あの桜の木の下で (13)

どうも、今回は中学生女子の私が書いた小説を晒したいと思います
のちに黒歴史と呼ばれることになるでしょう
厨二みたいな内容ではないとは思いますが
アドバイス等あればよろしくお願いします

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 僕の人生は絵に書いたような平凡な毎日だった。
 朝起きて、学校に行って、勉強して、家に帰って、勉強したりゲームしたり、ネットをしたりして、寝る。
 もちろん毎日同じことをするわけではない。
 たまにいいことがあったりするが、僕の人生には色がなかった。
 そんな中で、ある日僕は彼女に出会う。
 それは、いつものように学校から帰る途中の出来事だった。

「見てみて、あの桜の木」
「わぁ、もう桜の季節なんて過ぎちゃったのに、まだ咲いてる~」

 前を歩いていた少女たちがそう言う。
 目を向けると、そこには満開の桜の木があった。
 へぇ。毎日歩いてたのに気付かなかった。
 その時、風が強く吹いた。
 桜の花びらが舞った時、その木の下のベンチに座る一人の少女の姿に気付く。

「綺麗だ・・・」

 ついそう呟いた。
 そこにいた少女は、とても綺麗だったのだ。
 足が見えないくらい長いロングスカートに、白いフリフリした服を身にまとったその姿を現すほどの語学が自分にないことがとても悔しい。
 とはいえ、そんな彼女に話しかける勇気なんて僕にはない。
 今日はもう帰ろう。
 ちょっとだけ軽くなった足取りで、僕は帰路についた。

 しかし、次の日もそのまた次の日も、少女は現れた。
 相変わらず、僕はそれを遠くで眺めるだけ。
 そんな時、ある日朝のニュースに出てくる星座占いで、こうでていた。

『おうし座のあなたは、今日は恋愛運アップ!気になる異性に話しかけてみましょう』
「気になる異性、か・・・・・・」

 思い浮かぶのは、桜の木の下の彼女・・・――――。
 僕は早々に朝ごはんを平らげ、鞄を持って外に出る。
 すでに夏服移行期間に入ったこの頃。
 袖を捲ったカッターシャツに、走る度に風が染みる。
 朝はいるかどうかよく確認してないけど、いてほしかった。
 すぐに会って、話してみたかった。

 彼女はいた。
 いつものように、桜の木の下のベンチで。
 息切れしながら公園に入ってきた僕を見て、彼女は目を丸くした。

「あ、あの・・・僕、ずっとあなたと話したくて・・・・・・」
「え?私、と・・・?」

 そう言って首を傾げる。
 あああッ!なんだこの綺麗でもあり可愛らしくもある美しすぎる生物はッ!
 僕は顔が赤くなりそうなのを隠しながら笑顔を浮かべる。
 対する少女もニッコリと笑顔を浮かべた。

「は、はい・・・。あの、いつもこの桜の木を見ていますよね?」
「え?あぁ、はい・・・。この木は、私にとって大切な思い出が詰まってるので」
「大切な、思い出?」
「はい。そうです」
「それって一体・・・?」

 そこまで聞いた時、公園の時計が8時20分を指したのが分かった。
 あれ!?もうこんなに経ってたの!?
 僕は焦ってあたふたしてしまう。

「あ、それじゃあ僕もう行くから!えっと、あの・・・」
「もう、行ってしまうんですか・・・?」

 少女はそう言って悲しそうに目を伏せる。
 僕は咄嗟に叫んだ。

「き、今日学校が終わったら、また来るよ!」
「ッ!それは本当ですか!?」

 彼女の目がキラキラと輝く。
 可愛らしい。
 非常に可愛らしい。

「もちろん!また、後で」
「えぇ。また」

 今日はなんだか、いつも以上に学校が長く感じられた。
 ボーッとしてた時間も多かった気がするし、先生に当てられた時にどう答えたのかも記憶が定かではない。
 ただ、彼女に会いたくて・・・。

「うぅー!」

 つい鞄で顔を隠す。
 羞恥心というか、なんというかッ!
 僕は鞄をどかし、公園まで走った。
 公園に行けば、彼女が待っていてくれる!
 公園に行けば、彼女と話せる!
 あの、公園に行けば!

「あ、こんにちは。さっきぶり、ですかね?」

 彼女はいた。
 当たり前だ、と言われそうだが、それだけで僕の全身に血が駆け巡るような錯覚さえした。

「こ、こんにちは!・・・・・・待った?」
「いえ。私もさっき来たところなので」

 そう言ってフワリと優しく微笑んだ。
 それにつられて僕も笑う。
 幸せだ。今、僕は幸せを謳歌している。
 平凡な人生が、今、色鮮やかになったような気分だ。

「それにしても、綺麗だよね。ここの桜。ずっと見ていたくなるのもよく分かるよ」

 無意識にそう呟いていた。
 いや、無意識っていうか、会話のネタを探そうとしたらこれくらいしか思いつかなかったってだけなんだけどね!?

「そう・・・ですかね?」

 しかし、彼女は少し冷たい声でそう返す。
 あれ、そう思っていないのかな?
 でも・・・それじゃあなんでいつも見ているんだろう?

「えっと・・・?」
「そんなことより、あなたの名前が知りたいんですけど!」

 強引に話を逸らされた。
 触れられたくないことなのかもしれない。
 まぁ、僕も彼女が嫌がるようなことはしたくないし、この話は閑話休題ということで。

「僕は斉藤 春人。気軽に、春人、でいいよ」
「じゃあ、春人君で。私は、桜木 真理。呼び方はなんでもいいです」
「真理さん、か。よろしく、真理さん」
「はい。よろしくお願いします、春人君」

 彼女はそう言って、また優しく微笑んだ。
 僕のクラスにいるような女子とは、やっぱりどこか違うな。
 清楚というか、なんというか。
 見た目は僕と同い年か少し年上かくらいなのに、随分違うものだなと思う。
 それから僕たちは、他愛もない雑談を楽しんだ。

 その日から、僕と真理さんは毎日この公園で話した。
 いつしか、彼女は僕に敬語で話すことはなくなり、友人となっていた。
 僕はこんな幸せがずっと続くものだと思っていたが、現実は、それを許してはくれなかった。
 それはいつものように話していた時のことだった。

「ねぇ。春人君・・・」
「どうしたの?」
「私、もう君に会わない方がいいと思うの・・・」
「え!?」

 大声を出してしまう。
 会わない方がいいって、どういうことなの?

「ごめん。でも、それが君のためになることだから」
「どういうこと?せめて理由を・・・」
「ごめんなさい!」

 直後、彼女は立ち上がり、走り出す。
 僕は慌ててそれを追いかけた。
 地面を蹴って追いかける。
 待ってよ!僕はまだ君に、好きだって伝えてないんだよ!

「待ってッ・・・」

 その時、気付く。
 横断歩道の信号が、赤なことに。

「危ないッ!」
「えッ・・・?」

 彼女に轟音をたてながら突っ込んでくるトラック。
 僕は何も迷わず、彼女の体を突き飛ばそうとした。
 その時、何かにつまずく。
 視線が下に向く。
 でも、突き飛ばすのには問題ない。
 あ、今日はロングスカートの丈、少しだけ短いなと思った時だった。
 僕は戦慄した。

「え・・・・・・」

 そこには。
 彼女の足は。
 なかった。
 ・・・・・・え?


 僕の手が、真理の体をすり抜けたのと、僕の体がトラックに轢きつぶされたのは、ほとんど同時だった。

「ねえねえ、知ってる?」

「何を?」

「最近、この辺りで交通事故があったんだって」

「ここで?なんか変な感じだな」

「何が?」

「あれ、知らないの?今から10年前くらいに、ここの桜の木で、首を吊って自殺した女の人がいるんだって」

「そうなんだぁ。偶然ってすごいね~」

「そうだね~」

 風で桜の花びらが舞いあがる。
 僕は静かに、公園の前に立った。
 今日は、正直に気持ちを伝えられるかもしれない。
 いや、伝えてみせる。
 ベンチに近づくと、少女が顔を上げてニッコリと笑いかけた。
 それだけで、ないはずの心臓が高鳴りそうだ。
 僕は深呼吸をし、声を出す。

「僕、出会ったあの日から、ずっと、君のことが・・・―――」

 今日も、桜の木の枝が、静かに揺れていた。

はい、終わりです!
どうせこんなの読んでくれた人なんて誰もいないんでしょうけど、もしいてくれたら嬉しいです。
もし好評だったら、また他にも書いてみたいと思っています。
読んでくれてありがとうございました!

ありがとうございます
もっと良い作品が書けるように精進していきたいと思います

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