小梅「悔い改めよ……終わりの時はクソ近い……」 (33)


・ガチャで出た白坂小梅ちゃんのSSです

・短めです



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~土曜

小梅「……グスッ」

奏「……」

奏(事務所に戻ってきたら、小梅がソファでひとり泣いていたのだけれど)

奏(そしてタイミングが悪い事に他に人がいない)

小梅「グスン……」

奏(はぁ……こういうのキャラじゃないんだけどな)


奏「どうしたの? 小梅」

小梅「か……奏、さん……」

奏「思わず声かけちゃったけど、何かあったの? もちろん言いたくなかったら言わなくてもいいんだけど」

小梅「……う、うん」

奏(……ちょっと苦手なのよね。何を考えてるのかわからないっていうか)

小梅「えっと……あ、あの……」

奏「無理に言わなくてもいいのよ?」

小梅「う、ううん、聞いて……欲しい、です……」

奏「それならいいけど」


小梅「あのね……こ、これ……」

奏「DVD?」

小梅「う、うん……」

奏「プレイヤーでも壊れちゃった? 最近調子悪かったものね」

小梅「そ、それは……あの子がいたずらで……そう、じゃなくて……」

奏(……聞かなかったことにしましょう)

小梅「プ、プロデューサーさんと……涼さんと、一緒に……見る予定、だった……」


奏「あら、過去形ってことは」

小梅「……2人とも……お仕事……い、行っちゃって……」

奏「……残念だけど、仕事だもの。そこはわかってあげないと」

小梅「う、ん……」

奏「でも、小梅からしてみれば約束を破られたのと同じだものね。泣いちゃうくらい楽しみにしてたのに」

小梅「そ、そうっ……なんです……」

奏「……ほら、おいで」

小梅「……?」

奏「2人にはなれないけど、慰めるくらいなら私にも出来るでしょ?」

小梅「……うんっ」


小梅「えへへ……」ギューッ

奏「随分甘えんぼなのね」ナデナデ

小梅「奏さん……い、いいにおい……」スリスリ

奏「今日は何もつけてないのだけど」

小梅「それでいいにおい……す、すごい……えへへ……」

奏(……かわいい)

小梅「や、柔らかいし……いいにおい……だし……かっこよくて……柔らかい……えへ……」

奏「……褒めてくれるのは嬉しいんだけど、胸を触っていい理由にはならないわよ?」

小梅「あ……ご、ごめんなさい……」

奏「減るものじゃないし別にいいんだけど……いつもこうやってるの?」

小梅「いつも……?」

奏「涼とかプロデューサーにも甘えてるのってこと」

小梅「……は、恥ずかしいから……出来ない……」

奏「私にはやってるのに?」

小梅「奏さんが……いいって、言ってくれたから……」

奏「そ、そう」


奏(こう、真正面から言われると予想以上に恥ずかしい……)

奏(意外とスキンシップが激しい子なのにはちょっと驚いたな)

奏(誰も見てないわよね)キョロキョロ

柚「へー」ニヤニヤ

奏「」


柚「へぇー、はぁー、ふぅーん……」

奏「……どこから見てたの?」

柚「無理に言わなくてもいいのよ、からカナ」

奏「声かけてよ」

柚「あのクールな奏サンがねぇ~……はっはぁーん」

奏「……」

小梅「柚、ちゃん……?」

柚「小梅チャン、ヤッホー。いやー、スケジュール確認に来たんだけどいいもの見れちゃった!」

小梅「いい、もの?」

柚「うんうん。写真は撮れなかったけど、しっかりこの目に焼き付けたよ!」


奏「……柚」

柚「なになにー?」

奏「誰かに言うのは勝手だけど、もし私たちしか知りえないこの状況を誰かが知っていたら……ありすのプリンを食べたことを言う」

柚「な、ななななんでそれを!」

小梅「ありすちゃん、すっごい怒ってた……ね……」

柚「ばっ、バレたらイチゴパスタ食べさせられちゃう……!」

奏(本人は自信満々の一品だって言ってるのに、周りは罰ゲームって思っているの、残酷ね)

小梅「あ……」

柚「誰にも言わないし何でもしますからーっ! 命、命だけはー!」

奏「……よっぽどトラウマなのね」


小梅「あ、あの……」

奏「うん? どうしたの?」

小梅「え、えっと……だ、誰にも言わない……から……一緒に、映画……見よ……?」

奏「あぁ……」

柚「そ、それだけでいいの?」

小梅「ひとりより……みんなで見るのが……楽しいから……だ、ダメ?」

奏「私はこの後予定ないし、全然大丈夫だけど……柚は?」

柚「ホラーはちょっと苦手なんだケド……」

小梅「……イチゴパスタ」ボソッ

柚「ひっ、みっ、見ます見ます! うっわー楽しみだナー! 柚、ホラー大好き!」

小梅「えへ、えへへ……楽しみ……みんなで見るの……久しぶり……」

奏(小梅……恐ろしい子……)





~小梅の部屋

小梅「よ、ようこそ……」

奏「意外と……」

柚「普通だね」

奏「なるほど、ね……」

柚「奏サンの言いたいことわかるよ」

小梅「だ、ダメ……かな……」

奏「あぁ、いや、ダメってわけじゃなくて。もっと小梅らしい部屋なのかなって勝手に考えてただけ」

柚「もっとウガーッ、とかギョワーッ、みたいなものがあるものかと」

奏「ゴシック調でまとめられてたりね」

小梅「あの子が……シンプルな方が……落ち着くって……」


柚「え、えーっと、あの子っていうのは……」

小梅「だ、大丈夫……柚ちゃんは、いい人だから……何もしないって言ってる……から……」

柚「あ、あはは……そりゃどーも……」

奏「ひょっとしてここにあるDVD、全部ホラーなの?」

小梅「う、うん……ゾンビとか……モンスターとか……血がいっぱい出るものが、多い……かも……」

奏「へー……店でレンタルするより小梅の部屋に来た方がいいものが見れそうね」

小梅「いつでも、遊びに……来て、いいよ……?」

柚「奏サンもホラー好きなの?」

奏「自分から積極的に探していこうって感じじゃないけど、たまに見たくなるってとこかな。伊吹なんかは絶対見ないって言ってるけど」

柚「普段、どんなの見てるの?」

奏「最近見た映画は確か……サメ映画かな」

柚「サメ映画」


奏「シャークトパス VS プテラクーダって作品なんだけど、まず主役がサメとタコを合体した生き物なの」

柚「シャークとオクトパス……」

奏「上半身って言えばいいのかな。頭と体の半分がサメで、残りの半分……下半身がタコの足になってて、少しだけ地上も歩けるの。カワイイでしょ?」

柚「えぇ……」

奏「それでもう1体がプテラクーダ。これはプテラノドンって翼竜の体に、バラクーダ。要はカマスね。この頭を持つキメラで、この2体が戦うパニック映画なんだけど」

柚「えーっと……全然ついていけないんだけど、奏サンは変わった映画が好きっていうのがわかったよ!」

小梅「す、すごい……面白そう……!」

奏「次作もアメリカでもう放送されてて、今度の相手はクジラとオオカミが合わさったホエールウルフだって」

小梅「み、見たい……」

奏「これはDVD化がまだなんだけど、1作目とプテラクーダは持ってるから、また今度鑑賞会でもしましょうか」

小梅「楽しみ……」

柚「これはとんでもないものに巻き込まれちゃったカモ!」


奏「まぁ、それはそれで。小梅が見る予定だったものを見ましょ」

小梅「お、お菓子と……コーラ、あるよ……」

柚「わーい、ポテチだー!」ガサガサ

奏「何を見るんだっけ?」

小梅「こ、これ……」

柚「28日後…ってこれがタイトル? 変わってるね」

奏「名前は聞いた事あるかな。有名な作品よね?」

小梅「う、うん……個人的に……21世紀のゾンビ映画って……もの、かな……」

柚「ゾンビ映画ってバイオハザードしか見た事ないよ~」

小梅「そんな人にも、楽しめる……面白い映画……だよ……」

奏「じゃあ、さっそく見ましょうか」

柚「じゃ、入れるよー」

小梅「う、うん……」ポスン


奏「……小梅?」

小梅「は、はい……」

奏「近くない?」

小梅「そう……かな……?」

奏「近いと思う」

小梅「いつも……涼さんとは、これくらい……だから……」

奏「……まぁ、いいけど」

柚「あっ、小梅チャンずるい! アタシも隣に座る!」ギュウッ

小梅「えへへ……みんなで……くっついて映画……」

奏(狭い……)





柚「さっそく不穏な始まり方だよ……」

奏「なるほど……導入でちゃんと説明してくれるのね」

小梅「古いゾンビ映画って……よくわからないまま……話が進んだり……するけど……」

奏「この数分間があるだけで、ぐっとこの世界に入り込めるわ」

柚「あっ、こういうシーン、バイオハザードで見たことある!」

奏「凄い……ロンドン、よね。どうやって撮ったのかしら」

柚「この世界に自分ひとりしかいないんじゃないかって思っちゃう、まさに世界の終わりだね~」


柚「なんでこういう時、みんな教会に行くんだろうね?」

奏「こういう映画のお約束みたいなものよ」

小梅「みんな……救いを、求めてる……から……?」

柚「うげげ~、人の山だ~」

奏「薄暗さが不気味ね。何か起こりそうなカメラワーク」

小梅「こ、こういう雰囲気……好き……」

柚「えっ、えっ、ちょ、ちょっと待ってって、何コレ」

奏「……速い」

柚「ギャー! 何でゾンビが全速力で追いかけてくるの!」ギューッ

奏「柚、痛いって」

小梅「すごい……よね……ゾンビって……ゆっくり、ゆっくり、歩くって……みんな思ってるもの……だから……」

柚「アスリート走りだよ!」

奏「違う意味でホラーね」


柚「生存者だ!」

奏「彼、死ぬわね」

柚「えっ」

奏「こういう陽気なキャラはこういう映画ではそういう役割なの」

柚「そ、そうなの?」


柚「ホントだ」

奏「既定路線ね」

小梅「こういう、お約束が……あるのも……ポイント、高い……」


奏「また生存者ね」

柚「やっぱり速い! 速すぎでしょ、このゾンビ!」

奏「もはやこれはゾンビと呼べるのかしら……?」

小梅「いろんなゾンビが……いてもいい、と思う……これはこれで……楽しいし……かわいい……」

奏「エンタメ的にはこっちがいいってことかしら」

柚「柚は全力で追いかけてくる方が怖いよ!」


柚「急に音楽が変わって和やかな雰囲気に」

小梅「これは……有名なゾンビ映画の……オマージュ……こういうのいつか、やってみたいよ……ね」

奏「いわゆる箸休めってやつね。ここだけ見たらまるで別映画って勘違いしちゃう」

柚「チョコ食べたくなってきたカモ」

小梅「スニッカーズなら……」

奏「コーラ貰うわね」

小梅「私たちも……箸休め、だね……これから……本番……だから……」





柚「……」

奏「……」

小梅「……どう、か……な……どう……でした……?」

奏「爽やかなまとめ方で、ちょっと面食らったわ……でも、いい映画ね」

柚「すっごいキレイに終わったね」

小梅「他のエンディングも……あるんだけど……私はこの終わり方……好き……」

柚「やっぱりハッピーエンドが一番だよねっ!」

奏「一流の悲劇よりも三流の喜劇をってやつね」


奏「ただのパニック映画で終わらずに、人物もしっかり描かれてて感情移入しやすかったわ。詳しくないけど、ゾンビって宗教的なものがあるじゃない? それをもっとわかりやすい理由付けで描いてるのが凄く現代的というか、納得出来るものだったって感想」

柚「柚は純粋に楽しかった! 走るゾンビも怖いけど、極限状態の人間が一番怖いねー」

小梅「えへへ……私も、楽しかった……やっぱり、面白い映画……」

奏「前半の終末感と絶望感が凄かっただけに、それを描いておきながらっていう気持ちもあるけど、そこを差し引いても良かったわ」

柚「後半はホラー映画っていうよりアクションぽかったよね」

奏「凶暴性を皮肉っているにしても、もうちょっとひねってもいいんじゃないかって思うけど、まぁいいかな」


柚「ここでちょっと言わせてほしいんだけど」

小梅「どうした……の……?」

柚「終末を描いた映画を週末に見るなんて……オツってやつだね!」ドヤァ

小梅「……」

奏「……」

柚「……あ、あれ?」


奏「まだ時間あるけど、他のも見る?」

小梅「わ、私は大丈夫……もっと、見たい……かな……」

柚「あれれー? 世界の終わりとウィークエンドをかけたんだよー? あれれれー?」

奏「SE7ENがあるじゃない。確かにこれも演出はホラーね」

小梅「サスペンスと、ホラーって……親戚みたいなもの……だと……思う……」

奏「じゃあこれ見ましょうか」

柚「え、このまま無視しちゃう流れ?」


おわり


最後のが言いたかっただけですが、28日後…はクラシックなゾンビ映画なので興味がある方は是非
これでデレステでSR小梅ちゃんが出るはず……出てくれ……頼む……

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