渋谷凛「長女」 大石泉「次女」 橘ありす「三女……なんですかこれ」 (36)

前作 モバP「凛っていい匂いするよな」(モバP「凛っていい匂いするよな」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449394800/))

の続きですが、特にそちらを読まなくても話はほぼ理解できると思います

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449663632

ベテトレ「大石! 同じところでステップが遅れているぞー!」

泉「は、はいっ!」



P「泉、だいぶきつく言われてたけど大丈夫か?」

泉「大丈夫。ダンスがウィークポイントなのは前からわかってる」

泉「少しつまづくことくらい、計算のうちよ」

P「そうか、頼もしいな。信じてるぞ」

泉「うん。期待に応えられるよう、頑張るわ」



ありす「………」

翌日


ベテトレ「橘! 足に気を取られすぎて上半身が硬いぞ!」

ありす「は、はいっ」




P「ありす。今度のダンスの振りつけ、苦戦してるみたいだな」

ありす「はい、少し。でも心配いりません」

ありす「この程度は……計算のうちです」キリッ

P「ははは、そーかそーか頑張れ」ナデナデ

ありす「………」

P「あれ、どうかしたか? 頭撫でられるのは嫌か」

ありす「いえ、それは正直まんざらでもないというか……じゃなくて」


ありす「おかしくないですか?」

P「おかしい? 何が」

ありす「態度が全然違うじゃないですか」

ありす「泉さんが同じようなことを言ったら『頼もしい』なのに、どうして私が言ったら微笑ましい視線を向けるんですか」

P「いや、そんなことを言われてもな。泉の『計算内』と、ありすの『計算内』じゃ……うん」

ありす「ひとりで納得しないでください。異議ありですっ、異議あり!」ビシイッ

P「俺相手に裁判を挑もうというのか」

ありす「その通りです。Pさんなんて簡単に論破してあげます」

P「いいだろう。そっちがその気なら俺も」


ガチャリ


凛「ただいま」

泉「撮影、無事に終わりました」


P「俺も……俺も泉を弁護士として迎え入れよう」

ありす「とっさのアドリブでずるいことしないでください!」

P「仲間を増やすことの何がずるいと言うんだ。それとも、ありすは泉を論破する自信がないからそんなことを言うのか?」

ありす「正直言ってありません。Pさんや凛さんならともかく」

凛「事情はわからないけど、なんか私馬鹿にされてない?」

泉「いったい何を言い争っているの……?」

P「――というわけだ」

泉「なるほど、そういうことだったのね」

凛「ありすとしては、もっと自分もしっかり者に思われたかったってことだね」

ありす「思われたかった……ま、まあ、だいたいそんな感じです」

P「まだありすは小学生だ。泉くらいの歳になったら、『計算内』っていうセリフが映える子になれるさ」

凛「そうだね。背も伸びるし、これからもっといろんなことを勉強していくんだから」

ありす「……わかりました。今はそれで納得しておきます」

泉「すぐに理解できるところは、ありすちゃんの賢いところだと思うわ」

P「ところで凛。今度出演するドラマの役、演技に苦労してるみたいだな」

凛「あ……うん。結構大変かな。なんかいろいろ難しいことを考えている人物だから、それっぽい振る舞いがイメージしづらくて」

P「そうか。なんとかなるといいんだが」

凛「心配しないでよ。演技の経験とか、そういうのはこれから磨いていく時間もあるし」

凛「最初に少しつまづくくらい、計算のうちだよ」

P「………」

P「そっかーなら大丈夫そうだなー」

凛「なんで今視線逸らしたの」

泉「声に力が伴っていないけど」

P「そ、そんなことはないぞ?」

凛「誤魔化さないでよ、逃げないでよ」

ありす「凛さん、凛さん」トントン

凛「なに」

ありす「仲間です」b

凛「小学生のありすと同レベル……」ズーン

泉「ま、まあ、人には似あう言葉、似あわない言葉というものがありますから」

泉「というかプロデューサー、ちゃんとフォローして」

P「おっと、おしゃべりしている間にもうこんな時間か。悪いけどこれから会議だから、あとは頼んだ泉」

泉「ええっ!?」

P「信頼してるぞ!」ササッ

泉「そんな信頼はいらないってば!」

凛「泉はいいよね……頼もしいとか頭いいとか言われて」

ありす「私たちには眩しすぎます……」

泉「な、なに……二人とも、まるで地獄を見てきたかのような暗いオーラ……なんでそんな下向いてるんですか!?」




泉「そんな感じで、悪乗りした地獄姉妹の気が収まるまで10分ほどかかったわ」

亜子「いずみはどこにおってもそんな立ち回りやね」

さくら「そういうイメージついてるもんね!」

泉「そのイメージがついたのは主にあなた達のせいだけどね」

数日後、日曜日


P「今日は休みだ」

P「が、いつもの癖で早めに目が覚めてしまった」

P「二度寝する気にもなれなかったので、朝早いが外に出ることにした」

P「少し足を伸ばして、朝食はどこかの店のモーニングでもいただこうかと考えたのだ」




P「ふう、食った食った。朝から贅沢するのもたまにはいいな」

P「腹ごなしに、少し歩いて帰ろうかな……ん?」

凛「こら、ハナコ。あんまり走りすぎると危ないよ」

ハナコ「ワン! ワン!」


P「あっちも散歩中か……おーい、凛!」

凛「え……ああ、なんだ。プロデューサーか」

凛「こんな朝早くに誰が声かけてきたのかと思ったよ。どうしたの?」

P「ちょっとリッチな朝食を楽しんできたところで、偶然君とハナコを見かけたんだ」

凛「ふーん、そうなんだ。こっちは見ての通り、朝の散歩」

ハナコ「ワン!」

P「まだ9時前だよな……いつもこの時間にしてるのか」

凛「休みの日はね。さすがにこの季節は寒いけど、この子が外に出たがるから」

P「偉いな。俺だったら絶対にサボるようになる」

凛「プロデューサーはペットとか飼っちゃダメなタイプだね」

P「だろうな。こうやって、人のペットを見てかわいがるくらいがちょうどいい」ナデナデ

ハナコ「くぅーん」

P「この反応は喜んでるのか?」

凛「多分ね」

P「ならよかった。散歩、付き合ってもいいか」

凛「いいよ。その辺歩くだけで、特別なことなんて何もないけど」

P「それが散歩だろう」

凛「ふふ、それもそうだね。じゃあ、行こうか」

ハナコ「ワン! ワンッ!」

P「朝から元気だな、ハナコは」

凛「本当にね。ちょっとわけてほしいくらい」

P「俺なんて、もう足が疲れてきたよ」

凛「私も少し……ちょうど近くに公園あるし、休んでいく?」

P「そうしようか」



P「よっこらしょっと……あー、ベンチに座るだけで安らぐな」

凛「ふふっ……なんか今の、おじさん臭いよ?」

P「なにっ! まだ20代半ばだというのに、もう老いが進行してるのか……はあ」

凛「そんな本気で落ちこまなくても……私の個人的な感想なんだから」

P「ま、それもそうか」

凛「切り替え早いね」

P「そのほうがストレス溜めずに長生きできるしな」

凛「今日は晴れだね」

P「予報通りだな。雲がほとんどない」

凛「………」

P「………」

P「なんか、かき氷食べたくなってきたな」

凛「急にどうしたの」

P「いや、本当になんとなくだけど」

凛「今、冬だよ?」

P「冬だからこそ恋しくなったのかもしれない。かき氷は夏しか食べないし」

凛「わかるようなわからないような……私は夏に食べるだけでいいかな」

P「やっぱりハワイアンブルーか?」

凛「なんで」

P「蒼いから」

凛「色の好みと味の好みは一致しないよ」

P「じゃあ何味が好きなんだ」

凛「んー……メロンとか?」

P「じゃあ緑色のシロップ(メロン味)と蒼色のシロップ(メロン味)があったとしたら、その時はどっちを選ぶ?」

凛「……どっちでもいい」

P「……だよなあ」

凛「かなり中身のない会話だったね」

P「ははは、まったくだ」

P「凛とプライベートで会うことはあんまりないから、どんな話すればいいのか、いまいちつかみづらい」

凛「そっか。ほとんど事務所とかで会うだけだもんね」

凛「………」

ハナコ「わう?」

P「どうしたんだ、急にぼーっとして」

凛「……考えてみれば、私、仕事以外であんまり付き合いのない人と、これだけ自然に話せてるんだなって」

凛「つまり、それだけ事務所に入り浸ってることになって」

凛「……私、アイドルなんだなあって思った」

P「……今さらだな」

凛「うん。本当に、今さら」

凛「今でもたまに不思議に思うんだ。自分の置かれてる状況が」

凛「私、特に取り柄があるわけでもなかったし」

凛「……そりゃ、見た目はいい方なのかなとは思ってたけどさ。周りにも言われてたし。でもそれだって、男子から大人気だとか、告白されまくるとか、そういうレベルじゃなかった」

凛「そんな私がアイドルになって、だんだん人気もついてきて……なんでだろうって」

P「………」

P「……確かに、凛は頭がいいわけでもないし、愛想も正直悪かった」

P「けど、一番大事なものを持っていた」

凛「一番大事なもの?」

P「ああ。それは……輝きだ。俺は君にそれを見出したから、スカウトを決めた」

P「凛は輝ける子だ。俺はそう信じている」

P「それで十分だろう」

凛「プロデューサー……」



凛「……ごめん、クサくて軽く引いた」

P「なんでだよ! 結構いいこと言ったのに」

凛「時と場合によるというか……朝っぱらからそこまで真面目な話は求めてないというか」

P「なんだよ。自分だって結構クサいこと言うくせに」

P「この前ライブで『翼を広げて!』とか言ってただろ。奈緒が微妙についていけてなかったぞ」

凛「あ、あれはライブだったからで……とにかく、プロデューサーよりはマシだから!」

P「いやそんなことはない。凛のほうがイタい!」

凛「プロデューサー」

P「凛」

凛「………」

P「………」


凛「ねえハナコ、どっちがマシだと思う?」

ハナコ「ワン!」←凛にすり寄る

凛「はい、私の勝ち」

P「せこいぞ飼い犬使うなんて」

凛「勝ちは勝ちだよ。不正はなかっ――」



泉「朝からにぎやかですね……喧嘩の種はなんですか」

P「ん?」

凛「泉……どうしたの、こんなところで」

泉「早くに目が覚めてしまって、暇だったからその辺をぶらついていたんです」

泉「でも……思いのほか、収穫はありました」

泉「こうして朝の静かな空気に触れていると、なんだか落ち着いて……頭も整理されて、いいアイデアが浮かんできそう」

泉「早起きは三文の徳って言いますけど、本当ですね」

凛「………」

P「………」

泉「……どうか、したの?」


凛「プロデューサー……私たち、なんか小さいね」

P「胸が?」

凛「110番してあげようか」

P「冗談だ」

凛「はあ……器だよ、器」

泉「あの、夫婦漫才ならよそでやってもらえると」

ハナコ「ワン! ワン!」

泉「かわいいですね。ハナコちゃん」

ハナコ「クゥーン」スリスリ

P「なんか俺に対してよりも懐いてないか。ハナコ」

凛「ハナコにだって選ぶ権利はあるし」

P「おっさんよりはJCか。まあ、俺がハナコでもそうするな」

凛「実際、犬ってどんなこと考えてるんだろうね。ねえ泉、科学が進歩したら、犬の言葉がわかる翻訳機みたいな物も作れるの?」

泉「翻訳機、ですか……言葉はともかくとして、思考を正確に分析して表示する機械とかなら、そのうち普及する可能性はあると思います」ソロソロ

凛「そんなに臆病にならなくても、普通に撫でてあげて大丈夫だよ」

泉「あ、はい……なでなで」

ハナコ「わうわう」

泉「ふふっ、喜んでいるのかな……」

P「でも翻訳機なんてない方がいいのかもしれないぞ。もしかしたら飼い主の悪口を言ってたりして」

凛「そ、そんなことはないよ。多分」

ハナコ「わん!(あー散歩だりー)」

凛「鳴き声に勝手にセリフ被せないでよっ」

P「はは、ごめんごめん」

泉「………」

ハナコ「わんっ」

泉「……なでなでされて気持ちいいワン♪」ボソッ

泉「とか、思っていてくれたらいいな……」


凛「………」

P「……今のは、キュンときたな」

凛「……同感」

泉「……はっ! 今の、声に出てた!?」

P「出てなかったワン」

凛「大丈夫だワン」

泉「わ、忘れて、忘れてくださいっ!」ブンブン

~散歩再開~


ハナコ「ワン!」

泉「わわっ……そんなに走ると、ついていけないよ」

凛「少しくらいリード引っ張っても、首は締まったりしないから」

泉「ぶ、物理的にそうなのはわかっていますけど……」

P「さすがの泉もハナコにはたじたじだな……リード離しちゃだめだぞー」

泉「それはわかってるわよ……っと。ほら、少し落ち着きなさい」

ハナコ「ワン」

凛「ちょっとずつ慣れてきたかな」

P「みたいだな。……そういえば、三姉妹の末っ子は何してるんだろうな」

凛「三姉妹? 末っ子?」

P「ほら、凛と泉とありすで三姉妹」

凛「まだ言ってたんだ、それ」

P「雰囲気似てるだろ?」

泉「ありすちゃん、昨日は遅くまでお仕事で疲れてそうだったから……まだ寝ているんじゃないかな」

同時刻 ありすの部屋


ありす「……すぅ……すぅ」


ありす「ぁ……そんな、あたまなでないで……えへへ」


ありす「………すぅ」





P「確かに寝てそうだな」

凛「そうかも」

泉「でしょう?」

ハナコ「ワン!」


おしまい

おまけ


翌週


P「新しくアイドルが入ることになった」

雪美「………」

P「佐城雪美ちゃん、10歳だ」

凛「かわいい子……」

ありす「ついに私より年下の子が……」

泉「先輩風、吹かせるとか?」

ありす「そ、そんなんじゃありません」

凛「ところでプロデューサー。その子が抱いてる黒猫は」

P「ああ。これは彼女の飼い猫だ。どうしても連れて行きたいというから一緒に来てもらった」

雪美「………ペロ」

泉「ペロっていうの」

凛「ふーん。猫、好きなんだ」

P「凛は犬派だからな」

雪美「………猫、だめ?」

凛「いや、別に犬派じゃないとダメとか思ってないから。そんな怯えた目しないで」

ありす「動物が好きということには変わりありませんからね」

凛「そう、ありすの言う通り」

泉「いいこと言ったわね」

ありす「そ、それほどでもありません。普通のことです、普通のこと」

P「ま、少しずつ仲良くなっていければいい。これで四姉妹になったことだしな」

凛「四姉妹って、まさかその子も加えて?」

P「なんか似てるだろう?」

雪美「………姉妹?」

P「いいか雪美ちゃん。四姉妹というのはだな――」

泉「そんなことより先に説明すべきことがいろいろあるんじゃないの?」

凛「正論」

ありす「正論ですね」


おまけおわり

終わりです。お付き合いいただきありがとうございます
泉はトークバトルの時のSRの尻を見て「いいな」と思いました。その後いろいろ見て中身もいい子だなと気づきました
彼女も地味にチートスペック持ちですね

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緒方智絵里「働きたくない」 双葉杏「ど、どうしよう……」(緒方智絵里「働きたくない」 双葉杏「ど、どうしよう……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446905618/))



このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月12日 (土) 07:44:23   ID: 3f2Bd8_v

志乃さんとか黒川さんとかも入れて姉妹増やそうぜ!w

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