後輩「先輩っ………!好きです!付き合ってください!」 (19)

男「無理だ」



オリssです

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後輩「…………どうしてですか」

男「どうしても、だめなんだ」

後輩「理由を言ってくれないと納得できません!!こんなにも、先輩を愛しているというのに……」

男「……すまない、その気持ちだけは嬉しいんだが」

後輩「謝罪なんていらないです!」

後輩「どうして付き合ってくれないんですか!?体力には自信があります!顔だって悪くないほうです」

男「そうじゃない、そうじゃないんだ…」

男「俺がお前と付き合えないのは、もっと根本的なことなんだよ」

後輩「…………どういうことですか。意味がわかりませんよ」

男「後輩、俺はな」





男「女の子が好きなんだ」

後輩「…………………え?」

後輩「先輩………まさか、ノンケなんですか?」

男「異常性癖だってことくらいは理解してるつもりさ、後輩君。だけど俺はどうしても男が好きになれない。そういう体質なんだ」

後輩「そんな、だったら……僕はどうすればいいんですか」

後輩「僕が女の子になれば……いいんですか?」

男「君がもう少し中性的な顔立ちだったならば可能だったろうけどね」

男「君後輩なのに俺よりでかいじゃないか。しかも僕より筋肉ついてるし」

後輩「小中高と柔道部だったので…」

男「あぁそう小学生からというのは珍しいね。道理でそんな体になるわけだ」

男「正直、無理なんだ。そんな君みたいな筋肉質の男と恋人関係にあるのを想像しただけでも吐き気を催す」

後輩「そんな…………言い方って……」

男「君は悪くない。あくまで俺の性癖の問題さ。だからこそ、どうしようもないんだ、これは」

後輩「……………最っ低ですっ!先輩!」ビンタッ

男「ぶべらっ!?」

後輩「大好きでした………さようなら!」

男「いっ………だぁぁぁ!?おまっ、柔道部がビンタはダメだろっ………!おい、お前!!」

男「…………はぁ〜」

友「よう、これで10人目か?にくいねぇ、色男」

男「からかうな、友」

男の娘「大丈夫?男くん」

男「あぁ、微妙に大丈夫じゃない」

男の娘「それは大変」

男「何もしてくれないのか」

友「っつーか、お前も災難だな、そんな性癖のせいで」

男「俺から言わせてみれば、同性婚が常識とされている今の世の中の方が災難だと思うんだけどな……」

男の娘「んー、女の子が好きな気持ちってあんまり理解出来ないけど」

友「男にゃ、世界が全く違って見てるんだろうな。女の子のどこにそんな魅力があるのやら」

男「まぁ俺がおかしいってのは重々承知してるんだどさ。おかげでクラスの女子たちからは『目が合うと犯される』とまで言われてんだぜ……」

友「実際そうじゃないのか?」

男「ちっがうわ!!」

男「『男子に恋をすることが出来ない』ってだけで、別に女子見たら襲いかかるほどの変態でもない」

男の娘「異常性癖者ってだけでそういうレッテル貼られるからね、仕方ないね」

友「オブラートを包まずに言うと『男子に発情できない。でも女子を見るとムラムラする』ってことだろ?」

男「否定したくてもしきれねぇ……」

友「そんなやつ危なくて女子から距離置かれても仕方ないわな」

男「うっるせぇぇぇぇ!!」

男「そりゃ友には俺の気持ちなんてわかんねぇだろ!そんな可愛い"彼氏"がいてよ!」

男の娘「か、かわいいだなんて……男くんったら」

友「おう、軽く男の娘口説いてんじゃねぇよハッ倒すぞ」

男「せめて男の娘くらい可愛い男子が告白してきてくれたら、俺も少しは楽になれるだろうになあ……」

友「お前が告白された10人の男子、全員もれなくゴリゴリのガテン系だからな」

男「なんでなんだろ、俺の何があいつらの心を揺さぶるんだろ」

男の娘「男君も可愛い顔してるからね……そういう類に目をつけられやすいのかも」

男「なんだろ、モテるってもっといいものだと思ってたんだけどな、どうしてこうなった」

友「まーそう悲観すんなよ男」

友「もしかしたらお前と同じ性癖を持った女の子がいるかもしんねぇだろ?」

男「………いたとしてもその子を俺が好きになれるかどうかはわかんないからな」

友「んだ、お前、贅沢なやつだな。女だったらなんでもいいんじゃないのか?」

男「当たり前だろ!異常性癖者だからって馬鹿にしやがって!」

男の娘「大丈夫だよ、男君。そんな面倒なことしなくてもさ」

男「………なに?」

男の娘「男くんが女の子になっちゃえばいいんだよ」

男「お断りだ!!」

男「………ったく、あいつら揃いも揃って俺を馬鹿にしやがって……」

キンコンカンコーン

男「あぁ、もう昼休み終わっちまう!」

男「急がねぇと!」ダッシュ!!

タッタッタッタッ

女「きゃっ!?」

男「うおわっ!」

女「ご、ごめんなさい!」

男「う、ううん!こっちこそごめ―――」


男(…………………………)


男(息を呑んだ)


男(艶やかな黒髪、すらりとした手足、そして腹部と首の間に形成されている巨大な"山脈"………)


男(顔が赤くなるのを感じる)


男(一目惚れだ。俺は、この女の子に一目惚れをした)

女「………?大丈夫ですか?」

男「あっ!?いや、あぁ!大丈夫ともさ!ははは……」

女「それならよかったです。では、急ぎますので、これで」

男「あっ、待って!君の名前を……」

男「…………行っちゃった」

男「」ボーーッ


友(おい、男のやつ、どうしたんだ?)ヒソヒソ

男の娘(授業中もずっと上の空……やっぱり少しからかいすぎたかな?)ヒソヒソ

友(うーん……いつものノリだったからなぁ。でもあいつもあいつで真剣に悩んでることではあるだろうし……少し不謹慎だったかもな)ヒソヒソ

男の娘(あとで謝っとこか、LINEで)ヒソヒソ

友(………お前って、どうしてかそういうところ冷めてるよなぁ)ヒソヒソ


男(………誰だったんだろう、あの子)

男(うちのクラスではない……よな。でもネクタイの色が同じだったから同学年)

男(俺とすれ違いになったってことは……あの踊り場から向こう側に教室があるクラス……1組の子か)

男(………………でもどうせ、レズなんだろうなぁ)

男(昔からずーっとこんな目にあってきたからわかるけど)

男(でも、俺はあの子が好きだ)

男(どうすればいいんだろう……)

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