俺は幻覚を見ている 2 (3)
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―――――――――――――
「ん…。」
気が付くと、俺はまたベッドの中にいた。
いつもより、暖かくて、ふわふわなベッドの中――。
―――ん?
「…お兄ちゃん、早く起きて、お兄ちゃん!」
誰かの声が聞こえる…。
誰の声だろ…聞きなれた、明るい声がする。
「もしや…!」
「?」
うまるは、はてなマークを頭に浮かべるかのように、何かを心配するようにこちらを見ている。
俺は、慌てて冷静を装った。
「な、なんでも…ないよ。」
苦笑いしてみるが、うまるには効くわけがなかった。
「お兄ちゃん、うまるに何か、隠し事してるよね?」
やっぱり…。
妹を腹の中では馬鹿にしてて、妹に心配させて、妹に頼ろう、なんて思ってしまう俺は、兄失格かもな。
でも、
「これからは、うまるに隠し事をしないって、約束するよ。」
「…うん!」
頼らなきゃ、駄目だったんだ…。
「ゆーびきーりげーんまんっ、うっそつーいたーらはーりせーんぼーんのーますっ!ゆーび切った!」
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「うまる、弁当作っておいたぞー。」
今日も慣れた手つきでうまるの弁当を作る。
「クンクン……これ、絶対ピーマン入ってる!!」
「そんなに好き嫌いしてると、病気になるぞ…。
ちゃんとお前の好きな味にしておいたから、全部食べて帰って来いよ。」
「…はぁーい。」
うまるは俯きながら学校へ行こうとした。
『うまるーん』
玄関を開けると、そこには海老名ちゃんがいた。
海老名ちゃんとは、私のクラスメートで、巨乳かつ可愛い顔をしている友達。
実は、私と同じアパートに住んでいるんだ!
「うまるちゃん、おはよう。」
「海老名ちゃん、おはよう!」
今日も、笑って何気ない会話をする。
…でも、今日も私に視線が集まってくる。
「あの子可愛い…!」
「芸能人かな?」
「あの子、あの名門高校で成績優秀かつ容姿端麗な、土間さんだよ!」
・・・
「海老名ちゃん、こういうの、気にしなくて大丈夫だよ!」
「ご、ごめんうまるちゃん。私、うまるちゃんのお荷物になってる気がして…。」
そんな風に思ってたんだ…。
「海老名ちゃん、私は海老名ちゃんのこと、お荷物だと思ってないよ。」
「だって、友達だもん!」
海老名ちゃん、大丈夫だよ。
「辛いことがあったら、私がいつでも相談にのるからね…!」
キーンコーンカーンコーン…
あ、もうテストの時間だ…!
お兄ちゃんに難しい問題を教えてもらったけど…ホントに大丈夫かな…。
「それでは、国語のテストを開始します。」
ピラッ。
「…3,2,1…名前を書いたら、テストをしてください。」
集中、しなきゃ…。
あれ、こんなところ習った覚えがないんだけど…?
ピッ。
「終了です。テストを前に回していってください。」
今日は、全然できなかったなぁ……。
「はああぁ…。うまるちゃん、今回のテスト難しかったねー……。」
「あはは…実は私もできない問題があって。」
「え!?うまるちゃんにも?」
「うん、実はね…、~~っていう問題があって…。」
「私、あんなの全然解けないよ~!」
でも、絶対にいい点取らなきゃ…。
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