きらり「世界を包む愛をあげゆ」 (27)

何時からそう思うようになったのだろう。

自分が大きくなればなるほど、周りは小さくなる。

自分が強くなればなるほど、周りはか弱くなる。

小さいものは小さいほど、かわいい。

弱いものは弱いほど、守りたくなる。


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ーーーならば

自分を傷付けるものが、小さければ小さいほど。弱ければ弱いほど。

かわいいと思えるのだろう。守りたいと思えるのだろう。

だから、大きくなればいいのだ。強くなればいいのだ。




もっともっと大きくなれば、この悲しみさえも





蟻達「ヨッコイショウイチ、エッサ、ホイサ」

きらり「アリさんはかわいいにぃ」

きらり「ちょこちょこてくてく、食べ物をはこんで」

きらり「とっても……がんばりやさん」

「うわっ、デカ女だ!」

「一人でなにやってんだ?……アリ?」

「あーっ、きっとコイツ、アリを食べちゃうつもりなんじゃね!?」

「わっ、ヒデェ!」

「なんでもいじ汚く食べてるとデカ女みたいに大きくなっちゃうぞー!」

「こええー!逃げろー!」

きらり「……」



猫「ニャーン」

きらり「猫ちゃんはかわいいにぃ」

きらり「頭をくしくし、体をぺろぺろ」

きらり「毛繕いに、大忙し」

きらり「……」

きらり「……猫ちゃん、撫でても……いい?」

猫「フギャッ」

きらり「!」

猫「ヴー」

きらり「……ごめんなさい」

猫「シャー」

きらり「……」



きらり「学校の女の子達は、かわいいにぃ」

『センセー、諸星さんが邪魔で黒板が見えないので席を変えて欲しいです』

『あっ、諸星さん。ちょっとそこの棚の上にあるモノ取ってくれないかな。私達だと届かなくてさあ』

『体が大きいといいよねー、痴漢とか近寄らなそうで』

『諸星さん、そこ私達が通るからちょっとどいてくれないかな?』

きらり「みんな、みんな。キラキラしていて……とってもかわいくて……」

きらり「……」



きらり「杏ちゃんはかわいいにぃ」ギュッ

杏「……きらり?」

きらり「……」ギュッ

杏「何かあったかー?」

きらり「んーん?……杏ちゃんと、こうしてると……ハピハピしてきて……たのすぃーから」

杏「……ん……そっか」



きらり「Pちゃんはかわいいにぃ」

P「俺に言われてもなぁ……少なくとも褒め言葉じゃないよな」

きらり「うぇへへ☆……ゴメンね、Pちゃん」

P「それに、俺なんかがかわいかったら、きらりのかわいさは地球よりも大きくなっちまうぞ」

きらり「……」

きらり「にょわー……///」



きらり「杏ちゃんの寝顔はかわいいにぃ……」

P「きらり……あんまり根を詰めるなよ。お前、何日寝てないんだ?」

きらり「……」

P「ここでお前までぶっ倒れたら、どうなっちまうか分かるだろ?杏は俺が看とくから……頼むから、休んでくれ……きらり」

きらり「……」



きらり「……っ……Pちゃん……お花に、囲まれてて……かわいいにぃ……」

「まさか、プロデュースしていたアイドル達に刺されるとはなぁ……」

「でもアイツ、手は出してなかったって聞いたぜ?」

「しかし、アイドル達数十人がム所と院送りになったのは……」

「ここのプロダクションはもう終わりだな……」

きらり「……」

きらり「……Pちゃん、杏ちゃん……」

きらり「……もっと、もっと、きらりは強くならなきゃいけないにぃ?」

きらり「……大切な人を、護る力……」



きらり「対戦相手はかわいいにぃ」ズダーン

『まーた諸星選手が優勝か』

『強過ぎだよな』

『男子レスリングに混じってもいけるんじゃないか』

『男子の方でも無双しそう』

『つまんねーな、一強だと』

きらり「……」

きらり「……ただ、きらりが強くなるだけじゃ……ブーッ、バツ!みたい」

きらり「……もっと……もっと、強くなって……みんなを守れるように……」



きらり「M1エイブラムスはかわいいにぃ」ドガシャーン

《凄すぎる……彼女一人で相手の戦車部隊を壊滅させるなんて!》

《きっと彼女は……KILL-reは神が遣わした天使だよ!》

きらり「……ふー、きらり、少し休憩すゆ……みんなも、おつぁーしゃー」




《ファック!!何だあのモンスターは!》

《KILL-re……悪魔のようだ……本部に連絡を!》

ーーーーーー

きらり「……そろそろ戦線に戻って頑張るにぃ」

キイイイイイイン

きらり「にょわ?」

ドカァァァアン

きらり「ゴホッゴホッ…………ゲホッ」

きらり「あ……」

味方兵達「」

きらり「……」

きらり「……もっと、もっと……」

きらり「きらりが、一人でも戦えれば……」



きらり「きらりん☆レーダー!!」ニョワニョワニョワワーン

ステルス戦闘機「キイイイイン」

きらり「……みーつけたー☆」

きらり「爆撃機はかわいいにぃ」

きらり「よーし、きらりん☆パワーで撃ち落としちゃえ!」

きらり「きらりん☆ビーーームッ!!!!」ニョワワワワワワワワ

ドコオオオオオン

きらり「…………にょわー」




《怪物キラリ、中東を制圧!?》

《合衆国大統領も苦慮》

《強大すぎる生物兵器を所有する日本、国際的に批判集まる》

きらり「……」

きらり「もう……どこかで……ゆっくり眠りたいにぃ……」

きらり「……誰にも邪魔されずに……」

きらり「…………海の底なら、のーんびり、たのすぃー……かな」

きらり「ちょっと、疲れちゃった」



ゴポゴポゴポゴポ……




ドカァァァアン

ドカァァァアン

ドカァァァアン……

……

きらり「……にゅー、せっかくおねむだったのに、おメメパチパチだゆ」

ザパァン

きらり「黒い……雨?」

ザー……



きらり「……」

猿人1「ウホウホ(きらり神よ。我々の願いを聞き入れ給へ)」

猿人2「ウホホ(待て。それはきらり神の意志に背くものだ)」

猿人3「ウホウホ(何を言うか、きらり神に我々の運命を委ねることに何も間違いは無い)」

猿人4「ウホ(きらり教の原典に反するお前たちの行動は間違っている)」

猿人1「ウホホホッホ(ならば戦争だ。我々一派と貴様らの何方が正しいか白黒つけようではないか)」

猿人3「ウホウホ(ほう、面白い)」


ウオオオオオ ギャアアアア



きらり「……」

きらり「何度文明を繰り返しても人って戦争ばっかりだにぃ」

きらり「どうしたら、いいのかな……」

きらり「……」

きらり「……もっと、もっと、もっと」

きらり「もっと。大きくなれば」



きらり「地球はかわいいにぃ」

隕石「ズゴゴゴゴ」

きらり「うきゃー☆地球に隕石が衝突しちゃう!ヤバーい!」

きらり「ゴッドきらりんが地球のみんなを助けるにぃ!」

きらり「きらりん☆アターック!!」グワッシャーン

きらり「……うぇへへ☆」

きらり「もう、何にも悲しいことなんて起こらないにぃ」

きらり「きらり、ずっと地球のみんなのことを見守ってあげゆ」

きらり「……ずっと、ずっと……」

きらり「きらりに包まれて、みんながハピハピになれますように☆」




この悲しみさえも、いつの日か愛に変わりますように




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