旅館娘「いらっしゃい、久しぶり」 (21)

旅館娘「随分着込んでるね、寒がりなのは相変わらず?」

旅館娘「あはは、でも確かに最近冷えるからね」

旅館娘「さ、上がって上がって。いつもの部屋だよね?」

旅館娘「わざわざ予約なんてしなくても来てくれればいつでも歓迎するのに」

旅館娘「他のお客さん?いいのいいの、今のボクはお兄ちゃんの専属従業員だからね」

旅館娘「はい、それじゃゆっくりしてて。今おしぼりとか持ってくるから」


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旅館娘「お待たせ、はい、おしぼりとおつまみ」

旅館娘「コート貸して、ちゃんと掛けとくから」

旅館娘「あ、そのこたつ?うん、最近出したんだよ。お兄ちゃんの為に」

旅館娘「寒がりなのは知ってたから母さんに掛け合ってこの部屋にだけ置いてもらってるの、いいでしょ?」

旅館娘「なのに最近あんまり来なかったもんだからもうなんだかなーって」

旅館娘「…うぅ寒…ボクもおこた入るね」

旅館娘「ふーあったか…あ、おつまみちょっとちょうだい」

旅館娘「え?…もう、普段は真面目に働いてるよ!」

旅館娘「…こんなにゆったりできるのはお兄ちゃんだからだよ、特別だよ、特別!」

旅館娘「全くもう…どうしてこんなニブチンになっちゃったかな…」

旅館娘「そもそもお兄ちゃんはこんな可愛い幼馴染がいるんだから…え?料理?」

旅館娘「うん分かった、ちょっと待っててね!」

旅館娘「おまたせー…炊事のおやっさん達もこんな季節にまで大変だね…っと」

旅館娘「はーあったかぽかぽか…しあわせ…」

旅館娘「…こんなにゆっくりしてていいのかって?いいのいいの、今はお客さんも少ないし」

旅館娘「それよりも大事なことってあるよね、ふふ」

旅館娘「あ、それボクもちょっと食べたい、食べさせて」

旅館娘「いやーお箸は1つしか持ってきてないなーうっかりうっかり…ね?」

旅館娘「あー…ん…。ん、おいし…」

旅館娘「…………」

旅館娘「……………」

旅館娘「………………」

旅館娘「…………はっ、寝てない、寝てないよ」

旅館娘「…えへへ、実は昨日ちょっと眠れなくて」

旅館娘「何で?ってそりゃ…お兄ちゃんがわざわざ予約なんて入れてきたから楽しみで…ね?ふふっ」

旅館娘「乙女のときめきは高くつくよ?」

旅館娘「…あ、でもやっぱり急に来るのは出来ればやめてね。ちゃんと予約してね?」

旅館娘「何で?って…だ、だって…お兄ちゃんが来るって分かってたら…ボクだってちゃんとお化粧とかしたいし…」

旅館娘「や、やっぱ今のはナシで…」

旅館娘「でもわざわざこんな山奥の旅館に来るなんて面倒じゃないの?お兄ちゃんも、他のお客さんも」

旅館娘「…ふーん…好き、って…それだけ?…ふーん…」

旅館娘「ちなみにその好きって、この旅館自体が?」

旅館娘「それとも…ボクのことだったり?」

旅館娘「…………」


旅館娘「…そんなに強く否定しなくてもいいじゃん…ふん」

旅館娘「……あ、雪…」

旅館娘「…綺麗だね、やっぱり…」

旅館娘「お兄ちゃんは、冬の雨が好きなんだっけ?」

旅館娘「変わってるよね」

旅館娘「…雪より冷たくて、気持ちがいい?…うーん…よく分かんない」

旅館娘「……冬はやっぱりこうやって、こたつの中でゆっくりするのが一番だよ」

旅館娘「ね?…えへへ」

旅館娘「…あ、何々?追加?」

旅館娘「お酒…そっか、お兄ちゃんもう二十歳超えてるもんね」

旅館娘「うん、持ってくるね、ちょっと待ってて」



旅館娘「はい、おまたせ。熱燗だよ」

旅館娘「…熱燗って量少ない気がするんだけど、何がいいの?」

旅館娘「…え、いやダメだよ、まだボク成人してないもん」

旅館娘「………じゃ、じゃあ一口だけ…」

旅館娘「………ん……」

旅館娘「……あ…あったかい…」

旅館娘「…………」

旅館娘「………外を見ながら、ゆっくりしっとりと呑む…贅沢?それって贅沢なのかな…」

旅館娘「……でも…うん、確かに落ち着く…何だか、大人な気分…」

旅館娘「もう一口…え?ダメ?勤務中だしそもそも未成年?」

旅館娘「……ケチ」

旅館娘「お兄ちゃんって今年でいくつだったっけ?」

旅館娘「…そっか…ボクと少ししか変わらないような、随分差があるような…」

旅館娘「ボク?ボクは…って、そういえば…」

旅館娘「ふふんお兄ちゃん、今日が何の日か知ってる?」

旅館娘「今日は特別な日なんだよね…憶えてない?」

旅館娘「今日は何と…ボクの誕生えっプレゼント?憶えてたの?えっちょっと待って待って凄い嬉しいけどちょっと待って」

旅館娘「わぁ…ネックレス?綺麗…」

旅館娘「でもよく憶えてたね。それにわざわざプレゼントまで…」

旅館娘「…今日はこれを渡しにきた?ボクに?」

旅館娘「…………」

旅館娘「……………」

旅館娘「……ちょ、ちょっとお冷やついでくるね?何だか凄く顔が熱いから…」

旅館娘「やっぱりこたつっていいよね、こうやって一緒のこたつに入ってると何だか『いっしょにいるな』って感じがしてさ」

旅館娘「まだ2人とも小さかった時はこたつの中の足で戦ったりとかね、今考えるとちょっと恥ずかしいけど…」

旅館娘「…………」

→チョンチョン→

旅館娘「…………」

←ツンツン←

旅館娘「!」


旅館娘「♪」

旅館娘「…ん、もう帰るの?」

旅館娘「もっとゆっくりしてかないの?…そっか」

旅館娘「うん、それじゃ玄関まで送るね」

旅館娘「…っ…あはは、やっぱり廊下に出ると寒いね」

旅館娘「それじゃ荷物は持っておいてあげるから、お勘定済ませてきなよ」



旅館娘「…ん、はい。荷物」

旅館娘「うん、それじゃまたね」

旅館娘「また来てね。うん、その時は出来れば予約してね」

旅館娘「……うん、ネックレスありがとう、大切にする」

旅館娘「体に気をつけてね。うん、今度はもっとゆっくりしていってね」

旅館娘「それじゃあ、またね」

旅館娘「……あーあ、帰っちゃったなぁ」

旅館娘「…っ…さむさむ…こたつ…は…そっか、お兄ちゃんもう帰ったから使えないな…」

旅館娘「………ん、でもきっとまたすぐに来るよね」

旅館娘「…それまでは…ん、また頑張ろっかな」



旅館娘「あ、いらっしゃいませー!」

終わり、またそのうち


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