走れみりあ (105)

走れメロスのみりあバージョンなだけです

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みりあは激怒した

必ずかの暴虐な運営を除かねばならぬと決意した

みりあは346プロのアイドルである

歌を歌い、ダンスをし、莉嘉とデレステをして遊んでくらしていた

しかし、SSR排出のガチャに関しては人一倍敏感であった

みりあにはSSRがない

SRが一枚のみであった

今のイベントがもうすぐ終わるのでそろそろ私のSSRが出るだろうとガチャをしにきていた

みりあには竹馬の友がいた

それが莉嘉である

莉嘉はすでにSSRが出ていた

莉嘉はデレステではキラデコ☆パレードとしてSSRを出していた

今からそれを見に行くつもりであった



歩いているうちにみりあは、運営の様子をおかしく思った

次に出るSSRが私なのであればすぐに広告を出すはずである

明るいみりあも、だんだん不安になっていった

そして近くにいた微課金者に声をかけた

なぜ私のSSRは出ないのか、私もCPのメンバーのはずだ、と質問した

しかし、微課金者は首をふり、なにも答えなかった

しばらく歩いている廃課金者にあい、今度は語勢を強くして質問した

廃課金者は答えなかった

みりあは廃課金者の体をポコポコと殴って質問を重ねた




廃課金者は辺りをはばかる低声でわずかに答えた

「運営はCP以外の新SSRを出します」

「なぜ新SSRを出すのだ」

「廃課金者が課金するからだ、と言いますが誰もお金がありませぬ」

「たくさんSSRを出すのか」

「はい。初めはCPメンバーを続いて人気の高いふみふみを、さらに初代シンデレラガールのとときんを、そして幸子、ウサミン、みかねぇを」

「驚いた。私を出さぬとは運営は乱心か」

「いいえ、乱心ではございませぬ。そのほうがよい、と」

聞いてみりあは激怒した

「呆れた運営だ。生かしておけぬ」

みりあは可愛い女であった

SRで出たしっぽもふもふ、の衣装のままのそのそ運営に入っていった

たちまち彼女は巡羅の美嘉に捕縛された

調べられてみりあの懐からSSRはよ、と書いた紙が見つかったので騒ぎが大きくなってしまった

みりあは、ちひろの前に引き出された



「その紙でなにをするつもりであったか、言え!」

暴君ちひろは静かに、けれども威厳をもって問い詰めた

そのちひろの顔は水滴だらけで、アロマディフィーザーによって蒸された顔は怒りが深く刻まれていた

「みりあPを暴君の手から救うのだ」と、みりあは悪びれず答えた

「お前がか?」とちひろは憫笑した

「仕方のないやつだ。お前には私の考えがわからぬ」






「黙れ、下賊の者!」

ちひろはさっと怖い顔を挙げて、報いた

「口ではどんな清らかなことだって言える。プロデューサーの腹綿の奥底が見え透いてならぬ。お前だって、いまに爆死してから泣いて詫びたって知らぬぞ!」

「あぁ、ちひろは利口だ。自惚れているがいい。私だって爆死の覚悟をしている。今さらスタージュエルなど惜しくない。ただーー」と言いかけ、瞬時に目線を足元に落とした

「ただ私を情けをかけたいつもりならイベントの順位報酬を私にしてもらいたい。私は上位を獲得して帰ってきます」

「ばかな」とちひろはしわがれた声で高く笑った

「とんでもないことを言うわい。逃がした乃々がアイドルをやめないと言うのか」

「そうです。アイドルをやめません。もう目線を合わさない、なんてこともありません」

みりあは必死で言い張った


「私をイベント報酬にしてください。そんなに信じられないのならば、よろしい。ここに莉嘉というアイドルがいる。私の無二の友人だ。彼女をここに人質としておいて行こう。私が上位報酬をとれなかったら、あの友人を765プロに移籍させてください。たのむ、そうしてください」

それを聞いてちひろはそっと残虐な気持ちで微笑んだ。生意気なことを言うわい。どうせ上位報酬など本当の廃課金者が取るに決まっておる。このかわいさにほだされたふりをして上位報酬にするのもおもしろい。そうして身代わりの莉嘉を765プロに高値で移籍してやるのも気味がいい。

人はこれだから信じられぬ、と悲しい顔をして莉嘉を移籍させてやる。世の中のみりあPとかいう奴らにうんと見せつけたいものさ

「願いは聞いた。莉嘉を連れてくるがよい。上位を取ってこい。2000位以内に入れなければ莉嘉を移籍させるぞ。さらにきらりんルームに入れるぞ。ちょっと順位を下げればいい。そうすればお前のSSRを出してやるぞ」

「……………………なにをおっしゃる」

「SSRが欲しければ少し遅れてこい。はは、お前の心はわかっているぞ」

みりあは口惜しく、地団駄を踏んだ。ものも言いたくなくなった

竹馬の友、莉嘉は運営に呼び出された。みりあは友に一切の事情を語った。それを聞いた莉嘉は無言で、ひしとみりあを抱き締めた。

それを見たプロデューサーはキマシタワー!と叫んだ。

友と友の間は、それでよかった

イベント当日、みりあはすぐに走り出した。

年末、12月31日の年越しの日である

その日、みりあは年末の大掃除もせず、急ぎに急いでランキング20000万位まで行ったのは年が明けて2日経った頃であった

もうすでに他のアイドルは初詣を済ませていた。

よろめいて仕事にくるみりあに武内Pは口うるさく質問を浴びせた。

「なんにもない」

みりあは無理に笑おうと努めた

※注意

ここのデレステでは年末のイベントの上位報酬はみりあ、ということになっております

決して間違いではありません(笑)

「運営に用事を残してきた。これから8日までの仕事を明日にする。早いほうがよかろう」


武内Pは顔面蒼白になった。

「嬉しいか。私のモチベーション、やる気は満タンである。さぁ、これから駆けずり回ってみりあの8日までの仕事は明日やると仕事関係者に伝えてこい」

みりあはよろよろと歩きだし、仕事先へ向かった。仕事が終わると崩れ落ち、趣味のおしゃべりもせぬくらい、深く眠った

目が覚めたのは夜だった。そしてすぐ仕事関係者の社長に電話をして、8日までの仕事を明日を回してほしいと頼み込んだ。

社長は驚き、明後日まで待ってくれ。こちらはなんの準備もできていないといった

みりあは待つことはできぬ、どうか明日にしてくれと頼み込んだ

>>32

訂正です

20000万位→20000位

です

社長も頑固であった。なかなか承諾してくれない。話し合いはみりあが眠くなるまで続き、結局抱き締めてなでなでするのが条件ということで話はまとまった

仕事は1日中続いた

スタッフたちは莉嘉がいない。なにか不吉なものを感じたが、社長命令で仕方なく莉嘉がいないことに触れず、仕事をしていた

仕事は夜に入っていよいよ本格的になり、スタッフは莉嘉一人の不在を気にしなくなった

みりあは早くデレステをやらねば、そろそろ自然回復で体力が全快する、Romantic Nowをやりたいと考えたが今のスタミナは自分のものではない

みりあは体に鞭を打ち、ついに走り出すことを決意した


みりあほどの女にも、未練はある

イベントなど走らずに正月ガチャを回しているプロデューサーに近づき、

「おめでとう。私は少し疲れてしまったので少し眠りたい。明日の朝すぐに運営に行かねばならぬ。お前にはもうSSRのニナちゃんがいる。なにも寂しいことはない。」

「私の一番嫌いなものはまゆのSSRを出さない運営だ。お前もそれは知っているね。だから周りがどれだけイベントを走ってお前をバカにしようとも怒ってはならぬ。だからお前も誇りを持ってガチャを回せ」

プロデューサーは夢見心地で頷いた。それからみりあはガチャ爆死したプロデューサーの肩を叩き、

「20連してもSSRが一枚も出ないのはお互い様さ。私のレアもSR一枚で他にはなにもない。全てあげよう。もう1つ、今10連をして唯一出たSRが私だったことを誇りに思ってくれ」


爆死プロデューサーは涙を流して喜んでいた。みりあは笑って、他のスタッフに挨拶をして家に帰った

みりあの目が覚めたのは朝8時であった。寝過ごしたか。いや、まだまだ大丈夫

今から走れば約束の順位までまだ十分間に合う

是非ともあの蒸されたちひろに上位を取れたことを見せてやろう。そして、私のSSRを出してもらおう

そしてみりあはぶるんと大きく腕を振り、壁にぶつけた

少し痛かったがすぐにイベントを走り始めた。

私はこのイベントの後、SSRを出してもらう
SSRを出してもらうために走るのだ
ちひろの邪な考えを打ち破るために走るのだ
走らねばならぬ
そうして私はSSRをガチャに出してもらう
若いうちからちゃんと意見を言え

若いみりあはつらかった

幾度かRomantic Nowをやりたくなった

ふざけんなよこの連打、と小さく愚痴りながら、TOKIMEKIエスカレートをやっていた

そろそろ腕が疲れてきた

みりあは腕を氷で冷やし、ここまでくれば大丈夫、上位圏内だと思った。

あの爆死プロデューサーたちは私の笑顔に癒され、また課金するだろう。そして出ないと運営に文句を言うだろう

今の私になんの気がかりもない

まっすぐイベントを走り、20000位以内に入ればよいのだ、ゆっくり行こうと持ち前の明るさを出して、自然回復を待った

少し休憩します

そしてもうそろそろ自然回復が終わるというところではたと、手が止まった

上位って2000位以内ではなかったか?と思ったのだ

そしてすぐ順位報酬を見直した

彼女は茫然と、立ちすくんだ

上位報酬は2000位以内であった

あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼び立ててみたが、自分の順位が変わるわけではなかった



みりあはベッドにうずくまり、涙目になっている

「あぁ、変わりたまえ、この順位よ!時は刻々と過ぎていきます!イベントもすでに終盤です!イベントが終わらぬ内に上位に入っていなければあのよい友人が765プロに移籍させられてしまうのです」

順位はみりあの叫びをせせら笑う如く、どんどん落ちていく

そうして時は刻一刻と過ぎていく

ついにみりあは覚悟を決めた

走り切るより他にない

あぁ、神々も今照覧あれ

イベント廃人にも負けぬ欲望と誠の偉大な力を、今こそ発揮してみせる

みりあはざんぶとイベントの流れに飛び込み、鬼のように落ちてくるノーツを相手に、必死の闘争を開始した

満身の力を指にこめて、押し寄せるノーツを叩いた

見事、ゴキゲンParty NightのMaster のフルコンを達成したのだ

ありがたい。

みりあは馬のように深い深呼吸を1つして、また走り出した

一刻といえども無駄にはできない

イベントは既に終わりかけている

ぜいぜい荒い呼吸をしながら、ようやくランキング5000位となって、ほっとしたとき、突然、親が外食に行くと言いだしたのだ

「まて」

「何をするのだ。私はイベントランキングで2000位を取らねばならぬのだ。放せ」

「どっこい放さぬ。携帯を家に置いていけ」

「私にはスタミナ以外になにもない。そのスタミナもすべてイベントにくれてやるのだ」

「そのスタミナが欲しいのだ」

「さてはちひろの命令でここ時間に待ち伏せていたのだな」

みりあの親はなにも言わず、みりあを高級料亭に連れて行こうとした

みりあはひょいと体を折り曲げ、飛鳥の如く部屋のドアから外へ出た

「気の毒だが順位のためだ!」とたちまち家を出た

「私には時間がないのだ!」

「勝手に順位を勘違いしたのはお前だろう」

「言うな!」

そうしてみりあは親の猛追を逃げ切り、杏の家へ向かったが、さすがに疲労し、みりあは幾度となく目眩を感じ、これではいかぬと気を持ち直しては、少しイベントを走って、ついにがくりと膝を折った




立ち上がることができぬのだ。

悔し泣きに泣き出した

あぁ、あ、イベントの上位の順位を勘違いし、親からの高級料亭の誘いも断りし韋駄天。杏の家にまできたみりあよ。真のランナー、みりあよ。今、ここで疲れきって走らなくなるとは情けない

愛する友は、お前を信じたばかりに765に移籍しなければならぬ。

お前は稀代の守銭奴、まさしくちひろの思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、芋虫ほどにも走れぬ。

身体疲労すれば、精神もやられる。



もうどうでもいい、というランナーに不似合いな、不貞腐れた根性が、心の隅に巣食った。

私は努力したのだ。

約束を破る心など、微塵もなかった。

神も照覧、私は精一杯に努めてきたのだ。

スタージュエルがなくなるまで走ってきたのだ。

私は不信の徒ではない。

あぁ、できるなら石をかち割って、スタミナの回復をお目に掛けたい。



けれども私は、こんな大事なときに、スタミナもスタージュエルも尽きたのだ。

私は、よくよく不幸な女だ。

私は、きっと笑われる。

私の努力も笑われる。

私は友を欺いた。

中途で倒れるのは、はじめからなにもしないのと同じ事だ。

ああ、もう、どうでもいい。

これが私の定まった運命なのかもしれない。

莉嘉よ、ゆるしてくれ。

君はいつも、私を信じた。

私も君を欺かなかった。

私たちは本当に、佳い友であったのだ。

一度だって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことはなかった

いまだって君は私を無心に待っているだろう。

ああ、待っているだろう。

ありがとう、莉嘉。

よくも私を信じてくれた。

それを思えばたまらない

友と友の間の信実は、この世で一番誇るべきものなのだからな

莉嘉、私は走ったのだ!

君を欺くつもりは、微塵もなかった。信じてくれ!

私は急ぎに急いでここまで来たのだ。

勘違いもすぐに気づいた。

親の誘いも突破した。

私だからできたのだ。

あぁ、この上、私に望み給うな

放っておいてくれ。

どうでも、いいのだ。

私は負けたのだ。

だらしがない。笑ってくれ。

ちひろは私に、少し順位を下げてこい、と言った。

遅れたら、莉嘉を移籍させて、私のSSRを出してくれると約束した。

私はちひろの卑劣さを憎んだ。

けれども、いまになってみると、私はちひろの言うままになっている。

私は少し順位を下げていくだろう。

ちひろは一人合点して私を笑い、そうして事もなく私のSSRを出すだろう。

そうなったら、私は死ぬよりつらい

私は、永遠に裏切り者だ。

地上で、最も不名誉の人種だ。

莉嘉よ、私も移籍するぞ。

君と一緒の移籍させてくれ。

君だけは私を信じてくれるに違いない。

いや、それも私のひとりよがりか?

ああ、もういっそ765のアイドルとして生き伸びてやろうか

あそこにはどんがらがっしゃんもいる。どたぷんもいる。

765のアイドルはまさか私を追い出すようなことはしないだろう

イベントだの、順位だの、フルコンだの、今考えてみれば、くだらない

人が爆死して、自分が当てる。

それがソシャゲの定法ではなかったか。

ああ、なんともばかばかしい。

私は醜い裏切り者だ。

どうとでも、勝手にするがよい

四肢を投げ出して、うとうとと、まどろんでいた。

ふと、みりあ、と私を呼ぶ声がした。

そっと頭をもたげて、息を呑んで耳を澄ました。


すぐそばで杏がGoogle playのカードを持っていたのだ

杏が小さく囁きながら、

これ、使いなよ。と言ったのだ。

そのカードに吸い込まれるようにみりあは頭を下げた。

裏の銀を擦った。

そして番号を入力していく。

ほう、と長いため息が出て、夢から覚めたような気がした。

10000円、入金されたのだ。

そしてスタージュエルを買う。

走れる。行こう。

スタミナの回復と共にわずかながら希望が生れた。

上位ランクインの希望である。

我が身を削って、名誉を守る希望である。

19時、まだイベント終了までに間がある。

私を待っている人があるのだ。

少しも疑わず、信じてくれている杏もいるのだ

私は、信じられている。

私のスタミナなどは問題ではない。

爆死して、お詫びなど、気のいいことを言っておられぬ。

私は信頼に答えなければならない。

いまはただその一事だ

走れ、みりあ!



私は信頼されている。私は信頼されている。

さきほどの悪魔の囁きは、夢だ。

悪い夢だ、忘れてしまえ。

五臓が疲れているときはあのような悪い夢もみるのだ

お前の恥ではない。

やはりお前は、真のランナーだ

再び走れるようになったではないか

杏よ、ありがたい!

私は正義のアイドルとしてランクインすることができる。

ああ、イベントが終わる。

どんどん終わる。

待ってくれ、運営よ。

前を走るものを撥ね飛ばし、追い抜き、みりあは黒い風のように走った。

杏のボソッと喋った瞬間、不吉なことが聞こえた。

今回簡単だからボーダーも上がるだろうなぁ

ああ、イベント順位、イベント順位のために私は今こんなに走っているよ。

急げ、みりあ!遅れてはならぬ。

今こそ知らせてやるがいい。

今みりあは寝巻きのパジャマであった。

髪も乾かさず、二度、三度とくしゃみがでた。

見える。はるか近くに2000位が見える。

「ああ、みりあちゃん」うめくような声が、デレステのシャンシャンという音と共に聞こえた。

「誰だ」みりあは走りながら答えた。

「美嘉でございます。あなたのお友達莉嘉の姉でございます」

そのアイドルもみりあをぎゅっと抱き締めてながら言った。

「もうだめでございます。無駄でございます。走るのは、やめてください。もう莉嘉の移籍を止めることはできません」

「いや、まだイベントは終わらぬ」

「ちょうど今、莉嘉の移籍用の紙に346の判子が押されたところでございます。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、ちょっとでも早かったなら!」

そうして髪の匂いを嗅いだ

「まだイベントは終わらぬ」

「やめてください。走るのはやめてください。今はご自分のスタージュエルが大事です。莉嘉はあなたを信じておりました。ちひろがさんざん莉嘉をからかっても、みりあは上位に食い込みます、とだけ答え、強い信念を持ち続けている様子でございました」

「それだから走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではないのだ。私のSSRなども問題ではない。私はなんだか、もっと恐ろしく大きなもののために走っている。ついてこい、美嘉!」

「いや、美嘉もみりあも自分の家に帰りなよ」

「ああ、あなたは気が狂ったか。それなら、うんと走るがよい。ひょっとしたら間に合わぬものでもない。走るがいい」

言うには及ぶ。まだイベントは終わらぬ。最後のスタミナを尽くして、みりあは走った。

まさしく、イベントが終わるというときに、みりあは2000位を越えた

間に合った

「待て、莉嘉を移籍してはならぬ。みりあが上位を取った。約束のとおり、上位を取って帰って来た」と大声でちひろに答えたつもりだが、声が出ず、声がかすかに出たばかり、誰一人のアイドルとてみりあの到着に気がつかない

アイドルを掻き分け、掻き分け、

「私だ、ちひろ!彼女を人質にしたみりあがここにいる!」

と可愛らしい声で精一杯に答えた。

プロデューサーは、どよめいた。

あっぱれ、みりあのSSRを出せ、と口々に喚いた。

莉嘉の移籍の紙は破られた

「莉嘉」みりあは目に涙を浮かべて言った。

「私を叩け、力いっぱいに頬を叩け。私は途中で一度、悪い夢を見た。君がもし私を叩いてくれなかったら、私は君と抱擁する資格すらないのだ、叩け。」

莉嘉はすべてを察した様子で頷き、音すら出ないくらいに弱く、みりあの右頬を叩いた。叩いてから、優しく微笑み、

「みりあ、私を殴れ。同じくらい音高く私を殴れ。私はこの三日の間、一度だけちらと君を疑った。生まれて初めて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない」


みりあは腕に唸りをつけて、ガチャでSSRを当てまくったプロデューサーの頬を殴った

「ありがとう、友よ」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声
放って泣いた

プロデューサーの中からもすすり泣く声が聞こえた。

暴君ちほろはプロデューサーの背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った

「お前らの望みは叶ったぞ。お前らは私の心に勝ったのだ。信実とは、決して虚無な妄想ではなかった。どうか私も仲間に入れてくれないか。どうか、私の願いを聞き入れて、お前らの仲間の一人にしてほしい」

どっと、プロデューサーの間の歓声が起こった。

「ちひろさんをアイドルデビューさせる準備だ!」

武内プロデューサーが、自分のスーツの上着をみりあに捧げた。

みりあはまごついた。

佳き友は気をきかせて、教えてやった

「みりあ、君はパジャマのままじゃないか。早くその上着を着るがいい。そのプロデューサーはみりあのパジャマ姿を皆にみられるのがたまらなく口惜しいのだ」

みりあは、ひどく赤面した

終わりです

なかなか長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございます

一応過去作です

杏「えー、飴ないの?」
赤羽根P「飲むか」
武内P「なにをしているんですか?」
みりあ「みりあもやるー!」
みりあ「え?みりあやんないよ?」
ちひろ「アイドル、格付けチェックー!」


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