脇山珠美「斬徹剣」 (31)

※タイトルは誤字ではないです
比較的短め



裕子「ムムムーンッ! ムーンッ!!」グググッ

珠美「おや、裕子殿はまたスプーン曲げの修行ですか」

裕子「はぁはぁ……はい、もちろん! 超能力は常に訓練しなければ上達しませんからね!」

珠美「その向上心は認めますが……その割には上達しているようには見えませんね」

裕子「ウグッ!? い、いやーこれでも結構超能力に磨きがかかってきているというか……曲げられるスピードも若っっっ干上がってきてたりしてー」

珠美「そもそもちゃんと曲げているところを見ること自体が稀では……それに大抵は力技のようにも見え」

裕子「あー! いや、その、今ちょっとこっちは調子悪くて! あ、どうですかこっちの新技、サイキック・空き缶浮翌遊! ムムムムーンッ!」

珠美「……浮く様子はありませんが」

裕子「あははは、ちょっとこっちも今日はダメみたいですね!」

珠美「………」

裕子「な、なんですかその目は! 私のサイキックパワーを疑ってるんですか!?」

珠美「いえ、そういうつもりはないのですがなんというかこう……超能力というものに対して珠美自身、懐疑的でして」

裕子「やっぱり疑ってるんじゃないですかー!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456242064

裕子「いいです! 分かりました! それならこの掘裕子のサイキックパワーの全てを使ってミラクルを起こしてご覧にいれましょう!」

珠美「は、はぁ……具体的にはどのような?」

裕子「そうですね……あ、それがいいですね! それ!」

珠美「えっ、それって……珠美の竹刀ですか?」

裕子「はい、竹刀です! 私のサイキックパワーでその竹刀を……」



裕子「鉄をも切れる『斬鉄剣』にしてみせましょう!」



珠美「………」サッ

裕子「あぁ引かないで! あと竹刀抱えて逃げる準備しないで!」


~ ~ ~

珠美「あの、本当にやるんですか裕子殿」

裕子「もちろん! 今の竹男と珠美ちゃんになら出来るはず!
この……私が持っているスプーンを真っ二つにすることが!」

珠美「にわかに信じられないのですが……
まぁやれと言われれば仕方ありません、やりましょう」

裕子「さぁ、こいこいこーい!」

珠美「ふぅ……精神統一……」グッ

裕子「ふふふ……ふ?」

裕子(……あれ、これよく考えたらスプーン持ってる私の手、超危険では? 少しでも竹刀がずれたら直撃コースですよねこれ?)

珠美「やぁぁぁぁぁぁ!!!」

スカッ

裕子「わぁぁあぁぁぁ!!?」

ブンッ カツンッ

珠美「ちょっ!? 裕子殿、大丈夫ですか!?」

裕子「はぁ、はぁ……あ、危なかった……スプーンを手放してなきゃ今頃、手が真っ二つに……」

珠美(……さすがにそれはないかと)


珠美「いやはや、何はともあれ裕子殿に怪我がなくてよかった。
考えてもみれば手を打ち据えてしまう可能性もあったのに気が回らず申し訳ない……」

裕子「あ、あはは……私も直前まで気付いてなかったのでお互い様ということで!」

珠美「………」

裕子「珠美ちゃん?」

珠美「あ、いや……しかし妙ですね。珠美はちゃんとスプーンを狙って振ったつもりですし、肉眼でもその瞬間を捉えたとは思うのですが、まるで感触がありませんでした」

裕子「えっ、そうでした? 驚いてすぐスプーンをすっ飛ばしちゃったんで分かりませんでしたが……あ、というかスプーンはどこへ……」

「おぉぉぉい! こらっユッコ!」

裕子「はわっ!? ぷ、プロデューサー!」

P「お前今日のレッスンはAスタジオだから車で移動だって言ったろ! もう駐車場で小梅たち待ってんぞ!」

裕子「ええっ!? あ、本当だもうこんな時間!」

P「まったく……ん? おいおい珠美もこんなところで竹刀抜くなよ、振り回したら物壊すぞ」

珠美「も、申し訳ありません! すぐしまいますので!」

裕子「あはは……ごめんね珠美ちゃん、また後で!」

珠美「え、ええ、また後程……」

P「ユッコ、ダッシュだダッシュ!」

裕子「はいぃぃぃ!」

珠美(……はぁ、怒られてしまった。こんなことならスプーン曲げについてツッコむべきではありませんでしたなぁ)

珠美(あ、そうだ裕子殿のスプーン……まぁ片づけておけばいいでしょう、替えはいくらでもあるでしょうし)

珠美「えっと、どこに飛んだのか……多分方向からしてこっちの方に」

珠美(あ、あった。壁にぶつかっただけでみたいでよかった。これでテレビにでも当たってたら大参事に)ヒョイッ

珠美「………」

珠美「あれ、スプーンが……曲がってる……?」


珠美(落ち着け珠美……これはどういうことか冷静になって考えるのだ……)

珠美(スプーンの強度は裕子殿が力いっぱい押してやっと曲がるくらいの強度。
故に壁に当たって曲がるほど貧弱なものではない)

珠美(ならばもしや投げた時に裕子殿が力を加えて……?
いや、普通に握ってただけだから放り投げた瞬間にそんな余裕もないはず)

珠美(もしや……本当に裕子殿の超能力!?
危機的状況に陥った際に発現した超能力が暴発して……いやこれはさすがにないでしょう)

珠美(と、なると……)

珠美「………」チラッ

竹男「」

珠美「ま、まさか本当に斬鉄剣的な……? まぁ、斬れてないですけど……」


~ ~ ~

珠美「……さすがに半信半疑ではありますが、もしもということもありますし、ものは試しにやってみようとしているだけで……誰に言い訳してるんでしょうな、珠美は」


アルミ缶 on テーブル


珠美(うわーホント何やってるんでしょうね、これどう考えても馬鹿みたいでは……いやいや、もう余計なことは考えないようにせねば!)

珠美(……スプーンが曲がった、という事実が斬鉄剣と化した竹男の仕業であるとするならば、もう一度何かを切ってみれば分かるはず)

珠美(スプーンの強度が高すぎて斬れずに折れ曲がった……何を言っているのか自分でもよく分かりませんが、とにかくそう仮定するならそれより強度が低いアルミ缶ならば斬れるかもしれません)

珠美(先ほどこの目で見た刀身がスプーンを通り抜けた現象……勘違いでなければ恐らく、時代劇やアニメや漫画やゲームでよく見るアレ……!)


「……貴様はもう死んでいる」(刀を振り、鞘に納める動作)

「な、ぐっ……馬鹿な…!?」(数秒後、ポロリと落ちるあれやそれや)


珠美(いやー珠美ちょっとワクワクしてきましたよ!)

珠美「おほん……では、いざ!」

珠美「せやぁぁぁぁぁぁ!!」

スカッ

珠美(よし、通り抜けた――)

バキッ ベキッ ボキッ ガターン!

珠美「あっ!?」








珠美「……テ、テーブルが」

珠美「テーブルの足が全部外れてバラバラに……」

珠美「なんですかこれは……なぜテーブルが一瞬でバラバラに……」

珠美(確かに刀身はテーブルも突き抜けたように見えた……でもそれなら触れた部分を起点に真っ二つになるはず)

珠美(テーブルの足になんて触れてもいないし、全部が同時に今、この瞬間に壊れるなんてことはありえない……ということはやはり竹男の能力の仕業……!)

珠美(考えるんだ脇山珠美よ。この一連の現象から導き出される答えを……!)

珠美「………」

珠美「…………はっ、そうか!」

珠美「つまり竹男の能力は! 鉄を斬れるような切断力ではなく!」


珠美「モ ノ の 耐 久 力 を 斬 る 能 力 !」


珠美「ふわぁぁぁ……まさか珠美の竹男がこんな魔剣に成長するとは思いもしませんでした……裕子殿には感謝ですねぇ」

コロコロ

珠美「お、そういえば元々アルミ缶を斬る予定だったのでしたな。どれどれ」ヒョィ

珠美「ってあれ、まったく斬れてない。耐久力が減っている様子もな――」








珠美「……スチール缶になってる」


珠美「えっ、なにこれ。なんですかこれ。えっえっ」

「……ねー、なんか大きな音したけど大丈夫ー?」

珠美「あわっ!? 優殿!?」

優「なんだー珠ちゃんかー♪ 大きな音や叫び声がしたからアッキーが驚いちゃって何事かと思っ……うっわ、どうしたのこのテーブル」

珠美「あ、えっ、あああのこれはそのぉ」

優「あ、分かったー☆ その竹刀振り回してるうちに当たって壊しちゃったんでしょー♪ ダメだぞこんなところで遊んじゃー♪」

アッキー「……」

珠美「あ、あはははははは!そうですなぁ面目ないあははは!」

優「まったくもー♪ あ、こらアッキー、毛が付いちゃうでしょ、竹刀触っちゃダメだよー」

珠美「えっ」

アッキー「……」

ペシッ     バサッ

優「えっ」

珠美「あっ」

優「あ、あ、あ、あ、アッキーの自慢の毛が……」

珠美「全部抜けた……!?」

アッキー「クゥーン」


優「えっ、どういうこと? なにこれマジック? ドッキリ? えっ、えっ?」

珠美「あ、いやこれはですねあの」

優「ハッ! これはアレでしょ珠ちゃん! 居合い切りってやつ! いやー凄いね珠ちゃん侍みたーい♪ でもちょっとアッキーの毛でやるのは勘弁してほしかったかな☆ いつも私が時間をかけて毎日毎日コツコツとトリミングしてきたアッキーご自慢のヘアーがこうも小ざっぱりさっぱりさっぱりさささ」

珠美「おお、落ち着いてくだされ優殿ぉ! これには海より深いわけが!」

優「わけも何もないわよ!分けわからないのはこっちよぉ!なんでアッキーの毛が丸刈りにされなきゃいけないのよ!こんなの可愛くないぃぃぃぃ!!!!」ブワッ

珠美「あああ泣かないでください優殿! ほら、これは……そう、マジックです! 先ほどご自分でも言われた通りマジックですよ!」

優「グスッ……ほんとぉ?」

珠美「ほ、ほほ本当ですとも!? ほーらこうやってもう一回竹刀をアッキー殿に触れさせると」

スカッ









アッキーだったもの「ニャーン」









珠美「」

優「」


優「」

珠美「」

優「……ねぇ珠ちゃん」

珠美「……はい、なんでしょう」

優「この子は……なに?」

珠美「……犬ではないなにか、かと」

優「………」

珠美「………」

優「ねぇ珠ちゃん」

珠美「はい」

優「これはねこです」

バターン!

珠美「優どのぉぉぉぉ!?」

珠美「優殿ぉ……ひっく申し訳ありません……まさかぐすっ、珠美もこんなことになるとは……」

優「ワンワンワン……ワンワンワン……」

珠美「あぁ……これはもうどうすればいいのやらさっぱりです……ぐすっ」

「優さんー? 音の出どころ分かりましたー?」

珠美「あ、春菜殿……」

春菜「あれ、珠ちゃん? どうしたんですかそんなに目を腫らして……って優さん!? 優さんなんで倒れてるんですか!?」

優「ワンワンワワワン……」

春菜「目が虚ろになってる……というかワンて……」

珠美「ぐすっ……もう説明している暇はありません……珠美は……覚悟を決めました!」

春菜「は、はい? いやさすがに優さんが倒れてることに関しての説明くらいは」

アッキーっぽいネコ「ニャーン」

春菜「あ、かわいいネコちゃん……ってなんでここにネコが? なぜか毛もないし顔立ちもどこかで見た感じのネコ……」サワサワ

珠美「春菜殿、ちょっとそれを押さえていてもらえますか」

春菜「それ? えっ、もしかしてこのネコちゃんのことですか? なぜ?」




珠美「珠美は今からその犬を……斬ります!」

春菜「どう見てもネコですけど!?」

春菜「ちょちょちょっと待ってください! なんでネコちゃんにそんなことするんですか!?」

珠美「今はもうその犬を斬って元に戻すしか優殿を救う方法はないんです!」

春菜「だからネコだって言ってるじゃないですかー! それに竹刀で斬る……? 叩くってことですよね!? ダメですよかわいそう!」

珠美「ここで珠美がやらなければ優殿もアッキー殿このままなんですよ!」

春菜「意味がまったく分かりませんがネコちゃんを斬るなんて絶対ダメです! こんな竹刀なんかで叩いたら痛いどころじゃ」

スカッ

珠美「あっ」

春菜「あれ……掴めない?」

スカッ

珠美「ああっ!? 2回も!」

春菜「なんですかこれ……CG的なやつですか?」

珠美「あわわわわ……は、春菜殿大丈夫ですか……?」

春菜「ええ、大丈夫ですけど……いやーでも安心しました、これ映像が出るオモチャかなにかなんですね! 最近のは凄いなー」

珠美「いや……これはそういうものではな――」

春菜「つまり珠ちゃんはこれでネコちゃんと遊んでたんですよね? それが見つかって恥ずかしくてこんな芝居まで打っちゃうなんてー」

珠美「あ、あぁ……」

春菜「優さーん。そんなわけのわからない芝居してないで起きてくださいよー。アッキーどっか行っちゃってますよー」

珠美「は、春菜殿!」

春菜「はい?」

珠美「いつも大事にかけている……眼鏡はどこへ……?」

春菜「ん? 眼鏡? やだなー珠ちゃん」










春菜「私 は 元 々 眼 鏡 な ん て か け て ま せ ん よ 」








珠美「あぁ……ああああああ……」カランカラン

珠美「珠美は……珠美はなんてことをぉぉ……」ポロポロ

春菜「あれ? もしかして珠ちゃん泣いてます? んー流れはよく分かりませんが今日はみんな演技に気合が入ってますねー、もしかして一日ずっと演技レッスン中的な?」

珠美「ううう……もうダメです……おしまいですぅ……うわぁぁん!」

春菜「おー、泣きの演技が真に迫ってますね! 今なぜかちょっと視界が歪んでて顔が見れないのが残念です。私こんなに視力悪かったかなぁ?」

珠美「ごめん゛なさい゛……! 春菜殿ごめんなざい゛ぃぃ!!」ズビズバー

春菜「あー泣かないで珠ちゃん。ほらネコちゃんですよー、まぁまぁネコどうぞ♪」

珠美「……ずびぃぃぃ! ぐぅ……か、かくなる上は……責任を取って……竹男で珠美の腹を斬って詫びるしか……」グッ

珠美「……あれ? た、竹男はどこに?」ニギニギ

ネッキー「ニャーン」

珠美「え、そこ?」

竹男 in 床

珠美「ゆ、床に刺さってる……」

珠美「はぁ……床に刺さるほどの鋭さなら珠美の腹も一瞬で斬れそうですね……」

珠美「ふっ……まさか裕子殿の超能力がここまでのものとは……あの世で内心馬鹿にしていたことを詫び続けなくてはなりませんね……」ガシッ

『――職員が取り落とした刀が床に刺さり、鍔で止まった――』

珠美(……はて、何か忘れているような……まぁいいでしょう、このまま抜いて腹を)

スポッ




ドロォォォ

珠美「へ?」

春菜「ん?」

優「」

ネコ「ニャ!?」

珠美「ゆ、床が液状に!? うわああああああああ!!」


~ ~ ~

ジリリリリリリリ…

珠美「うわぁぁ!?」

珠美「はぁはぁ……ゆ、夢……?」

珠美「………」チラッ

竹男「」

珠美「………」ペチペチ

珠美「な、なんともない……」

珠美「はぁー……よかった。夢だったぁ」

『――から地続きになっている全ての床が瞬間的に液化――油分と固形分が分離――』

珠美「あ、思い出した……」

珠美「ぐぬぬぬ……これも全て小梅殿のせいです……」


『SCP……?』

『そう……不思議な物とか人とか現象とかをね、SCP財団っていう施設が管理してる……っていう設定で書かれた読み物があるんだ……』

『不思議なモノですかー。例えばどんなものがあるのですか?』

『えっとね……有名どころだと、目を合わせてないと殺されちゃう石像とか、顔を見たら最後、地球の果てまで追いかけてくる怪物とかー』

『ひえぇ!? こ、怖いモノばかりではないですか!?』

『全部が全部そうじゃないよー……珠美さんが気に入りそうなやつだと例えばー……はい、これ』

『……この写真は……刀、ですか?』

『そうだよー……えっとこれはね、あるものを斬っちゃう刀で……名前は――』

終わりです。

このSSは都市伝説や現代ファンタジーなどをテーマとした共同創作サイト『SCP Foundation』の日本語版に登場するSCPである

『SCP-322-JP 斬徹剣』(ttp://ja.scp-wiki.net/scp-322-jp)

をお借りして題材にしたものです。このSCPに関する詳しい情報(というか全て)は元記事に掲載されていますが、少しだけこのSCPについての解説などをさせて頂きます。もう少しお付き合いください。


アイテム番号: SCP-322-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル:記事参照

説明: SCP-322-JPは、██年、刀工██により鍛造されたと思われる一振りの日本刀です。

SCP-322-JPには「刃が触れた人間が持つこだわり」、あるいは「刃が触れた物体が持つ一般的な観念」を消失させる効果があります。
この特異性はSCP-322-JPの刀身が攻撃対象から完全に離脱した際にのみ発現することが判明しています。

SCP-322-JPが持つ「こだわり」及び「一般的」の選考基準は不明ですが、攻撃対象が人間であればその時点で固執している観念を、対象が生物や無生物の場合は本来有する用途にあたる観念を斬る傾向にあるようです。

また、斬りかかった際、刀身は攻撃対象を透過して振り抜けます。
この原理も選考基準と同様に一切不明ですが、これにより攻撃対象に対して物理的な損傷は与えられないことが判明しています。

実験記録の一部紹介

実験対象: 充分に熟れた西瓜1つ
結果: 居合経験者であるエージェント██に依頼。
SCP-322-JPにて斬りかかる。と同時に西瓜を設置していた三つ足を持つ木製の台に刀身が接触し、台は即座に分解、足と分割された。台という観念が消失した模様。
斬られた西瓜は可食部位が全て皮と同様のものに変質していた。食物という観念が消失したと推測。

考察: 流石にこれを美味しくはいただけない。

実験対象: 実験用ラット1匹
結果: ██研究員が担当。
SCP-322-JPをゆっくり下ろし、刃をラットに接触させる。ラットは刃が触れた瞬間、ゴールデンハムスターに変化した。
このゴールデンハムスターに異常性は確認されなかった。

考察: ラットではない……から、ハムスターになったのか? もう一度斬ったらどうなるんだろうな、これ。

実験対象: D-322-JP-2
結果: 食にこだわりを持つと自称するDクラス職員本人が担当。
SCP-322-JPで一度だけ自傷行為を行うように指示。嫌々ながら実行したが、実験直後にこれといった変化は見られなかった。
その後食堂にてインタビューを行ったが、食事に対しては何の感慨も抱いていないとの返答。
自身が食にこだわりを持っていたことなど覚えてもいない様子だった。

考察: 可哀想なことをしたかもしれん。恐らく、もう一度斬ったところで元には戻るまい。

竹男(斬徹剣と化した竹刀)が斬ったモノ。抱いている観念は大体珠美が基準。

○ユッコのスプーン:『常に曲がらないユッコのスプーン』という観念が消失したため、折れ曲がった。

○テーブル:実験記録の一例と同じく『テーブル』という観念が消失したため、足が外れて板と棒に分解された。

○アルミ缶:『スプーンよりも強度が低い試し斬り用のアルミ缶』という観念が消失したため、より硬く、別存在であるスチール缶に変化した。

○アッキー(1回目):『アッキーを象徴するトリミングされた毛並み』という観念が消失して脱毛。毛は消えないのかとツッコんではいけない。

○アッキー(2回目):もはや『犬』という観念すら消失。アッキーのようなものに。

○上条春菜(1回目):上条春菜を象徴する『眼鏡』が消失。個人が固執しているこだわりよりも先にこちらが消えたのは珠美の抱いている観念のせいか、あるいは。

○上条春菜(2回目):『眼鏡』に対するこだわり及び固執していた記憶も消失。視力は変わらないので裸眼状態

○事務所の床:元記事のラストと同じく『床』という観念が消失。素材に戻った。



これで本当にラストです。ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

今更気づきましたが>>2>>3の間が抜けてました。申し訳ない

珠美「し、しかしこの竹男は珠美の大事なモノ……犠牲にするわけには……!」

裕子「犠牲ってどういうことですか!?」(その竹刀、竹男って名前なんだ……)

珠美「そ、それに斬鉄剣は創作上の武器ですし! まぁ現実にも斬鉄剣と呼ばれる名刀は幾つも存在しますが、超能力でどうこう出来るものでは」

裕子「まぁまぁまぁ。ここは騙されたと思って。減るものじゃありませんし」

珠美「うぐぐ……まぁ確かに何も起きないでしょうから減りもしないでしょうし……仕方ない、いいでしょう」

裕子「なっ、何かは起きますよ! ふふん、その発言をすぐに撤回させてあげますからね! さぁ、今から貴女は奇跡を目撃することになるでしょう! ムムム……」

裕子「ムーーーーーーーンッッッ!」クワッ

珠美「………」

裕子「………」

珠美「……何も起こりませんが」

裕子「ふっふっふ……もうすでにその竹男にはサイキックパワーが宿っています!」

珠美「……はぁ、そうですか」

すっぽり抜けてたはずなのにユッコが竹刀の名前知ってる以外での矛盾点が無かったのが気付くのが遅れた原因でしょうか……不覚

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