ハムスケ「むう、誰もいないご様子。出直すとするでござる」

『まあ待て、せっかく二人きりなのだから少し話をしようではないか』ﾓｺﾞﾓｺﾞ

ハムスケ「邪悪な石ころと話す事などござらん！」カリカリカリッ

死の宝珠「こら！私をかじるんじゃないっ！このハムスターが！！」

ハムスケ「ハムスター？……おぬし、もしや拙者の種族を知っているのでござるか？」

ハムスケ「……つまり拙者の種族は『じゃんがりあんはむすたぁ』というのでござるな？」

死の宝珠「そのとおりだ」

ハムスケ「確か殿も同じ事をおっしゃっていた。なんとも精強な響きでござる」

死の宝珠「もっともこの世界にいるのはおまえ一匹のようだがな」

ハムスケ「どういうことでござる？」

死の宝珠「おまえの仲間はどうやら別世界にいるらしい」

ハムスケ「な、なんと！それでは拙者は子孫を残すという生物の役目を果たせないのでござるか！？」

死の宝珠「……仲間にあってみたいか？」

ハムスケ「もちろん会ってみたいでござるが、しかし……」

死の宝珠「会いたいのか！？会いたくないのか！？」

ハムスケ「あ、会いたいでござる！！」

死の宝珠「心得た！ディメンションワールド！！」シュルルルルル…………ブチッ！！

ハムスケ「ヘケェッ！？」

うまる「おにいちゃぁああああん！！！！」ドスッ

タイヘイ「ぐへえっ」

うまる「おにいちゃん！たいへんだよ！！お風呂になんか出た！！」

タイヘイ「なんかってなんだよ？ゴキブリか？」

うまる「わかんないっ！おにいちゃん見てきてぇ！！」グイグイ

タイヘイ「ちょ、わかった。みてくるから押すなって」

タイヘイ「ん……なんかいるぞ……こ、これは――！？」

タイヘイ「かわいそうになぁ。こいつしっぽが切れてるよ。うまる、おまえがやったのか？」

うまる「ちがうよ、うまるびっくりしてすぐにお兄ちゃんとこいったもん」

タイヘイ「そうか……どこかから逃げ出してきたのかな？」

うまる「ねえ、お兄ちゃん。その子かわいいね！ねえ飼っていーい？ねえ、飼ってもいいでしょう？」

タイヘイ「そのまえにまずは傷の手当だ」

ハムスケ「むう……ここは……いったいどこでござる？なにやら……とても暖かいでござる」

うまる「ああっ！おにいちゃん！！目を覚ましたよっ！！」

ハムスケ「……むむ！！なんでござるかこの巨人は！？」

ハムスケ「オーガ、トロール……いな、山より大きいトロールなど聴いた事がござらん！！ま、まずいでござる！！」

タイヘイ「ほら、うまるがさわぐからそいつ怯えてるじゃないか」

ハムスケ「な、なんと２匹もいるのでござるか……殿ぉ、助けてくだされぇ」ｶﾞｸｶﾞｸﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

うまる「ふふふ、今日からおまえもうまるファミリーのメンバーだよ！ちゃんとうまるの言う事きかなきゃダメだからね～」なでなで

ハムスケ「こ、このあたたかさは……　ハッ！？ひょっとしてこの巨人は拙者を介抱してくれたのでござるか……？」

うまる「な～んて名前にしっようっかな～♪」うまるーん

タイヘイ「う～ん、それなら大福なんてどうだ？寝てるとそっくり」

うまる「え～お兄ちゃんセンスなーい」

タイヘイ「そ、そうか？」

うまる「おまえはなんて名前がいーい？」

ハムスケ「ゴホン、それがしの名はハムスケ。偉大なる御方にいただいたこの名前、やすやすと変えるわけにはいかぬでござる！」

うまる「へぇ～そうなんだ～」

ハムスケ「しかしうまる殿にはそれがしを救ってくれた恩がござる。他の事ならなんなりとご命じくだされ」

うまる「それじゃあねぇ……」

タイヘイ「ハハハ、そいつなんていってるんだ？」

うまる「えっとね、ステーキを食べれば元気になるかもしれないでござる、だって！」

うまる「ねえお兄ちゃん、家族が増えたんだからステーキでお祝いしようよぉ～」

タイヘイ「なんでござる口調なんだよ。それと今日の晩飯は煮魚だからな」

うまる「えー！うまるステーキがいい～～～！！」

ハムスケ「……ヘケ？」

ハムスケ「……どうやらそれがしの言葉はうまる殿たちには届いていないようでござる」ｼｮﾎﾞﾊﾑ

タイヘイ「ネットで調べたらそいつはジャンガリアンハムスターっていうらしいぞ」

うまる「ジャンガリアン・・・ジャんガ・・・ひらめいた！今日からおまえはじゃがまるくんだ！！」

ハムスケ「じゃ、邪牙丸・・・！まるでいにしえのつわもののような響きでござる！！しかしそれがしには殿からもらった大事な名が・・・」

タイヘイ「じゃがまるっておまえ、たしか食べ物の名前じゃなかったか？」

うまる「え～？じゃあポテイトウでもいいよ」

タイヘイ「おもいっきり食べ物だろうが」

うまる「そういうお兄ちゃんの大福だって食べ物じゃんかー！！」

タイヘイ「そ、それは……」

ハムスケ「うう……それがし、食べられてしまうのでござろうか……」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

タイヘイ「ハム二郎とハム三郎がいるからハム四郎……はゴロが悪いな」

うまる「じゃあ……ハムスケ！」

タイヘイ「お、いいんじゃないか」

ハムスケ「なんと！うまる殿、それこそがそれがしの忠誠の名でござるよ！」ﾊﾑﾊ―

タイヘイ「お、ハムスケもよろこんでるようだぞ」

ハムスケ「うまる殿！殿の元へと帰るまでの間、なんなりとご命じくだされ！」

うまる「ふふふ、ハムスケー♪今日からおまえはずーっとうまるの奴隷だよぉー♪」

ハムスケ「ヘケェ？！」

ハムスケ「まずいでござる！このままでは殿のもとに帰れないのでござる……。なんとしてでも殿の元に帰る方法を見つけ出さねば！！」

うまる「さあ、ここがおまえのお家だよ～。ハム二郎、ハム三郎、新人教育は任せた！」

ハムスケ「ハッ！？なにやら獣の気配がするでござる……そこにいるのは誰か？姿を現すのでござる！！」

ハム二郎「……」ﾉｿ

ハム三郎「……」ﾉｿ

ハムスケ「こ、金色の体毛に、それがしより一回りも大きなその体躯……」

ハムスケ「一見違って見えるでござるが、それがしの心が！魂が！ついに同種に会えたと叫んでいるのでござる！！」ｳﾙｳﾙ

ハムスケ「それがしの名はハムスケ！アインズ・ウール・ゴウン様に仕える忠実なるシモベでござる」

ハムちゃんず「……？」

ハムスケ「ええっと……おぬしらの名前を教えてはくれまいか」

ハム二郎「カリカリカリ」

ハム三郎「Zzz」

ハムスケ「そ、それがしを無視するとはいい度胸でござる……それならばこちらにも考えがあるでござる！」ﾌﾟﾘｯ

ハムスケ「それがしの尻尾が」ﾌﾟﾘｯ「おぬしらを」ﾌﾟﾘｯ「襲うでござるっ！」ﾌﾟﾘﾝ

うまる「おにーちゃん！ハムスケがおしり振ってる！かわうぃ～い～」

タイヘイ「病気とかじゃないといいけど……一応調べておくか」ｸﾞｸﾞﾘ

うまる「ハムスケのオケツぷりぷり～♪」

ハムスケ「……それがしの……それがしの自慢の尻尾が無くなっているでござるぅぅぅううう！！？？」

ハムスケ「ウウッ……森の賢者として生き幾星霜……これほどの屈辱は味わった事がないのでござる……」

ハムスケ「おぬしらには悪いが……それがしのこの行き場のない怒りを受け止めてもらうでござる……覚悟っ！！」ｷｼｬー

うまる「うわー！おにーちゃんたいへんタイヘン！！ハムスケがハム二郎たちをいじめてる！！」

タイヘイ「あー、ハムスターは同じゲージに何匹も入れるとケンカするらしいぞ……」ｶﾁｶﾁ

うまる「もっと早く言ってよー！！」ガチャガチャ

うまる「ハムスケー！おまえはもううまるファミリーの一員なんだからケンカしちゃだめなんだからね！！」

タイヘイ「とりあえず今日は別な容器に入れといたほうが良さそうだな」

ハムスケ「それがしの……それがしの尻尾……」

うまる「じゃあ、とりあえず今はうまるのポケットを貸してあげよう」ｽﾞﾎﾞ

ハムスケ「ん？ここは……それがしの洞窟……？そうか……全部夢でござった……か……」

うまる「……あ、おにーちゃん」

タイヘイ「どうした？」

うまる「ハムスケ……寝ちゃった」

タイヘイ「よっぽど疲れてたんだろうな。うまる、かわいそうだから起こしたらダメだぞ」

うまる「は～い」