとか言われたんでしょ」
穂乃果「おお、話が早い!なら!」
にこ「お断りよ」
穂乃果「えっ?」
にこ「お断りって言ってるの」
海未「私達はμ'sとして活動できる場が必要なだけです。なので、ここを廃部にしてほしいとかいうのではなく」
にこ「言ったでしょ。あんた達はアイドルを汚しているの」
穂乃果「でも、ずっと練習してきたから、歌もダンスも」
にこ「うまくなった、とでも言うつもり?あの程度で満足してるようじゃ、やっぱりあんた達にアイドルなんて無理よ」
穂乃果「そんなつもりじゃ……」
にこ「とにかく、これで話は終わりよ。帰りなさい」
穂乃果「……嫌です」
にこ「はあ?」
穂乃果「確かに、私達はまだまだです。にこ先輩の求めるレベルには達していないのかもしれません。でも、真剣にアイドルをやろうって気持ちは本物です!練習だってもっともっといっぱいします!だから、私達のことを認めてください!」
にこ「……どうせ口だけでしょ。辛くなってすぐに辞めるに決まってる」
穂乃果「そんなことありません!」
にこ「あんたはそうでも、他のメンバーはどうなのかしらね。みんなあんたと同じだって言える?」
穂乃果「もちろんです!」
にこ「……ずいぶんと言い切るのね。そこのあんたは?」
ことり「私は、穂乃果ちゃんにどこまでもついていくつもりです」
にこ「ツリ目のあんたは」
真姫「真姫よ。やると決めたからには最後までやるわ。それにこんなやる気のリーダー、私には止められないし」
にこ「っ……」
穂乃果「にこ先輩、お願いします!」
にこ「……嫌よ。私は絶対にあんた達を認めない」
にこ「どうしても諦めないって言うのなら、これで無理にでも諦めさせてあげるわ」
凛「鍵?」
海未「なにを?」
にこ「……」ガチャ
穂乃果「え、ええええええ!?突然部室が真っ黒に!?」
花陽「え!?な、なにこれ!?」
海未「照明が落ちた!?いえ、これは……」
にこ「驚いたかしら。これは悪魔の鍵って言ってね、私が部屋と認識した場所を閉鎖することが出来るの。これで誰一人、この部室から出ることは出来なくなった」
ことり「そ、そんな!?」
凛「え、な、なんで!?部室のドアが開かないよ!」
真姫「窓も駄目!なにこれ、意味わかんない!」
にこ「ちなみに言っておくけど、助けを呼ぼうとしても無駄よ。電話もネットも繋がらないわ」
海未「なんなんですか!こんな所に私達を閉じ込めて、あなたは一体何を!」
にこ「別に閉じ込めることがこの鍵の力じゃないわ。この鍵の力、それはね」
にこ「悪魔の力を借りられるってことよ」
悪魔「……」ドンッ!
ことり「き、きゃあああ!!」
真姫「こ、今度はなんなのよ!」
海未「バ、バケモノ……!」
花陽「凛ちゃん……怖いよ……」ギュッ
凛「かよちん……」ギュッ
穂乃果「に、にこ先輩……。その人は……」
にこ「こいつは悪魔よ。でも安心して。この悪魔が直接あんた達に何かをしたりはしないから」
穂乃果「悪魔……」
海未「そんな非現実的な……」
海未(ですがこうして実際に目の当たりにしている以上、これは現実……!)
にこ「さあ、アクマゲームを始めましょう」
凛「アクマゲーム!?」
穂乃果「それって、この間花陽ちゃんが言ってたやつ!」
ことり「そんなの、本当にあったなんて……」
花陽「でも、それってつまり……」
海未「にこ先輩が、スクールアイドル襲撃事件の犯人……」
にこ「そうよ。このゲームの敗者は、勝者に賭けた物を奪われる。悪魔の力で強制的にね」
真姫「そんなのゲーム、うけるわけないじゃない!」
にこ「残念だけど、このゲームを拒否することは出来ないわ。ゲームが終わるまで、この閉鎖空間は解かれない」
悪魔「我はアクマゲームの進行を取り仕切るゲームマスター、ガドだ。公平なジャッジを約束しよう。よろしく頼む」
海未「……ジャッジ?つまりあなたはただの審判ということですか?」
ガド「そうだ。我はお前たちのゲームに介入したりはしない」
海未「にこ先輩の味方をするということは?」
ガド「ない。どちらが勝とうが構わない。我はこのゲームを成立させるためのシステムだ」
海未(それが本当なら、このゲーム相手は飽くまでにこ先輩一人ということ……)
にこ(そこの海未とかいう子、この異様な状況で冷静になるのが早い……。やっかいね)
ガド「さて、早速だがゲームに賭けるものを決めようか。矢澤にこ、お前は誰に何を求める?」
にこ「そうね、相手はあんたよ、高坂穂乃果」
穂乃果「わ、私!?」
にこ「あんたがリーダーなんだもの、当然でしょ。そして私が求めるのは、あんたらμ'sの解散よ」
花陽「解散!?」
ことり「そんなのひどい!」
にこ「あんた達みたいなのは目障りなのよ。どうせすぐ辞めるんだから、今辞めたって同じでしょ」
穂乃果「にこ先輩……」
ガド「認識した。ではゲームのプレイヤーは矢澤にこと高坂穂乃果だ」
ガド「そしてこれ以後、観覧者のプレイヤーへの一切の手出しは我が阻む。プレイヤー同士の接触も原則禁止だ」
ガド「プレイヤーが死亡した場合ゲームを完了することができなくなり、この部屋の封鎖は永遠に解かれなくなる。戻りたければ注意するんだな」
花陽「死亡って、そんな……」
にこ「さて、説明も終わったし、さっさとゲームを」
海未「待ってください!負ければμ'sの解散って、それではにこ先輩が負けた時はどうなるのですか?」
ガド「今のところ何も設定されていない。だがゲームを挑まれたプレイヤーは挑んだプレイヤーが求めたものと同価値までのものを要求できる」
にこ(気づかれたか……)
海未「ならば。穂乃果、私たちの要求はスクールアイドル研究部、及び部室の明け渡しにしましょう」
穂乃果「ええ!?でもそれじゃあにこ先輩が……」
海未「何を言ってるんですか!私たちはこんな無茶苦茶なゲームを挑まれているんですよ!今更穏便には済みません!」
穂乃果「でも……」
海未「穂乃果!」
穂乃果「わ、わかったよ……。じゃあ、それで」
ガド「認識した。では今回のゲームは……」
【真偽心眼】
真偽心眼ルール
問い手は嘘もしくは真実の事柄を一つ発言し、「True or False」と解き手に問う
解き手は問い手の言った事柄が真実だと思えばTrueと答える。逆に嘘だと思えばFalseと答える
解き手が正解すれば1点獲得、不正解であれば問い手に1点
問い手と解き手を交互にチェンジしながら進行し、先に3点先取した方の勝利となる
ガド「正解・不正解の判断は我が行う。嘘もごまかしも我には通用しない。この世界の事実の全てが我の中にある」
海未(これは、解き手の場合相手の嘘と意図を正確に見抜く判断力が必要になりますね)
にこ(問い手なら、相手が不正解を選ぶような問いを出さなきゃいけないのね)
海未(まずいですよ。このゲーム……)
穂乃果「あの、もう一回説明してもらってもいいですか?」
海未(穂乃果には不利!)
再度説明中
ガド「ルールは以上だ。質問はあるか?」
にこ「ないわ」
穂乃果「た、多分大丈夫……」
凛「真姫ちゃん、とぅるーおあふぉーるすってどういう意味にゃ?」
真姫「凛、あなた……」
花陽「凛ちゃん、英語は苦手だから……」
ガド「では最初の問い手を決めるコイントスだ。当たった者が問い手となる。表か裏、選ぶがいい」
穂乃果「えー、どうしよう。どっちがいいのかなー」
にこ「どっちも一緒よ、早く選びなさいよ」
穂乃果「うーん、じゃあ表!」
にこ「なら私は裏ね」
ガド「クク……では」
ガド「……表だ。まずは高坂穂乃果が問い手となる」
穂乃果「やった!」
にこ「……」
ガド「それでは、ゲームスタートだ」
ことり「穂乃果ちゃん、頑張って!」
穂乃果「うん、頑張るよ!」
海未「穂乃果、問題はちゃんと考えるんですよ!」
穂乃果「任せて!もう1問目は考えてあるから!」
海未(ああ……不安です)
穂乃果「にこ先輩、問題です。今の私の年齢は17歳である。True or False!」
ガド「問題として認識した。解き手矢澤にこよ、答えよ」
穂乃果「どう海未ちゃん!これならきっとわからないよ!」
海未(穂乃果……。やっぱり理解してないですね……)
海未(確かにその問題なら、にこ先輩には確実な正解はわからないでしょう)
海未(ですがこのゲームの答えはTrueかFalseの2択。わからなくても、最悪2分の1で正解されてしまうんです)
海未(それはこちらも2分の1で勝てるということですが、解散のかかった大事なゲーム、出来ることなら運に任せることは避けたいですが……)
海未(……いえ、待ってください。この問題、案外いけるのかもしれません……)
にこ(さて、どう考えるべきかしらねこれは)
にこ(年齢が17歳かどうか。つまりこれは、この子の誕生日が今日より前か後かということ……)
にこ(今は6月だから、単純に考えたら3倍以上16歳の確率のほうが高いってことだけど)
海未(ですがにこ先輩も、おそらくそれくらいは考えるはず……)
海未(穂乃果の誕生日は8月3日。なので穂乃果の年齢は16歳。Falseが正解ですが……)
にこ(これは、引っ掛けようとしてるのかしら。私が確率の高い方を選ぶように……)
海未(もちろん単純な穂乃果にそんな意図はありません。ですがにこ先輩は、穂乃果のことをよく知らない)
にこ(さらにその裏をかこうとしてる可能性もあるけど、でも)
海未(確率でいえば16歳の可能性の方が圧倒的に高いんです。そんなリスキーな問題、本当に16歳なら普通なかなか出せない)
海未(私が解き手なら、Trueを選びます。にこ先輩は、どっちを……)
にこ(……あっ)
にこ「ふふっ、あんたも運がないわね」
穂乃果「えっ?それってどういう……」
にこ「ちょっと失礼」
花陽「パソコン?それで何を……」
にこ「ふんふん、へー、なるほどねえ」
凛「何見てるのかな?」
真姫「知らないわよ」
にこ「はい、もういいわ。待たせたわね」
にこ「あんたの年齢は16歳。つまり答えはFalseよ」
海未「!?」
穂乃果「ええ!?」
ガド「正解だ。矢澤にこに1点が加算される」
にこ:穂乃果
1 : 0
ことり「ああ、当てられちゃった……」
海未(確率を信用した?ですがそれにしてはずいぶんはっきり断言していました。まるで確信を持っていたかのような……)
海未「まさか……!?」
穂乃果「海未ちゃんまでパソコン見て、どうしたの?」
海未「やられました。このフォルダを見てください」
凛「スクールアイドル全集? わー、なにこれ!」
花陽「すごい!全国のスクールアイドルの情報が網羅されてます!」
真姫「グループごとにメンバーの身長、体重から3サイズまで……」
花陽「さらに趣味や特技、これまでの活動記録なんかも載っています!本当にすごいです!これだけの情報を集めて記録するのはどれだけ大変なことか!」
ことり「あ、μ'sの名前もある!」
海未「そうです。これにはもちろん誕生日も書いてあります。それでにこ先輩は、穂乃果の年齢がわかったんです」
穂乃果「でもそれっていいの!?カンニングだよ!」
にこ「あら、ガドは答えを見ちゃダメなんて言ったかしら」
海未(盲点でした……。2択形式の問題、当然自分で答えを考えなければいけないとばかり思っていました)
海未(それに引き換え、にこ先輩はそこを正しく理解していた。やはりアクマゲームをやり慣れています)
にこ「さて、次はにこが問い手の番ね」
海未(1点先制されてしまいました。ここは是が非でも正解したいところです。穂乃果、お願いします!)
にこ「問題よ、にこのバストは74である。True or False」
ガド「問題として認識した。それでは高坂穂乃果、答えよ」
穂乃果「ええ、そんなのわかんないよー!」
海未(にこ先輩のバスト……。ぱっと見ただけで分かることですが、にこ先輩はとてもスレンダーな体型です)
穂乃果「うーん、にこ先輩は胸は大きくないですよね」
にこ「それはどうかしら。もしかしたら制服の下にさらしでも巻いてるかもね」
穂乃果「あ、そっか!じゃあ実はにこ先輩は巨乳?」
海未「穂乃果!適当な発言に騙されないでください!」
穂乃果「え、嘘なの!?」
海未(私のバストが76……。私も胸は大きい方ではありませんが、にこ先輩はそれと同じか更に小さいように思えます)
海未(なので74と言うのは、それなりに妥当な数字に思えますが……)
穂乃果「私が78だから、えーっとー……」
海未(ですが、もし73だとしても不正解なんです。さすがに1センチの違いは、見た目ではわかりません……)
海未(この部屋にメジャーでもあれば……。いえ、駄目ですね。もしあったところで、観覧者のプレイヤーへの手出しは禁止、さらにプレイヤー同士の接触も禁止では測りようがありません)
穂乃果「74くらいなのかなー。でも、もうちょっと小さいような気もするけど……」
にこ「あんまりじろじろ見るんじゃないわよ」
海未(何か、とっかかりが欲しいです。にこ先輩のバストを特定する何かが……)
凛「かよちん、いつまでそれ見てるの?」
花陽「も、もうちょっとだけ……」
真姫「まったく、今は穂乃果先輩が大事なゲームをしてるんだから。花陽もちゃんと見てなさいよ」
花陽「そ、そうだよね……ごめ……。ん?なんだろ、これ。……あっ!あああああああああ!!」
ことり「わっ!?ど、どうしたの、花陽ちゃん?」
にこ「あっ!あんたいつまで私のパソコン弄ってるのよ!離れなさい!」
花陽「こ、これ見てください!さっきのスクールアイドル全集の一番下のところなんですけど!」
凛「宇宙No.1アイドルって書いてあるにゃ」
穂乃果「そういう名前のグループがいるの?」
花陽「違います!これを開くと……」
ことり「これって、にこ先輩のプロフィール!?」
花陽「そうなんです!これを見れば今の問題の答えも載ってます!」
穂乃果「ホントに!?大発見だよ花陽ちゃん!」
にこ「しまった……。私としたことが自分のプロフィールを残してたのを忘れてたわ……」
真姫「それにしても、自分のことを宇宙No.1アイドルって」
凛「ちょっと寒くないかにゃ」
にこ「あんた、今寒いって言った!?」
海未「花陽、私にも見せてください」
花陽「あ、はい」
海未(確かに、書いてあります)
海未(矢澤にこ、誕生日は7月22日。蟹座のA型。その他の詳細なプロフィールまでびっしりと)
海未(まさかさっきと同じ所に正解が書いてあるなんて……)
穂乃果「あ、あったよ!バストは74って書いてある!」
にこ「はあ……見られちゃったものは仕方ないわね。この1点はあげるわ。正直さっき私が答えを見たのも少し罪悪感があったのよね。でもこれで仕切り直しよ。次からはお互いフェアにやりましょう」
穂乃果「にこ先輩……!はいっ!」
海未(……でも、ちょっと待ってください)
海未(にこ先輩が、本当にこんなミスをするでしょうか)
海未(そもそもこのパソコンはにこ先輩のものです。それなのに、自分のデータが入っていることを忘れますか?)
海未(今考えれば問題も変です。絶対に正解の分からない問題なんて、他にいくらだって考えられるんですから)
海未(にこ先輩だって私達の裏をかきたいはずなんです。それをバストなんていう、見た目である程度答えが推測出来てしまう問題にした理由……)
海未(本当にさらしを巻いているのでなければ、これは!)
海未「穂乃果!待っ」
穂乃果「答えはTrue!にこ先輩のバストは74だよ!」
海未(遅かった……)
ガト「不正解だ。矢澤にこに1点が追加される」
にこ:穂乃果
2 : 0
花陽「ええええ!?」
ことり「そんな……」
穂乃果「なんで!?おかしいよ!だってほら、ここにちゃんと書いてあるのに!よく確認してよ!」
にこ「ふん。あんたって本当に馬鹿ね」
穂乃果「えっ?」
にこ「敵の言うことを素直に信じるなんて。ちなみに教えてあげるけど、私のバストサイズは71よ」
真姫「騙したのね!」
にこ「そうよ、悪い?言っておくけど、プロフィールのサバ読みなんてアイドルはみんなやってるんだから」
凛「そんなの卑怯だよ!」
海未「言っても仕方ありません。次は絶対にとりましょう」
海未(といっても、もうこれは……)
花陽「す、すみません!私が余計なことを言わなければ……」
穂乃果「そんな、花陽ちゃんのせいじゃないよ!」
海未「そうですよ。花陽が気づかなくても、にこ先輩はどうにかして私たちに気づかせるように誘導したはずです」
穂乃果「むしろ、私がもっとちゃんと考えてたら……」
真姫「誰のせいかなんて考えてもしょうがないわよ。それより、話さなきゃいけないのはこの先のことでしょ。どうするのよ」
凛「もう2点とられちゃった……」
ことり「あと1点でもとられたら負けちゃうよ……」
真姫「逆に穂乃果先輩が勝つには、ここから3点連続でとらなきゃいけない。相当厳しいわよ」
海未「とにかく今私たちがするべきことは、にこ先輩が間違てしまうような問題を考えることです」
凛「あ、じゃあ凛が昨日食べた晩御飯とかは?」
海未「駄目です。完全に答えがわからない問題では、結局2分の1の確率で正解されてしまいます」
真姫「序盤ならまだしも、今この状況でそんな問題を出す気にはなれないわね」
花陽「でも、絶対ににこ先輩が間違える問題なんて……」
海未「考えるんです。考えればきっと何かあるはずです」
穂乃果「うーん……」
海未(ですが実際、そんな問題はあるんでしょうか……)
海未(私たちがどんな問題を考えようと、もしそれに関係なくにこ先輩が運で答えを決めてしまえばそれまでです)
海未(残り3問、もしすべてを運で決めた場合、私たちが3連勝する確率は8分の1。これではあまりにも低い数字です)
海未(ですからそれを避けるためには、私たちの出す問題はにこ先輩が自信を持って答えられるものでなければいけません)
海未(なおかつ、それで不正解を選ばせる。出来るでしょうか、私たちにそんなことが……)
ことり「……あっ」
海未「ことり?何か思いつきましたか?」
ことり「え、あ、その……」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり(どうしよう……。これ、みんなには内緒にしてたことだけど……)
ことり(……ううん、そんなこと言ってる場合じゃない!μ'sが解散するなんて、そんなの絶対に嫌!)
ことり「あ、あのね、実は私……」
にこ「この勝負、勝ったわね」
にこ(穂乃果は、ずいぶんと素直な子ね。あんな単純な手に引っかかるなんて)
にこ(だけど確信したわ。あの子はこういうゲームには向いてない)
にこ(なにやらこそこそと仲間同士で作戦会議してるみたいだけど、穂乃果が問い手である以上、揺さぶればきっとボロをだす)
にこ(もし分からない問題でも、最悪運に任せればいいだけ。2対0だもの、それでも私の絶対有利は変わらないわ)
にこ(そしてμ'sは解散。清々するわね)
にこ(……それにしても、なんでμ'sって穂乃果がリーダーなのかしら)
にこ(どう見てもリーダーっていうような器じゃないし、私だったら絶対にあの子にはついていけないけど)
にこ(なのになんで、あの子の周りにはあんなに人が集まってるの?)
『ごめん、私にはやっぱり無理』
『スクールアイドルって、もっと楽しいものだと思ってたのに』
『矢澤さん、ちょっと厳しすぎ。ついていけないよ』
にこ(っ!)
にこ(ふんっ!あの子たちだってどうせ今だけよ。みんなみたいに、すぐに辞めるに決まってる)
にこ(スクールアイドルは、友達との仲良しこよしの延長で出来るような、そんな甘いものじゃないのよ)
穂乃果「お待たせしました」
にこ「お友達との話し合いは終わったのかしら」
穂乃果「はい、決まりました」
ガド「では問い手高坂穂乃果よ、問いを言え」
穂乃果「じゃあ、言います。私からの問題は……」
にこ(どんな問題でも絶対に正解してみせる。私はこの子達には負けられないのよ!)
海未(大丈夫。いける筈です、この問題なら……!)
穂乃果「今この部屋の中に、秋葉原のメイド、ミナリンスキーさんが書いたサインが2つ以上ある。True or False」
ガド「問題として認識した。解き手矢澤にこよ、答えよ」
にこ(ミナリンスキーさんのサインが2つ以上あるか、ね……)
にこ(まず確実に分かることとして、少なくとも1枚はあるわ)
にこ(私の持っているサイン。ネットで手に入れたものだけど、偽物を掴むなんてそんなへまはしない。あのサインは間違いなく本物よ)
にこ(となると問題は、この子たちがサインを持ってるかってことだけど……)
にこ(それを考える前に、一応部室の中を確認しときましょ。いつの間にかどこかに隠してないとも限らないし)
凛「別にどこにも隠したりしてないにゃあ」
真姫「そうよ、探すだけ無駄だと思うけど?」
にこ(無視よ無視)
にこ(とりあえず隅々まで探したけど、やっぱりサインなんて見つからなかったわね)
にこ(あとあるとすれば、あの子たちが直接持ってるってことだけど……)
にこ(そもそも、本当に持ってるのかしら。ミナリンスキーさんのサインって結構レアなのよ)
にこ(私だって、手に入れるのに苦労したくらい。それをこの子たちが持ってる?そして今日学校に持ってきてる?)
にこ(普通に考えたらないわ。だけど、確証がほしい)
にこ(その為には、この子たちの体をどうにか調べないと)
にこ(……って、そうよ。そんなの簡単じゃない)
にこ「悪いけど、あんた達の体を調べさせてもらうわよ」
海未「そんなこと、私たちが素直にさせると思いますか?」
にこ「素直にとは思わないけど、調べることは問題なく出来るわ。こうやってね!」
穂乃果「え、そんな力づくで!?」
海未「な、なにを!?」
にこ「抵抗はしない方がいいわよ。私に手を出そうとすればガドが止めるから」
海未「なっ!?」
にこ(このアクマゲーム、観覧者からプレイヤーへの手出しは一切禁止されている)
にこ(でも逆に、プレイヤーから観覧者へは何も禁止されていないのよ)
にこ(つまり私は、やろうと思えば海未を殴るも蹴るも好き放題ってわけ。もちろん、そんなことはしないけどね)
にこ(そのおかげで、私はこうしてこの子たちを自由に調べることができる)
にこ「あんたは持ってないわね。次はそこのショートのあんたよ」
凛「え、り、凛!?」
海未「うぅ、体中探られました……。破廉恥です……」
にこ(こうやって一人ずつ調べていけばいい)
にこ「次!」
にこ(これで、もしサインを持ってたとしても確実に見つけられるわ)
にこ「次!」
にこ(だけど、例外がただ一人)
にこ「次!」
にこ(そう)
にこ「次!最後は、あんたね」
穂乃果「わ、私も持ってないですよ!」
にこ(穂乃果だけを除いてね)
にこ(プレイヤー同士の接触禁止。このルールがある限り、私はこの子を調べられない)
にこ(もしもこの子達がそこまで考えているのなら、結局一番サインを持ってる可能性が高いのは穂乃果なのよ)
にこ(他のメンバーも確認したのは念のため。あとは、穂乃果が持ってるかを確認する方法だけど……)
にこ「穂乃果、あんたミナリンスキーさんのサイン持ってるでしょ?」
穂乃果「も、持ってないですって!」
にこ「嘘ね。あんた自分じゃ気付いてないかもしれないけど、嘘をつくとき少し右の眉がつり上がるのよ」
穂乃果「嘘!?」
海未「駄目です穂乃果!」
穂乃果「えっ!?」
にこ(やっぱり単純ね。こんな原始的なかまかけに引っ掛かるなんて)
にこ(信じられないけど、どうやらこの子はミナリンスキーさんのサインを持ってるみたいね)
にこ(もう答えは見えたけど。最後の問題だし、念には念を入れときましょうか)
にこ「ふふっ、今からあんた達に面白いものを見せてあげるわ」
穂乃果「面白いもの?」
にこ(制限時間は5秒だけ。でもそれだけあれば充分)
にこ「いくわよ」
にこ(悪魔の能力、発動!)
ことり(にこ先輩、なんで突然上着を脱いでるの!?)
穂乃果「ちょ、なにこれー!?」
海未「穂乃果!あなた何やってるんですか!?」
花陽「なんで穂乃果先輩も服を脱ぐんですか!?」
穂乃果「わかんないよ!体が勝手に動いちゃうの!」
にこ(脱いだ上着は、前に投げる!)
穂乃果「ああ!?私の制服ー!」
真姫「なんで投げるのよ!」
にこ(5秒たった。これで私の勝ちね)
にこ「あんたの制服、貰うわよ」
凛「い、今何が起きたの?」
花陽「穂乃果先輩の制服が、にこ先輩のすぐ足元に!」
海未「これは……あなたが何かしたのですか、にこ先輩」
にこ「そうよ。これが私の悪魔の能力。5秒間だけ、相手に自分と同じ行動を強制させる」
穂乃果「悪魔の能力!?」
にこ「悪魔の鍵の所有者にだけ与えられる力のことよ。手に入る能力は人によって違うし、この閉鎖空間の中でしか使えないけどね」
海未「ガド!そんな話聞いてないです!」
ガド「我は聞かれたことのみ答えるまでだ」
ガド「人間には個体差があるんだろう?その能力が一つ増えたようなものだろう」
にこ「とにかく、これで穂乃果の制服が手に入ったわ。私の考えが正しければ、これのどこかに……」
にこ「あった!あったわ!ミナリンスキーさんのサイン!」
ことり「ああっ、そんな!」
にこ「こんなノートを破った紙に書いてもらってたなんてね。サインを貰う時は普通ちゃんと色紙を用意するものよ」
にこ「まあいいわ。とにかくこれで終わり。この部屋にサインは2つ以上ある。つまり正解は……」
にこ(……待って。このサイン、よく見たら変よ)
にこ(ハートの書き方や、文字の大きさとか癖なんかが、ネットで研究したミナリンスキーさんのサインの特徴と微妙に違う……)
にこ(私の持ってるのと比べてみても、やっぱり少しおかしいし……)
にこ(これって、もしかして!)
にこ「……あんた達、意外とやるじゃない。危うく引っかかるところだったわよ」
真姫「ど、どういう意味よ」
にこ「このサインはミナリンスキーさんの書いたものじゃない。つまり偽物よ」
海未「っ!」
にこ「問題を出す前、集まってこそこそと何かやってたみたいだけど、これを書いてたんでしょ?部室に飾ってあるのを見ながら真似して書いたんでしょうけど、残念ながら私には通用しない」
にこ(でも、能力を使わなかったらTrueと答えてた。本当に危なかったわね)
にこ「正解はFalseよ」
にこ(これで私の勝ち!)
ガド「不正解だ。高坂穂乃果に1点が加算される」
にこ「はあ!?」
にこ:穂乃果
2 : 1
穂乃果「やった!1点とったよ海未ちゃん!」
海未「ええ、やりましたね!」
にこ(そんな、なんでよ!?このサインは偽物のはずでしょ!)
にこ(もしかして、他に隠してる本物があるっていうの!?私が気づかないどこかに……)
にこ(でも、そんな場所どこに……)
海未「わからない、と言う顔をしてますね」
にこ「っ!」
海未「言っておきますが、他に隠しているサインなんてありませんよ。この部屋にあるのはそれと部室に飾ってある物の2つだけです」
にこ「……嘘ね、そんなわけない。それが本当ならサインは1つ、Falseが正解じゃなきゃおかしいじゃない」
海未「にこ先輩は勘違いをしているんですよ」
にこ「勘違い?」
海未「にこ先輩が今手にしているサイン、にこ先輩は偽物だと思っているようですが、それは本物です」
にこ「嘘!?」
にこ(このサインが本物?いえ、違う。私にはわかる、これは絶対ミナリンスキーさんのものじゃない!)
海未「確かにそのサインは、ミナリンスキーさんが普段普通に書いてるものとは細部が異なります」
海未「でもそれは、間違いなく"ミナリンスキーさんが書いたサイン"なんですよ」
にこ「どういう、ことよ」
ことり「あ、あのー……」
にこ「え、な、なに?」
海未「にこ先輩に紹介します。この子の名前は南ことり。私と穂乃果の幼馴染です」
にこ「いきなりなに?知ってるわよそれくらい」
海未「そしてまたの名を、秋葉のカリスマメイド、ミナリンスキーといいます」
にこ「なっ!?」
ことり「あはは、どうも」
にこ(ことりが、あの伝説のメイド、ミナリンスキーさん!?μ'sのなかでもあまり目立たないこの子が!?)
海未「私たちも知ったのはさっきの作戦会議の時です。ですがそのおかげで、この作戦を思いつくことができました」
にこ(この子が本当にミナリンスキーさんなら、確かに辻褄は合う……)
にこ(このサインは、この子がわざと微妙に変えて書いたもの!私に偽物だと思わせるために!)
にこ「私が違いに気付かなかったらどうするつもりだったのよ。っていうか、普通気付かないわよこんなの」
海未「そうですね、普通は気付きません。ですがにこ先輩なら気付いてくれると思っていました。スクールアイドルや秋葉カルチャーにそこまで造詣が深いあなたならと」
にこ「……」
海未「穂乃果がにこ先輩のかまかけに引っかかったときは、そこで正解を判断してしまうのではないかと焦りましたが」
穂乃果「うっ、ごめん海未ちゃん……」
海未「悪魔の能力、でしたか。結果的にあれに救われましたね」
にこ「……あんた」
ことり「わ、私ですか?」
にこ「あんたがミナリンスキーだってこと、大事な幼馴染も知らなかったみたいだけど、それをばらしちゃってよかったの?内緒にしてたんでしょ?」
ことり「それは、そうですけど……。でも、絶対に負けたくなかったんです。だって私、μ'sのことが大好きだから」
にこ「教えたところで、この子たちが勝つとは限らないじゃない。秘密の教え損になったかも知れないわよ」
ことり「そんなことないです。私は、穂乃果ちゃんや海未ちゃんなら絶対に勝ってくれるって信じてました」
にこ「ずいぶんと信用してるのね」
ことり「はい!」
にこ「……ふん!言っておくけど、まだ2対1。こっちが有利なのは変わらない」
にこ(本当に、みんな仲がいいのね)
にこ(なんでこの子たちは、こんなに……)
ガド「4問目だ。問い手矢澤にこ、問いを言え」
にこ「そうね」
海未(にこ先輩の言う通り、まだ私たちの不利は変わりません)
海未(ですがここをとることが出来れば同点です。勝負はまだわからない)
にこ「じゃあ、問題よ」
にこ「あんた達μ'sのファーストライブを見ていた観客は6人以上いた。True or False」
穂乃果「……え?」
ガド「問題として認識した。解き手高坂穂乃果よ、答えよ」
穂乃果「……えっと、そんな簡単な問題でいいんですか?」
にこ「いいわよ、早く答えなさい」
穂乃果「じゃあ……」
海未「穂乃果、答えるのは少し待ってください」
海未(私たちのライブを見ていた人の人数ですか……)
海未(花陽、凛、真姫、絵里先輩、そして後から知ったことですが希先輩も来ていたそうです)
海未(つまり5人、なので正解はFalse。これでは確かに簡単すぎます。そんな問題出すはずがない)
海未(その5人の他に、誰かがいたのですか?私たちの知らない誰かが)
海未(……いえ、違います!あの場には他にも人がいたじゃないですか!)
海未(ヒデコ、フミコ、ミカ。この3人も私たちのライブを見ていました)
海未(全部で8人。これ以上多い可能性はあったとしても、少ないということはないはずです)
海未(これで合っているはずです。他に考えようは……)
海未(……にこ先輩は、私達のライブを見ていた観客と言っていましたね。この表現が気になります)
海未(ライブを見ていた、観客)
海未(些細なことですが、ここが微妙に二重表現になっています。ただライブの観客でいい筈です)
海未(間違いと言う程の事ではないかもしれませんが、もしこれが意図的にした表現だとしたら……)
海未(わざわざ見ていたという言葉を足した理由、それは……)
海未「わかりました。穂乃果、正解はFalseです」
海未(見ていたという言葉を足した理由、それは後に続く観客という言葉への意識を薄くさせるため)
海未(実際私は、正解の人数は8人だと思っていました。ですがよく考えれば、ヒデコ達3人は観客ではない)
海未(彼女達は飽くまで私達のライブを手伝う為に集まってくれました。どちらかと言えば観客というよりスタッフと表現するべきなんです)
海未(これこそがにこ先輩の策。私達にヒデコ達も含むと誤認させようとした)
海未(なので観客は5人。Falseが正解です)
にこ「……」
穂乃果「……」
海未「穂乃果?」
穂乃果「……ううん。違う、違うよ」
海未「違う?」
穂乃果「True。正解はTrueだよ!」
にこ「っ!?」
海未「なっ!?穂乃果!あなた何を!」
ガド「正解だ。高坂穂乃果穂乃果に1点が加算される」
海未「!?」
にこ:穂乃果
2 : 2
ことり「穂乃果ちゃんすごい!」
凛「さっすが穂乃果先輩にゃ!」
真姫「やったわね。これで同点」
花陽「あと1点……!」
にこ「……なんでTrueだと思ったのか聞いてもいいかしら。もしかして、あの3人も含まれると思ったの?」
穂乃果「あの3人?」
海未「ヒデコ達のことです」
穂乃果「あ、そっか!ヒデコ達も見てたんだ!」
海未「気付いてなかったんですか!?」
穂乃果「ご、ごめん……」
海未「はあ……。ですが気付いてなかったなら、どうして尚更Trueなんですか?」
穂乃果「えー、だって普通に数えたらそうなったんだもん」
穂乃果「花陽ちゃんに、凛ちゃん。真姫ちゃん、絵里先輩、希先輩。それににこ先輩。ほら、どう考えたって6人だよ」
海未「にこ先輩が、私達のライブに来ていたのですか!?」
にこ「あんた、気付いてたの?私があそこにいた事」
穂乃果「いえ、気付いていませんでした」
にこ「だったらなんで……」
穂乃果「気付いてませんでしたけど、でも今考えると、来てないはずないって思ったんです。だってにこ先輩、こんなにスクールアイドルが大好きじゃないですか」
穂乃果「スクールアイドル襲撃事件だって、スクールアイドルが大好きだからやってたんですよね?そりゃ、やり方はどうかなって思いますけど……」
穂乃果「でもそんなにこ先輩が、自分の学校で始まったスクールアイドルの事、気にならないはずないです」
にこ「……ふん」
海未「すみませんでした、穂乃果……」
穂乃果「え、なにが?」
海未「先程の問題、私の答えは間違っていました。もしその通り答えていたら、穂乃果は負けていた。本当にすみません」
穂乃果「そんな、謝らないでよー」
ことり「そうだよ海未ちゃん!」
真姫「ていうか、そもそも海未先輩がいなかったらとっくに負けてたし」
海未「言い訳になってしまいますが、私はにこ先輩は私達の事を嫌いなのだと思っていました。ですから、にこ先輩がライブに来ていたなんて考えもしなかったんです」
穂乃果「にこ先輩は、きっと私達の事を嫌ってなんかないよ」
海未「穂乃果?」
穂乃果「ねえ、みんなにお願いがあるの。次に出す問題、私に任せてくれないかな?」
花陽「えっ?」
真姫「はあ?何言ってるのよ」
凛「最後の問題だし、やっぱりみんなで考えた方がいいんじゃ……」
海未「……何か作戦があるんですか?」
穂乃果「作戦、なんて言えるようなものじゃないかもだけど。だけど、私……」
ことり「私は、穂乃果ちゃんにどこまでだってついていくよ」
穂乃果「ことりちゃん」
ことり「μ'sを結成して、こうしてここまで来れたのだって、今まで穂乃果ちゃんが引っ張ってくれたおかげだもん。だから今回だって、穂乃果ちゃんの思う通りにして。穂乃果ちゃんなら絶対に大丈夫だから」
花陽「はい。私も、穂乃果先輩にお任せします」
真姫「まったくー。負けたら承知しないんだから」
凛「もし負けちゃっても、そしたらみんなで別のグループ組めばいいにゃ!」
穂乃果「花陽ちゃん、真姫ちゃん、凛ちゃん!」
海未「……わかりました。あとは穂乃果に全て託します」
穂乃果「海未ちゃん、ありがとう!」
海未「お礼なんていりません。だってあなたは、私達μ'sのリーダーでしょう?穂乃果のかっこいいところ、私達に見せてくださいね」
穂乃果「が、頑張る!」
海未「ふふっ。信じていますよ、穂乃果」
にこ「あいつら、笑ってるわ……」
にこ(なんでそんなに楽しそうにしてられるのよ……。あと1点とられたらμ'sは解散。それは何も変わってないのに……)
にこ(でも、それはこっちも同じね。あと1点失ったら、私はこのアイ研と部室を奪われる)
にこ(2年以上ここで活動してきたけど、よく考えてみたらろくな思い出もないのよね)
にこ(それでも1年の頃は、クラスの子達とスクールアイドルを結成して、この部室でみんなで色々話したりしてたっけ)
にこ(私達のライブの曲についてみんなで話し合ったり、好きなアイドルについて語り合ったり)
にこ(でもいつからか、だんだんとここに来る子達が減っていって)
にこ(そしてとうとう、アイドル研究部は私一人になった)
にこ(練習が辛いんだというのは分かっていたけど、だけど私にはどうしてこの程度の練習で音を上げるのか分からなかった)
にこ(一人前のスクールアイドルになるためにはこれくらい当たり前の事なのに、私だって本当は辛いのに、好きだから頑張ろうって思えた)
にこ(でも結局、みんなは私ほどにはスクールアイドルに本気じゃなかったみたい)
にこ(2年生になってからは、部室に篭ってひたすらパソコンで他のアイドルについて調べてた。一人になってからも続けていた練習も、いつの間にかやらなくなった)
にこ(3年生になって少しした時、下級生がスクールアイドルを結成したと耳にした。どうせこいつらもすぐ辞めるだろうと思っていたのに、辞めるどころかメンバーも増やして。私はそれが気に入らなくて、嫌がらせしたり、悪態をついてみたり)
にこ(そんなどうしようもない部活と部室だったけど、だけどそれでも、ここには私のアイドルへの想いがつまってるの)
にこ(だから渡さない。特にこの子達には絶対に!)
ガド「最終問題だ。問い手高坂穂乃果よ、問いを言え」
穂乃果「にこ先輩」
にこ「なによ。さっさと問題を出しなさい」
穂乃果「問題を出す前に、にこ先輩にお願いがあります」
にこ「お願い?」
穂乃果「にこ先輩。μ'sに入ってください」
にこ「はあ!?」
穂乃果「私達には、にこ先輩が必要なんです。お願いします!」
にこ「あんた、バカなの?私はあんた達を解散せようとしてるのよ?それに、私はあんた達の事を認めていないって言ったでしょ。それなのに、μ'sになんて入るわけないじゃない」
穂乃果「私たちが認められないんだったら、μ'sに入って私たちのことをよく見ててください。にこ先輩に認めてもらえるような立派なスクールアイドルになります。そして、知りたいんです。スクールアイドルのことをもっとたくさん。にこ先輩に教えてほしいんです」
にこ「あんた……」
穂乃果「それに、本当はにこ先輩だって、私達に興味を持ってくれているはずです」
にこ「な、なーんでそうなんのよ!」
穂乃果「にこ先輩がパソコンに保存していたスクールアイドルのデータ、あれには私達の名前もありました。しかも、細かいところまですごく詳しく書かれてて。本当に私達に興味がないなら、あんなこと出来ないと思うんです」
穂乃果「ライブだって来てくれたし、練習だって。歌やダンスに駄目出し出来るのも、私達のことよく見てくれてるからですよね?」
にこ「それは……」
穂乃果「にこ先輩、本当は先輩も、スクールアイドルをやりたいんじゃないですか?」
にこ「っ!?」
穂乃果「やりましょうよ、私達と一緒に!私達も、にこ先輩に一緒に歌ってほしいんです!」
にこ(私が、μ'sに……?)
穂乃果「いきます、にこ先輩。これが最後の問題です、答えてください」
穂乃果「にこ先輩は、アイドルが大好きだ。True or False」
ガド「問題として認識した。矢澤にこ、答えよ」
にこ(こいつは、なんなのよ!人の心にずかずかと入ってきて!)
にこ(私は、敵なのよ!?あんた達を陥れようとしてる張本人なの!)
にこ(それなのになんで、この子はこんなにもまっすぐなの……?)
にこ(……ああ、そっか)
にこ(今、ようやく分かったわ。私がこんなにもμ'sに惹かれて、だけど気に入らなかった理由が)
にこ(私は、穂乃果に嫉妬していたのね。私が出来なかったことを平然とやってのけるこの子に)
にこ(そして羨ましかった。私も穂乃果みたいだったら、もしかしたらみんな離れていく事はなかったのかもしれない)
にこ(私にもμ'sみたいな仲間がいたら、今も楽しくアイドル活動をしていたのかもしれないって)
にこ(そんな自分を想像して、だけど私はそうじゃないって、こいつらとは違うんだって諦めてたのに、なのに)
にこ(私も、いいの?あんた達と一緒にスクールアイドルをやっても)
にこ(もう一度、自分の夢を追いかけても)
穂乃果「にこ先輩!」
5人「にこ先輩!」
にこ(私は……)
にこ「……False。正解は、Falseよ」
ガド「不正解だ。高坂穂乃果に1点が加算される」
にこ:穂乃果
2 : 3
ガド「高坂穂乃果が3点先取した。よって真偽心眼ゲーム、高坂穂乃果の勝利だ」
凛「やったー!!」
ことり「穂乃果ちゃん!!」
花陽「勝った!勝ったよお!」
真姫「もう。ひやひやさせないでよね」
海未(穂乃果、あなたは本当にすごいです)
にこ(あーあ、負けちゃった……)
にこ(でも、きっとこれでいいのよね)
ガド「これによりアイドル研究部、及びその部室は高坂穂乃果のものとなる」
穂乃果「あの、ガドさん。アイドル研究部なんですけど、部長をにこ先輩のままにすることって出来ますか?」
ガド「アイドル研究部はすでにお前のものだ。好きにしろ」
ガド「それともう一つ。矢澤にこの所有していた悪魔の鍵。これも勝者の高坂穂乃果に与えられる」
海未「なっ!?」
穂乃果「え!!この鍵も!?」
ガド「鍵は常に勝者のみを求め続ける。受け取れ」
穂乃果「は、はあ……」
ガド「ゲーム【真偽心眼】。終了だ」
ことり「あっ、部室が元通りに!」
凛「ドアも開くにゃ!」
にこ「ゲームが終われば、閉鎖は解かれるわ。これで全部元通りよ」
穂乃果「にこ先輩」
にこ「……」
穂乃果「もう一度お願いします。μ'sに入ってもらえませんか?」
にこ「……ふん、仕方ないわね。私が必要だってんでしょ。ゲームにも負けちゃったし、しょうがないから入ってあげるわよ」
真姫「何言ってんのよ。わざと負けたくせに」
にこ「うっさいわねあんた!空気読みなさいよ!」
穂乃果「ありがとうございます!」
にこ「言っておくけど、私が入るからには厳しくなるわよ」
穂乃果「わかってます!アイドルへの道が厳しいことくらい!」
にこ「わかってない!あんたも甘々!あんたも、あんたも、あんた達も!」
にこ「いい?アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事なの。それをよーく自覚しなさい」
穂乃果「はい!」
にこ「さて。わかったなら、早速練習しに行くわよ!」
凛「あ、いつの間にか雨も止んでるよ!」
花陽「ホントだ。ゲーム中に止んでたんだね」
にこ「ほら、ぐずぐずしない。さっさと行くわよ」
ことり「はい!」
凛「凛がいっちばーん」
花陽「り、凛ちゃん待ってよお!」
真姫「まったく、急に仕切りだすんだから」
穂乃果「よーし、私も」
海未「穂乃果」
穂乃果「海未ちゃん?どうしたの?」
海未「先ほど手に入れた悪魔の鍵のことですが、穂乃果はそれをどうするつもりですか?」
穂乃果「あ、そっか。どうしようこれ」
海未「良かったら、私が預かります。そんな危険なもの、穂乃果に持たせるのは危なっかしいですから」
穂乃果「もう、ひどいよ海未ちゃん!でも、そうだね。確かに海未ちゃんになら安心して預けられるよ。私には必要ないし、じゃあこれ、海未ちゃんが持ってて」
海未「はい。確かに預かりました」
海未「……」
穂乃果「それより早く屋上に行こう。にこ先輩待ちくたびれちゃうよ」
海未「え、ええ、そうですね。では行きましょうか」
にこ「にっこにっこにー!はい!」
6人「にっこにっこにー!」
にこ「ツリ目のあんた、気合い入れて!」
真姫「だから真姫よ!」
にこ「はいラスト1回!」
6人「にっこにっこにー!」
にこ「……全然だめね。あと30回」
凛「えー……」
穂乃果「何言ってんの、まだまだこれからだよ。にこ先輩、お願いします!」
にこ「よーし、頭から!いっくよー!」
終わりです。ありがとうございました
アクマゲーム好きなんだけどネットとかで話題になってるの全然見ないんだよなあ
面白からおすすめです
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