メグミ「大学選抜チーム」アズミ「中隊長ズ」ルミ「緊急対策会議!」 (51)

メグミ「来年は、あの高校生の娘らは絶対に進学するだろうし」

アズミ「どこの大学に入学していようと、まず間違いなく大学選抜チームに召集される」

ルミ「正直、恐怖しかない」

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メグミ「結果的に私たち、負けちゃったし」

アズミ「今、三年生なのは?」

ルミ「主だった所は、聖グロのダージリン、サンダースのケイ、プラウダのカチューシャにノンナ……」

メグミ「隊長格全員か」

アズミ「そして、隊長といえば忘れちゃいけない黒森峰の」

ルミ「西住まほか……」

メグミ「あの目を思い出しただけでも、身体が震える」ガクブル

アズミ「なんでも調子のいい時は、グッとガッツポーズしたら相手の車両から白旗が出たとか」

ルミ「噂でしょ? それ」

メグミ「私も、1砲撃3奪白旗は当たり前で1車両から3奪白旗した事もあるとか、試合開始の合図前から奪白旗を頻発とか聞いたわ」

ルミ「噂だと思いたい……」

アズミ「あと……他にも誰かいたかしら?」

ルミ「ほら、アンツィオの」

メグミ「うん、それそれ」

アズミ「ドルチェ?」

ルミ「そんなだった。確か」

メグミ「甘い感じの名前だな」

アズミ「でもあの娘、スカウトされて戦車道の為にアンツィオに入学したそうよ。事実、彼女が入学してからアンツィオも以前より強くなってるし」

ルミ「え? 特待生なの?」

メグミ「エリートなのか……」

アズミ「そして一番問題なのは」

ルミ「まだ誰かいたっけ?」

メグミ「他の高校……大洗の隊長は、あの西住みほでまだ2年生でしょ?」

アズミ「大洗で問題なのは3年生……角谷杏よ」

ルミ「? どうにも思い出せない」

メグミ「この間の試合、何に乗ってた?」

アズミ「ヘッツアー仕様の38よ」

ルミ「ああ。あの迷路で戦った戦車か。確かに手を焼いたけど、それほどの強さとは思わないけどなあ」

メグミ「その角谷っていう娘が、西住まほより強いっていうの?」

アズミ「強いんじゃないわ」

ルミ「?」

アズミ「恐ろしいのよ」

メグミ「どういうこと?」

アズミ「そもそもこの間の試合、なんで私たち大学選抜チームが高校生と試合をしたと思う?」

ルミ「え? まあ文科省が色々と動いてたんだろ? 確か」

メグミ「私たちが勝ったら、大洗女子学園は廃校になるとか」

アズミ「大洗の廃校はあの時点で既に決定していたの。それを色々と活動して戦車道連盟や西住・島田両戦車道家元を動かし、文科省に試合に勝ったら廃校撤回を約束させたのよ」

ルミ「それ、高校生が? 1人で? 政府の役人トップや連盟の理事長相手に?」

メグミ「なんという行動力」

アズミ「ネゴシエーターとしての能力を、大学選抜チームでも発揮されたら……」

ルミ「私たちの立場も……?」

アズミ「確実に追いやられるわ」

ルミ「戦車の実力以外に、そんな能力を持つ者まで……」

メグミ「恐ろしい……恐ろしすぎる、今の高校3年生世代……」

アズミ「ルーキー達によって、来年の大学リーグは荒れるわね」

ルミ「まさに最悪の世代」

メグミ「とにかく! 向こうは勝ったわけだから強気に出てくるに違いないわ」

アズミ「つ、強気って?」

ルミ「お茶くみとかさせられたり……」

メグミ「……紅茶か」

ルミ「ジャンクフード買いに行かされたり」

メグミ「……パシリか」

ルミ「パスタ茹でさせられたり」

メグミ「アルデンテじゃないと怒られそうよね」

ルミ「歌とかも歌わされそうよね」

メグミ「子守歌……くっ」

ルミ「素手で砲弾とか投げさせられたり」

メグミ「西住流は島田流と違って、アナクロらしいものね」

ルミ「屏風から虎を出してみろとか無理難題を言われたり……」

メグミ「なんだかよくわからないけど、無茶苦茶を言ってきそうよね……」

アズミ「で、でも私たちは年上よ! 先輩よ!! それなりの敬意を持ってもらわないと!!!」

メグミ「そ、そうよね。そうよね!」

ルミ「大学といっても縦社会だ! 先輩に対して年下である後輩は、絶対服従まで言わないけど、そこそこ言う事は聞いてもらわないと」

島田愛里寿「その必要はない」

ルミ「た、隊長!?」

愛里寿「戦車道は実力がすべて」

アズミ「そ、そうですけど……」

愛里寿「年下であるとか、後輩であるとかは関係ない」

メグミ「た、確かに隊長も、飛び級で入学してすぐに大学選抜チームの隊長になったわけですし……」

愛里寿「必要なのは実力。ただ……それだけだ」

ルミ「はい……」

アズミ「わかり……」

メグミ「……ました」

メグミ「どうしよう……」

アズミ「隊長にだけは、見捨てられたくない……」

ルミ「うん」

ダージリン「こうして3年生の隊長格のみなさんに集まっていただいたのは、他でもありません」

ケイ「私たちも進学したら、絶対に大学選抜チームに呼ばれるわよね。やっぱり」

アンチョビ「うむ。それはまあ、いいのだが……」

西住まほ「その場合、この間の大学生達と顔を合わせることになるな」

ダージリン「それはやっぱり、気まずいですわね」

アンチョビ「本気でやりあったからなあ」

ケイ「強かったわよねー」

カチューシャ「ま、まあ認めてあげてもいい実力だったわよね」

ノンナ「ダー」

ダージリン「私たちも、年長者の先輩に対して敬意を表したいのですけど」

アンチョビ「こないだのこと、怒ってないか?」

まほ「大洗を救う為とはいえ、勝ってしまったからな……」

杏「根に持つまではないにしても、快くは思ってないだろうねー。やっぱ」

アンチョビ「生意気だと思われていても、仕方ないな。うん」

カチューシャ「そ、そうなの?」

ノンナ「ダー」

ダージリン「こんな噂を聞いたことがあるわ。『大学戦車道は完全な縦社会。先輩の言う事には絶対服従』……と」

アンチョビ「なんだかんだ言っても、体育会系だしな。戦車道は」

まほ「規律に厳しいのは当然だし、上官の命令には絶対だろうな」

ケイ「高校よりも絶対にハードよね」

杏「上級生が『あれは馬だ』と言ったら、たとえそれが鹿であっても馬だと言わないといけないらしいよーん」

カチューシャ「なによそれ、まるで独裁者じゃないの! 民主主義のこの日本で、そんなこと許されていいの!?」

ノンナ「まったくです」

ダージリン「……ま、まあ、そうした中に私たちは入っていくわけですから、今のうちから何らかの手を講じた方がよろしいかと思ったわけなの」

杏「事前の策と根回しは大事だよねー」

ケイ「それで私たちを呼んだわけなのね」

カチューシャ「それで? 具体的にはどうするの?」

ダージリン「ふふっ。こう見えて私、イギリスについては少々詳しいのよ」

アンチョビ「それは知っているが」

ダージリン「そのイギリスの誇る外交政策、その名も! 三枚舌外交!! すなわち、3人の大学選抜チーム中隊長さん達に対し、それぞれ個別に……」

まほ「それは却下だ」

ケイ「そうね」

杏「意義なーし」

アンチョビ「後々禍根を残しそうな策はやめよう」

ダージリン「なっ……そ、それではみなさん他に、どのようなお考えがあるのかしら?」

カチューシャ「3人個別に、ってのはカチューシャも反対だけど、先輩方を接待するのは悪い策じゃないと思うわ。ね、ノンナ」

ノンナ「ダー」

まほ「ほう」

アンチョビ「そういうことならアンツィオに任せろ! 大規模な宴会をやるぞ」

ケイ「ウチも協力するわよ」

まほ「いや、それはまずい」

アンチョビ「な、なにがだ?」

まほ「あまりに大がかりな接待は、先輩方の周囲への立場を悪くする可能性がある」

杏「なるほどね」

まほ「かといって先輩全てを招くというのもまた阿っているようにとられかねない」

カチューシャ「じゃあ、どうするっていうのよ」

ダージリン「まほさん。先程から聞いていると、まほさんには何か策がおありのようね」

まほ「ああ。実は私には、名案がある」

ダージリン「というと?」

まほ「心ばかりの品を贈るのだ」

アンチョビ「なるほど!」

カチューシャ「い、いい考えかもね!」

ノンナ「ダー」

ケイ「贈り物ならそれほど大がかりじゃないし、私たちの気持ちが伝わるかもね」

ダージリン「さすがは、まほさん」

ケイ「それで、具体的にはどんな贈り物を?」

まほ「干し芋だ。みほからもらったが、これがなかなか美味でな」

杏「いいねえ!」

ケイ「うーん。ちょっと地味すぎない? いくら過度なプレゼントは避けるにしても」

まほ「そう思うのも無理はない。だが、この干し芋。実に恐るべきシロモノだ」

ダージリン「と、いいますと?」

まほ「私は先の大学選抜チームとの試合、実はお母さ……母が動いてくれていた事に気づいた」

杏「? 確かにそうだけど」

まほ「母は、みほをまだ認めてはいない」

カチューシャ「そうなの?」

まほ「母は厳しい人だ。そして西住流そのものだ。私はみほの戦車道を認めているが、母は違う」

杏(そうでもないと、思うけどね)

ケイ「それで? その厳しいママがどうしたの?」

まほ「みほを認めていないのに、母がなぜ動いてくれたのか……黒森峰がリベンジする為だけとは思えない。その理由を考え抜いた末に、私はついに回答を見つけた」

ダージリン「? それは?」

まほ「干し芋だ」

アンチョビ「はあ?」

まほ「母は鋭い人だ。私が学校の友人から、と渡したあの干し芋。みほからの手土産と気づいたに違いない」

カチューシャ「……つまり、すべては干し芋の力って言いたいの? 干し芋をもらったから、家元が動いたわけ?」

まほ「うむ。干し芋には、それほどの力があるのだ」

アンチョビ「干し芋は確かにパスタにしても美味かったが……」

ダージリン「それだけで家元が動くとは」

ケイ「ちょっと思えないわよ」

杏「姉住ちゃーん。私、思うんだけど。、やっぱり西住ちゃんのお母さんは、純粋に西住ちゃんの為に動いてくれ……」


ゴクゴクゴク

まほ「私のお母さんは、そんな優しい人物ではない! 断じてない!!!」

ダン!!!

まほ「みんなは知らないのだ。お母さんの恐ろしさを……あれは人ではない……鬼だ……」ガクブル

アンチョビ「いやいやいや。お前の母親だろう!?」

まほ「お母さんは私の乗るマウスを、カーデン・ロイドで瞬殺したこともあるんだぞ!!!」

http://i.imgur.com/yEN5Or3.jpg

カーデン・ロイド

ダージリン「……」

ケイ「……」

アンチョビ「……」

カチューシャ「……」

ノンナ「……」

杏「……」

ダージリン「お、贈りましょう。干し芋」

ケイ「いいわね、干し芋」

アンチョビ「パスタにもできるしな」

カチューシャ「大至急、手配よ!」

ノンナ「ダー」

杏「美味しいもんね。干し芋」

アズミ「贈り物なあ」

ルミ「向こうだっていいものもらったら、そうそう大きくは出ないんじゃない?」

メグミ「干し芋か……喜んでもらえるか?」

アズミ「こないだの試合の後、大洗の隊長から贈られてきたんだけど美味しかったから」

ルミ「これに賭けよう!」

メグミ「全員にまとめて送っておくわね」

――3日後――


アズミ「高校生の隊長達から、連名で何か送られてきたって?」

ルミ「きっとあれだ。私たちからの贈り物に感激して、お返しを送ってくれたに違いない」

メグミ「じゃあ、開けてみるわね~」

パカッ

アンチョビ「大学選抜チームの中隊長3人から何か送られてきたって?」

ダージリン「きっとあれよ」

ケイ「私たちからの贈り物に感激したのよ」

カチューシャ「なるほど! これはそのお返しってわけね」

ノンナ「ダー」

杏「さっそく開けて見るよん」

パカッ

アズミ「……これ」

ルミ「もしかして……」

メグミ「干し芋?」

ダージリン「もしかしてこれは……送り返されたってことかしら?」

ケイ「えっ!?」

アンチョビ「それはつまり、要らないって突き返されたわけか?」

カチューシャ「もしかして、怒らせちゃったのかな……」

ノンナ「ダー……」

まほ「そんな……」

アズミ「それにしても、手も付けずに送り返してこなくても……」

ルミ「それだけ向こうは怒ってるってこと……?」

メグミ「そ、そんな……」

ダージリン「事は急を要すわ」

ケイ「そうね。すぐに大学選抜チームの所に行かないと!」

アンチョビ「じかに会って、話を聞いてもらおう!」

カチューシャ「ノンナ、すぐに支度を」

ノンナ「ダー」

まほ「干し芋でもダメとは……」

武部沙織「あ、みぽりーん。なんかお姉さん達、各校の隊長さんたちが来てるんだけど」

西住みほ「え? お姉ちゃん達が?」

五十鈴華「なにかあったんでしょうか?」

秋山優花里「あ、西住殿ー! 来客ですよー!」

みほ「え?」

冷泉麻子「大学選抜チームの中隊長だ」

みほ「え? なんだろういったい」

沙織「よくわかんないけど、なんか『取りなして欲しい』とか言ってるよ」

みほ「?」

麻子「こっちも似たような事を言ってる。『間に入って欲しい』そうだ」

みほ「?」

優花里「よくわかりませんけど、この間のお礼も兼ねて歓迎いたしましょう!」

華「それがよろしいかと」

沙織「私、何か作ろうか?」

麻子「干し芋ならあるぞ」

みほ「すみません、沙織さん」

沙織「いいのいいの。みんなで女子会しよう」

優花里「いいですね!」

華「たまには戦車以外でも、楽しく交流しましょう」

麻子「きっと仲良くなれる」

みほ「うん……そうだね。せっかく知り合えたんだから、今以上にみんなでなかよくなった方がいいよね」

華「はい」

沙織「じゃあいこー!」

麻子「おうよ」

優花里「はーい」


お わ り

以上でおわりです。ありがとうございました。

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