橘ありす「家電アイドルフレデリカ?」 (46)
―――――事務所内・廊下―――――
橘ありす「……」トコトコ
宮本フレデリカ「お!ありすちゃーん!今ヒマ?ご飯食べに行かない?」
ありす「橘です。すみませんが、これから行く所があるので」
フレデリカ「えー?そんなこと言わずにさー?駅前に、おいしいハンバーグを出すお店があったんだよ!昨日までは!」
ありす「それ潰れたって言うんですよ」
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フレデリカ「どこにいくの?」
ありす「ちょっと家電量販店まで……」
フレデリカ「へぇ~!何買うの?土地?奴隷?」
ありす「それは家電量販店の守備範囲からは外れてますね」
ありす「タブレットのカバーが壊れてしまったので買いに行くんです」
フレデリカ「惜しかった~」
ありす「微塵も惜しくないです。そもそも家電量販店のことがよくわからないなら当てようとしなくていいんですよ」
フレデリカ「むむっ!それは聞き捨てならないよ!実はフレちゃんは、誰よりも家電に詳しいんだから!」
ありす「は?」
フレデリカ「あっ!信じてないね!その証拠に、今からありすちゃんが行こうとしてる○○カメラは、今日明日は改装のために休業だって知ってるんだから!」
ありす「え!?そんなわけ……あっ本当だ、サイトにも書いてある……」
フレデリカ「ふふーん!」ドヤッ
ありす「……」イラッ
ありす「しょうがないので今日は帰ります。お疲れ様でした」
フレデリカ「ところがどっこい!買えるところはまだあるんだよ!」
ありす「え?だって○○カメラ以外にこの辺は家電量販店はないはず……」
フレデリカ「甘いよありすちゃん!実は今日!駅前に大型の家電量販店ができたの!」
ありす「は、初耳なんですが……でも確かに大きな工事をしていた気が……」
フレデリカ「その名も『346デンキ』!アイドルプロデュースの商品も扱う超大型家電量販店なのだー!」
ありす「本当に初耳なんですけど!?」
フレデリカ「その広大な売場面積はディ○ニーランド0.06個分!」
ありす「なんで比べる場所の方を大きくしちゃったんですか!?」
フレデリカ「その初代キャンペーンガールがアタシ!宮本フレデリカ!」
ありす「経営陣は何を血迷ったんですかね」
フレデリカ「さっそく行こう!案内してあげる!」
ありす「ええ……?別に行きたくは……」
フレデリカ「じゃあおんぶ?お姫様だっこ?」
ありす「それはもういいです!」
―――――346デンキ・1階―――――
フレデリカ「とうちゃーく!」
ありす「うわ……本当に広い……」
フレデリカ「タブレットと周辺機器はちょうどこの階だね!あっちあっち!」グイッ
ありす「そ、そんな引っ張らなくても……」トコトコ
フレデリカ「さて!いろいろあるけど、フレちゃんの一押しはこれ!」
ありす「このカバーは……けっこう硬いですね」コンコン
フレデリカ「それはねー、亜季ちゃんプロデュースの防弾カバー!いじってる最中に銃で撃たれても平気なんだよ!」
ありす「想定される状況が意味わかんないんですけど!?」
フレデリカ「胸ポケットに忍ばせて『へっ……こいつがなければ即死だったぜ……』ってできるんだよ!」
ありす「そもそも胸ポケットにタブレットは入りません!」
フレデリカ「じゃあ……このかな子ちゃんプロデュースのやつは?」
ありす「あ、透き通ってキレイ……これにしようかな……これは何か機能があるんですか?」
フレデリカ「食べれます」
ありす「食べれます!?」
ありす「バカなんですか!?」
フレデリカ「飴細工なんだよ!」
ありす「べったべたじゃないですか!?」
フレデリカ「体温が低い人なら使えるかも!」
ありす「それもう死んでるレベルですよ」
ありす「なにか普通のやつはないんですか?」
フレデリカ「え!普通のやつでいいの?言ってよ~!はい!これ卯月ちゃんプロデュースのやつ!」
ありす「こ、これは!!……普通……ですね……」
フレデリカ「結局6割くらいはこれを買ってくんだよねー」
ありす「卯月さん喜びますよ……たぶん」
ありす(なんというか……本当によくあるケースというか……値段も普通……)
フレデリカ「じゃあ、文香ちゃんプロデュースの、まるで本のようなおしゃれなカバーは?」
ありす「なんでそれを最初に紹介してくれないんですか買ってきます」ダダダダダ
フレデリカ「……」ポツーン
ありす「じゃあ、目的も達成したので帰りますね」
フレデリカ「待った!」
ありす「ええ……?」
フレデリカ「ありすちゃん……他の家電、気にならない?ここでしか見れないんだよ?今なら案内してあげるよ?」
ありす「まあ興味はありますが……別に後日1人で来ればいい話ですし」
フレデリカ「い~や~だ~!ありすちゃんを案内したい~!!」ジタバタ
ありす「あなた本当に年上ですか!?」
フレデリカ「さもないとありすちゃんを明日から出入り禁止にするよ!!!キャンペーンガールとして!」
ありす「明らかな越権行為じゃないですか!!」
ありす「で、他には何があるんですか」←結局案内されることになった
フレデリカ「この階は、パソコン周辺機器もあるの!その中でも、おすすめはこのプリンター!」
ありす「見た目はよくありそうですけど……」
フレデリカ「これはね!目が悪い人とかのために、『インク足りないよー』とか『紙が入ってないよー』とか喋って教えてくれるんだよ」
ありす「へぇ、良い機能じゃないですか。誰の声なんですか?」
フレデリカ「なんと、複数人のボイスから設定できるんだよ!ほら、そこに書いてるでしょ?」
ありす「それはいいですね。なになに……」
ボイスは以下のアイドルから選べます!
・高垣楓(泥酔)
・柊志乃(泥酔)
・片桐早苗(泥酔)
・高橋礼子(泥酔)
ありす「泥酔!!!!!」
フレデリカ「革新的だよね!」
ありす「ストレスにしかならないと思うんですが」
『よーし、用紙を入れて印刷しましょう……』フフッ
ありす「うるさい!!!」
フレデリカ「あとはこの電子辞書!世界で初めて蘭子ちゃん語の翻訳辞書が入ってるの!」
ありす「いや凄いですけど……」
フレデリカ「現在15か月の入荷待ち」
ありす「そんなに!?」
フレデリカ「カラーは漆黒・純白・群青・翡翠・金糸雀・琥珀・業火の7種類!」
ありす「蘭子さんっぽいけど結局どんな色だかわからない!!」
―――――2階―――――
フレデリカ「この階はなんといってもカメラ!」
ありす「カメラ……ですか、持ってないですが興味はありますね」
フレデリカ「そんなカメラ初心者におすすめなのが、藍子ちゃんプロデュースのコレ!」
ありす「藍子さんらしい、かわいらしいデザインですね。しかも軽いです」
フレデリカ「でしょ?手ブレ補正とかもちゃんとしてて、お値段もお手ごろ!」
ありす「やっとまともな商品ですね」
フレデリカ「でも、ピントが合うのに10分かかるのが欠点かな!」
ありす「何も撮れないじゃないですか!?10分構えっぱなしですか!?」
フレデリカ「藍子ちゃんは『使いやすい』って言ってたけどな~」
ありす(あの人いつもそんなにゆっくり写真撮ってるんですか……)
フレデリカ「じゃあこっち!ユッコちゃんプロデュースの『爆速☆サイキックカメラ』!」
ありす「絶対ロクなカメラじゃないですよね」
フレデリカ「なんと、“撮ろう”と心の中で思ったならその時にはスデに撮り終わってるカメラなんだよ!」
ありす「人智を超えちゃってるじゃないですか!?」
フレデリカ「でも3枚しか保存できない!」
ありす「補って余りある欠陥!!!」
―――――3階―――――
フレデリカ「ここは家電全般!まさに“電器屋”だね!」
ありす「まあ、流石に小学生が買うものはないですけど……」
フレデリカ「でもいつかは1人立ちするんだし、見といて損はないよ?」
ありす「恐らくここで買うことはないと思いますけどね」
フレデリカ「まずは炊飯器!茜ちゃんのプロデュースだよ!」
ありす「赤色ですか……でもまあ、今ではそこまで珍しくもないですが」
フレデリカ「これのすごいとこはねー、とにかく炊けるのが早いの!超高温で炊くからなんだって!」
ありす「本当ですね、従来製品の半分の時間で炊けるって書いてあります。忙しい人とかにはいいかもしれませんね」
フレデリカ「でも5回に1回発火するんだって!」
ありす「さっきからピーキーな性能の物しかないんですけど!?」
フレデリカ「モニターの茄子ちゃんは1回も発火しなかったらしいから発売に踏み切ったんだけどなー?」
ありす「それを人選ミスって言うんです」
フレデリカ「発火率を大幅に下げた新商品も開発されたんだけど」
ありす「なんでそっちを売らないんですか」
フレデリカ「ほたるちゃんが1回で爆発させちゃって」
ありす「それも人選ミスって言うんです!!!」
フレデリカ「続きまして冷蔵庫―!」
ありす「もう大喜利を見てるかのような気分です」
フレデリカ「まずはコレ!デカァァァァァいッ!説明不要!」
ありす「業務用……ですか?」
フレデリカ「ちがうよ!七海ちゃんプロデュースの、釣った本マグロもそのまま入る冷蔵庫!」
ありす「この店は狭い需要に的外れな供給をブチ込みますよね」
フレデリカ「きらりちゃんでも入れそう!」
ありす「そういう発想の人がツイッターで炎上するんです」
フレデリカ「あと、下の冷凍庫を閉めると上のドアが開いて頭にぶつかるやつもあるよ!」
ありす「絶対それ笑美さんでしょ!?コントじゃないですか!!!」
フレデリカ「実演販売は大ウケなんだけど1個も売れないんだよ!ウケるよね!」
ありす「笑いごとじゃないです。ホントに潰れますよ?」
ガヤガヤザワザワ
ありす「……?あっちの方、騒がしいですね……」
フレデリカ「あっ!そうだ!この時間は、包丁の実演販売をやってるんだよ!」
ありす「そうなんですか」
フレデリカ「こずえちゃんが」
ありす「ええ!!??」
ありす「ちょ、こずえさんに包丁なんて危ないですよ!とめなきゃ!」
「「「きゃー!!!!!」」」
ありす「ほら!何かあったみたいです!!!」
「「「すごーい!!!!!」」」
ありす「……え?」
遊佐こずえ「ふわぁー……」ガガガガガガガガ
ありす「す、凄い勢いでキャベツをみじん切りしてる……!!!」
こずえ「みんなー……ほうちょう……かってー…かえー……?」ガガガガガガ
「「「きゃー!!!!」」」ドドドドドド
ありす「」
フレデリカ「こんな感じで、売上トップなんだよ!すごい包丁だよね!」
ありす「すごいのは包丁よりこずえさんだと思うんですけど!?」
―――――4階―――――
フレデリカ「この上はスポーツ用品とかゲームとかだから、案内するのはこの階までだよ!」
ありす「もう驚き疲れました……」
フレデリカ「この階はオーディオビジュアルのフロア!テレビが目玉だね」
ありす「どうせ変な性能の売れ筋商品の説明を始めるんですよね」
フレデリカ「達観してるぅ~!でも、せいぜい野球中継にしかチャンネルが合わない程度で変ってわけでは……」
ありす「それを変って言うんです!!!」
フレデリカ「あと、こっちのテレビの機能はすごいんだよ!出演しているアイドルを判別して、自動的に声の大きさを増減させてくれるの!」
ありす「え!すごい発明じゃないですか!」
フレデリカ「でしょ?フレちゃんはちょっと声が大きいから0.9倍で、ありすちゃんは1.2倍かな」
ありす「なるほど、大小どちらにもできるんですね……」
フレデリカ「茜ちゃんと恵磨ちゃんは0.005倍!」
ありす「それでも聞こえるんですか!?」
フレデリカ「これでも『仙崎と日野に補正をかけ忘れてますよ』ってクレームが来るんだよね!」
ありす「もはや兵器ですね」
フレデリカ「のあちゃんは20倍で、雪美ちゃんは30倍!」
ありす「まぁ……聞き取りにくい時もありますからね」
フレデリカ「乃々ちゃんが0.02倍!」
ありす「なんでですか!?誰も乃々さんの声を聴けなくなっちゃうんですけど!?」
ありす「これでだいたい終わりですか……?」
フレデリカ「うん!お疲れ様ー!」
ありす「本当に疲れまし……あ、この階、イヤホン売ってるんですね、最近壊れてしまって……ちょっと見てみます」トコトコ
フレデリカ「!!!」
フレデリカ「ありすちゃん!こ、これ!おすすめ!」
ありす「?」
ありす「あっ……(淡いピンク色にかわいくイチゴがあしらわれてる……!かわいい……)」
ありす「か、かわいいですね……誰かのプロデュースですか?」
フレデリカ「アタシ!!!」
ありす「はぁ~~~」
フレデリカ「ため息!?」
ありす「どうせおかしな機能がついてるんですよね?せっかくデザインはいいのに……」
フレデリカ「違うよー!フレちゃんが関わったのはデザインだけ!他は普通のイヤホンだよ!」
ありす「え?」
フレデリカ「こういう柄がありすちゃんは好きかな~って考えながらデザインしたんだよ!使ってくれると嬉しいな♪」
ありす「私の……ために……?」
フレデリカ「ホントは買ってプレゼントしたかったんだけど、今使ってるやつがお気に入りだったら悪いなーって……」
フレデリカ「あ、イヤならいいんだよ?ほら!この夏樹ちゃんモデルとか売れてて……」
ありす「いえ、さっきの買ってきます」タタタッ
フレデリカ「え!ホント!?って早っ!」
ありす「買ってきました、大事にしますね……」
フレデリカ「いや~、デザイナー冥利に尽きるねぇ!まだデザイナーじゃないけど!」
ありす「あと……その……」
フレデリカ「?」
ありす「変な機能がついてるとか、疑っちゃってすみませんでした」ペコリ
フレデリカ「そんな別にいいのに~!」
ありす「いえ、謝らないと気が済まなくて……」
フレデリカ「うーん……じゃあ!一緒にご飯を食べに行ってくれたら許してあげる!ここの地下、レストラン街なんだ!」
ありす「わ、わかりました、行きましょう」
フレデリカ「うんうん♪」
フレデリカ「『ラーメン☆世界レベル』と『創作料理道明寺』のどっちがいい?」
ありす「選択肢!!!」
おわり
過去作
ほたる「祝!朋さん」智絵里「ご出演決定!」
渋谷凛「何か新しいことが」本田未央「したい?」
橘ありす「タクシーフレデリカ?」
もよろしくお願いします
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