絶望的鎮守府 (21)
吹雪「みなさん、司令官が鎮守府に着任しました!」
「はあ。ところでここはどこです?」
電「よ、よろしくお願いします、なのですっ」
漣「おっ、そこそこイケメンなご主人様ですねぇ。これはアタリですよ」
「はあ? なんですか?」
五月雨「えっと、まずは執務室へどうぞ! その後は建造と……」
叢雲「アンタが司令官ね。ま、期待してあげるわ」
「……ああ、分かりました」
吹雪「はいっ! ここは新しい鎮守」
「新手のガールズバーですね。個性的なヤツ」
吹雪「……はい?」
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「ふ……おかしいと思ったんです。いきなり鎮守府の提督がどうとか」
吹雪「え、ええと、そういう事なんですけど」
「そもそもズブの素人に提督なんてやらせるわけないでしょう?」
吹雪「それはその、えっと」
叢雲「まあそうね。ありえないわ」
漣「なんのラノベだっつーの、って感じですよねー」
吹雪「ええっ!? ちょっ!」
「危ない所でした……じゃあ帰りますので、出口はどこです?」
電「無いのです」
「……はい?」
電「正確には、席代と手数料と出口料で2000万なのです」
「 」
「やっぱりガールズバーじゃないですか!」
五月雨「ガールズバーもここまで横暴じゃないと思います」
「つまり、提督業に励むと料金が下がるという事ですか」
吹雪「そんな設定だったんだ……」
電「給金も出るので励めば励むほど提督業を辞めやすくなるのです」
「……あの、質問いいでしょうか」
五月雨「はい! なんですか? パンツの色なら訴えますよ」
「そういうキャラはもっと似合う人がいると思いますが」
叢雲「そうね。チラッと見せるくらいできる子は他にいるわね」
電「なのです」
吹雪「え。わ、私ですか!? ぱ、パンツなんて恥ずかしいこと出来ません!」
「まあそれはそれとして」
吹雪「……それだけですか!?」
吹雪「キャラ付けが適当すぎる!」
電「それでは司令官さん末永くよろしくお願いするのです」
叢雲「それなりに手は貸すわ。よろしく頼むわよ」
五月雨「お願いしますっ!」
漣「よろでーす」
提督「別にするとは言ってないんですが……」
提督「なんで名前が変わってるんです!?」
電「名は体を表すというのです」
叢雲「それにほら、とりあえず提督ってしておいた方が自己投影しにくいでしょ?」
漣「ついでに眼鏡も取って前髪も伸ばしちゃいません?」
提督「今時そんなのエロゲの主人公でもいません!」
提督「だいたい私のような嫌々やらされる素人に指揮されて、貴方がたは大丈夫なんですか?」
提督「話だと命の危険もあるようですが」
叢雲「その点については心配ないわ。私達はプロだもの」
提督「なるほど」
電「それに司令官の指示もこちらが提示した案をテキトーに選んでもらうだけなのです」
五月雨「なので危険すぎる事は少ないので大丈夫です!」
提督「……ん?」
漣「それに妙な指示は秘書艦判断でストップできるのでー」
吹雪「え、そうなんですか?」
提督「ちょっと待ってください。妥当な判断が貴方がたで出来るのであれば」
提督「私は必要ないのでは?」
五月雨「いいえ! そんなことないです!」
電「責任の所在は明らかにしないと駄目なのです」
提督「 」
提督「スケープゴートじゃないですか!」
提督「絶望した! 名ばかりの提督に絶望したぁ!」
吹雪「だ、大丈夫です司令官っ。結果が出れば褒めて貰えますし」
提督「褒めて貰える…? そんなわけないでしょう」
提督「世の中適当な事を言う人ばかりですよ。私がどれだけ頑張っても無駄に決まってます」
吹雪「そんな事無いです! 頑張ってる姿はきっと誰かが見ててくれるはずです!」
提督「……では吹雪さん、この鎮守府でどれだけの人が働いてるかご存知ですか」
吹雪「え。えっと、私達五人と、間宮さんと、司令官で7人ですか?」
叢雲「違うわよ。私達を含めて事務や用務、30人はいるわ」
吹雪「えっ!? 見た事ないですけど……」
提督「そういう物です。彼らも頑張っているのに完全に除け者ですよ」
提督「そう! この世には頑張っても見て貰えない人が多すぎるんです!」
提督「組体操やピラミッドでは下の方が辛いのに上の方だけ目立ったり!」
提督「素材の味を活かした料理人は注目されても農家の人はスルー!」
提督「元々微妙な評価の学園艦との試合は尺の都合で完全カットですよ!」
電「それはOVAでやったので許されると思うのです」
吹雪「で、でも組体操の人達は一瞬は見て貰えるじゃないですか」
提督「そりゃ一瞬は目を向けられますよ。けど、その後はどうでしょうね?」
吹雪「それは……うーん……」
提督「例えば今ここにいる人ですが、何人います?」
吹雪「え? ここにいるのは私達だけですから、全部で6人ですよね」
提督「ええ、まあ。ですが見ている人の中には思った人もいるはずです」
電「何をなのです?」
提督「提督、吹雪さん、電さん、あと叢雲さん……」
提督「あとは誰がいましたっけ?」
吹雪「五月雨ちゃんと漣ちゃんですよ! ずっと居るじゃないですか!」
吹雪「ひどいですよ司令官! 二人が可哀想です!」
提督「いえ、私は忘れてませんよ。単に一言も喋らないので見てる人には忘れられてるだろうなあ、と」
叢雲「確かにさっきから静かね? どうしたのよ、口縫い付けられた?」
五月雨「そうじゃないけど……」
漣「不思議としゃべくりのタイミング無いんですよねえ」
提督「ふむ……これはおそらく」
電「司令官さん、思い当たることがあるのです?」
提督「ええ、二次創作でよくある話です」
吹雪「二次……?」
叢雲「つまりどういう事なのよ。手短に言いなさい」
提督「はあ。つまりですね」
提督「独特の思考や言い回しのキャラクターは元の作者以外では使い辛いんですよ」
漣「 」
五月雨「あの……私は?」
提督「人数が多くなって動かしにくいと、地味なキャラから省かれていきますから」
五月雨「 」
吹雪「ひ、ひどい……」
叢雲「……」
電「次はきっと叢雲ちゃんなのです。主人公と、使いやすいなのです口調には負けるのです」
叢雲「それを言うんじゃないわよ!」
提督「と、このように最初は一瞬目を向けられた人も段々と見て貰えなくなるわけです」
叢雲「見られなくなる原因は書いてる人のせいでしょ」
提督「それは仕方ありません……するとどうなると思います?」
吹雪「えと、見て貰えないと評価も高くならない気がします」
提督「はい。まあ社会の中ではよくある事ですけどね」
吹雪「ち、鎮守府でもそういうのがあるんでしょうか」
提督「あるでしょうねえ……ちなみに提督というのは艦娘の皆さんに評価を下せるわけですね?」
電「はいなのです。お給金にも影響するのですよ」
提督「ああ、いいですね。先生そういうの大好きです」
吹雪「満足そうに言わないでください!」
叢雲「一応先生じゃなくて提督でしょ」
叢雲「それで、結局アンタは提督になるってことでいいのよね」
提督「そういう流れですからね」
電「じゃあ早速吹雪ちゃん、アレをお願いするのです!」
吹雪「うう……分かりました、では気を取り直して」
吹雪「司令官が鎮守府に着任しました! 司令官、改めてよろしくお願いいたします!」
提督「言っておきますが口上述べたからって給料上げたりしませんから」
吹雪「お金の話に持って行かないでください!」
これくらいで。なんとなくだらだら続けていきたいですが
このSSまとめへのコメント
どことなく感じる糸色望先生匂