提督と六人の艦娘【R-18】 (66)

※安価スレではなく、あらかじめ決めておいた六人で書きます。R-18描写を加える艦娘は固定されてます。

※地の文だけで書きます。地の文がちょっと気分でない方はご了承ください。

※史実の記述は出てきません(出せません)。

※エロい行為に重点を置いて書いていきたいと思います。提督がクズに見えても、どうか彼を許してください。

※これを書き始めてから書き終わるまで、私は禁欲をすることを、ここに誓いマンマミーア。

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【一日目(月):荒潮/早朝】



「しれいかぁん、おはようございまぁす」
「お早う、荒潮」

 鎮守府一階にて、朝の挨拶が交わされた。何物にも遮られていない陽光が、窓辺から四角に切り取られた光を木造の廊下に映している。雲一つない青空を背景に、太陽は眩く光を放っている。

 今日は晴天である。

 二階の階段から下りてきた背の高い軍服姿の男が、自分に声をかけた少女の下へ歩いた。サスペンダースカートを着ている少女――荒潮は、自分の下へ歩く男を見つめていた。互いに見つめあっていた。

「よく晴れてるな」
「そうですねぇ」

 二人は並んで歩いた。幅の広くて長い廊下を真っ直ぐに歩いた。
 途中で何人かとすれ違った。

「おはようございます、司令官! と、荒潮ちゃん!」
「おはようございます。司令、荒潮」
「おはようございます、司令官! あら、荒潮もおはよう!」

 男――提督とその秘書官は、すれ違う者たちに挨拶を返した。荒潮は、その中の一人――姉の朝潮に向けて左手を上げた。朝潮はすれ違いざま、その手にハイタッチをした。姉と妹、そしてその二人の上司は、小さく笑った。

「朝は面倒見のいい奴とよくすれ違うな」
 提督は前を見ながら言った。

「おねぼうさんとしっかりさんって、どこの姉妹にもいるみたいですねぇ」
 荒潮がくすくす笑った。

 彼女の言うしっかりさんの一人、朝潮型駆逐艦の長女である朝潮は、起床時刻の六時三十分を過ぎてもまだ布団の中にいる次女と三女と九女――大潮と満潮と霰を起こしに、駆逐艦寮の一棟へ向かっている最中だった。荒潮は朝潮型姉妹の四女である。提督は、隣の少女が、自分の二人の姉と妹よりいつも早く目覚めることを、胸の内でちょっぴり得意に思っていることを知っていた。

「まるで釣り合いを取ろうとしてるみたいだ。荒潮、お前はしっかり者のほうだな」
 荒潮は、うふふ、と声を潜めるように笑った。隣を見るまでもなく、提督には、荒潮が片手を口元に当てて笑ったことを知っていた。それも、上品に。

 廊下の突き当りにある扉に差し掛かると、荒潮が一歩前に出て、扉を開けた。
「ありがとう」

 食堂の中は人――艦娘でごった返していた。鎮守府所属の人間が全員座ってもまだ余るほどの椅子と机があり、中は広かったが、席は規則正しく詰めて座られているわけではなかった。提督は並んだ椅子と机を見渡し、空いた場所を探した。座って食事を摂っていた何人かと目が合った。

「オハヨウゴザイマース! テイトクー! 今日もいい天気ネー!」「お、おはようございます! 提督!」
「あら、おはようございます、提督」「提督、おはよー」
「あ、提督。おはよう」「提督さん、おはようっぽい!」

 提督は彼女らに手を振って、おはよう、確かにいい天気だ、まるでお前みたいだ。おはよう。木曾はまだあの二人にてこずってるのか。おはよう、白露は一番に起きるのは苦手らしいな、とそれぞれ返事を交えて返した。

「白露は一番乗りで朝食を食べるって、昨日言ってたんだ。そのためにコーヒーも飲んでたんだよ」最も近いテーブルに座っていた時雨が、フォークに刺したウィンナーを一口齧った。「僕たちは先に寝たけど、その後にやっぱり寝ちゃったみたいだね。夜更かしなんて慣れないことしようとするから」

「翌日が非番ってときに、たまにそうするよな。白露は」提督は、傍らの少女が自分を見上げていることを意識していた。「もしかすると、一番遅く起きるためにまだ寝てるのかもしれないな」

 時雨と夕立が笑った。「だったら、そっとしておいてあげたほうがいいっぽい!」
 提督はカウンターのほうへ向き直った。荒潮も彼と同じほうを向いた。

「お早う、間宮。伊良湖。鳳翔」
「あら、おはようございます、提督。荒潮ちゃんも」

 彼の声を聞いて、フライパンで卵を焼いていた鳳翔が、パンの耳を切りそろえていた伊良湖が、冷蔵庫の中から何かを探していた間宮が顔を上げて、いずれも大体同じことを言った。
「おはようございます、提督! 今日の朝はサンドイッチですよ!」切り取ったパンの耳をボウルに入れながら、伊良湖が言った。

「デザートに使う白玉がちょっと見当たらなく……あ、あった! ありました!」冷蔵庫の中から、間宮が目当てのものを見つけた。
「お二方、少々お待ちくださいね。すぐお出ししますから」鳳翔がフライパンを振って、卵焼きを翻した。
 二人は鳳翔の言った通りにした。カウンターの向こう――調理室の中で働く三人を見ていた。また、食堂の窓をあてどなく見ていた。独特な趣のある焦げ茶色の窓枠。毎日綺麗に掃除されているガラス。その外から見えるもの。鎮守府の外。

 提督は、窓の一つから見える外の景色の一つに、目を惹かれた。それは見慣れたはずの景色だったが、何故か、今の彼の目に美しく見えた。

 朝の明るさが、陽の光が海の波間に煌めいて、果て無く広がる蒼色を美しく魅せている。
 雲一つない青空。陽の光を浴びた海。その二つが重なる水平線の果ては、どこまでも続いていくように見える。
 今日は本当にいい天気だと、提督は思った。

「今日はいい天気ですねえ」
 少女の声は何かに魅せられているようだった。そして、提督の左手の甲に、荒潮の左の手のひらが重ねられた。
 提督は荒潮のほうを見た。内心では、この少女がおそらく、自分と同じ思いを抱いているということに小さな嬉しさを感じていた。
 荒潮は提督のほうを見上げていた。二人の視線がぶつかった。二人は微笑んだ。

 そしてその様子は、その場にいた全員が見ていた。ある者は半ば呆れ笑いで、ある者は羨ましそうに、ある者は、朝の太陽を見るのと同じように、慣れきった目つきで。

 執務室の机の上で、提督は、書類の上に筆を走らせている。遠征や出撃に関する書類。資材の収支報告の書類。この鎮守府所に所属している艦娘の成果などを書き連ねた書類。書類。書類。とにかく書類。毎日が書類との付き合いである。世の社会人のうち、異性より先に書類と長い付き合いを強いられるようになってしまった者がどれだけ居るのだろうか。そんなことを考えながら、提督は、書類を読み、サインし、判を押している。

 たまに、内容に問題のある項目が、読み手の目に飛び込んでくることがある。さながら工場のベルトコンベアにひそかに紛れ込んだ不良品のように目についたりするのだ。

 例えば隼鷹の例。二か月ほど前、彼女を旗艦として他鎮守府の艦隊と演習を行った。この鎮守府の演習場を使い、外部の艦隊を招いたのだが、その時は向こうの艦隊にも隼鷹がいたのだ。演習はこちら側の戦術的勝利であったが、かろうじて最終的な勝利を手繰り寄せたのは、隼鷹が相手側の旗艦の長門に食らわせた艦載機攻撃だった。この演習ののち、こちら側の隼鷹と相手側の隼鷹は互いに意気投合した。隼鷹は執務室に行き、大浴場の使用申請をして、提督はそれを受諾した。

 ここまでは良かった。

 問題は、隼鷹が大浴場に酒を持ち込んだことである。

風呂場で酒を楽しむという行為自体を、提督は否定をしていない。温泉に浸かり、浮かべた盆の上に酒を満たした徳利を乗せ、猪口で少しずつ飲むのは、風情のある行為でと提督は考えている。そのことは千歳と肩を並べて話題にしたことがある。暖かい湯船の中で月見酒という構図には、日本人らしい趣が感じられる、一人静かに楽しんでみたい、やるとすればやはり夜だ。昼間も月が見えることがあるけれど――といったことを。

 しかし、隼鷹は徳利ではなく、一升瓶を大浴場に持ち込んだのだ。それも、一ケース分。

 止める者はいたのだが、止められなかった。止めても隼鷹は聞かなかった。仮にその時、長門か那智のどちらかが近くにいれば、隼鷹も行動を起こさなかっただろう。その時、大浴場に一緒に居た艦娘は、内気な駆逐艦や軽巡洋艦のみであった。それ以外は、鎮守府の談話室で、先ほどの演習での互いの武勇を語らっていた。つまり、間が悪かったのだ。
 提督は、この部分を報告によって聞かされ、一部始終は自身でも目の当たりにした。報告したのは、その時隼鷹たちと一緒に大浴場の中にいた潮だった。
 隼鷹と外部の隼鷹はこともあろうか、湯船に浸かりながら、一升瓶を水のように飲み下していった。潮によれば、その時の外部の隼鷹はさすがにいささか遠慮がちであったらしい。しかし、一升瓶に張られていた銘柄のラベルを隼鷹が満面の笑みで見せたところ、外部の隼鷹は「ヒャッハァァァァァーーッ!!」と諸手を上げて喜んだという。思えば無理もないことである。その酒は珍しい代物で、一本一万円以上もするのだ。訳あってこの鎮守府が大量に譲り受けた代物で、たとえ一ケースが一時間で消費されようとも、まだ有り余って過ぎるほどの在庫が第七倉庫の大部分を占めていた。

 W隼鷹がお互い手に持った一升瓶で乾杯の音頭を打ち鳴らし、キャップを外し、瓶に口をつけて顔を仰いだとき、阿武隈は潮に、提督を呼ぶように命じた。阿武隈は隼鷹たちにやめるように諫めていたが、彼女のかける言葉の全てに「大丈夫大丈夫!」と返していた。

 潮は潮で取り乱していて、大浴場から脱衣所に入り、自分の衣類を収めたロッカーから下着を取り出し、身に着け、バスタオルを胴に巻いて、スリッパを履いて、可能な限りの速さで執務室まで走っていた。その時の様子を、廊下で潮たちとすれ違った艦娘たちは後に「おっぱいがはみ出していた」と口をそろえて言った。龍驤に至っては、放心した顔で「なんでや……なんでなんや……どこで差が付いたんや……」と、零していた。

 執務室は鎮守府の二階にあり、中央階段を上りきって真っ直ぐ行った突き当りにその扉がある。潮は右手を手すりにかけて、左腕でバスタオルを胸の上まで引き上げ、ぴったりと押し付けて、二階までの段を一つ飛ばす勢いで一気に上がった。最後の段に差し掛かったところで、段の角で右足のスリッパの爪先が滑り、危うく転ぶところだったが、バランスを崩したその一瞬後、手すりを握る右手に力を込めて体を引き上げた。脱げた片方のスリッパが手すりの向こう側から階段一つ分下のほうへ落ちてしまっていたが、急いでいたため、潮は先を急ぐことにした。

 その際に、急いでいたためになおざりにされていたブラジャーのフロントホックがバスタオルの裏側で外れたが、潮はそれには気が付かなかった。

 潮は執務室の扉の前に立ち、三階軽くドアをノックした。執務室の扉は鉄製の両開き戸で、戦艦や空母はともかく、駆逐艦がこの扉を開けるには片手では足りず、体重をかけて押し開けるようにするのが通例だった。潮もその例に漏れず、扉の片側に肩を押し当てて思い切り押した。ほぼ同じタイミングで、

「はいはい、誰かな」

 丁度扉の近くに立っていた提督が、ノックの音を聞きつけ、扉のすりガラス越しに影を見て、扉まで数歩歩いて、内側から把手を握って、引いた。提督は、執務室の扉を開けることに日ごろから駆逐艦たちが難儀していることを知っていたので、ほんの少し手を貸すつもりでやったのだが、潮は一刻も早く提督を呼ぶことで頭の中が一杯になっていたので、普段以上に焦っていた。そのため、驚嘆すべき片腕の力ですんなりと扉を開いた提督の胸に、特型駆逐艦一の豊満な体が飛び込んだのは、偶然の結果である。

 その時のことを提督はあまり思い出さないようにしていた。何故なら、彼自身の強靭な精神力を以てしても、勃起が抑えられないからである。

 潮が扉の向こうから思いもがけない勢いで提督の胸に飛び込んできたとき、彼が最初に気が付いたのは、かの特型駆逐艦が普段とは違って――濡れ鼠になっていることだった。潮のわずかに青みがかった黒髪は水を含んで艶を帯びていた。提督が反射的にその小さな体躯を両肩で抱き留めたとき、まるで、柔らかい花束を両手いっぱいに抱きかかえているような錯覚を覚えた。石鹸の香り。椿油を含んだシャンプーの香り。他の何かに例えようもないような、甘い香り。何故かその瞬間、夜露に濡れた花園の中にぽつんと立っている潮が、提督の脳内にイメージされた。

 濡れたバスタオルで体を包んだ潮の体に触れたことよりも先に、その香りのために、潮がどこから来たのかを察することが出来た。
「ひゃあああああ!」

 潮が悲鳴を上げた。不意に思いがけないことが自分の身に起こった時に、誰もが発しうる驚愕の悲鳴だった。道を歩いていたら頭の上のほうにあった木の葉から毛虫が落ちてきたときや、暗い部屋で壁際にある電気のスイッチを押して、部屋が明るくなった途端、自分の触れた数センチ先にゴキブリが這っていたと分かったとき、正常な人間ならまず驚く。そして悲鳴を上げる。潮の場合も、まさか体重で開く扉がいともあっさりと開き、しかもその先に自分の上司が立っているということは、ほんの少したりとも想定してはいなかった。彼女をわざとではないにしろ驚かせる結果となった提督は、そのようなことを知る由も無かった。

「おおっと、済まない、済まない。潮か。一体どうしたんだ? 濡れてるぞ」

 潮が提督から離れるよりも先に、提督は潮の背中に回した両手を引いて、彼女の両肩を軽く叩き、自分は一歩引いた。武道家が相手との間合いを取るような、一種の慎重さを以てして、上司は部下とわずかに距離を取った。

 潮は顔を上げて、提督を見て、より一層取り乱した。その時点での彼女の姿は、提督からは不自然極まりなく見えていた。胸のあたりをバスタオルで隠しているが、十分に隠せているのは上だけで、下半身のほうはカバーされていないため、下着がモロに見えてしまう。

 ただ事でないということがあまりにもわかり過ぎる状態だった。

「あ、あ、ああ、あ、あの、提督、その、あの、お風呂場で、お風呂場で」

 提督は、潮の言葉の最後だけを聞いて、少し考えた。

「風呂場? ああ、大浴場か。 そうか。さっき隼鷹が使うって言ってたよなあ」

「あ、はい! その、隼鷹さんが……」

「隼鷹が? そういえばどうしたんだ、潮? ずいぶん慌ててるな」

「は、はい! その……!!」

 潮の声が不意に止まった。そして、ハッとした様子で両手を口に当てた。

「あ、提督、その……ごめんなさい、服が……」

 潮が提督の服の裾を見て、濡れていることに気が付いた。その裾から伸びる左手の甲が濡れていることにも気が付いた。潮は、自分が上官の上着を濡らしてしまった、と考えた。当の提督は、服と自分の体の末端部分が濡れたことなどどうでもよく、そんなこと以上に潮が慌てている問うことが気がかりでしょうがなかったのだが、彼女はそのようなことを知る由もなかった。

「服」

 提督は潮の視線の先にある、自分の濡れた服に一瞥を投げた。急に飛び込んできた潮を抱きとめたときに、濡れていた髪に触れたのだ。潮はそのことに、提督よりも遅れて気が付いた。

「乾くから気にしないで。大丈夫。それより――」

「い、いえ! あの、拭きます!」

 潮はここ数年で一番慌てていた。そして、提督に対して無礼を働いてしまったという意識が先立って、自分の体を覆っているバスタオルのことが完全に念頭から追いやられた。潮はバスタオルの下の端をつまんで、自分が上司に付けてしまった水気を拭おうとした。

 その時の潮の判断ミスは、左手を体から離してしまったことだった。右手でバスタオルの端をつまみながら提督に近づいたのだが、提督は

「いや、いいよ。いいって」

 と、慌てて後ろに引いた。そのため、潮は無意識のうちに、提督のほうへ左手を伸ばした。潮はバスタオルを右から一周させていたのだが、そのことを完全に失念していた。支えを失ったバスタオルは、潮の右の肩から必然的にずり落ちた。

「「あ」」

 二人の声が完全に重なった。提督は両手を前に構えた姿勢で、自分の目に入ってきたものに驚いて、完全に動きが止まった。

 潮もまた、同じように動きが止まった。バスタオルをうっかり落としてしまったこと。そして、胸のあたりで妙な感触が――普段より開放感があるという事実の二つを、混乱状態に陥っていた思考が処理しきれず、フリーズした。

今日はここまで。読んでくださる方、ありがとうございます。ご期待ください。



地の文の部分は途中でいくつか改行した方がいいと思うよ
ものすごく横に伸びちゃって使ってるブラウザによっては左右スクロールしなきゃいけなくなるかもだし

>>11
改行ですか、わかりました。とりあえず200字を目安に改行することにします。

冒頭のほうで言っておけばよかったんですが、このスレではわりかしハードな性描写を扱います。流血やNTRや胸糞とかでは無いですけど、もし嫁艦があられもないことになってしまっていたらすいません。ご了承ください。

今日は2スレ分だけ投稿します。

 ひとことで言えば、アンバランスな大きさであった。もっと詳しく表現すれば、年相応と言うと真っ赤な嘘だとわかるほど、その一部が発達していた。有体に言うと、おっぱいがとても大きかった。
 第七駆逐隊を構成する艦娘の四人は、他の姉妹間の例に漏れず、ある種の個性を持っていた。漣は独特の言葉遣いやテンション。曙は気が強く、特に提督に対してはかなり当たりが強いところ。朧は蟹と絆創膏。そして潮

 は、蝶の口吻を思わせるようなくるりと丸まったアホ毛、曙を鏡で反転させたような内気でおとなしい性格、そして、服の上に隠されている巨乳。
 一メートル半ほどの背丈に対して、その胸はあまりにも大きすぎる。そのことは本人も自覚していた。第七駆逐隊の面子は白のセーラー服を着ているが、潮は工廠にいる妖精に頼んで、自分のセーラー服の丈と厚みを適正

なサイズより少しだけ大きめに設定してもらっていた。そうすれば、胸があまり目立たなくなるだろうと考えたからである。
「でもそれ、ちょっと太って見えると思うよ。愛宕さんや高雄さんみたいに胸の下の隙間、無くしてもらうように言ったら?」
 新調してもらったセーラー服を身にまとった姿を、相部屋の朧にちょっと誇らしげな気持ちで見せたとき、こう言われた。朧に悪気がないことは分かっていたが、理屈で分かっていても、どうしようもないこともある。こ

の気持ちを、人はよく『割り切れない』という言葉で飾るのだと、潮は後から思い返した。
 潮は、ベッドに胡坐をかいて本を読んでいた朧の頬を両手で挟んだ。そして、ぶるぶると小刻みに揺らした。何かしら不満があるときはいつもそうしていた。朧は十数秒、頬を電動マッサージされている間、引き締められ

 た唇に不満げに睨むような目つきをした表情の潮と、ずっと目を合わせていた。朧にはその表情がじっとりと湿って、思いつめているように見えた。
 両手が頬から離れたとき、

「ごめん」

 と、朧はひとこと言った。潮は、胸を控えめに見せる(と自分で思っていた)服を着た姿が「太って見える」ことに内心大ダメージを受けていたため、
 
「うん。いいよ」

 と言ったきり、部屋に入った時とは打って変わって、萎れたように部屋を出て行った。潮の後姿を、朧は、せめてふくよかに見えるとか、体の線がちょっとはっきりしないように見えるとか、言い方を考えたほうがよかっ

 たかなあと、若干の後悔が入り混じった気持ちで見送った。だが、読んでいた本に目を戻すと、十分後にはそのことが頭の中から綺麗さっぱり消え去っていた。
 潮はその後しばらく考え込んだ。鏡の前に立って、いろいろなポーズを取った。厚手のセーラー服越しからでもはっきりと感触のわかる乳房を、両手で小さく揺すった。
 そして、決めた。いくらか太って見えていようと、胸を隠せればいいと。
 こんなに大きいと、みっともない。そう思っていた。

 そのみっともない胸が、よりによって一番見られたくないと思っていた相手の前に晒されているということに潮がやっと気が付いたころには、提督は動き出していた。

彼の目の前には、開け放たれた観音開きのドアのようになったブラジャーに押しのけられて、駆逐艦にあるまじき双丘が、際どいところで桜色の頂きを隠して飛び出していた。

 提督の手は、考えるより先に行動を取っていた。潮の足元に垂れ落ちていた湿ったバスタオルを右手の指先でつまんで、勢いをつけて引いて手元に手繰り寄せた。

 両手でバスタオルの端から端を持って、横に長く広げた。一連の動作の始めから終わりまで一秒もかからなかった。その間、目に入ってきたものに対して心を動じさせることは一切なかった。

 我に返ったとき、潮は、両手を口に当てて、声を上げようとしていた。だが声は出ずに、掠れた音が喉の奥からこぼれるだけだった。

 瞼はこれ以上は開けないほど大きく見開かれていた。瞼の中の青い瞳を宿した眼は、自分の目の前でバスタオルを持っている人物の黒い二つの瞳に、焦点を結んでいた。

「潮、これを」

 提督はバスタオルを潮の肩の上にかけて胸を覆い隠そうとしたが、これ以上接近することに戸惑いを覚えていた。潮は焦っていたが、提督も焦っていた。

「――」

 潮は目を白黒させて、目の前に広げられているバスタオルを見た。かなり遅れてその意味に気が付き、提督からひったくるようにしてバスタオルを取り、露わになった肩と胸を覆った。

「あ、あ、ああ、あの、提督、その、あの、て、提督――あ、あぁぁ――」

 潮はしどろもどろになって、バスタオル越しに自分の両肩を抱き、なんとか話そうとした。目から涙があふれ出した。しばらく開かれたままで乾いていたこともあったが、それだけではなかった。

 羞恥の念が涙腺を大いに刺激したために、白く柔らかい頬の上に川が二つ出来てしまっていた。しかもそれは、しばらく流れを止めそうになかった。

 潮はその場にしゃがみ込んで、泣き始めた。ただ、恥ずかしいという思いのために泣いた。

 同性からの視線に対しても、時として恥ずかしさを覚えた。決まりの悪さと、自分の体に対してのやりきれなさを感じた。

 それでも、泣きたいと思ったことは今だかつて無いことだった。

 自分のコンプレックスを異性の目の前に、全体ではないにせよ、露わにしてしまったという事実の認識は、潮がこれまで送ってきた生活の中で予想だにしていなかったものを呼び起こさせた。

今日はここまでです。遅筆がちですが、どうか気楽にお付き合いください。

>>13
の改行は失敗しました。投稿してみるとすごい見づらい。やっぱ、下手に手を加えるのはやめます。

確かにすごい下手だわ(改行が)

>>14みたいに一文で改行されてると個人的に見やすいです

>>16
>>17

今思えばなんで改行を200字ごとにしようとしたのか謎です。次からは>>14みたいにしときます。
寝ます。おやすみなさい。

 泣き崩れる潮を見て、提督は考えた。

 近くに寄って、肩を抱いて落ち着かせる――裸に近い状態でバスタオルに身を包んでいる相手でなければ、異性であることを差し引いても、ひとまずは及第点であったはずだ。
 裸に近い状態でバスタオルに身を包んでいる年端もいかない異性相手にそんなことをするのは、落第を通り越して自殺行為だ。

 誰かを呼ぶ――のは、とてもまずい。
 むしろ今、誰一人として来てほしくない。
 この状況だけを見られれば、あらぬ誤解を招く結果となることは火を見るよりも明らかだ。
 特に、青葉。鎮守府のトラブルメーカーにして重巡洋艦。
 スピーカー。
 青葉が来たら、とりあえず逃げる隙を与えずに一瞬で気絶させておこう。

 どうにかして落ち着かせる――そのどうにかが出てくれば苦労はない。
 どうしよう、ジョークでも言おうか? 
 布団が吹っ飛んだ。
 タイに行きたい。
 生麦生米生卵。
 改造した艦はでかいぞう――なんてね。
 駄目だ、こんなときに気の利いた事なんて絶対に言えっこない。

 何かかけるものを――執務室の中にそんなものはなかったはずだ。
 前は何故か布団を置いていたが、もう別のところにやってしまった。
 今思えば、そんなものがあること自体が不思議だったが。
 とにかくどうでもいい。
 何かかけるもの。
 かけるもの――。

 そこで提督は、現状ではこのようにするのが一番だと、無意識に近いレベルで判断を下した。
 自分が着ている服の金属製のボタンを上から順に外していき、両腕を袖から抜き去った。
 裾をズボンの下にたくし込んだカッターシャツ姿になって、今度は自分の軍服の上着を両手にしていた。

「大丈夫か? 潮」

 どう見ても大丈夫ではなかったが、他にかける言葉が思いつかなかった。
 潮は両膝を、カーペットを敷いた床につけてうずくまっていた。
 両手で覆い隠された顔はうつむいている。
 短く、何度もしゃくりあげている。
 大声を上げるような気配はなかったが、単にそれだけの気力が残されていないのかもしれない提督は思った。実際にその通りだった。

「潮。これを」

 提督は意を決して、潮のもとに立って、その丸まった背中に今しがた着ていた白の上着をかけた。
 潮が今度こそ悲鳴を上げるのではないかと気が気でなかったが、杞憂だった。
 相変わらず泣いてはいたが、いくらか落ち着いてきているようにも見える。
 厚手の布地で作られている上着は、潮の剥き出しになっていた柔らかな白さの背中を覆い隠した。
 それを見て提督は、潮の背中に指を滑らせてみたくなった。
 そうすれば、どれだけ滑らかな感触が指に伝わってくるのだろうという思いが、意図せず頭をよぎった。
 まるで悪魔が耳元で囁いたかのように。

「落ち着いたか、潮? 私が着ていたもので悪いが、使ってくれ」

 提督は穏やかに、はっきりと言い聞かせるようにして、潮に言葉をかけた。

 潮はもう泣いていなかった。

 提督にもその音が聞こえるほど、息を吸って吐くことを繰り返していた。

 やがて、潮の幼さの残る顔を覆っていた両手が離れ、両目がゆっくりと上を向いた。

 目線の先に提督が居ないことに気づくと、首を巡らせた。

 潮はそこで初めて、提督が自分の隣に立っていることを知った。

「あ、て、提督……あの……」

「オーケー。もう十分泣いたみたいだな。とりあえずそのままで」

 提督は両手を前に構えた。

「何と言ったらいいか、その……ごめん。何か」

 提督は本当に何と言っていいのかわからなかった。

 自分の何が悪いのかわからないまま謝るのは、愚か者か馬鹿が取りがちな行いである。

 しかし、他に言うことが思い当たらなかった。

 胸を見てしまってごめん、とは言えなかった。

 見ようと思って見たのではない上に、潮のような相手にはとても口に出して言うことが適切なことであるとは思えなかったからだ。
「て、て、提督……その、ごめんなさい」

「うん。わかった。本当は謝られることなんてないんだがね」

 潮は緊張のために口元をこわばらせていて、喋るたびに声が震えていた。

 その怯えた調子の声で謝罪を繰り返されることに、提督はそこはかとなく後ろめたさを覚えた。

 それと同時に、何か別のものがみぞおちの裏側あたりにわだかまるような感覚が覚えた。

 それは男性であれば身に覚えがある感覚だった。

 内心では、やはり謝られるどころか謝るのはこちらのほうではないかと思い始めていたが、その理由が説明できる内容ではないので、何も言わないことにした。

 提督は『待ってくれ』と身振りで示した姿勢のまま、下半身――太腿と臀部に力を込めた。

 そうすれば、血流は陰茎ではなく、脚の付け根のほうに流れる。

 結果、勃起が抑制される。

 提督は日ごろから、適切ではない場所で勃起の前兆候を感じ取ったとき、常にそうして鎮めていた。

「まあ、私のことは置いておいてくれ。潮、隼鷹がどうかしたのか、とりあえず聞かせてくれないか?」

 潮はハッとした様子で、口元に手を寄せた。

 その反応が、先ほどの事態の引き金になったそれのほぼ完全な再現だったため、提督はぎくりとした。

 また同じようなことが起きたら本当にどうしようかと一瞬思った。

「あ……忘れてました、その、ごめんなさい」

「私も忘れてたよ。仕方ない。冷静さを欠けばそんなものなんだ」

 潮はほぼ完全に落ち着きを取り戻していた。バスタオルで上半身の前半分を、上官の上の軍服で後ろ半分を隠した姿で、潮は深呼吸を数回繰り返した。

次に彼女が発した言葉からは震えがほとんど消えていて、はっきりとしていた。

「隼鷹さんたちが、その、お風呂場で大変なことになってるんです、提督」

「あらあら、提督。どうされたんですかぁ?」

 執務室の机に両肘をついて、じっと動きを止めていた提督の耳に、声が飛び込んできた。

 荒潮の声だった。

 その声はいやに艶めかしく、何かを含むところがあった。

 提督は荒潮のほうを向いた。

 荒潮は机の端に両手をついて、覗き込むように提督を見ていた。

 そして笑っていた。

 細められた目と、弓なりに口角の上がった唇。

 カラッとした笑いと言う言葉があるが、荒潮の笑みはそれと対極に位置する、一種淫靡な雰囲気を纏った表情だった。

 まるで、何かを見通しているかのように。

「ちょっと思い出していたことがあってね。ほら。前に隼鷹が問題を起こしたことがあっただろう」

 提督は、いつの間にか追憶に浸って、仕事を手つかずにしていたことをいくらか弁明するように、短く笑って見せた。

「ああ、最近ありましたねえ。隼鷹さん、とぉーっても怒られちゃってましたから、覚えてるんですよねぇ」

 荒潮がくすくすと笑う。

「まあ、あれはさすがに悪ふざけが過ぎてたからな」

 提督は短くため息をついた。

 潮が執務室にやって来てから後に大浴場へ向かうまで、大浴場での出来事の後、様々なことがあった。

 様々なことが。

 隼鷹と別の鎮守府からの隼鷹は、温度がおよそ43度に設定されている湯船に下半身を突っ込みながら、互いに飲み競いをしていた。

 その結果、酔いつぶれていた。

 W隼鷹は檜で造られた浴槽のへりに身を乗り出すように突っ伏して、前後不覚に陥っていた。

 阿武隈まで酔っぱらっていた。ただ酔っぱらっているだけでもなかったし、話もそれだけではない。

 とにかく様々なことがあった。

 順を追って思い出そうとすると、眩暈のしそうな気分に襲われる。

 そんなことを考えて、そうとは気づかずに頭に手を当てていて、そこでやっと自分が、本当に眩暈に襲われていることに気が付いた。

「あら、提督」

 荒潮の声がした。その声が先ほどより近くなっていることに気が付いて、顔を上げた。右手のすぐ近くに、荒潮が立っていた。

「どうした?」

「何か思い出しているんでしょう?」

 含み笑いを零しながら、荒潮が言った。

 その声は提督にあるイメージを連想させた。

 昼ではなく、夜のための。

 また、今ではなく、今からそう遠くない後のための。

「思い出すことはいくらでもあるからな」

 それはもう、本当にいくらでも。

 一階に差し掛かる階段で真正面から受け止めた体の柔らかさ。

 白く、柔らかく、膨らんだ半身が曝け出されている。

 特に何も考えずに大浴場に入ったために、それを見ていた者たちによって大騒ぎになってしまったこと(すぐに誤解は解けた)。

 脱衣所の中の、洗面台の前の鏡。

 棚の中の脱衣籠からはみ出ている下着。

 籐の床。

 大浴場に通ずる引き戸が開いていて、そこから湯けむりがこぼれだしている。

 そして、その中に――

「あらあらぁ」

 荒潮が笑った。

 そして、提督に近づいて、左肩に手を置いた。

「イケナイこと、思い出してるのねえ」

 その声が、提督が浮かべていた断片的なイメージの全てを無に帰した。

 荒潮の声は、普段の調子とは変わらないものであり、また全くかけ離れたものであった。

 鳩尾の奥を疼かせる声。

 耳に滑り込み、その一字一句が含む色や香りまで感じられるように錯覚してしまうような、声。

 聞き覚えのある声――今日の夜に聞くであろう声。

 提督は何も言わなかった。

 声を出せなかった。

 想像の余地を一切許さないほどの生々しい現実感が、確実に意識を捕らえていた。

 傍に立っている少女。

 その温もり。

 幽かな香り。

 ああ、私は今、彼女に触れられている――。

 左肩に置かれた荒潮の手がするりと首筋を通り、胸の中心に添えられた。

 そして彼女は提督の右肩から背中を傾けて顔を寄せた。

 荒潮はその耳元で、舌をわずかに覗かせ、唇の内側を舐めまわした。

 その音が相手によく聞こえるように。

 そして、少しのためらいもなく、湿り気を帯びた桜色の唇を、耳元から斜めに下がったところに押し付けた。

 最初は軽く触れて、次には深く吸い付いた。

 左腕を提督の体に回して抱いて、頬に口づけをしたまま、荒潮は残った手を提督の右脇腹から内側に滑らせた。

 一度強く唇を押し付け、そして離した。

 口づけの音が、驚くほど大きく、執務室に響いた。

 ふう、と熱っぽい吐息を提督の耳に吹き付けて、荒潮は

「好きよ」

 と、囁いた。

 提督はじっと情欲を堪えていた。

 疼きは炎となって、肉体の理性の箍が残り二つを残して外れてしまっていた。

 先ほどの回想によって半勃起していた陰茎が、今や世界に羽ばたこうと足掻く籠の中の鳥のように、官製支給品のズボンを内側から突き上げていた。

 それはもう、痛いほどに。

 提督はあくまで、何事も無いように振る舞おうとしていた。

 椅子に座った自分を、年端もいかない少女が抱き締め、体を押し付けてきても、何事も無いように振る舞おうとした。

「好きですよぉ、提督……好きですよぉ、提督……今夜もたくさん、たぁっくさん、荒潮を愛してくださいね……荒潮の中を、あなたでいっぱいにしてくださいね……」

 そう囁かれても、何事も無いように振る舞おうとした。

 努力はしたが、ゾクゾクと身内から昇る感覚を抑えるには至らなかった。

 最も、どのように努力をすれば、この誘惑に抗うことが出来るのか疑問であった。

 ただじっと堪える? 別のことを考えて意識を逸らす? 自分は少女趣味ではないと頭の中で反復する? 

 どれも無理な気がした。

 努力ではかなわない領域である気がした。

 もし金玉を力づくで引っこ抜くことを努力と呼ぶのなら、それがそうなのかもしれない。

 やがて荒潮は、唇を提督の耳元から、首のほうへ近づけた。小さく尖らせた舌を唇から覗かせ、首元に触れようとした。

 コン、コン、コン。

「司令官、失礼します!」

 溌剌とした礼儀正しい声。

 その声が朝潮のものであることは、室内の二人には一瞬で分かった。

 ある種の部屋へ入る際の最低限のマナーから、駆逐艦一人では開けるのに苦労するほど重い扉から朝潮の姿が覗くまで、優に五秒ほどの間があった。

 五秒さえあれば、最前までの行為を何事もなかったかのように取り繕うのに十分すぎた。

 その五分の一でも十分だった。

 事実、朝潮が執務室の扉の前に立っていることが分かった瞬間に、荒潮は一秒で提督から文字通り飛び退いていていた。

 一度目に右足で鋭く床を蹴って真横に、二度目に左足の爪先で地に足をつけ、体重を傾けて左へステップを踏んだ。

 見事な早業だった。

 きいい、と鳴き声を上げるように扉が軋み、朝潮が入ってきた。

「やあ、朝潮。作戦報告か」

「はい、その通りです! 司令官」

 朝潮型の一番艦、ネームシップ、長女――は、敬礼の姿勢を取って提督を向いた。

 朝潮の視線が、ちらりと荒潮のほうを向き、すぐ外された。

 必要がない限りは、姉妹であろうと声をかけようともしない。

 あくまで職務に忠実であることが窺える態度だった。

 提督としても、最上型や阿賀野型や暁型のように、公私問わず姉妹中の睦まじさを目の前で展開されることはやぶさかではなかった。

 それと同じくらい、朝潮のように真面目でしっかりと仕事に励む艦娘を見るのも好きだった。

 上司としては、真面目でしっかり者の部下を持つことが如何に恵まれているか、上司であることを続けていればいるほど身に沁みてわかるのだ。

「今回、この朝潮が旗艦を務めた遠征は――」

 朝潮が小脇に下げたクリップボードと書類の詰まったクリアファイルに顔を向け、報告を始めた。

 それを聞いている間、提督も、机の傍に立っていつもの微笑みを絶やさない荒潮も、同じことを考えていた。

 そして互いが考えていることはわかっていた。

 それは、あと数時間後のことである。

がんばれ

>>26 
ありがとうございます。


 夜が更けた。

 提督は鎮守府の三階の角部屋――将校用個室の椅子に座って、本を読んでいた。

 表紙を含め数枚分しか左手に持っていない。

 英語のペーパーバック。

 壁際にある本棚の中から一つ抜き取ったものである。

 提督は読書が趣味であるが、これまで購入した本を読む機会にあまり恵まれなかった。

 恵まれなかったという言い方は語弊があるな、と提督は思った。

 約一年ほど前から、自分から進んでそうしているではないか。

 だが、読書が好きでなくなったわけではない。

 ただ、読書以上に好きなことが出来ただけだ。

 提督は自分にそう言い聞かせた。

 だが、自分にそう言い訳してもやましさが消えてくれるわけではない。

 この部屋の中の本棚は三つ、並んで配置されている。

 全て同じ製品の色違いで、提督よりも背の高いその本棚は八つの仕切りがある。

 下半分がハードカバーの本のために、上半分は文庫本のために使っている。

 そして、本棚は右端のものが一番上の仕切りにわずかな隙間を残して、それ以外は本が居座っていた。

 本棚の中の本の約九割は、未だに持ち主に目を通してもらっていない。

 以前そのことを話したとき、叢雲から耳に痛いことを言われたのを思い出した。

 ――あんた、読みもしない本にいったいいくら使ったわけ?

 叢雲にかかれば、正論がいかに耳に痛いものかよくわかる。

 至極当然に自らの至らなさを指摘されてしまうと、気持ちがくじけてしまう人種がいる。

 提督は(情けないことに、と自分では思っていたが)まさにその一人だった。

「本を読むこと以上に素晴らしいことだってあるさ」

 膝元に広げたペーパーバックから視線を上げて、誰にともなく呟いた。

 まるで、その言葉に返事をするかのように

 コン、コン、コン。

 ノックの音が響いた。

 執務室の重苦しい鉄製の扉には到底出すことのかなわない軽快な響き。

 そして今度は、待ちわびていた声。

「失礼しまぁす、提督」

 扉越しに秘め事を囁くような声。

 きいい、と蝶番の僅かな軋み。

 提督はペーパーバックを閉じて、右手のコーヒーテーブルに置いた。

 荒潮がゆっくりと入ってきた。

 何度見ても心に強く何かを訴えかけて来るようなものは存在しうる――提督はそんな言葉を頭に浮かべていた。

 少女は夜の姿をしていた。

 シルク製の薄い桃色のネグリジェ。

 そこから透けて見える揃いの黒のブラジャーとパンティー。

 身に纏っているものはそれだけで、裸とそう変わらない。

 部屋の中はコーヒーテーブルに立っている薄いシェードの付いたランプのそう明るくない光で満ちている。

 橙色の光が夜の闇を押しのけて、まるで一つの舞台を薄い暗幕で覆っているように思える。

 ただ二人だけの舞台。

「この姿のまま来たのか」

 椅子の上で両手を組んだまま、提督は静かな声で尋ねた。

「ええ。そそるでしょう?」

 荒潮は後ろ手に掴んでいたドアノブを指から離した。

 提督は椅子から立って、荒潮のほうに歩いた。

 少女の体が、白くて滑らかな絹のような肌が、余すとこなく見てとれる。

 ぼんやりとした明るさの中でも、その存在が浮き彫りになって存在感を湛えている。

 提督にとって、目の前の光景は幻想的にも感じられ、まるで現実から一歩引いたかのように見える。

 二人は互いに触れられるまでに近づいた。

 先に手を伸ばしたのは提督だった。

 荒潮の腰に右手を、首もとに右手を回した。荒潮も同じように触れた。

 互いに抱きしめ会う寸前のような格好になった。強い力は込めない、優しく包み込むような抱擁。

「温かいな」

 提督が言った。

「あなたも」

 荒潮の目は陶然として、一人の男の瞳に向けられている。

 少女の瞳は潤んでいて、窓から覗く月の光を帯びている。

 提督はその光に魅入られていた。

 荒潮の口元が綻びて、二つ重なった柔らかく滑らかな唇がわずかに開かれた。

 提督には声もなく形作られた言葉の意味がはっきりとわかった。

 きて。

 彼女は確かにそう言っていた。

 提督は右手で荒潮の体を引き寄せた。

 そして身を屈め、首を傾げて、荒潮の唇に自分の唇を重ねた。

 唇を通して、柔らかい感触が伝わる。

 温もりと息遣いが伝わる。

 感情が――欲情が伝わる。

 二人には、唇が全てを伝えて来るようにすら思えた。

 最初は僅かに触れあった。

 その次には、お互いの唇を押し当てながら、その隙間から舌を繰り出して、相手の内側に侵入し、舌と絡ませた。

 唾液に濡れて、人肌ほどの体温を宿した肉と肉が、それ自体が交尾をしているように絡み合う。

 一人のためにはいくらか広い部屋に、水音が微かに響く。

 二分間、言葉を使うための場所を通して、言葉では決して成し得ないものを伝えあった。

 この時も、先に離れたのは提督だった。

 提督はこの手始めの情交の最後に、自分の口の中にいた少女の舌を小さく吸った。

 舌が引っ張られ、それを覆うように濡らしていた唾液まで吸われる感触に、荒潮は目を見張った。

 驚いた表情は、すぐに別のものに取って代わった。

 それを目にした男であれば、誰しもが欲望の疼きを感じずにはいられない表情に。

 提督は離れる間際、荒潮の上唇についばむようなキスをした。

 器用にも歯の内側で舌を使って、キスの音を立ててから、首を真っすぐに戻した。

 提督と荒潮は再びもとの姿勢に戻った。

 先程との違いは、荒潮がまるで蕩けたバターのようになっていることと、提督の内側に煮えたぎる感覚が起こってきたことである。

 限界が近い、と提督は思った。

 余裕ぶってはいるが、一秒たりとも耐えがたい。

 提督は荒潮の腰に回した右手で彼女を引き寄せて、左手のほうにあるドアを示して、言った。

「寝室に行こう」

私的な話になりますが、E-4を突破しました。
かなり苦労させられました。最終形態に入るまでは12回だったのが、最終形態に入ってからはギミックの破壊を含め、約50回は出撃しました。50当たりで数えるのを止めました。
初戦の潜水艦による5連続大破や、イタリア艦を持っていなかったための非情なる羅針盤の洗礼、果てはPT小鬼群による戦艦重巡の攻撃吸収による無念のギミック破壊失敗などを潜り抜けて、やっと最終形態を突破しました。
ちなみに難易度は甲です。
バケツは300ほど、燃料弾薬は備蓄量を半減以上消費しました。
今からE-5を甲で突破できる気がしないので、乙にしてなんとか萩風ゲットまでこぎつけたいと思います。
皆さんもあと四日間ほどのイベント、突破していない方や堀りが済んでいない方は、是非万事上手くいくように願っています。

最後に、散々苦労させてくれたPT小鬼群へ






































              ____
           ./, - 、, - 、   ̄ ヽ

          ./-┤ 。|。  |――-、 ヽ
           | ヽ`- ○- ´ /  ヽ  |
           | -   |     ―   |  |
           |  ´  |    `ヽ  . |  |ヽ
  ∩      人`、 _  |    _.- ´ | .|  \
  |  ⌒ヽ /  \  ̄ ̄ ̄     ノノ       \
  |      |´      | ̄―--―― ´ヽ     _  /⌒\
  \_   _/-―――.| ( T )      `l     Τ(      )
       ̄       |   ̄        }      | \_/
             | 、--―  ̄|    /

 提督は寝室の扉を開いて、先に荒潮を中に入れた。

 中は居間とは打って変わって暗く、外から入ってくる月明かりすら存在しない。

 だが、それも数秒までのことだった。

 その部屋には照明機器や天井に取り付ける類の電灯が無かった。

 四方八方、壁や床や天井には、普通の部屋にはあるはずのものが無かった。

 カーペット等の敷物は言うに及ばず、コンセント、電気のスイッチ、アース、換気孔ーー果ては窓まで。

 荒潮に続いて提督が入り、部屋の壁のある部分に手を伸ばした。

 そこはテープのようなもので正方形に縁取りされているだけで、何かがあるわけでもなかった。

 にもかかわらず、提督の指先がそこに触れた途端に部屋が明るくなった。

 床はリノリウムで、それ以外は目地のない煉瓦のような材質で出来ている。

 その壁自体が、水色の淡い光に満ちて部屋全体を照らしていた。

 輝く宝石を切り揃えて壁紙の材料に使ったかのようだった。

 ただの部屋が、一瞬にしてこの世のどこでもないような空間に変化した。

  絵の中のような、美しく幻想的な空間に。

 水色の光は、寝室の中の数少ない家具とも言えるベッドと衣紋掛けをも幻から抜き出したような得も言えぬ代物のように見せていた。

 荒潮は光の中を泳ぐように、両手を広げて回っていた。

 爪先を立てて交差させ、軸足を柔らかい床の上に立てて、バレエに見えなくもない踊り方をしている。

 提督にはそういった知識がないため、荒潮の言葉で説明出来ないような衝動に任せた振る舞いに、適当な意味付けをしていた。

 荒潮もまた一時とはいえ、水底の住人となっていた。

 裸体と変わらないほどに薄く身に纏っているものは、澄みきった光に浮き出され、形を失い、わずかな輪郭を残して彼女の体にかかっている。

 対照的に、対のブラジャーとパンティーは、光を浴びるほどに陰影が色濃くなるように、本来の黒色をより深いものにしていった。

 そして彼女自身の肌も、光に映えて青白く、神々しさに胸を打たれるような美しさに造り替えられていた。

 あらゆる角度から光が射しているために陰影が一つとして無く、銀色の雪原を思わせる輝きが目に眩しい。

 提督は、自分の言葉でその美しさを言い表す方法が見つからずにいた。

 月並みな言い方が許されるなら、まるで人魚のように美しかった。なので、

「まるで人魚のようだ」

 と、提督は率直に言った。

 荒潮はそれを聞いて、小さく笑った。

「あらあら」

 荒潮はベッドの前で足を止め、提督の方を向いた。そして、両手を差し伸べるように広げてみせた。

「素敵なこと言うのねぇ」

 その時の荒潮が浮かべていた表情は、酷く妖艶だった。

 提督はベッドの前の少女のほうへ歩いた。今度の動作には一片の迷いは無かった。

 提督は荒潮の前に立った。荒潮は提督を見上げた。

 ごく自然に、当然のように、薄い桃色のネグリジェに手が伸びる。

 内側の緩やかな厚みの乳房を、両手の指先が掴む。

 男性の手、堅い樫から削ったような無骨な手。

 そのくせ産毛の一本も生えていない、どことなく柔らかい印象を与えるような手。

 その手は、荒潮の乳房をこね回している。

 荒潮は提督の目を見ていたが、ほどなくして顔を伏せた。

 不意に、自分の顔をを見られるのが恥ずかしくなったためだ。

 彼女の両手は提督の肩に置かれていた。

 その手をそっと肩から肘へ、肘から前腕へと伝い、自分の胸を揉んでいる最中の両手に自らの手を導いた。

 提督は荒潮の胸をブラジャー越しに、指を開いた手で、体に押し付けるようにして揉んでいた。

 荒潮の表情は見えなかったが、どのような表情をしているのか知っている気がした。

 荒潮の手が自分の手に重ねられても、提督はペースを乱さずに胸を揉み続けた。

 当然だが、女性の胸は柔らかい。

 その柔らかさはマシュマロに良く例えられるが、提督からすれば、荒潮の胸はマシュマロというよりは手応えのあるホイップクリームのように思えた。

 ホイップクリームに直接手で触れたことなど無いにもかかわらず、何故そんなふうに考えたのか、提督は不思議な気持ちになった。

 提督は不意に、胸を揉みしだいていた手を下に滑らせて、指先を乳房とブラジャーの隙間に潜り込ませた。

 荒潮が驚いたように身をすくませるのが、直接的に伝わる。

 間を置かずに、指先で中心部にある突起を探り当て、そこを人差し指と親指で摘んだ。

「ーーッ......!!」

 途端に、荒潮が両手に込める手の力が強まった。

 ブラジャーの上から、自分の乳首を摘む提督の手を押さえ込む。

 提督はその反応を楽しみながら、ひたすら人差し指と親指を使っていた。

 何度も何度もそうしていると、荒潮が顔を上げた。

 荒潮は、何かを言おうとしているかのように口を半開きにして、そこから断続的に呼吸をしていた。

 両方の目尻からは涙が滲んでいる。

 泣き笑いのような表情だった。

 その表情を見ていると、提督はゾクゾクするものが込み上げて来るのを感じた。

 提督は同時に、そして強めに荒潮の両方の乳首を摘んだ。それがとどめになったかのように、

「ぁ、あぁっ!」

 と、普段の様子からはあまり想像が着かないような甘く高い声を上げて、荒潮は膝からくずおれた。

「おっと」

 まるで獲物を捕らえる瞬間の蛇のように、提督の両手は荒潮の両脇に伸びて、体を支えていた。そして、ゆっくりと荒潮の体を床に下ろした。



PTは煮えたぎる油の中に放り込んで天プラにするべき


グラなんていない
バケツも燃料も完全に0だわ
5はそこそこ楽ってか4よりよっぽどカモだし頑張れ

>>34
PT小鬼のせいで艦これをやってて初めて怒りのあまり机に拳を叩きつけました。正直ムカつきますね。

>>35
頑張ります!

 提督の手が離れると、荒潮は床に両手を突いた。

 息は荒く乱れている。

 息を短く吸って吐きながら、今しがたの絶頂の余韻を噛み締めながら身を奮わせていた。

 荒潮は、自分が胸に与えられた刺激で絶頂を迎えたという事実を愉しんでいた。

 本来はこうではなかった。

 本来はこうではなかったが、このようになった。

 本来ならば、胸を揉まれたり、乳首を摘まれたりするだけで気持ち良くなることは無かった。

 否、全く無かったわけではないが、ここまで気持ち良くなったことは無かった。

 性的に達することは無かった。

「胸だけでイけるようになったな」

 荒潮は顔を上げて、提督を見た。

 そこに、紛れの無い愉悦の表情が浮かんでいるのを見て取った。

 提督もまた、水色の光を帯びて、人間離れした様相をしている。

 最も、元からこの提督は人間離れしているのだが。

 荒潮は笑った。

 普段のような笑い方と違う、腹の底から響くような含み笑い。

 荒潮は膝立ちになって、両手を提督の腰に当てて、寄り掛かるような姿勢になった。

「あなたが荒潮をそんなふうにしたのよ」

 荒潮は夢を見ているような声で言って、提督のズボンのベルトに指を当てた。

 四角い輪状の金具に通す黒い革のベルト。

 提督は自分でベルトを外そうと手を伸ばしたが、荒潮に制された。

「とりあえずあなたは、じっとしててね」

 荒潮に気をつけの姿勢を取らされて、提督はなすがままにした。

 荒潮はベルトの先端をバックルから引き抜き、ズボンのベルトループの一つ一つから抜いていった。

 その間、荒潮の正面には提督の股間があった。

 最後のベルトループに差しかかっても、荒潮はゆっくりと丁寧にすることを崩さなかった。

 提督のベルトはズボンから抜き取られた。

 荒潮は二つに曲げたベルトを手に、提督を見た。

 提督は荒潮からベルトを受け取り、しばらく考えてから、右手に持った。

 荒潮は、目の前にあるズボンのボタンを外した。

 提督の臍あたりにあるボタンだった。

 次に、提督の陰茎が漲っていることを意識しながら、ファスナーのスライドを注意深く下ろした。

 ズボンの前閉じの緩んだ部分をかき分けると、提督の陰茎がトランクスの内側から突っ張っている様子が、荒潮にはよく見えた。

 トランクスの腰回りに指を差し込んで、そのまま下ろそうとして、荒潮はふと考え直した。

 提督のトランクスを改めて見てみると、思った通りのものを見つけた。

 それは前開き穴だった。

 本来なら排尿時などに陰茎を出して、小用を足すための切れ込みだが、陰茎を出すことができればそれで十分である。

「うふふ」

 と、荒潮は声に出して笑った。

 そして、トランクスを上にずらして調整して、前開き穴を分けて、提督の勃起した陰茎を露出させた。

 大きさにして、荒潮の手首から中指の先をはみ出すほどで、人差し指と親指で作った輪に丁度隙間無く嵌まるほどだった。

 世間一般の基準より長く、太い、いわゆる巨根である。

 先端の皮は剥けていて、流れ込んだ血流でうっすらと肉色に染まった亀頭と、いくつも浮かんでいるグロテスクな静脈の筋が、はちきれそうなほどに膨らんだ欲望のこれ以上無いほどの証だった。

 荒潮は提督のトランクスから、ほぼ一日を通してズボンの内側で蒸れた汗の臭いを吸い込みながら、陰茎に指を絡めた。

 握らずに、十本の指で壊れ物に触れるように、優しく撫で付ける。

 指先が亀頭を、その下の胴部を這うたびに、陰茎が激しく脈を打つように小さく跳ねる。

 提督は気をつけを続けたまま、性器に与えられる快楽に内心身もだえしながら、出来るだけ耐えていた。

 限界はもう迎えていた上に、さらに焦らされつづけているため、意識を暴発しないようにするためだけに向けていた。

 下腹部に力を込め、腹に息を吸い込んで深呼吸をしている。

 表情筋がひとりでに動くように感じ、口を閉じることが出来ないでいた。

 自分がやったことをそのまま返されているような形だ。

 提督は律儀に前を向いたままだったので、次に荒潮が何をしようとしているのか見ていなかった。

 荒潮も、もうすぐそれが訪れることを分かっていた。

 その上で焦らし続けていた。

 自分が胸を責められたことへの意趣返しの気持ちはほとんど無く、ただ単純に奉仕のためにそうしていた。

 ゴム紐を引けば引くほど離したときにかかる威力が大きいのと同じように、焦らせば焦らすほど果てたときの快楽は大きい。

 提督も荒潮も、そのことは身をもって知り尽くしていた。

 やがて頃合いだと判断して、荒潮は両手をトランクスのほうへ寄せて、口を開いた。

 そして、両手を指の腹あたりで組み合わせ、陰茎を根本から包むように添えて、鈴口が真っすぐに向いた亀頭を開かれた唇にくぐらせた。

 提督は、亀頭にかかる刺激を受けてなお、両手を全く動かさなかった。

 温かくぬめりのある湿った肉壁に陰茎が先端から飲み込まれていき、遂に尻が裏から痺れるような感触とともに、膨らんでいた睾丸から精嚢に、精嚢から尿道に、尿道から亀頭まで巡って、目が冴え渡るほと鋭く熱い快感とともに精液が勢いよく放出されても、全く動かなかった。

 荒潮が陰茎の前半分を咥えはじめた瞬間から、射精は始まっていた。

 舌の上で、亀頭から堰を切ったように溢れ出る男の種子が喉の奥へ流れ込んでくる感触を口で味わう。

 蒸れた男の臭いを鼻で目一杯吸い込んでから息を止めて、喉に流し込まれる提督の精液を飲み干すことに集中する。

 歯で噛めるほどに粘ついた半固形の液体を飲み下しながら、舌先で咥えこんだ亀頭をくすぐり、陰茎の根本を収めている両手を前に、提督の下腹部へ押し込む。

 喉で飲み込む音を立てながら、荒潮は提督の射精をじっと受け止めた。

 提督は、快楽に耐えかねて背中を僅かに反らせながら、荒潮の口の中に今日一日で溜まった精液を放出し続けた。

 射精は十数秒間続いて、止まった。

>>40
かなり間が空いてしまって申し訳ない、メリークリスマス。

荒潮編は年内で終わらせたいと思ってます。明日実家に帰ります。頑張ります。

 最後に一度、亀頭から精液が飛んで、荒潮がそれを飲み込んだ。

 一続きの最後の精液を食道に飲み下した後も、荒潮は陰茎を咥え込んだまま離さなかった。

 一度だけとはいえ、大量に射精したはずの提督の陰茎は、未だ萎えていなかった。

 荒潮は首を後ろに引いて、相変わらず勃起したままの陰茎の裏筋を、次第に唾液を滲ませはじめた舌を左右に動かして舐め回した。

 同時に、祈るように組んだ両手を前後に動かして、陰茎を根元から扱いた。

 射精した直後に敏感になった亀頭が、舌による愛撫を受ける。

 両手によって、睾丸から精液を汲み上げるための刺激が与えられる。

 提督の陰茎が再び勢いを取り戻した。

 荒潮による舌と指の奉仕快楽を愉しんでいた提督は、手にしていたもののことを思い出した。

 黒い革のベルトーー合成皮革ではない、生き物が材料である革地と四角い金具によるオーソドックスなベルト。

 自分の男性器をまるで棒の飴のようにしゃぶっている荒潮を見て、提督は次にすることを思いついた。

「荒潮、後ろを向いてくれ」

 亀頭を口に含み、両手で陰茎を握りながら、荒潮が提督を見上げた。

 上目遣いに見つめて来るその姿は、提督にリスやハムスターのような小動物を連想させた。

 荒潮は名残惜しそうに陰茎を口の中から解放した。

 提督は、今し方外に出し終えたものが再び戻ってくるのを感じた。

 グラスにジュースが注がれるように精液が満たされていく感覚さえ覚えた。

 まるで睾丸が泉の底と通じているような感じ――あまり他者に共感してもらえそうにない感覚である。

 荒潮は提督が持っているベルトを見て、その意図を察したような笑みを浮かべた。

 膝立ちの姿勢のまま提督に背を向けて、両腕を後ろに回し、背を弓なりに反らして、首をめぐらせて提督へ視線を向けた。

 片方の手の平は肘を包むようにあてがわれ、もう片方の手は前腕と二の腕の中間に手首を押し当てるように置かれ、両腕がぴったりと平行に重ねられていた。

 暗色寄りの茶色の長髪がカーテンのように両腕を覆い隠していたが、提督はそれを左右に分けて荒潮の正面へ流した。

 提督は荒潮の両腕と背中に隙間を作ってベルトを通し、一周させてから輪の金具に通し、きつめに締め上げた。

 手首から少し先を締め付けられる際、荒潮は口を結んだままくぐもった声を上げた。

「痛かったか?」

 と、提督が聞くと、荒潮はこの一日で初めての慌てた調子の声で答えた

「いいえ。違うの」

「少し緩くしたほうがいいか?」

「え、いや……待って」

 荒潮は顔を背け、床を見た。

 まるで平に伸ばした蝋燭の火がもたらすように広がる青い光をみた。

 そうしていると、詰まっていたものが溶けて流れていくように頭の中がはっきりとするように思えるのだ。

 青い光にはそのような力と呼ぶべきものが備わっていて、それ以外にも様々なものが秘められている。

 荒潮は後ろを向かないまま言った。

「もっと縛ってほしいの……いい?」

「ああ。具体的にどうしてほしいとかあるか?」

 今度の間は先程より短かった。

「あなたにお任せするわ」

「分かった。もし仮に気に食わなかったら言ってくれ」

 提督は荒潮の体を抱え上げた。

 予告も無しにそうしたため、荒潮はきゃっと声を上げた。

 提督はそれを聞いて忍び笑いを漏らした。荒潮は半分拗ねた顔をして、

「もう、意地悪なんだからぁ」

 と、もう半分の笑いを隠しきれない声で言った。

 提督は荒潮をベッドに上げて、自分も膝を乗せた。

 そして、しごく当然のように右手で荒潮の尻を撫で回しながら、何もない壁の方へ左手を伸ばした。

 荒潮は尻を這う手に特に何も言わず、むしろそれを楽しみながら、体を前に倒してカバーをかけた大きな枕へと突っ伏した。

 そして、息を大きく吸い込んだ。

 枕の含む匂いを長く長く吸い込んだ。陰部はおろか後ろの穴まで提督に見えるように尻を高く突き出した姿勢で後ろ手に拘束されている状況に興奮を覚えて、秘部に熱が起こり、湿り気を帯びていくのがわかった。

 飢えた獣が涎を滴らせるように、愛液が分泌されているのがわかった。

 荒潮はそれと意識せずに内股を擦り合わせていて、なおも尻を撫で回している手がもう少し下の方へ伸びていかないかとひそかに期待した。

 それを知ってか知らずか、提督の親指が尻の割れ目をなぞって行き、荒潮はびくっとして肛門を引き締めた。

「お待たせ、荒潮」

 荒潮は枕に顔を埋めたまま提督の声を聞いた。

 その姿は、ふて腐れているように見えなくも無い。

 荒潮は返事をしようとして、寸前で声を押しとどめた。

「さて、お前はおそらくこれを気に入ってくれる……はず……かな。気に入ってくれるといいが」

 やけに歯切れの悪い口調に荒潮は引っかかるものを感じたが、荒潮は返事をしなかった。

 提督はいったい何を用意したのだろう? と、期待と欲情の入り混じった気持ちで、それを待った。

 提督は右手を荒潮の尻から離した。

 左手に握っているものを荒潮に見せようとしたが、その意図を何となく察して止めた。

 その代物は真っ黒な太いゴムのチューブのようなもので、長さはおよそ提督の身の丈の半分ほどであった。

 提督は右手の人差し指をチューブを握った拳に当てて、こちら側の世界のものではない言葉を小さく呟いた。

 すると、黒いチューブは、無理矢理に引き延ばされるような音を立てて、ひとりでに伸びはじめた。

 さらにチューブは、長くなってシーツの上に垂れた端から二つに割れて、たちまち提督に握られている箇所まで裂け目が広がっていった。

 拳一つ分の長さを残して二つに割れたチューブは、避けたときと同じようにそれぞれの先端から丸まっていった。

 チューブは一本の太く短い形状から、短い柄のような部分から二股に分かれて長くなった形状へと変化した。

 だが、まだ変化は続いていた。

 チューブのいびつなY字の分岐点から先が、空気を送られた風船のように膨張して、双方共に根元と同じほどの太さになった。

 とても同じものを二つに割ったようには見えなくなっている。

 二股になった部分の先端は空洞のある輪になっていたが、そこも形を変えていた。

 見えない指で四方八方から引っ張られているかのように先端部が内側から押し広げられたかと思うと、押し広げられた部分を残して徐々に輪をすぼめていくように小さくなって、ついには完全に閉じた。

 その形は亀頭のように見えるが、より正確に言うなら蛇の頭といった方が適切な表現である。

 提督はY字になったチューブの柄を握る力を強めた。

 すると、眠りから覚めた生き物のように二股の蛇の頭が本当に生きているかのようにシーツの上を這い、荒潮に近づいていった。

 提督は、二股の蛇の手綱を親指が上を向くように握り直して、荒潮の腕を縛っているベルトから数センチ先のところに掲げるようにした。

 荒潮は自分に近づいて来るものの気配を感じとった。

 提督の"力"によるものだということは言うまでもないことだとも分かっていたが、それでも一瞬だけ不安感が胸を過ぎった。

 シーツの上を滑るものの音は、何かしらの生き物を――具体的にはある特定の爬虫類――が移動する際に立てる音を連想させ、荒潮はその爬虫類をあまり得意としていなかった。

 否、はっきりと言って苦手であった。

 ある映画を見てからは少しばかり胸の中に残る良くない後味程度のものが、ある出来事に遭遇してからは洒落にならないほどに苦り切ったものになってしまった。

 恐怖の味。

 一時は出撃もままならないほどの心的外傷を乗り越えた後も、命を脅かされた記憶は拭い去りがたかった。

 作り物の話のように、殺されかけたが命は助かったからそれで終わりということは無い。

 残りの人生に広く長い影を落としてもおかしくはないのだ。

 そして、人はその影を容易く振り払えない。

 信じられないような出来事は、決定的なまでに人生の軌道をねじ曲げてしまう。

 下手をすれば、取り返しのつかない方向にまで。

「お前も前に見たものだ」

 荒潮は肩に手を置かれ、引かれるのに合わせて体を起こした。

 その瞬間、荒潮は何かが膝を伝って脚を登ってくるのを感じて、本物に近い怯え声を上げた。

「大丈夫だ、荒潮」

 提督が宥めるように囁く。

「正直、使おうか前から迷っていたが……使うことにした。今がいい機会だと思ったからだ」

 二股の蛇は、互い鏡写しにしたような同じ動きをしていた。

 一秒以下で荒潮の上半身まで這い登った蛇たちは、その素早さを遺憾無く発揮して、後ろに回った両腕の肘から少し上を何周もした。

 それを見て、荒潮はその正体をようやく悟った。

「あぁ……この間使ってた蛇ね」

「蛇というか……うん、蛇だな。蛇に似せて作ったやつ」

 おおよそ荒潮らしくないふて腐れた感じの声(純度100%)を聞いて、提督は言い訳をするように答えた。

「お前がまあ、蛇が苦手だってのは知ってるけど」

 提督は次に繋げる言葉に窮した。

「…………こいつはいいぞ、最高だぞ。最高傑作だぞ」

「でも、知ってたなら言ってくれてもいいじゃない。本当にびっくりしちゃったわ」

「…………悪かった。使うのは止すか?」

 荒潮は二の腕ごと上半身を締め付けている玩具の蛇に視線を落とした。

 よく見ると蛇に形が似ているが、本物には程遠かった。

 所詮は玩具なのだ。以前目にしたとき、心の奥深くに仕舞っていたものを偶然呼び起こしてしまったためにいくらか動揺したのだが、いざ自分に対して使われてみると、案外大して恐れるようなものでないことに気がついた。

 提督もそれを知っていたのだろうと荒潮は思った。

「あらぁ。やめることは無いじゃない」

 荒潮は普段の声で言った。

 「それで、もっと愉しませてくれるわよねぇ?」

「ええ、勿論。お嬢様」

 そのおどけた声に、荒潮はつい笑った。

 提督は荒潮の体勢を変えようとして、ふと思い出したように言った。

「忘れてた。今日はどうしようか?」

 非常に無駄を削いだ言葉だったが、意味は通じていた。

 荒潮は少し考えて、恥じらいや躊躇いをすでに遥か遠くへ引き離した者の声で言った。

「そうねぇ…………じゃあ…………後ろのほうに入れてくださる?」

 提督は頷いた。

 荒潮の体を再びうつぶせにして、先程の姿勢に戻した。

 瑞々しい肉の果実を改めて目にした提督は、もう一度射精したいと思った。

 荒潮の中で射精をしたいと思った。

 そして、それが実際に出来るということに、神に感謝したくなった。

(ありがとう、神様)

 両手で荒潮の尻肉を左右に広げて、露わになった肛門を見た。

 もう片方の穴と同じくすでに尋常ではない数の経験があるにもかかわらず、収穫して間もない桃のように美しさを保っていた。

 何度見ても飽きることは無いと思えたし、何度入れても飽きることなどとんでもないと思える。

 今から三ヶ月ほど前に、この穴に入れて、抜かないまま十二回射精したときのことを思い出した。

 途端に押さえが効かなくなった。片足を荒潮の腰に密着させるように立てて、ひくひくと動く少女の肛門に亀頭の先を宛てがった。

 一旦息を深く吸って、吐いた。それに合わせて、亀頭をゆっくりと埋めていった。

 締め付けはきつかったが、すんなりと亀頭が入った。

 少しずつ入れていこうとしたにもかかわらず、どうしたことかいつの間にか根元まで導かれていた。

 滑り落ちるように一瞬だった。

「あぁっ、あんっ」

 荒潮の切ない声に、提督はみぞおちを打たれたような衝撃を受けた。

 油断すると、一気に射精してしまいそうだった。

 荒潮の肛門に陰茎を全て挿入していて、その上彼女の喘ぎ声を聞かされて、うっかり出してしまわなかったことが我ながら意外だった。

 お互いに体の中で有数の敏感な部分で触れ合っていることを意識しながら、高まっていく興奮に理性が左右されないように慎重に動いた。

 腰を引くと、締め付けの強さが分かった。

 まるで指で締められているような強さだった。

 提督の陰茎は上向きに沿っていて、荒潮の腸内に亀頭が触れているため、動くたびにこすれて刺激が与えられる。

 本当に何度味わっても決して色褪せないと思わされるほどに気持ち良かった。

 引いて、押して、引いて、押す。

 本来ならばできる限りの勢いをつけて、尻に叩きつけるような抽送をしたかったが、出来なかった。

 やれば出来るのだが、そうすれば『射精は一日三回まで』のルールを体当たりで破ってしまいかねない。

 自分で決めたこととはいえ、提督は少なからず後悔していた。

 せめて一日五回までにしておけば良かったと思った。

 十回ならなお良かったと思った。

 性欲を押さえなくてもいい時間を迎えるたびに同じようなきりのないことを考えていた。

 なので、結果的には最初の判断が一番正しかったのだ。

「ん、くぅ、ぁ、あっ、あっ、あっ、あぁっ」

 荒潮は直腸を突かれるたびに嬌声を上げている。

 頭は枕からずれて、顎が鎖骨の窪みに左右にこすりつけられるようにしきりに動いている。

 表情はだらしなく緩んでいて、唇からは犬のように舌がこぼれ、声を上げるたびに涎をシーツの上に滴らせていた。

&heats;test♥

「ひゃぅ、あぁっ」

 荒潮は提督の動きに合わせて、無意識のうちに腰を動かしていた。

 両手を使えればもっと上手に出来るのに、と荒潮は残念に思いながら、直腸を擦られる異物感と締めきった肛門が肉棒の運動で摩擦することによってもたらされる快感に身もだえしていた。

「あぁ、はっ♥ はぁっ&heats; あぅ、ぁあんっ&heats; いッ、 ぅうっ♥」

 射精の時が近づいてきた。

 提督は抜き差しを早め、荒潮の腰を両手でしっかりと挟むように力を込めた。そこでふとあることに思い当たった。

「いけないな。うっかりしてた」

 提督は腰を振りつづけたまま、荒潮に傾けていた意識のごく一部を別のものに向けた。

 荒潮の二の腕を体に縛り付けている黒いチューブはすっかり忘れ去られて、二股の蛇たちはただのゴム同然に伸びていた。

 だが、提督に命を吹き込まれ、再び仕事が与えられたことを喜ぶかのように動きはじめた。

 その完璧無比なまでの連携で、二頭のまがい物の蛇たちは、抽送に合わせて揺れる乳房へと忍び寄っていった。

 蛇たちは目標を捉えて、狙いを定めて、一瞬を見計らって、荒潮の乳首へ同時に飛びついた。

 当の荒潮は速まっていく前後運動に合わせて腰を振ることに意識を集中させていたため、突然乳首をつねられたような感触が起こったことに本気で驚いて、

「あっ、きゃああっ!?」

 と、ひときわ高く声を上げた。

「いや、お、驚いたか? ふっ、うっ…………最初にそれを使うつもりが、あっ、……うっ、つい、あっ…………あ、荒潮! もう出る! 出すぞ!」

 提督は言葉を途中で放り出し、本格的に射精へ向けて動き始めた。

 両手を片足で取ったバランスを存分に活かして、荒潮の尻全体が波打つほどに、自身の膀胱まで衝撃が伝わるほどに、強く強く体全体で打ち付けた。

 まるで平手で尻を叩いているような音が部屋全体に響く。

 荒潮も何かを言おうとしたが、それどころではなかった。

 直腸がいっそう激しく攻め立てられ、尻の穴が擦り減ってしまうかもしれないと思って、苦しさとその倍の気持ち良さが襲い掛かってきて、さらにノーマークだった乳首が言葉に出来ないような刺激を受けて、何が何だかわからなくなってきた。

「あぁん♥ あぁっ♥ だ、出す、の? 荒潮に、ィい&hears; …………ぅん、あぁ♥ はぁっ♥」

「ああ、出す、出す、もう出る!」

 提督はただ一つのことも満足に考えられなくなっていた。

 自分の息遣い、荒潮の喘ぎ声、肉と肉が打ち付け合う音、水っぽい湿った音、止めどなく溢れる甘酸っぱい液体の匂い、乱れた暗い長髪から立ち昇る匂い。

 それら全てをこの上なく克明に感じ取りながら、一人の少女の排泄に使うための穴を使って、無我夢中で快楽を貪っていた。

 提督は陰茎をこれまでで一番深く突き刺すように腰を打ち付け、射精した。

 今までの動きが嘘であったかのように止まった。

 両手で荒潮の体を自分の方へ引いた。

 自分の臍の下あたりに荒潮の尻を押し付けるように力を込めていた。

 汗ばんだ臀部の生暖かさが感じられる。

 その柔らかさが感じられる。

 余りに柔らかくて、提督は一瞬、自分が今まで壊れ物を乱暴に扱ってしまっていたのはないかという思いに駆られた。

 その間にも、射精は続いていた。

 ほとばしるような勢いでの数秒間の射出が、何度も何度も何度も続いた。

 もはや射精ではなく、浣腸と言っても過言ではなかった。

 すでにコップ一杯分の精液が荒潮の直腸へと貯まっていった。

 それでもまだ射精は止まらなかった。

 約二十秒間にも渡る射精がようやく止まっても、提督はすぐに陰茎を引き抜こうとしなかった。

 注意して抜かないと、普通の人間の百人分に相当する量の精液が逆流して、自分にかかってしまいかけないからだ。

 以前にそういうことが一度ではなく何度もあった。

ヤッベ♥ 失敗しちゃった♥



ひとまずここまでです。打ち間違えて申し訳ない。続きは出来次第書きます

けっこう遅れてしまいましてすいません。更に申し訳ないのですが、バイトとテスト勉強が忙しくて一月中には多分今回分以上に投稿できないかもです。
二月になれば春休みに入るので、結構更新できると思います。期待してくださっている方はありがとうございます。完結するまで長そうですが、できればお付き合いください。

 体の内側に滾っていたものを全て吐き出した反動からか、正気の沙汰を遥かに逸脱するほどの興奮がいくらか冷めていた。

 いくらかであって、全てではない。言うなれば、まだ十分に満足していないということになる。

 その気になれば一晩中と言わず、一日中眠らずに腰を振ることもできる。実際にそうしたことは無いが、提督にはその確信があった。

 もちろんそのようなことは出来るはずがなかった。

 なにせ相手は自分の部下たる艦娘であり、艦娘には海より来る侵略者から制海権を、国を守るための使命を負っている立場を与えられている。

 一個人に対して強大な力を与えられた存在がこの国において受け入れられている理由の一つがそれだ。

 人は自分たちの側に立っているのであれば、たとえ一人で高層ビルを土台から吹き飛ばし自動車を二秒足らずで廃車にしてしまう”力”を持った少女であっても、あっさりとを受け入れる。

 何故なら彼女たちは自分たち人類の味方であり、彼女たち自身も人類に与する仲間に他ならないからだ。

 大げさに言えば、守護神とも言ってもいいだろう。一部の国民から、艦娘は過去の大いなる戦いに散った英霊たちと共に歩んだ船の魂を宿した女性と受け止められている。

 いくらか大げさな言い方のような気がしないでもないが、提督はその考え方を気に入っていた。

 守護神。なんと耳に良い響きなのだろう。それに、物の見方がある程度的を射ている。

「て、提督、あの……お尻が……」

 荒潮の声で、物思いに耽っていた提督は我に返った。

「ああ、悪い。ちょっと考え事をしてた」

「いいんですけど、提督。その……」

 荒潮はベルトに後ろ手に縛られた姿勢のまま、流し目を送るように後ろを見ている。伏し目がちで、顔がかなり赤くなっていることがわかる。

 恥ずかしがっている様子のこれ以上無い見本のような表情をしているのは、尻の穴から直腸に注がれた大量の精液が、男性器を栓にして塞がれている状況から来るものは言うまでもないだろう。

 荒潮もまた、絶頂を迎えたと同時に高まっていた興奮がいくらか落ち着いてきたらしい。

「ええと、荒潮。結構中に出しすぎてしまったが、どうしようか。ゆっくり抜いたほうがいいか?」

 提督は右手を荒潮の下腹部に沿って這わせた。

「一応、希釈もせずに直接吸わせるのは……まだ早いからな」

「いま……抜かれちゃうと、ええっと……その……あの……も、漏れちゃいます」

 声の最後の方は提督にぎりぎり聞き取れるぐらいに消え入りそうになっていた。

 およそ普段の荒潮らしくなく、大人の雰囲気を醸す普段の姿との差が激しい。

 そのように感じるのは、言葉遣いにくるまれていた等身大の姿が余さず晒されている――歳相応の少女のものになっているからだと、提督は思った。

「お尻の穴がまだじんじんしてて……その、痛いとかじゃなくて、いまちょっと、力が入らなくて……」

「最後の方は私も我を失っていた」

 提督は、吹き込まれた命を失ってシーツの上に横たわったゴムの黒い双頭の蛇を見た。

 ”力”を向けると、蛇の形をした奇妙極まりない玩具は、ひとりでに提督のほうへ向かっていった。

 提督はそれを手にとって、壁に投げた。

 投げられたゴムの玩具は、壁にぶち当たって跳ね返らずに、勢いをそのままに壁の中へすっと消えていった。まるで神隠しのように。

 提督は荒潮の両腕を縛っていたベルトを解いて、後ろの方に放った。また後で、本来の用途のために使うからだ。

「とりあえずどうしようか。抜かないわけにはいかないからな」

 提督は腰を引いた。荒潮の肛門は緩みきっていて、大した抵抗もなく精液と腸液でべとついた陰茎が抜けていった。

「や、ああぁ! やあっ! ちょ、ちょっと待ってぇ♥ 止まって!」

 嬌声混じりの悲鳴を上げながら、荒潮が痙攣したように背を上に弓なりにした。陰茎が三分の一まで抜けたところで、提督は動きを止めた。

「ああ、悪い。敏感になってるんだっけ」そう言いながら、提督は抜いた陰茎を再び押し込んだ。悪気は一切なく、自然にそうした。

 荒潮は絶頂した。

 結局のところ、しばらくはそのままでいた。

 十分ほど荒潮の背中を体に預けられていた。激しい運動の後の休憩。快い疲労が溶けて流れていくような感覚。

 二人の間に言葉はなかった。

 思い出したように太ももを撫でたり、太ももに置かれた手を撫でたり、体をこすりつけるように身じろぎをしたり、髪を撫でたり……と、束の間の時間の流れを楽しんでいた。

 頃合いを見て、提督は言った。「どうだ、もう抜いてもいいか?」

 もし二人が服を着ていていれば、人の目には仲睦まじい兄妹に、兄の膝の上に妹が乗っているように見えただろう。

 恋人にしては……二人の間には年月の隔たりが大きすぎた。

 目に見えて明らかなことだ。

「ええ、もう抜いても大丈夫よ。本当はもうちょっと……繋がってたいけど」

 言葉の最後には、いたずらっぽい響きがあった。いつもの大人びた彼女の声。

 提督は荒潮を仰向けにして、腰を引いた。

 陰茎が名残惜しそうな引っ掛かりを受けながら、居心地の良い暖かさから引っ張り出され、外気に晒されるのを感じる。

 亀頭が抜けようとした時、締め付ける力が入った。まるで出ていく間際に引き止めるように。

 勿論そうではなく、注ぎ込まれたものを留めておくための括約筋の働きに過ぎない。

 亀頭を栓のように抜くと、「んっ」と、荒潮が反応した。

 いま二人が居るこの色々な意味で特別な部屋の中は、全裸でいるのに丁度良い温度に保たれている。

 それにも関わらず提督は、陰茎か冷えてたまらないような気がした。

 湯気が立っていてもおかしくないとも思った。

 実際は様々な淫らな液体で濡れた男性器が、制汗剤を塗ったように冷気を感じやすくなっているだけだった。

 直腸の中と部屋の中の温度差は約二十度近くは違うので、尚更のことだ。

「次はどうする?」

 提督はそう聞いてから自分で考えた。今はあまり頭を使いたい気分ではなかったが。

 両肘で上体を起こしている荒潮の視線は宙を見ている。

 薄い陰毛を蓄えた恥丘から延びた形の良い脚で、寝台に腰掛けている提督を挟むようにしている。

 左脚は提督の膝の上に載せられている。提督は何気なくその脚を一撫でした。

 暖かかった。いつの間にか自分の手が冷たくなっていることに気づいた。

「そうねぇ……」荒潮の思考もまた漠然としていた。どうすると言われても、目下のところどうしよう、だ。

 遠慮ない抽送で、とりわけ肛門が敏感になっていた。

 浣腸同然に注ぎ込まれた精液を漏れないように少し緩むたびに締めたりしていると、ぬめって温かい尻の穴に快楽がわだかまるのを感じた。

 呼吸に合わせて、締めて、緩めて、締めて、緩めて。

 与えられるのではなく、自分の意思による自慰のような気持ちよさ。

 荒潮は何食わぬ顔で、肛門からの楽しんでいた。

 何度かそうしていると、精液の溜まった下腹部の内側で蠕動が起こって、小さく音を立てた。

 それを聞いて、荒潮は恥ずかしくなるより先に、頭の中の霧が晴れたように感じた。

 次にすることを思いついたのだ。

 提督は荒潮の体をお姫様抱っこで抱え上げながら、寝室を出で、入り口とは別の扉の前に立った。

 山なりに折られた脚の、膝の裏に差し込んだ左腕でドアノブを引いて、扉を足で開いて中に入った。

 そこは脱衣所で、入り口にはカーペットが敷かれ、向かって正面には洗面台と横長の一枚鏡、横には棚と脱衣籠、体重計など、様々な品物が置かれている。

 更には入り口から右と左の両側にまた扉があった。右――窓側はトイレ。左は廊下側で、バスルーム。

 荒潮は両手を提督の首に回して、体重を預けている。

「いつ見ても思うけれど、広いわよねえ」

 脱衣所の中をきょろきょろと見渡している。

「なんて言ったら良いのかしら……ええっと……本当よりも広いって言うか……」

「ここも色々と手を加えてあるんだよ。あの寝室ほどではないが……荒潮の言うとおり、少し広くしてある」

「その……魔法で?」

「ああ」

 いや、本当は魔法とは別のものであって、魔法というものはこういったことには使えないんだ。

 提督は胸の内で呟くことに留めておいた。ややこしい説明は、今は不要だ。魔法という言葉の利便性を自分から損ねることはない。

 提督は、次に荒潮が言ってくる言葉を予想した。私にもこんなことが出来るかしら。

 その答えはイエスである。荒潮に限らず、誰にだって出来るのだ。

 ただしそれば『英会話の勉強をすれば英語で会話出来るようになる』のと同じことだ。

 『絵の練習をすれば誰でも上手な絵が描けるようになる』のと同じことだ。

 言うは易し、行うは難し、だ。

 予想に反して、荒潮は何も言わなかった。いくらか拍子抜けしながら、提督は右の扉の方へ向かった。

 トイレの中も細工をしてあった。

 細工と言っても、空間を広げたり、電子機器(特に小型の録音機やカメラなど)の存在を掴んだり、窓を開けても外から中が見えないようにしたり……といった基本的なことである。

 二人が入った途端に明かりが点いたが、それは天井に吊るされた橙色の照明のセンサーのためだ。寝室とは違い、普通の電気照明を使っている。

 寝室は特別なのだ。トイレもそれなりにではあるが、寝室ほど無防備になる場所ではない。

 床は段差になっていて、下の段にはカーペットとスリッパが、上の段には便器が設置されている。便器も機械仕掛けによって、自動で蓋を開いていた。

 ウォシュレットのことは言うまでもない。ウォシュレットはこの時代のトイレにおいて、もはや標準装備のようなものである。

 ただし、ユニットバスをトイレとして考慮するなら、話は別である。

 提督は荒潮にスリッパを履かせようと思って、床に降ろそうとした。それを察して、荒潮は降ろさずにそのままで居るように言った。

「だったら、どうするんだ?」

「ええっとねぇ……こうするのよ」

 荒潮は体をひねって、提督のほうを向きながら片足をゆっくりと上げた。

 提督も荒潮の意図をなんとなく察して、右腕で荒潮の体を自分の方へ寄せて、密着させた。

 首の裏側に腕を回され、自分は背中に腕を回して抱擁するように荒潮の体を抱えながら、便器の方まで歩く。

 そして、便座の上に荒潮を降ろそうとした。

「待って、あなたも座るのよ」

 荒潮が耳元で囁いてきた。

「座るって? 私も?」

「そうよ。でもその前に、前の方に入れて」

 そう言って、荒潮は踵を提督の臀部にかけ、バランスを整えて体を少し上に持ち上げた。

「前に……いいのか?」

「なによぉ今さら。今までたぁーっぷり、荒潮の中に出したのに」

「いや、そうじゃなくてな。さっきまで後ろの穴に入れたままだっただろう」

 提督が覚えている限りでは、荒潮と今まで後ろの穴で交わったとき、前の方へ入れ直す際には必ず口でしゃぶったり、拭いたりしていた。

 本来なら――事前に使うよう言っていた洗浄液で腸内を洗っていれば――その必要は無いのだが、提督は軽く説明するに留めて、そのことについて深く言わなかった。

 頭で大丈夫だと分かっていても(いや、分かっているとは限らないかもしれない……と、提督はふと思いあたった)、精神的な問題とは別なのだろう。

「え? でも私、あのお薬でお腹の中……綺麗にした……んだけど」

 荒潮は顔を赤らめて、恥ずかしそうに言った。

「それだったら大丈夫だ。いや、でも今までも……」

「ねえ、そんなことはいいから、早く」

 荒潮は背中を反らせ、抱っこをされた姿勢で僅かに上から提督を見下ろした。

「早く、荒潮の中に入れて」

 件の陰茎はそそり立っていて、準備は万全だった。

 荒潮がしきりに下腹部をこすりつけている。

 提督は荒潮の尻を両手で持ち上げ、挿入しやすい角度を探した。

 それを見つけ、より血の通ったに鮮やかな色合いの秘裂に亀頭の先端を触れた。

 そして、両手で抱えた体重を下げて、自分も腰を上げて、荒潮の中に侵入した。
 
 膣の中は温かく、愛液で満ち満ちていた。亀頭が膣内の襞を擦っていき、陰茎が根本まで埋まった。

「ひゃあ、あうぅ」

 首に巻き付いた腕に力がこもった。荒潮の尻の肉を支えている両手の指先が、肛門がひくつく括約筋の動きを感じ取った。

 尻の穴の周辺の肉が、盛り上がったり、引っ込んだりしているのが、まさに手に取るようにわかる。

 密着した下腹部のあたりに振動が伝わってきた。

 きゅるる、と小さな音とともに、荒潮が小さく声を漏らした。

 提督は荒潮と繋がったまま前へ進んで、段差に足をかけた。

 もう片方の足を持ち上げる際、挿入した陰茎がより深くまで沈み、亀頭の鈴口が子宮口に触れた。

 荒潮が快楽の呻きを上げて、提督の胸に額を押し付けた。提督は声こそ上げなかったが、射精を堪える必要があった。

 荒潮を正面からおぶさったまま、提督は便座を股にかけて、窓の方へ向かって立っていた。本来と座る方向が逆だが、荒潮にとっては正方向だ。

 提督は注意深く腰を下ろし、便座の前方に尻を乗せた。そして、両手を滑らかで湿った少女の尻肉から腰の方へ滑らせようとする寸前に、荒潮が言った。

「ねえ提督。お尻のほうを弄ってくださらない?」

 甘えているような、拗ねているような、どちらとも言えない声。恥ずかしがっているのだろうと提督は判断した。大量の精液を押し留めている肛門が脈打つように動いている。

「そうしたら動きにくいんじゃないか?」

 提督はそう言いながら、荒潮の尻の割れ目に指を差し入れた。汗と精液と腸液で、雫が滴りそうなほどじっとりと濡れている。

「動かなくていいのよ」

 荒潮は提督の胸に埋めていた顔を上げた。提督の背中に回していた左手で、顔に垂れた髪をかき上げた。

 荒潮の顔は真っ赤に染まっていて、額に汗の玉が浮かんでいて、一筋、眉の端を通って頬から顎を伝って、二人が肉を突き合わせている狭間へ垂れた。

 唇は舌先を窺わせるように小さく開いて、短く息をついている。眉根にはよく見ないと気づかないほど小さな皺が寄り、悩ましげに細められた目の奥で灰褐色の瞳が光を宿している。

 触れようと思えば触れられる距離で目の前の少女を見て、提督は、胸の奥にこみ上げてくるものを感じた。

 欲情、愛情、背徳感、征服欲、軽い自嘲の混じった陰鬱――といったものを。

「は、早く……早く、弄ってぇ♥」

 荒潮がじれったそうに囁きながら、首を傾いで提督の目を見つめたまま顔を近づけた。それと同時に、陰茎を許している膣が蠢き始めるのを感じた。 

 唇と唇が触れ合うほど近づき、欲情の吐息を漏らす少女の唇が言葉を紡いだ。

「入れて、入れて……出して、掻き出して。あなたの指で掻き出して」

 言うが早いが、荒潮の方から口づけをした。過剰に分泌された唾液を纏った舌が門歯を超えて深くまで届く。

 薄められた砂糖に似た甘みを感じながら、提督も、生きて動くような激しい動きに応えるように舌を絡ませる。

 その間も、口の中に負けないほど愛液で濡れそぼった膣は、陰茎を隙間なく締め上げ、蠕動している。

 膣内の肉襞の一つ一つが、小さな妖精の舌が陰茎を舐めるように動いている。

 本来は不随意筋であるはずの膣の筋肉を、荒潮は当然のようにある程度自由に動かして、この世で唯一侵入を許した肉棒を懸命に扱いている。

 上の口と下の口で水音を立てながら、快楽を貪り喰らい、提督と荒潮は互いに、心臓の鼓動の激しさに伴う興奮を高めていく。

 提督は荒潮のひくついている肛門に左手の人差し指と中指を当てて、爪をやすりで念入りにかけた二本の指先を挿れた。

 穴は精液が漏れないように窄まっていたにも関わらず、いとも簡単に指が半分まで埋まった。

 中は意外なほど熱く、まるで少ない湯で溶かしたインスタントのコーンスープに指を突っ込んでいるような錯覚を覚えた。

 自分からねだった行為が始まったその瞬間、荒潮は目を見開いた。提督の口の中で、喉の奥から絞り出すような呻き声を発する。

 どろどろになって気泡を含んだ唾液が開いた口から溢れていき、小刻みに震える膝の上に滴り落ちた。膣と、しがみついている腕を、強く強くぎゅっと締める。

 指で広げられた隙間から、粘性の高い半透明の白い液体が手の甲に流れた。

 提督は理由を思いつくよりも先に、右手の人差し指と中指を、左手の指と同じように、ゴムのように柔らかい荒潮の肛門に潜り込ませた。

 荒潮が言葉にならない嬉しげな悲鳴を上げる。

 提督は、荒潮の一風変わった奉仕による快楽で不明瞭に曇った頭で

『入れて、入れて……出して、掻き出して。あなたの指で掻き出して』

 赤く羞恥に染まった荒潮の蕩けているような顔を思い浮かべた。

『掻き出して。あなたの指で掻き出して』

 切なく色っぽい少女の声が何度も何度も頭にこだまする。荒潮の肛門に差し込まれた指が、左右に広がって穴を広げた。

 小さいがよく通る音が、トイレの中に響いた。肛内射精で直腸に蓄えられた精液が便器の中にこぼれ落ちていき、青色に染まった水を跳ねさせる。

 人前で立てるのをははばかられるような音は荒潮本人にもよく聞こえていた。元々真っ赤になっていた顔がより赤くなり、首元にも朱色が広がっていた。

 荒潮は熱と羞恥で潤んだ瞳で提督を見た。

「恥ずかしいわ」

 排泄音とともに、精液がこぼれ落ちる。膣は絶え間なく、子宮のてっぺんから秘裂までを精液で一杯にするために、上下に蠕動している。

 荒潮の肛門から聞こえるあられもない音が引き金になって、陰茎が膨らむような感覚とともに、睾丸から新鮮な欲望が補給されていくのが分かった。

 腰を突き上げたくてたまらなかったが、我慢した。

『動かなくていいのよ』

 我慢する代わりに、荒潮のお望み通りに、指を曲げて、先ほど鈴口から迸らせた精液を掻き出そうとする。

 指先で直腸を擦り、尻の穴を袋の口のように広げると、下品な音と一緒に、鼻孔を衝くような刺激的な匂いの液体の混合物が、蛇口をひねるように零れ落ちる。

「ああ、やあぁ♥ 聞かないで、恥ずかしい」

 言葉とは裏腹に、荒潮の表情は快楽に緩みきっている。

「やだぁ♥ やだやだやだやだぁ♥ 恥ずかしい、恥ずかしいったらぁ♥」

 蒼龍みたいなことを言うんだな、と、よく回らない頭で提督は思った。

「やめたほうがいいか?」

「やだぁ♥ やめたらいやぁあ♥」

 荒潮は提督に、再び口づけをした。体液を交換する口づけではなく、唇を押し当てる口づけ。

「提督のせいなんだから」

 口づけの合間に、荒潮が淫らに震える声で言った。

「荒潮をこんな風にしたのはあなたなんだから。お尻の穴で気持ちよくなるような女の子にしたのはあなたなんだから」

 口づけ。唇、頬、顎、鼻梁、鎖骨、首、唇に。

「こんな、こんな風に……お尻の穴からお漏らしして、気持ちよくなっちゃうような荒潮にしたのは……」

 提督の胴体を挟む脚により一層力がこもった。

 「あなたなんだから、ね♥ だから、イかせて♥」

 やましさを押し付けるときに特有の責めるような口調から一変して、これまででもっとも甘い猫なで声。

「荒潮を気持ちよくして♥」

 提督は堪えきれなくなった。

「あ、荒潮! もう逝く、出す!」

「出るの? 提督……中に出してくれるの? 荒潮の中に出してくれるの?」

「ああ、出る。出したい。出したい。もうッ……ふぅッ!」

「いいわ。出して。荒潮の子宮を一杯にして♥ 一杯出して♥ 出して、たっぷり出して♥ 出して♥ 出して♥ 一杯にして溢れさせて♥」

「ああ。もう出すぞ。全部受け止めてくれ、全部受け止めてくれ」

「ええ、中に、あぁ♥ あなたの、あなたの子供、あぁっ♥ はぁぅ♥ あ、あかちゃ、ぁあんっ♥」

 提督は聞き慣れた音が迫ってくるのを感じた。

 体の内側から湧き上がる音。

 それは川の流れのような音で、便器の水洗レバーをひねった時に聞こえる音で、つまりは水が流れるときの音に似ているが違う音である。

 自分自身にしか聞こえないであろう音で、射精をする際に聞こえる音。射精の勢いが弱ければ音は小さく。強ければ大きい。

 今、この時――自分が造り変えてしまったいたいけな少女の尻の穴に指を四本突っ込んで、精液を半強制的に排泄させながら、射精寸前の陰茎を摩訶不思議に蠢く膣の肉襞にしゃぶり尽くされているこの時

 ごぼぼっ ごぼぼっ どくっ どくっ どくっ どくっ どくっ

 ――音に飲み込まれそうに感じた。

 どこかへ流されてしまう。

「あ、ああ、出る! 出すぞ、荒潮!」

「だ、出して。荒潮に出してぇ♥」

 提督は弄んでいた肛門から指を引き抜いて、荒潮の背中っで手首を交差させて、その未成熟な部分の残る体を力いっぱい引いた。

 荒潮もほぼ同じタイミングで同じように、提督の体を抱いていた。

 そうしないとはぐれてしまうとでも言うように、お互いの体を、痕が残りかねないほど強く抱きしめた。

 恐怖すら感じた。

 そしてすぐに薄れて、凍りつくような恐怖はすぐに溶けて何処かへ流れ去っていった。

 股間が熱い。射精をしている。それも、とてもすごい勢いで。

 小便器の前に立って、限界まで張った膀胱を空にするときでさえ、これほどの勢いではなかった。

 いや、とにかくすごい。本当にすごい。

 意識が自由の空へ飛びそうになった。

 視界がぼやけた。薬はしっかりと飲んだはずなのに。耐性が出来た? いやまさか。

 まさしく『天に登る心地』という形容がふさわしい。どこまでも飛んでいける。天国にだって行ける。それほど気持ちいい。

 今この時も現在進行形で気持ちいい。射精? 射精というより噴火といった方がいい。

 だったら、今この燃え盛っている男性器からは何が出ているんだろう? 精液でないならなんだろう? 

 しかし熱い。熱い。とても熱い。

 ああそうだ。これは溶岩だ。これは射精ではなくて噴火なのだ。

 いや、噴火なのか? 噴火だったら大変だ。荒潮がひどい怪我をしてしまう。

 熱い。熱い。体の震えが止まらない。寒くない。熱い。腕の筋肉がぶるぶると震えている。

 もしかして、睾丸を手始めに体が内側から溶けていって、それを今、陰茎から噴火させているのではないか? 

 そんなこと……そんなことは、ないだろう。でも熱い。いや、熱いのとは関係ない。でも熱い。熱いのは溶けているからか?

 首から下の正面の部分が、特に腹が熱い。じんわりとした熱がある。

 それは股間から陰茎が生えていて、その陰茎はただ今噴火中だからだ。熱いに決まっている。だって噴火中だから。

 今は何時だろう。いや、何分経った? 

 時間が両端を掴まれて、思いきり伸ばされたみたいに感じる。

 噴火が始まってどれくらい経っているのだろう? 十分? 一日? 一世紀? わからない。

 何故わからないんだろう? 分かって当たり前のはずのことじゃないか。小学一年生だって時間は数えられる。

 小学一年生に出来ることが、何故自分には出来ないんだろう。まだ六年しか生きていないような子供にも出来ることが。

 バッカみてえ、アハハ。

 でも待てよ。小学一年生だって、股間から噴火をしていれば、時間を数えるどころじゃないんじゃないか? 

 いや、小学一年生どころか、誰にだって無理に決まってる。常識的に考えて、股間が噴火してるなんてどんな状況なんだ? 

 少しは冷静になれよ。 

 だって考えても見ろよ? 

 自分のチンコが火ィ吹いてるってのに、落ち着いて一秒二秒を数えられる奴がこの世のどこに居るんだよ間抜け? お前の頭はキンタマか?

 ――いや、誰だ? あなたは。

 誰でもいいだろ。時間なら荒潮ちゃんに聞けよ。

 荒潮? なんで荒潮を知っているんだ? 本当に誰なんだ? どうやって喋って、いや、どこから来たんだ? なぜ声が聞こえる?

 そんなことどうだっていいだろ、キンタマ袋が。五月蠅いこと言ってないで、いいからとっとと目を覚ませ。
 









 
 ――――――――――――――――――――バチッ。

 電撃のようなものを受けて、提督は目を覚ました。

「ねえ提督。提督ってば」

 最初に見えたのは、荒潮の灰褐色の瞳だった。提督の目に光が戻るのを認めると、ほっとしたように息をつくと同時に、目が細められる。

 提督は頬に冷たいものが触れているのに気づいた。目線を動かして見ると、それが白く滑らかな手だと気づいた。

 まだ荒潮と繋がったままでいるということも分かった。

 とうに射精は止まっていたが、その名残ともいうべき痺れるような感覚が、陰茎にわだかまっていた。自分の精液のぬるぬるとした生暖かい感覚も。

「いやあ、参ったな。ぶっ飛んでしまった」

 提督は頭を掻いた。前後不覚に陥っている間も、荒潮の体に腕を回していたらしい。

「ねえ、大丈夫? 気絶してたみたいだけど」

 荒潮は心配そうにしている。赤く染まった頬の色が引いていき、本来の肌色に戻っていく。

「悪い悪い。大丈夫」

 提督は荒潮の肩を軽く叩いた。そして、後ろに下がっていた背中を持ち上げた。途端に、股間のあたりがムズムズする感覚とともに、陰茎に快楽が起こった。

 止める間もなく、提督は射精した。水の入ったコップに水を注ぎ込むような音がした。

「あんっ。また出てる」

 荒潮は嬌声を上げて、提督にしがみついた。陰嚢が心臓のように脈を打っているように感じながら、鈴口から精液が迸り出る。

 射精は完全に止まっていたものと思っていたが、そうではなかったかもしれない。また放出が始まっている。恐らく止めようにも止まらなくなっている。

「荒潮、荒潮。一旦抜こう」

 自分の肩を抱きしめている荒潮の腕を、また軽く叩いた。

「もう。荒潮が全部受け止めてあげるのに」

 不満そうな様子を滲ませながらも、荒潮は素直に従った。

 便座に片足を乗せて、提督が手を貸してバランスを支えながら体を持ち上げ、女性器に受け入れていた陰茎を抜いた。

 陰茎が完全に抜ける前から、隙間から精液が小さく漏れ流れていたが、栓をするものがなくなると、奔流の如く一気に溢れ出た。

 大きく泡立つような音とともに、数度にわたって、コンデンスミルクとホイップクリームの混合物のような濃厚な液体が便器に落ちて、水溜めの嵩を増していく。

「あぁぁ……」

 子宮から膣口までを満たしていた精液が重力に従ってこぼれていくたびに、荒潮は、大事なものが今まさに失われていくとでも言うような悲しげな声を上げる。

 提督は、荒潮が便座から床に足を降ろすのを待ってから、腰を上げて立った。屹立したままの陰茎からは、いまだに精液が漏れ出している。

 射精というよりは遺漏のようであるが、この状態で刺激が加われば、精液が勢い良く飛び出してくるということを肉体が知っていた。

 提督は向かい合った荒潮の体に触れないように段差を意識しながら身を引いたが、灰褐色の瞳が目敏く肉棒を捉えた。

「あら。まだ止まらないのね」

 打って変わって嬉しげな声。

「ああ。さっきの時、どうも栓が馬鹿になったかもしれない。また締め直すまで……十分はかかるな」

「ふうーん」

 荒潮は提督の顔を見上げて、笑った。長い睫毛と艷やかに光の映える唇の、淫靡な笑み。その顔を見て、提督は次の展開を悟った。

 まあ、別にいいだろう。三回は三回だ――と、釈然としないのを無視して胸の内で呟いた。

 しなやかな指が、白濁して泡立った淡い朱色の裂け目に伸びた。

 六本の指が精液と愛液で濡れた膣肉の中を滑って、第二関節まで埋まっていく。同時に、桃色の尻が便座に降りて、太ももが体重を支えるためにしっかりと据えられる。

 荒潮は下の口を自分で慰めながら、体を前に傾けた。下腹部が押し付けられ、直腸内に僅かに残っていた精液が音を立てて排出された。

 一瞬、少女に恥じらいの色が浮かんだが――より強い欲情の色が上塗りをした。上の口が開いて、温かくぬめりを帯びた舌がだらんと垂れた。てらてらと濡れた舌先から、涎が一筋垂れる。

 無言。

 提督は息を吐いて、雌の表情をした年端も行かない自分の女に、抑制の失われた肉棒を近づけた。

 提督の予想に反して、舌は精液が湧出する亀頭ではなく、睾丸を舐めた。

 そして、下から上になぞり、付着していた精液を残らずすくい取って口に含めてから、荒潮は目の前に差し出された陰茎を咥え込んだ。

 約十五分。射精が完全に止まるまで、リットル単位の精液は、本人がそうとは知らないほど強靭な胃袋の中に飲み下されていった。

 バスルームはトイレ以上に広かった。

 床は磨き上げられた状態を長く保つように仕掛けを施された大理石。

 四方と天井は黒曜石に酷似した鉱物で作られているが、よく観察すれば、その色が黒ではなく極端な濃紺であることがわかる。

 壁に散りばめられた色とりどりの石英は、平面に削り取られて、鉱石の断面が織りなす地層を思わせる美しい模様を成している。 
 トイレのような電子機器による照明はなかった。

 天井にはまるで針で彫刻したかのような巨大な模様が浮かび上がっていて、床以外が夜のようなバスルームを銀色の光で満たしている。

 マルタ十字。提督が自ら指先と多くの時間を持ってして作り上げた代物である。

 バスタブは、背の高い提督が足をいっぱいに伸ばせるほどの大きさだった。中に布団を敷けばここで眠ることも出来ると荒潮は思った。

 高さを除けば棺のような長方形のバスタブは、輪郭があやふやに見えるほど白い陶器で出来ていた。トイレにあった便座よりも軽く二段階は上質である。

 二人はバスルームに入って、まずシャワーで軽く汚れを落とした。

 荒潮は、何もない中空に伸ばした提督の手にいきなり飛び込んできた白いシャワーヘッドを見て、黒い双頭の蛇を思い出した。

 乳首責めに用いられていたあの道具。

 今まで――いくらか複雑な事情があって――使わず嫌いをしていたのだが、案外悪くはなかった。

 あれを目にした時、ほんの一瞬とはいえ過去のトラウマに触れて少し気分が悪くなったものの、今となってはその嫌悪も馬鹿馬鹿しいものだったと思うことが出来た。

 むしろ、これまで使わなかったことが悔やまれるほど気持ちが良かった。何なら、これからの毎回の行為に使ってくれてもいいとさえ思った。

 提督が握っていた手をぱっと離すと、シャワーノズルは壁の中へ引っ込んでいった。バスタブの中からはどこからともなく湯が湧き出していた。

 給水口も無ければ排水口も無い、まるで底の深い食器のようなバスタブだが、荒潮はとっくに見慣れていて、特に感慨も浮かばなかった。

 ふと、姉や妹がこれを見たらどういう反応をするだろうと思った。

 緩く丸みのある縁を跨いで、二人は湯の中に爪先から入っていった。提督と荒潮は向かい合って、腰を下ろした。

「いいお湯ね」

 荒潮は、提督のあぐらをかいた脚の上に座った。小さく忍び笑いをして、分厚い胸板に頬をこすりつけるようにしてじゃれつく。

「湯加減はどうかな。丁度いいか?」

「ええ。このくらいが好きよ」

 提督の手が荒潮の体を這う。両肩から背中を通って、下へ降りていく。

 臀部の膨らみに差し掛かり、手のひらが骨盤を撫でて太ももをなぞろうとした時に、荒潮が言った。

「お尻を揉んでくれないかしら?」

 提督は望み通りにした。凝りをほぐすように指で尻肉を揉みしだくと、荒潮は押し殺したような声を上げた。

「荒潮。私の精液を随分と飲んだが、腹に異常はないか?」

 何気ない調子で、提督は尻を揉みしだいている相手に質問をした。

「ええ。別におかしな所はないわ。」

「そうか。何か異常を感じたらすぐに言うんだ。いいな?」

「分かったわ」

 湯は荒潮の肩のあたりまで貯まっていった。特に会話もないまま、時間が流れていく。

 精密に彫り込まれた模様の放つ銀色の光の下で二人は互いの体を重ねて、それぞれ物思いに耽っていた。

「また明日からおあずけが始まるのね」

 さりげない口調だったが、その裏には隠しきれない感情が滲んでいる。

「そうだな。だから今日だけで、一週間分のことはやったと思う」

「そうね。約束通り、荒潮の中にいーっぱい、いーっぱい注いでくれたわねぇ♥」

(でも本当は、もっと、もっと、もおーっと荒潮をあなたで満たしてほしいわ)

 荒潮は提督の首の裏に手を回して、どこか遠くを見ているような表情をした顔を引き寄せた。

 提督は荒潮が笑みを浮かべているのを認めて、表情を和らげた、

 今度は提督の方からキスをした。

 二人は湯船の中で、のぼせ上がりそうになるのも構わず、何度も何度も、何度も熱い口づけを交わした。

荒潮編終わりです。
描き始めてから軽く三か月以上は経ちました。あと五人残っていますけど、ちゃんと書きます。なるべく早く書きたいです。
ところでこれをまとめられる人が居れば聞きたいんですけど、SSでもまとめるときにスレッドの順番は変えられますか?
変えられるのであれば、打ち間違えたところの訂正を後で乗せて、そこと差し替えて欲しいんですが、そこのところどうなんでしょうか。

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