○モブが凄いでばる作品です。
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僕が小学生のとき同じクラスだった女の子の話だ。
その子はおよそまともに授業を受けていたことなんて無かった。
みんなが苦労して解いていた割合の計算もその子にとってはじゃんけんよりも簡単なお遊びだった。
そんな子にとってみんな同じペースで進める学校の授業は性に合わなかったのだろう。
だからいつも彼女は教室ではなく、図書室だとか保健室だとか理科室だとか屋上だとかにいた。
僕はその子によく会いにいっていた。
一応名目上は彼女を連れ戻すためということになっていた。
けれどそれは嘘だった。
彼女との会話が楽しかった。ただそれだけだ。
彼女の名前は一ノ瀬志希といった。
「匂いっていうのはまだまだ分からないことが多いんだってさあ~。
匂いというより正確には嗅覚と呼ぶべきなんだろうけど。」
彼女は小学生には到底理解できないようなことをよく話題に出した。
「それはなんでなの?」
「理由?匂いっていうのが表現困難だからだよ。」
「そうかな?いい匂いとか嫌なにおいとかあるでしょ?」
「それだと客観性がないでしょ?
視覚や聴覚は数式で表すことができない。
でも嗅覚はそうはいかない。
だから研究が難しい。」
なんで数式で表せないと研究が難しいのか、僕はまったく理解できなかった。
でも僕たちが当たり前に感じる匂いのことだって謎が多いということは凄く魅力的に感じられた。
あるとき学校で飼われていたニワトリがいなくなったことがあった。
それはみんなが可愛がっていたニワトリだったから、みんな泣いていたし怒っていた。
僕はというと全然こころを動かされていなかった。
どこかみんなの態度にわざとらしさを感じていた。
そんな話を彼女にしたら驚くべきことを口にした。
「ああ、それ犯人あたしだよ。
いやさあ、先生たちが『もうあのニワトリも寿命だよなあ』
なんて言うからさあ。
それじゃあ折角だから、解剖でもしようかなあって。」
そういって彼女はノートに描かれたスケッチを見せてくれた。
「やっぱり百聞は一見にしかずだよねえ。
ニワトリは鳥類であるというのは書物調べればわかるけど、
こうやって見ると紛れもなく鳥類って分かるよね。
知ってるかなあ、鳥類って恐竜の子孫なんだよ。」
そういって鳥類の特徴を話してくれた。
僕はそのとき感動していた。
毎日なにげなく眺めていたニワトリの中身が、
こんなに繊細な仕組みになっていたということに。
「あたしときみって似てるよねえ。
みんなが感動してるとしらけるのに、
みんながつまらないと思うことに感動する。」
そうなのだろうか。
僕と彼女は似ているのだろうか。
それなら嬉しいなとその時の僕は思った。
実際はそんなのまとはずれもいいところだったのだが。
「ダッドがさあ、帰ってきたんだよねえ。」
小学6年生の夏休みになる直前のある日、
彼女にしては珍しく少し疲れた顔でそう言った。
「ダッド?」
「お父さん。パパ。お父上。おパパ様。そんな感じ。
ずっといろんなところフラフラしてたんだけどね。
それがいきなり戻って、『留学しろ』ってさ。
あたしがギフテッドとか言い出すし。」
「ギフテッドって?」
「天才。あるいは天災。
神様からの贈り物を受け取った人。
あるいは世界の希望なんだってさあ。
皮肉だよねえ。」
皮肉なんだろうか。
僕にはよく分からなかった。
「留学しちゃうの?」
「うーんどうしようかなあ。
確かに楽しそうだなあと思う。
正直学校てつまんないし。
でもなんか乗り気しないんだよねえ。」
「どうして?」
「どうしてだろう。
こうやって毎日過ごして。
中学行って。
高校行って。
大学行って。
就職して。
結婚して。
そんなの凄く嫌なはずなのに。
それでもいいかなって思ったりもするんだ。」
「娘のお世話をいつもしているみたいだね?」
帰り道、普通に歩いているだけなのに額から汗を垂らしていた僕は、
そう声をかけられた。
いやそこは『娘がいつもお世話になっているね』とかではないのか。
僕は無視して歩いていった。
怪しい人は無視するのが鉄則だ。
ええい。止めるな。
こんな蒸し風呂みたいな空間に一分一秒でもいたくないんだ。
僕は帰ったら大きめのあのカップアイスを食べるんだ。
なぜかうちではアイスは一日一個までなんだ。
だから食べるタイミングは凄く重要なんだ。
「いやいや待ってくれ、シカトはつらい。
私は鹿じゃないんだから。」
「どちらさまですか。警察呼びますよ」
「やれやれ今の子供は容赦ないねえ。
私は一ノ瀬。志希のお父さんだよ。」
なるほど確かに目のあたりが少し似てるかもしれない。
「志希は『ギフテッド』なんだよ。」
「それは志希さんから聞きました。」
「それなら話ははやい。キミからも説得してくれないか留学のこと。」
「いやです。」
「そんなばっさり。」
「それは一ノ瀬さんの家族の問題でしょ?」
「まってくれ。パフェおごるから。」
そこでもので釣るのか…。
ただその子供じみた物言いがあの子のことを思い出させた。
「話聞くだけですよ…。」
近くのファミレスに向かった僕たちはさっそく話を…とならなかった。
早々にジャンボパフェを頼んだ『ダッド』はそれに夢中だった。
なお僕はなにも頼まなかった。
別に最初から頼む気は無かったが、『ダッド』からもなに食べるか特にきかれなかった。
なんなんだこの状態?
「あのそろそろ本題に…」
「ほう!志希を説得してくれるか!」
「なんでそうなるんですか!」
「だってキミから話をふってくれたから。」
「もう帰りますよ!」
会話がまったく成立しない人である。
「冗談だよ冗談。多分ね。
まあさすがに本題に入ろうか。」
そこで『ダッド』はスプーンを置いた。
「『ギフテッド』についてどの程度知っている?」
「今日初めて聞きました。」
「そうか。まあ私もよく知らないのだけどね。」
何回こちらの『会話しよう』という気持ちを折りにくるのだろう…。
「別に『ギフテッド』なんて私にとってはどうでもいいのだよ。
ただ凡人たちにとっては重要らしくてね。
私はそれにのっかているだけなのだよ。」
「なら留学させなくてもいいのでは?」
「そうではない。むしろ留学させるのが目的なんだよ。」
「どういうことですか?」
「志希は学校を楽しんでいるかい?」
「いや、それは…」
「ふむふむキミは嘘をつけない子のようだね。」
思ったとおりだとばかりの笑みを見せて言った。
「ろくに授業にでていないのではないかな?」
「はい…」
「それはもったいないと思う。」
急にまじめなトーンになってそう言った。
「この世界にはまだ解かれていない謎が山ほどある。
例えば嗅覚。
例えば並行世界。
例えば地球外生命体。
例えば魔法。
それらを解き明かす作業は刺激的なはずだ。」
「それをなんで僕に…。」
「キミなら分かるからだよ。
授業にきちんと参加する程度に社会に適合していながら、
そのことに疑問をもっている。
そしてなにより志希の真価を理解している。
ある意味では私よりもね。」
「でも彼女は乗り気ではないようですよ。
理由はよく分かりませんが…。」
「そうだね。
だけどキミが説得すれば行く。
そう私は確信している。」
そうなのだろうか…。
僕にそんな力あるんだろうか?
「期待してるよ。」
そういって『ダッド』は立ち去っていった。
あとにはパフェの残りだけが残された。
次の日学校にいくといつも通り彼女は授業にでていなかった。
僕は昼休みになると早速彼女を探しはじめた。
彼女は理科室にいた。
なにやら薬品を調合していた。
「生物っていうのは炭素でできているのだけど、
これは生命にとって有利だからなんだよね。
炭素はsp3混成軌道やsp2混成軌道をつくることで
多種多様な結合を見せてくれる。
その代表格がベンゼンなわけだけど、
このベンゼンに様々な原子が結合することで、
あたしたちがたまにお世話になる風邪薬なんかができる。
あと脳内麻薬なんて呼ばれる物質もそうやってできている。
というとはやっちゃいけないあの薬たちも同じなわけだけど~。」
楽しそうに彼女は話していた。
僕はなにひとつ理解できなかった。
彼女の言っていることが。
混成軌道なんて分からなかった。
ベンゼンなんて分からなかった。
脳内麻薬さえも分からなかった!
僕は彼女の話を毎日のように聞いていながら、
結局何も分かっていなかったのだ。
僕では彼女とともに歩めない。
僕では彼女の居場所にはなれない。
「あのさあ。留学のことなんだけど。
行ったらいいと思うんだ。」
彼女は実験の手を止めてこちらを向いた。
「どういうこと?」
「だってこんなに凄いのにもったいないよ!
外国に行ってちゃんと勉強して、研究して!
そうしたほうがきっと楽しいよ!」
「どうしたの?
なんでいきなりそんなこと言い出したの?」
彼女はこちらをにらんでそう言った。
「はっきり言ってよけいなお世話だよ。
なにが楽しいかなんてあたしが決めるから。」
「じゃあ学校は楽しいの?」
「それは、違うけど…。」
「僕はきみと話していると楽しい。
だけど僕と話していてきみは楽しいの?
無理矢理こっちにあわせているだけなんじゃないの?」
そしてこちらにあわせてくれるその話すら僕は理解できないのだ。
「僕は志希がきらきらしてるところが見たいんだ!」
僕はそう叫んだ。
「志希ってさあ、希望を志すって意味なんだってさ。」
彼女はふとそう言った。
「それってどういう…」
「もし留学するなら夏休み中に出発なんだってさ。」
僕の問いを遮るように彼女はそんなことを言い出した。
「そしたらさあ小学校を卒業できないわけだけど
それでいいのかなあ?」
「どうしてそんなこと気にするの?」
「だよねえ。そんなこと気にするキャラじゃないよねえ。」
「不安なの?」
「そうかもしれない。
別に失敗するかもとか、
このまちを離れるのが嫌だとかそんなんじゃないけどね。」
「大丈夫。きみならできるよ。」
「キミからそんな前向きなことばが聞けるなんてね。」
「だって心からそう思うんだもん。」
「そっかあ。」
彼女はそこで口を閉ざした。
動かなくなった。
まばたきすらしなくなった。
今の僕ならその様子を瞑想に例えるかもしれないが、
当時の僕はただ綺麗だなあと思った。
まるで人形のようだと思った。
そのまま1時間くらい静かなときを過ごしていた。
とっくに授業は始まっていたけれど、僕は動けずにいた。
僕は不安だった。
彼女が死んでしまったのではないかとすら思った。
「うん。分かった。」
もう先生を呼んでくるべきかと思った頃彼女は口を開いた。
「あたし留学する。」
「ありがとう。」
「なんでキミがお礼なんていうのさ?」
「いやその、なんとなく?」
「おもしろいなあ!」
そして彼女は笑った。
「向こうにいってさあ。
誰も手も足も出なかった魔法みたいな現象を解き明かして。
そしたらきっと楽しいだろうなあ。」
「うんきっとできるよ。」
「ありがとう。」
彼女はそう言った。
僕は彼女にお礼を言われたのなんて初めてだなあ。
なんてとんちんかんなことを思っていた。
「それじゃあさようなら。」
「うん、さようなら。」
僕はそう返した。
そのとき僕はただ家に帰るだけなんだと思った。
彼女はときどき勝手に家に帰ってしまうことだってあったし。
家に帰って『ダッド』に留学のこと話すのだろうなあなんて思っていた。
明日その結果を聞かないとなあなんて。
そんなのんきなことを思っていた。
けれども結局彼女とは二度と会えなかったのだ。
次の日の朝担任から
「一ノ瀬さんは転校しました。」
とだけ告げられた。
当然僕は驚き、担任に詳細を聞きに言った。
けれど担任の反応は薄いものだった。
「私も混乱してるの。いきなり連絡が来たのだから。」
迷惑だというのを隠そうともせずそう告げた。
当然こんなことになったのだからクラスでも話題になった。
けれどもともとクラスに馴染めずにいた彼女のことなので、
結局みんなの興味は続かなかった。
ある女子が言った。
「一ノ瀬さんらしいんじゃないかな。
あの子いつもどこにいるか分からなかったし。」
その言葉は的を射ており、そのことが凄く悔しかった。
だがそれ以上に悔しかったことは彼女がいなくなってもなお、
日常が続いたことだった。
彼女は忘れ去られ、僕は小学校を卒業し、
中学校に進学し、卒業し、
高校に進学した。
僕は彼女のいない日常をごくごく平凡に過ごしていった。
日課だった彼女とのお話は当然できなくなったから。
替わりにインターネットで彼女の名前で検索するのが日課になった。
最初の1年はなにも引っかからなかったが、
数年たつと何件か記事が引っかかるようになった。
なにかの論文らしいが英語なのでよく分からなかった。
なんとか彼女のしていることを理解したいと思い、
英和辞典片手に奮闘したこともあったが結局理解ができなかった。
なにやら嗅覚と脳機能の話であるとはかろうじて理解したが…。
とはいえこの奮闘の副作用として僕は成績が良かった。
こんなことを続けていたから、自然と将来の目標は研究者だった。
彼女とまた研究の世界で会えたらなんて妄想も理由の一端ではあった。
けれど結局のところ何かを知ることが楽しかったのだと思う。
それはちょうど二次試験を終え、
卒業式を明日に控えた日であった。
それにしても二次試験の結果が出ない中で、
卒業するのはなんだかフワフワした状態の卒業だなあなんて。
そんなことを思いながら、
ポストから朝刊をとり出そうとしたら、
封筒が地面に落下した。
洋形とか呼ばれる横長の封筒で、白いシンプルなものだった。
差出人には「Shiki Ichinose」と書かれていた。
僕はあわてて自室に戻った。
手をふるわせながら、慎重に手紙を開いた。
中身は便せん数枚とSDカードであった。
便せんの文章を読んでいった。
その内容は僕にとって意外なものであった。
それはある意味では僕への断罪であった。
手紙を読み終わるとPCを起動し、SDカードを挿入した。
中身は音楽ファイルであった。
僕はイヤホンを耳に当てその音楽を聞いた。
僕は彼女の歌声を聞いた。
自然と涙がこぼれていた。
このような手紙を書くのは初めてであり勝手がよく分かりません。
本来なら直接会って話すべきなのですが、
まじめなことを口に出してあなたに伝えることはできないと、
そう判断しました。
おそらく余分な関係のない雑学を披露するか、
全てをジョークにしてしまうかでしょう。
実のところこうやって文章におこしても、
むずがゆい感じがしてしまうのです。
それでもこのように伝えるしかないのでしょう。
それがあなたの期待を裏切ってしまった私のせめてものつぐないです。
いやどうなのでしょう?
あなたに対してのつぐないの気持ちなんて、
おそらくこれっぽちもないのでしょう。
私はそういう人間です。
おそらく子供時代唯一気を許していたあなたにすらこんな始末なのです。
だからあなたも気楽に聞いて、いえ読んでやってください。
結論から言えば私は向こうで何もなすことはできませんでした。
おそらくあなたのことですから、
私の功績についていろいろ調べたことでしょう。
それらは確かに私が関わった発見です。
しかし私が関わったのは最初だけ。
私が戯れに作り上げた薬品が実は大発見だったとか、
そんな幸運に頼った、いえ幸運でしかない産物です。
その過程で特許を取得でき、
今でもそこから収入を得られるのは実に助かってはいますが。
今私は研究の世界を捨て日本に帰ってきています。
表向きの理由は飽きたからですが、
いえ実際に確かにそのとおりなのですが、
おそらく周りの人が思うそれとは本質的に異なると思うのです。
飽きやすいということは執着できないということです。
執着できないということは研究者にとって致命的です。
結局私が向こうに行って学んだ最大のことは
「一ノ瀬志希は研究者になれない」
このことなのです。
天才という言葉は多義的です。
実際のところ天才と呼ばれる人間はあきらめの悪い人間である。
この言葉は本質をついていると思います。
今私の周りにはそんな「天才」たちにあふれています。
絶望しようと
挫折しようと
不幸に見舞われようと
矛盾しようと
裏切られようと
決して諦めず理想を求める人たちです。
先に今の私の状況を伝えるべきでしたね。
今私はアイドルを目指しています。
意外に思うことでしょう。
私にとっても意外なのですから。
自分の容姿をろくに気にしなかった私がアイドルだなんて!
最初はあくまで「プロデューサー」という人間への興味だったのです。
だって彼は「魔法使い」なのですから。
本当ですよ?
もっとも私もどこかでそれを疑っていますが。
それに彼自身それを否定していますし。
閑話休題。
だけどそんなきっかけではじめたアイドルが存外続いているのです。
理由は実際のところよく分かりません。
よく分からないからこそ続けられているのかもしれませんが。
どうかこの日々が続いて欲しいと思う反面、
どうせ無理だろうなあとも思ってしまうのです。
そんなこと口に出したらみんな怒るでしょうが。
ああこれが理由かもしれません。
だとしたらつまらないものです。
真実とは、そして幸福とはそういうものですが。
アイドルを目指すようになってからふと、
「もし留学せずにあのまま小学校を卒業し、
中学校に進学し、卒業し、
高校に進学し、卒業してたら。」
なんて考えることがあります。
実際今高校に通ってたりするのですが。
これもあなたにとっては意外でしょうか?
でも普通の青春なんてきっと無理なのでしょうけど。
私には正直荷が重すぎます。
けれどあなたと過ごしたあの日々は私にとって青春でした。
私があのとき留学を渋った理由は、
この青春を終わらせたくなかったからなのです。
なんて小学生にしてはだいぶマセてますが。
あなたはきっと私に届かないなんて思っているでしょうが、
そんなことはないと思います。
もちろん能力値だけで言えばはっきりいって届きません。
けれどあなたの好奇心とねばり強さは誇るべき才能であり、
贈り物なのです。
父がくれた私の「志希」という名前は一種の呪いなのです。
私への贈り物はそういう性質をもつ贈り物なのです。
「希望を志す」
私にはみんなに希望を見せる意志などないのに、
この名前はそれを私に強要するのです。
でも最近は本当にみんなに希望を見せられる瞬間がくるのではないかと、
そういう「希望」をもっています。
なんだか少し恨みがましくなってしまいました。
どうか気にしないでください。
私は心のどこかであなたが罪悪感で苦しみ、
私で満たされてしまえばいいなんて、
思ってもいるのです。
そんな私のよこしまな思いは、
どうか切り捨ててください。
あなたはこんなところで立ち止まる人間ではありません。
同封したSDカードの中身は私のデビュー曲です。
表に出すなとはきつく言われてはいるのですが、
あなたが流出させるとは思えないので送らせていただきます。
私は実のところ恋をしたことも愛したこともろくにありません。
だから収録中はだいぶ苦戦しました。
けれどふとあなたのことを思い出したら、
自然と想いが歌声にのったのです。
これも余計なことでしたね。
忘れてください。
最後になりましたが卒業おめでとう。
どうかキミが清浄なる世界でまっすぐに生きていけますように。
遠くから歌声とともに祈っているからね。
キミの親友 一ノ瀬志希
以上です。
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