蒼龍「恋とかしてみたいなぁ」 (36)
艦隊これくしょんのSSです
設定などを独自に解釈した部分が出てきます
最後まで書き溜めた物を投下する形になります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443713921
飛龍「それって、やっぱり提督と?」
蒼龍「いやぁ、確かに提督はとっても素敵な男性だと思うんだけどさ」
蒼龍「いくらなんでも競争相手が多すぎてちょっとね……」
飛龍「鎮守府にいる唯一の男性だし、それは仕方ないよ」
蒼龍「けど、私が憧れてる『ロマンチックな恋』には程遠いものになっちゃいそうで……」
飛龍「まぁ、奪い合いみたいな感じになっちゃうのは目に見えてるもんね」
蒼龍「初恋がそういうドロドロしたのはイヤかなぁ」
飛龍「じゃあ、どの艦種の娘にするつもりなの?」
蒼龍「どの艦種って……艦娘はみんな女の子でしょ?」
飛龍「まぁ『娘』っていうくらいだからね」
蒼龍「私は素敵な男性とロマンチックな恋がしてみたいんであって、女の子は恋愛対象じゃないから……」
飛龍「でもさ、鎮守府に提督以外の男の人なんていないじゃん」
蒼龍「それはそうだけど……」
飛龍「そもそも、私たち艦娘は基本的に許可なく外出はできないわけだし……」
飛龍「鎮守府に出入りしてるのも女性軍人だけで、それもほとんどが物資のやり取りだけで接点もないよね?」
飛龍「だから鎮守府内で提督以外の恋人を作るとなると、艦娘くらいしかいないかなーって」
蒼龍「う~ん……確かに出会いなんてないけどさ」
蒼龍「そうだ、軍人が無理なら、出撃の時たまーに見かける漁師さんとか、そういう人たちは……」
飛龍「それも無理かな。一般人が艦娘に近づいたら、それだけで逮捕されるらしいし」
蒼龍「えぇっ、嘘でしょ?!」
飛龍「いやいや、だって私たち軍事機密だし……」
蒼龍「あぁ、道理でみんな私たちを見た途端に逃げてくわけだ……」
蒼龍「そういえば、外出も申請から許可が下りるまで数週間かかるって言うし……」
蒼龍「許可が下りても、海軍の女性特殊部隊の護衛が付いてくるんだっけ?」
飛龍「確か、行き先も事前に指定しないとダメで、途中で変更もできないって聞いてる」
飛龍「前に一航戦の二人が、巨大ラーメンを30分で食べると無料ってお店に行ったらしいけど」
飛龍「重火器を持った特殊部隊が目を光らせる中、ひたすらラーメンを食べる羽目になったって加賀さんが嘆いてたし」
蒼龍「赤城さんの趣味に付き合うのも大変だよねぇ」
飛龍「本当に大変だったのは特殊部隊とお店の人だと思うよ」
飛龍「前日からラーメン屋を洗いざらいひっくり返して安全確認して、巨大ラーメンも毒味したらしいからね」
蒼龍「気の毒だなぁ」
蒼龍「しっかし、いくら軍事機密だとしても、どうしてこんなに警備が厳しいのよ……」
飛龍「そりゃあ、蒼龍みたいな艦娘がいるからじゃない?」
蒼龍「私みたいな?」
飛龍「だって考えてみてよ。艦娘が自由になったらどうなるか」
蒼龍「そんなの、みんな買い物も食べ歩きも自由に出来るようになって、彼氏もできてとっても幸せに……」
飛龍「そうなると他国の工作員のせいで、艦隊はガタガタになっちゃうと思うけど」
蒼龍「あー……」
飛龍「艦娘なんて、艤装が無い状態だと普通の人と大して変わらないから、簡単に誘拐できるだろうし……」
飛龍「それどころか、ハニートラップに引っかかって、自分からついて行っちゃうかもしれない」
飛龍「しかも、一人懐柔するだけで軍艦一隻分の戦力を奪うことが出来るわけだから、狙われない訳が無いよ」
飛龍「実際に、他国の工作員っぽいのが、鎮守府周辺で何度も逮捕されてるみたいだし」
蒼龍「軍艦が自分で意思を持ってて自由に動けるってのも考え物なのかなぁ」
飛龍「そして、一度捕まったら最後。轟沈したほうがマシってくらいの酷い目にあうだろうね」
蒼龍「監禁されて実験体にされたり洗脳されて操られるよりは、解体された方がマシかなぁ」
飛龍「最悪の場合だと、仲間の艦娘と戦わされたり、提督や主力艦隊を巻き込んで自爆させられたりするかもしれないから」
蒼龍「う~ん……」
飛龍「みんな深海棲艦だけに目が行きがちだけど、敵は他にもたくさんいるからね」
飛龍「特に今の日本は、世界でも1、2を争う艦娘保有国で、練度も戦果も他国と比べて飛び抜けてるし」
蒼龍「そうね。今の私たちの練度に加えて、提督の指揮があればアメリカ相手にだって負けないと思うけど……」
飛龍「日本はたった一国で、世界の海の3分の1近くを制圧してる。それも、一隻も艦娘を沈める事なくね」
飛龍「今は深海棲艦という共通の敵がいるけど、それが居なくなってしまえば……」
蒼龍「他国にとって、脅威でしかないってわけか……」
飛龍「元々は深海棲艦も突然海に現れるようになったんだし、もしかしたら明日にでも姿を消すかも知れない」
飛龍「もしそうなれば次は艦娘同士の戦争の時代が来るだろうし、今からでも戦力を削っておきたいんだろうね」
蒼龍「そう考えると、今の厳重な警備も仕方ないのかなぁ……」
飛龍「私たちはまだマシだよ。最初から外の世界をしらないんだから。本当に可哀想なのは提督の方じゃないかな」
蒼龍「そういえば提督も鎮守府から出られないんだっけ?」
飛龍「警備上の都合で外出禁止だって聞いてる。しかも鎮守府に出入りしてる女性軍人にも接見禁止だって」
蒼龍「うわぁ~……」
飛龍「万一にも提督ほど優秀な人間を失うわけにはいかないから仕方ないけどね」
飛龍「もし私が他国の工作員なら、真っ先に提督を暗殺するし」
蒼龍「ほんと優秀だよね。提督が前の大戦の時に居てくれたらって、何度思ったか……」
飛龍「けど、優秀すぎるのも考え物だよね。そのせいで……その……」
蒼龍「あぁ~……提督も若い男だもんね」
飛龍「だからその代わりに、特例で艦娘と結婚できる事になったんじゃない?」
蒼龍「……争いの種にしかなってないけどね」
飛龍「いまだに揉めてるんだっけ?」
蒼龍「そうね、艦娘が百数十人いるのに対して、男性が一人だもん」
蒼龍「大本営は特例だから重婚もしていいって言ってるけど、最初の一人を誰にするかで延々と揉めてるみたい」
飛龍「提督も誰の事が好きかはっきりすれば、隠れて春本を買わずに済むのに……」
蒼龍「あぁ、春本ならこの間、加賀さんがまとめて燃やしてたよ」
飛龍「なんて残酷なことを……」
蒼龍「……ふと思ったんだけどさ、なんで女性の提督にしなかったんだろうね」
飛龍「分からないけど、能力で選んだら男性だったってだけじゃない?」
蒼龍「実際はそんなところだと思うんだけど」
蒼龍「でも、もし提督が女性だったら、提督も誰と結婚するかで揉める事もなかっただろうし……」
蒼龍「私たちも、こうして変に意識しちゃって悶々とした日々を過ごすことも無かったのにな」
飛龍「……」
飛龍「……やっぱり飛龍も、提督の事好きなの?」
蒼龍「……仕方ないでしょ。あんなに優しくていい人なんだし」
飛龍「まぁ、軍艦時代に屈強な水兵たちを見慣れてる艦娘たちが、揃っていい男って言うくらいだしね……」
蒼龍「あ~あ、どうせ男性を提督にするならさ、性根の腐った最低な男にしてくれれば良かったのに」
飛龍「上官が最低な男だと、それはそれで困るでしょ」
飛龍「『一航戦に配属されたかったら胸触らせろ』とか言われたら困るし……」
蒼龍「それだと、瑞鶴ちゃんはずっと一航戦になれなさそうね」
飛龍「それ、本人の前で絶対言っちゃだめだからね」
蒼龍「……今思ったんだけど、性欲って男性と女性で種類が違うだけなんじゃないかな?」
飛龍「性欲に種類なんてないでしょ?」
蒼龍「いや、だってほら、よく雑誌とか漫画で男は『体目当て』って書いてあるじゃん」
飛龍「たまにそう書いてあるけど」
蒼龍「だとすると、逆に女は『心目当て』って事にならない?」
飛龍「そうなるのかな?」
蒼龍「男性は『体目当ての性欲』で、発散すれば治まる……」
蒼龍「でも女性は『心目当ての性欲』だから、いくら愛されても発散できずに治まる事は無いわけ」
蒼龍「これはもう、女性の方が性欲が強いと言えるんじゃないかな?」
飛龍「ぶっ飛んだ理論だなぁ」
飛龍「っていうか、愛されたいって気持ちを性欲だけで片付けられるのは抵抗が……」
蒼龍「でも、恋愛感情だって子孫を残すための仕組みでしょ?」
飛龍「……蒼龍って本当にロマンチックな恋に憧れてるの?」
飛龍「それにしても、女性の方が性欲が強いって風には私は思わないなぁ」
蒼龍「どうして?」
飛龍「だって考えてみてよ。もし艦娘と提督の性別が逆だったらこの鎮守府はどうなってるか」
蒼龍「着任とほぼ同時に提督が妊娠して、今頃は2児の母になってるだろうね」
飛龍「子供が出来るかどうかはともかく、多分そうなるでしょ?」
飛龍「でも今の鎮守府だと提督は襲われたりしてないし、妊娠した艦娘もいないじゃん」
蒼龍「いや、女性は体目当てじゃないから提督を直接襲ったりはしないと思うよ」
蒼龍「その代わり、みんな提督の心目当てでいろいろやってるでしょ?」
飛龍「……た、確かに」
蒼龍「それに金剛さんとか榛名さんあたりは、みんなに隠れて夜這いかけてそう」
飛龍「大和さんとかも怪しいよね」
蒼龍「夜這いかけたところで、男性がその気にならないと何もできないけどね」
蒼龍「でさ、何が言いたいかっていうとだよ」
飛龍「うんうん、花も恥じらう乙女がいきなり性欲の話までしちゃって言いたいことは?」
蒼龍「私も愛されてみたい……」
飛龍「結局そこなのね」
蒼龍「もー!大本営は本当に何もわかってないよ!」
蒼龍「女ばかり鎮守府に大勢閉じ込めて出れないようにした上に……」
蒼龍「そこに一人だけいい男を放り込むなんて、ほんっと残酷。こんなの虐待よ!」
飛龍「……命がけで戦わされてる事には触れないのね」
飛龍「でも、大本営はともかく、提督はちゃんと愛情をもって私たち艦娘に接してくれてると思うよ?」
飛龍「アメリカの司令官なんて、私たちを大事にする提督を見て『まるで艦隊をコレクションしてるみたいだ』って言ってたし」
蒼龍「でも、やっぱり一人占めしてみたいもん!」
飛龍「それならやっぱり、ちゃんと恋人を作るしかないんじゃないかな」
蒼龍「……」
蒼龍「……決めた。いまから提督に告白してくる」
飛龍「い、今から?!」
蒼龍「うん」
飛龍「しばらくはやめといた方がいいよ。結婚相手で揉めてる真っ最中なんだし……」
蒼龍「でも逆に、今なら提督を一人占めできるかもしれないよ?」
飛龍「そ、そんなの困るって!」
蒼龍「困るって……飛龍もやっぱり提督の事が好きなの?」
蒼龍「悪いけど、こればっかりは恨みっこなしで……」
飛龍「いや、そうじゃなくて!」
飛龍「私が好きなのは蒼龍だし!!」
蒼龍「……えっ?」
飛龍「蒼龍は提督には渡さない。私が一人占めするんだから」
蒼龍「えっ、ちょっと……」
蒼龍「えええーー?!!」
夜戦END
おまけ
蒼龍「この間加賀さんが『五航戦なんかと一緒にしないで』って言ってたんだけどさ」
飛龍「ああー、出撃の時に言ってたね」
蒼龍「二航戦もそうだけど、一航戦って当時最高の訓練設備に、最高の艦載機と最高の人材が与えられたじゃん」
飛龍「主力だったから当然だけどね」
蒼龍「それでちょっと戦果上げたからって調子乗って、ミッドウェーで慢心しちゃってさ」
蒼龍「全機発艦しなくてもいけるでしょとか馬鹿言ってたら、奇襲で飛龍以外なにも出来ずに沈んじゃったわけじゃん」
飛龍「あの時の絶望感はすごかったよ。結局私も沈んじゃったけど」
蒼龍「それに比べて瑞鶴ちゃんなんて、主力空母4隻を一斉に失った絶望感の中、私たちに代わって主力として各地を転戦」
蒼龍「ろくに訓練も受けてない航空隊を率いて、敵の新兵器に苦戦しつつも戦い抜き、最後は死ぬのを分かってて囮になった……」
飛龍「壮絶よね。私たちが不甲斐ないばかりに……」
蒼龍「ほんとにね。私たちみたいな馬鹿な先輩を持つと、後輩は苦労するものだよ」
蒼龍「だから私は『五航戦なんかと一緒にしないで』なんて、とてもじゃないけど言えないもん」
蒼龍「むしろ、五航戦の二人に足を向けて寝れないし。そもそも私たちと比べる事すら失礼だよ」
蒼龍「意地っ張りなどこかの誰かさんは言っちゃうみたいだけどね。あははは」
飛龍「あ……あはははは……」
加賀「……」
夜戦END
短かったかもしれませんがこれにて投下完了です
最後まで読んでいただきありがとうございました
私のSSでは初めて吹雪が登場しないSSとなりました
しかし、私のSSはどうも屁理屈っぽくていけませんね
最近は面白い艦これSSやしばふ艦のSSが増えてきているので
私がSSを書く必要はないかもしれません
乙
しばふ艦ssそんなに増えた印象もないし、これからも頑張って欲しい
おつです
負担でないならばこれからも是非書いてほしいです
>>19
しばふ艦は私がSSを書き始めたころと比べると評価されてる気がしますね
最近は第七駆逐隊が人気みたいですけど、私は曙と朧も大好きなので良い風潮です
>>21
ありがとうございます
私のSSはどうも、毎回どこか惜しいんですよね
最後が雑になったり、配慮が足りない書き方をしてしまったり
初めて書いたSSで爆発炎上した事があるので気を付けてはいるのですが…
ネタも思いつかないので、次があるとしても先になるとは思います
やめっちまったらそこでお終いだもんなあ
ペースはあるにしても応援してる。
なんとなくわかる
膨らませて収束させるのって難しい
>>23
書きたいものが出来れば書かせてもらうと思います
>>24
収束もそうですが、私の場合は何度も読み直しながら書いてる分時間がかかってしまうので
最後の方になると投稿を我慢できなくなってくるってのがあります
毎回うまくまとまったss書くなぁ
>>26
ありがとうございます、自分のSSに自信を無くしてたのでそう言ってもらえると嬉しいです
ちょっと新しいネタを思いついたので考えたいと思いますが
ゆっくり書くタイプなのでかなり先になると思います
なんかミッドウェー海戦どころか空母をバカにしてるみたいで腹立つな
全機発艦なんて普通しねぇよ、第二次攻撃に備えて待機させることで確実性を増してるんだぞ。あと上空直俺機のシフトだってあるし
ミッドウェーの場合は基地を叩いて、機動艦隊を引きずり出す目的もあったから陽動や前段作戦に全機なんて出せるわけない
それこそ全部出したら防空がら空きで簡単に沈んでたろうよ
他キャラをディスるのは置いといて提督云々の設定は面白かったしスレ大半残ってるから続けてほしい
>>29
一応自分なりに調べたつもりでしたが、間違っていたようでしたら申し訳ありません
山口提督が全機発艦したほうがいいと進言したのに断られたという話を聞いたのでそう解釈してしまいました
結果的におまけは書かなかった方が良かったと今では思います
ただの艦これファンであって軍事には詳しくない私が、にわか知識で書くべきではありませんでした
有名SSまとめサイトでは「自分の意見をキャラクターに喋らせているだけ」との指摘もありましたし実際そうだと思います
SS速報のコメントは基本的に優しいコメントが多いので、私も慢心していたのかもしれません
>>32
二次創作物でキャラクターを馬鹿にするのはよくありませんでした
不快に思ったのでしたら申し訳ありません
私のSSには、ネタの為にキャラをいじる傾向があるとの指摘もありましたし
これからは気を付けたいと思います
なお、このようなSSでも書くのにかなり時間がかかっているので続きの予定はありません
続編を書くにしても別スレになると思いますし、続編は前々作で失敗して懲りています
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