「時は満ちた、約束の彼の地へ」 (11)
― ― 始まりの日 ― ―
暗い、何も見えない。
身動きも取れない。
くっ、術式で封じ込められたか。
くだらない、こんな封印ごとき私の力に掛かれば。
はぁ!!!
なんだ!?身体に力が入らない。
手も足も動かん!?なんて強力な封印なんだ。
・・・やむを得ん。暫しここに留まり力を貯めるとするか。
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- - 30日 - -
あれから幾日経ったであろう?
私の身体は未だ力を出すに叶わずこの圧迫された地に伏している。
だんだん意識が遠のいてく・・・自分が何者だったのかもよく思い出せなくなってきた。
最後に覚えているのは、遥かなる彼の地を求め飛び出した気の遠くなるような旅路
千とも億とも分からない有象無象どもを蹴散らし、蹴落としてきた激しい戦い。
完全なる勝利者であった私が何故こんなことに・・・。
- - 75日 - -
『貴方・・・・よ。私達・・・・』
『・・・か!・・・・・・・!』
なんだ?神か?邪神か?私の存在に気付きさぞ笑っているのであろうな。
この強力な術式で私の力を抑え込んでいるのは褒めてやろう。
見ているが良い、今に力を取り戻し貴様らの顔を拝んでやるからな。
- - 100日 - -
ククク、身体に力が行き渡り始めたのを感じるぞ。
手の足の感覚さえなかった今までと違い、僅かだが動きがとれる。
はぁっ!!!!
くっ・・・封印はビクともしないが手応えは感じる。
まだ力を溜めるべき時か・・・
- - 180日 - -
ここに封印され幾日が過ぎたのであろう。
永き時をここで費やしてきたが、それもじき終わるであろう。
一日、一日、身体中に力が廻っていくのが分かる。
ここへ放り込まれた時の1000倍とも感じられる力を私は手に入れつつある。
『見・・・・よ。ここが・・・・だ・・・・』
『・・・・・』
!!!
ヤツらか・・・
どれ、私の力を見せてやろう!
ふんぬ!!!! ズン!
『・・・・!!・・・・』
『こんな・・・・力・・・。確かに・・・・』
ぬははは!恐れを生したか!馬鹿め!!
もうすぐ、もうすぐだ。
- - 240日 - -
光が・・・見える・・・・
悠久とも感じた暗闇を打ち破り眩い光が私の眼に差し込む。
拳も握れる、鼓動も力強く打っている、大いなる力を私は手に入れた。
時が・・・満ちる・・・・
約束の彼の地はもうすぐそこだ。
- - 266日 - -
バシャ
ぐはっっ!何だ!!
私を護っていた水の加護が・・・消えた!!
なんてことだ!これでは丸裸では無いか!
ギュゥッ
グォッ!ヤツらか!身体を締め付けるこの衝撃。何て力だ、甘く見ていたか・・・
グググッ
頭が・・・割れる・・・。
クッここまで・・・か・・・
- - 始まりの日 - -
「おぎゃあ!ほぎゃあ!」
「おー出た出た。ほい、元気な男の子だ」
「はぁはぁ・・・」
「ほぎゃあ!ほぎゃあ!」
「お母さんよく頑張りましたね。お父さん似の元気な赤ちゃんですよー」
「ほぎゃあ!ほぎゃあ!」
おしまい
長編書いてて行き詰まりまくったからつい・・・。
しかし、この子の成長した姿が少し気になる。
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