モバP「今夜は満月か……参ったな……」 (58)

ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん。あれ、どうしたんですか?」

P「いえ。今日って予報では雨って言ってませんでしたか?」

ちひろ「あぁ、そうですね。でもどうやら上がって……夜には星も見えるみたいですよ?」

P「星も?」

ちひろ「はい。なんでも今夜は特に綺麗に見えるらしいですから」

P「……今夜は満月か」

ちひろ「どうしました?」

P「いえ、ちょっと……参ったな……」

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ちひろ「大丈夫ですか? プロデューサーさん」

P「ええ、まあ……すみません、今日の予定ってこのあとは……」

ちひろ「えーっと、夜の収録が終わった子のお迎えと、事務側の整理も……」

P「その仕事、代わってもらえませんか?」

ちひろ「え? プロデューサーさんが事務をするってことですか?」

P「はい。迎えにいってやってほしいんです」

ちひろ「別に、構いませんが……どうしました?」

P「いえ、ちょっと都合が……」

ちひろ「そうですか。じゃあこれとこれと……」

P「おっと、はいはい……」

ちひろ「これとこれとこれと……」

P「……お、多くないですか?」

ちひろ「私、意外と頑張り屋さんですから♪」

P「ははは……」

――――

――

P(ふぅ……ちひろさんは出たか)

P(一晩中雨が降るって聞いて油断したな……どうしたものか……)

P「とりあえずブラインドを閉めておくか。直で見なければま……だ……」

P「あ……」

         満月<ハロー!


P「………………っ!」

P「お、落ち着け……落ち着け……!」


 ガヤガヤ……

P「だ、誰かかえってきた!? マズい……ッ!」

ガチャッ

くるみ「ぐしゅっ……」

麗奈「あーもう! いつまでぐじゅぐじゅ泣いてんのよ! シャキッとしなさいシャキっと!」

くるみ「で、でもぉ……」

麗奈「だいたいリズム感が足りないのよ! もっとキビキビ動く!」

くるみ「が、がんばる……」

麗奈「そうよ、このレイナサマが率いるマーチングバンドに入ったからには馬車馬のように働いてもらうわ!アーッハッハハ!」

くるみ「お、お馬さん……くるみ、足速くないよぉ……」

麗奈「そういう意味じゃないわよ!」



大沼くるみ(13)
http://i.imgur.com/s9jIQpw.jpg

小関麗奈(13)
http://i.imgur.com/eHlQ8yK.jpg

麗奈「ったく、だいたいあのメンバーはイイコちゃんが多すぎるのよ。アホの南条まで来るし……」

くるみ「……!」

麗奈「うん? どうしたの……よ……」

 フサァ…

麗奈(なに……あれ? 尻尾? ブリッツェン? いや、イヴは帰省とか言ってたわね)

麗奈(じゃあ犬……にしてはデカすぎない? アッキーとかハナコ……いや、聖來のわんこよりでかいわ)

くるみ「れ、れいなしゃ」

麗奈「しっ! ……ゆっくり下がりなさい。なんだかわかんないけどヤバい感じよ」

くるみ「う、うんっ……ふぇっ」

麗奈「あっバカ!」

 ガタッ   バシャーンッ!

くるみ「ふぇぇぇ……こ、ころんじゃったぁ……」

「だ、大丈夫か!?」

くるみ「ふぇ……」

狼?「くるみ! 転んだのか、ケガは? 足をひねったとか……いや、大丈夫そうか。痛くないか?」

くるみ「ふぇっ、えぇっ……きゅぅ…………」

狼?「くるみ!!?」

麗奈「こ、このっ!」ブンッ

狼?「イタッ!?」

麗奈「は、離れなさい化け犬! そいつはアタシの……」

狼?「ま、待て麗奈! 話せばわかる!」

麗奈「なによ! アタシは犬とおしゃべりする趣味なんてないわ!」

狼?「いや、犬じゃなくて狼……じゃなくてだな! 俺だよ、俺!」

麗奈「……うん?」

狼?「はぁ……参ったな……プロデューサーだよ。お前たちの」

麗奈「……ハァッ!?」

麗奈「……で、何よそのみょうちくりんなカッコ。コスプレ? フンッ、なかなか良くできてるじゃない! マスク貸しなさいよ」

人狼P「いや……自前だよ。ほら、スーツの下も毛がびっちり」

麗奈「えっ……うわ、なにこれ」

人狼P「実は俺、人狼でな」

麗奈「じんろう? ……なにそれ」

人狼P「カンタンに言えば……そうだな、狼人間だ」

麗奈「ハーン、そういうイタズラ? いいわ、乗ってあげても……」

人狼P「いたいいたい、外れないってば」

麗奈「……マジで自前なのね」

人狼P「だからそう言ってるだろう?」

麗奈「なんでそんなんなってるのよ」

人狼P「普段は遮光性の高いメガネとか、曇りの日以外は外に出ないとかしてるんだが……油断してな……」

麗奈「ふーん」

人狼P「満月を見るとな……血が騒いで、こうなるんだ」

麗奈「それ、どれぐらいで戻るの?」

人狼P「精神を落ち着けたら治る……はずだが」

麗奈「なるほどね……それから、狼だったら匂いとか音には敏感よね?」

人狼P「まあ、確かに人よりは鼻が利くかもな……」

麗奈「……なるほど。だったら――」

人狼P「?」

麗奈「このレイナサマスペシャルバズーカコンパクトバージョンをぶっ放されたらどうなるのかしらッ!」ガチャッ

人狼P「!?」

麗奈「アーッハッハッハ、はっはっゲホッゴホッ……んんっ。アンタの弱みは握ったわ! アタシの言うことを聞きなさい!」

人狼P「……いや、麗奈。また暴発したらどうするんだ、危ないから渡しなさい」

麗奈「いーやーよ! レイナサマは同じ轍は踏まないんだから!」

人狼P「だからってだなぁ」

麗奈「ケチケチすんじゃないわよ、だいたい」

人狼P「まず落ち着いてだな――」



くるみ「う、うぅん……」

ガチャッ

光「どうしたんだ? なんかすごく騒がし――」

千佳「なにかあったの!?」


人狼P「あっ」

麗奈「あっ」

光「……怪人だーッ!?」

千佳「お、狼さんだー!!」

くるみ「ふぇ、ふぇええぇえぇぇっ!!!」

人狼P「……参ったなぁ」

人狼P「――というわけなんだ」


千佳「じゃあ……Pくんって変身ヒーロー!?」

光「カッコイイなぁ!」

麗奈「……アホが2人増えたところで質問したいんだけど、アンタって別にバレても問題ないのよね?」

人狼P「いや、それはまあ……だが怖くないのか?」

麗奈「アタシは別に……だし、この2人はアホだし、くるみは……」

くるみ「ぐしゅっ……こ、こわくない……だいじょうぶぅ……」

人狼P「どうみてもダメじゃないか?」

麗奈「こんなのただのでっかい犬とかわんないじゃない。ねぇ?」

人狼P「そう言われるのも傷つくなぁ」

くるみ「ふぇぇぇ……ご、ごめんなしゃい……」

人狼P「いや、くるみが気にすることじゃあ……」

麗奈「ほら、涙拭いて」

くるみ「う、うん……ぐしゅっ……ちーんっ、ずびーっ」

くるみ「ふぇ……このハンカチ、やわらかぁい……」

人狼P「……うん、ありがとう」

くるみ「……?」

人狼P「俺のしっぽなんだ、ソレ」

くるみ「ふぇええっ!?」

麗奈「アーッハッハッハ! ぴったりね!」

人狼P「おりゃ」ペチャッ

麗奈「ぎゃああっ!?」

くるみ「ご、ごめんなしゃい……」

人狼P「いや、大丈夫だ……ここで見たことは秘密にしてくれよ?」

くるみ「う、うん」

人狼P「やれやれ……光、千佳も。いいな?」

光「大丈夫、秘密のヒーローだもんな!」

千佳「バレたらダメだもんね!」

人狼P(こいつらは何か別の期待をしてないか……?)

人狼P(とりあえず尻尾を洗いたいな……手洗いいくか……)

人狼P(まったく、麗奈のイタズラ好きにも困ったもん……だ……)


アッキー「くぅーん……?」

人狼P「!?」

アッキー「!!?」

人狼P「お、落ち着けアッキー。吼えるな」

アッキー「……ワゥー?(……だ、旦那……?)」

人狼P「ワォーン……(……ああ、そうだ。諸事情でこういうことになってな……)」

アッキー「クゥーン……(大変そうですね……)」

人狼P「……そうだなぁ。ところで」


<アッキー? アッキー?

アッキー「ワン! ワンワンッ!(まずい!旦那!早く隠れて!)」

人狼P「いや、急にはっ――」

優「どうしたのアッ……キ……」

優「……えっとぉ」

人狼P(またバレ……いや、なんで優がここに? 今日はオフじゃ……)

優「ひょっとしてアッキー、お友達ができたの?」

アッキー「……クゥーン(ご主人、流石にこんな大きなお友達はいないです)」

優「そっかぁ、新しいアイドルの子のペットぉ?」

人狼P(通じてないな)

優「おっきぃねー。わんこよりも大きな犬? わんわん、撫でてもいい~?」

人狼P「ワゥ……(いや、やめてほしい……というか、怖くないのか? 俺がおかしいのか?)」

優「ナデナデー。これね、アッキーもお気に入りなんだよー。ほらほら~♪」

人狼P「ワ、ワゥ……ゥ……くぅーん……」

人狼P(おい、やめっ……あっ、気持ちいい……)

アッキー「くぅーん……(旦那……)」

優「よしよ~し、ふふふ、かわいい~♪ 美紗希ちゃんたちにも見せてあげよぉ♪」パシャパシャ

人狼P「くぅーん……くぅーん……」

優「じゃあまたね~♪ いこっかぁ、アッキー♪」

アッキー「クゥーン……(旦那……)」



人狼P「……何か……大事なものを失った気がする」

人狼P「俺は……いったい……」

人狼P「いや、バレなかったんだ。よかった……よかったんだよな?」

人狼P「……気持ち良かったなぁ。優のヤツ、犬を撫でるのがうまい……」

人狼P「……ワオォーーン! 俺は犬じゃねぇ!」


<ガタンッ

人狼P「……ん?」

 机<ガタガタッ


人狼P「……見てたのか?」

 机<み、みてない……ぞ……

人狼P「……そうか」

 机<フ、フヒヒ……

人狼P「なぁ輝子。どこから見てた?」

 机<ゆ、優さんに撫でられるの……気持ちいいよな……

人狼P「そうか」ヒョイッ

輝子「フ、フヒ……ようこそしんゆ……う……?」

人狼P「……顔は見えてなかったか?」

輝子「か、カッコよくなったな……いい……」

人狼P「……ありがとう」

輝子「親友は……犬だったのか……」

人狼P「いや、狼だ」

輝子「お、狼か……」

人狼P「……怖くないか?」

輝子「べ、別に……」

人狼P「なんだか逆に自信がなくなってきたぞ、俺」

輝子「げ、元気出して……キ、キノコも応援してる……ガ、ガンバレー……ほら……」

人狼P「それは嬉しいなあ……ん?」

輝子「ど、どうした……?」

人狼P「……フンフン……お前……風呂、入ってるか……?」

輝子「は、入ってる……キノコくんといっしょに……」

人狼P「ちゃんと入った方がいいぞ? アイドルなんだから……キノコくんは水につけられないだろう」

輝子「気をつける……フヒ……親友も入るか……?」

人狼P「いや、俺は大丈夫だ」

輝子「そうか……」

人狼P「だいたいな、今は犬っぽいかもしれないが俺だって成人男性だぞ?」

輝子「でも、親友だから……」

人狼P「……乃々といっしょに入ってやってくれ。アイツも親友だろ?」

輝子「おとなりさんか……そうだな……」

輝子「きょ、今日は寮のお風呂にいっしょに入らないか……お隣さん……」


 机2<い、いませんけど

人狼P「……」


輝子「ダメだって……」

人狼P「ガオー」

乃々「ぴぃぃぃいぃいいっ」ガタガタガタガタッ

人狼P「なんだ、乃々もいたのかー」

乃々「な、なんですか……プロデューサーさんは食べられちゃったんですか……もりくぼも食べられちゃうんですか……」

人狼P「いや、本人だから安心してくれ」

乃々「ほん……にん……?」

人狼P「ほら、そうだな……前に偶然乃々のノートを拾っただろ? あれが確か――」

乃々「ひぃぃ! やめてほしいんですけど! プライバシーの侵害ですけどぉ!」

人狼P「な。本人だよ」

乃々「……どうして狼なんですか……夜な夜な人を食べちゃうんですか……」

人狼P「いや。別に……」

乃々「じゃあリスとか食べちゃうんですか……?」

人狼P「普通に人と同じものを食べるから、大丈夫だ」

乃々「り、りすくぼはもうインザキッチンとかではないんですか……?」

人狼P「食べない、食べないから」

輝子「キ、キノコは食べるか……?」

人狼P「そっちは普通に食べるなぁ……」

輝子「フヒ……草食系なんだな……」

乃々「それならちょっとは仲良くなれるかもしれませんけど……」

人狼P「ああ、ぜひそうしてくれ……そうだ」

輝子「どうしたんだ……?」

人狼P「今日はオフじゃなかったか? どうしたんだ」

輝子「実は忘れ物をして……植木鉢……」

乃々「ノ、ノートを……」

人狼P「そうか……気を付けるんだぞ?」

輝子「わかった……き、気を付ける……」

乃々「狼さんこそお気をつけて……退治とかされませんように……」

人狼P「ははは、そういえば乃々は猟師役だったなぁ。それじゃあ狼に食べられちゃうぞ?」

乃々「さ、散々にやられましたけど……」

人狼P「……そうだったなぁ」

人狼P「さて……いろいろあったけど無事に送り返したし」

人狼P「何人かにバレたが……まぁ、それは仕方ないとしよう」

人狼P「明日からは気を付けないといけないな……そろそろ戻るはず、だが……」



人狼P「……」


人狼P「……」



人狼P「……戻らないぞ?」

まだ終わらないんで酉つけますね
再開

人狼P「おかしい……確かにいろいろあったが、そろそろ戻ってもいいころだ……」

人狼P「精神的にも落ち着いた。月ももう見えてない……というか見ないようにしている」

人狼P「もう狼になる要因はないはず……なのに……」


人狼P「戻らない……」


人狼P「参ったなぁ、このままじゃ明日の仕事にも差支えが……」


ガチャッ

ちひろ「ただいまかえりまし……」

人狼P「あっ、ちひろさん。おかえりなさい」

ちひろ「ひっ……ひぃっ!?」

人狼P「あっ」

人狼P「かくかくしかじかで……」

ちひろ「は、はぁ……プロデューサーさんなんですね」

人狼P「はい。そろそろ元に戻るはずなんですが……」

ちひろ「……今日はもう帰って寝たほうがいいのでは? 日光を浴びたら戻るかもしれませんし」

人狼P「そうですね……ただこの姿で電車は……」

ちひろ「ああ……」

人狼P「その、仮眠室をお借りしてもいいですか?」

ちひろ「わかりました。えーっと、それなら……」

人狼P「あ、毛布とかは大丈夫です。毛だらけになっちゃいますし」

ちひろ「なるほど……」

ちひろ「プロデューサーさんも大変ですね……ところで」

人狼P「……なんです?」

ちひろ「あの、確認なんですけど」

人狼P「はい」

ちひろ「ちょっと……撫でさせていただいても……?」

人狼P「……まぁ、構いませんが」

ちひろ「やった♪」

人狼P「……」

ちひろ「おぉ……結構しっかりしてるんですね……ふむふむ……」

人狼P(……了承したはいいけど、なかなか照れくさいなぁ)

ちひろ「ふぃー……堪能しました」

人狼P「それはよかった……じゃあ、お借りしますね」

ちひろ「いえいえ、ありがとうございます。この件は……私たちのヒミツ、ですね♪」

人狼P「……何人かにはバレちゃいましたが」

ちひろ「それは……えぇっと、頑張りましょう!」

人狼P「口は堅いって信じてますから、大丈夫です」

ちひろ「ふふっ……ですね。それじゃあおやすみなさい……早めに寝ましょうね?」

人狼P「ちひろさんこそ。夜道は危ないんですから気を付けてくださいよ」

ちひろ「狼さんほどではないでしょう?」

人狼P「さぁ、どうだか……とにかく、おやすみなさい」

ちひろ「はーい」

――――

――

 チュンチュン…
          チチチ…



人狼P「なるほど」


人狼P「なるほどじゃないな。戻ってない」

人狼P「フッサフサだな……」

人狼P「参ったな……朝日が昇っても元に戻らないとは」

人狼P「どうしたものか……流石に今日の仕事はちひろさんに任せるのも……」

人狼P「何かないか……?」ガサガサ…


人狼P「おっ……これは……」

薫「おはようございまー!」

雪美「……おはよう……」

若葉「おはようございます~」

Pヘッド「やぁみんな、おはよう」

雪美「……?」

Pヘッド「どうした雪美? 顔に何かついてるか?」

雪美「…………ついてる……」

Pヘッド「そ、そうかー。ははは、じゃあ今日のスケジュールだが……」

薫「せんせぇ! どうしたの!? ケガしちゃったのー!?」

Pヘッド「いやぁ、なんでもないぞー、ハハハ、薫は変なことを聞くなぁ」

若葉「……あの~」

Pヘッド「どうしたんだ若葉ー、俺はいつも通りだぞー」

若葉「いえ~……その~……」

Pヘッド「……?」

若葉「なにか……でてますよー……?」

Pヘッド「……!?」フサァ…

雪美「……しっぽ……?」

薫「せんせぇの服からでてるよ?」

Pヘッド(しまった……!?)

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