葉山「大丈夫だよ、これくらい」

三浦「そう？意外と嫉妬深そう」

葉山「まあ、意外とね」


三浦「あ、やっぱりそうなんだ」

葉山「意外だったよ、付き合うまではわからなかった」

三浦「ふ～ん、彼女恋愛とかしなさそうだし」


三浦「嫉妬とか経験不足から来てるっぽい」

葉山「そうかもしれないな」

葉山「この前のデートでも、ウェイトレスの子に目が行っていたのを怒られたよ」

三浦「隼人…それは」

葉山「いや…そんなつもりはなかったんだが…謝っておいたさ」

三浦「当たり前だし」

葉山「少し照れながらの表情がとてもかわいかったけどね」

三浦「隼人…それは、あーしとしてもちょっと微妙…」

葉山「それはすまない」


三浦「うん…」

葉山「俺を想ってくれてたのは素直に嬉しいよ、でももう彼氏がいるだろ？」

三浦「そうだけどさ」


三浦「ま、徐々に忘れていくし」

葉山「ああ、それがいいよ。優美子のためにも」

三浦「あとさ、意外なことと言えば」

葉山「ん？なんだい？」


三浦「よく雪ノ下さんと付き合えたよね、隼人さ」

葉山「あはは、それは…苦労したさ…」


三浦「なんかその表情見るだけでわかる気がする…」


葉山「元々、雪乃ちゃんとは昔のイザコザが原因で疎遠になったんだけど…」

三浦「うん」

葉山「それは何年も経過して複雑に絡み合ってた」

三浦「まあ、そうなると思うけどさ」

葉山「まさに、時間が経つほど解決が難しくなるというやつさ」

葉山「俺はとにかくまず…彼女と話すことから始めた」

三浦「普通じゃん、それ」

葉山「ああ、普通だね。でも、それすら満足にできないくらい疎遠だったからね」


三浦「幼なじみに見えないよね、二人って」

葉山「赤の他人の方が幾分かマシだったかもね」


三浦「それで？」

葉山「雪乃ちゃんは奉仕部にいたから…そこへ足を運んで世間話からさ」

三浦「よくそんなことできたね」

葉山「結衣や比企谷の許可はもらったしね」


三浦「許可出したんだ…ヒキオが」

葉山「ああ」

三浦「それも意外だし…」

葉山「断る理由もなかったんじゃないかな？」

三浦「…」

葉山「とにかく、そうして適度に足を運んで…話をするようになったんだ」

三浦「それで…どうなったの？」

葉山「何か月かかったかな…少し、雪乃ちゃんも警戒を解いてくれるようになったよ」

葉山「いろはも交えて、5人で勉強とかもしてたしね」

三浦「そういえば、隼人その頃付き合い悪くなってたもんね」

葉山「あはは、それに関しては申し訳ない」

三浦「いや、いいんだけど」

葉山「新鮮で楽しい時間だったよ」

三浦「ふ～ん、そっか」

葉山「その時思ったこととしては、過去に囚われすぎるのも良くないってことかな」


三浦「過去のイザコザのこと？」

葉山「ああ、過去を解決するのも大切だけど、未来へ向かって思い出を作るのも重要というのがわかった気がしたよ」


三浦「隼人は未来に向かって思い出作ろうとしたんだ？」

葉山「そっちの方が簡単だしね、過去の絡みはそれから解決して行こうと思ったんだよ」

三浦「それで…今があるわけ？」


葉山「かなり端折ってるけど、そうだね」

三浦「そっか…でもさ」

葉山「でも、なんだい？」

三浦「ヒキオは？あいつ、黙って見てたわけ？」

葉山「それはどういう意味かな？」


三浦「ヒキオと雪ノ下さんって、なんか付き合ってるみたいな雰囲気あったけど」

葉山「確かに…悔しいけど、そうだね」

三浦「ヒキオも雪ノ下さんのこと好きだったはずだし」


葉山「そこがポイントかな」

三浦「ポイント？」

葉山「俺と比企谷の行動のポイントだよ」


三浦「それって…」

葉山「俺は、雪乃ちゃんと付き合う為に行動した、彼は行動しなかった」

三浦「行動しなかったの？」

葉山「ああ、薄かったと言うべきかな？」

葉山「例え行動したとしても、負けるつもりは毛頭なかったけどね」


三浦「隼人…」

葉山「奉仕部は微妙な三角関係にはなってたようだけど」

三浦「三角関係？ああ、結衣も入ってるんだ」

葉山「そうだよ、彼らは三角関係だったよ」

葉山「でも、お互いを想ってそれ以上の仲を望んでなかった…」


三浦「結衣の考えそうなことだけど…バカみたいな青春だし…無駄遣い…」

葉山「俺と付き合う前の雪乃ちゃんは、比企谷の告白を待ってた気もするかな」

三浦「そうなん？」

葉山「でも比企谷は告白しなかった…それで落胆したと思うよ」

三浦「じゃあ…隼人選んだのは傷心から？」

葉山「最初はそういう気持ちもあったかもしれない、でもあれから随分経つし」

三浦「3か月くらいだっけ」

葉山「ああ、今では本物だと信じてるよ」



---------------------------------------------


戸塚「八幡帰ろうか」

八幡「おう」


戸塚「ねえ、八幡」


八幡「どした？突然」

戸塚「僕たちも来年には大学生か」

八幡「まあ、まず試験に受からないとな」

戸塚「そうだけどさ」

八幡「なにが言いたいんだ？」

戸塚「僕たち、今は勉強で忙しいけどさ…」

八幡「おう」

戸塚「彼女くらい作ってもよかったのかなってさ」


八幡「…勉強中にそんな雑念出そうなことできるかよ」

戸塚「いや、去年もさ」

八幡「…」

戸塚「それに、彼女作ってもちゃんと勉学と両立してる人もいるしね」

八幡「葉山か」


戸塚「そうだね」

八幡「まあ、あいつの場合は元々優秀だしな、彼女共々」

戸塚「八幡、本当に良かったの？」

八幡「良かったってなにが？」

戸塚「雪ノ下さんに想い伝えなくてさ」


八幡「想いもなにも…」

戸塚「好きでもないなんて言うのはなしだよ？」

戸塚「僕は君がどんな表情をしてたか知ってるんだから」


八幡「戸塚…」

戸塚「雪ノ下さんのこと好きだったよね？」


八幡「…例えそうだとしても、なんなんだよ？」


戸塚「そうだとしたら…あの時言ってれば…」

八幡「変わらないだろ」

戸塚「八幡…なんで？」


八幡「俺と雪ノ下が付き合う？笑い話にしかなんねぇよ」

戸塚「そんなことないって」

八幡「それに、葉山と付き合う方が今後重要になるだろ？」

戸塚「家のこと言ってるの？そんなのまだ先のことじゃないか」

戸塚「学生の僕たちが考えるようなことじゃないよ」


八幡「学生っていうんなら…あの二人は千葉には収まらないだろ」

戸塚「えっ」

八幡「東京かどっかの大学に行くはずだしな」