千早「運命の切り札を掴み取れ」 (35)
このSSはアイマスと仮面ライダー剣のクロスです。
アイマスはアニマス20話「約束」
剣は35話「危険な変身!?」の時期です。
両作品の設定が多少違う部分があります。
書き溜めは少しあります。
『如月千早、弟を見殺し!!』
『一家離散、それでも歌い続ける歌姫』
『ファンにはその事実を隠したままーーー」
こうなる事は分かっていた。
弟を、優を救えなかった。
それは自分の中では見殺しと同じだ。
今は、歌を歌おうとしても声が出ない。
散々、歌しか無いと言っていたのにも関わらず
その歌すらも奪われた。
もう、私には何も・・・
マンションの一室の片隅にある写真を見ながら彼女は呟く。
千早「優・・・」
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昨日は春香がお見舞いにしに家の前まで来てくれた。
でも、春香を家に入れさせなかった。
いや、正しくは入れさせたくなかった。
こんな私を誰にも見せたくなかった。
だから、自分の心にそっと蓋を閉めた。
来る日も来る日も、テレビでは自分の記事についての報道
もう、ウンザリだ。
このまま苦しみ続けるならいっその事・・・
そんな事すら考えていた。
しかし、それはできなかった。
春香を、事務所のみんなだけは裏切ることはできなかった。
千早「もう、どうにでもなってしまえばいい・・・」
彼女は捻じ曲がった方向に開き直った。
どうせなら、気分転換に散歩でもしようとまで思っていた。
最低限の変装だけして、近所の公園を歩いていると、何やら人だかりがあった。
自分が此処にいるのがバレたのかと一瞬思ったが、どうやら違うようだ。
「ねぇあの人じゃない?」
「あっ本当にいたんだ」
「おい行っちまうぞ」
誰か有名人でもいるのだろうか。
「あれだろ? 今ネットで話題になってる『ヒーロー』ってのは。」
いつもなら気にも止めない事だった。
でも、千早は人だかりのする方へいってしまった。
「おい、行っちまうぞ。早く追おうぜ。」
去って行く少年についていく民衆、その状態にイラついた少年は
「・・・何だよお前ら」
少年は振り返る。
「君凄いね! 話題だぜ」
「早く名乗り出なよ。 お礼が出るって」
周りの人達は彼を褒め称える。
しかし、当の本人は状況を理解出来ていない。
「……」
「そうよ早くしなさいよ。 だって、ほら!」
『悪い人に襲われた私を助けてくれた、男の子を探しています』
若い女の人が、目の前にいる少年の似顔絵を掲げて、
『会ってお礼がしたいんです。 見つけてくれた人にもお礼をします。
お願い。 私のヒーローを見つけて下さい!』
「・・・」
「やっほー。私のヒーロー」
「!」
声がした先を見ると女の人と、『ヒーロー』と呼ばれていた人の前に出てきた。
「あなたのやり方を真似させてもらったわけ」
「全くしつこいなぁ、そんなにジョーカーを助けたいの?」
その言葉に耳を傾けず、長身の青年は手にもつバックルを腹部に当て、カードを差し込む。
「いいの? みんな見てるよ」
『ヒーロー』と呼ばれていた人はそう嘲笑いながら言う。
「俺は・・・仮面ライダーだ!!」
「変身ッ!!!」
『Turn Up』
機械音が鳴り青年の前に長方形の結界の様な物が現れた。
その結界に青年が飛び込むと、姿が鎧の様な物に変っていった。
千早は何が何だかよく分からなかった。
周りの人達と目の前で起きた出来事に頭が付いて行けてなかった。
そして、しばらくし、2人が飛んで行った先に辿り着くと、角が生えた化け物とさっきの鎧を纏ったものが戦っていた。
「何・・・アレ・・・」
化け物が盾でもう片方、『仮面ライダー』と呼んでいたものの攻撃を防いでいる。
戦況はどう見ても化け物の方が有利だ。
だが
「例えカードが1枚も無かったとしても、お前を倒せるはずだ!」
「俺にライダーとしての資格があるのなら!」
「戦えない全ての人の為に、俺は戦う!!」
そう叫ぶと仮面ライダーは化け物が持っていた武器を奪い、攻撃する。
次第に化け物がふらつき始める。
そしてとうとう化け物の盾を破壊し、剣で真っ二つに斬り伏せた。
千早「・・・凄い・・・」
自分にもあんな力があったら弟を、優を救えた。
そうも思った。
そして1枚カードを取り出すとそれを化け物に向かって突き刺した。
すると化け物の身体はみるみるカードに吸い込まれていった。
暫くすると、今度は全身が真っ赤な化け物が現れた。
仮面ライダーは剣に収納されているカードの中の2枚を取り出し、左腕に付けている機械にスライドされた。
『Evolution King』という機械音と共に仮面ライダーの身体が金色になった。
体の所々に紋章が浮かび上がり、左手に巨大な剣が現れた。
化け物が迫ってくると、剣で受け止め、右手に力を込め、近くにあったビルに吹っ飛ばした。
仮面ライダーは体から5枚のカードを取り出し、剣に付いている読み込み口に挿入した。
『Spade 10 Jack Queen King Ace...』
『Royal Straight Flush』
「ハァァァァァァ・・・ウェイ!!!」
叫び声と同時に剣も振り上げると衝撃波が飛び、化け物は爆発していった。
化け物を倒すと、仮面ライダーの変身が解け、青年が突然倒れる。
恐る恐る、千早は近づいてみる。
青年は寝息を立て眠っていた。
いつもなら、そのままその場を後にするか、救急車を呼んでいただろう。
だが、今日の千早はいつもと違った。
おもむろに青年も持ち上げ、背負う。
青年をおぶり、千早は家へと帰って行った。
取り敢えず書き溜めが終了したのでまた書いてきます。
後、剣は『ブレイド』と読みます。
仮面ライダー関連の方はその都度解説していきます
ーー千早の家ーー
「・・・ん。」
千早「目、覚めました?」
家まで青年を背負って帰ってきた千早は、自分にベッドに彼を置き、目が覚めるまで看病していた。
「そっかぁ、俺寝ちゃってたのか。今迄こんな事無かったんだけどなぁ・・・」
千早「大丈夫ですか、えっと・・・仮面ライダーさん?」
「!!?、まさかお前アンデッドか!?」
千早「あの時みんなの前で叫んでたじゃないですか。『俺は仮面ライダーだ。」って」
千早「それよりも・・・」
千早「私の事、知らないんですか?」
「え?、君もしかして有名人?ごめん俺テレビ見ないからあんまりそういうの詳しく無いんだよなぁ。」
自分の事を知らないこの人ならば少しの間近くにいてもいいかも知れない、と思った。
「でも、なんか虎太郎がアイドルの誰かの弟が亡くなっていたーとか言ってたな。」
千早「!!・・・それ、私の事です。」
「!、ごめん不謹慎だよな・・・」
千早「いえ、いいんです。弟を助ける事が無かったのは事実ですし。」
「・・・そっか、俺と同じだな。」
千早「え?」
「俺、火事で両親亡くしたんだ。小さい頃に。」
千早「両親を・・・」
「助けたかった。けど助けれ無かった。だからもう誰一人として失いたく無い。」
「だから俺は仮面ライダーになったんだ。」
千早「そうなんですか・・・」
「そういえば、君の名前は?」
千早「如月千早です。貴方は・・・?」
剣崎「俺は、剣崎一真。宜しくな千早ちゃん。」
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