Beast wars  The modern earth (77)

トランスフォーマー ビーストウォーズSS 安価あり ぶち壊し厳禁







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――山の中で、”彼”と出会った。


――生き物?


――機械?


――さざめく木々。そよぐ風。


――黒い土の壁に埋もれたその特異な体。


――”彼”は語りかけてきた。


――いや、呻いていただけだ。


――その姿はまるで


――土が崩れた。


――砕けた。


――その一片が顔に当たる。


――痛かった。


――”彼”の姿はまるで、見知った生き物に似ていた。


――君は




「まるで……>>4

蒼い蜂のようだわ

――蒼い蜂に似た”彼”は、崩れる壁と同じもののようにして。


――土と一緒に崩れくだけ、倒れこむようにしてその場に打ち伏せた。



「あの……だ、大丈夫ですか?」

「なんや嬢ちゃん……ワイが怖くないんかい?」

「えっ、そ、その」

「腹減ったわ……」



――人間の言葉を話せることに関してなぜか驚きはなかった。



――でも、まさかこのしゃべり口調は。



「オイルでもないもんか……なあ?」

「お、オイルですか? わかりました」

――きっと、彼の食事なのだろう。驚いたまま、私は彼のためにオイルを探しに走った。


――いや、走ろうとして、止まった。


「なんや」


――彼は少し、訝しげにつぶやいた。


「お名前、なんていうんですか?」


「しょーもないことでとまんなや……ワイの名前か、ダージガンや。お前の名前はなんていうんや」

「私は……>>9です」

大地 美沙 (だいち みさ)

元ネタはスーパーリンクのミーシャから

ダージガン「ミサ……そうか、美沙か」ギギッ

美沙「は、はい。では行ってきます!」スッ

スタタタター

ダージガン「名前だけ聞いたんかい……たのむで」


――禍々しい蒼と……その半分を銀色の覆った歪な体。所々が尖り猛り刃のように鋭い金属の翼。


――一瞬邪悪なものに見えた彼は、意外にも軽快な語り口で。


――彼の名前はダージガン。


――私は倒れた彼を助けたいと思った

~~

美沙「食用油よりは機械油かしら?」

「おーっす美沙、こんなところでなにしてんの?」

「アンタ、機械系に興味あるんだ?」

美沙「あ、いや、そうじゃなくてちょっとお使い……」

「ふーん。まあいーや」

「お金貸してくんね?」

美沙「うん、1万円でいい?」

「え」


――たじろいだ隙に逃げる。彼女らは学校でタチの悪いグループだ。


「あ、こらあっ!!」

「待てボケコラぁ!」

美沙「ダージガンさんのオイルどうしよ……」タタタタター

美沙「ふう、はあ……意外としつこかったなあ……意外と足も遅かったけど」


――悪いグループから逃げた先にあったのは、小さなバイク屋さんだった。

「おう、美沙。珍しいなこんなところに来るなんて」

美沙「あ、翔」


――油まみれの作業着を着て出てきたのは、バイク屋の息子の翔。



翔「あ、翔じゃねえだろ。俺の家に来て俺が出てくるのは当たり前だ」

美沙「そ、そうだね。ごめん」

翔「何も謝らなくてもいいっつの」

美沙「うん……ところで、オイルある?」

翔「それこそ当り前だろ」シラー

美沙「……」


――翔は私にとって、>>13だ。

再安価↓

美沙「ね、ねえ翔。実は……」


――親友である翔に、すべてを話した。


――翔はあっさりと信じてくれた。


――子供の頃、お化けを見たという私の話を一人だけ信じてくれたこともあった。


――二人で、山へ行った。翔はたくさんのオイルを自転車に積んで運んでくれた。



翔「でも気を付けろよ。そいつ、動けるようになったら襲ってくるかもしれない」

美沙「あ、そっか」



――漫画やアニメでそう言う話はいくらでもある……私ははっとした。


――でも、現場につく寸前にそんなことを言わなくても。多分、今思いついたのだろう。


――翔にはそういうところがあるから。

ダージガン「戻ってきたかぁ、美沙~」


――やや拍子抜けする声に、私も翔も肩ががくっと降りた。


――けれど、翔は目が輝いていた。


翔「こんなことが起きるなんてなあ……意志を持ったロボットが目の前に」ゾクゾク

美沙「ロボット?」

翔「ん? 今気が付いたのか?」

ダージガン「なんやと思ってたんや」


――二人の視線がなんか痛い。

美沙「いや、その。考える余裕もなくて」

ダージガン「なんやそれ。まあええわ。オイルくれや」

翔「それがものを頼む態度かよ……」

ダージガン「ん?」

翔「まあいいや、とにかく使えよ」

ダージガン「おう……」ゴクゴクゴク


――彼は、オイルをまるでジュースのように飲んだ。


翔「いい飲みっぷりだなー」

美沙「未成年飲酒はだめだよ?」

翔「変に勘繰るなよ……」

――彼の名前は、ダージガン。

――セイバートロン星という星で生まれた、トランスフォーマーという種類のロボットらしい。

――体の半分が機械で覆われた蒼い蜂の姿に変身して、すごい速さで空を飛べるらしい。

――大量のオイルを飲んですっかり元気になった彼に、話を訊くことにした

――どうしてここに……地球へ来たのかを訊くと、彼は驚いていた。


ダージガン「そうか、ここは地球やったんか」

美沙「ええ、そうよ」

翔「知らずに来たのか?」

ダージガン「まあな。ワイもどうしてここに来れたのか覚えてへんねん」


――話によれば、彼はトランスフォーマーの暮らすセイバートロン星で漫才の仕事をしていたらしい。


――星が平和になる前には、デストロンという軍に所属し、要人警護や航空隊長の職についていたという……。


翔「漫才師はわかるけど、隊長っていうのは」

ダージガン「なんや悪いかい。まあワイの他に航空部隊おらんかったけど……まあ、空飛んで戦う時の指揮を執るのがワイの役目やったんやろうな」

翔「は~ん」

ダージガン「なんやねん……まあええわ。ところで、お前たちはトランスフォーマーって聞いて何も思わんのか? トランスフォーマーと地球の関係は切っても切り離せん筈や」

翔「は? いや、知らないけど」

美沙「私も……初めて聞いたもの」

ダージガン「せやか、まあワイもあんまり知らんけどな。お前達が知らんでも無理ないかもしれんわ」

翔「ところで、今後どうするんだよ。お前見つかったら大変だぞ?」

ダージガン「せやなあ……」

美沙「私や翔の家に住めるわけないし、この山に隠れ家でも作る?」

ダージガン「う~ん」

翔「一緒に宇宙船でも埋まってないか? そこの崩れた崖にさ」

ダージガン「せやなあ、ちょっと見てみるか……」


――少しの間、ダージガンが地面を掘った。


何か見つけた? 安価↓

カチャカチャカチャカチャ……

ダージガン「ん?」


――土の中に似つかわしくない、真っ赤で……そして透き通る宝石のような何かが覗いた。


――それを覆っている土が、みしりと音を立てた。


――姿を現したそれは、先が尖りそして曲がりくねっていて。



翔「なんだこれ、まるでドリルだ」

美沙「ど、ドリル?」

ダージガン「お前ら、離れとけ」


――ダージガンの言う通りに二人で後ろに下がる。翔は私の体の前に立ちはだかるようにしてくれていた。


ズグッ


――土が震えた。

カチャカチャカチャカチャ……

ダージガン「こいつ……危険や!!」

スカベンジャー「ぐおおおうおおおおおおおおおっ!!」ゴボガアアアッ!!!

美沙「えっ!?」

ダージガン「うおっ!!」


――土の中から、ドリルがもう一本飛び出した。


――同時に、壁がさらに崩れた。すべてが埋まっていく。



――ダージガンは素早く下がって落盤から逃れた。私と翔も、すでに安全な位置にまで下がっている。


――しかし、埋まっていくその暗い空洞の中を、私は見た。


――黄色く爛々と光を放つ目。光に照らされてその反射でぎらぎらと輝く歯。


――まるで、悪魔のような顔をしていた。悪魔の顔は、土によってその姿を一瞬だけ私達の眼前から消え去った。


翔「埋まっちまった」


――翔がそう呟いた時だった。

ズゴグガガアアアアアアアアアアアアッ!!!!


ダージガン「来た!!」


――けたたましい轟音とともに、再び姿を現したそれは。


スカベンジャー「うあっはあああああああああああああ!!」フィイイイイイイイイイイイイイイッ!!!

翔「せ、戦車?」


――戦車とは違うように見える……が。他に形容しがたいのも事実だ。


――地中から空中に向けて飛び出したそれは、金属製のタイヤ……のようなものと、金色と赤色に輝く装甲……のようなものと


――先端には二つのドリルが構えられ、その上にはやはり金属の触覚、赤く透き通った装甲?に、エメラルド・グリーンに輝く……


――まるで虫の顔のようなものが備え付けられている。あれは戦車ではない。戦車ではなく、もっと別の乗り物なのだ。そしてあのドリルと赤い色は、地中に埋まっていた悪魔と同じもの。


美沙「もしかして、これが変形!?」

ダージガン「そうや、トランスフォームしてドリルタンクになったんや!」


――その言葉を証明するかのように、空中で戦車……ドリルタンク?は奇怪な動きとともに、頭が真っ二つに割れたかと思うと、その間から先ほど見た悪魔の顔が現れた。角も生えていた。その様はまるで怪物であった。


――装甲が外れた。その中から、悪魔や怪物のイメージには似つかわしくないスマートな両脚と胴体が現れた。


スカベンジャー「ぐかかかかかかか……っ」カチャカチャカチャカチャ


――かちゃかちゃと音を立てているのは、両肩から延びる6本の腕のようなものだった。虫の脚を機械にするとこうなるのではないだろうか。異形の姿に私はぞっとした。


翔「だ、ダージガン、お前に似てる気が……しないけど、仲間じゃないのか?」

ダージガン「多分敵や。多分な……」


――多分、ではない。直後の、”怪物”の行動を見ればわかる。


――両手。ドリルの形をしたそれが、歯医者の嫌な思い出を呼び覚ます音を立てて空を裂いたのだ。

スカベンジャー「死ねぇああああああ!」フィイイイッ!フィイイイイイイイイイン!!

ダージガン「うおっ! やめえや!」


――”怪物”はドリルを回転させながら腕を振り回す。横薙ぎの一閃がダージガンを脅かす。


ダージガン「っと、あぶなっ!」


――持ち前のスピードで素早く飛び上がったりしゃがんだりして攻撃をかわすダージガン。金属と柔軟な生物的部位が同時に無理なく動き回る姿には正直見惚れた。


ダージガン「お前ら、逃げときー!」シュッ!

スカベンジャー「よげんじゃねええええええええええ!」シュフィイイイイイイイイイイイイッ!!!!

美沙「で、でも」

翔「何してるんだ? 美沙、ここはダージガンに任せるんだ!」

美沙「そ、その、そうだけど……>>26

あそこに人が…

翔「なんだって?」

美沙「ほら、腰を抜かしてる! 助けないと!」

翔「くそっ!」

スカベンジャー「ぐおるらああああっ!!」ズガシシシシシッ!!

翔「うわ!?」

美沙「きゃ!!」


――右腕のドリルが土を削り砕き、飛び散って私達を襲う。

――手に当たった。強い勢いで叩かれたように痛い。

――翔は走っていた。

――ダージガンは。

――その時私は、初めてダージガンの背中を見た。

――噴射口のようなものもあれば、羽にはファンのようなものもある。

――蒼と黒の縞模様で彩られた蜂の腹。その針のみが銀色に輝き、紅い幾何学模様が彫り込まれている。

――幾何学模様が、外れた。


ダージガン「ニードルショット!!」ズバシュッ!バシュッ!

美沙「銃!?」

――黒い槍のような弾丸……? が数発、空を切った。

――赤い悪魔のようなロボットが、ドリルを振るってそれを打ち弾く。

――奇声を発しながら、突進してくる赤いロボット。


ダージガン「う、ぐっ、ブラストリーダーッ!!」

美沙「!?」

スカベンジャー「がぐっ!?」


キィヒィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ


美沙「きゃあ!?」

翔「ぐええええなんだこの音はあああ!?」ガクガクガク


――最悪の音だ。頭の中まで響き渡るこの音。ダージガンの銀色の羽に備えられたファン状の機械が回っている。まわっている。ここからその音が出ているのは明白だった。



スカベンジャー「うがごがあああああああああ……うがああああ!」

ダージガン「もう一発くらえやっ!」チュンッ

スカベンジャー「っ」ドブシュッ!


――音とともに、ロボットの動きが止まった。

――細長い銃弾……槍のようなものが、赤いロボットの肩を撃ち抜いていた。


翔「はあ、はあっ、死ぬかと思ったなんだこの音」

美沙「ダージガン、あなたね?」

ダージガン「すまん、相棒にもやらんように言われとったんやけどしゃーなかった。ここじゃ治せる設備もないしな……」


――ブラストリーダー。翼のファン状の部品から放つ強烈な音波により、敵味方関係なく周囲を痺れさせる。

――ニードルショット。ミサイルや、敵を痺れさせる槍を発射する連射性に優れた銃。

――彼はそう説明した。まだ頭に音が響いている。


翔「痺れさせる武器ばっかし!」

ダージガン「なるべく無傷にあいつを倒さなしゃーないやろ……もぉ~」

スカベンジャー「ぐ、ぐごごお、ががっ」ビリビリビリ

美沙「そ、そうだ。あの人はどうなったのかしら?」

翔「あの人? ああ」


――そこを見ると、さっきいたはずの人はいなかった。

――当然だ、逃げるのがふつう。でも、写真に撮ってネットに流している可能性も考えられる。


美沙「ネットに拡散されてるかも」

翔「だとしたらやばいな……最悪、俺達2人と1体で政府とかから逃げ回らなきゃならなくなるじゃないか!」

ダージガン「えー面倒やなぁ……しかもこいつどーしたらええかわからんし」

スカベンジャー「ぐ、ぐががあああ……」

ビューーーーーーーーーーーンッ!

ダージガン「なんや?」

美沙「えっ!?」

翔「なんか飛んでくるぞ!?」

レーザービーク「きゃっほーっ!!」


――信じられない。

――プテラノドンが飛んで来た。

――紫色の体色、紫色の嘴、紫色の角、紫色の翼。時折赤い線も見える。


レーザービーク「仲間はっけぇぇん……」ケラケラケラ

翔「すげえ、なんで!? なんで!? プテラノドンが来たぞ!? おいおいおいおい!」

美沙「テンション上がりすぎでしょ」

ダージガン「またビースト戦士が現れよった!」

美沙「や、やっぱり!」

レーザービーク「レーザービーク、変身っ!!」シュカンッ!!

――レーザービーク? それが彼の名前なのだろうか。

――変身、の掛け声とともに、首が、折れるかのようなすごい勢いでのけ反った。

――同時に、全身が腰を起点に折れ曲がり、そこから丸い紫のヘルメットをかぶったような頭が現れた。

――真っ赤な顔をしていた。目は黄色い楕円形。スマートなボディはまるでヒーローのように見える。

――その手には、見てすぐわかるような銃を持って。


レーザービーク「しゃっ!」ズダンッ!ビビビビッ!!

翔「び、ビームだ! ビームだよおい! 連射してきたぞ!」

ダージガン「連射力なら負けへんで!」ズドッ!ドドドッ!!

美沙「ニードルショットね!?」

ズドンッ!ドドドンッ!


――互いの銃撃が空中で爆風を生み出す。灰や燃えカスが振り、時に地面に光線が撃ち当たる。

――時に、空の中へとニードルショットの銃弾が消えていくこともあった。

――ダージガンの銃弾が、レーザービークに当たった。


レーザービーク「ぎゃああっ!」

翔「やった!」


――爆炎の中に、レーザービークは消えた……いや。


レーザービーク「く、くそ、よくも!」


――ほぼ無傷。

――ミサイルを一発、まともに受けておいて無傷。多少紫の体が黒く焦げているようではあるが。

――レーザービークが強い? ダージガンが弱い?

――人間とトランスフォーマーの違いだと気づくのにはもうしばらくの時間がかかった。

イグアナス「よーっしゃ」ズイ

クワガイガー「おいもういいぜ!」

スナッパー「十分だ!」

ダージガン「何っ!?」

レーザービーク「おーっし」


――振り返ると、いつの間にか他にもトランスフォーマーがいた。

――トカゲのようなしっとりした肌を持つ者、ダージガン同様に虫の脚や羽を備えた者、鋭い爪と大きな甲羅を持つ者。

――赤い悪魔を3人がかりで抱え、私たちに銃口を向けている。



ダージガン「なんやなんやお前らっ!」

レーザービーク「へへっ、へへへへっ、残念だったなっ!!」キヒヒヒヒ!

翔「やばい、囲まれた……」

美沙「あ、あなたたち、どうして私達を襲うの!?」

レーザービーク「うるせえ人間!」ビビビッ!

翔「うわあぶねえ!」

ドガンッ!

ダージガン「お前ら、耳塞げ!」

美沙「え」

翔「またあれやるのかよ!!」パシッ

美沙「大丈夫かしら……」パシッ

スナッパー「なんだ!?」

クワガイガー「撃っちまうぞ……」

ダージガン「ブラストリーダーぁああああっ!!!」

――逃げおおせた。

――耳をふさいでも苦しい音波の渦で、レーザービークたちが苦しんでいる隙に

――私達を、翔の家まで、ダージガンは蜂の姿になって飛んでくれた。

――人に見つかる前にと、いや、すでに見つかってしまった可能性は高いのだが、ダージガンは飛び去っていった。

――別の山に隠れるとだけ言い残して。



翔「まるで夢みたいだったな……」

美沙「夢じゃないよ……」


――手の痛みがそれを私に教えていた。現実なんだと。蒼い蜂も、赤い悪魔も、紫の翼竜もすべてが……


美沙「う、まだ頭痛い」ズキ

――翌日

――昨日の夜からネット検索をしても、ロボットの戦いを見たとか巨大な蜂が飛んでいたとかいう投稿はなかった。

――おかげで、私も翔も無事に何事もなかったかのように学校にいる。

――昨日見たあの人物は何もしなかったのか。

――逃げたのか。恐怖に怯え、家で震えているのか。

――それとも。



翔「おい、中山が来たぜ?」

友「なんで学年主任が来たんだよ~」

中山「おはよう」

学生たち「「おはようございます」」

中山「実は、昨日の夜に担任の坂田先生が急に転勤することになり、代わりに新しい担任が来ることになった」

美沙「えっ?」

翔「急に……なんだよそれ」


――ドアを開けて入ってきたその人は、私に妖しく光るような視線を浴びせた。

――黒板に書かれた名前は、>>36

――その見た目は、>>37

昨日山で見かけた人物とそっくりだったのだ。

にっこりと、笑った。私は全身が凍てつく想いをした。

志門 雄一 (しもん ゆういち)

元ネタは実写版3部作に登場した
シモンズ捜査官と吹替を担当したチョー(旧名:長島雄一)の名前から

・男性、年齢は30代前半くらい
・髪型はショートパーマ
・オーダーメイドのダークグレーのスーツ
・ブランド物の高級品と思われるエメラルドグリーンのアンダーリム眼鏡

――志門を名乗ったその教師。

――担当科目は数学。

――可もなく不可もない授業内容。

――ただ、授業中不真面目な学生には厳しい。寝ていた翔を怒鳴りつけた。


志門「橘川! さっそく寝るとはいい度胸だな!!」

翔「わ、わ、ど、どもー!?」

志門「後で職員室に来るように」

学生達「ひでー」「寝てただけで?」「怖っ」ウワー


――エメラルドグリーンの眼鏡の奥に潜む目をじっと見る。

――何もわからない。

――職員室前のドアに待つことにした。

――翔を叱ると同時に、なにか昨日のことについて言ってくるんじゃないかと


志門「心配か、大地。君も一緒に罰を受けるか?」

美沙「えっ」


――一瞬で感づかれた?

――志門は、ただものでない。


翔「美沙はまじめに授業受けてましたよ!」

志門「寝ていた奴がどうしてそれと分かる?」

翔「う」

志門「寝たふりをしていたのか? そんなに私の授業が退屈か。そうか」

翔「い、いや」

志門「これは私の著書だ。これに対する感想レポートを原稿用紙10枚にまとめること」ポン

翔「ええええっ!? ちょ、先生それは……えええ~~~!?」

志門「大地は無論、他の者の助けは借りぬことだ。お前の成績から、どのようなレポートを書けるかは想定済みだ」



――志門の著書の表紙には大きく堂々とした文字で『関数学と宇宙』と書かれていた。

――これのレポートを書くのは、数学が苦手の翔にはきつい罰だ。私はむしろやりたい気がするが。

――しかし、結局ダージガンたちのことを少しでも話の中に出すことはなく。

――その日、翔は図書室にこもってレポートを書くことになった。

――私は、他の友達と帰ることにした。最も、翔と一緒に帰ったり登校することもあまりないのだけれど。

――私の特に仲のいい友達は、プロポーションのいい雲子(くもこ)、無口な冴香(さえか)、華奢な流(ながれ)の3人だ。


雲子「アンタ、彼氏につき合ってあげなくていいわけ~?」ニヤニヤ

美沙「翔とはそんなんじゃないんだってば!」

流「あっれえ? いつも学校では一緒じゃん。昔からそーなんでしょ?」

美沙「たしかに小学校の終わり位からよく遊んだりするけどもそんな」

冴香「ラブラブ……」

美沙「もうっ!」


――いつもこうだ。翔を私の彼氏と勘違いしてからかってくる。

――一通りからかい終えると、途端にほかの話になるのだが。


雲子「あの店のケーキがおいしくてさ~」

流「まーた太るよ?」

雲子「太ってるんじゃなくてナイスバディなの! 巨乳なの!」

流「ぐ~」

美沙「他の場所にもお肉がついてるみたいだけど?」

雲子「……うっ」

冴香「太った」

雲子「う、うるさ~い!!」

――そんな話をしながらも、私は後ろに気を付けていた。

――誰かがつけてくるような気がする。

――無論、志門を気にしているのは言うまでもない。

――しかし、取り越し苦労だったのか、志門の尾行がうまいのか、何一つ”影”を感じることはできなかった。

――みんなと別れて帰りの電車に乗り、空席のないことに残念がり、窓の外で流れていく景色を追いながら私は家のある町へ帰る。



美沙「ふう……」


――そこに、一瞬空を飛ぶ何かが見えた気がした。


美沙「何今の……」


――私は思わずつぶやいた。鳥? 飛行機? ダージガン? それともレーザービーク?

――しかし、一瞬で視界から消えたそれがなんなのかはわからなかった。

――私は、もう一度あの山へ行くことにした。もう一度彼に遭えると思って。

ザッ

美沙「ダージガン……いる?」


――もしもう一度遭えるとしたらここしかない。彼も、そう思っているだろうからだ。

――レーザービークたちもいるかもしれないけれど。

――不思議と、危険から逃げよう、とか、昨日のことを忘れよう、などという想いはなかった。


美沙「何が起こっているのか自分で見定めたい……」

志門「その通りだな」ズイ

美沙「志門! ……先生」


――背後の木の陰から、エメラルドグリーンの縁の眼鏡が輝いた。

――志門が現れた。


美沙「どうしてここに」

志門「わかっているだろう。君もここで見たはずだ」

美沙「っ」

志門「動物、昆虫の姿をその身に取り入れた機械生物の戦う姿を」

美沙「やっぱり、昨日いたのは先生だったんですね」


志門「ああ」

美沙「そしてその次の日には入れ替わるように担任の先生になった。あなたは何者なんですか!?」

志門「それを答える必要はない」


――その言葉に私が焦燥した、その時だった。


――昨日ダージガンや悪魔が出てきたあの場所から、紫の薄い翼がするりと翻ったのだ。


レーザービーク「その通りだな。お前達には死んでもらうからだ」

志門「!?」

美沙「れ、レーザービーク!!」

レーザービーク「変に人間とつながりを持つわけにはいかないんだよ……!!」

美沙「あ、あ、あ、あ、あ……っ」

志門「うわわわわ!!」


――私は、>>44することにした。いや、しようとした。

――志門は、>>45しようとしているようだった。

その場から逃げて隠れる

懐から何かの機械のような物を取り出した

レーザービーク「なにしてるっ!」ズビッ!!

志門「っ!!」ズグッ!!

美沙「あ!」


――あ、という間だった。

――レーザービークの手持ち銃から放たれたビームが、志門の胸へと吸い込まれるように見えた。

――志門の脚が崩れた。

――懐に入れた手をスーツから抜かないまま志門が倒れる、そう思った時だった。

――志門の脚が、すぐに地面を踏み直ししっかと立ったのだ。

――懐に手を入れたままだった。

――志門は懐に手を入れたまま、表情涼やかにしていた。


レーザービーク「なんだお前……」

志門「人間をなめるなよ」

レーザービーク「ちっ!」ズビッ!ズビッ!ビビビッ!!


――レーザービークの連射。

――それと同時に、私はなぜ志門が倒れなかったのかわかった。

――光の壁。バリヤーだった。

――志門のスーツに入れた手の中から、小さな機械が覗いているのが見えた。

――バリヤーで身を守る志門。何度も光同士が撃ち当たる音が、光とともに鳴り響く。

――私は驚きつつも、しずかにあとずさりして岩陰に身を隠してその光景を見ていた。

志門「どうだ? お前達の科学をも我々のものにできるのだ」

レーザービーク「お前こそなめんじゃねえぞっ!!」ズガビッ!

美沙「っ!」


――閃光が走った。

――レーザービークが蹴りを入れ、バリヤーを壊しにかかった結果だった。

――バリヤーがスパークし、レーザービークの全身に電流が走っているかのようにその身を光が包み込んでいる。

――志門も汗を垂らし、少し焦りが見られる。スパークしているバリヤーに包まれて周囲の温度が上がっているのかもしれないけれど。いや、明らかに目に驚きがある。


志門「ぬ、う、う」

レーザービーク「こんなことしたら、人間だったら吹っ飛んじまってるんだろうなオイ。オイっ!」ズガジッ!!

バヂバヂガガガガッ!!


――音が変わった。

――バリヤーが悲鳴を上げているのだろう。志門も後ずさった。


志門「エネルゴングリッドバリヤが……」

レーザービーク「エネルゴンだと? やはり予言通りか!!」


――この隙に逃げればよかった。え、予言?

――その時、その場に新たなる閃光が轟いた。

――頭上から。

――小さな振動とともに、赤か黄色か、その中間か。螺旋を描く光の束が、空から降り注いだのだ。


ダージガン「何しとんねんお前っ!!」

レーザービーク「げ!!」

ダージガン「おんどれえっ!」

美沙「ダージガン!!」パァア

志門「またも!!」


――空から落ちた蒼い影。

――ダージガンの銀の翼から、赤い閃光が再び迸る。


美沙(あのファン状の部分から出るのはブラストリーダーだけじゃなかった……?)

ダージガン「うっしゃあっ!」ズオオオオオオオオッ!!

レーザービーク「うわがあああああああっ!!!」グガガガガガ!!

美沙「わ、わ、わ!」


――光の渦を浴びたレーザービークは、光と同じ色に染まりあがり苦しんだ。

レーザービーク「ぐ、ぐっ、ぎっ」


――光から逃れるようにして、レーザービークは空へと舞い上がった。

――同時に、ダージガンも飛ぶ。空中で退治する両雄。

――レーザービークがまず、引き金を引いた。


レーザービーク「死ねっ!!」ズビビビッ!!

ダージガン「おっとっ!」シュパパッ!

レーザービーク「よけるな!!」カチ

美沙「あれ?」


――カチ?


レーザービーク「あ」

ダージガン「なんや」

レーザービーク「……」

ダージガン「弾切れか? なんやつまらんなー」

レーザービーク「ビーストモード」ヒュウンッ

美沙「あ、プテラノドンに変身した」

志門「ビーストモードになったか……!」

ダージガン「逃げるんかお前!」

レーザービーク「さらばだ」ピューッ

ダージガン「あっ!」


――レーザービークは逃げだした。雄々しい翼竜の姿で。

――腰が、抜けた。


ダージガン「美沙、大丈夫か!!」ガシッ

美沙「ご、ごめん……私のせいで逃げられちゃった」

志門「大地……」

ダージガン「おどれはなんや」

志門「うぐっ」

ダージガン「なんや」


――ダージガンに詰め寄られ、志門は観念したかのようにその場に座り込んだ。

~~~~



スナッパー「逃げてきただと……」

レーザービーク「相手は人間だけじゃない、あの蜂野郎も一緒にいるんだぜ!? しかもエネルギーが切れて……」

クワガイガー「だから俺に行かせろといったんだ」キリキリキリ……

イグアナス「洞窟にお前が行ったのが人選ミスなんだ」

レーザービーク「うるせえっ! だったらお前ら行けよ!! くそ、スカベンジャーがあんなこと言わなけりゃこんなことには……」

「違う……」

レーザービーク「な、なんだよ」

「スカベンジャーの言葉は有意義であり我らの目的に対し重要である」

レーザービーク「ぐ」

「スカベンジャーの倒れた今、彼の言葉通り必ず或の地へと目的を果たさねばらならない。他の者の手で」

レーザービーク「くそ、早く治らねえかなあの野郎……」

スナッパー「レーザービークを抜いた俺達3人で行けばいいさ、なあ」

クワガイガー「おう、でも獲物は俺のものだぜ」キリキリキリー

イグアナス「地面の下でのケンカは好きじゃねえんだがな」

「ならばイグアナスは此処へと残り、スナッパーとクワガイガーの二人……そして、じきに目覚める彼の者と行くがよい」

イグアナス「彼の者?」

「……」ゴ……ン

~~

ダージガン「エネルゴンの力が響くのがわかってここにまた来たっちゅ~わけや」

美沙「でも助かったわ、ありがとう……」

志門「……」

ダージガン「それよりお前、なんやねん」

美沙「昨日の戦いも見ていたのよ。今日になって、私達の先生と入れ替わるように担任になって」

志門「……」

ダージガン「地球人しか使わん単語はよーわからんけど、あんまいいイメージないみたいやなおっさん」

志門「お、おさ……!!」

美沙「ぷっ」クスッ

ダージガン「えーかげんにせんとどつくぞワレッ!!!」

志門「うわ!」

美沙「ぼ、暴力は良くないわよ~」

ダージガン「命拾いしたのうワレぇ」

志門「ぐっ」

美沙「あのね……」


――何か朗らかなムードが流れ、どこか楽しかった。しばらくして、志門は重い口を開いた。

志門「トランスフォーマーという言葉を、大地は知っていたか」

美沙「い、いいえ。ダージガンと出会うまでは」

志門「1985年、アメリカ。セントへレンズ火山にてトランスフォーマーが目覚めた。2005年、ユニクロン戦争。2010年、宇宙ペストの猛威……」

美沙「なんですかそれ……」

ダージガン「地球とトランスフォーマーの歴史の痕跡やな」

美沙「え、それって歴史の陰の話ですか?」

志門「数年前から、地球人とトランスフォーマーの関わった痕跡が消えた。殆どの文献や記録、殆どの人々の記憶からな」

ダージガン「なんやねんそれ。まーワイらの時代でも地球との接点はもうあんまなかったけどな」

美沙「志門……先生は、覚えていたというんですか?」

志門「その通り。と言いたいところだが、残ったわずかなエネルゴンのサンプルを調べてそれらの記録データにアクセスしこの事実を知ったのだ。この山のこの場所には、トランスフォーマーにかかわる重要な何かがあると」

ダージガン「な、なんやと……? う、う、頭が……っ」ズキズキッ

美沙「だ、ダージガン? 大丈夫?」



~~

オリジナルビースト戦士安価で募集 安価↓1~3


以下テンプレを埋めてください

名前:
容姿:
変化:
性格:
武器:
得意技・戦法:
スペック(パワー、知能、スピード、ディフェンス、スタミナ、勇気、火力、テクニックの8項目):
願望:

――洞窟。


――光の届かぬ薄暗さ。湿った空気。不安なランタンのぼやけた光。


――ダージガンと赤い悪魔の埋まっていたあの崖の穴の奥は、さらに洞窟に通じていた?



志門「君の言う赤い悪魔がドリルを使って掘り進んだ洞窟であるようだ」

美沙「本当ですか?」

ダージガン「あいつワイと一緒にあそこで眠っとったのにそれ変なんちゃう?」

志門「む」

美沙「そうですよね、あの場所で眠る理由がありません」

志門「ふん」

美沙「……」

ダージガン「つーてもワイが通りにくい大きさやなあ。あいつがビーストモードだかビークルモードで通ったとしたらこのくらいかもしれんなあ」

志門「どちらにしろ人工的に作られた洞窟であることは否めんな」

ダージガン「黙っとれ」

志門「な」

美沙「ま、まあまあ」



――私達の声と足音が鳴り響く合間合間に、ぴちゃり、ぴちゃりと水の音がする暗い洞窟。


――ダージガンの軽快な語り口は、私の心に余裕を持たせてくれている。


――広間に出た。

ダージガン「おお、デカい空洞もあるんやな」ブンッ

志門「腕を振り回すな、危険だ」

ダージガン「うるさいなー、窮屈やったんやからええやないけ」

美沙「ケンカしないで……それより、ここに何かあるかもしれないわ」



――所々に岩の突き出た


――その時、影が通った。



ススススススッ

美沙「何、今の」

ダージガン「なんや」

美沙「今、何かが通ったの」

ダージガン「モグラか?」

美沙「あんな大きなモグラいないわよ」

ダージガン「じゃあモグラ型のビースト戦士かもしれんなあ」

美沙「えっ、敵?」

ダージガン「わからん」チャキッ

志門「む」チャキッ



――ダージガンはニードルショットを、志門はさっき使ったバリア装置【エナージョン・シールド】を用意した。


――エナージョン・シールドは一度エネルギーが尽きさえしなければ、周囲の元素をエネルゴンが吸収してまた使えるようになるらしいということだった。


――しかし、周囲には誰も現れなかった。



ダージガン「なんもいないなあ」

志門「気のせいだったようだな。恐れに支配されていては当然か」

美沙「お、恐れてなんか!」

志門「君はもう帰るほうがいい」

美沙「ううー」

ダージガン「ええやないけ、もう遅いわ」

美沙「あ、ありがとう」

ダージガン「……臆病な役立たずの扱いとか腹立つんや」チッ

志門「ほほう、実感がこもっているな」

ダージガン「ふん」

美沙「やめてください志門……先生!」

志門「これは失敬」



――ランタンの光に照らされ、エメラルドグリーンが嫌みに輝いた。



グルルルウルルルルル……

――広間は岩がゴツゴツしているだけで、そこから出られる道は二つしかなかった。


――私達の入ってきた道と、ランタンの明かりを頼りに手探りで探し出した、大きな穴。


――ダージガンが入るのにも十分な穴だった。この先に何かがあるのだろうか……。



ザッ、ザッ


ダージガン「見てみい」

美沙「あ……あっ」

志門「これは宇宙船か?」

ダージガン「せや。トランスフォーマーの技術で作られた宇宙船や」


――先ほどよりさらに大きな広間だった。


――そこに横たわる、巨大な金属の塊。


――直線、曲線、点線。あらゆる線から作り出されたような、独特の造形。


――私は目を見張った。



志門「これがトランスフォーマーと人類の新たな架け橋となるか」

ダージガン「デストロン軍のものやな。ほれ」

美沙「蜂のマーク?」

ダージガン「ああ。ワイが蜂の姿になれるようになったんはなんかの因縁かなーとも思たりしてな。ちなみにサイバトロンのマークは狼の形をしとる」

美沙「サイバトロン軍とかデストロン軍とか……戦争してたんだっけ」

ダージガン「まあな」

志門「デストロンは悪の軍団の筈だが?」

美沙「えっ」

ダージガン「宇宙征服は平和のためや」

美沙「えっ!?」


――私が息つく暇もなく、驚愕の事実はあっさりと知らされた。


――ダージガンは悪のトランスフォーマー?


――そして、宇宙征服という聞きなれたような聞きなれないような単語。


――そんなことを考える余裕を振り払い、新たな脅威がその場に現れた。


――いくつもの足音が聞こえてきたのだ。




カタカタカタカタ……

ジェットシザース「お前ら何者だ~~~~~~あぁん?」

ダージガン「お前こそなんやねん」

――暗闇から聞こえてきた、声。


ジェットシザース「ジェットシザース、変身っ!!」ウオンガチャチャッ!

志門「敵か!」

ジェットシザース「人間二人にトランスフォーマー一人ぃ~~~~いん、と」


――ジェットシザースと名乗ったそれは、ランタンの光の中に、入った。


――洞窟に似合わない、鮮やかな色をしたトランスフォーマーだった。


――いくつも聞こえた足音は、このトランスフォーマーが鳴らしていた音だった。



ジェットシザース「カカカカカカカ、ぶち殺す!!」

ダージガン「待てや、お前にとってワイが敵か味方かわかるはずやろ!?」

ジェットシザース「裏切り者の漫才師だろぉん。ならば敵だぁん! 殺せばそれだけ……クカカカカカカッ!!!」シュバッ!

ダージガン「うおっとっ!!」

美沙「剣!?」


――ダージガンが後ろに飛びのいた瞬間、剣を持っていたはずの右手から銃弾が光った。


――剣を持っていたと思ったその手には、銃が握られている。ようやく届いた明かりの中で、そのように見えた。


――弾丸は、ダージガンの腹に当たった。


ダージガン「う、うぐっ」フラッ

志門「君が余計なことを言ったせいでダージガンがダメージを受けてしまったのだ」

美沙「そ、そんな」


ダージガン「いちいち嫌みいうなボケっ!」シュバッ!!



――ダージガンが横へ跳んだ。同時に、ジェットシザースもダージガンに銃口を向けるために体を廻す。


――激しい中の音が鳴り響く。


志門「ど、洞窟が崩れるぞやめろっ!!」

ダージガン「わーっとるわ! 接近戦に持ち込みたいんやが……」

ジェットシザース「クカカカカカカかッ! 手柄を立てればそれだけ出世に近づくぅ~~~~~~~~~うん!」

ダージガン「ちいっ! 誰の命令でそんなことしとるねん!!」シュッ! ズバババッ!!!

ジェットシザース「誰の命令でもないぃん! 俺自身の考えだぁん! クカカカカカ!!」ズバンッ!バギュンッ!!


――洞窟が、岩が震える。

ダージガン「このボケが……ニードルショット!!」ドシュンッ!!

ジェットシザース「うお!?」ガチインッ!!!


――敵を痺れさせる槍。あれを使ったのか。


ジェットシザース「俺の甲羅にそんなものが通用するかあんっ!!」ビュッ!!

ダージガン「な!?」

ジェットシザース「そおおらあああん!」

ダージガン「今や! ダージガン、トランスフォーム!」シュガキイイイッ!!グオン!


――ジェットシザースが槍を弾き返したと思ったその時。


――ダージガンは、蒼い蜂へと姿を変え、素早くその身をひるがえした。


ジェットシザース「お、おおお!?」

ダージガン「毒針くらえやっ!!」シュヒュッ!!


――針の毒針。それも、金属でできた強固な一撃だ。


――ジェットシザースはがくがくと足を震わせ、避けることもできずにその一撃を受けた。


ジェットシザース「うぐがあああっ!」ゴシャンガラガララアッ!!

ダージガン「おっし!」

ジェットシザース「ば、バカな……あぁああん?」

志門「効いているぞ、とどめだ! とどめをさせ!」

ダージガン「そこまですることあらへんやろ」

志門「何を言っている!?」

ダージガン「なんもしてへんくせに調子に乗るなや」

志門「なんだと……デストロンのくせに甘いやつだ」

ダージガン「なんや」


――私は志門の言葉に怒りを覚えた。


――志門に何か言い返したい。


――>>63とでも言ってやろうか。

あなたは分かってない…

美沙「あなたは分かってない……」

志門「何?」

美沙「たとえ過去がどうであったとしても、今と未来をどうするかでその人がどう見られるべきか変わるはずよ」

志門「ほほう」


――志門は余裕を含んだ表情で私を横目に睨んだが、そのあと話を続けようとはしなかった。


ウィンウィンフォアッ


――異音がした。


――その方向を向くと、ジェットシザースがいた場所に、大ヤドカリがいた。


――同時に、ダージガンがロボットモードになっていることにも気が付いた。


――ダージガンが再び銃口を向けたその時、敵は巨大な殻で身を覆った。


ダージガン「おいこらぁ、隠れるんか? そんなら降参せえや」


――ヤドカリが、廻った。



ジェットシザース「うおおおおおおおおおおおんん!!」フィイイイイイイイオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

ダージガン「なんや!?」

ギュイイイイイイイイイイイイイイイギリギリギリガガガガガギギイイイイイイイイイイッ!!!

ダージガン「おうわあっ!!!」


――今度はダージガンが動けなかった。

――高速回転……ヤドカリの殻が、ダージガンの胸に突き刺さりその身を削る。

――火の粉で明かりが良く見えた。ダージガンの体が壊れていくのが見えた。

――ドリルのようだ、と志門が言っている声が聞こえた。


美沙「いやあああああああああああああっ!! やめてっ!!! やめてお願いっ!!」

ダージガン「美沙近寄るなあっ!!!」

ジェットシザース「死ねぇえええええええええええええええんっ!!」ギュギイイイイイイイイガギガギガギイイイイッ!!







――眩しい明りの中、ダージガンの胸から、蜂の姿でいるときに触角と呼ばれるだろう部分品が零れ落ちるのが見えた。

――それは、地面に落ちて私の足元に転がった。

――「ああ」

――しかし、悲しみと絶望の中に、私の頭に一つの大胆な作戦が浮かんだ。

――『それ』を拾い上げる。先端が赤々と光っている。

――すこし走った。

――『殻』の『裏』に、摩擦で熱された触角を、先端から放り込んだ。


ジェットシザース「うあっちゃあああああああああああああああああ!!!」

ダージガン「うおあっ!?」

美沙「や、やっぱり! 生身のビーストモードにこの熱は効くと思ったのよ!」

ダージガン「ようやってくれたで……喰らえやっ!」ズオオオオオオッ!!!

ジェットシザース「ぐああああああああああああ!!」グオオオオオオドガアアンッ!!!

美沙「や、やった!?」

ダージガン「ふう、はあ……」

美沙「今の、レーザービークを倒したのと同じ……」


――同じ、赤と黄の光の渦がジェットシザースを包み込み、未だに輝いている。


ダージガン「そーいや名前なんちゅうんだったっけか忘れてしもたわ……相棒を助けようとしたときに使た覚えがあるわ」

美沙「相棒?」

ダージガン「いたた……それより、今は宇宙船の中に入ろか。トランスフォーマーの技術でできた宇宙船なら回復装置があるはずや」

美沙「そうなの!? よかった……」

ダージガン「それより、あのおっさんはどこや」

美沙「おっさ……あ、志門ね?」


――騒ぎの中、ランタンを持って逃げたらしい。明かりがなかったことは、ジェットシザースの攻撃による火花の明るさで気が付かなかったのだろう。

――宇宙船から、光が漏れている。そこは、ドアが開いていた。ダージガンはハッチと呼んだ。

――私達は、開いたドアへ入った。この明るさは、おそらく志門がつけたからだろう。

――金属のひんやりとした感触のある通路だった。


美沙「同じひんやりとした感じでも洞窟とはまるで違うわね……明るいだけましだけど」

ダージガン「せやな」グッ

美沙「だ、大丈夫?」

ダージガン「この船見て回るくらいの力はあると思うけどな……警備システムが攻撃してこなけりゃ大丈夫やろ」

美沙「そ、そうね」

ダージガン「あのおっさんが警備システムに引っかかってるならサイレンの一つも鳴っとるやろしなあ」

美沙「そっか」

ダージガン「じゃ、行こか」

美沙「ええ」


ザッ、ザッ、ザッ、グラッ


美沙「大丈夫?」

ダージガン「多分な」

――いくつかの分かれ道を抜けた後、操縦室と思われる大きな部屋についた。

――ダージガンは、『司令室や』と言った。話を訊くとどうやら、操縦室や警備管理室とも兼ねてはいるらしい。

――一つの個室を見つけた。まるで、ネカフェの個室を大きく丸くしたかのような。

――ダージガンが開けると、そこはプールのようになっている。


ダージガン「しめた、これで回復できるで」

美沙「本当?」

ダージガン「エネルゴンを使うた再生プールや。このくらいのダメージなら問題なく回復できるで。ちょっと待ってーな」チャポン

美沙「ええ」

ダージガン「そや、美沙」

美沙「え?」

ダージガン「さっきはありがとな」ニッ

美沙「う、うん」


シュオオオン……シュワワワワア……



――ダージガンが再生プールに入っている時間、私は司令室を見渡した。

――普通の人間が使うには、やや大きめな椅子やそれに合わせたテーブル。

――テーブルには、透き通った赤や緑、黄色の丸三角四角の様々な色や形状のボタンが無数にならんでいる。

――勝手に押したら爆発するかもしれない。

――そこに、また足音が聞こえた。


ジャキッ、ジャキッ、ジャキッ


――ジェットシザースの音じゃない。志門でもない。

――私は青ざめて、後ろを見た。再生プールには、まだダージガンが眠っている。

――誰


スナッパー「やった、見つけたぜ! これが俺達の基地になるんだぜ!」

クワガイガー「これが俺達の基地になるんだぜ! じゃねーよ、獲物はどこだ?」キリキリキリ

シルバリオン「……大丈夫か」

ジェットシザース「ぐ、ぐう~」


――昨日の3人組の中の、二人。そしてもう一人、初めて見たトランスフォーマーがヤドカリを担いでいる。

――銀色のナイトのような姿をしている。

――彼らは、一直線に私達の目の前に歩いてきた。


クワガイガー「なんだ、ん? なんだ!?」

スナッパー「昨日の人間だ!」

シルバリオン「これが地球人か」

美沙「うっ」

ジェットシザース「あ、あの野郎はどこだ? もしかして、そこで休んでやがるのか? 俺のエネルゴンだぞ!!」ゲホッ

スナッパー「そう言うことか。おいシルバリオン、そこの再生プールに入っている奴を引きずり出して、ジェットシザースを入れるんだ」

シルバリオン「よかろう」

美沙「う……うっ!」


――このままではダージガンが危ない。そう思った私は、>>69しようとした。

――そしてその瞬間、ただの壁だと思っていたモニターに、>>70が表示された。





今回ここまで

マニアックだなー

安価なら 「エネルゴンの場所を知ってる」と嘘を吐く

この宇宙船の全体図らしき立体ホログラムが映し出された。

――私が、嘘をつこうとして「エネ」と言ったか言わないか、その矢先のことだった。


クワガイガー「あんだこりゃあ!?」

スナッパー「もしかして」

ジェットシザース「こ、この船の……全体図だ」ゲホゲホッ

シルバリオン「無理をするな」

美沙「……」

クワガイガー「おい、なんだ? ここ、微弱なエネルゴン反応が動いているぜ!?」

ジェットシザース「なんだって……侵入者かもしれん」

美沙(もしかして志門?)

シルバリオン「確認の必要がある」

クワガイガー「あぁん? だったら俺以外が行けよ、俺は戦果を挙げたいんだ!」

スナッパー「じゃあ俺が行こう」

クワガイガー「おうスナッパーが行けスナッパーが!」

スナッパー「うるさいぞクワガイガー」スタスタスタ

クワガイガー「……ちっ、シルバリオンっつったな。手出しすんなよ。俺は一人で戦果を挙げてえんだ」キリキリキリ……

シルバリオン「かまわん」

美沙「……っ」


――私からは完全に意識が逸れていたと思った。

――しかし、二条の鋭い眼光……狼の眼光が私を捕らえ、放さなかった。

――他の3人も、私をあえて無視しているだけかもしれなかった。

――すぐに、スナッパーと呼ばれた亀らしきトランスフォーマーはその場を去った。

――そして、クワガイガーが私の前に立った。


美沙「や、やめ……」


――震えた。

クワガイガー「ふんっ!」

ザババアアアアッ!!


――私を無視するかのように通り過ぎ、クワガイガーは回復中でか無抵抗のダージガンを再生プールから引きずり出した。

――ダージガンの傷はまだいくつもあった。ジェットシザースにちぎられた触角は戻っていなかった。

――苦しそうな顔のダージガンと入れ替わるように、ジェットシザースがプールに放り込まれた。


ジェットシザース「勝手に使うな!」ザバン!

ダージガン「が、がああっ! おんどれ……っ!」

クワガイガー「いくぜ……」キリキリキリッ

シルバリオン「手負いの相手に向かって戦果とはな」

クワガイガー「ビーストモードっ!」シュキイイッ!


――クワガイガーが、藍色と緑色の巨大クワガタに変身した。

――普通のクワガタと全く違う不自然な色。緑色の鋏が、ダージガンの腹を潰しにかかる。

――ダージガンの叫び声が響いた。


ダージガン「ぐがあああああああああああっ!!!」

クワガイガー「真っ二つだ!」キキキキリイイイイ!!!

シルバリオン「ふむ」

美沙「あ、あああっ!!」

ダージガン「美沙、逃げえっ!」

クワガイガー「逃がすなシルバリオン!」

シルバリオン「承知」

美沙「う」


――シルバリオンと呼ばれたトランスフォーマーが動く必要はなかった。

――その眼光だけで、私の身をすくませるには十分だった。

――ダージガンが、再び叫んだ。


ダージガン「耳塞げえっ!!」

美沙「はっ!」


――その言葉に、私は耳をふさいだ。あれだ。


ヴィギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!ギギギギギギリギリギリイイイイイイイッ!!!


美沙「きゃあああ……ああああっ!!」

クワガイガー「ぎやあああああああっ!!!」

シルバリオン「むうっ!」


――耳をふさいでも辛い音波攻撃ブラストリーダー。

――シルバリオンもたじろぎ、クワガイガーはダージガンの体を離れた。

――ダージガンが、クワガイガーの顔を蹴りつけた。

――クワガイガーは、床へべたりと落ちた。

クワガイガー「ぎえっ!」ドサッ!

ダージガン「いよっし」

クワガイガー「い、いててて……ちっきしょう! 変身!」シュイイイイッ!

ダージガン「ロボットモードで来るか! 行くでっ!」タッ!

クワガイガー「しゃっ!」シュピッ!

ダージガン「う!?」

クワガイガー「はははっ!」

シルバリオン「ボウガンか……」

美沙「えっ」


――ダージガンが戦おうとしたとき、既にクワガイガーはボウガンを構えていた。変身と同時に隠し持っていたことに、誰も気づかなかったのだ。

――ダージガンの左腕に焦げ跡がついていた。ビームを発射するボウガンのようだった。


クワガイガー「うっしゃあっ! もっと喰らえ!」ビビッ!シュビッ!ビビビッ!!

ダージガン「うわっ! ぐ、ぐあっ、がっ!」

美沙「あ、あ!!」

シルバリオン「今ので両腕を封じたか」

ダージガン「ぐっ!」

クワガイガー「銃も持てねえだろおっ!」キーリキリキリ!!

ダージガン「く、くそっ! ブラスト……」

クワガイガー「きりきりいいいい!」ビビビシッ!

ダージガン「おあっ!?」

美沙「あ……!」


――両腕に続いて、ブラストリーダーの発生装置が射貫かれた。

――終わった。

――そう思った時、ダージガンの頭が、がくんと垂れ下がった。

――さらなる絶望。

――これまでのダメージのせいなのか? ダージガンの首が折れたと思った。

――しかし、違った。


ダージガン「ニードルランチャー!!!」ズドムッ!!

クワガイガー「あっ!?」

グドオオンッ!!!


――頭が下がると同時に、背中に備えられた噴出口が、砲塔となって敵へと向いていた。

――そして、そこから爆発する何かが撃ち放たれたのも、同時だった。


クワガイガー「ぎぎゃあああああああああああっ!」グワッシャアアアッ!!

シルバリオン「おおっ」

ダージガン「ニードルランチャー……っ」ハアッ、ハアッ

美沙「まだ武器があったのね!」

ダージガン「危なかった……はあっ、はあっ」

シルバリオン「やるな」


――クワガイガーは、動かなくなっていた。

――それを悟っっているかのように、視線を私たちから離さず、クワガイガーには一瞥もくれず、シルバリオンが動いた。


シルバリオン「次は、私が相手だ」ザッ

ダージガン「ちっ」

シルバリオン「味方がやられて黙っている訳にいかないのでな。許せよ」


――眼光が、ダージガンだけを照らした。ダージガンだけを。


ダージガン「……っ」ギロリ

シルバリオン「命乞いする気はなさそうだな」

美沙「だ、ダージガン……」

ダージガン「諦めるってーのがどうも苦手になってしもてな……」

シルバリオン「……」


――二人が向かい合った。

――今度こそ絶望だ。

――その時、シルバリオンが不可解なことを訊いてきた。

――一瞬、張り詰めた空気がふいと消えた気がした。


シルバリオン「……ゴルドランを知っているか」

ダージガン「知らん」

シルバリオン「そうか」


――再び、重苦しい空気が張り詰めた。

――汗がひとしずく。

――ぽたりと落ちたその音に私は突き動かされるようにして、一歩進んだ。


美沙「あ、ああっ、ああああっ、あのっ!」

シルバリオン「……」

ダージガン「なんや、美沙」

美沙「あのっ! どうして! そんなことを訊いたんですか!?」

シルバリオン「答える必要は……いや」

ダージガン「なんやお前まで。戦うんやないんか」

シルバリオン「ゴルドランとは、我が師匠也。悪鬼によりその命を奪われた」

ダージガン「はあ……?」

シルバリオン「しかしその悪鬼、名前も姿もわからぬ。手がかりを探すべく、私は動いた」


――シルバリオンは故郷のセイバートロン星で敵討ちをしようと”悪鬼”と呼ぶ相手の情報を集めていた。

――しかし、その途中で突然周囲が崩れ始め、地面が揺れ、気が付いたらクワガイガー達がいたという。

――その中で、彼らのリーダーと思しき”黒蟻”が、ゴルドランの仇を知っていると言ったというのだ。


美沙「”黒蟻”?」

シルバリオン「そのような姿をしていた。名は知らぬ。女のようであった」

美沙「蟻女ねえ……ふうん」

ダージガン「んで、協力したら教えるって言われたんやな?」

シルバリオン「そう言うことだ」

ダージガン「せやったんか……」

シルバリオン「だが、こ奴らの戦い方や、お主の戦い方を見比べ、私が与すべき相手は”黒蟻”ではないと思ったのだ」

ダージガン「”黒蟻”って誰やねん……くそ」

シルバリオン「このままこやつらに加担しては、我が師ゴルドランの教えに背くことになるだろう。美沙と言ったな。主のおかげで道を誤らずに済んだ」

美沙「ど、どうも……」

ダージガン「そんなら、とりあえずジェットシザースとこのクワガタ野郎を捕まえとこか……ワイも回復したいんや」

シルバリオン「うむ」


――再生プールの中のジェットシザースを再度引きずり出し、倒れているクワガイガーとともに、近くの武器置き場にあった電子手錠を使って拘束してから、再度再生プールへと入れた。命まで奪う必要はないということで、動けない状態で回復させることにしたのだった。

――私は、ふと船の全体図の動きに気が付いた。


美沙「さっきのエネルゴンの反応が大きくなってる!!」

シルバリオン「なんだと?」

美沙「志門……!?」



続く

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