幼馴染「聞こえないふりかー。ふーんそうかそうかー」
幼馴染「でもねえ、そんなことしても事実は変わらないんだよ? 分かってる?」
幼馴染「ひひっ」
男「……誰かいた気がしたが」
幼馴染「?」
男「気のせいか」
幼馴染「バカー!」
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幼馴染「だいたいねえ、キミは休み時間いつも一人じゃない」
幼馴染「お昼ご飯も一人。帰宅部で帰り道も一人」
幼馴染「お休みの日に遊ぶ相手とかいないでしょ!」
男「……声はすれども」
幼馴染「?」
男「姿は見えず」
幼馴染「ヤダー! こっち見てよー!」
幼馴染「そんなんで社会に出たらどうなるかわかる?」
幼馴染「今よりもどんどん人との接点がなくなっていくんだよ?」
幼馴染「寂しい寂しい独り身コースだよー?」
男「……」
幼馴染「……」
男「……」
幼馴染「……なんか言ってよ!」
幼馴染「まったくボクが直々に警鐘を鳴らしてあげてるというのにキミという奴は」
幼馴染「現実逃避してるとそのうち現実の方に逃げられてしまうよ?」
幼馴染「よしじゃあ仕方ない。このボクが手取り足取り……」
幼馴染「あれ?」
幼馴染「……」
幼馴染「あいつめボクをおいて帰りやがった!」
幼馴染「はあ、はあ、おい、ちょっと」
幼馴染「キミ、ちょっと! キミ! 待ってよ!」
男「なんか」
幼馴染「?」
男「なんか今日は疲れたな」
幼馴染「ボクの方が疲れてる! 絶対!」
幼馴染「ぐす……いい加減話聞いてよ」
幼馴染「ボクはキミのことが心配で……本当に心配で」
幼馴染「……」
男「そこでチラ見するから効果が半減するんだと思う」
幼馴染「やったぁこっち見たっ!」
男「お茶いる? 飲みかけだけど」
幼馴染「いるー!」
幼馴染「ボクが思うにやっぱり心を許せる他人っていうのは必要だよ」
幼馴染「お互い信用し合って尊敬しあえる間柄」
幼馴染「そう言う人がいてくれてこそ人間ってのはしっかり立つことができる」
男「……」
幼馴染「でしょ!?」
男「あ、悪い、なんだっけ?」
幼馴染「こら!」
男「お前がクラスで浮いてる話?」
幼馴染「違う! 浮いてもない! 断じて!」
男「でもちょっと周りと話が合わない気がしている」
幼馴染「う」
男「テンポがズレるというか、笑いのツボが違うというか」
幼馴染「ぐ」
男「だから心くじけたときには俺にかまおうとする」
幼馴染「違うよ! 違うもん! でもどうしたらいいでしょうか!」
男「どっちだよ」
男「なんか面白いよな」
男「クラスで誰の眼中にもない俺と浮いてるお前」
男「真逆なようでいてまったく同じ」
男「寂しい寂しいひとりぼっち」
幼馴染「や、やめてよ一緒にしないでよ!」
幼馴染「ボクは違うもん友達たくさんだもん……」
男「ここで新コーナーの時間です」
幼馴染「?」
男「俺の幼馴染の百の評判ー」
幼馴染「え……な、なになに。なにその怖そうなの」
男「『あの子ちょっと調子のってるよね』」
幼馴染「うぐ!」
男「『明るいふりしてるけど一人でため息ついてるの見た』」
幼馴染「ぶふゥ!」
男「『ストレートにウザい』」
幼馴染「うあああああん!」
幼馴染「そ、それ以上やめて……ほんとにやめて……」
男「まだあと九十七個もある」
幼馴染「もう一個だって聞きたくない……えぐっ」
男「友達なら信じてやれよ」
幼馴染「どの口がそれを言うかアアァ!」
男「仕方ない。じゃあいい知らせもあるから聞かせてやろう」
幼馴染「やだ……もうやだ……」
男「全部嘘だ」
幼馴染「え?」
男「嘘だ」
幼馴染「うあああああん!」
男「痛い痛い叩くなよ」
幼馴染「もっと叩く! 執拗に叩くー!」
男「よかったな嘘で」
幼馴染「よかった! よかったけどムカつく! 痣になれー!」
男「そういえばお前の親友のなんてったかな忘れたけど」
幼馴染「シホちゃんとカナちゃんかな」
男「サプライズパーティーしてくれるらしいぞ」
幼馴染「え……」
男「いい友達だな」
幼馴染「……も、もしかして、だから最近よそよそしかった?」
男「パーティー楽しんでこいよ」
幼馴染「……けどもうサプライズじゃないよ。気まずくなったらどうしよう……」
男「大丈夫だって。友達なんだから」
幼馴染「……」
男「信じてやれよ」
幼馴染「良い話っぽくするな!」
男「うわっと」
幼馴染「……だいたいキミの友達不足は解消してないじゃないか」
男「俺はいいよ。お前がいるし」
幼馴染「っ……やめてよボクはキミの友達なんか願い下げだね!」
男「じゃあ彼女枠で」
幼馴染「やめてってば!」
男「残念だ……」
男「じゃあ俺はこの辺で」
幼馴染「……本当に友達はいいの?」
男「俺には向いてないっぽい。なぜか」
幼馴染「分からないでもないけど」
男「また明日」
幼馴染「……ねえ!」
男「ん?」
幼馴染「しょ、将来の……お嫁さん枠、とか」
男「……」
幼馴染「……」
男「え? なんだって?」
男「……ったぁ」
幼馴染「本格的に痣になっちゃえ」
男「もうなってるよ」
幼馴染「また明日! あとこれ!」
男「お茶?」
幼馴染「返す!」
男「もうほとんど空だけど」
幼馴染「捨てといてってこと!」
男「……そういえば間接キスだったっけ」
幼馴染「キミってホントいらないことばっか言うよね」
男「それじゃ」
幼馴染「うん、ありがとね。これからもよろしく! じゃ!」
終わり
>幼馴染「だいたいねえ、キミは休み時間いつも一人じゃない」
>幼馴染「お昼ご飯も一人。帰宅部で帰り道も一人」
[壁]_・)ジー
モブ「またあの娘こっちのクラス覗いてる」
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