安部菜々「12月10日に生まれたもの」 (27)

※単発作品ですよー
※登場は10日~11日なのでノーカンってことにさせて



――街中――

北条加蓮「お待たせ菜々ちゃん。はい、ココア」ドウゾ

安部菜々「感謝感激ですよ! ナナもう寒くて寒くてっ」ウケトル

加蓮「ごめんねー。なんか自販機の前にけっこう並んじゃってて待たされちゃった」

菜々「みんな考えることは同じなんですかね? ……はー、あったかい!」コロコロ

加蓮「あ、それよくやるよね! こう、手の中でころころって……ずっと持っとくとそれはそれで熱くてさー」

菜々「ですよねですよね!」

加蓮「待ってる間にスマホで見たんだけどさ、夜には雪が降るかもって」

菜々「うわーお」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449828218

加蓮「明日の移動とか大丈夫かな……。ちょっと心配になってきたかも」

菜々「はーっ……小さい頃は雪が降るだけで大はしゃぎしてたのに、大人になったら電車は止まるわ渋滞はするわと厄介なことばっかりで。ナナ、ほんのちょっぴりだけあの頃に戻りたいですよ」

加蓮「そ、そう……」

菜々「……?」

加蓮「えーっと……あー……そう、それよりもちょっとは回復した?」

菜々「いやそれがですね。寒いせいか、余計に疲れてしまったような……」

菜々「あ、いえいえ! 事務所に戻る分は大丈夫ですよ! もたもたして加蓮ちゃんに風邪を引かせでもしたらモバP(以下「P」)さんになんと言われることか!」

加蓮「もー、菜々ちゃんまで心配ばっかりするんだから。この格好で風邪なんて引きようがないって」

菜々「加蓮ちゃんやたらぶかぶかですねぇ。ひょっとして、Pさんの仕業だったり?」

加蓮「そうなのよちょっと聞いてよ菜々ちゃん。今日さ、Pさんがどーしても打ち合わせだか会議だかで菜々ちゃんを迎えに行けないって言うから、じゃあ代わりに行こうか? って言ったの。そしたら瞬きしている間にこれなんだけど!」モコモコ

菜々「相変わらず愛されてますねぇ」

加蓮「こーいうのはただの過保護って言うの! もー……」

菜々「そんなに暑いなら1つくらいナナに譲ってくれませ――」

加蓮「やだ!」

菜々「…………」ジトー

加蓮「はっ。……ほ、ほら、さっさと帰ろうよ。休憩終わったでしょ? 寒いんでしょ? 帰れるんでしょ? あんまりぼやっとしてると風邪引いちゃうよっほらほら!」グイグイ

菜々「おわっ、こ、転ぶ、転びますからちょっと待ってください~~~!」




<テクテク
<テクテク

菜々「はー……」

加蓮「……やっぱりお疲れ?」

菜々「はっ。これはナナとしたことが」クチオサエ

加蓮「いや……別にいいよ? 気なんて張らなくても。誰も見てないだろーし……」

菜々「いやいや。アイドルたるものいつどこですっぱ抜かれてもいいようにシャキッとしておかなければ!」シャキッ

加蓮「…………。うん、菜々ちゃんはそういうネタには困りそうにないよね」

菜々「それどーいう意味ですかね!」

加蓮「ふふ。でも菜々ちゃんさ、ちょっと無理しすぎじゃない? 昨日までアニバーサリーパーティーだったのに、その次の日にいきなり仕事なんて……」

菜々「なーに言ってるんですか加蓮ちゃん。ナナ達はプロなんですよ? お休みなんて1日で十分です!」

菜々「ああいえ! オフだった加蓮ちゃんがどうこうってことじゃなくて! ほら、ナナは昨日のパーティーでむしろ盛り上がったと言いますか。また1年頑張るぞーっ! ってなったんですよ!」

加蓮「そっかー……でも、あんまり無茶はしないでよ?」

菜々「いやぁそれ加蓮ちゃんだけには言われたくありませんけど」

加蓮「えー、私? 私はほら……周りが無理するな無茶するなってうるさいから、最近は控えめにやってる感じだよ?」

加蓮「本気になったらすごいよ? もう3日でぶっ倒れるくらいレッスンやっちゃうよ?」

菜々「ほどほどって言葉はないんですか。ま、お気遣い感謝ですけどナナはへっちゃらですよ! なんたってウサミン星人ですからね!」

加蓮「ウサミン星人ってすごいんだね。私も、地球人をやめたらもっと動けるアイドルになれるかな?」

菜々「!」キュピーン

加蓮「……地球人をやめるとは言ってみたけどウサミン星人になるとは言ってないよ」

菜々「ちぇっ」

加蓮「むしろ第三勢力を作ってみるとか。ほら、地球人とウサミン星人と私で三つ巴の勝負とかってどう?」

菜々「ナナ的には加蓮ちゃんは敵に回したくありませんねえ。いったいどんな手を使われるやら」

加蓮「えー、何それー。私のこと何だと思ってるのー?」

菜々「キャハッ☆」

加蓮「むぅ、釈然としないなぁ……。でも、菜々ちゃんがライバルかー。……菜々ちゃんがライバル……」

加蓮「うっわ、それこそ3日ぶっ倒れるくらい頑張らないと勝てる気が全くしないんだけど。ねえちょっとぶっ倒れてみていい? 無理してみていい?」

菜々「斬新な脅迫ですねぇ!」

菜々「ナナは別に……いやまあよくありませんけど、ナナよりPさんが許してくれないと思いますよ?」

加蓮「ふふっ、冗談だって。そんなことしたら、Pさんとか、いろんな人に迷惑がかかっちゃうもんね」

加蓮「しょうがない、私は私らしくやりますかっ」

菜々「そうそう。加蓮ちゃんは加蓮ちゃんらしく、ナナはナナらしく! それでいいじゃありませんか!」

加蓮「だね」




<テクテク
<テクテク

加蓮「……そう言われてみると、私らしくって何だろ?」

菜々「おっと、それは若い子なら誰でもぶつかる哲学ですね! 答えは簡単ですよ、いつもやっている自分が最も自分らしい! ナナは悩む度にこれで乗り越えてきましたからね、間違いありませんよ!」

加蓮「いつもやってる自分が、いちばん自分らしい……か。ふふっ、すごいこと言うんだね」

菜々「そ、そーですか? ごく普通のことだって思いますけど……」

加蓮「そんなことないよ。ちょっぴり感動しちゃった」

菜々「そこまで!?」

加蓮「だから、からかうのはやめてあげるっ」

菜々「……??」

加蓮「…………」

加蓮「…………若い子って、菜々ちゃんは何歳なの?」

菜々「ハッ! ええとええと、ほ、ほらっ加蓮ちゃんだって16歳らしからぬ歳不相応なとこあるじゃないですか!」

加蓮「あーっ人になすりつけてきた! 菜々ちゃんはそーいうことしないって思ってたのに!」

菜々「加蓮ちゃんが言うんだったらナナだって言いますよ!」

加蓮「私は菜々ちゃんがまた現場とか事務所とかで余計なことを言わないようにって思って!」

菜々「まーたそういう屁理屈を!」

加蓮「…………」

菜々「…………」

加蓮「……お、赤信号」

菜々「おおっと」ピタッ

加蓮「あはは……なんかごめんね?」

菜々「いえいえこちらこそ! でも、そ~考えると16歳とか17歳ってなんだって話になっちゃいません?」

加蓮「うーん……でも、やっぱよく分かんないかも」

菜々「ええ。ですので加蓮ちゃん。そういうのは考えないのが一番なんですよ! そんなことよりほらほら、ウサミン星のお話かアイドルのお話でもしましょう!」

加蓮「菜々ちゃんらしい二択だね。じゃあアイドルの話でも――」

菜々「ほら、今って12月じゃないですか。この時期になるとウサミン星はてんやわんや大忙しで!」

加蓮「あ、そっち選ぶんだ」

菜々「特に年末になるともう大変で大変で。大掃除にお餅つきに年賀状に! 正直、この時期だけはアイドルになる前から忙しさは変わらないと言いますか!」

加蓮「いや、それたぶん地球でのことだよね……?」

菜々「でもナナ的には心地よい悲鳴って奴ですね! なんだかんだドタバタしてるのって楽しいですし。アイドルになってからも、びっしり埋まったスケジュール帳を見る度に、つい笑いが」

加蓮「わ、すごい、アイドルの話になった」

菜々「へへっ……おっと、信号が変わりましたね!」

加蓮「変わったねー」

菜々「……よっ、ほっ、とっ」

加蓮「?」

菜々「いやあ、横断歩道の白いところだけ歩くのってなんかちょっぴり子どもっぽく見えません?」

加蓮「それじゃ17歳っていうより7歳だよ」

菜々「アハハ、加蓮ちゃんは手厳しいですねぇ。よっ、とっ、うわっと!」ヨロッ

加蓮「ああ、もう……」ガシ

加蓮「疲れてるんだから普通に歩きなさいってば」

菜々「面目ないです」




<テクテク
<テクテク

<~~~♪ ~~~~♪

加蓮「お、ケーキ屋だ」

菜々「この時期はどこもカラフルですよね! ナナ、ああいうメルヘンチックなの大好きですよ!」

加蓮「クリスマスシーズンはすごいよねー」

菜々「事務所でもみんなでケーキを作ろうって話があるみたいですよ? ナナも参加させてもらうことになってて。メイドカフェ時代の腕を存分に発揮してきますとも!」

加蓮「ふふっ、頑張れ菜々ちゃんっ」

菜々「どうですか、加蓮ちゃんも是非ご一緒に!」

加蓮「遠慮しまーす」

菜々「むむ。ノリが悪いですねぇ」

加蓮「私がお菓子作りなんてできるように見える?」

菜々「…………あぁ」

菜々「いや、でもPさんから聞きましたよ? 前のアニバーサリーの時に手作りのお菓子をもらったって。今でも大切に保存してるとかなんとか」

加蓮「大切にって……それ絶対に腐ってるじゃん。どうせなら食べてよ……いや、食べてくれない方が……いやでも……」

菜々「加蓮ちゃん? もしもーし?」

加蓮「あ、ごめん。あれはねー…………あっ」

菜々「?」

加蓮「ごほん。あれは愛梨ちゃんと、あと、そこにいる子にだいぶ手伝ってもらいました。私1人じゃ無理です」

菜々「愛梨ちゃんですか! なるほど、それなら納得……って、そこにいる子?」

加蓮「うん、そこの子」ユビサシ

菜々「?」クルッ

<ガーッ

高森藍子「~~~♪ ……あれっ?」

藍子「加蓮ちゃん、それに菜々さん! 奇遇ですねっ」

菜々「藍子ちゃん! なるほどそういうことですね!」

加蓮「そういうことです。こんにちは、藍子。奇遇だね」

藍子「……?」




<テクテク
<テクテク
<テクテク

藍子「昔のアニバーサリーのお話をしていたんですね。あはっ、懐かしいなぁ……♪」

藍子「お菓子作り、楽しかったですね。加蓮ちゃんがすっごく苦労しちゃってて……でも、Pさんの為にって私が言うと、また頑張るんです。何度失敗しても、完成するまでずっと」

加蓮「え、そんな感じだったっけ?」

藍子「はいっ。あの時の加蓮ちゃん、アイドルの時とはまた違った感じで、すっごく一生懸命で……」

菜々「ほうほう!」

加蓮「食いつきすぎー……」

藍子「そういえば、その時に撮った写真があって。今度、持ってきます!」

菜々「それは楽しみですね! ナナ、今から待ち遠しいです!」

加蓮「もー……そんな昔のこといいじゃん。それより今の話をしようよ、今の話」

菜々「ウサミン星の話をしますか!?」ニュッ

藍子「ひゃっ」

加蓮「どれくらい突っ込んだら設定にボロが出てくるかって勝負なら受けて立つよ?」

菜々「嫌に決まってますよそんなの! たまには真面目に聞いてくださいよ!? せっかく頑張って作った設て――じゃなかった、地球の人たちに話しても大丈夫なところを選んでいるんですから!」

加蓮「うーん、でもほら、素直で純粋な藍子がだまされないように?」

菜々「それはつまりナナは素直でも純粋でもないと!?」

菜々「…………」

菜々「…………いやまあ反論できませんけどぉ!」

藍子「もう、加蓮ちゃんっ」

加蓮「ごめんごめん」

加蓮「……そいえば藍子。ケーキ屋から出てきてたけど、何か買ったの?」

菜々「ナナ、お土産に期待してもいい感じですか!?」

藍子「あぅぅ……買っておけばよかったですね。ごめんなさいっ」

藍子「今日は、クリスマスケーキの予約だけやってきたんです。実は、お母さんに頼まれちゃって」

菜々「クリスマスケーキの予約ですか」

藍子「お散歩するなら、ついでにって。私のセンスに任せるなんて言われちゃって。ちょっぴりプレッシャーだったんです」

藍子「……あっ! せっかくおふたりと会えるなら、決める前に相談しておけばよかったかも……!」

加蓮「真面目だ」

菜々「さすが藍子ちゃんですね!」

加蓮「クリスマスケーキかぁ……毎年、お母さんがちょっと高めの買って来たりするんだよねー。食べきれないのに……」

藍子「そうなんですか?」

加蓮「うん。あ、そうだっ。2人ともさ、うちに来てケーキ食べて行ってよ! お母さんもそれなら納得してくれる筈――」

加蓮「って、25日はさすがに空いてないよね……」

菜々「あー……ナナはその日は新年バラエティの収録が」

藍子「私も、ラジオの公開収録があって……。ごめんなさいっ」

加蓮「ううん。こういうのは仕方ないよ。よく思い出してみたら朝だけだけど私もお仕事あったし……それに、せっかくお母さんが買ってきてくれる物だもん」

加蓮「……つ、次の日に胸焼けしてても笑わないでよっ」

菜々「笑いやしませんよ! ナナもきっと同じですから!」

藍子「私も、ひょっとしたらそんな感じになっちゃうかも。だから大丈夫ですよ、加蓮ちゃん」

加蓮「よかったっ」

菜々「いやあ、加蓮ちゃんの話がなんだか懐かしく感じちゃいますね! ナナも昔はお母さんがどんなケーキを持ってくるか楽しみだったんですよー」

藍子「……あ、あの、菜々さん?」

菜々「それが今じゃ毎年毎年、いい相手はいないのかいつまでそうしているつもりだって! 今年なんて月頭から生暖かい目で見られるようになって……いっそ何か言ってほしかった!」

藍子「はぁ……あの、17歳、ですよね?」

菜々「ハッ! ……ってお母さんが言ってましたね! ええ、昔話っぽく!」

加蓮「…………」

菜々「…………加蓮ちゃんもいつか同じ悩みを持つようになるんですぅ!」

加蓮「え、待ってそこで私に振って来るの!? やめてよ菜々ちゃん見てると笑えないんだけど!?」

菜々「いっそ笑えーっ!」

加蓮「リアルっていうか変に生々しいんだって! ……そ、それにほら、私はアイドルなんだからいいでしょ!?」

藍子「な、菜々さんだってアイドルですから。ねっ?」

菜々「ええそうですけど、ええそうですけども! ……ゼーッ、ゼーッ」

加蓮「もー。疲れてるんだから怒鳴っちゃ駄目でしょ……動けなくなっても私、おぶったりできないよ?」

藍子「その時は、私と加蓮ちゃんで頑張って運ぶことになりそうですね」

加蓮「だねー。そろそろ私だって身体の弱さを克服しているところを見せなきゃ」

藍子「私が頭の方を持つので、加蓮ちゃんは足の方をっ」

加蓮「あ、それなら頭と足じゃなくて右肩と左肩ってどう? その方が負担が少なそうっていうか、いざって時に変なとこぶつけたりしそうにな――」

菜々「コラーッ! 2人ともナナを運ぶことを前提にした話をするのゲホッ」

加蓮「……いっそPさん呼んじゃう? 菜々ちゃんがピンチって言ったら来てくれるんじゃ……」

藍子「その方が、菜々さんも楽かも……? 車の中って、きっと外より暖かいですよね。横になるスペースもあると思いますし」

菜々「だ、だいじょーぶですから……!」




<テクテク
<テクテク
<テクテク

菜々「ウサミンパワー充電完了! 加蓮ちゃん、ココア2つもありがとうございました! この恩は必ず返しますねっ♪」

藍子「私も、ありがとうございます」

加蓮「いーよいーよ」

菜々「いえいえ! 受けた恩は返す、それはメイドの世界でもウサミン星でも当たり前のことです!」

加蓮「そんなに言うなら……じゃ、楽しみに待っておくね」

菜々「ええ! あ、もちろん藍子ちゃんにもです!」

藍子「へっ? 私は、別に何も……」

菜々「そーいう気分なんですよ。キャハッ☆ 遠慮せず受け取ってくださいよ!」

藍子「それなら……お言葉に甘えちゃいますっ」

菜々「そうそう、それでいいんです! アイドルをやっていたらどーしても疎くなりがちですが、若い内に遠慮なんてしても何もいいことなんて――ま、まあそれはナナにも言えることでだからナナも遠慮なく言うんですが加蓮ちゃんはもっとナナに優しくしろーっ!」

加蓮「ねえ藍子。今日さ、菜々ちゃんからやたら八つ当たりされるんだけど。なんで?」

藍子「ドンマイです、加蓮ちゃんっ」

加蓮「むぅ」

菜々「はーっ」

菜々「…………LIVEがやりたいですねぇ」

加蓮「え? どしたの急に?」

菜々「ああいえ。加蓮ちゃんと藍子ちゃんを見ていたら去年のことを思い出したと言いますか……この3人で見た客席は、ちょっと印象に残ってるな~、なんて」

菜々「キャハッ☆ センチメンタルな気分になりたい17歳ってヤツですよ!」

藍子「ふふっ。そういうこと、ありますよね」

加蓮「印象に残る、かぁ。うん。私も菜々ちゃんの言うこと分かるなぁ」

加蓮「すっごく大きなLIVEって訳じゃなかったし、あれが初めての……とか、そんな特別って物だった訳でもない」

加蓮「でも、不思議と印象に残ってるんだよね。……なんでだろ?」

菜々「それはもちろんあれですよ。『メルヘンデビュー!』を全力でこなす加蓮ちゃんというとってもレアな、」

加蓮「よし藍子。今年は菜々ちゃん抜きの2人でやろう」

菜々「コラーッ!」

藍子「…………、…………」ウーン

菜々「藍子ちゃんも! 悩まない! ここは何言ってんですか加蓮ちゃんって窘めるところでしょーが!」

藍子「そ、それがその、あれは、ええと……の、ノリでやっちゃいましたけれど、実はけっこう恥ずかしかったり……」

加蓮「舞台袖からPさんが迎えに来てくれた時、うげってなったのなんて……それこそあのLIVEの時だけだよ……」

菜々「ご、ごほん! それでもナナはLIVEがやりたいんですーっ!」

加蓮「菜々ちゃんはしょうがないなぁ」

藍子「じゃあ、帰ったらPさんに相談してみますか?」

加蓮「してみよっか。あっ、もしかしてさ。Pさんも既に計画を立ててたりとかってありえそうじゃない? ほら、私たちの考えを先回りしてさ」

藍子「あっ、それすっごくありそうです! ときどきPさん、私の心を見透かしたようなことを言って、びっくりしちゃって……でも、それがちょっぴり嬉しいんです」

加蓮「そうそう。悔しい筈なのに、心地いいんだよね」

藍子「加蓮ちゃんもですか? なんだか、あったかいですよね♪」

加蓮「ねー♪」

菜々「できればナナにも少しだけ、ほんのちょっとだけでいいので配慮してほしいんですけどねぇ……!!」

加蓮「あー……」

藍子「あれは……その……そ、それもPさんなりの思いやりですっ。……たぶん!」

菜々「いーですよ藍子ちゃん、気を遣ってもらわなくても。それに――」

菜々「ニヤニヤしてるPさんの想像を超えてポカーンとさせるのって、けっこう面白いと思いません?」ニヤリ

加蓮「わっ、大胆発言!」

藍子「菜々さんが悪い顔をしてます……!」

菜々「キャハッ☆ ファンには思いっきり盛り上がってもらえる、Pさんにはビックリしてもらえる。一粒で二度美味しい!」

菜々「どうですか? 加蓮ちゃん、そういうのって得意じゃありません?」

加蓮「まーねっ。藍子は?」

藍子「……そうですね。たまには、そういうのも……はいっ。私も、何かやってみたいです! あ、でも――」

藍子「悪い意味でびっくりさせるんじゃなくて……同じ驚かせたいなら、期待以上って感じでやってみたいなって思います」

加蓮「あはは、それは分かってることだよっ」

菜々「やっぱり藍子ちゃんは真面目ですね!」

菜々「じゃー帰りながら考えましょうか! どうやったらPさんをびっくりさせるLIVEができるか!」

藍子「はいっ!」

加蓮「じゃあまずさ、仕掛けられるとしたらMCパートかダンスの振り付けとか――」

<やっぱりここはみんなウサミミをつけてウサミン星人に! 特に加蓮ちゃん!
<あの、私は菜々さんがすてきな大人っぽく歌う姿もいいと思いますっ
<『メルヘンデビュー!』のセンターを藍子にしてみるとかは? いけそうじゃない?

<ワイワイ
<ワイワイ
<ワイワイ



おしまい。読んでいただき、ありがとうございました。クリスマスメモリーズばんざーい!!

2014年12月10日~11日 イベント「サンタDEドリームLIVEフェスティバル」1日目
登場ユニット……「クレイジーサンタ(櫻井桃華、星輝子、喜多見柚)」、「ナイト・ディーヴァ(桐野アヤ、小室千奈美)」、「クリスマスメモリーズ(安部菜々、高森藍子、北条加蓮)」

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