梨沙「おはよー……」
心「おっす、梨沙ちゃん♪ なんかお疲れ?」
梨沙「もうすぐマラソン大会だから、体育が走ってばっかなのよ。疲れるったらないわ」
心「マラソンかあ。懐かしいねえ」
梨沙「勉強して走って、その後直接事務所に来てレッスン。アイドルって大変ね」
心「今さらだな♪」
心「でも本番は頑張るんでしょ?」
梨沙「もちろん! 順位が低いのは嫌だし、パパが応援しに来てくれるって言うから全力よ!」
梨沙「小学校で走るのは最後だし、目標は1位ね!」
心「いけそうなの?」
梨沙「トップ5がお腹壊したらイケると思う」
心「それイケるって言わない」
梨沙「ジョーダンよジョーダン」
梨沙「まー、アタシも結構体力ついてきたし、意外と楽勝で優勝できたりして?」
心「アイドル生活の賜物だね♪」
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梨沙「喉渇いたからジュース買ってくるわ」
心「はぁとのぶんもよろしく☆」
梨沙「なにがいいの?」
心「任せるー」
梨沙「じゃあテキトーに選ぶから。ホントにテキトーだから」ニヤ
ガチャ、バタン
心「なんか怖いな……変な物買ってきそう」
心「……梨沙ちゃんのランドセル、あそこにあるとちょっと邪魔かな。動かしとくか」
心「よいしょっと……あぁ、また『よいしょ』って言っちゃった」
心「……にしても、ランドセルかぁ。昔ははぁともこの赤いのしょって歩いてたんだよね」
心「………」キョロキョロ
心「……ちょっとくらい背負っても、いいよね?」
心(E:ランドセル)「わーっ、サイズちっちゃ!」ワイワイ
心「ランドセルってこんなに小さかったかなぁ……それだけこっちの身体が大きくなったってことか」
心「懐かしいなあ……昔はこうやって、みんなで通学路歩いて先生にあいさつして」
心「せんせー、おはよーございまーす!」
心「みたいな感じで……」
飛鳥「………」←今入ってきた
心「………」
飛鳥「……あー、その」
飛鳥「誰だって、現実から目を背け過去に浸りたい時はある……が、何か悩みがあるなら同僚のよしみで相談に」
心「そんなんじゃないから!」
飛鳥「ボクは逃げることを臆病だとは思わないから」
心「だから違うって言ってんだろっ! 目そらすなーっ!」
梨沙「ただいまー……って、なにしてんの?」
飛鳥「なるほど。そういうことだったのか……」
梨沙「人のランドセルを勝手に使うからそんなことになるのよ」
心「それについてはごめんなさい」
心「でも、ふと懐かしい思い出がよみがえってきちゃって……キミらにはまだわからないだろうけど」
心「うん……若干センチメンタルになるわけよ」シンミリ
飛鳥「振り返るほどの時間を、ボクらはまだ経験していないからね」
梨沙「大人って大変なのね……」
心「ごっこ遊びでうっかり担任の先生の急所に蹴り入れちゃったのも、今となってはよき思い出だな☆」
飛鳥「その思い出は一生経験することはなさそうだ」
梨沙「とんでもないことしてるわね……ハートさんだと想像しやすいけど」
心「しっかし、気づけば学生時代もはるか昔」
心「中学生ですら10年以上前か……はぁとも年食ったなぁ♪」
梨沙「10年かあ」
飛鳥「今から10年後、ボクは何をしているだろうか」
梨沙「アタシは22だから……トップアイドルになって5年くらいかなぁ」
梨沙「ひょっとしたら歌手や女優になってるかも」
心「そんな人生設計してるの?」
梨沙「今思いついただけ」
梨沙「言うだけならタダだし、実現したらすごいでしょ?」
飛鳥「確かに、未来を夢見る権利は誰にでもある、か。見るだけなら、だけど」
梨沙「なーんか引っかかる言い方ね」
飛鳥「あぁ、いや。別にキミの将来設計を否定したいわけじゃないさ」
飛鳥「ボクは想像しようとすると、いらないネガティブな考えが浮かんでくるから」
飛鳥「そういう意味では梨沙が羨ましい」
心「子どものうちはでかい夢持っといたほうがいいぞ♪ そのうち見たくても見られなくなるからな☆」
梨沙「そうなの?」
心「大人になるっていうのは、そういうことなんだぞ?」
心「はぁとも子どもの頃はでっかい夢を見てたもんだ♪」
梨沙「へえ、どんな?」
心「そうだねー」
心「夢の中では、26歳のはぁとは火星人の前で火星ライブをやってたかなあ」
梨沙「宇宙進出してた!」
飛鳥「確かにスケールの大きな夢だ……小学生らしい」
心「いやこれ高校の時の夢だよ?」
飛鳥「すごいね」
梨沙「でもまあ、10年あったら何があるかわかんないし」
梨沙「考えれば考えるほど、夢が広がるわね!」
心「いいなあ若い子は。キミ達のこれからの10年と、はぁとのこれからの10年じゃ密度が違うだろうし」
梨沙「じゃあハートさんだけ20年後を考えて」
心「や め ろ」
飛鳥「10年経てば24。社会的にはもう立派な大人か」
梨沙「大人かー」チラ
心「なんだよー、またはぁとのこといじるつもりだなー?」
梨沙「違うってば」
飛鳥「ボクらの近くにいる大人は、立派な人だと思ってね」
心「り、りっぱ?」
梨沙「疲れててもレッスンで手を抜いたりしないし」
飛鳥「湿布まみれの身体でも、激しい動作に笑顔で耐えるし」
梨沙「ていうかライブ中は湿布外してるし。ホント、すごいと思うわ」
飛鳥「仕事中はボクらの中で一番エネルギッシュだ。プロ意識を感じるよ」
心「お、おう……なんか、いきなり褒められると照れるな……」
心「……ふたりしてなにか企んでたりする?」
梨沙「してないわよ」
飛鳥「これでも普段から敬意は払っているつもりだよ」
心「飛鳥ちゃんのは嘘だろ☆」
心「まあ、でも……褒め言葉だっていうなら、素直に受け取っちゃうぞ♪」テレテレ
梨沙「あー、今ちょっと照れてるでしょ」ニヤニヤ
飛鳥「ほう」
心「て、照れてはないから! ないからなっ!」
心「そうだ、いい機会だから飛鳥ちゃんもランドセル背負ったら? ていうか背負え☆」
飛鳥「唐突な話題転換でボクを巻きこむのはやめてくれ」
心「いいじゃん♪ ほら、背負え背負えー!」
梨沙「だからそれアタシのランドセルだってば!」
ガチャリ
P「ただいま……あれ、どうしたんだ飛鳥? ランドセルなんて抱えて」
飛鳥「やぁ、P。ちょっと照れ隠しの一環で押しつけられてね」
心「照れ隠しじゃないっつーの☆」
P「? いまいちよくわからないな……」
P「でも、なんだか懐かしいな。飛鳥がランドセル背負ってた姿を思い出すよ」
P「あの頃の飛鳥はもう少し背が低かったな。それはそれでよかった」
飛鳥「昔のほうがよかったかい?」
梨沙「ロリコン?」
心「ロリータコンプレックス?」
P「違います」
心「というか、なんでプロデューサーは飛鳥ちゃんがランドセル背負ってた時のこと知ってるの?」
心「飛鳥ちゃんがアイドルになったの、中学に入ってからだよね?」
P「その前から知り合いなんですよ。言ってなかったですかね」
心「初耳」
梨沙「アタシは知ってた」
心「ふーん……」
心「なんか面白そうな話が聞ける気がする♪ ねえねえ、その話もっと詳しく」
飛鳥「さてP、そろそろ時間じゃないかな」
P「ん? ああ、そうだな。3人ともレッスンに行かないと」
飛鳥「というわけで雑談は終わりだ」
心「ちぇっ」
梨沙「さらっと逃げたわね」
心「やり口がずるいぞー、ぶーぶー!」
飛鳥「これが大人になるということさ」フッ
梨沙「それはなんか違うと思う」
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
シリーズ前作:的場梨沙「アホ毛が気になる」 佐藤心「うん?」(的場梨沙「アホ毛が気になる」 佐藤心「うん?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452179926/))
Pと飛鳥の昔話は構想だけできてるけど書くかどうかは迷っています
なっちゃんシリーズとかしぶりん4姉妹と違って、シリーズとして全体的にPがでしゃばる話ではないので
まあそんなことよりロリしゅがはさんとか的場梨沙(22)とか二宮飛鳥(24)のイラストが見たいです
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