従兄「彼女ができない…」従妹「?」 (117)


従兄「なんでできないんだろう、なぁ?」


従妹「私に聞かれても…」


従兄「そう言わずに相談乗ってくれよ。大学生にもなって彼女ができないってのは結構辛いんだから」


従妹「…今までずっと彼女できなかったの?」


従兄「まあなー。恥ずかしながら、彼女いない歴=年齢だ」


従妹「そ、そうなんだ…」


従兄「じゃあ、従妹は?今まで彼氏とかいたことあるの?」


従妹「私?…私も、いたことないよ」


従兄「へぇ、それは意外だな」


従妹「…というか私、彼氏どころか友達もあんまりいたことない…」


従兄「…」


従妹「…」


従兄「…ごめん」


従妹「…いいよ、気にしてないから」

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従兄「年末のTV番組って、微妙なラインナップだよなぁ」ポチポチ


従妹「そうだねぇ…」


従兄「そういえば、従妹はいつまでここにいるの?」


従妹「多分、冬休み終わるまではいる」


従兄「ほうほう、結構長くいるのか。それは良かった」


従妹「…なんで?」


従兄「従妹と会うのも久しぶりだからね。出来る限り一緒にいたいじゃん?」


従妹「………」


従兄「ごめんごめん、冗談だって。だからそんな怒らないで」


従妹「…怒ってないよ」


従兄「なら、そっぽ向くのをやめてくれない?」


従妹「今は…ちょっとダメ…」


従兄「おーい、従妹ー?」


従妹「………」カリカリ


従兄「何してんの?」


従妹「数学の宿題」カリカリ


従兄「おぉ…偉いね。勉強嫌いの俺とは大違いだ」


従妹「私も、勉強は苦手だよ」カリカリ


従兄「そうなの?じゃあ、分からない所があれば教えるぜ」


従妹「で、でも…」


従兄「いーのいーの。たまには年上っぽいことさせてくれ」


従妹「じゃあ…お願い」


従兄「よーし、どの問題?」


従妹「こっから……ここまで」


従兄「…ほぼ全部じゃないか」


従妹「苦手って言ったじゃん…」


従兄「おはよう、そしてただいま」


従妹「おかえり…。どこ、行ってきたの?」


従兄「徹夜でカラオケ、冬休みに帰ってきてる友達と行ってきた」


従妹「ふーん…」


従兄「どうかした?」


従妹「いや、羨ましいな…って。私、友達少ないからさ、カラオケとか行ったことないんだ」


従兄「まじ?」


従妹「…うん」


従兄「それじゃあ一緒に行くか?カラオケ」


従妹「いいの?」


従兄「もちろん。俺も従妹とどっか遊びに行きたかったし、丁度良かった」


従妹「う、うん。わかった」


従兄「いつ行くかは…後で決めようぜ。今はちょっと眠らせて…欲しい…」ウトウト


従兄「Zzz…」スヤァ


従妹「ソファで寝ちゃった…」


従妹「…………ありがと」


従兄「ツタヤで映画借りてきたけど、見る?」


従妹「うん、見る」


従兄「じゃあセットするから、ちょっと待ってね」ウィーン


従妹「分かった」


従兄「電気を消して…っと」ポチ


従妹「え、暗くするの?」


従兄「やっぱ映画は暗くして見たほうが良いだろ?」


従妹「そっか」


従兄「特にホラー映画はな」


従妹「……嫌、見たくない」


従兄「大丈夫大丈夫!そんなに怖いもんでもないさ」


従妹「そうかなぁ…」


従兄「ほら、始まるぞ」


従妹「…………」ガクガク


従兄「…………」ワクワク



映画終了…



従兄「…中々良かっただろ?」


従妹「そうだね、意外と面白かったかも」


従兄「そこでひとつ頼みがあるんだけど…。ちょっと、トイレまで付いて来てくれない?」


従妹「いやです」


従妹「ねえ…」


従兄「えっ!?従妹?」ビクッ


従妹「どうかしたの?」


従兄「いや、従妹が声かけてくるからビックリしちゃってさ」


従妹「そんなに驚くほどのこと?」


従兄「そりゃ驚くよ。従妹の方から話し掛けてきたの、初めてだし」


従妹「…そうだっけ?」


従兄「あれ、自覚なかった?結構気ぃ使ってたんだけどな」


従妹「ごめん…。気付かなかった」


従兄「気にすんな。俺が勝手に勘違いしてただけだからさ」


従兄「…ま、なんにせよ。話し掛けてくれて嬉しかったぞ」


従妹「……」


従妹「これからは、もっと話すから…」


従兄「そっか。期待してるよ」


従兄「んで、さっきのご用は何かな?」


従妹「あ、そうだった…。残りのDVD、一緒に見ない?」


従兄「……良いけど、電気は点けとこうぜ」


従妹「ダメ…」ポチ


従兄「母さんたち、今夜は飲んでくるってさ」


従妹「帰るの、遅くなるのかな?」


従兄「少なくとも朝帰りは確実だろうな」


従妹「ご飯とか、どうするの?」


従兄「うーん…、どっか食べに行く?面倒だけど」


従妹「なら、私が作ろうか?」


従兄「お、いいの?」


従妹「簡単なものでいいなら、作るよ」


従兄「それじゃ、お願いするかな」



数十分後…



従兄「いただきます!」


従妹「めしあがれ」


従兄「………」モグモグ


従妹「……ど、どう?」ジー


従兄「おぉ!美味いじゃんか」


従妹「よかった…」ジー


従兄「そんなに俺ばっか見てなくていいから、母さんもご飯食べなよ」


従妹「…母さん?」


従兄「………忘れてくれ」


従妹「何、食べてるの?」


従兄「カントリーマァム。従妹も食べる?」


従妹「食べたい、けど。太る…」


従兄「別にそこまで気にしなくても」


従妹「でも…晩ごはんの後だし」


従兄「ふぅん…。でも、少しくらい肉付きが良い方がいいんじゃない?」


従妹「………へ、変態」


従兄「あ、いや、他意があったわけじゃない、ホントだって!」


従妹「………」


従兄「すまん…。次からは気をつける」


従妹「…じゃあ…バニラ味」


従兄「?」


従妹「…バニラ味のマームちょうだい」


従兄「結局食べるのか…」


従妹「この漫画、おもしろいね」ペラペラリ


従兄「ん?…あぁ、ニート兄妹のやつか」


従妹「うん。この男の人のほう、従兄ちゃんに似てる」


従兄「そうか?」


従妹「眼鏡かけてるし、やる気が無いところがそっくり」


従兄「ひでぇ…。そんなにニートっぽいか、俺?」


従妹「でも、こういう生活もちょっとだけ憧れるなぁ…」


従兄「まぁ伯父さんお金持ちだし、従妹ならニートできるんじゃないの?」


従妹「そうかな?じ、じゃあ一緒に…」


従兄「俺はそんな余裕ないから、働かなくちゃならないけどな」


従妹「……」


従妹「私も働く…」


従妹「ねぇ…この人って、なんていう歌手?」


従兄「さぁ…?テレビ見ないから全然分からん」


従妹「やっぱり、紅白ってそんなに面白くないね」


従兄「そう言うなって、年越しの為の通過儀礼だ。真剣に見ろ」ジー


従妹「わ、わかった!」ジー


従兄「でも、つまらんな」


従妹「うん…」


従兄「あ、通過儀礼で思い出した…。初詣はどうする?」


従妹「どうする…って?」


従兄「近くに神社あるし、お参り行ってくる?」


従妹「従兄ちゃんも…一緒に、来る?」


従兄「もちろん」


従妹「そっか、じゃあ行く」


従妹「みんな、お酒飲んでるねぇ」


従兄「絶対俺も飲まされるよな…。逃げ出したい」


従妹「だったら、こんな所にいないほうがいいんじゃ…?」


従兄「確かに…」

オーイ!コッチコーイ!

従妹「…叔母さん、呼んでるよ」


従兄「流石に母さんからの招集は無視できないよなぁ…」ハァ


従兄「ちょっくら、行ってくるわ」


従妹「ま、待って!私も行く…」


従兄「ダメダメ、高校生はお酒飲んじゃいけないし」


従妹「でも、介錯する役も…必要でしょ?」


従兄「それを言うなら介抱だ。介錯されたら、俺死んじゃうからね」


従兄「まぁでも…介抱してくれるのなら、一緒に来てほしいかな」


従妹「やった!」


従兄「さぁて、行くか」


従兄「やっと、解放、された…」


従妹「皆、寝ちゃったね」


従兄「大晦日だからって、あんなに飲まなくても、いいじゃんか」フラ


従妹「大丈夫…?顔真っ赤だよ?」


従兄「かなり、飲まされたから、クラクラする」フラフラ


従妹「お布団まで歩ける?」


従兄「ごめん」ガク


従兄「むり」ドサッ


従妹「!従兄ちゃん!?」


従兄「……」


従妹「寝ちゃったのかな…?」


従妹「おーい…従兄ちゃーん?」ツンツン


従兄「うぅ…ん」ガシッ


従妹「わ…。抱きつかれちゃった…」


従妹「なんか、赤ちゃんみたいで…可愛いなぁ」ナデナデ


チュンチュン

従兄「…おおぅ…頭痛ぇ」


従兄「え…?何これ」


従妹「………」スヤスヤ


従兄「マジかよ、全然憶えてない…」


従兄「……よし、二度寝だ」


従妹「…また、寝ちゃうの?」


従兄「ぅお!?起きてたのかよ?!」


従妹「さっきから、ずっと起きてたよ」


従兄「あー…そっか。でも俺、まだ眠いからさ」


従妹「なら、私も寝る」


従兄「まぁ、それは構わないんだけど…。ちょっと離れてくれると嬉しいかなぁ」


従妹「嫌。従兄ちゃんと一緒に、寝る」


従兄「…流石にまずいって。誰かがこっち来たらどうするんだよ」


従妹「みんな二日酔いだから、起きてこない」ナデナデ


従兄「おい…、撫でるな…。恥ずかしいだろ」


従妹「…よしよし」ナデナデ


従兄「やめ…。誰か、来ちゃう…から」ウトウト


従兄「Zzz……」


従妹「……」ナデナデ


従妹「………おやすみ」ボソッ


従妹「凄い人の数だね…」


従兄「予想以上だな…。まず賽銭入れに行くぞ」


従妹「わかった」


従兄「はぐれずに付いて来いよー」


従妹「はーい」

カランカラン

従兄「二拝、二拍手……………んで一拝…っと」


従妹「……………」


従兄「よし。お願い事はできた?」


従妹「できた」


従兄「じゃあ、おみくじだ」


従妹「ね、ねえ…」


従兄「ん、どした?」


従妹「私、迷子になりそうだからさ…」


従妹「だから、えっと…その」


従兄「…そうだな。はぐれたら大変だし、手ぇ繋ぐか」スッ


従妹「うんっ!」ギュ


従兄「俺の今年の運勢は如何に…っと」ピラッ


従兄「お、吉か。なかなか良いじゃん」


従妹「なんて書いてある?」


従兄「えぇと…」


従兄「万事細やかに気をつけて 一度おもい定めたことは脇目も振らず一心になさい 何事も成功します……だってよ」


従妹「つまり、どゆこと?」


従兄「要するに、一生懸命やれば大体上手くいく…ってところだな」


従妹「よかったじゃん!」


従兄「んで、従妹はどうだったよ?」


従妹「えーっとね…」ピラッ


従妹「…」


従兄「げえっ、凶…!」


従兄「おーい、従妹ー!町内の餅つき大会行こうぜ」


従妹「えー寒いよぉ…」


従兄「お前と同年代の子もいるってよ。仲良くできるかもだぜ?」


従妹「いや…!行きたくない!」


従兄「…お前って本当にコミュニケーション苦手だよな」


従妹「だって…何話していいか、分かんないし…」


従兄「そんな無理に考えることじゃないぞ、話題なんてものは」


従妹「…うぅ」


従兄「ま、一番良いのは従妹のそういう性格をちゃんと理解してくれる人と一緒にいることだな」


従妹「じゃあ…従兄ちゃんは、私のこと理解してくれる?」


従兄「そりゃあ理解してるって。何年お前のいとこやってると思ってんだよ」


従妹「そ、そっか…。理解、してるんだ…」


従兄「?」


従兄「なぁ…ちょっと質問なんだけどさ」


従妹「なぁに?」


従兄「お前さ、下着ってどこで買ってる?」


従妹「え、しまむら…だけど」


従兄「………やっぱり。どうも子供っぽいの履いてると思ったら…」


従妹「それがどうかしたの?」


従兄「どうかしたって…普通、女子高生がパンツをしまむらで買うか?」


従妹「えっ、ダメなの?」


従兄「ダメだよ…。もうちょっとお洒落しなきゃ」


従妹「だって、服とか興味ないし…」


従兄「そんなんだから彼氏できないんだよ」


従妹「…彼女いない従兄ちゃんに言われたくない」


従兄「……」


従妹「………」


従兄「と、とにかく、しまむらパンツじゃダメだからな!」


従妹「じゃあ…何処で買えばいいの?」


従兄「………ユニクロ?」


従妹「…………」


従妹「……」ハァ


従兄「どうした?溜息なんかついて」


従妹「もうすぐ学校始まるなぁ…って思って」


従兄「あー。勉強めんどくさいもんな」


従妹「そうじゃなくって…」


従兄「…?」


従妹「クラスの子に会うのが、イヤなの」


従兄「あぁ、そっちか」


従妹「どうしたら、いいかなぁ」


従兄「そんなこと言われても…俺もそんなに友達いないしな」


従妹「そ、そうなの!?」


従兄「まぁな、五月蠅い奴とか馬が合わん奴とは一緒にいたくないんだよ」


従妹「すごくわかる、疲れちゃうよね」


従兄「テキトーにグループに入る作戦は駄目か…」


従兄「…じゃあさ、今一番に仲良い奴は?」


従妹「え?」


従兄「量より質ってことだよ。そいつと似てる奴を探して友達になればいい」


従妹「……でも…えーと」


従兄「誰でもいい、従妹と仲が良い人の名前言ってみ」


従妹「…………じゃあ……従兄、ちゃん」


従兄「却下」


従妹「えぇ!?」


従兄「こんなのとツルんでたら碌なこと無いぞ、やめとけ」


従兄「やっぱりほろよいは美味いなぁ」ゴクゴク


従妹「大丈夫?そんなに飲んで」


従兄「大丈夫、アルコール度数低いお酒だからな」


従妹「前みたいに、寝ちゃわないでね」


従兄「あー…、あの時はすまんかった。迷惑だったろ」


従妹「…迷惑じゃ、ないけど」


従兄「そうかい?なら安心して飲めるな」ゴクゴク


従妹「……従兄ちゃん」ジトー


従兄「…冗談だよ、冗談。そんな怖い顔するなって」


従妹「私は、従兄ちゃんのことを、心配して言ってるの!」


従兄「う……ごめん」


従妹「…………」


従兄「えーっと…、お菓子が台所にあったなぁ。取ってこよーっと」


従妹「…逃げた」


従妹「…………このお酒、まだ残ってるのかな?」


従兄「あったぜ、カントリーマーム」


従妹「おかえり」


従兄「………」ジー


従妹「な、なにかな」


従兄「お前…、俺の酒飲んだだろ」


従妹「のんでにゃいよ!」


従兄「…呂律もまわってないのに、誤魔化せると思ったのか」


従妹「……噛んだだけだし、のんでないもん」


従兄「そもそも、顔が真っ赤じゃないか。酔っているのがバレバレだぞ」


従妹「えっ、嘘?!」


従兄「…お前も酒弱いってことか、血は争えんな」


従妹「ごめん…」


従兄「許す!…だが、お前はこれ以上飲むな。こいつは俺が飲む」


従妹「の、飲むの?それ」


従兄「…そんなに飲みたいのか?このほろよいが」


従妹「いや…そういうわけじゃ、ないけど」


従兄「心配するな、これ以上は飲まないって」グビ


従妹「あ…」


従兄「なあ従妹、男のメル友欲しくないか?」


従妹「メル友…?どういうこと?」


従兄「いや、俺の知り合いが初詣の時に俺とお前が一緒にいるところを見かけたらしくてさ」


従妹「うん」


従兄「それで、あの可愛い子を紹介してくれって頼まれたんだよ」


従妹「えぇっ?!」


従兄「そんなに驚くこと無いだろう…。んで、どうするよ?」


従妹「えと、その人、私と付き合いたいの?」


従兄「あわよくばって感じだな、別に断ってもいいぞ」


従妹「……私、どうすればいいのかな」


従兄「どうする…って、連絡先だけでも交換してみたらどうだ?」


従妹「従兄ちゃんは…どう、思う…?」


従兄「ふむ、良いんじゃないか?これがきっかけで従妹の人嫌いが治るかもしれないしさ」


従妹「…従兄ちゃんは、ホントに…それでいいの?」


従妹「私に彼氏できちゃうかも…なんだよ?」


従兄「………?」


従兄「まぁ…そうなったら寂しいかな。こうやって話す機会も少なくなるだろうし」


従妹「そ、そっか…。従兄ちゃんは私に彼氏ができるの、イヤなんだ…ね」ニヨニヨ


従兄「ん?別に嫌とまでは…」


従妹「大丈夫!連絡先は交換しないから!」


従兄「お、おう、分かった…」


従兄「んあー、耳痒い…」グリグリ


従妹「どうかしたの?」


従兄「ちょっと耳に違和感があってさ」


従兄「…誰か耳かきしてくれる人いないかなー」ジー


従妹「イヤだ」


従兄「お願い!綿棒もここに持ってきてるし!」


従妹「だったら、自分でやればいいじゃん!」


従兄「他の人にやってもらった方が気持ちいい気がするんだよぉ、頼む!」


従妹「……耳かきなんてやったことないよ、私」


従兄「無問題、中で綿棒をグリグリしてくれればいいだけだからさ」


従妹「そ、それだけなら…やってあげてもいいよ」


従兄「よっしゃ!ありがとー!」


従妹「じゃあ、挿れるね…」グッ


従兄「っ…!」


従妹「だ、大丈夫?!」


従兄「大丈夫、ちょっと吃驚して声が出ただけだ」


従妹「よかった…じゃあ続けるよ」ググッ


従兄「ん…すまん、無駄に耳が敏感でな」


従妹「ふぅん…」グリグリ


従兄「おぁー…気持ちいい。中々に上手だぞ」


従妹「そ、そうかな?」ズズッ


従兄「絶妙な力加減だし、痒いところを的確に掻いてくれる」


従妹「えへへ…」コリコリ


従兄「ふむ、もうちょい奥まで入れていいよ」


従妹「うん、わかった」ズズズッ


従兄「おおぉぁぁ…」


従妹「これくらいでいい、かな?」クリクリ


従兄「あぁ、丁度いい深さだ」


従妹「じゃあ、このまま続けるね」クリクリクリ


従兄「ありがと、痒いのも治まったよ」


従妹「でも、耳の中…赤くなってる…」ジー


従兄「まじ?ちょっとやり過ぎたかな」


従妹「…じゃあ、私が治すから、動かないで」


従兄「治す…?何をする気だ」


従妹「大丈夫、大丈夫だから…」


従妹「んっ……」ヌプ


従兄「っ!?やめろ!舌を入れるな!」


従妹「………」レロレロ


従兄「おい!聞け!動かす…なっ!」


従妹「………っ……」ジュルジュル


従兄「あっ…!っぐ…!やめ…て…」


従妹「……っはぁ」ズルゥ


従兄「…ひぃっ!…おまえ…よくも…!」


従妹「ご、ごめん…怒らないで」


従妹「ちゃんと、奥までやってあげるから…ね」


従兄「え…?は?」


従妹「んぁ………」ヌチュ


従兄「ぃっ!!」


従妹「………」ジュルジュル


従兄「っ……ぁ…」


従妹「……」ヌルヌル


従妹「…………んっ!」ジュルンッ


従兄「がっ…っ…!奥に…届いて…!」


従兄「……………ぁ…ぁ…」


従妹「……うぇ」ズルゥ


従妹「……あれ、従兄ちゃん?」


従兄「…………ぅぁ」


従妹「どうしよ…、お膝がよだれと涙でベチョベチョだ」


従兄「うぅ…うぅ…」


従兄「うおっ!」ガバッ


従妹「あ、起きた?」


従兄「おぉ、従妹か…おはよう」


従妹「はい、おはよう。…すごいうなされてたけど、嫌な夢でもみた?」


従兄「あぁ、三色のサイに包囲される夢だ…」


従妹「なにその夢」クスクス


従兄「嫌な夢だったよ」


従兄「ところで従妹さぁ」


従妹「どうしたの?」


従兄「なんで俺達は当たり前のように一緒に寝てるんだろうか」


従妹「気にしない、気にしない」


従妹「耳かき中に気絶しちゃう従兄ちゃんが悪いのよ」


従兄「お前なぁ」コツン


従妹「痛ぁ…!」


従兄「もうあんなバカなことはしない、分かったな?」


従兄「もしもまたやったら、俺も同じことをやり返すからな」


従妹「……ふぅん…同じこと、してくれるんだ」ガシッ


従兄「おい!やめろ!聞いてたのか!離せコラ!」


従妹「まだ、逆のお耳は…やってなかった、よね…」ジュル


従兄「グ エ ー ッ」


従妹「ねぇねぇ、従兄ちゃん」


従兄「ん、どした?」


従妹「従兄ちゃんは、私になんて呼ばれたい?」


従兄「なんとも突然な質問だね…」


従妹「お…おにいちゃん!」


従兄「…」


従妹「じ、じゃあ…兄さん!」


従兄「………」


従妹「やっぱり…にぃに…のほうが良かった、かな?」


従妹「どれが、いい…?」


従兄「…いや、普通に名前で呼んでくれ」


従妹「え…!?で、でも…」


従妹「クラッと、こない…?」


従兄「別に、なにも」


従妹「…あれぇ…おかしい、なぁ…」


従兄「そうか?」


従妹「私…、魅力、無いから?」


従兄「え…?」


従妹「そう、だよね…、どうせ私なんて…」グスッ


従兄「違うぞ!そういう事じゃないぞ!」アセアセ


従妹「でも…、クラッとこないって」


従兄「そ、それはホラ、俺はいつも通りの呼ばれ方が一番好きだからさ」


従兄「だから、従妹からは普通に呼んでもらいたいんだよ」


従妹「………」


従妹「…そっかぁ!わかったよ、従兄ちゃん!」


従兄「セーフ…」ボソッ


従兄「うーむ…」


従妹「なに見てるの?ハガキ?」


従兄「これ、中学の同窓会の招待状」ピラ


従妹「開催日17日って…もうすぐ、だね」


従兄「そうなんだよ、返事を急かされてて」


従妹「出席、するの?」


従兄「んー、考え中ってとこ」


従兄「クラスの女子は殆ど来るらしいから、これを機に彼女候補を…」


従妹「ふーん…」


従兄「どうすれば良いと思う?」


従妹「どうする…って、同窓会?」


従兄「うん、お前の意見も聞きたいな」


従妹「…知らない…行ってくれば」


従妹「……」


従兄「どうかしたか?」


従妹「なんでも…」


従兄「……」


従兄「…よし、行くの辞めるわ」


従妹「え…?な、なんで?」


従兄「まず、行くのがメンドい」


従兄「それと、俺のクラスに可愛い子がいなかった事を思い出した」


従兄「最後に、そんな可愛い顔されたら行けるはず無いな…って思ってね」


従妹「か、かわ…いい?!」


従妹「私、どっ、どんな顔してた!?」


従兄「さあ、忘れちゃったわ」


従妹「思い出して!」


従兄「なぁ、今日の天気予報ってさ…」


従妹「一日中晴れ、だったね」


従兄「傘とか持ってる?」


従妹「ううん、持ってない」


従兄「だよね」


従妹「どうしようね」


従妹「…こんな事になるんだったら、家にいた方が良かったなぁ」


従兄「そう言うなって、仕方のない事なんだからさ」


従兄「とりあえず、服を乾かそうぜ。これじゃ濡れ鼠だ」


従妹「そうだね、ビショビショだ」


従兄「あー、それと…」


従妹「?」


従兄「見えてるっていうか…、透けてるっていうか…」


従妹「え?…あっ!!」バッ


従兄「大丈夫、そんなには見てないから」


従妹「うぅ…見られた…」


従兄「すまん…」


従妹「……」


従兄「…そういえば、まだしまむらの着てるの?」


従妹「…ユニクロ」


従兄「やっと起きてきたか、おはよう」


従妹「…おはよう、従兄ちゃん」


従兄「今日は珍しくお寝坊さんだな」


従妹「ごめん、なさい」フラフラ


従兄「…おい、大丈夫か?顔赤いぞ?」


従妹「うん…大丈夫」ケホケホ


従兄「どう見ても大丈夫には見えん、ホラ布団に戻れ」


従妹「わかった」ヨロヨロ


従兄「…あーもう!危なっかしい!」


従兄「暴れるなよ、運びにくいから」ヒョイ


従妹「や、やめて!自分で歩けるよ!」


従兄「いいから、病人は抱っこされてろ」


従妹「でも、恥ずかしいよ…」


従兄「それはお互い様だ、我慢してくれ」


従妹「は、はい…」


従兄「寒くないか?まだ布団欲しいか?」


従妹「大丈夫」


従兄「じゃあ痛かったり、苦しかったりするところはあるか?」


従妹「えーと、ちょっと、ノドが痛い…かな」


従兄「ふぅむ…やはり昨日の雨が原因だね、これは」


従妹「ビショ濡れ、だったもんね」


従兄「これ以上酷くならないように、今日一日は安静にしてなきゃな」


従妹「はーい」


従兄「そうだ、なんか欲しい物はある?」


従妹「ううん、なんにも、いらない」


従妹「従兄ちゃんが、一緒に…いてくれればいい」


従兄「そうか、じゃあ傍にいてやるからゆっくり休むんだぞ」


従妹「あと…」


従妹「…手も…握って、ほしい」


従兄「はいはい」ギュ


従兄「これで眠れそうか?」


従妹「うん」ギュウ


従妹「従兄ちゃんは、来年も帰ってくるの?」


従兄「来年は帰れないかな」


従妹「そっか…。じゃあ、その次の年は?」


従兄「あー…、それも無理だと思う」


従兄「ていうか、ずっと帰ってこれないかも」


従妹「な、なんで…?」


従兄「えーっと…その…」


従兄「…好きな娘が、できたんだ」


従妹「…すきな、こ?」


従兄「うん」


従兄「これから年末はその娘と一緒に過ごそうって思ってさ…」


従妹「知らない…そんなの知らない!」


従兄「そりゃあ、言ってないしな」


従妹「ひどいよ…!」


従兄「ごめん…言おうとは思ってたんだけど」


従妹「…………」


従兄「それじゃあ…俺、彼女のところに行かなきゃならないから」


従妹「えっ…!?」


従兄「…さよなら、従妹」


従妹「ま、待って!」


従兄「………」


従妹「お願い、従兄ちゃん!待ってよ!」


従妹「行かないで!」


従妹「…まって!」ガバッ


従兄「お、起きたか」


従妹「…従兄ちゃん?なんで?」


従妹「かのじょ…は?」


従兄「彼女?なんだいそれ?」


従妹「ずっと…かえってこない、って…」


従兄「……さてはお前、寝ぼけているな」クスクス


従妹「…え?」


従兄「大方、怖い夢でも見たのだろう」


従妹「…ゆめ?」


従兄「あぁ、随分うなされていたぞ」


従妹「…………」


従妹「ひぅっ……」ポロポロ


従兄「!?おいおい泣くなよ、そんなに怖かったのか?」


従妹「従兄ちゃんが、どっか、いっちゃって…」グスグス


従妹「こわかった、こわかったよぉ…」ビェーン


従兄「あーよしよし、もう大丈夫だからな」ナデナデ



数分後…



従兄「落ち着いたかい?」


従妹「…うん、おちついた」


従兄「従妹ももうすぐ大人なんだから、これからはそう簡単に泣いちゃ駄目だよ」


従妹「わかった」


従兄「じゃあ、ちょっと手を緩めてくれないかな」


従妹「?」


従兄「従妹の爪が食い込んで痛いんだ、血が出ている」


従妹「あっ…」ギューッ



従兄「ほれ、お粥だ。食べれるか?」


従妹「食べれると、思う」


従兄「それは良かった、これで安心だ」


従妹「看病、してくれて、ありがと…ね」


従兄「気にするな、当然の事をしただけだよ」


従妹「それにしても、昨日はすごい夕立だったねぇ…」


従兄「冬に降るにわか雨は夕立って呼ばないんだぜ」


従妹「そうなの?」


従兄「夏の夕方に降ってようやく、夕立って呼ばれるんだってさ」


従妹「知らなかったなぁ…」


従妹「あ、それじゃあ夏の朝に降るにわか雨は…」


従兄「言うな」


従妹「え?」


従兄「それ以上はいけない」


従兄「従妹の髪って綺麗だよなー」ジー


従妹「そ、そう…かな?」テレテレ


従兄「あぁ、長いのに艶があって、思わず触りたくなるくらいだ」


従妹「…な、なら、さわって、みる?」


従兄「え、いいのか?」


従妹「従兄ちゃんなら…、いいよ」


従兄「そうか、では触らせてもらうとするよ」


従妹「ちょっと、待ってね。今、髪ほどくから…」


従妹「はい、どうぞ」


従兄「それじゃあ、触るぞ」ソッ


従妹「んぅ…」


従兄「すげえ…!指が抵抗無くするりと抜けていく」サラサラ


従兄「見たところ枝毛も無いし…。素晴らしいな」


従妹「そんなに褒められたら、照れちゃうよ」ニヨニヨ


従兄「なあなあ、従妹が良かったらで良いんだが」


従兄「風呂出た後とか朝起きた時に、髪を梳かさせてくれないか?」


従妹「そんな、悪いよ…。私の髪、長いから量もあるし」


従兄「いやいや、長い方が楽しめるというものだ。だから頼むよ」


従妹「じゃあ、お願い…しちゃおっかな…」


従兄「よっしゃぁ!」ワーイ


従妹「なんか…私も、おかえし、してあげたいな…」


従兄「それは有り難いのだが…。具体的に何をするんだい?」


従妹「うーん…」


従兄「そんな無理に考えることはないぞ。俺は従妹の髪の毛を梳かせるだけで満足だし…」


従妹「あ…!そうだ」


従妹「耳かきは…?」


従兄「それだけは却下」


従兄「なあなぁ、ついに俺に彼女が出来ない理由が分かったぞ」


従妹「理由?」


従兄「あぁ、要するに眼が肥え過ぎたって事だ」


従妹「こえすぎ?どういうこと?」


従兄「ウチの家系の女性陣って美人が多いじゃん」


従妹「そうだね、お母さんも叔母さんも綺麗だもん」


従兄「あれでどっちも50代だぜ…」


従兄「実際、俺も高校の時まで30半ばだと本気で思ってたからな」


従妹「そこは気付こうよ…」


従兄「まぁまぁ、閑話休題」


従兄「そんな中で暮らしていれば、自然と理想は高いものになってくる」


従兄「だがその理想に適う女性は滅多にいない…。だから俺には彼女が出来ないって訳だよ」


従妹「ふーん…そーなんだー」


従兄「おいおい、なに他人事みたいな顔してるんだ」


従妹「え、私も関係してるの?」


従兄「モチのロンだ。てか従妹が一番の原因かもだぜ」


従妹「私、何か悪いことした…かな?」オドオド


従兄「んー。悪いことはしてないんだけどね」


従兄「ただ、従妹以上に可愛い子を見たことが無いんだよ」


従妹「え、うぇ!?」


従兄「ほい、これ」


従妹「なぁに?この包み…?」


従兄「従妹へのプレゼント」


従妹「プレゼント?なんの?」


従兄「何の…って、誕生日プレゼントだよ」


従妹「あの…私、誕生日、来月、なんだけど…」


従兄「それは知っている。けれど、お互い来年まで会えないだろ?」


従兄「だから、今のうちに渡しておこうかと」


従妹「…あ、開けてみても、いい?」


従兄「どうぞどうぞ」


従妹「………わぁ、ネックレスだ!」


従兄「色々店を見て回ったのだが、化粧品はまだ尚早かなと思ってね」


従兄「気に入ってくれたかい?」


従妹「うん、大事にするね!」


従妹「つけてもいい?」


従兄「もちろん、そのためにプレゼントしたのだから」


従妹「んーっと…」カチャカチャ


従妹「これで、よし…っと」カチッ


従妹「ど、どう…似合う、かな?」


従兄「うむ、似合っている似合っている」


従妹「えへへ…、嬉しいな!」


従兄「ちと早いが、お誕生日おめでとう」


従兄「いやー、冬休み終わるまでにプレゼントできてホント良かった」


従妹「…………」


従兄「…どうした?」


従妹「ううん、なんでもない…。ありがと」


従妹「冬休みももうすぐ、おわり…」


従妹「ここにいられるのも、あと3日かぁ」


従妹「従兄ちゃんとも、お別れ…」


従妹「……従兄ちゃん」


従妹「ネックレス、プレゼントしてくれた」


従妹「私がいちばんカワイイ…って言ってくれた」


従妹「従兄ちゃんのこと、どんどん好きになってる」


従妹「…私にも、可能性あるのかな」


従妹「好きって…告白、したいけど」


従妹「…断られたら、どうしよう…」


従妹「やっぱり、言わないほうが、いいのかな…?」


従妹「…でも、このままお別れなんて、やだ」


従妹「もっともっと、いっしょにいたいよ…」


従妹「従兄ちゃん……」


従妹「ねぇねぇ、お外に出かけようよ」


従兄「えー…今日は炬燵で寝ていたい気分なのだけど」ゴロゴロ


従妹「いいから、出かける…の!」グイッ


従兄「…まぁいいんだけど、どこ行くのよ」


従妹「映画、観に行く」


従兄「りょーかい。じゃあ車借りてくるから、支度してなよ」


従妹「わかった」



映画館到着…



従兄「んで、どれを観るんだ?」


従妹「これ…」


従兄「これって…ベタベタの恋愛映画じゃねえか」


従兄「…なぁ、他の映画観ない?」


従妹「これが、いいの」


従兄「まじすか」


従妹「観たく、なかった?」


従兄「いやいや…そういう訳ではないのだが…」


従兄「本当にいいのか?俺なんかと観て?」


従妹「うん。従兄ちゃんと、観たいの」


従兄「…りょーかい」


映画終了…



従兄「…予想外に面白かった」ワナワナ


従兄「映画だろうが食わず嫌いはいけない、反省しなければ…」


従妹「従兄ちゃんが、楽しんでくれて、よかった」エヘヘ


従兄「ありがとな。今日は本当に楽しかったぞ」


従妹「じゃあ、明日も、どっか…行こっか?」


従兄「そうだね、遊べるのは明日が最後だし」


従兄「でも、何処に行こうか」


従妹「…遊園地とか、どうかな?」


従兄「近場で遊園地なんてあったっけ?」


従妹「ここから、駅2つのところに、あるよ」


従兄「まじか、よく知ってるな」


従妹「え、あ、うんっ」オロオロ


従兄「どうかした…?」


従妹「な、なんでも、ない!」


従兄「…まあいっか」


従兄「んで、明日は遊園地で良いんだよな?」


従妹「うん、遊園地で、いいよ!」


従妹「朝から、いこうねっ!」


従兄「りょーかい…。頑張ってみるよ」


遊園地到着…



従兄「ぅぁー…ねむ…」


従妹「ごめんね、こんな朝早くから…」


従兄「気にするな、これも一日中遊ぶ為だ」


従兄「って…あれ?」キョロキョロ


従妹「どうか、した?」


従兄「なんか男女で来ている奴が多いな…って思って」


従妹「今日、『カップル♡デイ』だし…」


従兄「なにそれ?」


従妹「…恋人…どうしだと、割引と限定グッズが、もらえる日…なんだって」


従兄「なるほど、アベックで入園すれば色々お得なのか」


従兄「ま、俺達には関係…」ガシッ


従妹「まって……!」ギュウウ


従兄「どうした?」


従妹「あの、限定グッズ、欲しい…」


従兄「いやいやでも、あれはアベックじゃないと貰えないし」


従妹「…だから……従兄ちゃんと、私で…その…」


従兄「まさか………恋人のフリしろっていうのか?」


従妹「…」コクコク


従兄「本気で言ってる?」


従妹「おねがい…!」


従兄「………」


従妹「えへへ…」


従妹「まずは…どれに乗ろっか?」


従兄「んー、お化け屋敷以外ならどこでも良いぜ」


従妹「じゃあ、あれ乗ろうよ!」


従兄「『サイクロンライダー』…絶叫系か、良いぜ」


従妹「ぜったい、おもしろいよ!」


従兄「………」


従兄「なぁ、一つ聞きたいんだけど…」


従妹「?」


従兄「恋人のマネをするとはいえ、腕まで組む必要…ある?」


従妹「ある…」ギュウ


従兄「…りょーかい」


従妹「えへへ」ギュウウ


従兄「ちょっ、痛い!」


従兄「乗っている間、従妹にホールドされていた腕が痛い…」ズキズキ


従兄「そんなに怖かったか?」


従妹「…すごく、ドキドキ…した」


従兄「大丈夫?ちょっと休むか?」


従妹「ううん…。今日は、1日中、遊ぶの」


従兄「お前って変なところで頑固だよな…」



数時間後…



従兄「うぅー…遊び疲れたー」ノビー


従妹「ずっーと、遊んだもん…ね」


従兄「もうすぐ閉園時間だし、次が最後かな」


従妹「じゃあ最後は、やっぱり…」


従兄「ふぅむ、観覧車か…王道だな」


従兄「よぅし、行こうぜ」スタスタ


従妹「…………」


従妹「これが、最後の…チャンス…」ボソッ

観覧車内…



従妹「もうすぐ…てっぺんだ」


従兄「結構高いな、遊園地が一望できるじゃないか」


従妹「…えっと……今日は、楽しかった…ね」


従兄「あぁ、こんなに遊んだのも久しぶりだ」


従妹「…私も、だよ」


従兄「あーあ…。この先の人生、またこんなデートができるのかねぇ…」


従妹「…」


従兄「まぁ、こんな事で不安になってたら結婚なんて夢の又夢だけどな」ハハハ


従妹「………あの…」


従妹「あ、あのね…従兄ちゃん…」


従兄「どうした?」


従妹「……従兄ちゃんは、結婚できるか…不安なんだよね…?」


従兄「そりゃ不安だよ。この歳まで彼女いたこと無いし」


従妹「実は……私も…不安、なんだ…。結婚…」


従兄「だろうな」


従妹「うん…、だから…もし、私が大人になっても、お互い独身だったらさ……」


従兄「…」


従妹「その、ね…私たち…………結婚…する…?」


従兄「……」


従妹「いや、あの!…結婚っていうか…同居っていうか…」


従妹「私たち、お互いのこと、よく知ってるし、一緒にいればちょうどいいかな…って」


従妹「……どう…かな?」


従兄「………」


従兄「……従妹、俺は…」











従兄「俺は…、その想いに応えることは出来ない」









従妹「…ぇ……ぁ…っ……」


従妹「…そ、そっか……」


従妹「……私じゃ…ダメ、なんだ」


従兄「逆だ、俺がお前に相応しくない」


従兄「第一、身内同士で恋人になるなんて普通じゃない」


従妹「なんで…?なんでそんなこと言うの?!」ガシッ


従兄「………離せ、従妹。お前に乱暴はしたくない」


従妹「嫌っ…!」グググ


従兄「冷静になれ」


従兄「お前は歳上への憧れを恋愛感情と勘違いしているだけだ」


従妹「違う!!」


従妹「違う違う違う!!!」


従妹「私は…」


従妹「私は……!」


従妹「従兄ちゃんが……大好きなの!!!」


従兄「……っ」


従兄「……っ」


従妹「従兄妹同士だとか…関係ない!」


従妹「ずっと…!ずっとずっと前から好きだったの!」


従妹「でも私、うまく話せなくて…仲良くできなくて、辛かった」


従妹「だから…従兄ちゃんが話しかけてくれて…、カワイイって言ってくれて…、ほんとに嬉しかった…」


従妹「従兄ちゃんのこと、もっともっと好きになったの!」


従妹「もっともっと、いっしょにいたいよ!」


従妹「もう片想いのままは、イヤ!!」


従兄「……従妹…」


従妹「この気持ちは、勘違いなんかじゃないよ…。本気…だってことを見せてあげる…」ググッ


従兄「何を…?まさか!」


従妹「従兄ちゃん…大好きだよ……」


従兄「止めろ!後戻り出来なく…」


従妹「ん…」チュッ

お待たせしてしまい、誠に申し訳ありません


従兄「んぅっ……!」


従妹「んぁ…っ」


従兄「……っはぁ!」


従妹「ぷはっ!」


従兄「……く」


従妹「えへ、へ…」


従妹「初めて、チュウ…しちゃった…」


従兄「お前…っ!」


従妹「ねぇ、従兄ちゃん…」


従妹「私は、自分の気持ち…言ったよ」


従妹「従兄ちゃんは…どうなの?」


従兄「どう…とは?」


従妹「私のこと、どう想ってるの…?」


従妹「…教えて……」


従兄「それは、その…」


従兄「大切な妹、みたいな…」


従妹「ウソ…!」グググ


従兄「ぐっ…」


従妹「私の目を見て…!」


従妹「答えてよ!」


従兄「ぅ…」


従兄「…………」


従兄「………き……だ」


従妹「ちゃんと、言って…」


従兄「好き、だ…っ」


従妹「誰が、好き…なの?」


従兄「……分かるだろ!…お前だよ…っ!」


従妹「それ、本当……?ホントにホント・・」


従兄「…あぁ………」


従兄「俺は…」


従兄「従妹が……大好きだ」


従妹「〜〜!」


従妹「従兄ちゃん!!」ギュゥゥウ


従兄「ぐ…ぅ…!」


従妹「嬉しい…嬉しいよぉ…」ポロポロ


従兄「………」


従兄「俺も、甘いなぁ…」ナデナデ


従兄「もうすぐ観覧車が下に着くからさ」


従妹「……」


従兄「一旦離れない?」


従妹「…………」ギュゥゥ


従兄「抱き合ったままじゃ観覧車から降りれないからさ」


従妹「もう一周…」


従兄「我が儘言わないでくれよ」


従妹「やだ」


従兄「じゃあ何か奢ってやるから」


従妹「いらない」


従兄「手繋いでやるから」


従妹「……」プイ


従兄「どうすりゃいいんだよ」


従妹「……して…」ボソッ


従兄「はい?」


従妹「従兄ちゃん、から…チュウ……して、ほしい……」


従兄「そんなこと…」


従妹「………」ウルッ


従兄「…分かった、やってやるよ」


従妹「やった!」


従兄「………するぞ」


従妹「ま、待って!」


従妹「あの……、すき…って言ってから、して…ほしい」


従兄「注文が多いな、お前…」


従妹「ぁ…ごめ…」


従兄「従妹、好きだぞ」


従妹「ぇ…わ!」


従兄「…」チュッ

終わりです
ありがとうございました

需要があったら、また書かせてもらいますね

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月24日 (日) 01:17:26   ID: Dc43d0nA

この心がもやもやする感じ
結構好きです

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